ルアー

和名:ルアー

英名:Lure

1989年生

鹿毛

父:ダンチヒ

母:エンディアー

母父:アリダー

ミエスク以来史上2頭目のBCマイル連覇を達成するもエクリプス賞では無冠に終わった20世紀米国芝最強マイラー

競走成績:2~5歳時に米で走り通算成績25戦14勝2着8回

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州の名門牧場クレイボーンファームと、米国の名馬産家ウィリアム・ハギン・ペリー氏の馬産団体ザ・ゲイムリー・コーポレーションの共同生産馬で、クレイボーンファームの所有馬として、クロード・マゲイヒーⅢ世調教師に預けられた。

競走生活(2歳時)

2歳6月にベルモントパーク競馬場で行われたダート5ハロンの未勝利戦で、ジェリー・ベイリー騎手を鞍上にデビューした。単勝オッズ2倍の1番人気に支持された本馬は道中で2番手を追走すると、直線入り口で先頭に立って後続を引き離し、2着に入った単勝オッズ5.2倍の2番人気馬インアウォークに5馬身差をつけて圧勝。勝ちタイム56秒3はコースレコードであり、このレースで一躍注目馬となった。なお、ここには後にプリークネスSを勝つパインブラフも、後に本馬の主戦となるマイク・スミス騎手を鞍上に出走していたが、単勝オッズ5.3倍の3番人気で、本馬から10馬身3/4差の5着に敗れている。

その後は3か月間の間隔を経て、9月のベルモントパーク競馬場ダート7ハロンの一般競走で復帰して、単勝オッズ1.4倍という断然の1番人気に支持された。レースでは単勝オッズ5.4倍の2番人気馬デヴィルオンアイスが好スタートから先頭を飛ばし、本馬は3番手を追走した。三角手前で2番手に上がった本馬は先頭のデヴィルオンアイスを追撃。しかし泥だらけの不良馬場の中を泳ぐように快調に飛ばしてきたデヴィルオンアイスの脚色は衰えず、それを捕まえられなかった本馬は1馬身1/4差の2着に敗退。それでも3着馬クラフティコヴェントリーには14馬身差をつけていたから、その能力の一端は見せたと言える。

次走は翌月のシャンペンS(GⅠ・D8F)となった。さすがにGⅠ競走だけあって対戦相手は質量共に向上しており、サラトガスペシャルS・サンフォードS・アーリントンワシントンフューチュリティを勝ってきたコーラーアイディー、ホープフルSでコーラーアイディーを3着に破っていたトレモントBCSの勝ち馬ソルトレイク、前走で本馬を破ったデヴィルオンアイス、ベルモントフューチュリティSを勝ってきたエジンコート、同2着だったトライトゥウォッチ、同3着だったパインブラフなどが参戦してきた。しかしステークス競走初登場の上に前走敗戦していた本馬が単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持され、コーラーアイディーが単勝オッズ6倍の2番人気、デヴィルオンアイスが単勝オッズ9倍の3番人気、パインブラフが単勝オッズ10.1倍の4番人気となった。前走と異なり良馬場だったために本馬にとっては何の不安材料も無いはずだったが、スタートで後手を踏んで馬群の中団後方からレースを進める事になり、直線に入っても全く伸びなかった。レースは好スタートからいったん後方に下げると、向こう正面でスパートしてそのまま突き抜けた単勝オッズ13.7倍の6番人気馬トライトゥウォッチが2着スナッピーランディングに7馬身半差をつける圧勝劇を演じ、トライトゥウォッチから13馬身3/4差をつけられた本馬は6着に敗れ、パインブラフ(3着)、デヴィルオンアイス(4着)、コーラーアイディー(5着)にも先着されてしまった。2歳時はこれが最後のレースで、この年の成績は3戦1勝だった。

競走生活(3歳前半)

3歳時は3月にアケダクト競馬場で行われたダート6ハロンの一般競走から始動した。本馬の鞍上は過去3戦で騎乗したベイリー騎手から、スミス騎手に代わっていた。このレースにはこれといった対戦相手がおらず、本馬が単勝オッズ1.4倍の1番人気に支持された。そして好スタートから2番手を追走すると、四角で先頭に立って後続を引き離し、追い込んで2着に入った単勝オッズ20.4倍の7番人気馬コーティングプレジャーに8馬身3/4差をつけて圧勝。これ以降にスミス騎手は本馬の主戦となり、レースに出る本馬の鞍上には常にスミス騎手の姿があるようになった。

翌月にはゴーサムS(GⅡ・D8F)に出走した。このレースにもこの時点でそれほど実績を残している馬は他におらず、本馬が単勝オッズ1.6倍の1番人気に支持された。スタートでやや出遅れた本馬だったが、徐々に位置取りを上げていき、三角手前では先頭に立った。そこへ単勝オッズ11.9倍の5番人気馬デヴィルヒズデューも本馬を徹底マークするように上がってきて、この2頭が先頭を争いながら四角を回って直線へと入ってきた。直線では内側の本馬と外側のデヴィルヒズデューが大激戦を繰り広げた末に、2頭が同時にゴールイン。写真判定でも2頭の差は判断できず、1着同着という結果となった。デヴィルヒズデューは次走のウッドメモリアル招待Sを勝ち、その後もガルフストリームパークH・ピムリコスペシャルH・サバーバンH2回と合計でGⅠ競走5勝を挙げ、長きに渡って米国ダート路線のトップホースとして活躍する事になるのだが、後に進んだ道が全く違ったために本馬と対戦する機会は2度と無かった。

