和名:アトラクション |
英名:Attraction |
2001年生 |
牝 |
鹿毛 |
父:エフィシオ |
母:フリーテーション |
母父:パースートオヴラヴ |
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外向した両前脚のため特徴的な走り方だったが、圧倒的なスピードで史上初の英1000ギニー・愛1000ギニーのダブル制覇を達成 |
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競走成績:2~4歳時に英愛仏香で走り通算成績15戦10勝2着2回 |
誕生からデビュー前まで
第10代ロックスバラ公爵ガイ・デービッド・イネス・カー卿により生産された英国産馬である。貴族であるカー卿はスコットランドのケルソ町郊外にあるフロアーズ城の城主であり、父の代から城内の牧場で馬産も行っていた。
本馬は産まれた時から両前脚が外側に曲がっているという、競走馬としては致命的とも言える欠陥を持っていた。本馬の脚の状態を見たカー卿は、本馬をセリに出しても買い手が付かないと判断し、自身が所有者となる事を決めた。カー卿は何人かの調教師に本馬の管理を依頼した。両前脚が曲がった本馬は走る段になると、前脚を外から内に巻き込むように叩きつけながら走るという、良く言えば非常に特徴的な、悪く言えば異常な走り方を見せた。この走り方を見た調教師達は「まるでヘリコプターのようだ」「壊れた干草製造機が鎌を振り回しているようだ」「神がこの馬を作った日は、神の休日だったのではないか」などと酷評し、誰も本馬を預かろうとはしなかった。
結局本馬はマーク・ジョンストン調教師に預けられた。“Always Trying”をモットーとするジョンストン師は逃げ馬を育てる事に定評があった。本馬は特徴的な走り方ではあったが、そのスピード能力は素晴らしく、ジョンストン師は本馬の能力を最大限に活かせる短距離戦の逃げ馬として本馬を育成していった。
競走生活(2歳時)
2歳4月という早い時期にデビューした本馬の初戦は、ノッティンガム競馬場で行われた芝5ハロン13ヤードの未勝利ステークスだった。ここではアビッドスペルという馬が単勝オッズ2.875倍の1番人気に推されており、K・ダルグレイシュ騎手騎乗の本馬は単勝オッズ3.5倍の2番人気だった。しかしスタートから先頭争いを演じると、残り1ハロン地点で単独先頭に立って後続を突き放し、2着アビッドスペルに5馬身差をつけて圧勝した。
次走は5月にサースク競馬場で行われたミニオットノービスフィリーズS(T5F)となった。今回はジョー・ファニング騎手とコンビを組んだ本馬が、前走の勝ち方が評価されて単勝オッズ1.25倍の1番人気に支持された。スタート時に焦れ込む仕草が見られたが、レースが始まるとやはり先頭争いを演じて残り1ハロン地点で抜け出すという内容で、2着ミラソルプリンセスに2馬身差で勝利した。
次走は6月にビヴァリー競馬場で行われたリステッド競走ヒラリーニードラートロフィー(T5F)となった。ここでは単勝オッズ2.1倍の1番人気となったが、単勝オッズ2.625倍の2番人気と、本馬とそれほど差が無い評価を受けた馬がいた。未勝利ステークス・リリーアグネスSと2戦続けて快勝してきたカルディダンサーだった。しかしスタートで出遅れたカルディダンサーはそのまま伸びずに7着に大敗。一方でスタートからやはり積極的に先行したダルグレイシュ騎手騎乗の本馬は、残り2ハロン地点で先頭に立つと、そのまま押し切って2着トルジーに2馬身半差で勝利した。
次走はアスコット競馬場で行われたクイーンメアリーS(英GⅢ・T5F)となった。これ以降本馬の全レースに騎乗するケヴィン・ダーレイ騎手と初コンビを組んだ本馬は、過去3戦がいずれもローカル競馬場で行われたマイナー競走だったにも関わらず、その勝ち方が評価されて単勝オッズ2.625倍の1番人気に支持された。対戦相手は後のUAE1000ギニー勝ち馬キャットスター、後に本馬と幾度も顔を合わせるマジェスティックデザート、2連勝中のミスチルドレイ、同じく2連勝中のクラフティファンシー、カルディダンサーなどだった。今回はスタートから先頭に立つと、残り1ハロン地点で二の脚を使って後続を引き離し、2着キャットスターに3馬身差、3着マジェスティックデザートにはさらに5馬身差をつけて圧勝した。
