ゴールデンフェザント

和名:ゴールデンフェザント

英名:Golden Pheasant

1986年生

芦毛

父:カロ

母:パーフェクトピジョン

母父:ラウンドテーブル

世界各国を渡り歩きジャパンCでメジロマックイーンを破って優勝したアーリントンミリオン覇者だが種牡馬としては日本の馬場適性を十分に発揮できず

競走成績:3~6歳時に英仏米日で走り通算成績22戦7勝2着4回3着3回

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州においてケアレーンファームとヴィンテージメドウファームにより共同生産され、サンマステーブル名義で競走馬となり、英国クライヴ・E・ブリテン調教師に預けられた。

競走生活(3歳時)

デビューはかなり遅く、3歳4月に英国ニューベリー競馬場で行われた芝11ハロンの未勝利ステークスだった。マイケル・ロバーツ騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ5倍の2番人気だった。スタートで出遅れてしまったが、残り2ハロン地点から猛然と追い上げて、単勝オッズ2.75倍の1番人気に推されていたフェアプロスペクトを残り1ハロン地点でかわして、3/4馬身差で勝利した。

次走のチェスターヴァーズ(英GⅢ・T12F65Y)では、サンダウンクラシックトライアルSを圧勝してきたオールドヴィックと顔を合わせた。後に仏ダービー・愛ダービーを圧勝して同世代最強という評価を受けるオールドヴィックもまだそこまでの評価を受けていたわけではなく、単勝オッズ2.5倍の2番人気。2戦無敗のワルシャンという馬が単勝オッズ2.375倍の1番人気で、ロバーツ騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ7倍の3番人気だった。レースは馬群が一団となって進んだが、直線に入ると2番手のオールドヴィックと3番手の本馬の2頭が抜け出した。しかしオールドヴィックには届かず、2馬身半差をつけられて2着に敗れた(それでも、3着馬ワルシャンには12馬身差をつけていた)。

その後は、仏国ジョナサン・E・ピーズ厩舎に転厩して、主戦場を仏国に移した。仏国における主戦となるアンソニー・クルーズ騎手を鞍上に、まずはリス賞(仏GⅢ・T2400m)に出走。ここでは直線入り口で8頭立ての7番手という位置取りから猛然と追い込み、残り150m地点で先頭に立った。しかしゴール前でハーヴェストタイムに差し返されて、鼻差の2着に敗れた。

次走のサンクルー大賞(仏GⅠ・T2400m)では、ロワイヤルオーク賞・アルクール賞・エヴリ大賞の勝ち馬でガネー賞2着のスターリフト、コロネーションC・キングエドワードⅦ世S・グレートヴォルティジュールSの勝ち馬シェリフズスター、ジャンドショードネイ賞を2連覇してきた前年の凱旋門賞3着馬ボヤティノなどが対戦相手となった。スターリフトが単勝オッズ1.7倍の1番人気、ボヤティノが単勝オッズ4.7倍の2番人気、シェリフズスターが単勝オッズ5.8倍の3番人気と続き、本馬は単勝オッズ8.7倍で6頭立て5番人気の評価だった。ここでも後方待機策を採った本馬は、直線入り口最後方からの追い込みをかけた。しかし中団から抜け出していたシェリフズスターに僅かに届かず、頭差の2着に惜敗した。

次走のニエル賞(仏GⅡ・T2400m)では、英2000ギニー・英ダービー・エクリプスS・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDSとこの年の英国の大レースを総なめにしていた超大物ナシュワンと顔を合わせた。レースは3番手を先行したナシュワンが直線で前を行くフレンチグローリー(本馬が2着したリス賞で4着だった)を捕まえにいったところに、直線入り口で4番手だった本馬が強襲。2着フレンチグローリーに1馬身半差、3着ナシュワンにはさらに半馬身差をつけて、グループ競走初勝利を挙げた。結果的にこのレースを最後に引退することになるナシュワンにとっては、これが生涯最初で最後の黒星であり、本馬の名前は「ナシュワンを破って勝った馬」として知られるようになった。