次走のレキシントンS(GⅡ・D8.5F)では、リズンスターS・ルイジアナダービーで連続2着してきたヒルパス、ハッチソンSの勝ち馬マイラックランズノース、シャンペンSで14着に惨敗していたエジンコートなどが対戦相手となった。118ポンドの本馬が単勝オッズ1.4倍という圧倒的な1番人気に支持され、114ポンドのヒルパスが単勝オッズ6.8倍の2番人気、115ポンドのエジンコートが単勝オッズ7.1倍の3番人気、115ポンドのマイラックランズノースが単勝オッズ8.7倍の4番人気となった。レースでは好スタートから3番手を追走。三角で先頭に立ってそのまま押し切りを図ったが、本馬をマークするように走っていたマイラックランズノースにゴール直前で差されて首差2着に破れた。3着エジンコートにも鼻差まで迫られており、3ポンドの斤量差や、苦手な重馬場を考慮しても内容的には今ひとつだった。

この時点ではケンタッキーダービーの候補として名が挙がっていた本馬だったが、レキシントンSの結果が決定打となり、米国三冠競走は全て見送ることになった。

次走はベルモントS当日に同じベルモントパーク競馬場で行われたリヴァリッジS(GⅢ・D7F)となった。ここではベイショアSの勝ち馬スリーピートが単勝オッズ2.1倍の1番人気に支持され、単勝オッズ3倍の2番人気が初めて1番人気の座を他馬に明け渡した本馬、単勝オッズ6.5倍の3番人気がサンペドロS・ハリーヘンソンSとノングレードのステークス競走を連勝してきたスラープだった。人気は下がっても結果が出れば問題なかったのだが、レースでは馬群の中団好位追走から四角で後退。レースは先行した単勝オッズ13.3倍の5番人気馬スーパーストライクが上位人気馬3頭より7ポンド軽い斤量を活かして勝利を収め、本馬はスーパーストライクから11馬身差の6着に敗退。このレースも本馬が苦手とする重馬場だったが、それにしても7頭立ての6着では負け過ぎであった。陣営はこれで本馬をダート路線から芝路線に転向させる決心を固めたと思われる。

競走生活(3歳後半)

夏場は休養に充て、9月にベルモントパーク競馬場で行われた芝8.5ハロンの一般競走が復帰戦となった。初の芝競走だったが、ペリー氏の単独所有馬だった別厩舎のスカフルバーグ(通算22戦してステークス競走の出走はいずれもGⅠ競走のペガサスHとガルフストリームパークHの2回のみだったが、その2回とも勝ったというちょっと不思議な馬)とのカップリングで単勝オッズ2倍の1番人気に支持された。道中は2番手を追走すると、三角手前で先頭に立ち、そのまま後続を引き離しにかかった。直線で本馬に迫ってくる馬は1頭も存在せず、2着マッチョプレシャスに10馬身1/4差、次走のペガサスHを勝つ3着スカフルバーグにはさらに3馬身1/4差をつけて圧勝。これで本馬は芝路線を進むことが確定した。

次戦のケルソH(GⅢ・T8F)では、仏国でギシュ賞・フォルス賞・エドモンブラン賞・ミュゲ賞を勝った後に米国に移籍して前年のBCマイル・エディリードHで2着していたヴァルデボワ、サラトガバドワイザーBCH・クリフハンガーHを連勝してきたローマンエンヴォイの2頭が強敵だった。118ポンドのヴァルデボワが単勝オッズ3.3倍の1番人気、111ポンドの本馬が単勝オッズ3,7倍の2番人気、117ポンドのローマンエンヴォイが単勝オッズ4.2倍の3番人気だった。スタートが切られるとローマンエンヴォイが逃げを打ち、本馬は1~2馬身ほど後方の2番手、ヴァルデボワは後方から進んだ。しかし本馬が苦手とする重馬場はここでも本馬を悩ませ、直線に入るとローマンエンヴォイとの差が徐々に広がり始めた。結局ローマンエンヴォイが逃げ切って勝ち、本馬は2馬身3/4差の2着、追い込んだヴァルデボワがさらに2馬身差の3着という結果になった。

