スキップアウェイ

和名:スキップアウェイ

英名:Skip Away

1993年生

芦毛

父:スキップトライアル

母:インゴットウェイ

母父:ディプロマットウェイ

ジョッキークラブ金杯2連覇・BCクラシック制覇などGⅠ競走10勝を挙げて米国競馬界の頂点に君臨した芦毛の快速馬「スキッピー」

競走成績:2~5歳時に米加で走り通算成績37戦18勝2着10回3着6回

誕生からデビュー前まで

ヒルマー・シュミット氏が所有する米国フロリダ州の小牧場インディアンヒルファームにおいて、アンナ・マリー・バーンハート女史により生産された。2歳時にフロリダ州オカラで行われたトレーニングセールに出品され、ヒューバート・“ソニー”・ハイン調教師により3万ドルという安値で購入された。

ハイン師がこのセリに参加した理由は、妻キャロライン夫人に誕生日プレゼントとして贈る馬を買うというものだったが、本馬を選んだ理由は、目が悪かったキャロライン夫人が競馬場で識別しやすい芦毛の馬を選んだというものである。自身が管理したスキップトライアルの子というのもあったかもしれないが、いずれにしても本馬の素質を評価したわけではなかったようである。

しかも取引成立直後に膝の骨が欠落している事が判明したため、手術が必要であるという理由で、購入額から7500ドルが差し引かれた。もっとも、結局手術は行われなかった事から、骨の欠落はたいした問題点ではなかったようである(この7500ドルが後に埋め合わされたかどうかは不明)。

競走生活(2歳時)

キャロライン夫人の名義、ハイン師の管理馬として競走馬となった本馬は、2歳6月にニュージャージー州モンマスパーク競馬場で行われたダート5ハロンの未勝利戦で、カルロス・マーケス・ジュニア騎手を鞍上にデビューした。同馬主同厩のノッドという馬とのカップリングではあったが、単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持された。しかしスタートで後手を踏んで後方からの競馬となってしまい、直線で追い上げるも、勝った単勝オッズ5.3倍の2番人気馬コールドスナップから8馬身3/4差の4着に敗れた。

翌7月に同じモンマスパーク競馬場で出たギルデッドタイムS(T5F)では、コールドスナップが単勝オッズ2倍の1番人気に支持され、マーケス・ジュニア騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ6倍の3番人気となった。今回もスタートで後手を踏んでしまい、四角から前との差を詰めにかかるも、逃げ切ったコールドスナップから1馬身半差の2着に敗れた。

3戦目は8月に出走したモンマスパーク競馬場ダート8ハロンの未勝利戦となった。ここではリック・ウィルソン騎手とコンビを組み、単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持された。過去2戦はスタートで出遅れた本馬だったが、ここでは普通にスタートを切り、道中は3番手を追走した。そして三角で先頭に立つと、直線入り口では既に後続に10馬身差をつけていた。後は何事も無く直線を走りきりさえすればよく、最後は2着となった単勝オッズ5.3倍の2番人気馬クラッシュバイナイトに12馬身1/4差をつける圧勝で初勝利を挙げた。

その後は10月に同じニュージャージー州のメドウランズ競馬場で行われるワールドアピールS(D8F)に向かった。ここでは次走のピリグリムSに勝利するプレイイットアゲインスタンが単勝オッズ2倍の1番人気に支持され、単勝オッズ2.8倍の2番人気だった本馬との2強ムードだった。レースではプレイイットアゲインスタンが先行して、本馬は中団を追走。向こう正面でプレイイットアゲインスタンが先頭に立つと本馬もそれを追って上がっていった。しかし本馬と前後して走っていた単勝オッズ13.1倍の4番人気馬スパイシーファクトが本馬を置き去りにして進出し、プレイイットアゲインスタンを一気にかわして三角では先頭を奪取した。直線では、逃げるスパイシーファクトを、本馬とプレイイットアゲインスタンの2頭が一緒になって追いかけたのだが、最後まで追いつけず、プレイイットアゲインスタンとの2着争いにも鼻差で屈して、勝ったスパイシーファクトから3馬身1/4差の3着に敗れた。

次走は10月末のカウディンS(米GⅡ・D8F)となった。サラトガスペシャルSの勝ち馬ブライトローンチ、2戦2勝のゲイターダンサー、スルーピーホロウSで2着してきたトロピクール、後のベルエアH・トムフールH・フォアゴーHの勝ち馬クラフティフレンド、後に米国三冠競走全てで本馬と顔を合わせるインコンテンションなど、なかなかのメンバー構成となった。人気もかなり割れており、本馬は8頭立ての5番人気ながらも単勝オッズは6.3倍だった。スタートが切られるとまずは単勝オッズ5.8倍の4番人気馬ブライトローンチが先頭に立ち、単勝オッズ5倍の3番人気馬クラフティフレンドが2番手、本馬は3番手を追走した。ブライトローンチが向こう正面で早々に沈むと、クラフティフレンドと本馬が先頭に立ったのだが、そこへ最後方から単勝オッズ3.7倍の1番人気馬ゲイターダンサーが一気にやって来た。そして直線入り口では本馬とゲイターダンサーが横並びとなり、2頭の叩き合いが始まった。いったんは本馬が前に出る場面もあったのだが、最後はゲイターダンサーが僅かに前に出て勝利し、本馬は鼻差の2着に惜敗した(3着インコンテンションとは3馬身差)。

次走のレムセンS(米GⅡ・D9F)では、過去3戦で騎乗したウィルソン騎手に代わってジェリー・ベイリー騎手と初コンビを組んだ。主な対戦相手は、サラトガスペシャルS・ケンタッキーカップジュヴェナイルS2着・シャンペンS3着のデヴィルズオナー、ピルグリムSを勝ってきたプレイイットアゲインスタン、ゲイターダンサー、前走4着のクラフティフレンド、同6着のトロピクールだった。122ポンドのデヴィルズオナーが単勝オッズ2.75倍の1番人気に支持され、112ポンドの軽量だった本馬は、デヴィルズオナーと同じ122ポンドだったプレイイットアゲインスタンやゲイターダンサーよりも期待され、単勝オッズ3.3倍の2番人気となった。今回は単勝オッズ19.4倍の7番人気だったクラフティフレンドが最初から逃げを打ち、本馬は馬群の好位6番手を追走した。そしてじわじわと位置取りを上げて、直線入り口で先頭に立った。そのまま押し切るかと思われたのだが、ゴール前で急襲してきた単勝オッズ32.25倍の8番人気馬トロピクールに差されて首差2着に敗れた。結局本馬の2歳時は6戦して1勝という成績に終わった。

競走生活(3歳前半)

3歳時は1月にガルフストリームパーク競馬場で行われたダート8.5ハロンの一般競走から始動した。本馬が単勝オッズ1.4倍の1番人気に支持され、ブリーダーズフューチュリティ3着馬ブラッシングジムが単勝オッズ3.9倍の2番人気となった。レースではブラッシングジムが先頭を引っ張ったが、本馬は普通にスタートを切りながらも最初から行き脚が悪くて後方からの競馬となった。向こう正面まではなんとか馬群に付いていったが、三角で完全に脚が止まってしまい、競走中止となった(レースはブラッシングジムがそのまま逃げ切っている)。鼻出血を発症していた事がレース後に判明しており、敗因は明らかにこれだったが、ベイリー騎手はしばらく本馬の鞍上から離れることになった。