次走の凱旋門賞(仏GⅠ・T2400m)では、オールドヴィック、ナシュワンという同期の超大物2頭は揃って不在という大混戦となった。主な出走馬は、プランスドランジュ賞を勝ってきた3戦無敗のインザウイングス、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS・英国際Sで2着してきたキングエドワードⅦ世Sの勝ち馬カコイーシーズ、ガネー賞2連覇のセントアンドリュース、ヴェルメイユ賞の勝ち馬ヤングマザー、サンタラリ賞の勝ち馬ベヘーラ、英オークスで1位入線(翌年に薬物検査により失格)していたアリーサ、サンクルー大賞4着後にフォワ賞を勝っていたスターリフト、バーデン大賞・愛チャンピオンSの勝ち馬キャロルハウス、フレンチグローリーなどだった。本馬は単勝オッズ10.2倍の6番人気と穴馬としての評価を受けたが、レースでは終始後方のままで、勝ったキャロルハウスからの着差は5馬身3/4差ながらも14着という結果に終わった。

その後、北米プロアイスホッケーリーグ所属のチームであるロサンゼルス・キングスのオーナーだったブルース・マクネイル氏と、当時キングスに所属していたスター選手ウェイン・グレツキー氏が共同で本馬を購入したため、米国に移籍してチャールズ・ウィッティンガム調教師の管理馬となった。

競走生活(4歳時)

移籍初戦は4歳4月にサンタアニタパーク競馬場で行われた芝9ハロンの一般競走だった。そしてクリス・マッキャロン騎手を鞍上に、2着フライティルドーンに1馬身3/4差をつけて米国初戦を飾った。次走のジョンヘンリーH(米GⅡ・T9F)では、前年のBCマイル・アーリントンミリオンSを筆頭に、バーナードバルークH・イングルウッドH2回・エルリンコンHなどを勝っていた前年のエクリプス賞最優秀芝牡馬ステインレンとの対戦となった。しかし後方から追い込んだ本馬が、2着となった愛ナショナルSの勝ち馬クラシックフェイムに1馬身3/4差、3着ステインレンにはさらに首差をつけて勝利した。

次走のハリウッドターフH(米GⅠ・T10F)では、ステインレン、前年のジャパンCにも参戦したノーフォークS・セクレタリアトS・オークツリー招待H・デルマーダービーの勝ち馬ホークスターなどに後れを取り、ステインレンの6馬身差4着に敗退した。次走のエディリードH(米GⅠ・T9F)では、マッキャロン騎手に代わってゲイリー・スティーヴンス騎手と初コンビを組んだ。しかし、ノーフォークS・エディリードHとGⅠ競走2勝のサラトガパッセージ(5着)には先着したものの、グレード競走初出走のフライティルドーン、アメリカンHを勝ってきたクラシックフェイムの2頭に後れを取り、フライティルドーンの2馬身差3着に敗れた。

次走はアーリントンミリオンS(米GⅠ・T10F)となった。対戦相手は、ハリウッドターフH勝利後にシーザーズ国際Hを勝ちアメリカンH・バーナードバルークHで2着していたステインレン、前年のBCターフを筆頭にサンルイレイS・スワップスS・モルソンエクスポートミリオン・アーケイディアHを勝っていたプライズド、前年のクイーンズプレート・加プリンスオブウェールズS・ブリーダーズSを勝った加国三冠馬でこの年はボーリンググリーンH・タイダルHを勝ちソードダンサーHで2着していたウィズアプルーヴァル、ハイアリアターフカップH・ボーリンググリーンH・ソードダンサーH2回とGⅠ競走4勝を挙げていたエルセニョール、伊共和国大統領賞・ミラノ大賞・カールトンFバークHとGⅠ競走3勝を挙げていたアルワウーシュ、アーリントンHを勝ってきたプレザントヴァラエティ、ベイメドウズH・エルクホーンS・ETターフクラシックS・ニューハンプシャースウィープSなどの勝ち馬テンキーズ、ロングフェローHの勝ち馬ダブルブックド、クラシックフェイム、サラトガパッセージの計10頭だった。プライズドが単勝オッズ3倍の1番人気に支持され、ステインレンが単勝オッズ5倍の2番人気、ウィズアプルーヴァルが単勝オッズ5.5倍の3番人気、スティーヴンス騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ6倍の4番人気だった。最内枠発走の本馬は、道中は馬群の中団内側を追走。三角から四角にかけて外側に持ち出して4番手で直線を向いた。先にウィズアプルーヴァルが抜け出したが、そこに本馬が外側から襲い掛かり、ウィズアプルーヴァルを一気に抜き去った。最後は2着ウィズアプルーヴァルに1馬身1/4差、3着ステインレンにはさらに5馬身1/4差をつけて、GⅠ競走初勝利を挙げた。