次走はフロリダ州ガルフストリームパーク競馬場で行われたBCマイル(GⅠ・T8F)となった。このレースで圧倒的な注目度を集めていたのは、何と言っても「ワンダーホース」アラジだった。前年にBCジュヴェナイル・仏グランクリテリウム・サラマンドル賞・モルニ賞・ロベールパパン賞を勝ちまくって2歳にしてカルティエ賞年度代表馬に選ばれたアラジは、ケンタッキーダービー惨敗後は迷走が続いていたが、前走ロンポワン賞を圧勝して復活の兆しを見せていたのだった。他の対戦相手は、クイーンエリザベスⅡ世S・ロッキンジS・セレブレーションマイル・チャレンジSを勝ちサセックスS2着・クイーンエリザベスⅡ世S3着の英国最強マイラーのセルカーク、セントジェームズパレスS・ガリニュールSの勝ち馬でムーランドロンシャン賞・クイーンエリザベスⅡ世S2着・愛2000ギニー3着のブリーフトゥルース、シーオーエリンH・キーンランドBCSの勝ち馬ロータスプール、ジャックルマロワ賞・トーマブリョン賞・エドモンブラン賞・ミュゲ賞の勝ち馬でイスパーン賞3着のイグジットトゥノーウェア、ヴァルデボワ、エディリードH2着馬リュティエアンシャントゥール、サンフランシスコマイルH・オールアメリカンH・ゴールデンゲートH・ベイメドウズHの勝ち馬フォーティーナイナーデイズ、米国競馬名誉の殿堂博物館Sの勝ち馬でセクレタリアトS2着のパラダイスクリーク、クリテリウムドメゾンラフィット・エクリプス賞の勝ち馬でジャックルマロワ賞3着のカルドゥン、ロンポワン賞・ベイメドウズダービーの勝ち馬でハリウッドダービー2着のビストロガーデン、愛2000ギニー・エルクホーンS・バーナードバルークH・ピリグリムSの勝ち馬フォースターズオールスター、ロングフェローH・キングエドワード金杯の勝ち馬サンダーリージェントだった。

アラジが単勝オッズ2.5倍の1番人気、セルカークが単勝オッズ4.8倍の2番人気と、欧州調教馬2頭が上位人気を占め、本馬が米国調教馬では最上位となる単勝オッズ6.4倍の3番人気、ブリーフトゥルースが単勝オッズ9.2倍の4番人気、ロータスプールが単勝オッズ10.8倍の5番人気だった。過去に重馬場に泣かされる事が多かった本馬だったが、この日の天気は快晴で馬場状態は絶好の堅良馬場と、本馬にとって有難いコンディションとなった事も手伝っての評価だったようである。

スタートが切られると最内枠から真っ先にゲートを飛び出していった本馬が単騎で先陣を切り、フォーティーナイナーデイズやアラジを引き連れて先頭を爆走した。最初の2ハロン通過は22秒85、半マイル通過が45秒82というハイペースだったが、本馬はまるで水を得た魚のように生き生きと先頭を飛ばした。三角に入るところで後続馬勢が迫ってきたが、後方に目をやりながら様子を確認していたスミス騎手がここで合図を送ると本馬は最加速。本馬が四角を回りながら後続を引き離して直線に入った頃には既にアラジは後方馬群に沈んでおり、本馬を追いかけていた他の先行馬達も軒並み伸びを欠いた。代わりにやってきたのは馬群の中団以降でスタミナを温存していた馬達だったが、いずれの馬にも本馬を捕らえるほどの勢いは無かった。スタートからゴールまで完璧に先頭を走り続けた本馬が、中団から2着まで差してきた単勝オッズ31.3倍の9番人気馬パラダイスクリークに3馬身差をつけて、1分32秒90のコースレコードを計時して優勝した。

3歳時の成績は7戦4勝で、エクリプス賞最優秀芝牡馬の座はターフクラシック招待S・ETディキシーH・ETマンハッタンH・シーザーズ国際H・アーリントンHを勝ち、アーリントンミリオンとBCターフで2着したスカイクラシックに譲ることになった。

競走生活(4歳前半)

4歳時は4月にキーンランド競馬場で行われた芝8ハロンの一般競走から始動した。ここには、一昨年のサセックスSの勝ち馬だがその後は連敗街道に突入してしまい、米国に移籍して再起を図る事にしたセカンドセットの姿があった。123ポンドの本馬が単勝オッズ1.5倍の1番人気で、113ポンドのセカンドセットが単勝オッズ5.5倍の2番人気だった。しかしレースではこの2頭の現状における差が露呈する結果となり、道中の先頭争いを制して四角で後続を引き離した本馬が、2着となった単勝オッズ28.2倍の6番人気馬ロケットフューエルに4馬身差をつけて圧勝する一方で、セカンドセットは3番手から直線で後退して、本馬から5馬身1/4差の5着に完敗。結局セカンドセットは米国で1勝も出来ないままこの年の夏に引退していった。

次走のETターフクラシックH(GⅢ・T9F)では、前年のBCマイル2着後にハリウッドダービーを勝利したパラダイスクリークに加えて、チョイスH・ケルソH・サンガブリエルH・サンマルコスHを勝っていた一昨年のBCマイル3着馬スターオブコジーンも参戦してきた。123ポンドの本馬が単勝オッズ2.1倍の1番人気、同じく123ポンドのパラダイスクリークが単勝オッズ3.7倍の2番人気、118ポンドのスターオブコジーンが単勝オッズ3.8倍の3番人気で、他の出走馬は全て単勝オッズ15倍以上だった。スタートが切られると本馬が即座に先頭に立った。クリオネという馬が競り掛けてきたが、ペース自体はそれほど速くはなく、本馬は先頭を維持したまま直線へと入ってきた。そこへ後方から襲い掛かってきたのはスターオブコジーンだった。スターオブコジーンは5ポンドのハンデ差を活かして着実に差を縮めてきたが、結局本馬が逃げ切って1分46秒34のコースレコードを計時して勝ち、スターオブコジーンは3/4馬身差の2着、クリオネを捕まえることにも失敗したパラダイスクリークは4着だった。

