2歳馬限定競走
名称:ロベールパパン賞 | 英名:Prix Robert Papin | ||||
場所:仏国・メゾンラフィット競馬場 | 距離等:芝1100m | 出走馬:2歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1892年 | 格付け:GⅡ(1988年~)GⅠ(1971~87年) | 施行時期:7月第4週 | |||
以前は仏国2歳戦における大競走であり、仏国の有力2歳馬にとっては最初の目標となりうるレースだったが、1988年にGⅡ競走に降格となって以降は他の2歳GⅠ競走の前哨戦となっている。英語圏や日本では、モルニ賞・仏グランクリテリウム(現ジャンリュックラガルデール賞)と共に仏国2歳三冠競走の1つに位置付けられると紹介される事があったが、おそらく肝心の地元仏国ではそういった概念はあまり無かったと思われる。いずれにしても本競走がGⅡ競走に降格となった現在では、そんな路線は完全に無くなったと言える。創設当初は「オムニウム・ドゥ・ドゥザン」という名称だったが、1926年に死去したスポーツ振興協会の会長にして仏国競馬界の大物ロベール・パパン氏を記念して1928年に改名された。距離の変遷が何度かあり、1200mや1400mで行われていた時期もあるが、創設から現在まで概ね1100mで施行されている。
名称:愛フェニックスS | 英名:Phoenix Stakes | ||||
場所:愛国・カラー競馬場 | 距離等:芝6ハロン | 出走馬:2歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1902年 | 格付け:GⅠ(1979年~)GⅡ(1971~78年) | 施行時期:8月第2週 | |||
愛国の重要な2歳戦の1つで、近年の愛国調教馬のレベル向上に伴い、本競走のレベルも向上している。1990年まではフェニックスパーク競馬場で施行されていたためこの名称が付いているが、同競馬場が1990年に閉鎖されたのを機に1991年にレパーズタウン競馬場開催に変更されたのを経て、2002年に現行のカラー競馬場に開催場所が移動してからも名称は変わっていない。直線コースで施行される。なお、創設から1981年までは距離5ハロンだった。また、創設当初の正式名称は「フェニックスプレート」だった。
名称:モルニ賞 | 英名:Prix Morny | ||||
場所:仏国・ドーヴィル競馬場 | 距離等:芝1200m | 出走馬:2歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1865年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:8月第4週 | |||
1865年に死去したドーヴィル競馬場の創設者オーギュスト・ド・モルニ公爵を記念して同年に創設された、仏国2歳戦における大競走。直線コースで施行される。仏国の2歳GⅠ競走では最も早く開催されるため、まずはこの競走を目標とする馬も多い。創設当初は距離の変遷が激しく、1000m、1200m、1300m、1400mで施行されたが、1887年から1200mに落ち着いた。創設当初は仏国調教馬しか参戦できず、1875年にいったん国際競走となるも1909年から再び仏国調教馬限定競走となり、この期間中に仏国外からの参戦馬が勝った事例も無かった。1947年に再び国際競走になると早速英国調教馬が勝利を収め、その後は仏国外からの参戦馬の活躍も目立つようになった。
名称:ヴィンセントオブライエンナショナルS(愛ナショナルS) | 英名:Vincent O'Brien National Stakes | ||||
場所:愛国・カラー競馬場 | 距離等:芝7ハロン | 出走馬:2歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1849年 | 格付け:GⅠ(1985年~)GⅡ(1971~84年) | 施行時期:9月第2週 | |||
愛国における最も重要な2歳戦で、愛国の歴史的名馬には本競走から出世していった馬が少なくない。近年の愛国調教馬のレベル向上に伴い、本競走のレベルもさらに向上している。1997~99年までは距離8ハロンで施行されていた。創設当初は「ナショナルプロデュースS」という名称だった。長らく「ナショナルS」という名称だったが、2009年に愛国の名調教師ヴィンセント・オブライエン調教師が死去したため同年から現在の名称に変更された。ただし、その後もいったんナショナルSに名称が戻った時期があり、正式名称は安定していない。
名称:モイグレアスタッドS | 英名:Moyglare Stud Stakes | ||||
場所:愛国・カラー競馬場 | 距離等:芝7ハロン | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1970年 | 格付け:GⅠ(1983年~)GⅡ(1979~82年)GⅢ(1974~78年) | 施行時期:9月第2週 | |||
愛国では唯一の2歳牝馬限定GⅠ競走。創設当初は距離6ハロンで、1992年から現行の7ハロンになった。名称は本競走のスポンサーでもある愛国の名門牧場モイグレアスタッドに由来する。
名称:フライングチルダースS | 英名:Flying Childers Stakes | ||||
場所:英国・ドンカスター競馬場 | 距離等:芝5ハロン | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:1967年 | 格付け:GⅡ(1979年~)GⅠ(1971~78年) | 施行時期:9月第2週 | |||
英国の重要な2歳馬限定競走だったが、GⅡ競走に格下げになって以降は他の2歳GⅠ競走の前哨戦としての役割を担う事が多くなった。創設当初は「ノーフォークS」という名称だったが、1973年にアスコット競馬場で施行されていたニューSという別競走がノーフォークSに改名された事に伴い、18世紀英国の名馬フライングチルダースに由来する現行名に改称された。施行日は英セントレジャーの前日。
名称:サラマンドル賞(廃止) | 英名:Prix de la Salamandre | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝1400m | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:1872年 | 格付け:GⅠ(1971~2000年) | 施行時期:9月第2週 | |||
以前は仏国の重要な2歳戦だったが、2001年にクリテリウム国際が創設された事に伴い、廃止された。
名称:ミドルパークS | 英名:Middle Park Stakes | ||||
場所:英国・ニューマーケット競馬場 | 距離等:芝6ハロン | 出走馬:2歳牡馬 | |||
創設:1866年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:9月第4週 | |||
デューハーストSと並ぶ英国伝統の2歳馬限定戦で、欧州全体で見ても最も重要な2歳戦の1つ。直線コースで施行される。創設当初は「ミドルパークプレート」という名称で、現行の名称になったのは1922年から。最初は牝馬も出走可能だったが、1987年から牡馬限定競走となっている。名称は本競走の創設者でもある英国の馬産家ウィリアム・ブレンキロン氏の馬産牧場ミドルパークスタッドに由来する。元々は9月下旬から10月上旬にかけて施行されていたが、2011年の英チャンピオンズデイの創設に伴いニューマーケット競馬場で施行されていた英チャンピオンSがアスコット競馬場に移されると、その引き換えとしてフューチャーチャンピオンズデイが創設され、従来は少し施行時期が離れていたデューハーストSなどのニューマーケット競馬場で施行される主要2歳競走と同日に行うようになった。しかし直近の2015年はデューハーストSの2週間前に施行されるなど、まだ安定していない。
名称:チェヴァリーパークS | 英名:Cheveley Park Stakes | ||||
場所:英国・ニューマーケット競馬場 | 距離等:芝6ハロン | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1899年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:9月第4週 | |||
英国の2歳牝馬限定戦の中では最も歴史が古く、格も最も上。直線コースで施行される。英1000ギニーを狙う馬が多く出走してくる。名称は本競走の創設者でもある英国の政治家兼馬産家ハリー・マッカルモント大佐の馬産牧場チェヴァリーパークスタッドに由来する。2011年の英チャンピオンズデイの創設に伴いニューマーケット競馬場で施行されていた英チャンピオンSがアスコット競馬場に移されると、その引き換えとしてフューチャーチャンピオンズデイが創設され、同じく9月に施行されていたデューハーストSやフィリーズマイルは施行時期が10月に変更されたが、同じニューマーケット競馬場で施行される本競走の施行時期は今のところ変更されていない。
名称:ジャンリュックラガルデール賞(仏グランクリテリウム) | 英名:Prix Jean-Luc Lagardère | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝1400m | 出走馬:2歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1853年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:10月第1日曜日 | |||
凱旋門賞と同日に施行される、仏国における2歳最強馬決定戦。創設から長年に渡り「(仏)グランクリテリウム」という名称だったが、2003年に仏国の馬主で仏国の競馬当局フランスギャロの会長でもあったジャン・リュック・ラガルデール氏が死去すると、その功績を記念して同年に改名された。創設当初は距離1500m、1864年から距離1600mで施行されていたが、2001年にクリテリウム国際が創設された事に伴い同年から現行の距離となった。
名称:マルセルブサック賞 | 英名:Prix Marcel Boussac | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝1600m | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1969年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:10月第1日曜日 | |||
凱旋門賞と同日に施行される、仏国における唯一の2歳牝馬限定GⅠ競走。創設当初は「クリテリウム・デ・プーリッシュ」という名称だったが、1980年に仏国の名馬産家マルセル・ブサック氏が死去すると、彼の功績を記念して同年に改名された。
名称:デューハーストS | 英名:Dewhurst Stakes | ||||
場所:英国・ニューマーケット競馬場 | 距離等:芝7ハロン | 出走馬:2歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1875年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:10月第2週 | |||
ミドルパークSと並ぶ英国伝統の2歳馬限定戦で、欧州全体で見ても最も重要な2歳戦の1つ。これを勝って歴史的名馬に出世した馬は数多い。直線コースで施行される。歴史はミドルパークSよりこちらの方が新しいが、あえて2競走の格の上下をつけるとすれば本競走が上で、賞金も本競走の方が高い。ミドルパークSと時期が接近しているため1頭の馬が両方に出走する事は現在ほとんどない。創設当初は「デューハーストプレート」という名称で、現行の名称になったのは1922年から。名称は本競走の創設者でもある英国の馬産家トーマス・ギー氏の馬産牧場デューハーストスタッドに由来する。2011年の英チャンピオンズデイの創設に伴いニューマーケット競馬場で施行されていた英チャンピオンSがアスコット競馬場に移されると、その引き換えとしてフューチャーチャンピオンズデイが創設され、本競走がその中心競走に位置付けられた。
名称:フィリーズマイル | 英名:Fillies' Mile Stakes | ||||
場所:英国・ニューマーケット競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1973年 | 格付け:GⅠ(1990年~)GⅡ(1986~89年)GⅢ(1975~85年) | 施行時期:10月第2週 | |||
英国の重要な2歳牝馬限定戦の1つ。直線コースで施行される。もう1つの重要競走チェヴァリーパークSより距離が長いため、英1000ギニーではなく英オークスを狙うような牝馬はこちらを2歳戦の目標とすることが多い。創設当初は切手取引会社グリーンシールド社がスポンサーだったために「グリーンシールドS」と呼称される事もあった。創設からずっとアスコット競馬場で施行されており施行時期も9月下旬だったが、2011年の英チャンピオンズデイの創設に伴いニューマーケット競馬場で施行されていた英チャンピオンSがアスコット競馬場に移されると、その引き換えとしてフューチャーチャンピオンズデイが創設され、2014年からは従来は少し施行時期が離れていたデューハーストSなどのニューマーケット競馬場で施行される主要2歳競走と同時期に行うようになった。
名称:伊グランクリテリウム | 英名:Gran Criterium | ||||
場所:伊国・サンシーロ競馬場 | 距離等:芝1600m | 出走馬:2歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1925年 | 格付け:GⅡ(1973~75年、2014年~)GⅠ(1976~2013年) | 施行時期:10月第3週 | |||
伊国の2歳最強馬決定戦。相対的なレベルの低下が著しい伊国の競走の中にあってGⅠ競走の地位を堅持していたが、2014年にGⅡ競走に降格となってしまった。正式名称は「グランクリテリウム」だが、かつて仏国にも同名の競走があったため、区別する意味で伊グランクリテリウムと表記される事が多い。それは、仏国の競走のほうがジャンリュックラガルデール賞と改名された現在でも同様である。
名称:レーシングポストトロフィー | 英名:Racing Post Trophy Stakes | ||||
場所:英国・ドンカスター競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:2歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1961年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:10月第4週 | |||
創設は比較的新しいが英国の主要2歳戦の中では最も距離が長いため、同距離の英2000ギニーを狙う馬だけでなく、英ダービーなど距離が長いレースを視野に入れる馬も出走してくるため、かなりレベルが高い戦いが展開される。直線コースで施行される。レース名の変遷が激しく、英タイムフォーム社がスポンサーだった1961~64年には「タイムフォーム金杯」、ブックメーカーのオブザーヴァー社がスポンサーだった1965~75年には「オブザーヴァー金杯」、同じくブックメーカーのウィリアムヒル社がスポンサーだった1976~88年には「ウィリアムヒルフューチュリティS」という名称で、レーシングポスト紙がスポンサーとなった1989年から現在の名称となった。
名称:クリテリウム国際(クリテリウムアンテルナシヨナル) | 英名:Critérium International | ||||
場所:仏国・サンクルー競馬場 | 距離等:芝1600m | 出走馬:2歳馬(騙馬不可) | |||
創設:2001年 | 格付け:GⅠ(2001年~) | 施行時期:10月第5週 | |||
サラマンドル賞と入れ代わる形で2001年に新設された、歴史が新しい仏国の2歳戦の大競走。もっとも、同名の競走がロンシャン競馬場において1893年から1910年まで施行されており、90年ぶりに復活したとも言える。ただし、初代のクリテリウム国際は距離1100mだった。