幸いにも症状は軽く、前走からちょうど1か月後に同コースで行われた一般競走で早くも復帰した。ここではシェーン・セラーズ騎手と初コンビを組み、単勝オッズ2.1倍の1番人気に支持された。レースでは好位の5番手を追走し、三角で仕掛けて先頭に立つと、直線入り口では既に勝負を決めていた。直線でも後続をさらに引き離すと、2着に追い上げてきた単勝オッズ6.5倍の3番人気馬ヘッジに12馬身差もの大差をつけて圧勝。以降しばらく本馬の鞍上はセラーズ騎手が務める事になる。

3歳3戦目はフロリダダービー(米GⅠ・D9F)となった。対戦相手のレベルは本馬が今まで出走してきたレースとはまるで違っており、ハッチソンS・ファウンテンオブユースSで連続2着してきた前年のBCジュヴェナイルの勝ち馬アンブライドルズソング、ハリウッドプレビューBCS・ホーリーブルSなど3連勝中のコブラキング、一般競走を2連勝してきたホープフルS・ベルモントフューチュリティS2着馬ルイカトルズ、ケンタッキーカップジュヴェナイルSの勝ち馬でケンタッキージョッキークラブS・ホーリーブルS2着・BCジュヴェナイル3着のエディターズノートなど、結果的に同世代最強クラスとなるメンバーが揃っていた。勢いが買われたコブラキングが単勝オッズ2.9倍の1番人気、アンブライドルズソングが単勝オッズ3倍の2番人気、ルイカトルズが単勝オッズ6.4倍の3番人気、エディターズノートが単勝オッズ7.4倍の4番人気で、本馬は単勝オッズ8.9倍の5番人気だった。レースではアンブライドルズソングがハイペースの中で先行争いを演じ、本馬は4~5番手を追走。そして直線入り口でアンブライドルズソングに詰め寄ったが、直線では逆に引き離されてしまった。ゴール前ではエディターズノートに半馬身かわされて、勝ったアンブライドルズソングから6馬身1/4差をつけられた3着と完敗してしまった(本馬から2馬身1/4差の4着がルイカトルズだった)。

ここまでの本馬の戦績は、ケンタッキーダービー出走を云々するには少々不足していたのだが、陣営は可能なら本馬をケンタッキーダービーに出してみたいと考えていたらしく、次走はケンタッキーダービーの重要な前哨戦ブルーグラスS(米GⅡ・D9F)となった。対戦相手は、エディターズノート、ルイカトルズ、アンブライドルドSなど3連勝で臨んできたシャンペンS2着馬ディリジェンス、リーミントンパークダービーなど4連勝中のセモラン、アンブライドルドS2着馬ドローなどだった。エディターズノートが単勝オッズ2.9倍の1番人気、ディリジェンスが単勝オッズ4.2倍の2番人気、本馬が単勝オッズ5.6倍の3番人気となった。

今まではどちらかと言えば馬群の好位から中団辺りを走る事が多かった本馬だったが、ここではスタートから積極的に先行して馬群を先導した。三角でルイカトルズが詰め寄ってきたが、四角では逆に引き離して直線に入ると独走。2着ルイカトルズに6馬身差、3着エディターズノートにはさらに1馬身半差をつけて完勝した。勝ちタイム1分47秒29はレースレコードであり、ここでようやくケンタッキーダービーの有力候補として名乗りを上げた。

そして迎えたケンタッキーダービー(米GⅠ・D10F)では、フロリダダービー勝利後にウッドメモリアルSも勝ってきたアンブライドルズソング、サンタアニタダービーを8馬身1/4差で圧勝してきたキャヴォニア、アーカンソーダービーで首差2着してきたルイジアナダービーの勝ち馬グラインドストーン、レキシントンSで2着してきたプリンスオブシーヴズ、サンタアニタダービー2位入線(ただし8着に降着)のアリロブ、リズンスターS・アーカンソーダービーを勝ってきたザーブズマジック、ハリウッドフューチュリティの勝ち馬マティージー、ファウンテンオブユースSの勝ち馬ビルトフォープレジャー、前年のカウディンSでは本馬に後れを取る3着だったがその後にチェリーヒルマイルSなど6勝を挙げウッドメモリアルSで2着してきたインコンテンション、サンタアニタダービーで3位入線(2着に繰り上がり)してきたブリーダーズフューチュリティ・サンラファエルSの勝ち馬オナーアンドグローリー、ファウンテンオブユースS・ジムビームSで続けて3着してきたヴィクトリースピーチ、サンラファエルS2着・アーカンソーダービー3着のヘイローサンシャイン、エディターズノート、ルイカトルズ、前走5着のディリジェンスなど、さすがはケンタッキーダービーと思わせる好メンバーが揃った。アンブライドルズソングが単勝オッズ4.5倍の1番人気、キャヴォニアとセモランのカップリングが単勝オッズ6.6倍の2番人気、グラインドストーンとエディターズノートのカップリングが単勝オッズ6.9倍の3番人気、名馬ティンバーカントリーの1歳年下の半弟プリンスオブシーヴズが単勝オッズ8倍の4番人気、アリロブが単勝オッズ8.2倍の5番人気、本馬が単勝オッズ8.7倍の6番人気となった。

レースは単勝オッズ25.8倍の10番人気馬オナーアンドグローリーが先頭を引っ張り、アンブライドルズソングなどがそれを追撃。本馬は先行馬群を見るように好位を追走した。しかし外枠発走だったために終始外側を走らされる羽目になり、四角では既に手応えが怪しくなっていた。そして直線で失速して、勝ったグラインドストーンから16馬身3/4差をつけられた12着と惨敗した。

ケンタッキーダービーで敗退した有力馬はプリークネスS(米GⅠ・D9.5F)を回避することが少なくないが、本馬は出走した。グラインドストーンや前走5着のアンブライドルズソングは怪我のため不在であり、対戦相手は、前走で惜しくも鼻差2着だったキャヴォニア、前走3着のプリンスオブシーヴズ、同6着のエディターズノート、同10着のヴィクトリースピーチ、同15着のインコンテンション、同16着のルイカトルズといったケンタッキーダービー出走組と、ヴィンテージSで2着していた英国調教馬アライドフォーシズ、フェデリコテシオSを勝ってきたツアーズビッグレッドなどだった。キャヴォニアが単勝オッズ2.7倍の1番人気に支持され、本馬が前走の大敗にも関わらず単勝オッズ4.3倍の2番人気、プリンスオブシーヴズが単勝オッズ5倍の3番人気、エディターズノートが単勝オッズ7.5倍の4番人気、ルイカトルズが単勝オッズ9.5倍の5番人気となった。

スタートが切られるとルイカトルズが先手を取り、本馬は単勝オッズ41.6倍の8番人気馬ヴィクトリースピーチと共に少し離れた2番手を追走した。そして四角でルイカトルズに並びかけていったが、直線半ばで逆に引き離され、3馬身1/4差の2着に敗れた。それでも3着エディターズノートには3馬身差、4着キャヴォニアにはさらに2馬身半差をつけており、実力は示したと言える。

次走のベルモントS(米GⅠ・D12F)では、ルイカトルズ、エディターズノート、キャヴォニア、前走6着のインコンテンション、同7着のプリンスオブシーヴズに加えて、ベイショアS・ピーターパンSの勝ち馬ジェイミーズファーストパンチ、ケンタッキーオークス大敗にも関わらず果敢に挑んできたBCジュヴェナイルフィリーズ・アッシュランドS・ボニーミスSの勝ち馬マイフラッグ、サーバートンSを勝ってきたサラトガダンディ、イリノイダービーを勝ってきたナチュラルセレクションなどが対戦相手となった。本馬の鞍上はセラーズ騎手からホセ・サントス騎手に交代していた。人気はかなり割れており、キャヴォニアが単勝オッズ4倍の1番人気、エディターズノートが単勝オッズ6.8倍の2番人気、ジェイミーズファーストパンチが単勝オッズ6.9倍の3番人気、ルイカトルズとサラトガダンディのカップリングが単勝オッズ7.1倍の4番人気、プリンスオブシーヴズが単勝オッズ7.6倍の5番人気、マイフラッグが単勝オッズ8.7倍の6番人気、本馬が単勝オッズ9倍の7番人気となった。