続くETディキシーH(GⅢ・T9F)では、スターオブコジーンとの完全な2強対決となった。124ポンドの本馬が単勝オッズ1.8倍の1番人気で、119ポンドのスターオブコジーンが単勝オッズ2.4倍の2番人気だった。スタートが切られると人気薄のオールダーバットスマーターとアイムアリルデヴィルの2頭が本馬のハナを叩いて逃げ、本馬は3番手で折り合いをつけた。三角手前で前2頭が失速すると、それを巧みにかわした本馬が先頭に立ち、そのまま仕掛けて後続を引き離しにかかった。直線入り口では独走態勢を構築するかに見えたが、やはりスターオブコジーンは追い上げてきた。しかし前走と異なり今回は本馬を脅かすまでには至らず、本馬が2着スターオブコジーンに1馬身半差をつけて快勝した。

次走のETマンハッタンH(GⅡ・T10F)では、スターオブコジーンだけでなく、マンノウォーS2回・ターフクラシック招待S・ヒルプリンスS・レキシントンS・サラトガバドワイザーBCHの勝ち馬ソーラースプレンダー、レキシントンS・ハイアリアターフカップHの勝ち馬スペクタキュラータイド、ニッカボッカーHの勝ち馬バイナリーライトなども参戦してきたが、本馬とスターオブコジーンの2強ムードには変化が無かった。124ポンドの本馬が単勝オッズ1.6倍の1番人気、118ポンドのスターオブコジーンが単勝オッズ3.7倍の2番人気、112ポンドのソーラースプレンダーと114ポンドのバイナリーライトのカップリングと、118ポンドのスペクタキュラータイドが並んで単勝オッズ7.7倍の3番人気となった。スタートが切られると、真っ先にゲートを飛び出したソーラースプレンダーが先頭を奪い、本馬は直後の2番手、スターオブコジーンは馬群の中団で様子を見ていた。ソーラースプレンダーと本馬の先頭争いは直線入り口まで続いたが、この段階でスターオブコジーンもこの2頭の直後まで迫ってきていた。そして直線に入るとソーラースプレンダーは失速し、本馬とスターオブコジーンの激しい叩き合いとなった。過去2戦では叩き合いにならなかったため斤量差があっても押し切れた本馬だが、ここでは叩き合いになったために斤量差が確実に響いてしまったようで、スターオブコジーンが競り勝ち、本馬は3/4馬身差の2着に敗れた。それでも12ポンドものハンデを与えたソーラースプレンダー(3着)を7馬身ちぎっており、本馬の評価が下がることは無かった。

次走のシーザーズ国際H(GⅡ・T9.5F)では、スターオブコジーンに加えて、前年のBCマイル4着後にエルリンコンH・ゴールデンゲートHを勝っていたヴァルデボワも参戦してきて、今度は3強対決となった。123ポンドの本馬が単勝オッズ1.8倍の1番人気、120ポンドのスターオブコジーンが単勝オッズ3.5倍の2番人気、119ポンドのヴァルデボワが単勝オッズ3.7倍の3番人気となった。今回ロケットスタートを決めた本馬は他馬に競り掛けられることなく先頭をひた走った。そしてそのまま後続を引き離して直線に入ってきたときには勝負あったと思われたのだが、そこへ本馬に迫ってきたのは2番手で直線を向いたスターオブコジーンだった。直線半ばで2頭が並んで叩き合いになったが、叩き合いになると後方から来た軽量のスターオブコジーンのほうがやはり有利だった。スターオブコジーンが突き抜けて勝利を収め、本馬は1馬身差の2着に敗れた。それでも3着となったクリフハンガーHの勝ち馬ファインダーズチョイスには9馬身1/4差をつけていた(ヴァルデボワはさらに2馬身1/4差の4着だった)から、やはり本馬の評価が下がることは無かった。

次走のダリルズジョイS(GⅢ・T8.5F)ではスターオブコジーンは不在であり、比較的骨がある対戦相手は、ポーカーS2回・ダリルズジョイH2回・セントポールダービー・ジャイプールHの勝ち馬フォースターデイヴのみだった。本馬が単勝オッズ1.2倍という圧倒的な1番人気に支持され、フォースターデイヴが単勝オッズ4.7倍の2番人気となった。レースは出走6頭が基本的に一団となって進んだが、本馬は好スタートを決めたにも関わらず4番手まで下げていた。理由はよく分からないが、先頭に立てなくても折り合うことを覚えさせようとしたのかもしれない。淡々と進行したレースが動いたのは三角に入ってからで、本馬が一気に仕掛けて直線入り口で先頭に立った。そしてそのまま押し切り、2着フォースターデイヴに3馬身差をつけて勝利した。

競走生活(4歳後半)