名称:クリテリウムドサンクルー | 英名:Critérium de Saint-Cloud | ||||
場所:仏国・サンクルー競馬場 | 距離等:芝2000m | 出走馬:2歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1901年 | 格付け:GⅠ(1987年~)GⅡ(1971~86年) | 施行時期:11月第1週 | |||
仏国のみならず欧州全体の平地競馬シーズンにおいて最も最後に施行されるGⅠ競走の1つ。欧州で施行される2歳馬限定GⅠ競走の中では最も最後に行われるだけでなく最も距離が長いため、12ハロン以上の長距離路線を視野に入れる馬が出走してくる事が多い。創設当初は距離1400mで、その後の幾度かの変遷を経て1924年に現行の距離となった。時期も創設当初は9月開催だったのが、距離の延長に伴い後ろにずれてきている。
3歳馬限定競走(牡馬)
名称:伊2000ギニー | 英名:Premio Parioli | ||||
場所:伊国・カパネッレ競馬場 | 距離等:芝1600m | 出走馬:3歳牡馬 | |||
創設:1908年 | 格付け:GⅢ(2007年~)GⅡ(1973~80、1996~2006年)GⅠ(1981~95年) | 施行時期:4月第5週 | |||
正式名称は「パリオリ賞」だが、伊国における2000ギニーに相当するため、日本では伊2000ギニーと表記する事が多い。創設当初は牡馬と牝馬の混合戦だったが、現在は牡馬限定戦となっている。GⅠ競走だった時期もあるが、伊国競馬のレベルが相対的に低下を続けているために格付けが下がり、現在はGⅢ競走となっている。
名称:英2000ギニー | 英名:Two Thousand Guineas Stakes(The 2000 Guineas Stakes) | ||||
場所:英国・ニューマーケット競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1809年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:5月第1週 | |||
単に「2000ギニー」と言った場合はこのレースのことを指すが、世界各国でこれに相当する競走が行われているため、日本では「英2000ギニー」と表記する事が多い。英国クラシック競走の1つで、現在は形骸化している英国三冠競走の第1戦でもある。英国三冠競走という路線の価値は失墜しているが、この競走自体の価値は下落しておらず、現在でも3歳牡馬の有力マイラーにとっては最初の大目標になる。直線コースで施行される。前哨戦としてクレイヴンSやグリーナムSなどがあり、これらを叩いて出てくる馬も多いが、ぶっつけ本番で3歳初戦として出てくる馬も多い。名称は第1回における優勝賞金が2000ギニーだった事に由来するとされる。
名称:仏2000ギニー | 英名:Poule d'Essai des Poulains | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝1600m | 出走馬:3歳牡馬 | |||
創設:1840年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:5月第2週 | |||
正式名称は「プール・デッセ・デ・プーラン」だが、仏国における2000ギニーに相当するため、日本では仏2000ギニーと表記する事が多い(地元仏国の人が聞いたら怒るかもしれないが)。元々は牡馬と牝馬の混合戦として1840年に「プール・デッセ」という名称で創設されたものだが、1883年に牡馬限定戦の「プール・デッセ・デ・プーラン」と牝馬限定戦の「プール・デッセ・デ・プーリッシュ(仏1000ギニー)」に分割されて現在に至る。2013年までの数年間は本競走の優勝馬がその後にろくな成績を残せない場合が多かったため、GⅡ競走に降格になるのではという噂もあった。2014・15年の優勝馬はいずれもその後にGⅠ競走を勝つなど活躍したため、ひとまず降格の危機は回避されたようである。
名称:リュパン賞(廃止) | 英名:Prix Lupin | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝2100m | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1855年 | 格付け:GⅠ(1971~2004年) | 施行時期:5月第2週 | |||
以前は仏国の重要な3歳馬限定競走の1つで、仏ダービーの重要な前哨戦でもあった。創設当初は「アンペルール大賞」という名称で、1872年に「グラン・プール・ド・プロデュイ」と改名された。1895年に仏国の有力馬主オーギュスト・リュパン氏が死去したため、翌年から名称変更された。仏ダービーの距離が短縮される事が決定した事に伴い、2004年を最後に廃止された。
名称:伊ダービー | 英名:Derby Italiano | ||||
場所:伊国・カパネッレ競馬場 | 距離等:芝2200m | 出走馬:3歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1884年 | 格付け:GⅡ(2009年~)GⅠ(1973~2008年) | 施行時期:5月第3週 | |||
伊国のダービーで、正式名称は「デルビー・イタリアーノ」。1973年に伊国がグループ制度に参加してからずっとGⅠ競走だったが、伊国競馬のレベルが相対的に低下を続けているために、現在はGⅡ競走となってしまっている。創設当初は距離2400mで、現在の距離になったのは2008年から。
名称:愛2000ギニー | 英名:Irish Two Thousand Guineas(Irish 2000 Guineas) | ||||
場所:愛国・カラー競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1921年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:5月第4週 | |||
英2000ギニーに倣って創設された愛国版の2000ギニー。直線コースで施行される。時期的に英2000ギニーや仏2000ギニーの出走馬が次の目標とするのにちょうどよく、この2競走の上位馬による争いとなる事が多い。
名称:独2000ギニー | 英名:Mehl-Mülhens-Rennen(German 2000 Guineas) | ||||
場所:独国・ケルン競馬場 | 距離等:芝1600m | 出走馬:3歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1842年 | 格付け:GⅡ(1973年~) | 施行時期:5月第4週 | |||
正式名称は「メールミュルヘンレネン」だが、独国における2000ギニーに相当するため、日本だけでなく地元の独国でも独2000ギニーと表記する事が多い。もっとも、創設当初は距離2000mであり、現行の距離になったのは1904年から。創設当初の正式名称は「ヘンケルレネン」と言い、これは独1000ギニーの1995~2005年における正式名称と全く同じである。現在の正式名称になったのは1986年からで、ケルン競馬場の運営に尽力したピーター・ポール・ミュルヘン氏の娘マリア・メール・ミュルヘン夫人が1985年に死去したために改名された。
名称:仏ダービー | 英名:Prix du Jockey Club | ||||
場所:仏国・シャンティ競馬場 | 距離等:芝2400m→芝2100m | 出走馬:3歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1836年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:5月第5週 | |||
正式名称は「ジョッケクルブ賞」だが、英ダービーに倣って創設された仏国におけるダービーに相当するため、日本では仏ダービーと表記する事が多い(地元仏国の人が聞いたら怒るかもしれないが)。創設当初は距離2500m、1843年から2400mとなり、かなり長い期間に渡って2400m戦だった。しかし2005年に英ダービーとの差別化のため距離を2100mに短縮した。これで英ダービーより距離が300m以上短くなったため、英ダービーでは距離が長いと思われる仏国外調教馬もこちらに矛先を向けてくる事例が出るようになった。ただし距離短縮前の優勝馬は凱旋門賞も制覇する事例がしばしば見られたのに対して、距離短縮後の優勝馬からは凱旋門賞の勝ち馬は出ず、むしろマイル路線に向かって活躍する事例がしばしば見られる。
名称:英ダービー | 英名:The Derby Stakes | ||||
場所:英国・エプソム競馬場 | 距離等:芝12ハロン10ヤード | 出走馬:3歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1780年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:6月第1土曜日 | |||
単に「ダービー」と言った場合はこのレースのことを指すが、世界各国でこれに相当する競走が行われているため、日本では「英ダービー」と表記する事が多い。また、競馬場の名を冠して「エプソムダービー」と表記する事例が日本だけでなく海外でもしばしば見られる。英国クラシック競走の1つで、5つある英国クラシック競走の中でも最も価値が高い。一応は英国三冠競走の第2戦だが、英国三冠競走という路線の価値が失墜した現在ではあまり意識されない。世界各国で行われているダービーを名乗るレースの中では、米国のケンタッキーダービーを別にすれば最高の地位を有しており、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS・凱旋門賞と共に欧州12ハロン路線の最高峰競走の1つであると言える。創設当初はマイル戦だったが、1784年に距離12ハロンに、1872年に距離12ハロン29ヤードに、1921年に再び距離12ハロンに、1934年に距離12ハロン5ヤードに、1938年に三度距離12ハロンとなり、そして現在に至る。しかしこの1938年に決定された12ハロンは測定を誤っており、実は12ハロン10ヤードだった事が1991年に判明したため、同年からは12ハロン10ヤードと表記されるようになった。創設者の第12代ダービー伯爵エドワード・スミス・スタンリー卿と第6代准男爵トマス・チャールズ・バンベリー卿がコイントスをして、ダービー伯爵が勝ったためにこの競走名となったという逸話は非常に有名である。ダンテS・チェスターヴァーズ・ディーS・サンダウンクラシックトライアルSなど数々の前哨戦があり、大抵はこれらのどれかを叩いて出走してくる。もちろん、英2000ギニーから直行してくる馬もしばしば見られる。あまり知られていないが1905年までは騙馬も出走可能だったのだが、騙馬が勝った事例は無い。
名称:ウニオンレネン | 英名:Union-Rennen | ||||
場所:独国・ケルン競馬場 | 距離等:芝2200m | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1834年 | 格付け:GⅡ(1973年~) | 施行時期:6月第2週 | |||
独国伝統の3歳馬限定競走。現在は独ダービーの最重要な前哨戦としての役割を担うようになっているが、1869年創設の独ダービーより前に創設されており、現在も施行されている独国のサラブレッド平地競走としては最も歴史が古い。創設当初は距離2400mで、1837年に2800mに、1888年に現行の距離となった。
名称:セントジェームズパレスS | 英名:St. James's Palace Stakes | ||||
場所:英国・アスコット競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳牡馬 | |||
創設:1834年 | 格付け:GⅠ(1988年~)GⅡ(1971~87年) | 施行時期:6月第3週 | |||
ロイヤルアスコット開催の初日に行われる。英2000ギニー・仏2000ギニー・愛2000ギニーの勝ち馬や上位馬が一堂に会する事が多く、3歳牡馬マイラーの最強馬決定戦と言える。以前は牝馬も出走可能だったが、現在は牡馬限定戦となっている。名称はロンドンにある最も古い宮殿の1つであるセント・ジェームズ宮殿に由来する。
名称:コモンウェルスC | 英名:Commonwealth Cup | ||||
場所:英国・アスコット競馬場 | 距離等:芝6ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:2015年 | 格付け:GⅠ(2015年~) | 施行時期:6月第3週 | |||
ロイヤルアスコット開催の4日目に行われる。英国短距離路線のレベル向上のためには3歳馬限定の短距離の大競走が必要だという考えにより2015年に創設された。直線コースで施行される。騙馬は出走可能であり、3歳騙馬にとっては最初に出走できる欧州GⅠ競走となっている。
名称:キングエドワードⅦ世S | 英名:King Edward VII Stakes | ||||
場所:英国・アスコット競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:3歳牡馬・騙馬 | |||
創設:1834年 | 格付け:GⅡ(1971年~) | 施行時期:6月第3週 | |||
ロイヤルアスコット開催の4日目に施行される英国の伝統競走。創設当初は「アスコットダービー」という名称だったが、1926年に現在の名称となった。創設当初は牝馬も出走可能だったが、現在の名称となると同時に出走不可となった。アスコットダービー時代は英ダービー優勝馬の次走として選択される機会が多かったが、英ダービーの次走として愛ダービー・エクリプスS・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSなどが選ばれる場合が多い現在では、英ダービー優勝馬がここに出てくる機会はほとんど無くなった。現在は英ダービーに出走しなかった3歳馬がその後のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSや英セントレジャーなどを見据えて出走する事が多い。
名称:愛ダービー | 英名:Irish Derby | ||||
場所:愛国・カラー競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:3歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1866年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:6月第4週 | |||
英ダービーに倣って創設された愛国版のダービー。もっとも、本競走創設前に愛国では1817年に「オーダービー」、1848年に「カラーダービー」なる競走が創設されたがいずれも短命に終わっており、本競走は愛国における3代目のダービーである。創設当初は愛国のローカル競走扱いであり、愛国産馬や愛国調教馬以外の一流馬が参戦してくる事はまず無かったが、1962年に愛国の政治家で有力馬主でもあったジョー・マクグラス氏の支援により賞金が大幅に増額されたことに伴い国際的な評価が向上し、現在では愛国外からも一流馬が参戦してくる高レベルな競走となっている。時期的に英ダービーや仏ダービーの出走馬が次の目標とするのにちょうどよく、この2競走の上位馬による争いとなる事が多い。なお、創設当初は距離14ハロンであり、現行の距離になったのは1872年から。1986年から2007年まではビール会社のバドワイザー社がスポンサーだったため、「バドワイザーアイリッシュダービー」と表記する場合もしばしば見られた。
名称:独ダービー | 英名:Deutsches Derby | ||||
場所:独国・ハンブルグ競馬場 | 距離等:芝2400m | 出走馬:3歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1869年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:7月第1日曜日 | |||