その3週間後にはニューマーケット競馬場で行われたチェリーヒントンS(英GⅡ・T6F)に出走した。前走クイーンメアリーSより対戦相手の層が薄く、ヒラリーニードラートロフィーで本馬の2着だったトルジー、2連勝中だったパールグレイとバースデイスーツの2頭くらいしか目立つ相手はいなかった。それもあって、単勝オッズ1.57倍の1番人気に支持された。しかし本馬はスタート直後に左側に斜行したクラフティファンシーの妨害を受け、スタートで先手を取る事に初めて失敗した。しかしスタート後1ハロン通過時点で先頭を奪うと、後は悠々と走って最後は2着パールグレイに5馬身差で大勝した。
この後はチェヴァリーパークSに出走する予定だったが蹄骨の骨折が判明してしまった。骨折の程度はかなり重度で、獣医は本馬の引退を勧告したほどだったが、陣営は諦めずに治療を行い、2歳12月には調教に復帰できるまで回復した。
2歳時はチェリーヒントンSが最後のレースとなったが、5戦全勝の成績でこの年のカルティエ賞最優秀2歳牝馬のタイトルを受賞した。GⅠ競走不出走の上に、最後の出走がデビュー前の競走馬が多かった7月だったにも関わらず2歳女王に選ばれたことからも、本馬のレースぶりがいかに印象深いものだったかが読み取れる。国際クラシフィケーションにおいても、2歳牝馬では最高の119ポンドの評価を受け、これは2歳牡馬最高だったバゴの121ポンドより2ポンド低いのみだった。
競走生活(3歳時)
2歳中に調教に戻った本馬だが、実戦復帰を果たしたのは故障から10か月後の英1000ギニー(英GⅠ・T8F)となった。フィリーズマイル勝ち馬レッドブルーム、前走マサカSを9馬身差で大圧勝してきたメイヒルS2着馬ハスラー、本馬不在のチェヴァリーパークSとロウザーSを勝っていた3戦無敗のキャリーオンケーティ、フレッドダーリンSを勝ってきたマジェスティックデザート、モイグレアスタッドS勝ち馬ネックレス、2戦無敗のシークレットチャーム、サンデーサイレンス産駒の日本産馬でフィリーズマイル2着のサンドロップといった強敵が揃っていた。しかも長期休養明けで、さらには初のマイル戦であり、厳しい戦いが予想されたが、それでも単勝オッズ5倍のレッドブルームに次ぐ2番人気(単勝オッズ6.5倍)に支持された。やはりスタートから先頭に立ち、そのまま逃げ込みを図ったが、さすがに今までのレースとはメンバーが違い、ゴール前では他馬が後方から迫ってきた。しかし2着サンドロップに半馬身差をつけて逃げ切り優勝した。
続いて愛1000ギニー(愛GⅠ・T8F)に参戦。英1000ギニーに出走していた有力馬のうち、ここに向かってきたのは本馬以外に、英1000ギニー5着馬シークレットチャーム、同9着馬マジェスティックデザート、同12着馬ネックレスなどであり、他にもチャートウェルフィリーズSを勝ってきたイラストリアスミス、レパーズタウン1000ギニートライアルSを勝ってきた後のGⅠ競走5勝馬アレクサンダーゴールドラン、メイヒルS勝ち馬で後にオペラ賞を勝つキンナードなども対戦相手となったが、単勝オッズ3倍の1番人気に支持された。そしてやはりスタートから先頭に立つと、インコースから食い下がってきたアレクサンダーゴールドランを1馬身差で抑えて勝利し、1922年に愛1000ギニーが創設されてから82年目にして史上初の英1000ギニーと愛1000ギニーの連覇を達成、「真に偉大な牝馬」と評された。