しかしその後に右前脚の故障を発症したために、1年に及ぶ長期休養に入り、4歳時の成績は5戦3勝となった。

競走生活(5歳時)

5歳9月にデルマー競馬場で行われた芝8ハロンの一般競走で復帰した。仏国でギシュ賞・フォルス賞・エドモンブラン賞・ミュゲ賞とGⅢ競走を4勝した後に米国に移籍してきたヴァルデボワが単勝オッズ2.4倍の1番人気に支持され、スティーヴンス騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ4.5倍の2番人気だった。本馬は珍しく道中は3番手につける先行策を採ったが、直線に入る前から失速。勝ったヴァルデボワから10馬身1/4差をつけられた10着最下位に終わった。

翌月に出走したサンタアニタパーク競馬場芝9ハロンの一般競走では、コーリー・ナカタニ騎手とコンビを組んだ。ここでは、チリの三冠競走エルエンサーヨ賞・チリセントレジャー・エルダービーを含むチリのGⅠ競走6勝を挙げていたウォルフが単勝オッズ1.7倍の1番人気で、ウォルフより6ポンド斤量が軽かった本馬は単勝オッズ4.9倍の2番人気だった。前走と異なり今回は最後方待機策に戻し、直線で追い上げてきたが、先行して抜け出したウォルフに届かずに、3/4馬身差の2着に敗れた。

次走のバドワイザー国際S(米GⅠ・T10F)では、マッキャロン騎手とコンビを組んだ。亜国のGⅠ競走であるジョッキークラブ大賞・カルロスペレグリーニ大賞などの勝ち馬アルゲニブ、マンノウォーS・ターフクラシック招待Sを勝ってきたソーラースプレンダー、ジャンプラ賞の勝ち馬シレリー、次走のBCターフを勝つミスアレッジド、愛2000ギニー馬フォースターズオールスターなどが対戦相手となった。アルゲニブとソーラースプレンダーが並んで単勝オッズ5倍の1番人気に支持され、本馬が単勝オッズ5.4倍の3番人気となった。ところが勝ったのは単勝オッズ45.3倍の11番人気だったアスタルテ賞の勝ち馬リアリヴァ。馬群の中団後方からレースを進めた本馬は直線で伸びず、リアリヴァから5馬身半差の7着と振るわなかった。