その後は2か月半ほどの休養期間を挟んで、10月中旬のケルソH(GⅢ・T8F)に向かった。前年にも出走したレースであり、この秋の目標がBCマイル2連覇である事は明白だった。対戦相手は、ETターフクラシックH4着後に半年間の休養に入っていたパラダイスクリーク、フォースターデイヴ、米国競馬名誉の殿堂博物館Sを勝ってきたエーインソシオロジー、レキシントンS・ギャラントマンSの勝ち馬レヒなどだった。まともに本馬が走ればとても敵いそうな馬はおらず、本馬が125ポンドのトップハンデながらも単勝オッズ1.7倍の1番人気で、120ポンドのパラダイスクリークと115ポンドのレヒのカップリングが単勝オッズ4倍の2番人気、119ポンドのフォースターデイヴが単勝オッズ10倍の3番人気、111ポンドのエーインソシオロジーが単勝オッズ10.1倍の4番人気だった。

しかし不安材料は、馬場状態が重馬場だった事だった。それが影響したのかは定かではないが、本馬はスタートで後手を踏んで馬群の中団からレースを進める事になってしまった。レースはエーインソシオロジーが軽量を活かして先頭を飛ばし、パラダイスクリークが2番手を走っていた。しかしエーインソシオロジーが作ったペースは重馬場にも関わらず最初の2ハロンが22秒91とかなり速いものであり、出遅れて中団から進んだ本馬にとって結果的に有利な展開となった。本馬は少しずつ着実に位置取りを上げていき、三角で先頭の2頭に並びかけた。そして直線に入ると堂々と突き抜けて、2着パラダイスクリークに3馬身1/4差をつけて完勝した。

そして2連覇を目指してBCマイル(GⅠ・T8F)に参戦した。この年のブリーダーズカップはカリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場で行われており、今まで米国東海岸を主戦場としてきた本馬にとっては最初で最後の西海岸遠征だった。

対戦相手は、パラダイスクリーク、前走5着のレヒ、メイトリアークS2回・ビヴァリーヒルズS2回・ラモナH2回・ビヴァリーDSとGⅠ競走7勝を挙げていた米国芝女王フローレスリー、愛2000ギニーの勝ち馬で英2000ギニー・クイーンエリザベスⅡ世S2着のバラシア、フォレ賞・スプリントC・ダイアデムSを勝っていた欧州の韋駄天ウルフハウンド、ダイアデムS・チャレンジSを連勝してきたスプリントC2着馬キャットレイル、ゲイムリーH・ウィルシャーH・アメリカンH・クリテリオンSの勝ち馬トゥソード、サセックスS・クイーンエリザベスⅡ世Sの勝ち馬でジャンプラ賞・パリ大賞2着・ムーランドロンシャン賞3着のビッグストーン、アスタルテ賞・サンドリンガム賞の勝ち馬で仏1000ギニー・ジャックルマロワ賞・ムーランドロンシャン賞・フォレ賞と4度のGⅠ競走2着があったスキーパラダイス、仏国でリュパン賞を勝った後に米国に移籍してカーネルFWケスターHを勝ちアーリントンミリオンで3着していたヨハンクアッツ、ワシントンDC国際S・カナディアンターフHの勝ち馬バッカール、前年のBCマイルでは9着だったがこの年にニューハンプシャースウィープS・サラトガバドワイザーBCHを勝っていたフォースターズオールスターの計12頭だった。本馬が単勝オッズ2.3倍の1番人気、フローレスリーが単勝オッズ4.1倍の2番人気、パラダイスクリークが単勝オッズ9.2倍の3番人気、バラシア、ウルフハウンド、キャットレイルの3頭カップリングが単勝オッズ10.5倍の4番人気で、人気は米国調教馬勢が集めた。

スタートが切られると内枠から好スタートを切った単勝オッズ19.2倍の7番人気馬スキーパラダイスが先頭を伺ったが、外枠から出た本馬が最初のコーナーでスキーパラダイスを外側から一気にかわして先頭を奪った。その後はスキーパラダイスに絡まれながらも先頭を守り続けた。ラップは2ハロン通過が22秒67、半マイル通過は45秒88と、前年とほぼ同様のハイペースとなったが、絶好の堅良馬場の中で本馬は快調に先頭を飛ばした。三角に入ったところでフォースターズオールスターが上がってきて本馬に並びかけようとしたが、前年同様にここで再加速した本馬は決して先頭を譲らなかった。そして直線に入ると、粘るスキーパラダイスとフォースターズオールスターとの差を少しずつ、しかし着実に広げていき、2着スキーパラダイスに2馬身1/4差、3着フォースターズオールスターにはさらに1馬身3/4差をつけて快勝。1988年のミエスク以来5年ぶり史上2頭目のBCマイル連覇を見事に達成した。

4歳時は8戦6勝2着2回という見事な成績を残した本馬だが、エクリプス賞年度代表馬及び最優秀芝牡馬の座は、BCターフ・サンルイレイS・サンフアンカピストラーノH・エディリードH・オークツリー招待HとGⅠ競走5勝を挙げたコタシャーンに、最優秀古馬牡馬の座はパシフィッククラシックS・ウッドワードS・サンフェルナンドSを勝ち、BCクラシック・チャールズHストラブS・メトロポリタンH・ハリウッド金杯と4度のGⅠ競走2着をマークしたバートランドに奪われてしまい、前年に続いてエクリプス賞では無冠に終わった。