次走はコロネーションS(英GⅠ・T8F)となった。対戦相手は英1000ギニー4着馬レッドブルーム、愛1000ギニー4着馬キンナード、同5着馬シークレットチャーム、同7着馬マジェスティックデザートなど既に勝負付けが終わった馬ばかりであり、脚部不安を抱える本馬にとっての敵は対戦相手よりも、英1000ギニーから7週間で3戦目という過密日程だった。しかし単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持された本馬は、スタートから先頭に立つと終始危なげなく逃げ続け、そのまま2着マジェスティックデザートに2馬身半差で勝利した。勝ちタイム1分38秒54はコースレコードに0秒03及ばないだけという見事なものだった。本馬と4度戦って全て敗れたマジェスティックデザートのミック・シャノン調教師は「この馬と好んで戦いたがる馬はもう出てこないだろう」と本馬の強さを讃えた。
なお日本では、英1000ギニー・愛1000ギニー・コロネーションSの3競走を制した本馬は、これをもって史上初の欧州3歳牝馬マイル三冠馬となったと紹介されることがあるようだが、本馬及び上記3競走に関する海外の資料を調べてもそれらしき表現は出てこない事から、英ダービー・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS・凱旋門賞の欧州三冠と同じく日本のみの概念であり、海外ではそうした概念は存在しないようである。
さらに本馬は休みなくファルマスS(英GⅠ・T8F)に出走した。ここでは古馬牝馬との対戦となり、フィリーズマイル・リッジウッドパールSを勝ち、前走クイーンアンSで牡馬リフューズトゥベンドの首差2着してきたソヴィエトソング、愛メイトロンS・ウィンザーフォレストSの勝ち馬で後にナッソーSを勝つフェイヴァラブルタームズの4歳馬2頭が強敵だった。しかし本馬が単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持された。ここでもスタートから先頭に立って快調に逃げ続けたが、後方から追い込んできたソヴィエトソングに残り1ハロン地点で差されて2馬身半差2着に敗れてしまい、デビューから初めての黒星を喫した。
続いて仏国に遠征してジャックルマロワ賞(仏GⅠ・T1600m)に出走。ここでは古馬牡馬相手のレースとなり、前年の覇者でBCマイルも勝っていた名牝シックスパーフェクションズ、前走モーリスドギース賞で2着してきたモルニ賞・クリテリウムドメゾンラフィット勝ち馬ウィッパー、伊国のGⅢ競走キウスーラ賞3連覇のサルスロンなどが対戦相手となった。それでも本馬は単勝オッズ3.75倍の1番人気に支持された。しかしシックスパーフェクションズ陣営が送り込んできたラビット役のフォーマルハウトにハナを叩かれてしまい、先手を取る事が出来ずに2番手を走ることになり、そしてレース中盤では既に失速。勝ったウィッパーから23馬身も離された10着最下位と惨敗してしまった。このレースは重馬場で行われており、本馬の特徴的な走り方がそれに合わなかった確率が大きく、過去に1度も屈したことが無かったマジェスティックデザート(ここでは4着)にも先着されている。
次走のメイトロンS(英GⅠ・T8F)では、牡馬相手のサセックスSを勝ってきたソヴィエトソング、前年の愛1000ギニー馬で英オークス・ヴェルメイユ賞・オペラ賞で2着、BCフィリー&メアターフで3着していたイエスタデイ、オークツリーSを勝ってきたファントムウインドなどが対戦相手となった。1番人気の座は単勝オッズ1.62倍と断然の支持を集めていたソヴィエトソングに奪われ、単勝オッズ4.5倍の2番人気となった。レースではスタートから先頭に立って逃げ、前走ジャックルマロワ賞と異なりレース終盤まで先頭を維持し続けた。しかし追い込んできたソヴィエトソングにゴール寸前で半馬身かわされて2着に敗れ、ソヴィエトソングに雪辱を果たすことは出来なかった。
次走はクイーンエリザベスⅡ世Sの予定だったが、馬場状態の悪化を理由に回避し、代わりにサンチャリオットS(英GⅠ・T8F)に出走した。対戦相手は4頭だけだったが、セレブレーションマイルを勝ってきたシック、前年の仏オークス・ムーランドロンシャン賞勝ち馬ネブラスカトルネード、6度目の対戦となるマジェスティックデザートなどが出走しており、レベルは決して低くなかった。シックが単勝オッズ3.25倍の1番人気、ネブラスカトルネードが単勝オッズ3.5倍の2番人気で、本馬は単勝オッズ3.75倍で生涯初の3番人気となった。ここでもスタートから先頭に立ってそのまま逃げ込みを図ったが、ゴール前で力尽きて左側によれてしまった。しかし直線で猛然と追い上げてきたシックを辛くも半馬身抑えて勝利し、連敗を3で止めた。