独国のダービー。創設直後は距離の変遷が激しく、1875mから2600mまであった。現行の距離になったのは1895年から。英・仏・愛・伊国のダービーより時期的に後であり、欧州の主要競馬国のダービーの中では一番最後に行われる。1973年に独国がグループ制度に参加してからずっとGⅠ競走であり、伊ダービーと異なり一貫してその地位を保っている。なお、第二次世界大戦終了後に独国が東西に分断されると、東ドイツと西ドイツでそれぞれダービーが施行されるようになり、1991年の独国統合までその状態が続いた。この時期に関してはは西ドイツのダービーのほうを正式な独ダービーとみなし、東ドイツのダービーは別競走として扱われることが多く、1973年にGⅠ競走に格付けられたのも西ドイツのダービーのみである。
名称:イタリア大賞 | 英名:Gran Premio d'Italia | ||||
場所:伊国・サンシーロ競馬場 | 距離等:芝2400m→芝2000m | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1921年 | 格付け:L(1997年~)GⅠ(1973~96年) | 施行時期:7月第1週 | |||
長年に渡って伊国3歳馬の12ハロン路線における重要な競走として親しまれていたが、伊国競馬のレベルが相対的に低下を続けているために、1997年にGⅠ競走からいきなりグループ競走ですらもないリステッド競走に格下げとなって現在に至る。現在の距離2000mになったのはリステッド競走になった1997年から。
名称:ジャンプラ賞 | 英名:Prix Jean Prat | ||||
場所:仏国・シャンティ競馬場 | 距離等:芝1800m→芝1600m | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1858年 | 格付け:GⅠ(1985年~)GⅡ(1971~84年) | 施行時期:7月第2週 | |||
仏国の伝統競走だが、やや複雑な経緯を辿って現在に至っている。創設当初は「ビエナル賞」という名称で、距離は2000mだった。そして3歳馬限定競走のビエナル賞と古馬限定競走のビエナル賞の2部構成だった。1940年に仏国の有力馬主ジャン・プラ氏が死去した事に伴い、両競走とも「ジャンプラ賞」に改名された。1961年に古馬限定競走のジャンプラ賞のほうは「ヴィコンテスヴィジェ賞」と改名され、現在は本競走とは別にGⅡ競走として施行されている。一方の3歳馬限定競走のほうは名称変更されておらず、こちらが現GⅠ競走となっている本競走である。1962年以降は距離1800mと1850mを行き来していたが、2005年に仏ダービーの距離が2400mから2100mに短縮されたのと同時にマイル戦となった。
名称:ユジェーヌアダム賞 | 英名:Prix Eugène Adam | ||||
場所:仏国・メゾンラフィット競馬場 | 距離等:芝2000m | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1893年 | 格付け:GⅡ(1971年~) | 施行時期:7月第2週 | |||
1893年に仏国の名競走馬にして名種牡馬だったモナルクを記念して「モナルク賞」という名称で創設され、1904年に死去した仏国の女性スポーツ振興に尽力したユジェーヌ・アダム氏を記念して1911年に名称変更された。当時は仏国3歳馬にとっての10ハロン路線最強馬決定戦だった。GⅠ競走に格付けられた時期は無いが、現在でも仏国夏場の重要な10ハロン戦としての地位は保っている。直線コースで施行される。
名称:パリ大賞 | 英名:Grand Prix de Paris | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝2000m→芝2400m | 出走馬:3歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1863年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:7月第3週 | |||
もともと仏国競馬界は仏国で生まれ育ったサラブレッドのみに地元の競走への出走を許可するルールがあり、英国馬が仏国の競走に出走する事は無かった。そもそも仏国と英国は100年戦争勃発前から皇帝ナポレオン1世の登場まで長年の仇敵だった。しかしクリミア戦争で共闘してロシアと戦った事もあり、表向きの関係が良化に向かうと、ナポレオン3世の異父弟でロンシャン競馬場の創設者でもあったシャルル・ド・モルニ公爵の発案により英国馬と仏国馬の対決の舞台が用意されることになり、仏国競馬史上初の国際競走として本競走が創設された。もっとも、仏国側にとっては憎き英国馬を地元馬で打ち負かす舞台として創設した本音もあったようで、英国馬に勝たれて悔しがる場面がしばしば見られた。創設当初は距離3000mであり、英国のみならず他の欧州各国からも有力馬が参戦してレベルが高い戦いが展開された。1893年に古馬混合の国際競走コンセイユミュニシパル賞(現コンセイユドパリ賞)が、1920年に凱旋門賞が創設された後も仏国最大の国際競走としての地位を保っていたが、第二次世界大戦後に凱旋門賞の格が上がると、相対的に本競走の価値は低下した。距離は1964年に3100mとなったが、1978年に再び3000mに、1987年に2000mに短縮した。2005年に仏ダービーの距離が2400mから2100mに短縮されたのと同時に距離を再び伸ばして2400mとなって現在に至る。
名称:英セントレジャー | 英名:St. Leger Stakes | ||||
場所:英国・ドンカスター競馬場 | 距離等:芝14ハロン132ヤード | 出走馬:3歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1776年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:9月第2週 | |||
単に「セントレジャー」と言った場合はこのレースのことを指すが、世界各国でこれに相当する競走が行われているため、日本では「英セントレジャー」と表記する事が多い。英国クラシック競走の1つで、5つある英国クラシック競走の中では最も創設が古い。英国三冠競走及び英国牝馬三冠競走の最終戦を兼ねている。創設当初は距離16ハロンで、1814年に14ハロン193ヤードに、1826年に現行の距離14ハロン132ヤードに、1970年に14ハロン127ヤードに、1991年に再び現行の距離となった。20世紀前半まではかなり価値が高い競走だったが、20世紀後半になって長距離戦の格が下がると英セントレジャーの権威も下がり(それと同時に英国三冠競走という路線の価値も失墜した)、現在では超一流馬が出走してくることは極めて稀である。それでもGⅠ競走の地位は堅持している。グレートヴォルティジュールS・ゴードンSなどが前哨戦として挙げられる。創設当初は正式名称が無く、1777年の会議において名称が正式に決定された。いったんは第1回優勝馬の所有者だった第2代ロッキンガム侯爵チャールズ・ワトソン・ウェントワース卿の名を冠してロッキンガムステークスという名称に決まりかけたが、当のロッキンガム侯爵が地元の有名なスポーツ愛好家であったアンソニー・セントレジャー陸軍中将の名前を冠するべきだと提案したためにこの名称になった。
名称:ニエル賞 | 英名:Prix Niel | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝2400m | 出走馬:3歳馬(騙馬不可) | |||
創設:1952年 | 格付け:GⅡ(1987年~)GⅢ(1971~86年) | 施行時期:9月第2週 | |||
前身はシャンティ賞と言い、3歳馬だけでなく古馬も出走可能な距離3100mの競走だった。1955年に凱旋門賞の前哨戦として3歳馬限定の本競走シャンティ賞と古馬混合競走のフォワ賞に分割された。そして1970年に死去した仏国の競馬当局フランス・ギャロの会長だったガストン・ニエル伯爵を記念して1972年から改名された。現在でも凱旋門賞の最重要前哨戦の1つとなっており、これを叩いて本番を勝った馬は多い。現在は凱旋門賞と全く同じコースで行われるが、1978年までは距離2200mで、それ以前にも幾度か距離の変遷があった。凱旋門賞を目標とする日本調教馬が参戦した事が何度かあり、2013年にキズナが勝利している。
3歳馬限定競走(牝馬)
名称:伊1000ギニー | 英名:Prèmio Regina Elena | ||||
場所:伊国・カパネッレ競馬場 | 距離等:芝1600m | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1907年 | 格付け:GⅢ(2007年~)GⅡ(1974~80、1988~2006年)GⅠ(1981~87年) | 施行時期:4月第4週 | |||
正式名称は「レジーナエレナ賞」だが、伊国における1000ギニーに相当するため、日本では伊1000ギニーと表記する事が多い。GⅠ競走だった時期もあるが、伊国競馬のレベルが相対的に低下を続けているために格付けが下がり、現在はGⅢ競走となっている。
名称:英1000ギニー | 英名:One Thousand Guineas Stakes(The 1000 Guineas Stakes) | ||||
場所:英国・ニューマーケット競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1814年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:5月第1週 | |||
単に「1000ギニー」と言った場合はこのレースのことを指すが、世界各国でこれに相当する競走が行われているため、日本では「英1000ギニー」と表記する事が多い。英国クラシック競走の1つで、英国牝馬三冠競走の第1戦でもある。3歳牝馬の有力マイラーにとっては最初の大目標となる。直線コースで施行される。名称は第1回における優勝賞金が1000ギニーだった事に由来するとされる。
名称:仏1000ギニー | 英名:Poule d'Essai des Pouliches | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝1600m | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1840年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:5月第2週 | |||
正式名称は「プール・デッセ・デ・プーリッシュ」だが、仏国における1000ギニーに相当するため、日本では仏1000ギニーと表記する事が多い(地元仏国の人が聞いたら怒るかもしれないが)。元々は牝馬と牡馬の混合戦として1840年に「プール・デッセ(Poule d'Essai)」という名称で創設されたものだが、1883年に牝馬限定戦の「プール・デッセ・デ・プーリッシュ」と牡馬限定戦の「プール・デッセ・デ・プーラン(仏2000ギニー)」に分割されて現在に至る。
名称:愛1000ギニー | 英名:Irish One Thousand Guineas Stakes(Irish 1000 Guineas) | ||||
場所:愛国・カラー競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1922年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:5月第4週 | |||
英1000ギニーに倣って創設された愛国版の1000ギニー。直線コースで施行される。時期的に英1000ギニーや仏1000ギニーの出走馬が次の目標とするのにちょうどよく、この2競走の上位馬による争いとなる事が多い。
名称:サンタラリ賞 | 英名:Prix Saint-Alary | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝2000m | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1960年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:5月第4週 | |||
19世紀末から20世紀初頭に活躍した仏国の名馬産家エヴレモン・ド・サンタラリ氏の功績を記念して創設された。時期的に仏1000ギニーと仏オークスの中間にあり、距離も仏オークスに近いため、GⅠ競走でありながらも仏オークスの前哨戦としての役割を果たす事が多い。
名称:独1000ギニー | 英名:Preis der Stuten(German 1000 Guineas) | ||||
場所:独国・デュッセルドルフ競馬場 | 距離等:芝1600m | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1919年 | 格付け:GⅡ(1983年~)GⅢ(1973~82年) | 施行時期:5月第5週 | |||
正式名称は「シュトゥッテン賞」だが、独国における1000ギニーに相当するため、日本だけでなく地元の独国でも独1000ギニーと表記する事が多い。なお、創設当初の正式名称は「キサスツォニーレネン」といい、1941年に「シュヴァルツゴルトレネン」、1989年に「アラク賞」、1995年に「ヘンケルレネン」、2006年に現行の名称となった。
名称:伊オークス | 英名:Oaks d'Itàlia | ||||
場所:伊国・サンシーロ競馬場 | 距離等:芝2200m | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1910年 | 格付け:GⅡ(2007年~)GⅠ(1973~2006年) | 施行時期:5月第5週 | |||
伊国のオークスで、正式名称は「オークス・ディターリャ」。1973年に伊国がグループ制度に参加してからずっとGⅠ競走だったが、伊国競馬のレベルが相対的に低下を続けているために現在はGⅡ競走となっている。創設当初は距離2200mであり、1988年にいったん2400mになったが、1995年から再び2200mに戻った。伊ダービーと開催時期がやや離れているため、今も昔も両競走に出走する馬がしばしば見られる。
名称:英オークス | 英名:The Oaks Stakes | ||||
場所:英国・エプソム競馬場 | 距離等:芝12ハロン10ヤード | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1779年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:6月第1金曜日 | |||
単に「オークス」と言った場合はこのレースのことを指すが、世界各国でこれに相当する競走が行われているため、日本では「英オークス」と表記する事が多い。また、競馬場の名を冠して「エプソムオークス」と表記する事例が日本だけでなく海外でもしばしば見られる。英国クラシック競走の1つで、英国牝馬三冠競走の第2戦でもある。世界各国で行われているオークスを名乗るレースの中では現在でもおそらく最高の地位を有している。英ダービーより1年だけ歴史が古い。距離の変遷は英ダービーと同じで、1938年に決定された現行の距離が12ハロンだったはずなのに実は10ヤード長かった経緯も同様。
名称:仏オークス | 英名:Prix de Diane | ||||
場所:仏国・シャンティ競馬場 | 距離等:芝2100m | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1841年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:6月第2週 | |||
正式名称は月の女神ディアヌにちなんだ「ディアヌ賞」だが、仏国におけるオークスに相当するため、日本では仏オークスと表記する事が多い(地元仏国の人が聞いたら怒るかもしれないが)。創設当初は2400mだった仏ダービーと異なり、こちらは創設からほぼ一貫して距離2100mである(この距離でなかったのは第二次世界大戦による代替開催の時期のみ)。そのため英国調教馬でも英オークスではスタミナ面に不安がある場合はこちらに矛先を向けてくる場合が以前からしばしば見られる。
名称:コロネーションS | 英名:Coronation Stakes | ||||