競走生活(5歳前半)

5歳時も現役を続行した本馬は、4月のエルコーンS(GⅡ・T9F)から始動した。前年のBCマイルで13着最下位だったバッカール、エクスプローシヴビッドHを勝ってきたプライドオブサマー、一般競走を2連勝してきたブラザニーなどが対戦相手となったが、本馬の相手としてはいずれも不足だった。123ポンドの本馬が単勝オッズ1.3倍という圧倒的な1番人気に支持され、120ポンドのバッカールが単勝オッズ6.2倍の2番人気、115ポンドのブラザニーが単勝オッズ7.7倍の3番人気、120ポンドのプライドオブサマーが単勝オッズ9.4倍の4番人気となった。スタートしてすぐに先頭に立った本馬は、バッカールに絡まれながらも先頭を維持。三角から後続馬を引き離すと、直線では全くの馬なりのまま走り、2着バッカールに4馬身差をつけて圧勝した。

次走のETターフクラシックH(GⅡ・T9F)では、パラダイスクリークと5度目の対戦となった。パラダイスクリークは前年のBCマイルで8着に終わっていたが、この年はアップルトンH・カナディアンターフH・フォートローダーデールHとフロリダ州で3連勝(いずれも鞍上はスミス騎手。彼は本馬とぶつからない限りはパラダイスクリークに騎乗する事が多かった)して調子を上げてきていた。123ポンドの本馬が単勝オッズ1.3倍の1番人気、118ポンドのパラダイスクリークが単勝オッズ4.3倍の2番人気となった。レースでは好スタートを切った本馬が先頭を伺ったが、アメリカンダービーを勝っていた単勝オッズ10倍の4番人気馬ザネームズジミーが本馬の前に出て逃げを打った。本馬は3馬身ほど離れた2~3番手を進み、パラダイスクリークは本馬を見るように4番手につけた。三角から四角を回るところで本馬は内側によれてもたもたしてしまい、その隙にパラダイスクリークが一気に上がっていって先頭を奪取した。直線で本馬は差を縮めるどころか逆に差を広げられてしまい、勝ったパラダイスクリークから4馬身差をつけられて2着に敗退。初めてパラダイスクリークに先着されてしまった。

次走のETディキシーH(GⅡ・T9F)でも、パラダイスクリークとの対戦となった。5ポンドの斤量差で4馬身差がついた前走の結果を受けて、今回の斤量は本馬とパラダイスクリークが124ポンドで並び、ハンデ無しのガチンコ勝負となった。本馬が単勝オッズ1.5倍の1番人気、パラダイスクリークが単勝オッズ2.3倍の2番人気で、グレーヴセンドHの勝ち馬アスチュディロなど他の出走馬3頭は全て単勝オッズ16倍以上と蚊帳の外だった。スタートが切られるとアスチュディロが先頭を奪い、あまりスタートが良くなかった本馬は2番手につけ、パラダイスクリークは本馬から2馬身ほど離れた3番手につけた。115ポンドの軽量だったアスチュディロは三角まで粘っていたが、四角で本馬がかわして先頭に立ち、パラダイスクリークも直後まで上がってきた。そして直線ではやはり本馬とパラダイスクリークの一騎打ちとなった。そしてパラダイスクリークが3/4馬身差で勝利を収め、本馬は2着に敗退した。

次走はこの年にGⅠ競走に昇格となったシーザーズ国際H(GⅠ・T9.5F)だった。ここではパラダイスクリークは不在だったが、その代わりにスターオブコジーンが出走してきて、本馬とは前年のシーザーズ国際H以来5度目の対戦となった。スターオブコジーンは前年のシーザーズ国際Hの後にアーリントンミリオン・マンノウォーSを連勝して競走馬としてのピークを迎えていたが、その後は下降線を辿っていた。123ポンドの本馬が単勝オッズ1.6倍の1番人気、121ポンドのスターオブコジーンが単勝オッズ2.7倍の2番人気で、前年のBCマイル3着後も堅実に走っていた117ポンドのフォースターズオールスターが単勝オッズ7.2倍の3番人気となった。

このレースにも前走で本馬のハナを叩いたアスチュディロがいたのだが、ここでは本馬がロケットスタートを決めて先頭に立ち、アスチュディロが先頭に立つ幕は無かった。そのまま四角まで来たところで後方2番手を進んでいたフォースターズオールスターがスターオブコジーンを置き去りにして上がってきて、いったん本馬の前に出た。すると本馬も差し返しにかかり、直線ではフォースターズオールスターとの叩き合いとなった。途中で本馬はコース上に伸びていた影に驚いてジャンプしてしまうという、同父のデイジュールもどきの行動をとってしまったが、それが原因でBCスプリントを負けてしまったデイジュールとは異なり本馬は競り勝ち、2着フォースターズオールスターに鼻差で勝利した。3着に終わったスターオブコジーンと本馬の対戦はこれが最後で、対戦成績は本馬が3勝2敗と勝ち越した。

競走生活(5歳後半)