レースでは、スタートがあまり良くなかったルイカトルズに人気薄の馬達が絡んで先頭集団を形成し、本馬は好位6番手を追走した。そして向こう正面で位置取りを上げて、四角途中で先頭に立った。しかしさらに後方から上がってきたエディターズノートに並びかけられ、叩き合いに敗れて1馬身差の2着に終わった。マイフラッグがさらに4馬身差の3着と健闘し、さらに6馬身差の4着がルイカトルズで、キャヴォニアはレース中に負傷して競走を中止した(生命には大事無くその後も走っている)。

米国三冠競走に皆勤したにも関わらず、本馬は休み無く2週間後のオハイオダービー(米GⅡ・D9F)に出走した。プリークネスS5着から直行してきたヴィクトリースピーチ、シェリダンSを勝ってきたストームクリーク、一般競走など3連勝中のワイルドドリームなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ1.7倍の1番人気、ヴィクトリースピーチが単勝オッズ4.8倍の2番人気、ワイルドドリームが単勝オッズ5.1倍の3番人気となった。本馬は道中で5番手を追走。三角で位置取りを上げて先頭に立つと、直線で後続を引き離して、2着ヴィクトリースピーチに3馬身半差をつけて快勝した。

競走生活(3歳後半)

その後は短い夏休みを経て、8月のハスケル招待H(米GⅠ・D9F)に参戦した。ここには、本馬が休んでいる間にドワイヤーS・スワップスSを連勝してきたヴィクトリースピーチの姿もあった。しかも斤量は本馬の124ポンドに対して、ヴィクトリースピーチは121ポンドだったのだが、本馬が単勝オッズ1.6倍の1番人気に支持され、ヴィクトリースピーチが単勝オッズ3.2倍の2番人気となった。スタートが切られると、ロングブランチSを勝ってきた単勝オッズ7.2倍の3番人気馬ドクターケイトン(斤量115ポンド)が先頭に立ち、ヴィクトリースピーチが2番手、そして本馬は前走と同様に5番手を追走した。そしてこれまた前走と同様に、三角で位置取りを上げて先頭を奪うというレースぶりとなった。そしてそのまま直線を押し切って2着ドクターケイトンに1馬身差、3着ヴィクトリースピーチにさらに1馬身差をつけて勝利し、ようやくGⅠ競走タイトルを手中に収めた。

続くトラヴァーズS(米GⅠ・D10F)では、ドクターケイトン、ジムダンディSで2着してきた上がり馬ウィルズウェイに加えて、ジムダンディSを勝ってきたルイカトルズ、同4着だったエディターズノートも参戦してきて、三冠競走で敗れた借りを返すチャンスとなった。本馬が単勝オッズ2.45倍の1番人気、ルイカトルズが単勝オッズ3.85倍の2番人気、エディターズノートが単勝オッズ4.3倍の3番人気と順当な人気となった。レースではやはりルイカトルズが逃げを打ち、本馬は3~4番手の好位を追走。そして向こう正面で先頭のルイカトルズに詰め寄ろうとしたが、前が塞がって進出することが出来なかった。本馬がもたついている間に外側から単勝オッズ8.3倍の5番人気馬ウィルズウェイが先にルイカトルズに並びかけていった。そしてウィルズウェイとルイカトルズが直線で叩き合い、ウィルズウェイが3/4馬身差で競り勝って勝利。仕掛けが遅れた本馬は2着ルイカトルズから1馬身差の3着に終わった。この騎乗内容が影響したのか、過去4戦で騎乗したサントス騎手は本馬の鞍上を去ることになり、セラーズ騎手が本馬の主戦に返り咲いた。

次走は加国の大競走ウッドバインミリオンS(加GⅠ・D9F)となった。ルイカトルズ、ハスケル招待H3着から直行してきたヴィクトリースピーチといった御馴染みの馬に加えて、サンフェリペSの勝ち馬でハリウッドフューチュリティ・ノーフォークS2着の実績があったが故障のため米国三冠競走には不参戦だったオダイル、加国三冠競走第1戦クイーンズプレートの勝ち馬ヴィクタークーリー、加国三冠競走第2戦プリンスオブウェールズSの勝ち馬ステファノティス、プリンスオブウェールズSと加国三冠競走第3戦ブリーダーズSで共に2着してきたファームダンサーが対戦相手となった。このウッドバインミリオンSは別定重量戦であり、GⅠ競走勝ち馬である本馬とルイカトルズが126ポンドのトップハンデで、GⅡ競走勝ち馬のヴィクトリースピーチとオダイルが123ポンド、そして国際グレード競走勝ちが無かったヴィクタークーリーとステファノティス(加国三冠競走は加国産馬限定戦のため国際グレード格付けなし)は119ポンド、ファームダンサーは117ポンドだった。それでも上位人気は米国調教馬勢が占め、本馬が単勝オッズ2.15倍の1番人気、ルイカトルズが単勝オッズ3.55倍の2番人気、オダイルが単勝オッズ5.15倍の3番人気、ヴィクトリースピーチが単勝オッズ6.65倍の4番人気となった。スタートが切られると単勝オッズ32.05倍の6番人気馬ステファノティスが先頭を奪い、ヴィクトリースピーチや単勝オッズ12.35倍の5番人気馬ヴィクタークーリーがそれを追って先行。いつもなら逃げるルイカトルズはこの日は元気が無く4番手であり、本馬がその後方5番手につけた。しばらくはそのままの態勢でレースが進み、三角で本馬が仕掛けて直線入り口で先頭に立った。そして直線では後続を寄せ付けず、2着ヴィクタークーリーに4馬身差をつけて楽勝した。

次のレースはジョッキークラブ金杯(米GⅠ・D10F)となった。ここには、前走最下位のルイカトルズ、トラヴァーズS4着後にスーパーダービーを勝ってきたエディターズノートも出走してきたが、その2頭には申し訳ない書き方だがそれが可愛く見えてしまうほど、本馬にとってかつて無い強敵が1頭参戦してきた。その強敵とは、前年のBCクラシックやこの年のドバイワールドCを筆頭に、NYRAマイルH・ドンH2回・ガルフストリームパークH・オークローンH・ピムリコスペシャルH・マサチューセッツH2回・ハリウッド金杯・ウッドワードS・ジョッキークラブ金杯・サイテーションチャレンジと破竹の16連勝を記録していた当時の世界最強馬シガーだった。シガーは前々走パシフィッククラシックSでまさかの敗北を喫して連勝が16で止まっていたが、前走ウッドワードSでは4馬身差で完勝しており、このレースでも単勝オッズ1.2倍という断然の1番人気に支持されていた。一応の対抗馬と目されていた本馬が単勝オッズ6.8倍の2番人気、ルイカトルズが単勝オッズ11.4倍の3番人気、エディターズノートが単勝オッズ12.4倍の4番人気となった。

レースは例によってルイカトルズが先手を取ったが、シガーより前で競馬をしないと敵わないと分かっていたらしいセラーズ騎手は、どちらかと言えば好位から中団辺りでレースを進める事が多かった本馬を積極的に先行させてルイカトルズを追撃した。そしてルイカトルズと本馬の2頭が後続を大きく引き離して逃げる展開となった。そしてそのまま直線を向くと、ルイカトルズを置き去りにして抜け出した。後方からシガーが必死に追ってきたが、それを頭差抑えて優勝。シガーから米国最強馬のバトンを譲り受ける形となった。