場所:英国・アスコット競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1840年 | 格付け:GⅠ(1988年~)GⅡ(1971~87年) | 施行時期:6月第3週 | |||
ロイヤルアスコット開催における4日目の主要競走。1837年の英国ヴィクトリア女王の即位を記念してその3年後に創設された。名称は英語で「戴冠」という意味で、1949年の凱旋門賞優勝馬コロネーションとは全く関係ない。英1000ギニー・仏1000ギニー・愛1000ギニーの勝ち馬や上位馬が一堂に会する事が多く、3歳牝馬マイラーの最強馬決定戦と言える。以前はサンダウンパーク競馬場で1953年創設の同名の別競走が行われており、当該競走が1973年にブリガディアジェラードSと改名されるまではしばしば混同された。
名称:愛オークス | 英名:Irish Oaks | ||||
場所:愛国・カラー競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1895年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:7月第3週 | |||
英オークスに倣って創設された愛国版のオークス。英オークスと英ダービーの間隔と比べると、本競走と愛ダービーの間隔はやや開いているが、それでも両方出るのは過密日程である。時期的に英オークスや仏オークスの出走馬が次の目標とするのにちょうどよく、この2競走の上位馬による争いとなる事が多い。なお、創設当初は距離8ハロンであり、現行の距離になったのは1915年から。
名称:独オークス | 英名:Preis der Diana | ||||
場所:独国・ハンブルグ競馬場 | 距離等:芝2200m | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1857年 | 格付け:GⅠ(2001年~)GⅡ(1973~2000年) | 施行時期:8月第1週 | |||
正式名称は月の女神ディアナにちなんだ「ディアナ賞」だが、独国におけるオークスに相当するため、日本では独オークスと表記する事が多い。他の欧州競馬主要国ではダービーとオークスの時期が接近しており両方に1頭の馬が出走する事例は滅多に無いが、この独オークスは独ダービーと施行時期が1か月ほど離れているため、両競走に出走する牝馬が時々見受けられる。創設当初は距離2000mで、1973年に2100m、1977年から現行の距離になっている。
古馬出走可能競走(短距離~マイル路線)
名称:ロッキンジS | 英名:Lockinge Stakes | ||||
場所:英国・ニューベリー競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1958年 | 格付け:GⅠ(1995年~)GⅡ(1971~82、1985~94年)GⅢ(1983・84年) | 施行時期:5月第3土曜日 | |||
欧州における古馬出走可能なマイルのGⅠ競走の中ではシーズン最初に行われる。以前は3歳馬も出走可能だったが、1995年から古馬限定戦になった。直線コースで施行される。「ロッキンジ」とはニューベリー競馬場の北側の地区名。
名称:カルロヴィッタディーニ賞 | 英名:Premio Carlo Vittadini | ||||
場所:伊国・サンシーロ競馬場 | 距離等:芝1600m | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1954年 | 格付け:GⅡ(1973~76、1988年~)GⅠ(1977~87年) | 施行時期:6月第1週 | |||
伊国上半期の最強マイラー決定戦。創設当初は「エミリオトゥラティ賞」という名称だったが、2007年に伊国の有力馬主カルロ・ヴィッタディーニ氏が死去したため、翌年から現在の名称となった。
名称:クイーンアンS | 英名:Queen Anne Stakes | ||||
場所:英国・アスコット競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1840年 | 格付け:GⅠ(2003年~)GⅡ(1984~2002年)GⅢ(1971~83年) | 施行時期:6月第3週 | |||
ロイヤルアスコット開催の初日に行われる。GⅠ競走になったのは2003年だが、創設自体は非常に古く、GⅠ競走になる前から英国においては最も重要な古馬マイル競走の1つだった。なお、アスコット競馬場が設立された当時の英国アン女王の名を冠して現在の名称になったのは1930年の事で、それ以前は「トライアルS」と呼んでいた。2002年までは3歳馬も出走可能だったが、現在は古馬限定戦になっている。直線コースで施行される。
名称:キングズスタンドS | 英名:King's Stand Stakes | ||||
場所:英国・アスコット競馬場 | 距離等:芝5ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1860年 | 格付け:GⅠ(1973~86年、2008年~)GⅡ(1971・72、1987~2007年) | 施行時期:6月第3週 | |||
ロイヤルアスコット開催の初日に行われる。いったんGⅠ競走に格付けられながらGⅡ競走に降格になっていた時期こそあるが、その時期であっても英国における最も重要な短距離戦の1つである事には変わりが無かった。直線コースで施行される。創設当初は「クイーンズスタンドプレート」という名称で、1901年の英国王エドワードⅦ世の即位に伴い「キングズスタンドプレート」と改名され、1952年にエリザベスⅡ世女王陛下の即位に伴い現在の名称になった。
名称:ダイヤモンドジュビリーS | 英名:Diamond Jubilee Stakes | ||||
場所:英国・アスコット競馬場 | 距離等:芝6ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1868年 | 格付け:GⅠ(2002年~)GⅡ(1998~2001年)GⅢ(1971~97年) | 施行時期:6月第2週 | |||
ロイヤルアスコット開催における5日目の主要競走。直線コースで施行される。創設当初は「オールエイジドS」という名称で、その名のとおり2歳馬も出走可能だった。1926年に英王室の馬部門を統括していた第9代コーク伯爵に敬意を表して「コーク&オラリーオールエイジドS」という名称になり、1937年に2歳馬が出走不可になると同時に「コーク&オラリーS」に改名された。そして2002年に英国エリザベスⅡ世女王陛下の即位50周年を記念して「ゴールデンジュビリーS」と改名されると同時にGⅠ競走に格付けられた。2012年にエリザベスⅡ世女王陛下の即位60周年を記念して現在の名称となった。2014年までは3歳馬も出走可能だったが、3歳馬限定短距離GⅠ競走コモンウェルスCの創設に伴い2015年から古馬限定戦となった。
名称:ジュライC | 英名:July Cup Stakes | ||||
場所:英国・ニューマーケット競馬場 | 距離等:芝6ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1876年 | 格付け:GⅠ(1978年~)GⅡ(1971~77年) | 施行時期:7月第2週 | |||
英国のみならず欧州全体における最も重要な短距離戦の1つ。直線コースで施行されるが、同じニューマーケット競馬場の直線コースで施行される英1000ギニーや英2000ギニー等と異なり、夏の期間だけ使用されるジュライコースという専用の直線コースで施行される。2000年にアグネスワールドが勝利を収め、日本調教馬として史上初の英国GⅠ競走制覇を達成した。
名称:サセックスS | 英名:Sussex Stakes | ||||
場所:英国・グッドウッド競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1841年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:7月第5週 | |||
英国で最も重要なマイル戦の1つで、古馬出走可能な英国のマイル競走としては唯一1971年のグループ制度導入と同時にGⅠ競走に格付けられた。創設当初は6ハロン戦であり、マイル戦になったのは1878年である。また、創設当初は3歳馬限定戦だったが、1960年から4歳馬にも開放され、1975年から5歳以上の馬にも開放された。欧州各国の1000ギニー・2000ギニーやセントジェームズパレスS・コロネーションSを勝ってきた馬の次の目標にしやすい時期に行われるため、3歳の有力マイラーにとって最初の一流古馬との対戦の舞台になる事が多い。
名称:モーリスドギース賞 | 英名:Prix Maurice de Gheest | ||||
場所:仏国・ドーヴィル競馬場 | 距離等:芝1300m | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1922年 | 格付け:GⅠ(1995年~)GⅡ(1973~94年) | 施行時期:8月第2週 | |||
仏国夏場の最重要短距離戦。1920年に死去したドーヴィル競馬協会の会長モーリス・ド・ギース氏を記念して翌々年に創設された。直線コースで施行される。創設当初は距離1400mだったが、1966年に現在の距離となった。以前は騙馬出走不可だったが、1994年にGⅠ競走に昇格すると同時に騙馬も出走可能となった。1998年にシーキングザパールが勝って日本調教馬初の海外国際GⅠ競走制覇を果たした事で、本競走は日本で一躍有名になった。
名称:ジャックルマロワ賞 | 英名:Prix Jacques le Marois | ||||
場所:仏国・ドーヴィル競馬場 | 距離等:芝1600m | 出走馬:3歳以上(騙馬不可) | |||
創設:1921年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:8月第3週 | |||
1920年に死去したドーヴィル競馬協会の会長ジャック・ル・マロワ侯爵を記念して翌年に創設された、仏国夏場の最重要マイル競走。創設当初は3歳馬限定戦で、1953年から古馬も出走可能になった。仏1000ギニーや仏2000ギニーを勝ってきた地元仏国の有力3歳マイラーにとっては、古馬の有力マイラーとの初対決の場となる事が多い。直線コースで施行される。1986年から、仏国の伝統牧場フレネー・ル・ビュファール牧場がスポンサーになっている。1998年にタイキシャトルが勝ち、前週のモーリスドギース賞を勝ったシーキングザパールに続く日本調教馬による海外国際GⅠ競走制覇を果たした事で、本競走は日本でも一躍有名になった。
名称:ナンソープS | 英名:Nunthorpe Stakes | ||||
場所:英国・ヨーク競馬場 | 距離等:芝5ハロン | 出走馬:2歳以上 | |||
創設:1903年 | 格付け:GⅠ(1984年~)GⅡ(1971~83年) | 施行時期:8月第4週 | |||
ヨーク競馬場のエボア開催における3日目の主要競走。直線コースで施行される。現在でも2歳馬が出走可能という特徴がある。欧州の2歳馬限定GⅠ競走は全て騙馬出走不可であるため、2歳騙馬が出走可能な欧州のGⅠ競走はこのレースとアベイドロンシャン賞の2つのみである。「ナンソープ」とはヨーク競馬場の北にある町の名前。1976~89年までは英国のブックメーカー・ウィリアムヒル社がスポンサーであり、この期間は「スプリントチャンピオンシップ(スプリントCS)」という名称で施行されたため、同じく英国の重要な短距離戦であるスプリントCと混同される場合がしばしばあった。
名称:セレブレーションマイル | 英名:Celebration Mile | ||||
場所:英国・グッドウッド競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1967年 | 格付け:GⅡ(1971年~) | 施行時期:8月第4週 | |||
創設当初の名称は「ウィルズマイル」で、1971年に「グッドウッドマイル」に、1975年に「クリスタルマイル」と改称され、1989年に現行の名称となった。1971年のグループ制度創設から一貫してGⅡ競走としている資料が多いが、資料によってはGⅢ競走だった時期があるとなっている。いずれにしてもGⅠ競走だった時期は無いため、この競走を目標に据える一流馬はまずおらず、この後に控えているクイーンエリザベスⅡ世Sの前哨戦として位置付けられている。実際にここを叩いてクイーンエリザベスⅡ世Sを勝った馬は多く、クイーンエリザベスⅡ世Sの最重要前哨戦であると言える。
名称:スプリントC | 英名:Sprint Cup Stakes | ||||
場所:英国・ヘイドックパーク競馬場 | 距離等:芝6ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1966年 | 格付け:GⅠ(1988年~)GⅡ(1971~87年) | 施行時期:9月第1週 | |||
英国の名物馬主だったロバート・サングスター氏の提案により創設された英国の重要な短距離戦。以前は11月に施行されていたが、1980年から9月開催になった。1979年までは2歳馬も出走可能で、1989~93年にも2歳馬出走可能な時期があった。開催時期が変更される前は英国短距離路線を締めくくる重要競走だった。現在は英チャンピオンズスプリントSにその地位を取られているが、英国の重要な短距離競走であることには変わりが無い。海外では競馬場の名を冠して「ヘイドックスプリントC」と呼称されることがある。
名称:ムーランドロンシャン賞 | 英名:Prix du Moulin de Longchamp | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝1600m | 出走馬:3歳以上(騙馬不可) | |||
創設:1957年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:9月第2週 | |||
1957年にロンシャン競馬場開場100周年を記念してアベイドロンシャン賞と共に創設された、仏国最強マイラー決定戦。当初はアベイドロンシャン賞と同じく凱旋門賞と同日に施行されていたが、1974年に施行時期が前倒しされた。「ムーラン」は「風車」という意味で、ロンシャン競馬場のスタート地点の近くに存在する名物の風車に由来する名称である。
名称:ヴィットーリオディカープア賞 | 英名:Premio Vittorio di Capua | ||||
場所:伊国・サンシーロ競馬場 | 距離等:芝1600m | 出走馬:3歳以上(騙馬不可) | |||
創設:1980年 | 格付け:GⅠ(1989年~)GⅡ(1980~88年) | 施行時期:9月第4週 | |||
伊国下半期の最強マイラー決定戦。名称はサンシーロ競馬場の代表者だったヴィットーリオ・ディ・カープア氏にちなんでおり、彼が誘拐されて殺害されたために彼の功績を記念して創設された。
名称:アベイドロンシャン賞 | 英名:Prix de l'Abbaye de Longchamp | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝1000m | 出走馬:2歳以上 | |||
創設:1957年 | 格付け:GⅠ(1976年~)GⅡ(1971~75年) | 施行時期:10月第1日曜日 | |||
凱旋門賞と同日に施行される、仏国短距離路線の最強馬決定戦。1957年にロンシャン競馬場開場100周年を記念してムーランドロンシャン賞と共に創設された。「アベイ」は「修道院」の意味で、ロンシャン競馬場の北側にかつて13世紀創設の由緒ある女子修道院があった事に由来する。直線コースで施行される。現在でも2歳馬が出走可能という特徴がある。以前は騙馬出走不可だったが、2001年から出走可能となった。欧州の2歳馬限定GⅠ競走は全て騙馬出走不可であるため、2歳騙馬が出走可能な欧州のGⅠ競走はこのレースとナンソープSの2つのみである。1999年に日本調教馬のアグネスワールドが勝った事で、日本でも本競走は一躍有名になった。