この年の本馬は7戦4勝、勝ち星全てがGⅠ競走という結果を残したが、同世代に英愛オークスとBCフィリー&メアターフを制し凱旋門賞でも3着したウィジャボードがいたため、カルティエ賞の年度表彰ではこの年無冠に終わった。なお、ウィジャボードは牡馬勢を抑えてカルティエ賞年度代表馬にも選出され、また、本馬に2戦2勝だったソヴィエトソングも牡馬勢を抑えてカルティエ賞最優秀古馬に選ばれており、この年の欧州牝馬路線はレベルが高かったと言える(牡馬のレベルが低かったとも言える)。
競走生活(4歳時)
4歳時も現役を続行し、地球の裏側の香港でチャンピオンズマイル(T1600m)に出走した。このレースには香港競馬の英雄サイレントウィットネスが無傷の18連勝を賭けて参戦しており、単勝オッズ1.2倍という圧倒的な1番人気に支持されていた。香港金杯・スチュワーズCなどを勝っていた後の安田記念馬ブリッシュラックが単勝オッズ9.3倍の2番人気で、本馬は単勝オッズ11倍の3番人気だった。しかし欧州から香港まで遠征してきた疲労の影響なのか、スタートで出遅れてしまい、馬群の中団を走る羽目になってしまった。なんとか直線入り口では5番手まで押し上げたが、そこから全く伸びずに、サイレントウィットネスを短頭差抑えて勝ったブリッシュラックから15馬身差をつけられた11着と惨敗した。
安田記念にも登録していたが回避して英国に戻り、8月のハンガーフォードS(英GⅢ・T7F)に向かった。前走サセックスS5着のスリーピングインディアン、ダイオメドS・レノックス2回・チャレンジSの勝ち馬ナイールなどが出走しており、131ポンドのトップハンデだった本馬はこの2頭(いずれも単勝オッズ3.25倍)に1番人気の座を譲って3番人気(単勝オッズ6倍)での出走となった。今度はスタートから先頭に立って逃げることが出来たが、ゴール前で失速して、スリーピングインディアンの6馬身1/4差4着に敗れた。
次走のメイトロンS(英GⅠ・T8F)では、セレブレーションマイルを2連覇してきたシック、オークツリーSを勝っていた7度目の対戦となるマジェスティックデザートに加えて、愛国の名門エイダン・オブライエン厩舎に所属する1歳年下の英1000ギニー馬ヴァージニアウォーターズも出走してきた。人気はかなり割れており、シックが単勝オッズ3.75倍の1番人気、本馬が単勝オッズ4.33倍の2番人気、ヴァージニアウォーターズが単勝オッズ6倍の3番人気、マジェスティックデザートが単勝オッズ7.5倍の4番人気となった。スタートが切られると本馬が一気に先頭を奪い、ヴァージニアウォーターズやマジェスティックデザートが好位を追走、シックは最後方待機策を選択した。近走と異なり、今回の本馬はゴール前でもよく粘り、直線で追い込んできたシックを3/4馬身抑えて勝利(ヴァージニアウォーターズはシックから半馬身差の3着、マジェスティックデザートは9着最下位だった)。ジョンストン師は本馬を「素晴らしい度胸の持ち主」と賞賛した。
しかしこの直後に故障を発生し、翌10月に現役引退が発表された。4歳時の成績は3戦1勝だった。
本馬については、当初の低評価ぶりとその後の活躍、重度の故障から復活した事、ライオンハートの持ち主と評された事、大衆人気を博した事など共通点が多いことから、地元では英国版シービスケットと呼ばれているようである。
血統
Efisio | Formidable | Forli | Aristophanes | Hyperion |
Commotion | ||||
Trevisa | Advocate | |||
Veneta | ||||
Native Partner | Raise a Native | Native Dancer | ||
Raise You | ||||
Dinner Partner | Tom Fool | |||
Bluehaze | ||||