本馬はその後ブリーダーズカップには参戦せず(BCクラシックは伏兵アルファベットスープが勝ち、ルイカトルズが2着と健闘、シガーは3着に敗れている)、この年の出走はこれが最後となったが、3歳時12戦6勝の成績で、米国三冠競走の勝ち馬達を抑えてエクリプス賞最優秀3歳牡馬に選出された。

競走生活(4歳前半)

本馬が4歳になるとシガーは引退したが、ペンシルヴァニアダービー・メドウランズCHで連続2着してBCクラシックでも5着と健闘していた上がり馬フォーマルゴールド、トラヴァーズSで本馬を破っていたウィルズウェイといった同世代馬に加えて、亜2000ギニー・ポージャデポトリジョス大賞・亜ダービーと亜国でGⅠ競走3勝を挙げた後に米国西海岸に移籍して、ベイメドウズH・サイテーションH・ネイティヴダイヴァーHに勝利していたジェントルメンといった実力馬達が頭角を現し始め、なかなか本馬の一強独裁体制にはならなかった。

4歳初戦は2月のドンH(米GⅠ・D9F)となった。対戦相手は、前述のフォーマルゴールド、アーリントンミリオンS・スーパーダービー・ETターフクラシックSなどの勝ち馬メッキー、ケンタッキーダービー9着後に裏路線を進んでNYRAマイルHなどで2着していたディリジェンス、本馬とはレムセンS以来の顔合わせとなるベルエアHの勝ち馬クラフティフレンド、エクリプスH・ドミニオンデイHの勝ち馬で前年のBCクラシック4着のマウントササフラなどだった。123ポンドの本馬が単勝オッズ1.7倍の1番人気、113ポンドのフォーマルゴールドが単勝オッズ7倍の2番人気、120ポンドのメッキーが単勝オッズ8.2倍の3番人気となった。レースではフォーマルゴールドが先頭に立って逃げ、本馬はそれを追って2番手につけた。しかし快調に逃げたフォーマルゴールドに最後まで追いつけず、1馬身1/4差の2着に敗退した。

続くガルフストリームパークH(米GⅠ・D10F)にはフォーマルゴールドが不在であり、本馬より1歳年上のケンタッキーダービー2着馬でブリーダーズフューチュリティSなどの勝ち馬テハノラン、ウッドバインミリオンS6着後にストラブSでGⅠ競走初勝利を挙げていたヴィクトリースピーチ、前走6着のマウントササフラ、プレヴューSの勝ち馬スワーヴプロスペクトなどが対戦相手となった。122ポンドの本馬が単勝オッズ1.4倍の1番人気、114ポンドのテハノランが単勝オッズ4.7倍の2番人気、120ポンドのヴィクトリースピーチが単勝オッズ7倍の3番人気、113ポンドのマウントササフラが単勝オッズ11.9倍の4番人気となった。レースでは単勝オッズ34.1倍の最低人気馬ラフィングダンがかなりのハイペースで逃げを打ち、本馬は直後の2番手につけた。向こう正面でラフィングダンが失速すると代わりに先頭に立ち、そのまま直線に入ってきたのだが、本馬をマークするように走っていたマウントササフラに直線入り口でかわされると、そのまま追いつけずに2馬身1/4差の2着に敗れた。

次走は、当時はローカル競馬場だったテキサス州ローンスターパーク競馬場で行われたテキサスマイルS(D8F)となった。ロングエイカーズマイルH・フェイエットS・クラークH・ニューオーリンズHの勝ち馬で前走オークローンH2着のイズイットイングッド、ケンタッキーダービーで本馬と1度対戦しているが本馬より下の14着だったリーミントンパークダービーの勝ち馬セモランの姿があった。本馬が単勝オッズ1.6倍の1番人気、イズイットイングッドが単勝オッズ2.7倍の2番人気、セモランが単勝オッズ7.8倍の3番人気だった。斤量システムの関係上、本馬の斤量116ポンドに対して、イズイットイングッドは123ポンド、セモランは120ポンドだった。過去2戦では軽量馬にしてやられた本馬だが、この状況なら負けるはずはない、はずだった。ところがレースでは終始先頭を走り続けたイズイットイングッドが、単勝オッズ28.5倍の4番人気馬スピリットバウンドの追撃を3馬身差で完封して勝利。終始大外5番手を走らされた本馬は、スピリットバウンドからさらに4馬身半差の3着と完敗してしまった。

次走のピムリコスペシャルH(米GⅠ・D9.5F)では、イズイットイングッド、ガルフストリームパークH3着後にワイドナーHを勝ちオークローンHで3着してきたテハノラン、ドバイデューティーフリーを20馬身差で勝っていたキーオブラック、マウントササフラに加えて、米国西海岸から遠征してきたジェントルメンとの対戦となった。ハンデキャッパーの評価は、ジェントルメンが122ポンドのトップハンデ、イズイットイングッドが121ポンド、本馬が119ポンド、キーオブラックが115ポンド、テハノランとマウントササフラが114ポンドというものだった。ファンの評価は、ジェントルメンが単勝オッズ2.8倍の1番人気、本馬が単勝オッズ4.3倍の2番人気、イズイットイングッドが単勝オッズ4.9倍の3番人気、テハノランが単勝オッズ5.1倍の4番人気というものだった。結果的にはファンの見立てが正しく、4番手の好位を追走した本馬と、2番手を先行したジェントルメンの一騎打ちとなった。逃げたイズイットイングッドが四角で失速すると、ジェントルメンが先に先頭に立ち、それを本馬が追撃する展開となった。3着テハノランを6馬身半引き離す2頭の勝負は、ジェントルメンが押し切って勝ち、本馬は半馬身届かず2着に敗れた。

競走生活(4歳後半)

次走のマサチューセッツH(米GⅢ・D9F)では、ドンHの勝利後はサンタアニタH6着・ドバイワールドC5着と今ひとつだったフォーマルゴールド、前年のBCクラシック7着後に休養入りして復帰戦の一般競走を勝ってきたウィルズウェイ、オークローンHの勝ち馬ジェリなどが対戦相手となった。119ポンドの本馬が単勝オッズ1.7倍の1番人気、114ポンドのウィルズウェイが単勝オッズ3倍の2番人気、同じく114ポンドのフォーマルゴールドが単勝オッズ4.8倍の3番人気となった。本馬はスタートから2番手を先行し、向こう正面で先頭に立って押し切りを図った。後方から追撃してきたのはフォーマルゴールドであり、直線入り口で本馬に並びかけてきた。しかしここで本馬が粘りを見せてフォーマルゴールドに抜かさせず、最後は頭差で勝利した(3着ウィルズウェイは3馬身半後方)。

次走のサバーバンH(米GⅡ・D10F)でも、フォーマルゴールド、ウィルズウェイとの対戦となった。今回は122ポンドとなった本馬が単勝オッズ2倍の1番人気、116ポンドのウィルズウェイが単勝オッズ3.1倍の2番人気、120ポンドのフォーマルゴールドが単勝オッズ3.85倍の3番人気となった。2歳時のカウディンSで本馬を破ったゲイターダンサーの姿もあったが、109ポンドで単勝オッズ34倍の5番人気と、既に本馬の相手とはみなされていなかった。今回も本馬がスタートから2番手につけたが、前走で本馬を捕まえられなかった反省からか、フォーマルゴールドとウィルズウェイの2頭が早めに仕掛けて向こう正面では本馬の前に出た。そしてこの3頭が一団となって直線に入ってきたが、本馬がじりじりと前に出て、2着ウィルズウェイに1馬身半差、3着フォーマルゴールドにはさらに3/4馬身差をつけて勝利した。