名称:フォレ賞 | 英名:Prix de la Forêt | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝1400m | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1858年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:10月第1日曜日 | |||
当初は2・3歳馬限定戦として創設された仏国でも有数の歴史ある短距離戦。1878年から古馬も、2001年から騙馬も出走可能になったが、逆に1995年から2歳馬は出走不可となった。「フォレ」とは「森」の意味で、創設当初に施行されていたシャンティ競馬場が森で有名だった事に由来する。距離1400mという、マイル戦と短距離戦の中間に位置するため、両方の有力馬が出走してくる可能性があるが、逆に距離が中途半端なためか無視される事も以前は少なくなかった。しかし最近はかなり有力馬が出てくるようになった。以前は凱旋門賞より少し後に施行されていたが、現在は同じ日に施行される。創設当初は距離2100mで、1878年から1600m、1923年から現在の距離になっている。
名称:クイーンエリザベスⅡ世S | 英名:Queen Elizabeth II Stakes | ||||
場所:英国・アスコット競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1947年 | 格付け:GⅠ(1987年~)GⅡ(1971~86年) | 施行時期:9月第4週→10月第3週 | |||
英国下半期の最強マイラー決定戦。GⅠ競走になったのは1987年だが、それ以前から英国では最も重要な古馬マイル競走の1つであり、このレースを完勝した馬には高いレーティングが与えられる場合が多い。2011年に英チャンピオンズデイが創設されて本競走もその一環となったのに伴い、施行時期が以前の9月第4週頃より約1か月遅くなり、直線コースで施行されるようになり、賞金額も大幅に増額された。創設当初は「ナイツロイヤルS」という名称で、現在の名称になったのはエリザベスⅡ世女王陛下の即位から3年が経過した1955年から。
名称:英チャンピオンズスプリントS | 英名:British Champions Sprint Stakes | ||||
場所:英国・アスコット競馬場 | 距離等:芝6ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1946年 | 格付け:GⅠ(2015年~)GⅡ(1996~2014年)GⅢ(1971~95年) | 施行時期:10月第3週 | |||
創設当初は、短距離路線で大活躍した名牝ダイアデムの名を冠した「ダイアデムS」という名称だった。2011年に英チャンピオンズデイが創設されると本競走もその一環となり、同年に現行名に改称された。2015年にGⅠ競走に昇格し、英国短距離路線を締めくくる重要な競走となった。直線コースで施行される。
古馬出走可能競走(10~12ハロン路線)
名称:ガネー賞 | 英名:Prix Ganay | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝2100m | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1889年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:4月第5週 | |||
欧州の平地競馬においてはシーズン最初のGⅠ競走であり、とりあえずこのレースをシーズン最初の目標とする有力馬も少なくない。1948年までは「サブロン賞」という名称だったが、同年に死去した仏国の貴族で競馬界の有力なパトロンでもあったジャン・ド・ガネー侯爵を記念して翌年から改名された。創設当初は距離2000mで、現行の距離になったのは1970年から。
名称:伊共和国大統領賞 | 英名:Premio Presidente della Repubblica | ||||
場所:伊国・カパネッレ競馬場 | 距離等:芝2000m | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1879年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:5月第2週 | |||
伊国においてはシーズン最初の古馬GⅠ競走。創設当初の距離は3500mで、1882年に距離が2400mに短縮され、その後の何度かの変遷を経て1968年から現行の距離になっている。最初は「オムニウム賞」という名称だったが、1956年にイタリア共和国の建国10周年を記念して改名された。1987年までは3歳馬も出走可能だった。
名称:イスパーン賞 | 英名:Prix d'Ispahan | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝1850m | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1873年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:5月第4週 | |||
仏国の古馬出走可能な競走としては最も歴史が古いものの1つで、かなりの伝統競走。ペルシア(ガージャール朝)の君主ナーセロッディーン・シャー帝が仏国を公式訪問した際に創設されたため、ペルシアの首都だったエスファハーン(仏語読みでイスパーン)にちなんで命名された。マイラーにとっては距離が微妙に長いが、仏国ではこの時期に古馬出走可能なマイルのGⅠ競走が無いため、有力マイラーが出走してくる場合も多い。同時に10ハロン路線の有力馬が出走してくることも多いため、レベルが高い戦いが展開されることが多い。距離にはかなり変遷があり、創設当初は距離3000mで、その後1850~2400mの間で距離を行き来して、1945年から現在の1850mに落ち着いた。1987年までは3歳馬も出走可能だった。2000年までは騙馬出走不可だったが、2001年から出走可能になった。
名称:タタソールズ金杯 | 英名:Tattersalls Gold Cup | ||||
場所:愛国・カラー競馬場 | 距離等:芝10ハロン110ヤード | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1962年 | 格付け:GⅠ(1999年~)GⅡ(1971~98年) | 施行時期:5月第4週 | |||
愛国10ハロン路線の最強古馬決定戦だったが、1999年にGⅠ競走に昇格して以降は地元愛国だけでなく欧州各国から10ハロン路線の有力馬が参戦してくるようになった。創設当初は名馬バリモスの名を冠して「バリモスS」と呼称し、1984年に愛国の有力馬主ロジャーズ一族の名を冠して「ロジャーズ金杯」と改称。世界最古の競走馬競売会社タタソールズ社がスポンサーになったため、1993年に現在の名称に改名された。現行の距離になったのは1998年で、それまでは距離10ハロンだった。
名称:コロネーションC | 英名:Coronation Cup Stakes | ||||
場所:英国・エプソム競馬場 | 距離等:芝12ハロン10ヤード | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1902年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:6月第1土曜日 | |||
英ダービーと同日、英オークスの前日に、この2競走と全く同じコースで行われる(2011年までは英オークスと同日だった)。欧州12ハロン路線の有力馬が参戦してくる。距離は英ダービーや英オークスと同様に変遷しており、12ハロンだとされていたのが実は12ハロン10ヤードだった経緯も同じ。19世紀まで「エプソム金杯」という名称のレースが存在しており、それが前身と言える。1901年に英国王エドワードⅦ世が即位した記念に翌年に改めて創設された。名称は英語で「戴冠」という意味で、1949年の凱旋門賞優勝馬コロネーションとは全く関係ない。
名称:プリンスオブウェールズS | 英名:Prince of Wales's Stakes | ||||
場所:英国・アスコット競馬場 | 距離等:芝10ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1862年 | 格付け:GⅠ(2000年~)GⅡ(1971~99年) | 施行時期:6月第3週 | |||
ロイヤルアスコット開催における2日目の主要競走で、欧州10ハロン路線の有力馬が参戦してくる。創設当初は距離13ハロンだったが第二次世界大戦の影響で1939年にいったん休止され、1968年に現チャールズ皇太子が叙任されたのを機に復活した際に10ハロンとなった。なお、英国では19世紀まで同名の「プリンスオブウェールズS」という競走が各地で行われていたが、それと本競走とは直接の関係は無い。
名称:ハードウィックS | 英名:Hardwicke Stakes | ||||
場所:英国・アスコット競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1879年 | 格付け:GⅡ(1971年~) | 施行時期:6月第3週 | |||
ロイヤルアスコット開催の5日目に施行される英国の伝統競走。英王室の馬部門を統括していた第5代ハードウィック子爵チャールズ・ヨーク卿に敬意を表して創設された。当初は3歳馬も出走可能だった。20世紀初頭まではかなり格が高い競走であり、英国のみならず欧州各国から有力馬が集っていた。現在はそこまでの格は無く、同コースで施行されるキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSの前哨戦としての意味合いが強くなっている。
名称:ミラノ大賞 | 英名:Gran Premio di Milano | ||||
場所:伊国・サンシーロ競馬場 | 距離等:芝2400m | 出走馬:3歳以上(騙馬不可) | |||
創設:1889年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:6月第3週 | |||
伊国上半期における最強馬決定戦。創設当初は距離3000mだったが、何度かの変遷を経て1974年からは現行の距離になっている。
名称:サンクルー大賞 | 英名:Grand Prix de Saint-Cloud | ||||
場所:仏国・サンクルー競馬場 | 距離等:芝2400m | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1904年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:6月第4週 | |||
仏国上半期における最強古馬決定戦。もっとも、2004年までは3歳馬も出走可能だった。元々は「仏共和国大統領賞」という名称で、開催場所もメゾンラフィット競馬場だったが、1941年に現在の名称に改名された。創設当初は距離2500mだったが、1987年から現行の距離になった。1999年に日本から遠征したエルコンドルパサーが勝ち、日本調教馬として史上初となる距離10ハロン以上の欧州GⅠ競走制覇を達成した事で、日本でも本競走は一躍有名になった。
名称:エクリプスS | 英名:Eclipse Stakes | ||||
場所:英国・サンダウンパーク競馬場 | 距離等:芝10ハロン7ヤード | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1886年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:7月第1土曜日 | |||
欧州上半期における10ハロン路線の最強馬決定戦。3歳馬にとっては初の一流古馬との対戦になる事も多い。英ダービー・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS・凱旋門賞の3競走が欧州最大の競走として認知されているが、それはあくまでも12ハロン路線の話であり、10ハロン路線が重視されるようになった近年においては本競走の価値はそれらに匹敵すると言える。1886年にロスチャイルド一族の支援を受けて、英国初の賞金1万ポンド競走として創設された。名称は18世紀の英国の名馬エクリプスに由来する。創設当初は3・4歳馬限定戦であり、5歳以上の馬が出走可能になったのは1969年から。1976年から英国のブックメーカー・コーラル社がスポンサーになっているため、「コーラルエクリプスS」と呼称されることもある。
名称:キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS | 英名:King George VI & Queen Elizabeth Stakes | ||||
場所:英国・アスコット競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1951年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:7月第4週 | |||
欧州上半期における12ハロン路線の最強馬決定戦で、英ダービー・凱旋門賞と共に12ハロン路線における欧州競馬の最高峰競走の1つであると言える。3歳馬にとっては初の一流古馬との対戦になる事も多い。1946年に創設されたキングジョージⅥ世S(10月施行で距離16ハロンの3歳馬限定戦)と、1948年に創設されたクイーンエリザベスS(7月施行で距離12ハロンの古馬混合戦)が前身となっている。1951年、英王室からアスコット競馬場の管理を任されていたジョン・クロッカー・ブルティール氏の発案により大英博覧会100周年記念行事として2競走が統合されることにより改めて創設された。前身の2競走と同様に名称は当時の英国王ジョージⅥ世夫妻(現英国エリザベスⅡ世女王陛下の両親)に由来する。しかし名称が長いため日本でも海外でもしばしば省略されて「キングジョージ」と呼称される。1972年からしばらく世界的なダイヤモンド会社デビアスがスポンサーだったため、1975年からは「キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスダイヤモンドS(この名馬列伝集ではキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDSと記載)」と呼称されたが、2006年を最後にデビアスがスポンサーを降りたため、現在はダイヤモンドの文字は外れている。現在はデビアスに代わって英国のブックメーカー・ベットフェア社がスポンサーとなっており、英ダービーや英チャンピオンSなどと並んで英国屈指の高額賞金平地競走の地位を保っている。
名称:ベルリン大賞 | 英名:Großer Preis von Berlin | ||||
場所:独国・ホッペガルテン競馬場 | 距離等:芝2400m | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1888年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:7月第4週 | |||
独国上半期における最強馬決定戦。創設当初は距離2000mだったが、2200m、2400m、2600mなど何度かの変遷を経て1965年からは現行の距離になっている。あと、レース名の変遷が激しく、創設当初は「ベルリン大賞」、1947年からは「ノルトラインヴェストファーレン大賞」、1977年からは再び「ベルリン大賞」、1989年からは「ベルリン銀行大賞」、1992年からは「メルクフィンク銀行賞」、1996年から「ドイツ賞」、2011年から三度「ベルリン大賞」に戻って現在に至っている。
名称:バイエルンツフトレネン(ダルマイヤー大賞) | 英名:Bayerisches Zuchtrennen(Grosser Dllmayr-Preis) | ||||
場所:独国・ミュンヘン競馬場 | 距離等:芝2000m | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1866年 | 格付け:GⅠ(1990年~)GⅡ(1985~89年)GⅢ(1973~84年) | 施行時期:8月第1週 | |||