その後、招待されて来日し、ジャパンC(日GⅠ・T2400m)に出走した。このレースでは、前走の天皇賞秋で1位入線しながら最下位に降着となった雪辱を期する菊花賞・天皇賞春・阪神大賞典・京都大賞典の勝ち馬メジロマックイーンが単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持されていた。続いて、前走の凱旋門賞で2着と健闘したヴェルメイユ賞・マルレ賞の勝ち馬で、仏オークス2着のマジックナイトが単勝オッズ6倍の2番人気。WLマックナイトH・ローレンスアーマーH・ジェフリーフリアS・カンバーランドロッジSの勝ち馬で、後にアスコット金杯を2連覇するドラムタップスが単勝オッズ9.6倍の3番人気。ジョッキークラブS・ハードウィックS・プリンセスオブウェールズS・リングフィールドダービートライアルS・ジョンポーターSの勝ち馬で、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS3着のロックホッパーが単勝オッズ10.9倍の4番人気。英国際S・アールオブセフトンS2回の勝ち馬で、英ダービー・エクリプスS・コロネーションCで2着していたこの年のカルティエ賞最優秀古馬テリモンが単勝オッズ13.6倍の5番人気。ジョージメインS・ホンダS・ライトニングS・ニューマーケットH・オールエイジドS・コーフィールドSと豪州GⅠ競走6勝のシャフツベリーアヴェニューが単勝オッズ15.1倍の6番人気。過去3戦のふがいないレース内容から評価を落としていた本馬が単勝オッズ18.2倍の7番人気。クイーンズランドダービー・ストラドブロークH・フォーレックスCと豪州GⅠ競走3勝のラフハビット(後にGⅠ競走8勝を上乗せ)が単勝オッズ25倍の8番人気。前走の天皇賞秋でメジロマックイーンの降着により2着に繰り上がっていた、フェブラリーH・中山金杯・目黒記念の勝ち馬カリブソングが単勝オッズ25.7倍の9番人気。エヴリ大賞・ミネルヴ賞の勝ち馬ワジドが単勝オッズ35.8倍の10番人気。菊花賞で3着してきた3歳馬フジヤマケンザンが単勝オッズ42.7倍の11番人気。高松宮杯の勝ち馬で東京優駿・天皇賞秋2着のメジロアルダンが単勝オッズ46.5倍の12番人気。ロイヤルホイップS・フォワ賞の勝ち馬スプラッシュオブカラーが単勝オッズ55.6倍の13番人気。オールカマーを勝ってきた大井競馬所属のジョージモナークが単勝オッズ98.4倍の14番人気。阪神牝馬特別の勝ち馬メインキャスターが単勝オッズ126.6倍の15番人気と続いていた。もっとも、このレースに不参加だった岡部幸雄騎手は本馬の能力を評価しており、海外馬の中で一番騎乗してみたい馬として名前を挙げていた。

スタートが切られると、ジョージモナークが先頭を引っ張り、メジロマックイーンは馬群の好位内側、スティーヴンス騎手騎乗の本馬は後方2~3番手を追走した。本馬は三角から四角にかけて大外を通って位置取りを上げると、直線に入ってすぐに爆発的な末脚を繰り出し、残り350mでマジックナイトをかわして先頭を奪い取った。最後は内側で粘ったマジックナイトに1馬身半差をつけて優勝。さらに1馬身半差の3着にシャフツベリーアヴェニューが入り、メジロマックイーンはさらに1馬身半差の4着に終わった。本馬の上がり600m34秒2は2002年に東京競馬場が改修される以前におけるジャパンC史上最速という素晴らしいものであった。

スローペースの瞬発力勝負を制しての勝利であり、日本の馬場に対する適性を見せたため、レース翌日に社台グループの創業者である吉田善哉氏が種牡馬としての価値も考慮して本馬を購入したが、翌年も米国に留まって現役を続行した。5歳時の成績は4戦1勝だった。なお、アーリントンミリオンSの勝ち馬である本馬がジャパンCも優勝したことを記念して、日本中央競馬会からアーリントンパーク競馬場に日本の桜が寄贈され、現在もパドックに彩りを加えているという。

競走生活(6歳時)

6歳時は1月のサンマルコスH(米GⅢ・T10F)から始動した。一昨年のアーリントンミリオンS4着後に本馬と同じく長期休養を強いられていたが前走サンガブリエルHを勝ってきたクラシックフェイムが単勝オッズ3.3倍の1番人気、完全に主戦として固定される事になったスティーヴンス騎手騎乗の本馬が単勝オッズ4倍の2番人気、前年のエディリードHで本馬を破った後にバドワイザー国際H・サンマルコスH・サイテーションHを勝っていたフライティルドーンが単勝オッズ4.5倍の3番人気だった。しかし本馬は122ポンドのトップハンデに加えて前年の遠征疲れも残っていたのか、追い込みが不発に終わり、クラシックフェイムの4馬身差4着に敗退した。