その後は欧州遠征という計画もあったが結局見送りとなり、代わりにバーナードバルークH(GⅡ・T9F)に出走した。対戦相手は、前走ETマンハッタンHを6馬身3/4差で圧勝してきたパラダイスクリーク、前年のケルソH9着後は不振に陥ったがポーカーH2着・一般競走勝利と復調してきたフォースターデイヴ、前走5着最下位のアスチュディロなど4頭だった。近走の内容から本馬よりパラダイスクリークが僅かに実力上位と判断されたようで、斤量はパラダイスクリークが126ポンドのトップハンデ、本馬が125ポンドとなった。ファンも迷ったようで、本馬が単勝オッズ2倍の1番人気、パラダイスクリークが単勝オッズ2.1倍の2番人気、114ポンドのフォースターデイヴが単勝オッズ5.7倍の3番人気となった。スタートが切られるとフォースターデイヴが先頭に立ち、本馬は1馬身ほど離れた2~3番手、パラダイスクリークがその後方につけた。三角で本馬がフォースターデイヴをかわして先頭に立つとパラダイスクリークも上がってきて、直線ではやはりこの2頭による一騎打ちとなった。そして今回は本馬が一度も好敵手に並ばせることなく押し切り、2着パラダイスクリークに1馬身差で勝利した。

本馬との最終対戦成績が2勝5敗となったパラダイスクリークはこの後に本馬とは別路線を進み、アーリントンミリオン・ワシントンDC国際Sを連勝して米国芝10ハロン路線の最強馬として君臨する事になる。

一方の本馬が狙うのはBCマイル3連覇のみ。となると前哨戦は既に決まっており、次走は3年連続出走となるケルソH(GⅢ・T8F)となった。ここには、カーターH・ピーターパンS・トムフールSなどを勝っていたヴァージニアラピッヅ、前年のケルソH4着後にジャイプールH・ダリルズジョイH・ベルモントBCHを勝っていたエーインソシオロジー、ジャイプールH・オーシャンポートHを勝っていたニジンスキーズゴールドというなかなかの実力馬も出走してきたのだが、ファンの評価は本馬断然。128ポンドのトップハンデにも関わらず単勝オッズ1.3倍の1番人気に支持し、斤量2位の117ポンドだったエーインソシオロジーが単勝オッズ9.6倍の2番人気、116ポンドのヴァージニアラピッヅが単勝オッズ10.1倍の3番人気、114ポンドのニジンスキーズゴールドが単勝オッズ10.9倍の4番人気となった。スタートが切られると本馬より22ポンドも斤量が軽い単勝オッズ17.4倍の6番人気馬ジドーが好スタートから猛然と先頭を奪い、本馬は斤量に加えて、一層マークが厳しくなる本番に向けて先頭に拘らせないようにする意味もあってか3番手の好位を進んだ。そして四角で仕掛けて直線入り口で先頭に立ち、そのまま押し切ろうとした。そこへ後方から襲い掛かってきたのはエーインソシオロジーではなく、ニジンスキーズゴールドだった。そしてゴール直前でかわされてしまい、鼻差の2着に敗れた。もっとも、斤量差が14ポンドもあったから、これで本馬の評価が下がるような事は無かった。

そしてチャーチルダウンズ競馬場に向かい、3度目のBCマイル(GⅠ・T8F)に参戦した。出てくれば最大の強敵になるはずだったパラダイスクリークはBCターフに回ったため、対戦相手は、先代BCマイル2連覇馬ミエスクの娘である仏1000ギニー・仏オークス・ジャックルマロワ賞の勝ち馬でムーランドロンシャン賞2着のイーストオブザムーン、前年のBCマイル2着後にムーランドロンシャン賞や日本の京王杯スプリングCを勝っていたスキーパラダイス、前年のBCマイル5着後にクイーンアンSを勝ちサセックスS・クイーンエリザベスⅡ世Sで2着していたバラシア、前年のBCマイル6着後にイスパーン賞・フォレ賞を勝ちクイーンエリザベスⅡ世Sで3着していたビッグストーン、サセックスSの勝ち馬でセントジェームズパレスS2着のディスタントヴュー、アーケイディアH・シューメーカーHを勝つなどこの年5戦3勝2着2回だったミーガンズインターコ、ウィルロジャーズH・シネマHの勝ち馬アンフィニッシュドシンフ、前年のBCマイル7着後に勝ち星は無かったがエディリードH3着があったヨハンクアッツ、ポーカーSの勝ち馬ドミナントプロスペクト、デルマー招待ダービーの勝ち馬オーシャンクレスト、ローリンググリーンH・アメリカンH・ベイメドウズHの勝ち馬ブルーストラヴェラー、マッチメイカーS・オールアロングSの勝ち馬アリススプリングス、ロンポワン賞の勝ち馬でフォレ賞2着のミストフライトの計13頭だった。

本馬が単勝オッズ1.9倍の1番人気、本馬以外の米国調教馬では最も勢いがあったミーガンズインターコが単勝オッズ6.7倍の2番人気、イーストオブザムーンが単勝オッズ9.3倍の3番人気、バラシアが単勝オッズ11.4倍の4番人気、スキーパラダイスが単勝オッズ12.2倍の5番人気と、本馬は前年以上に人気を集めた。