独国の10ハロン路線における最強馬決定戦。ただし創設当初は距離2400mであり、一時的に距離が2000mに短縮された時期もあったが、完全に現行の距離で固定されたのは1985年からである。また、当初は3歳馬限定戦で、古馬混合戦となったのも1985年から。「バイエルンツフトレネン」が正式名称だが、コーヒー会社のダルマイヤー社がスポンサーとなった1996年以降は「ダルマイヤー大賞」という名称でも呼ばれるようになった。なお、1990~92年の3年間だけはメルセデスベンツ社がスポンサーだったため、「メルセデスベンツ大賞」とも呼ばれていた。
名称:英国際S(英インターナショナルS) | 英名:International Stakes | ||||
場所:英国・ヨーク競馬場 | 距離等:芝10ハロン88ヤード | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1972年 | 格付け:GⅠ(1972年~) | 施行時期:8月第4週 | |||
単に「インナーナショナルステークス」と言った場合はこのレースのことを指すが、世界各国で同名の競走が行われているため、日本では「英インナーナショナルS」と表記する事が多い。ヨーク競馬場のエボア開催における初日の主要競走で、欧州10ハロン路線の有力馬が参戦してくる。創設当初は距離10ハロン110ヤードで、1991年に10ハロン85ヤードに、2003年に現行の距離になった。1972年に創設された当時は英国のタバコ会社ベンソン&ヘッジス社がスポンサーだったため、「ベンソン&ヘッジス金杯」と呼称されたが、1986年から現在の名称となっている。なお、1986・87年のみ競走馬競売会社マッチメーカー社がスポンサーだったためこの2年間は「マッチメーカー国際S」と表記されることもある。1989年以降は馬産団体ジュドモントファームがスポンサーなので、「ジュドモント国際S」と表記されることもある。
名称:ドーヴィル大賞 | 英名:Grand Prix de Deauville | ||||
場所:仏国・ドーヴィル競馬場 | 距離等:芝2500m | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1866年 | 格付け:GⅡ(1971年~) | 施行時期:8月第5週 | |||
仏国の伝統競走。創設当初は仏国調教馬限定戦で、名称も「ドーヴィル賞」だった。1871年に現在の名称に改名され、翌1872年から国際競走となった。ハンガリーの名牝キンチェムも英国でグッドウッドCに出走した次走として本競走を選択しており、その当時は今日で言うGⅠ競走級の格を有していたようである。現在はそこまでの格は無く、1971年のグループ制度導入以後にGⅠ競走に格付けられたことは無いが、ちょうど仏国12ハロン路線におけるGⅠ競走が無い時期に施行されるため、一流馬が参戦してくる事例はしばしば見られる。創設当初は距離2400mで、1886年に2500m、1903年に2600m、1973年に2700mと徐々に距離が伸びていったが、1990年に距離2500mに短縮されて現在に至る。
名称:バーデン大賞 | 英名:Grosser Preis von Baden | ||||
場所:独国・バーデンバーデン競馬場 | 距離等:芝2400m | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1858年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:9月第1週 | |||
独国下半期における最強馬決定戦であるだけでなく、独国の競走としてはおそらく最も国際的価値が高く、その歴史も古い。創設当初は距離3200mで、1887年に2800mに、1894年に2200mに、1898年に2400mになって現在に至る。20世紀前半までは現在以上に国際的価値が高いレースで、凱旋門賞が創設当初から距離2400mなのは本競走を参考にしたためでもあるらしい。2003年のみ自動車会社のブガッティ社がスポンサーだったため「ブガッティ大賞」と呼称されたが、翌年にブガッティ社の親会社フォルクスワーゲンがスポンサーになると元の名称に戻った。
名称:愛チャンピオンS | 英名:Irish Champion Stakes | ||||
場所:愛国・レパーズタウン競馬場 | 距離等:芝10ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1976年 | 格付け:GⅠ(1976年~) | 施行時期:9月第2週 | |||
愛国10ハロン路線の最強馬決定戦だが、地元愛国だけでなく欧州各国から10ハロン路線の有力馬が参戦してくる。創設当初は愛国の政治家で有力馬主でもあったジョー・マクグラス氏の名を冠して「ジョーマクグラス記念S」と呼称した。1984年に改名されたが、同競走が当時施行されていたフェニックスパーク競馬場の名を冠した「フェニックスチャンピオンS」というのが正式名称だった(この名馬列伝集ではこの時期も愛チャンピオンSと表記)。現在の名称になったのはフェニックスパーク競馬場が閉鎖されて施行場所がレパーズタウン競馬場に変更された1991年から。
名称:フォワ賞 | 英名:Prix Foy | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝2400m | 出走馬:3歳以上(騙馬不可) | |||
創設:1955年 | 格付け:GⅡ(1998年~)GⅢ(1971~97年) | 施行時期:9月第2週 | |||
1955年に凱旋門賞の前哨戦として創設され、現在でも凱旋門賞の最重要前哨戦の1つとなっているが、凱旋門賞の斤量が3歳馬に有利であるためか、3歳馬限定戦であるニエル賞と比べるとこれを叩いて本番を勝った馬は少ない。名称は1954年に死去したアンリ・フォワ男爵に由来しており、創設当初は「アンリフォワ賞」という名称で、1969年に現在の名称となった。現在は凱旋門賞と全く同じコースで行われるが、創設当初は距離2300mで、1961年に2200mに変更され、現在の距離になったのは1978年。凱旋門賞を目標とする日本調教馬の参戦もしばしば見られ、1999年にエルコンドルパサーが、2012・13年にオルフェーヴルが勝利を収めている。
名称:オイロパ賞 | 英名:Preis von Europa | ||||
場所:独国・ケルン競馬場 | 距離等:芝2400m | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1963年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:9月第4週 | |||
以前は独国におけるシーズン最後の平地GⅠ競走だったが、バイエルン大賞の開催時期がずらされたためその地位は失った。開催場所も距離も名称も創設から全く変更されていないという点で、逆に貴重な存在。
名称:凱旋門賞 | 英名:Prix de l'Arc de Triomphe | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝2400m | 出走馬:3歳以上(騙馬不可) | |||
創設:1920年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:10月第1日曜日 | |||
欧州下半期における12ハロン路線の最強馬決定戦で、英ダービー・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSと共に欧州12ハロン路線の最高峰競走の1つと言えるだけでなく、12ハロン路線においては間違いなく世界最高峰の競走でもある。そのため欧州だけでなく日本など世界各国から頻繁に参戦があるが、2015年時点で欧州調教馬以外が勝った事例は無く、日本調教馬は2着4回とあと一歩届いていない。1920年に第一次世界大戦で荒廃した仏国競馬の復興を目的として創設された。第一次世界大戦の戦勝パレードが創設前年にエトワール凱旋門において行われたため、その名が競走名に冠された。創設当初は現在ほどの格は無くパリ大賞やコンセイユミュニシパル賞(現コンセイユドパリ賞)のほうが国際競走としては格上だったが、1949年に賞金総額が大幅に増やされると欧州中から有力馬が集結するようになり、現在の地位を確立するに至った。現在でも欧州の平地競走としては最高賞金額を誇っている。時期的には3歳馬と古馬の能力差がかなり縮まってくる頃なのだが、その割には3歳馬の斤量が優遇されている(本来は2kg程度が妥当な時期なのに3.5kg差ある)ため、古馬より3歳馬が勝つ事のほうが多い。あと、牝馬の活躍も目立つが、他の大競走に比べて牝馬の斤量が特に優遇されているわけではなく、牝馬が活躍する理由は筆者にはよく分からない。
名称:英チャンピオンS | 英名:Champion Stakes | ||||
場所:英国・ニューマーケット競馬場→アスコット競馬場 | 距離等:芝10ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1877年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:10月第3週 | |||
単に「チャンピオンステークス」と言った場合はこのレースのことを指すが、世界各国で同名の競走が行われているため、日本では「英チャンピオンS」と表記する事が多い。欧州下半期における10ハロン路線の最強馬決定戦。前後の時期に凱旋門賞や米国のブリーダーズカップがあるため、12ハロン路線の有力馬は参戦しない事も多いが、近年は重要視されている10ハロン路線における最重要競走の1つであり、賞金も英国の平地競走としては英ダービーやキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSとためを張れるほど屈指の高さを誇る。創設から2010年まで一貫してニューマーケット競馬場で施行されていたが、2011年に英チャンピオンズデイが創設されると本競走もその一環となった事に伴い、開催場所がアスコット競馬場に移された。
名称:伊ジョッキークラブ大賞 | 英名:Gran Premio del Jockey Club | ||||
場所:伊国・サンシーロ競馬場 | 距離等:芝2400m | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1921年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:10月第3週 | |||
伊国下半期における最強馬決定戦。2003年から騙馬も出走可能になっている。創設当初は距離1800mだったが、1926年に2000mに、1928年からは現行の距離になっている。
名称:バイエルン大賞 | 英名:Großer Preis von Bayern | ||||
場所:独国・ケルン競馬場→ミュンヘン競馬場 | 距離等:芝2400m | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1957年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:11月第1週 | |||
以前は8月に施行されていた独国夏場の12ハロン路線の有力競走だったが、2014年から開催時期が11月に変更された。創設当初は「アラルポカル」という名称で、長らくこの名称で親しまれてきたが、1998年にガス会社エールトガス社がスポンサーになると「エールトガス大賞」と、2001年にスイス個人銀行がスポンサーになると「スイス個人銀行ポカル(又はスイス個人銀行の頭文字からCSPBポカル)」と、2004年にケルン銀行がスポンサーになると「ラインラントポカル」と呼称された。現在の名称となったのは2012年から。なお、当初はゲルセンキルヘン競馬場で施行されていたが、同競馬場が経営難で閉鎖されたために2001年からケルン競馬場で、2012年からミュンヘン競馬場で施行されるようになっている。
名称:ローマ賞 | 英名:Premio Roma | ||||
場所:伊国・カパネッレ競馬場 | 距離等:芝2000m | 出走馬:3歳以上(騙馬不可) | |||
創設:1911年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:11月第1週 | |||
伊国のみならず欧州全体においてもシーズン最後の平地GⅠ競走の1つ。創設当初は距離2700mだったが、何度かの変遷を経て1988年からは現行の距離になっている。
古馬出走可能競走(超長距離路線)
名称:アスコット金杯 | 英名:Gold Cup Stakes | ||||
場所:英国・アスコット競馬場 | 距離等:芝20ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1807年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:6月第3週 | |||
ロイヤルアスコット開催における3日目の主要競走で、欧州超長距離路線の古馬最強馬決定戦。正式名称は「ゴールドカップ」だが、世界各国でゴールドカップ(金杯)というレースが行われているため、区別するために日本のみならず海外でもアスコットを頭に付する場合が多い。当時のロシア皇帝ニコライⅠ世の来場を機に1845年から1853年までは「ロシア皇帝プレート」という名称だったが、クリミア戦争で英国とロシアが敵対関係になったために元の名称に戻されている。現在は古馬限定戦だが、以前は3歳馬も出走可能な時期があった。グッドウッドC・ドンカスターCと共に英国長距離カップ三冠競走を形成する競走でもある。19世紀までは間違いなく英国古馬戦線における最高峰の競走だったが、20世紀に入って長距離戦の格が下がると本競走の価値も下がった。それでも英国の古馬超長距離競走としては唯一のGⅠ競走としての地位は保ち続けている。当初は騙馬出走不可だったが、現在は出走可能になっている。
名称:グッドウッドC | 英名:Goodwood Cup | ||||
場所:英国・グッドウッド競馬場 | 距離等:芝16ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1812年 | 格付け:GⅡ(1971~84、1995年~)GⅢ(1985~94年) | 施行時期:7月第5週 | |||
英国の伝統長距離競走。アスコット金杯・ドンカスターCと共に英国長距離カップ三冠競走を形成する競走でもある。20世紀初頭まではかなり格が高い競走で、英国のみならず欧州各国から有力馬が集い、ハンガリーの名牝キンチェムもはるばるこの競走を目指して遠征してきたほどだった。しかし長距離戦の格が失墜すると本競走の価値も下がり、1971年のグループ制度導入以降にGⅠ競走に位置付けられたことは無い。創設当初は距離24ハロンだったが、1813年に21ハロン、1990年に20ハロン、さらに翌1991年に16ハロンに短縮された。
名称:愛セントレジャー | 英名:Irish St. Leger | ||||
場所:愛国・カラー競馬場 | 距離等:芝14ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1915年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:9月第2週 | |||
英セントレジャーに倣って創設された愛国版のセントレジャー。当初は3歳馬限定競走で騙馬出走不可だったが、長距離戦の格が下がった事に伴い、1983年から古馬や騙馬にも開放されて愛国における超長距離馬最強馬決定戦となった。それでもGⅠ競走の地位は堅持している。一応は愛国三冠競走の最終戦であるが、現在は愛国三冠競走なる路線は英国三冠競走路線以上に有名無実化している。本競走を勝った馬が同年のメルボルンCを勝った場合に高額のボーナスが出るため、ここを勝って豪州に遠征する事例も見受けられる。
名称:ドンカスターC | 英名:Doncaster Cup | ||||
場所:英国・ドンカスター競馬場 | 距離等:芝18ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1766年 | 格付け:GⅡ(2003年~)GⅢ(1971~2002年) | 施行時期:9月第2週 | |||