次走のホイットニーH(米GⅠ・D9F)では、またまたウィルズウェイ、フォーマルゴールドとの対戦となった。あと、本馬の古い好敵手エディターズノートの姿もあったが、前年のジョッキークラブ金杯4着後は見るも無残な大敗続きであり、もはや本馬の好敵手とは言えなかった。125ポンドの本馬が単勝オッズ2.1倍の1番人気、117ポンドのウィルズウェイが単勝オッズ3.25倍の2番人気、120ポンドのフォーマルゴールドが単勝オッズ3.85倍の3番人気となった。スタートが切られると、フォーマルゴールドが好スタートから先頭を奪い、ウィルズウェイも押して2番手につけ、本馬は少し離れた3番手を追走した。このレースは、前年のジョッキークラブ金杯で本馬がシガーを破ったときと似たような展開となり、今回は本馬がその時のシガーの立場となった。そして直線でも全く前2頭との差を縮められなかった本馬は、フォーマルゴールドとの叩き合いを鼻差で制したウィルズウェイから6馬身半差をつけられた3着と完敗してしまった。

次走のフィリップHアイズリンH(米GⅡ・D8.5F)にはウィルズウェイは不在だったが、フォーマルゴールドと、前走サルヴェイターマイルHを5馬身半差で勝ってきた上がり馬ディストーテッドユーモアの2頭が本馬の前に立ち塞がってきた。124ポンドの本馬が単勝オッズ1.9倍の1番人気、121ポンドのフォーマルゴールドが単勝オッズ2.4倍の2番人気、115ポンドのディストーテッドユーモアが単勝オッズ4.2倍の3番人気となった。今回もフォーマルゴールドがスタートからかなり速いペースで逃げを打ち、ディストーテッドユーモアが少し離れた2番手、本馬は4頭立ての最後方につけた。そして直線入り口でディストーテッドユーモアをかわして2番手に上がったが、既に先頭のフォーマルゴールドは遥か彼方だった。結局フォーマルゴールドが完璧な逃げ切り勝ちを収め、本馬は5馬身1/4差をつけられた2着に敗退した。

そしてフォーマルゴールド、ウィルズウェイとの対戦となったウッドワードS(米GⅠ・D9F)では、定量戦で全馬同斤量だったにも関わらず、単勝オッズ2.25倍のフォーマルゴールドに1番人気の座を奪われてしまい、単勝オッズ2.35倍の2番人気での出走となった。ウィルズウェイが単勝オッズ4.15倍の3番人気で、ホイットニーHで5着だったエディターズノートが単勝オッズ16.5倍の4番人気だった。スタートが切られると、本馬、フォーマルゴールド、ウィルズウェイが最初から先頭争いを展開。三角辺りまで三つ巴の勝負が続いた。しかし四角からフォーマルゴールドが他の2頭を引き離していった。本馬はゴール前でウィルズウェイを首差捕らえるのが精一杯で、勝ったフォーマルゴールドから5馬身半差もつけられた2着に敗れてしまった。4着パシフィックフリートはウィルズウェイから40馬身後方で、さらに13馬身差の5着最下位に沈んだエディターズノートは二度と競馬場に姿を現すことは無かった。

このようになかなか期待に応えられない状況を打破するため、次走のジョッキークラブ金杯(米GⅠ・D10F)では、セラーズ騎手に代わって久々にベイリー騎手とコンビを組んだ。このレースにおける最大の強敵は、前年のハリウッド金杯・マーヴィンルロイHの勝ち馬で、この年のサンタアニタHで同厩馬ジェントルメンを破って勝ち、その後もドバイワールドC・ハリウッド金杯・パシフィッククラシックSで2着と好調を維持していたブラジル出身のサイフォンだった。単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持されたのはサイフォンで、本馬が単勝オッズ2.45倍の2番人気、チリのGⅠ競走ラティーノアメリカーナジョッキークラブ協会大賞の勝ち馬で米国に移籍してウイリアムPキーンHを勝っていたプレポが単勝オッズ8.3倍の3番人気、ケンタッキーカップクラシックHで3着してきたクーダルジャンが単勝オッズ12.4倍の4番人気となった。

前年のパシフィッククラシックSにおいて大逃げを打って、追いかけてきたシガーを潰して連勝ストップの影の主役となったサイフォンがここでもスタートから逃げを打ち、本馬は2番手を追いかけた。2頭が猛然と競り合ったために3番手のワゴンリミット以下とは6馬身以上の差がついた。三角辺りでゴールデンラーチが落馬し、クーダルジャンがそれに巻き込まれてやはり落馬、それを避けようとしたプレポも落馬はしなかったが事実上競走中止という大事故が後方で発生したが、前を走るサイフォンと本馬の2頭には直接影響なかった。そのサイフォンは四角で手応えが怪しくなって失速。こうなるともはや本馬を脅かす存在はおらず、2着となった単勝オッズ42.25倍の5番人気馬インスタントフレンドシップに6馬身半差、3着ワゴンリミットにはさらに10馬身差をつけて2連覇を果たした。しかし本馬には無関係とは言えアクシデント(ゴールデンラーチとプレポは無事だったがクーダルジャンは予後不良)があっただけに、後味の悪さが残るレースとなった。

その後は西海岸に向かい、ハリウッドパーク競馬場で行われたBCクラシック(米GⅠ・D10F)に参戦した。対戦相手は、この年のベルモントS・ハスケル招待H・レキシントンSを勝っていたタッチゴールド、トラヴァーズS・スーパーダービーを連勝してきたデピュティコマンダー、ドワイヤーS・ペガサスHを勝ちトラヴァーズSで2着していたベーレンズ、前走フェイエットSを12馬身差で圧勝してきた5戦無敗のウイスキーウィズダム、アーリントンクラシックS・アメリカンダービー・セクレタリアトSを勝っていた芝馬オナーグライド、デルマーH2着馬ダウティ、カールトンFバークH・エルリンコンH・サンディエゴH・グッドウッドBCHの勝ち馬サヴィニオ、日本から参戦してきた安田記念馬タイキブリザードの計8頭であり、ウッドワードSを最後に引退したフォーマルゴールドとウィルズウェイ、それに南米出身のためブリーダーズカップ登録が無かったジェントルメン(本馬を破ったピムリコスペシャルHの後にハリウッド金杯・パシフィッククラシックSを勝っていた)やサイフォンは不参戦だった。そのため、この年で14回目を迎えたBCクラシック史上において最も出走馬の層が薄くなったと言っても過言ではないほどであり、前年のBCクラシックで最下位だったタイキブリザードがBCマイルからいきなりこちらに矛先を向けてきた理由の1つも、この年の層の薄さにあるのではないかと筆者は睨んでいる(もっともこの方針転換は米国の競馬マスコミからは理解できないと散々に酷評されたらしいが)。

ベイリー騎手がベーレンズに騎乗したために、本馬には最初で最後のコンビとなるマイク・スミス騎手が騎乗した。とりあえずは実績最上位だった本馬が単勝オッズ2.8倍の1番人気に支持され、出走馬中唯一の米国三冠競走勝ち馬タッチゴールドが単勝オッズ3.5倍の2番人気、ベーレンズが単勝オッズ4.5倍の3番人気、デピュティコマンダーが単勝オッズ5.8倍の4番人気、ウイスキーウィズダムが単勝オッズ12.4倍の5番人気となった。