その後は4か月ほど休養し、5月のイングルウッドH(米GⅡ・T8.5F)で復帰した。ここでは他馬勢より4~9ポンド重い121ポンドのトップハンデを課せられた。それでも単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持されると、馬群の中団から差し切って、2着ブレイズオブライエンに1馬身1/4差で勝利した。

次走のアメリカンH(米GⅡ・T9F)では、他の出走馬3頭よりも7~9ポンド重い123ポンドのトップハンデを課せられた。それでも本馬が単勝オッズ1.6倍の1番人気に支持され、116ポンドのセレブレーションマイルの勝ち馬ボールドルシアンが単勝オッズ2.9倍の2番人気となった。レースは出走全馬が概ね固まって進み、直線入り口からの瞬発力勝負となった。大接戦を制したのは114ポンドの最軽量だった単勝オッズ10.2倍の最低人気馬マンフロムエルドラドで、ボールドルシアンが首差の2着、本馬はさらに首差の3着に敗れた。

次走のエディリードH(米GⅠ・T9F)では、前年のアーリントンミリオンS・エディリードH・イングルウッドH・アメリカンHを勝ってエクリプス賞最優秀芝牡馬に選ばれたタイトスポット、ハリウッド金杯の勝ち馬マーケトリーなどが主な対戦相手だった。125ポンドのタイトスポットが単勝オッズ2.5倍の1番人気、118ポンドのマーケトリーが同厩馬リュティエアンシャンターとのカップリングで単勝オッズ2.9倍の2番人気、122ポンドの本馬が単勝オッズ4倍の3番人気だった。ここでは馬群の中団やや後方を進んだ本馬だったが、完全に末脚が不発に終わり、勝ったマーケトリーから6馬身半差の7着と完敗した。

その後は2年ぶりの勝利を狙ってアーリントンミリオンS(米GⅠ・T10F)に出走。ETディキシーH・ETマンハッタンH・シーザーズ国際H・アーリントンHと4連勝中だったスカイクラシック、マーケトリー、米国に移籍してハリウッドターフHを勝っていた英ダービー馬クエストフォーフェイム、香港招待Cを勝っていた後の香港三冠馬リヴァーヴァードン、ジャックルマロワ賞を勝ってきたイグジットトゥノーウェア、ジャンドショードネイ賞の勝ち馬ディアドクターなどが対戦相手となった。この年のエクリプス賞最優秀芝牡馬に選ばれるスカイクラシックが単勝オッズ2.2倍の1番人気、マーケトリーとクエストフォーフェイムのカップリングが単勝オッズ4.7倍の2番人気で、本馬は単勝オッズ7.7倍の3番人気での出走となった。レースではスタート直後は馬群の好位につけたが、徐々に後退して最後方まで下がってしまった。そのまま後方でレースを進め、直線では大外に持ち出して一気に追い込んできた。途中までは前年のジャパンCを髣髴とさせる末脚だったが、ゴール前で脚色が鈍り、内を突いて勝ったディアドクターと粘り込んだスカイクラシックの2頭に頭差と首差及ばず3着に惜敗した。

次走のカーネルFWケスターH(米GⅡ・T8F)では、亜国のGⅠ競走グランクリテリウム大賞の勝ち馬レジャーキャット、エディリードHで2着だったリュティエアンシャンター、メドウランズCH・ベルエアH・デルマーBCH・サンパスカルHなどの勝ち馬トワイライトアジェンダなどが対戦相手となった。かなりの混戦模様であり、レジャーキャットが同厩馬アズクウェトゥとのカップリングで単勝オッズ3.4倍の1番人気、本馬とリュティエアンシャンターが並んで単勝オッズ3.7倍の2番人気、トワイライトアジェンダが単勝オッズ3.9倍の4番人気だった。今回も最後方からの競馬を選択した本馬だったが、122ポンドのトップハンデも影響したのか前走のような伸びは無く、トワイライトアジェンダの4馬身3/4差6着に敗れた。