1776年に創設された英セントレジャーよりさらに歴史が10年古く、現在グループ競走に格付けられている競走としては世界最古の歴史を誇る英国伝統の長距離競走。アスコット金杯・グッドウッドCと共に英国長距離カップ三冠競走を形成する競走でもある。20世紀初頭まではかなり格が高い競走で、英国のみならず欧州各国から有力馬が集っていた。しかし長距離戦の格が失墜すると本競走の価値も下がり、1971年のグループ制度導入以降にGⅠ競走に位置付けられたことは無い。創設当初は距離32ハロンだったが、すぐに距離18ハロンに短縮された。その後は頻繁に距離が延長されたり逆に短縮されたりしたが、一番多いのは距離18ハロンの時期であり、現行の距離もそれである。
名称:カドラン賞 | 英名:Prix du Cadran | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝4000m | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1837年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:10月第1日曜日 | |||
凱旋門賞と同日に施行される、仏国超長距離路線の古馬最強馬決定戦。創設当初は距離2500mだったが、1843年から4000m、1846年から4200mとなり、1913年から再び4000mに戻って現在に至る。「カドラン」とは「時計盤」の意味で、パリの軍大学校の時計盤に由来する。19世紀までは仏国古馬戦線における最高峰の競走だったが、20世紀に入って長距離戦の格が下がると本競走の価値も下がった。それでもGⅠ競走の地位は堅持している。当初は騙馬出走不可だったが、1986年から出走可能になった。なお、以前は5月に施行されており、現行の時期に施行されるようになったのは1991年から。
名称:ロワイヤルオーク賞 | 英名:Prix Royal Oak | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝3100m | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1861年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:10月第4週 | |||
英セントレジャーに倣って創設された仏国版のセントレジャーで当初は3歳馬限定競走だったが、長距離戦の格が下がった事に伴い、1979年から古馬にも開放された。それでもカドラン賞と共にGⅠ競走の地位は堅持している。創設当初は「プランスアンペリアル大賞」という名称だったが、1869年に仏国の名種牡馬ロワイヤルオークを記念して改名された。当初は騙馬出走不可だったが、1986年から出走可能になった。以前は英セントレジャーと同じく凱旋門賞の前に行われていたが、いったんは凱旋門賞より後になり、現在は凱旋門賞と同日開催になっている。
名称:独セントレジャー | 英名:Deutsches St. Leger | ||||
場所:独国・ドルトムント競馬場 | 距離等:芝2800m | 出走馬:3歳以上(騙馬不可) | |||
創設:1881年 | 格付け:GⅢ(2005年~)GⅡ(1973~2004年) | 施行時期:10月第1週 | |||
独国のセントレジャーで、一応は独2000ギニー・独ダービーと共に独国三冠競走を形成している。しかし長距離戦の格が下がった事に伴い、2007年から古馬にも開放されて独国における超長距離馬最強馬決定戦となった。
名称:英チャンピオンズ長距離C(ジョッキークラブC) | 英名:British Champions Long Distance Cup(Jockey Club Cup) | ||||
場所:英国・ニューマーケット競馬場→アスコット競馬場 | 距離等:芝16ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1873年 | 格付け:GⅡ(2014年~)GⅢ(1971~2013年) | 施行時期:10月第3週 | |||
長年に渡って「ジョッキークラブC」の名称で親しまれてきた英国の伝統長距離競走。長距離戦の格が失墜すると本競走の価値も下がり、1971年のグループ制度導入以降にGⅠ競走に位置付けられたことは無い。元々はニューマーケット競馬場で施行されていたが、2011年に英チャンピオンズデイが創設されると、本競走もその一環としてアスコット競馬場に施行場所が移され、同時に現在の名称に改称された。この際に賞金もかなり増額されたために出走馬のレベルが上がったようで、2014年からGⅡ競走に格上げとなっている。創設当初は距離20ハロンで施行されており、1959年に12ハロンに短縮され、1963年に現在の距離になった。
古馬出走可能競走(牝馬)
名称:プリティポリーS | 英名:Pretty Polly Stakes | ||||
場所:愛国・カラー競馬場 | 距離等:芝10ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1948年 | 格付け:GⅠ(2004年~)GⅡ(1971~2003年) | 施行時期:6月第4週 | |||
愛国における10ハロン路線の牝馬最強馬決定戦。名称は英国牝馬三冠馬プリティポリーに由来する。英国ニューマーケット競馬場でも同名の競走が施行されているが、こちらは3歳牝馬限定のリステッド競走で、英オークスの前哨戦である。
名称:ファルマスS | 英名:Falmouth Stakes | ||||
場所:英国・ニューマーケット競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1911年 | 格付け:GⅠ(2004年~)GⅡ(1987~2003年)GⅢ(1971~86年) | 施行時期:7月第2週 | |||
英国上半期における牝馬の最強マイラー決定戦。名称は19世紀英国の有力馬主だった第6代ファルマス子爵エヴリン・ボスコーエン卿に由来する。1975~91年までは英国の銀行チャイルド&カンパニーがスポンサーだったため、「チャイルドS」という名称で施行されていた。直線コースで施行される。創設当初は3歳牝馬限定戦であり、古馬牝馬も出走可能になったのは1974年から。
名称:ナッソーS | 英名:Nassau Stakes | ||||
場所:英国・グッドウッド競馬場 | 距離等:芝9ハロン192ヤード | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1840年 | 格付け:GⅠ(1999年~)GⅡ(1971~98年) | 施行時期:8月第1週 | |||
英国における10ハロン路線の牝馬最強馬決定戦。創設からかなり長い期間に渡って3歳牝馬限定戦だったが、1976年から古馬牝馬も出走可能になった。距離には幾度か変遷があり、創設当初は距離8ハロンで、1900年に距離12ハロン、1910年に距離10ハロンとなり、現行の距離になったのは1998年から。名称は当時グッドウッド競馬場を所有していた第5代リッチモンド公爵と親しかったオランダ王家オレンジ・ナッソー家に由来する。
名称:ロートシルト賞(アスタルテ賞) | 英名:Prix Rothschild(Prix d'Astarte) | ||||
場所:仏国・ドーヴィル競馬場 | 距離等:芝1600m | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1929年 | 格付け:GⅠ(2004年~)GⅡ(1982~2003年)GⅢ(1971~81年) | 施行時期:8月第1週 | |||
仏国における牝馬の最強マイラー決定戦。創設当初は豊饒の女神アスタルトの名前を冠した「アスタルテ賞」という名称で、その期間がかなり長く続いた。2007年に仏国の有力馬主ギュイ・ド・ロートシルト男爵が死去すると、彼とその一族が仏国競馬界に残した功績を讃えて翌年から現在の名称になった。
名称:ヨークシャーオークス | 英名:Yorkshire Oaks | ||||
場所:英国・ヨーク競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1849年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:8月第4週 | |||
ヨーク競馬場のエボア開催における2日目の主要競走で、英国における12ハロン路線の牝馬最強馬決定戦。創設からかなり長い期間に渡って3歳牝馬限定戦だったが、1991年から古馬牝馬も出走可能になった。基本的に今も昔も12ハロン戦だが、1991~2002年は距離11ハロン195ヤード、2003~05年は距離11ハロン198ヤードで施行されている。
名称:ジャンロマネ賞 | 英名:Prix Jean Romanet | ||||
場所:仏国・ドーヴィル競馬場 | 距離等:芝2000m | 出走馬:4歳以上牝馬 | |||
創設:2004年 | 格付け:GⅠ(2009年~)GⅡ(2004~10年) | 施行時期:8月第4週 | |||
仏国古馬牝馬の10ハロン路線を整備して、牝馬の早期引退を食い止める事を目標に創設された歴史が新しい競走。その目標を果たすためか、欧州における古馬出走可能な牝馬限定GⅠ競走としては唯一3歳牝馬は出走不可となっている。名称は創設前年の2003年に死去した仏国競馬界の功労者ジャン・ロマネ氏に由来する。
名称:ヴェルメイユ賞 | 英名:Prix Vermeille | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝2400m | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1897年 | 格付け:GⅠ(1971年~) | 施行時期:9月第2週 | |||
仏国における12ハロン路線の牝馬最強馬決定戦。2003年までは3歳牝馬限定戦だったが、2004年から4歳牝馬も、2006年から5歳以上牝馬も出走可能になった。名称は19世紀仏国の名繁殖牝馬ヴェルメイユに由来する。仏1000ギニー・仏オークスを勝った馬が3歳時に本競走も勝つと「仏国牝馬三冠馬」になるとする海外の資料を見たことがあるが、あまり一般的ではないようで、筆者は他に同様の記載があった海外の資料を見たことは無い。3週間後に施行される凱旋門賞と全く同じコースで行われるために凱旋門賞の前哨戦としての役割も担っており、これを叩いて本番で好走した牝馬は数多い。
名称:愛メイトロンS | 英名:Matron Stakes | ||||
場所:愛国・レパーズタウン競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1976年 | 格付け:GⅠ(2004年~)GⅡ(2003年)GⅢ(1981~2002年) | 施行時期:9月第2週 | |||
愛国における牝馬の最強マイラー決定戦。最初は「ギルタウンスタッドS」という名称だったが、1987年から現行の名称になった。創設当初はカラー競馬場で施行されており、レパーズタウン競馬場で開催されるようになったのは2002年から。
名称:オペラ賞 | 英名:Prix de l'Opéra | ||||
場所:仏国・ロンシャン競馬場 | 距離等:芝2000m | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1974年 | 格付け:GⅠ(2000年~)GⅡ(1974~99年) | 施行時期:10月第1日曜日 | |||
凱旋門賞と同日に施行される、仏国における10ハロン路線の牝馬最強馬決定戦。創設当初は3・4歳牝馬限定戦だったが、1990年から5歳以上牝馬も出走可能となった。また、創設当初の距離は1850mで、現行の距離になったのはGⅠ競走に昇格した2000年から。
名称:サンチャリオットS | 英名:Sun Chariot Stakes | ||||
場所:英国・ニューマーケット競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1966年 | 格付け:GⅠ(2004年~)GⅡ(1971~2003年) | 施行時期:10月第1週 | |||
英国下半期における牝馬の最強マイラー決定戦。直線コースで施行される。名称は英国牝馬三冠馬サンチャリオットに由来する。創設当初は距離10ハロンだったが、2000年からマイル戦になった。
名称:英チャンピオンズフィリーズ&メアズS | 英名:British Champions Fillies & Mares Stakes | ||||
場所:英国・アスコット競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1946年 | 格付け:GⅠ(2013年~)GⅡ(2008~12年)GⅢ(1971~2007年) | 施行時期:10月第3週 | |||
創設当初は当時のプリンセス・ロイヤルだったメアリー王女(エリザベスⅡ世女王陛下の叔母)にちなんだ「プリンセスロイヤルS」という名称だった。2011年に英チャンピオンズデイが創設されると本競走もその一環となり、同年に現行名に改称された。2013年にGⅠ競走に昇格し、英国の牝馬限定GⅠ競走路線を締めくくるレースとなった。
名称:リディアテシオ賞 | 英名:Premio Lydia Tesio | ||||
場所:伊国・カパネッレ競馬場 | 距離等:芝2000m | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1937年 | 格付け:GⅠ(1977~87、2004年~)GⅡ(1973~76、1988~2003年) | 施行時期:10月第4週 | |||
伊国の牝馬最強馬決定戦。名称は伊国の天才馬産家フェデリコ・テシオ氏の妻リディア・テシオ夫人に由来する。しばらくGⅡ競走に降格となっていた時期があったが、相対的なレベルの低下が著しい伊国の競走としては珍しくGⅠ競走の地位を取り戻しており、伊国唯一の牝馬限定GⅠ競走となっている。
古馬出走可能競走(平地ハンデ競走)
名称:ロイヤルハントC | 英名:Royal Hunt Cup | ||||
場所:英国・アスコット競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1843年 | 格付け:L(1971年~) | 施行時期:6月第3週 | |||
ロイヤルアスコット開催の2日目に行われる英国伝統のハンデ競走。19世紀においては古馬が出走可能なマイル戦としては英国有数の地位を誇っており、英1000ギニーや英2000ギニーの勝ち馬などマイルを得意とする馬であれば、トップクラスの馬でもあっても参戦する場面がしばしば見られた。1971年にグループ制度が導入された際にハンデ競走は格付けの対象とされず、それが現在でも続いているために本競走がグループ競走に格付けられた事は無く、グループ競走の有力馬が参戦してくる事はまず無くなった。そのため現在では19世紀ほどの価値はないが、それでもハンデ競走路線の重要競走の1つとしての地位は保っている。直線コースで施行される。基本的にマイル戦で施行されているが、7ハロン166ヤードなど少し異なる距離で施行された時期もあるようで、一貫してマイル戦として施行されるようになったのは1956年から。
名称:スチュワーズC | 英名:Stewards' Cup | ||||
場所:英国・グッドウッド競馬場 | 距離等:芝6ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1840年 | 格付け:L(1971年~) | 施行時期:8月第1週 | |||
英国伝統のハンデ競走。英国の政治家で有力な馬産家でもあったウィリアム・ジョージ・フレデリック・キャヴェンディシュ・スコット・ベンティンク卿の提案により創設された。19世紀においては英国の短距離戦としては屈指の地位を誇っていた。1971年にグループ制度が導入された際にハンデ競走は格付けの対象とされず、それが現在でも続いているために本競走がグループ競走に格付けられた事は無く、グループ競走の有力馬が参戦してくる事はまず無くなった。そのため現在では19世紀ほどの価値はないが、それでも短距離ハンデ競走路線における最重要競走としての地位は保っている。直線コースで施行される。
名称:エボアH | 英名:Ebor Handicap | ||||
場所:英国・ヨーク競馬場 | 距離等:芝14ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1843年 | 格付け:L(1971年~) | 施行時期:9月第4週 | |||