押し出されて1番人気になった感じの本馬ではあったが、いざレースが始まると、本命に相応しい走りを見せた。最内枠発走から好スタートを切ると、デピュティコマンダーや、かつての相棒セラーズ騎手鞍上のオナーグライドなどを先に行かせて3番手を追走。そして向こう正面で仕掛けて前の2頭の間を割って先頭に立った。その後は完全なワンマンショーとなり、一度も後続を寄せ付けることなく、2着に粘ったデピュティコマンダーに6馬身差をつけて、1分59秒16というBCクラシック最速タイムで圧勝した(タイキブリザードはデピュティコマンダーから17馬身3/4差の6着。それを知った筆者の友人は「だからBCマイルにしておけば良かったのに!」と怒りを顕わにした)。

これで本馬は2戦連続圧勝で4歳シーズンを締めくくったものの、それまでにもたついたため、4歳時は11戦4勝の成績に留まった。また、本馬を何度も破ったフォーマルゴールドには借りを返せないまま終わっていたこともあって、シーズン最後の2戦はその実力を如何なく発揮したにも関わらず今ひとつ本馬のインパクトは薄く、この年のエクリプス賞では最優秀古馬牡馬を受賞したものの、年度代表馬の座は8戦全勝の2歳馬フェイヴァリットトリックに奪われてしまった(その代わりというわけでもないだろうが、キャロライン夫人がこの年のエクリプス賞最優秀馬主に選ばれている)。

4歳時の本馬は、強いには違いないが米国最強と呼ぶには憚られるという評価だった。国際クラシフィケーションにおいては、米国調教馬のトップはジェントルメンの131ポンドであり、本馬はフォーマルゴールドと同じ127ポンドで2位タイ(世界・世代全体では8位)に留まった。英タイムフォーム社の評価はさらに厳しく、ジェントルメンが136ポンド、フォーマルゴールドが132ポンドだったのに対して、本馬は131ポンドで米国調教馬3位(世界・世代全体では9位)だった。

競走生活(5歳前半)

しかし5歳になった本馬は、文句なしに米国最強馬としての地位を確立していくことになる。まずは前年と同じくドンH(米GⅠ・D9F)から始動した。BCクラシックで7着だったベーレンズ、ハッチソンS・フラミンゴS・オハイオダービー・ペンシルヴァニアダービーの勝ち馬フリスクミーナウ、前年のジョッキークラブ金杯で3着だったワゴンリミット、ブラワードHを勝ってきたサーベア(後にシガーマイルH・メトロポリタンH・ガルフストリームパークHとGⅠ競走を3勝。本馬の名を冠したGⅢ競走スキップアウェイHにも勝っている)などが出走してきたが、実力的に本馬に敵いそうな馬はおらず、本馬の敵は他馬勢より10~14ポンド重い126ポンドの斤量だけだった。

BCクラシックではベーレンズを選択したベイリー騎手だったが、ここでは調子よく本馬の鞍上に舞い戻っており、そのベーレンズにはスミス騎手が騎乗した。スミス騎手は、かつてシガーの騎乗についても結局貧乏くじを引いてベイリー騎手に主戦の座を奪われた事があり(そのときは自身の選択の結果であるが)、少し複雑な心境だったと思われるが、スミス騎手はベイリー騎手の高校の後輩でもあり、2人の仲はおそらく良好だったと思われるから、特に問題は生じなかったのであろう。本馬が単勝オッズ1.4倍の1番人気、116ポンドのベーレンズが単勝オッズ4.6倍の2番人気、同じく116ポンドのフリスクミーナウが単勝オッズ7倍の3番人気となった。スタートが切られると、単勝オッズ69.2倍の8番人気馬キリダシが強引に先頭を奪い、本馬はフリスクミーナウと共に2番手を追走した。そして四角で先頭に立つと、そのまま直線を力強く駆け抜け、112ポンドの軽量を利して2着に追い込んできた単勝オッズ98.1倍の最低人気馬アンルールドに2馬身3/4差をつけて快勝した。

次走のガルフストリームパークH(米GⅠ・D10F)では、アンルールド、前走3着のサーベア、同4着のワゴンリミット、同7着のベーレンズ、前年のピーターパンSの勝ち馬バンカーズゴールドなどが対戦相手となった。他馬との斤量差はさらに厳しくなり、本馬は127ポンド、斤量2位のベーレンズは114ポンドで、その差は前走から3ポンド広がった13ポンドだった。それでも本馬が単勝オッズ1.1倍の1番人気に支持され、スミス騎手からジョルジ・シャヴェス騎手に鞍上が交代していたベーレンズが単勝オッズ6.7倍の2番人気、112ポンドのバンカーズゴールドが単勝オッズ15倍の3番人気となった。レースではベーレンズが半ば強引に逃げを打ち、本馬は2番手を追走。後続を大きく引き離す2頭の一騎打ちが続いたのは向こう正面までであり、三角で本馬が抜け出してベーレンズは失速。そこへ追い込んできたのは、前走と同じく112ポンドの軽量に恵まれていた単勝オッズ20.9倍の5番人気馬アンルールドだった。しかし本馬はアンルールドを今回も寄せ付けず、2馬身1/4差をつけて勝利した。

本馬の次走は当然ドバイワールドC、と書きたいところなのだが、本馬は出走しなかった。最初から招待されなかったのか、打診はされたが陣営が辞退したのかは資料に記載が無く不明だが、本馬より明らかに格下のベーレンズが招待されて出走したところを見ると、陣営が辞退した可能性が高い。本馬の代わりに目玉として招待されたのはジェントルメンだったのだが、サンタアニタHで鼻出血を発症して惨敗したジェントルメンは出走を辞退。代わりに招待されたのは、前年のケンタッキーダービー・プリークネスSの勝ち馬シルバーチャームだった。そしてこのドバイワールドCは、シルバーチャームがキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS・コロネーションCの勝ち馬スウェインとの大激戦を制して勝利している(ベイリー騎手騎乗で出走したベーレンズは5着)が、本馬が出ていたら果たしてどういう結末になっていただろうか。

いずれにしてもドバイワールドCに出なかった本馬の次走は、5月のピムリコスペシャルH(米GⅠ・D9.5F)となった。前走オークローンHでアンルールド以下を破ってGⅠ競走初勝利を挙げて勢いに乗るプレコシティー、ガルフストリームパークH5着後にウエストチェスターHを勝ってきたワゴンリミット、ウエストチェスターHで2着してきたドローなどが対戦相手となったが、本馬に敵いそうな馬はいなかった。他馬勢より13~15ポンドも重い128ポンドの本馬が単勝オッズ1.2倍の1番人気、115ポンドのプレコシティーが単勝オッズ6.5倍の2番人気、114ポンドのワゴンリミットが単勝オッズ8.1倍の3番人気となった。ここではスタートしてすぐに先頭に立って単騎逃げに持ち込んだ。本馬がスタートから単騎で逃げたのはブルーグラスS以来久々だったが、上手くレースを支配することに成功すると、直線でも後続をまったく寄せ付けず、2着プレコシティーに3馬身1/4差をつけて完勝した。

