和名:ヴォルテアー |
英名:Voltaire |
1826年生 |
牡 |
黒鹿 |
父:ブラックロック |
母:ファントムメア |
母父:ファントム |
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英セントレジャーで2着した後にドンカスターCを勝って僅か5戦のキャリアで種牡馬入りしたヴォルティジュールの父 |
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競走成績:2・3歳時に英で走り通算成績5戦4勝2着1回 |
誕生からデビュー前まで
英国ダーラム州にある町ハートリプールにおいて、ロバート・スチーブンソン氏により生産・所有された。身体は大柄で、父ブラックロック産駒の中でも特に上品な顔立ちをしていたという。
競走生活
2歳時にはカテリック競馬場で行われたリッチモンドクラブSと、ニューカッスル競馬場で行われたタイロSの2戦のみに出走して、両方とも勝利を収めた。その後に本馬は、ダーリントン伯爵から初代クリーブランド公爵になったばかりのウィリアム・ハリー・ベイン卿により購入された。ベイン卿はかなりの競馬狂で、自身で馬産も行っていたが、見込みがある馬を高額で購入する事も頻繁に行っていた。
3歳時は春にヨーク競馬場で行われたスウィープSから始動して勝利。その後はしばらくレースに出走せず、3歳2戦目は秋の英セントレジャー(T14F132Y)となった。本馬に騎乗したサム・チフニー騎手は徹底して本馬の仕掛けを遅らせ、直線で猛然と追い込んだものの、勝った単勝オッズ4.5倍の1番人気馬ラウトンに半馬身届かず2着に敗れた(3着はバードキャッチャーの父となるサーヘラクレスだった)。一般的にこのレースは騎手の仕掛けが遅かったのが敗因とされているようである。筆者は結果論で騎乗を批判するのは基本的に嫌いなので、騎乗ミスが敗因だとは本項では断定しないが、レースを見ていた多くの人間が遅過ぎたと感じたのは確からしい。
続いて本馬はドンカスターC(T20F)に出走した。前年の同競走を勝ち一昨年の英セントレジャーで3着していた同じブラックロック産駒のローレル、3年前の同競走やこの年のグッドウッドCを勝っていた名牝フルールドリスなどが対戦相手となったが、単勝オッズ3.5倍の高評価を受けた本馬が、ローレルを半馬身差の2着に、フルールドリスを3着に破って勝利した。本馬はこのレースを最後に競走馬を引退。2歳時に2戦、3歳時に3戦という、かなり短い競走馬生活だった。
血統
Blacklock | Whitelock | Hambletonian | King Fergus | Eclipse |
Creeping Polly | ||||
Grey Highflyer | Highflyer | |||
Monimia | ||||
Rosalind | Phoenomenon | Herod | ||
Frenzy | ||||
Atalanta | Matchem | |||
Young Lass of the Mill | ||||
Coriander Mare | Coriander | Pot-8-o's | Eclipse | |
Sportsmistress | ||||
Lavender | Herod | |||
Snap Mare | ||||
Wildgoose | Highflyer | Herod | ||
Rachel | ||||
Co-Heiress | Pot-8-o's | |||
Manilla | ||||
Phantom Mare | Phantom | Walton | Sir Peter Teazle | Highflyer |
Papillon | ||||
Arethusa | Dungannon | |||
Prophet Mare | ||||
Julia | Whiskey | Saltram | ||
Calash | ||||
Young Giantess | Diomed | |||
Giantess | ||||
Overton Mare | Overton | King Fergus | Eclipse | |
Creeping Polly | ||||
Herod Mare | Herod | |||
Snip Mare | ||||
Walnut Mare | Walnut | Highflyer | ||
Maiden | ||||
Ruler Mare | Ruler | |||
Piracantha |
父ブラックロックは当馬の項を参照。
母ファントムメアはファントム産駒の牝馬という意味の無名馬で、繁殖牝馬としては15頭の産駒を産んだ。本馬の全妹ヴァリエラの子に第1回コロネーションSの勝ち馬スパングルがいる他、本馬の半姉フェアリー(父カットン)の牝系子孫に豪州を中心とする多くの活躍馬が、本馬の半姉ウィスカーメア(父ウィスカー)の牝系子孫にやはり豪州を中心とする複数の活躍馬が、本馬の半妹フィッシャーラス(父オズモンド)の牝系子孫にもやはり豪州を中心とする複数の活躍馬が出たが、この4頭の牝系子孫は20世紀中には途絶えたようである。
本馬の姉妹の中で唯一牝系子孫が21世紀まで残っているのは、ブラックロックの息子ブルタンドルフを父に持つ本馬の半妹ブルタンドルフメアであり、ミミ【英1000ギニー・英オークス】、ナンナイサー【英1000ギニー】、ライジングプリンス【コックスプレート(豪GⅠ)・クイーンエリザベスS(豪GⅠ)・マッキノンS(豪GⅠ)】、日本で走ったタニノハローモア【東京優駿】など、渋めの馬が多く出ている。→牝系:F12号族②
母父ファントムはウォルトンの項を参照。
競走馬引退後
競走馬を引退した本馬は英国で種牡馬入りした。英国のどこで種牡馬入りしたかは資料に記載が無いが、本馬の代表産駒であるヴォルティジュールの生産者は本馬の生産者でもあるスチーブンソン氏であることから、スチーブンソン氏の元か、それに近い場所で種牡馬入りしていた可能性が高いと思われる。本馬は種牡馬として英国クラシック競走の勝ち馬を2頭輩出しているが、そのうちの1頭であるチャールズザトゥエルフスは本馬が10歳時に誕生した馬で、もう1頭のヴォルティジュールは本馬が21歳時に誕生した馬であり、種牡馬としては大物を次々と出すタイプではなかったようで、コンスタントに走る馬を出しながら稀に大物を出すタイプだったようである。本馬の没年は不明であるが、1849年産まれの産駒がいることから、その前年の1848年、22歳までは存命だった事は確実である。
本馬の後継種牡馬としてはヴォルティジュールが成功し、直系子孫からガロピン、セントサイモン親子が登場して後世の競馬界に絶大な影響を与えた。
主な産駒一覧
生年 |
産駒名 |
勝ち鞍 |
1836 |
Charles the Twelfth |
英セントレジャー・ドンカスターC・グッドウッドC2回 |
1836 |
Charles the Twelfth |
グッドウッドC |
1838 |
Yorkshire Lad |
ジュライS |
1839 |
Yorkshire Lady |
スチュワーズC |
1843 |
Prussic Acid |
トライアルS |
1847 |
英ダービー・英セントレジャー・ドンカスターC |
|
1848 |
Vivandiere |
ヨークシャーオークス |