英国伝統のハンデ競走で、ヨーク競馬場のエボア開催における4日目の主要競走。元々の正式名称は「グレートエボアH」だったが、いつしかグレートの文字が外れて現在の名称となった。ケンブリッジシャーHやシザレウィッチHほどではないにしても19世紀まではかなり格が高い競走であり、英国クラシック競走の優勝馬が参戦してくる事例もしばしば見られた。1971年にグループ制度が導入された際にハンデ競走は格付けの対象とされず、それが現在でも続いているために本競走がグループ競走に格付けられた事は無く、グループ競走の有力馬が参戦してくる事はまず無くなった。そのため現在は19世紀ほどの価値はないが、それでもハンデ競走路線の重要競走の1つとしての地位は保っており、ケンブリッジシャーHやシザレウィッチHより賞金が高くなっている現在ではむしろ両競走より価値が高い欧州ハンデ路線の最高峰競走であるとも言える。創設当初は距離16ハロンで、その後の幾度かの変遷を経て、完全に現行の距離で固定されたのは1894年。
名称:ケンブリッジシャーH | 英名:Cambridgeshire Handicap | ||||
場所:英国・ニューマーケット競馬場 | 距離等:芝9ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1839年 | 格付け:L(1971年~) | 施行時期:9月第4週 | |||
同年に同じニューマーケット競馬場において創設されたシザレウィッチHと共に「オータム・ダブル」として知られる英国伝統のハンデ競走。19世紀においては英国クラシック競走の優勝馬であっても秋の大目標としてこのレースを選択する場合が多く、英国外から参戦してくる有力馬も数多くおり、英国屈指の大競走と言っても過言ではない地位を誇っていた。1971年にグループ制度が導入された際にハンデ競走は格付けの対象とされず、それが現在でも続いているために本競走がグループ競走に格付けられた事は無く、グループ競走の有力馬が参戦してくる事はまず無くなった。そのため現在は19世紀ほどの価値はないが、それでもハンデ競走路線の最重要競走の1つとしての地位は保っている。創設当初は距離8ハロンで、現行の距離となったのは1872年から。現在はシザレウィッチHより前の時期に施行されているが、以前は順番が逆だった。
名称:シザレウィッチH | 英名:Cesarewitch Handicap | ||||
場所:英国・ニューマーケット競馬場 | 距離等:芝18ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1839年 | 格付け:L(1971年~) | 施行時期:10月第2週 | |||
同年に同じニューマーケット競馬場において創設されたケンブリッジシャーHと共に「オータム・ダブル」として知られる英国伝統のハンデ競走。19世紀においては英国クラシック競走の優勝馬であっても秋の大目標としてこのレースを選択する場合が多く、英国外から参戦してくる有力馬も数多くおり、英国屈指の大競走と言っても過言ではない地位を誇っていた。1971年にグループ制度が導入された際にハンデ競走は格付けの対象とされず、それが現在でも続いているために本競走がグループ競走に格付けられた事は無く、グループ競走の有力馬が参戦してくる事はまず無くなった。そのため現在では19世紀ほどの価値はないが、それでもハンデ競走路線の最重要競走の1つとしての地位は保っている。創設当初も現在も距離18ハロンで施行されているが、1842年から1874年、1901年から1909年、1915年から1971年、1980年から1998年までは距離20ハロンで施行(厳密にはこの期間内にも20ハロンでは無かった時期がある)されている。
障害競走
名称:ベットフェアチェイス | 英名:Betfair Chase(Lancashire Chase) | ||||
場所:英国・ヘイドックパーク競馬場 | 距離等:24ハロン | 出走馬:5歳以上 | |||
創設:2005年 | 格付け:GⅠ(2005年~) | 施行時期:11月第3週 | |||
英国のブックメーカー・ベットフェア社をスポンサーとして創設された歴史が新しいチェイス競走。英愛の障害競走ナショナルハントにおける障害シーズン最初のGⅠ競走でもある。障害は合計18ある。本競走の勝ち馬が同シーズンのキングジョージⅥ世チェイス(又は愛国のレクサスチェイス)及びチェルトナム金杯も全て勝った場合には100万ポンドのボーナスが出ることになっており、他2競走と合わせて「長距離チェイス三冠」を形成している。一般的にはベットフェア社の名を冠した名称で呼ばれているが、正式名称は「ランカシャーチェイス」と言う。
名称:キングジョージⅥ世チェイス | 英名:King George VI Chase | ||||
場所:英国・ケンプトンパーク競馬場 | 距離等:24ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1937年 | 格付け:GⅠ(1990年~)L(1971~89年) | 施行時期:12月第4週 | |||
英国障害シーズン中盤における最大級の障害競走で、英国で施行される定量戦のチェイス競走としてはチェルトナム金杯に次ぐ地位にあると言われる。障害は合計18ある。名称は創設当時の英国王ジョージⅥ世に由来する。
名称:愛チャンピオンハードル | 英名:Irish Champion Hurdle | ||||
場所:愛国・レパーズタウン競馬場 | 距離等:16ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1950年 | 格付け:GⅠ(1993年~)L(1971~92年) | 施行時期:1月第4週 | |||
愛国版のチャンピオンハードルで、愛国のハードル競走としてはパンチェスタウンチャンピオンハードルと並ぶトップ2に位置する。障害は合計8ある。
名称:英チャンピオンハードル | 英名:Champion Hurdle | ||||
場所:英国・チェルトナム競馬場 | 距離等:16.5ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1927年 | 格付け:GⅠ(1991年~)L(1971~90年) | 施行時期:3月第2週 | |||
単に「チャンピオンハードル」と言った場合はこのレースのことを指すが、世界各国でこれに相当する競走が行われているため、日本では「英チャンピオンハードル」と表記する事が多い。チェルトナムフェスティバルにおける初日の主要競走。英国のみならず世界最高峰のハードル競走であり、これを勝てば世界一のハードラーの称号を得られる。創設から一貫して距離16.5ハロンで施行されている。
名称:クイーンマザーチャンピオンチェイス | 英名:Queen Mother Champion Chase | ||||
場所:英国・チェルトナム競馬場 | 距離等:16ハロン | 出走馬:5歳以上 | |||
創設:1959年 | 格付け:GⅠ(1991年~)L(1971~90年) | 施行時期:3月第2週 | |||
チェルトナムフェスティバルにおける2日目の主要競走。英愛の障害競走ナショナルハントが施行する主要チェイス競走の中では最も距離が短く、チェイス界の短距離最強馬決定戦と言える。障害は合計12ある。創設当初は「チャンピオンチェイス」という名称だったが、1980年にエリザベスⅡ世女王陛下の母であるクイーン・マザーことエリザベス王太后の称号を冠して改名された。
名称:ワールドハードル | 英名:World Hurdle | ||||
場所:英国・チェルトナム競馬場 | 距離等:24ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1912年 | 格付け:GⅠ(1991年~)L(1971~90年) | 施行時期:3月第2週 | |||
チェルトナムフェスティバルにおける3日目の主要競走。ハードル競走としては距離が長いため、英チャンピオンハードルでは距離が足りない長距離ハードラーはこちらを目標とする場合が多い。障害は合計12ある。創設当初は「ステイヤーズセリングハードル」という名称で距離は現在と同じ24ハロンだった。1923年に「スパハードル」という名称に変わると、距離は16ハロンに短縮されたが、1946年から再び24ハロンとなった。1972年に「ステイヤーズハードル」という名称に変わると距離は25ハロンとなった。1993年に三度24ハロンとなり、その後に距離は変更されていない。2005年に現在の名称になった。
名称:チェルトナム金杯 | 英名:Cheltenham Gold Cup | ||||
場所:英国・チェルトナム競馬場 | 距離等:26.5ハロン | 出走馬:5歳以上 | |||
創設:1924年 | 格付け:GⅠ(1991年~)L(1971~90年) | 施行時期:3月第2週 | |||
ハンデ競走のため強い馬が勝つとは限らない英グランドナショナルを別にすると、間違いなく英愛の障害競走ナショナルハントが主催する最高峰のチェイス競走で、これを勝てば世界一のスティープルチェイサーの称号を得られると言っても過言ではない。チェルトナムフェスティバルにおける4日目の主要競走。創設当初は現在ほどの格は無く、英グランドナショナルの前哨戦としての意味合いが強かったが、英グランドナショナルは前述のとおりハンデ競走のため強い馬が勝つとは限らないから、定量戦である本競走が真の最強スティープルチェイサー決定戦としての地位を確立するに至った。障害は合計22ある。距離の変遷はかなり激しく、創設当初は26ハロンで、その後は24ハロンから29ハロンまでの間で変更が繰り返され、1999年から現行の26.5ハロンに落ち着いた。
名称:メリングチェイス | 英名:Melling Chase | ||||
場所:英国・エイントリー競馬場 | 距離等:20ハロン | 出走馬:5歳以上 | |||
創設:1991年 | 格付け:GⅠ(1991年~) | 施行時期:4月第2週 | |||
グランドナショナルミーティングの2日目に行われる。英愛の障害競走ナショナルハントが施行する主要チェイス競走の中では比較的距離が短いため、クイーンマザーチャンピオンチェイスに出走した馬の次の目標として選択される場合が多い。障害は合計16ある。名称はエイントリー競馬場があるセフトン州マージーサイドにある村の名前で、この村を通る事からメリングロードを呼ばれている幹線道路がエイントリー競馬場を横切っていることに由来する。
名称:英グランドナショナル | 英名:Grand National | ||||
場所:英国・エイントリー競馬場 | 距離等:35ハロン110ヤード | 出走馬:7歳以上 他レーティング等条件有 | |||
創設:1839年 | 格付け:GⅢ(1991年~)L(1971~90年) | 施行時期:4月第2週 | |||
単に「グランドナショナル」と言った場合はこのレースのことを指すが、世界各国でこれに相当する競走が行われているため、日本では「英グランドナショナル」と表記する事が多い。英国のみならず世界最大のチェイス競走。ハンデ戦であるためにGⅠ競走には格付けられていないが、賞金は欧州の障害競走でも最高額を誇り、売上高も英ダービー等を上回り英国競馬最高を誇っている。グランドナショナルミーティングにおける3日目の主要競走。障害は全部で30あり、しかもそれらの飛越難易度はどれも高く、特に難関とされるいくつかの障害には固有名詞が付けられている。具体的には、踏み切り地点より着地点のほうが低いために体勢を崩しやすく最難関とされる第6・22障害ビーチャーズブルック、カーブの途中にあるために馬群が密集しやすく難関とされる第7・23障害フォイネイボン、飛越直後に急なカーブがあるために馬群が密集しやすく難関とされる第8・24障害キャナルターンなどである。距離も非常に長いために完走すること自体が困難であり、障害競走の本場である英愛両国で施行される障害競走の中では最高の難度を誇り、「馬と騎手の究極の試験」と評される。長くなるためここには掲載しないが、過去に何度も事故や事件が発生しており、英国の動物愛護団体から目の敵にされているレースでもある。創設からほぼ一貫して距離36ハロンで施行されてきたが、2013年にスタート位置が変更されたために少しだけ距離が短くなっている。
名称:愛グランドナショナル | 英名:Irish Grand National | ||||
場所:愛国・フェアリーハウス競馬場 | 距離等:29ハロン | 出走馬:5歳以上 | |||
創設:1870年 | 格付け:GA(1994年~)L(1971~93年) | 施行時期:4月第3週 | |||
愛国版のグランドナショナルで、英グランドナショナルと同じくハンデ競走となっている。格付けが「GA」となっているのは、愛国ではハンデ戦の障害競走をグレード制度に基づいて格付けする場合にはGⅠ~GⅢではなくGA~GCと表記するためである。障害は合計24ある。英グランドナショナルに比べると完走難易度は低いが、その分賞金は安く、英グランドナショナルの4分の1である。それでも愛国チェイス分野においては最高峰の競走の1つである事は間違いない。基本的に距離は29ハロンだが、コースが変更されたり、そのために微妙に距離が変わったりした事が何度かある。
名称:パンチェスタウンチャンピオンハードル | 英名:Punchestown Champion Hurdle | ||||
場所:愛国・パンチェスタウン競馬場 | 距離等:16ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1999年 | 格付け:GⅠ(1999年~) | 施行時期:4月第5週 | |||
歴史は比較的新しいが、愛チャンピオンハードルと並ぶ愛国ハードル界のトップ2競走の地位を既に確立している。英愛の障害競走ナショナルハントが施行する主要競走の中ではシーズン最後に行われるため、ナショナルハントの障害シーズンの締めくくり競走でもある。障害は合計9ある。創設当初は4歳馬出走不可だったが、2009年から出走可能になった。レーシングポスト紙がスポンサーであるために「レーシングポストチャンピオンハードル」と呼称される場合もある。
名称:パリ大障害 | 英名:Grand Steeple-Chase de Paris | ||||
場所:仏国・オートゥイユ競馬場 | 距離等:6000m | 出走馬:5歳以上 | |||
創設:1874年 | 格付け:GⅠ(2000年~)L(1971~99年) | 施行時期:5月第3週 | |||
仏国における最高峰のチェイス競走で、賞金も仏国における障害競走では最も高い。障害は合計23ある。英グランドナショナルがモデルであり、創設当初は「グラン・ナショナル・ド・フランス」という名称で、1889年に現在の名称に改名された。創設当初は距離6400mだったが、2年目からしばらく6000mとなった。現在の名称に変更された1889年に距離が6500mとなり、その後は5800mから6900mまでの間で変動がありながらも概ね6500mで施行されてきたが、2014年から距離6000mとなった。また、英グランドナショナルと同じく当初はハンデ戦だったが、1890年から定量戦になっている。1940年までは4歳馬も出走可能だった。
名称:仏チャンピオンハードル | 英名:Grande Course de Haies d'Auteuil (French Champion Hurdle) | ||||
場所:仏国・オートゥイユ競馬場 | 距離等:5100m | 出走馬:5歳以上 | |||
創設:1874年 | 格付け:GⅠ(1999、2001年~)GⅡ(2000年)L(1971~98年) | 施行時期:6月第1週 | |||
正式名称は「オートゥイユ大ハードル」だが、仏国におけるチャンピオンハードルに相当するため、海外でも一般的に仏チャンピオンハードルと呼称される。仏国における最高峰のハードル競走として、パリ大障害と同年に創設された。英チャンピオンハードルや愛チャンピオンハードルと比較すると距離が大幅に長いため、両競走の優勝馬が参戦する事例は少なく、英愛仏3か国のチャンピオンハードルを全て勝利したのは歴史上ドーンラン1頭のみである。創設当初は4歳馬も出走可能だったが、1961年に出走不可になった。創設当初は距離4000mだったが、2年目に4800mになると、その後は4100mから5100mの間で変動が続いた。現在の距離で固定されるようになったのは1979年。