その後はサフォークダウンズ競馬場に向かい、マサチューセッツH(米GⅢ・D9F)に出走。このレースはシガーの項でも触れたとおり、財政難のために一時的に閉鎖されていたサフォークダウンズ競馬場が集客のために高額賞金を準備して有力馬を招致しようとして開催したものであり、この年の1着賞金は並のGⅠ競走より高い50万ドルだった。シガーが2連覇した時にはシガー以外に目立つ馬はいなかったのだが、この年はチリのGⅠ競走タンテオデポトリリョス賞・ドスミルギニー賞(チリ2000ギニー)・チリグランクリテリウムを勝った後に米国に移籍してきたばかりのプエルトマデロという実力馬が参戦してきた。しかし移籍間もないプエルトマデロの実力は未知数であり、移籍初戦だった前走の一般競走が首差の辛勝だったこともあり、本馬とプエルトマデロの斤量差は14ポンドに設定された。他にも出走馬がいたためにプエルトマデロの斤量をあまり低くするわけにもいかず、プエルトマデロの斤量は116ポンドとなった。つまり本馬の斤量は130ポンドの大台に載ったわけである。シガーが2回目に勝ったときも130ポンドだったから、本馬の実力はこのレースにおいてシガーとほぼ同一視された事になる。それでも本馬が単勝オッズ1.3倍の1番人気に支持され、プエルトマデロが単勝オッズ3倍の2番人気という一騎打ちムードとなった。しかしレースでは本馬の独壇場となり、スタートから着実に先頭を走り続けると、直線入り口でいったん詰め寄ってきたプエルトマデロを直線で引き離す強い内容で、2着プエルトマデロに4馬身1/4差をつけて圧勝した。

競走生活(5歳後半)

次走はBCクラシックに次いで2度目の西海岸遠征となるハリウッド金杯(米GⅠ・D10F)となった。ここには、前年のピムリコスペシャルH以来久々の対戦となるジェントルメン、プエルトマデロ、カリフォルニアンSを勝ってきたマッドルート、サンバーナーディノHの勝ち馬でマーヴィンルロイH2着のバドロワイヤル、サンタアニタHで2着していたバグショット、サンタアニタHで3着していたドントブレイムリオなどが出走してきた。

ジェントルメンは前述のとおりサンタアニタHで鼻出血のため惨敗しており、まだ本調子とは言い難かったが、それでも地元の期待は高く、東海岸から西海岸を荒らしに来た本馬を打倒可能な一番手と目されていた。このレースは定量戦であり、本馬にとっては今まで悩まされてきた他馬との斤量差から解放されたわけで、単勝オッズ1.4倍の1番人気に支持されたが、ジェントルメンも単勝オッズ2.7倍の2番人気に推されていた。ジェントルメンの人気は厳密には同厩馬プエルトマデロとのカップリングだったのだが、前走で14ポンドの斤量差があった本馬に完敗したプエルトマデロだけに、それほど人気向上に貢献してはいなかった。前年のピムリコスペシャルHにおける本馬とジェントルメンの対戦とは異なり、今回は本馬が逃げて、ジェントルメンが2番手を追いかける逆の展開となった。向こう正面ではこの2頭が後続を大きく引き離してマッチレースの様相を呈した。しかし直線に入ると本馬がジェントルメンを引き離し、ゴール前で追い込んできた2着プエルトマデロに1馬身3/4差、3着ジェントルメンにはさらに1馬身差をつけて勝利した。

次走はフィリップHアイズリンH(米GⅡ・D8.5F)となった。本馬は前年にもこのレースに出走していたが、そのときはフォーマルゴールドに5馬身1/4差をつけられて2着に敗れていた。そのためにこの年は本馬が出走してこないのではないかと懸念したモンマスパーク競馬場は、1着賞金を前年より5万ドル多い30万ドルまで増額して本馬の参戦を促したのだった。対戦相手にはあまり目立つ馬がおらず、本馬が他馬勢よりも17~20ポンドも重い131ポンドを課せられたにも関わらず、単勝オッズ1.05倍という究極の1番人気となった。

スタートが切られると、112ポンドのクリスチャンソルジャー、114ポンドのテスタフライなどが先頭を飛ばした。最近は逃げ馬と化していた本馬はここでは逃げられずに3番手を追走した。やがて前2頭が失速すると本馬が代わりに先頭に立ったが、直線入り口では、本馬から少し離れた後方で様子を伺っていたストーミンフィーヴァー(113ポンドで単勝オッズ10.8倍の2番人気)に並びかけられた。ここから2頭の叩き合いが直線で延々と展開されたが、最後は本馬が18ポンドのハンデを与えたストーミンフィーヴァーを鼻差抑えて勝利。前年からの連勝を8に伸ばし、ハイン師から「彼は決して降参しない。まさしく真実の王者です」と賞賛された。

次走はウッドワードS(米GⅠ・D9F)となった。対戦相手は、ハリウッド金杯3着後にパシフィッククラシックSで2着してきたジェントルメン、そのパシフィッククラシックSでジェントルメンを4馬身ちぎった4歳馬フリーハウス、ウッドメモリアルS・リヴァリッジS・ドワイヤーS・ハスケル招待H・トラヴァーズSと5連勝中の3歳馬コロナドズクエスト、前走ゴントービロン賞を勝って欧州から遠征してきたランニングスタッグの4頭だった。本馬とは初顔合わせとなるフリーハウスは、前年にシルバーチャームと幾度も激戦を演じながら、サンタアニタダービー・サンフェリペS・スワップスSなどを勝利し、プリークネスSで2着、ケンタッキーダービーとベルモントSで3着した実力馬であり、下降気味のジェントルメン以上に本馬の有力な対抗馬と目されていた。本馬が単勝オッズ2.1倍の1番人気、フリーハウスが単勝オッズ2.55倍の2番人気、コロナドズクエストが単勝オッズ5.7倍の3番人気、ジェントルメンが単勝オッズ8.2倍の4番人気となった。

スタートが切られるとコロナドズクエストが先手を取ったが、本馬が早々にそれをかわして先頭に立った。そして快調に先頭を飛ばす本馬に、コロナドズクエストもフリーハウスも付いていけない中、唯一迫ってきたのは評価を落としていたジェントルメンだった。直線ではこの2頭が後続を大きく引き離したが、本馬がジェントルメンを振り払い、1馬身3/4差をつけて勝利。着差以上の楽勝ぶりから、これはレースではなく調教だと評された。

次走は前年に圧勝したジョッキークラブ金杯(米GⅠ・D10F)となった。本馬以外の有力馬はジェントルメンのみであり、単勝オッズ1.35倍という断然の1番人気に支持された本馬の2連覇はほぼ確実と目された。ところが好事魔多しで、レース当日は大雨で不良馬場となった。過去に1度も重馬場を経験していなかった本馬は、先頭を猛然と飛ばす単勝オッズ3倍の2番人気馬ジェントルメンと競り合いながら2番手でレースを進めるも、直線で全く伸びなかった。レースは単勝オッズ35倍の5番人気馬ワゴンリミット(過去に本馬とはジョッキークラブ金杯・ドンH・ガルフストリームパークH・ピムリコスペシャルHと4度戦い全て完敗していた)が四角でまくると、直線半ばでジェントルメンをかわして5馬身半差で圧勝し、2着ジェントルメンから4馬身3/4差をつけられて3着に終わった本馬の連勝は9で止まった。

勝ったワゴンリミットを管理していたハリー・アレン・ジャーケンズ調教師は、管理馬のボーパープルでケルソを3回、オニオンとプルーヴアウトでセクレタリアトを2回破ったことがあった(他にバックパサーフォアゴークーガーなども管理馬で撃破している)ため“The Giant Killer(大物食い)”の異名で呼ばれており、彼にとっては面目躍如の結果だった。

一方の本馬の敗因は、馬場状態だけではなかったようである。レース後に右前脚が少し腫れている事が判明したのである。そのため、ハイン師は本馬をこのまま引退させることも考えたようだが、結局はチャーチルダウンズ競馬場で行われるBCクラシック(米GⅠ・D10F)に連覇を狙って出走する事になった。