次走のカールトンFバークH(米GⅡ・T10F)では、英チャンピオンS・アラルポカルと欧州GⅠ競走2勝のテルクウェル、パシフィッククラシックS・ガリニュールS・セレクトSの勝ち馬ミッショナリーリッジとの顔合わせとなった。121ポンドのテルクウェルが単勝オッズ3.3倍の1番人気、122ポンドの本馬が単勝オッズ3.5倍の2番人気、117ポンドのミッショナリーリッジが単勝オッズ3.7倍の3番人気となった。ここでも馬群の中団後方を進んだ本馬は、直線入り口6番手から追い込んできたが届かずに、ミッショナリーリッジの2馬身1/4差4着に敗退。このレースを最後に、6歳時7戦1勝の成績で競走馬を引退した。

血統

Caro フォルティノ Grey Sovereign Nasrullah Nearco
Mumtaz Begum
Kong Baytown
Clang
Ranavalo Relic War Relic
Bridal Colors
Navarra Orsenigo
Nervesa
Chambord Chamossaire Precipitation Hurry On
Double Life
Snowberry Cameronian
Myrobella
Life Hill Solario Gainsborough
Sun Worship
Lady of the Snows Manna
Arctic Night
Perfect Pigeon Round Table Princequillo Prince Rose Rose Prince
Indolence
Cosquilla Papyrus
Quick Thought
Knight's Daughter Sir Cosmo The Boss
Ayn Hali
Feola Friar Marcus
Aloe
Pink Pigeon T. V. Lark Indian Hemp Nasrullah
Sabzy
Miss Larksfly Heelfly
Larksnest
Ruwenzori Oil Capitol Mahmoud
Never Again
Ruanda Alibhai
Foxy Tetra

カロは当馬の項を参照。

母パーフェクトピジョンは現役成績13戦未勝利。母としては本馬の全兄トライアルバイエラー【ディーS(英GⅢ)】、半妹シーウィロ(父プレザントコロニー)【クイーンシャーロットH(米GⅢ)】も産んでいる。本馬の半姉ピンクドーヴ(父アーギュメント)の子には日本で走ったヒカリシュタイン【北関東弥生賞】、孫にはベッラレイア【フローラS(GⅡ)】、曾孫にはタピッツフライ【ジャストアゲームS(米GⅠ)・ファーストレディS(米GⅠ)・ハニーフォックスS(米GⅡ)・BCジュヴェナイルフィリーズターフ】がいる。パーフェクトピジョンの母ピンクピジョンは、アメリカンH・ビヴァリーヒルズH・サンタバーバラH・アーリントンメイトロンHを勝つなど46戦12勝の成績を残した活躍馬。ピンクピジョンの全妹グレイダヴの子にはグレイヴラインズ【ジャックルマロワ賞(仏GⅠ)・ムーランドロンシャン賞(仏GⅠ)】がいる。母系を遡ると、ベイロナルドの母ブラックダッチェスに行き着き、ブランドフォードや本馬の父カロなども同じ牝系である。→牝系:F3号族②

母父ラウンドテーブルは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は日本の社台スタリオンステーションで種牡馬入りした。かなりの期待種牡馬であり、初年度は83頭、2年目は107頭、3年目は115頭、4年目の1996年は112頭の繁殖牝馬を集めた。初年度産駒はこの1996年にデビューして、そのうちの1頭トキオエクセレントが青葉賞を勝ち、東京優駿・菊花賞に出走する活躍を見せた。そのために、5年目の交配数は89頭、6年目は52頭、7年目は76頭、8年目は77頭と、繁殖牝馬の数は確保された。しかしトキオエクセレントに続く活躍馬がなかなか出なかったために、やがて種牡馬人気は低下。9年目は27頭、10年目の2002年は4頭の交配数に留まり、同年に中国に輸出され、北京にある龍頭牧場で供用されることになった。輸出後の消息は伝わってこないため、存命中かどうかは定かではない。全日本種牡馬ランキングでは1999年の27位が最高だった。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1994

トキオエクセレント

青葉賞(GⅢ)

2000

ピュアガール

白百合特別(北関GⅢ)

2001

ヤマニンアラバスタ

新潟記念(GⅢ)・府中牝馬S(GⅢ)

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