スタートが切られると、単勝オッズ26.2倍の8番人気馬アンフィニッシュドシンフがロケットスタートを決めて先頭に立ち、ドミナントプロスペクト、ミーガンズインターコ、バラシアなどがそれを追いかけて先行。一方の本馬は大外枠発走だった上にスタートダッシュもあまり良くなく、先手を取る事は出来なかった。スミス騎手は本馬をそれほど追っておらず、最初から逃げるつもりは無かったようにも見受けられる。4~7番手辺りを追走した本馬は三角に入ったところで仕掛けたが前との差は縮まらず、そして直線に入っても全く伸びなかった。勝ったバラシアから9馬身3/4差の9着と惨敗した本馬は、BCマイル3連覇どころか、3歳時のリヴァリッジS以来の着外を喫してしまった。

このレースを最後に5歳時7戦3勝の成績で競走馬を引退。GⅠ競走未勝利ではエクリプス賞のタイトル候補に挙がらず、結局本馬はエクリプス賞には縁が無いままだった。

血統

Danzig Northern Dancer Nearctic Nearco Pharos
Nogara
Lady Angela Hyperion
Sister Sarah
Natalma Native Dancer Polynesian
Geisha
Almahmoud Mahmoud
Arbitrator
Pas de Nom Admiral's Voyage Crafty Admiral Fighting Fox
Admiral's Lady
Olympia Lou Olympia
Louisiana Lou
Petitioner Petition Fair Trial
Art Paper
Steady Aim Felstead
Quick Arrow
Endear Alydar Raise a Native Native Dancer Polynesian
Geisha
Raise You Case Ace
Lady Glory
Sweet Tooth On-and-On Nasrullah
Two Lea
Plum Cake Ponder
Real Delight
Chappaquiddick Relic War Relic Man o'War
Friar's Carse
Bridal Colors Black Toney
Vaila
Baby Doll Dante Nearco
Rosy Legend
Bebe Grande Niccolo Dell'Arca
Grande Corniche

ダンチヒは当馬の項を参照。

母エンデアーは現役成績25戦7勝。ヘンプステッドH(米GⅠ)・ミスグリオS(米GⅢ)・ランパートH(米GⅢ)を勝ち、スピンスターS(米GⅠ)・シュヴィーH(米GⅠ)・デラウェアH(米GⅠ)でも2着した活躍馬。残念ながら本馬を産んだ翌年に8歳の若さで他界しており、牝系を伸ばす事も本馬以外の活躍馬を産むことも出来なかった。エンデアーの母チャパキディックは現役成績3戦1勝ながらも優秀な繁殖牝馬であり、エンデアーの半兄ティラー(父エルバジェ)【サンアントニオH(米GⅠ)・サンフアンカピストラーノ招待H(米GⅠ)・タイダルH(米GⅡ)2回・エッジミアH(米GⅢ)】、半弟ディグレス(父トップサイダー)【トロピカルパークダービー(米GⅡ)】も産んでいる。チャパキディックの全兄にはピースイズオブエイト【エクリプスS・英チャンピオンS】がいる。チャパキディックの祖母ベベグランデはチェヴァリーパークS・ジムクラックS・英シャンペンSの勝ち馬。→牝系:F3号族②

母父アリダーは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は、クレイボーンファームで種牡馬入りした。父ダンチヒの後継種牡馬として大きく期待されたが、受精率がかなり悪く、初年度産駒は僅か11頭(資料によっては8頭又は9頭となっている)に留まった。保険会社から保険金が支払われるのと引き換えにクレイボーンファームは供用僅か1シーズンで本馬の所有権を失い、本馬はいったん保険会社の所有馬となった。その後にクールモアグループが保険会社から本馬の所有権を購入。クールモアグループが施した治療により一定の受精率向上効果が出たが、それほど劇的な改善は見られず、2004年に9世代133頭の産駒を残して種牡馬を引退。現在はクレイボーンファームで余生を送っている。

産駒のGⅠ競走勝ち馬は僅か2頭で、そのうち牡馬はモルニ賞を勝ち愛2000ギニーで3着した初年度産駒のオーペン唯1頭のみだった。しかしノーザンダンサーの姪の子であるオーペンはクールモア所有のシャトル種牡馬として、2010/11シーズンの亜首位種牡馬に輝くなど世界各国で活躍馬を出している。どうやら本馬の血は孝行息子オーペンを通じて後世に伝わりそうである。

本馬は米ブラッドホース誌が企画した20世紀米国名馬100選で第85位にランクインしているが、米国競馬の殿堂入りはなかなか果たせず、現役時代にエクリプス賞のタイトルにも縁が無かった事を含めても無冠の帝王という感じであったが、2013年にようやく米国競馬の殿堂入りを果たした(これにより20世紀米国名馬100選の馬の中で、米国競馬の殿堂入りを果たしていないのはファーラップボールドイーグルのみとなった)。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1996

Orpen

モルニ賞(仏GⅠ)

1997

England's Legend

ビヴァリーDS(米GⅠ)・ニューヨークH(米GⅡ)・モデスティH(米GⅢ)

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