このレースには、ケンタッキーダービー・プリークネスS・ドバイワールドCを勝っていた前述のシルバーチャームも参戦しており、2頭の芦毛馬による頂上決戦となった。しかし強敵はシルバーチャームだけではなかった。この年のBCクラシックは同レース史上最高と言われるほどのメンバー構成となったのである。スティーヴンフォスターH・ホイットニーH・サラトガBCH・ホーソーン金杯など5連勝中のオーサムアゲイン、ドバイワールドCでシルバーチャームの短頭差2着した後にキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS・愛チャンピオンSを勝ってきたスウェイン、この年のベルモントSでリアルクワイエットの米国三冠達成を鼻差で阻止したヴィクトリーギャロップ、スーパーダービー勝ちなど6戦5勝2着1回のアーチなど、いずれも本馬とは初対戦となる強豪馬達が参戦しており、ジェントルメン、コロナドズクエスト、タッチゴールドといった本馬との既対戦組が可愛く見えるほどだった。

前走で大敗した上に右前脚に不安を抱えていた本馬だったが、それでも単勝オッズ2.9倍の1番人気に支持された。シルバーチャームが単勝オッズ3.5倍の2番人気、オーサムアゲイン、タッチゴールド、コロナドズクエストのカップリングが単勝オッズ5.7倍の3番人気。スウェインが単勝オッズ7.8倍の4番人気、ヴィクトリーギャロップが単勝オッズ8.5倍の5番人気、ジェントルメンが単勝オッズ9.8倍の6番人気となった。

スタートでは近走で見せていた加速力が無かった本馬はやや控える形となったが、やがて内枠発走を利して位置取りを上げ、逃げるコロナドズクエストの直後2番手につけた。いつもなら向こう正面で先頭を捕らえにかかるところだが、このレースでは三角に入ってもコロナドズクエストに次ぐ2番手であり、むしろシルバーチャームを始めとする後方馬勢が先に仕掛けて本馬に並びかけてきた。本馬の手応えは四角に入っても明らかに悪く、直線に入ると徐々に前との差が開きだした。レースはオーサムアゲインがシルバーチャームをゴール前でかわして優勝し、本馬はオーサムアゲインから4馬身差の6着に終わった。

勝てばシガーの持つ北米獲得賞金記録999万9815ドルを更新して史上初の1000万ドルホースになるはずだったが果たせず、このレースを最後に競走馬を引退した。しかし5歳時は9戦7勝の成績で、エクリプス賞最優秀古馬牡馬だけでなく、前年は逃したエクリプス賞年度代表馬も受賞した。国際クラシフィケーションは131ポンドで、単独でこの年の世界第1位となった(英タイムフォーム社のレーティングは134ポンドで、135ポンドのインティカブに次ぐ2位)。GⅠ競走は合計10勝、獲得賞金総額961万6360ドルはシガーに次いで北米史上第2位(当時)となった。

競走馬としての評価

本馬は、38戦中4着以下になったのは僅か4回という安定感と、合計14の競馬場で走り、4か月以上レース間隔が空いたことがないという頑健さを合わせ持った1990年代米国有数の名馬であり、“Skippy”の愛称で陣営及びファンから親しまれた。

気性は大人しく、ハイン師を始めとする陣営の人々は本馬を家族のように愛していたという。

なお、大敗したケンタッキーダービーと現役最後のレースとなったBCクラシックが共にチャーチルダウンズ競馬場におけるレースだったことから、本馬は同競馬場を苦手としていたとする説が根強いようである。しかし科学的証拠が示されているわけではないし、そもそもたった2戦で競馬場の得手不得手を判断するのは無理があること、米国の主要競馬場はどれもそんなに形状が変わらず、チャーチルダウンズ競馬場だけ特別に不得手とする理由は見当たらない(砂の質は少し違うようだが)こと、終始外側を走らされたケンタッキーダービー、右前脚に不安を抱えたまま出走したBCクラシックといったように、2戦とも敗因がある程度推察できることから、本馬がチャーチルダウンズ競馬場を苦手としたというのは単なる結果論に過ぎないというのが筆者の意見である。

血統

Skip Trial Bailjumper Damascus Sword Dancer Sunglow
Highland Fling
Kerala My Babu
Blade of Time
Court Circuit Royal Vale Kingsway
Cora Deans
Cycle Cyclotron
Vashti
Looks Promising Promised Land Palestinian Sun Again
Dolly Whisk
Mahmoudess Mahmoud
Forever Yours
Fluoresee Double Jay Balladier
Broomshot
Snow Flame Blenheim
Firetop
Ingot Way Diplomat Way Nashua Nasrullah Nearco
Mumtaz Begum
Segula Johnstown
Sekhmet
Jandy Princequillo Prince Rose
Cosquilla
Centenary Ksar
Jubilee
Ingot Iron Ruler Never Bend Nasrullah
Lalun
Obedient Mahmoud
Uvira
Glorious Night Dark Star Royal Gem
Isolde
Queen Fleet Count Fleet
Boat

父スキップトライアルは、息子同様にハスケル招待H(米GⅠ)でGⅠ競走初勝利を飾り、古馬になってガルフストリームパークH(米GⅠ)を2連覇してGⅠ競走3勝を挙げた。他の主な勝ち鞍は、オハイオダービー(米GⅡ)・ペンシルヴァニアダービー(米GⅡ)・ペガサスH(米GⅡ)・パターソンH(米GⅡ)・マサチューセッツH(米GⅡ)・ジョンBキャンベルH(米GⅢ)で、通算成績は38戦16勝。種牡馬としては本馬以外に目立った産駒は出していない。スキップトライアルの父ベイルジャンパーは、ダマスカスの直子で、サラナクS(米GⅡ)・ドワイヤーH(米GⅡ)勝ちなど13戦5勝。

母インゴットウェイは本馬の生産者バーンハート女史の亡夫の所有馬であり、現役成績37戦5勝、クイーンホープフルS・スキップアトHとステークス競走を2勝している。本馬の半妹インゴッツダンスアウェイ(父ゲートダンサー)の子にダンスアウェイカポウティ【ノーブルダムゼルH(米GⅢ)】が、インゴットウェイの全弟にインゴッツルーラー【フェアグラウンズクラシック(米GⅢ)】がいる他、インゴットウェイの曾祖母クイーンフリートの半姉にランパート【ガルフストリームパークH】、半兄にグリークシップ【メトロポリタンH・モンマスH】、スカイシップ【フロリダダービー】がいるが、近親の活躍馬は多くは無い。→牝系:F14号族①

母父ディプロマットウェイはナシュアの直子で、現役成績は46戦14勝。アーリントンワシントンフューチュリティ・ブルーグラスS・ローレンスアーマーH・シカゴH・ニューオーリンズH・オークローンH・ルイジアナHなどを勝っている。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は米国ケンタッキー州ホープウェルファームで種牡馬入りした。初年度の種付け料は5万ドルという高額に設定されたが、現在では非常に貴重となったダマスカス直系として本馬に掛けられる期待は大きく、初年度は134頭、2年目は139頭もの繁殖牝馬を集めた。しかし残念ながら種牡馬成績は不振であり、産駒のステークスウイナーは25頭に留まった。2004年に米国競馬の殿堂入りを果たした(本馬が現役中の1998年から癌を患い、2000年に69歳で死去したハイン師も2003年に殿堂入りしている)。晩年は心臓病を患い、2010年5月にホープウェルファームにおいて心臓発作のため17歳で他界。遺体はオールドフレンズに引き取られて埋葬された。米ブラッドホース誌が企画した20世紀米国名馬100選で第32位。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

2000

マイネルエクソン

菊水賞(園田)・園田金杯(園田)

2001

Sister Swank

バレービューS(米GⅢ)

2001

Skipaslew

ゴールデンゲートダービー(米GⅢ)

2004

Skip Code

グレイBCS(加GⅢ)

2007

Skipshot

スワップスS(米GⅡ)

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