Eldoret | High Top | Derring-Do | Darius | |
Sipsey Bridge | ||||
Camenae | ヴィミー | |||
Madrilene | ||||
Bamburi | Ragusa | Ribot | ||
Fantan | ||||
Kilifi | Relic | |||
Ethelreda | ||||
Flirtation | Pursuit of Love | グルームダンサー | Blushing Groom | Red God |
Runaway Bride | ||||
Featherhill | Lyphard | |||
Lady Berry | ||||
Dance Quest | Green Dancer | Nijinsky | ||
Green Valley | ||||
Polyponder | Barbizon | |||
Second Thought | ||||
Eastern Shore | サンプリンス | Princely Gift | Nasrullah | |
Blue Gem | ||||
Costa Sola | Worden | |||
Sunny Cove | ||||
Land Ho | プリメラ | My Babu | ||
Pirette | ||||
Lucasland | Lucero | |||
Lavant |
父エフィシオは現役成績23戦8勝、エミリオトゥラティ賞(伊GⅠ)・キウスーラ賞(伊GⅡ)2回・ホーリスヒルS(英GⅢ)・チャレンジS(英GⅢ)などを制した中堅マイラーだった。直系はミドルパークS(英GⅠ)・ミルリーフS(英GⅡ)勝ち馬フォーミダブルを経て南米の歴史的名馬フォルリに至るハイペリオン直系である。エフィシオは種牡馬として欧州で複数のGⅠ競走勝ち馬を輩出し、貴重なハイペリオン直系を守るべく奮闘した。
母フラーテイションは英国で走り1戦未勝利。近親にはあまり活躍馬がいないが、遠縁にはジュライC・ナンソープS勝ち馬ソーブレスド、愛1000ギニー・サセックスS・ムーランドロンシャン賞とGⅠ競走3勝のソニックレディ、東京優駿勝ち馬ロジユニヴァース、阪神ジュベナイルフィリーズ・NHKマイルCの勝ち馬メジャーエンブレムなどがいる。フラーテイションの7代母ヴァーディクトの両親ショーグンとフィナーレが共に以前は正式なサラブレッドではない半血系とみなされており、本馬の牝系が正式なサラブレッドとして英国血統書(ジェネラルスタッドブック)に掲載されたのは1969年になってからの事だった。そのため、本馬についても英国半血馬血統であるとして純粋なサラブレッドとしてのステータスを疑問視する偏見が存在しているという。しかしそれを言い出したら、現存する全てのサラブレッドに、以前は正式なサラブレッドとして英国血統書に認められていなかったレキシントンなどの馬の血が入っている以上、純粋なサラブレッドなど存在しない事になってしまうのではないだろうか。→牝系:B3号族
母父パースートオヴラヴは現役成績12戦4勝、モーリスドギース賞(仏GⅡ)・キヴトンパークS(英GⅢ)を制した短距離馬だった。パースートオヴラヴの父グルームダンサーはブラッシンググルーム産駒で、リュパン賞(仏GⅠ)・コンデ賞(仏GⅢ)・ギシュ賞(仏GⅢ)・ダフニ賞(仏GⅢ)・プランスドランジュ賞(仏GⅢ)勝ちなど13戦8勝。種牡馬としては日本を含む世界各国で供用された。
競走馬引退後
競走馬を引退した本馬はカー卿の所有のもと、フロアーズ城の牧場で繁殖入りした。初子の牝駒イレーション(父ケープクロス)、2番子の牝駒デヴァステーション(父オアシスドリーム)は共に勝ち上がったが、いずれも1勝止まりだった。3番子の牡駒サブトラクション(父ピヴォタル)は不出走。しかし4番子の牝駒クッション(父ガリレオ)は2勝を挙げた他にマイチャーマーH(米GⅢ)で2着するなど一定の活躍を見せた。そして5番子の牡駒ファウンテンオブユース(父オアシスドリーム)がサファイアS(愛GⅢ)を勝っており、自身の領域には遠く及ばないにしても繁殖牝馬としての成績は上昇傾向にある。