フォーティナイナー

和名:フォーティナイナー

英名:Forty Niner

1985年生

栗毛

父:ミスタープロスペクター

母:ファイル

母父:トムロルフ

米国クラシック競走制覇には縁が無かったが北米首位種牡馬になるなどミスタープロスペクターの後継種牡馬として活躍したエクリプス賞最優秀2歳牡馬

競走成績:2・3歳時に米で走り通算成績19戦11勝2着5回

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州クレイボーンファームの生産・所有馬で、米国ウッドフォード・スティーヴンズ調教師に預けられた。

競走生活(2歳時)

2歳7月にベルモントパーク競馬場で行われたダート6ハロンの未勝利戦で、主戦となるエディ・メイプル騎手を鞍上にデビュー。2着ダイナフォーマー(後に悲運のケンタッキーダービー馬バーバロの父となる)に3馬身1/4差をつけて楽勝した。次走は翌月のサラトガスペシャルS(GⅡ・D6F)となったが、ここでは勝ったクルセイダーソード(後にホープフルSを勝っている)から10馬身差をつけられて6着に敗れた。しかしそれから12日後のサンフォードS(GⅡ・D6F)では、2着ワンスワイルド(サラトガスペシャルSでは7着だったが、後にウィザーズS・コールタウンBCS・ウエストチェスターHを勝ち、ヴォスバーグSで2着している)に3馬身半差をつけて完勝した。翌9月にはベルモントフューチュリティS(GⅠ・D7F)に出走すると、2着ツァーベイビーに3馬身差をつけて快勝。ホープフルSを勝ってきたクルセイダーソード(3着)にも借りを返して、一気にGⅠ競走勝ち馬に上り詰めた。

翌10月に出走したシャンペンS(GⅠ・D8F)では、サラトガスペシャルSで本馬に先着する2着したのちにサプリングS・アーリントンワシントンフューチュリティ・カウディンSと3連勝していたテハノ、ベルモントフューチュリティS2着後にカウディンSでも2着してきたツァーベイビー、アーリントンワシントンフューチュリティで2着してきたジムズオービットなどが対戦相手となった。しかし本馬がそれらの実力馬勢を寄せ付けず、2着パーリーミーに4馬身1/4差をつけて圧勝した。次走のブリーダーズフューチュリティ(GⅡ・D8.5F)も、2着ヘイパットに鼻差ながら勝利して4連勝とした。

次走はBCジュヴェナイルかと思われたが、この年のブリーダーズカップは米国西海岸のハリウッドパーク競馬場で行われる事になっており、東海岸を本拠地とする本馬は参戦しなかった。そのためこの年はブリーダーズフューチュリティが最後のレースとなったが、2歳時6戦5勝(うちGⅠ競走2勝)の好成績で、BCジュヴェナイルの勝ち馬サクセスエクスプレスを抑えて、この年のエクリプス賞最優秀2歳牡馬のタイトルを獲得した。

競走生活(3歳前半)

3歳時は2月のハッチソンS(GⅢ・D7F)から始動した。結果は、パーフェクトスパイの1馬身差2着と、シーズン初戦としてはまずまずの内容だった。12日後に出走したファウンテンオブユースS(GⅡ・D8.5F)では、ハッチソンSで3着だったケンタッキージョッキークラブSの勝ち馬ノートブック、イロコイSの勝ち馬でケンタッキージョッキークラブS2着のブイ、フロリディアンHを勝ってきたアバヴノーマル、スペクタキュラービッドS・フロリディアンHと連続2着してきたイヴニングクリス、一般競走を快勝してきたブライアンズタイムなどが対戦相手となった。結果は本馬がノートブックを鼻差の2着に抑えて勝利した。

さらに翌3月にはフロリダダービー(GⅠ・D9F)に出走した。ノートブック、前走3着のブイ、同4着のブライアンズタイム、同5着のイヴニングクリス、フラミンゴSの勝ち馬でヤングアメリカS2着のチェロキーコロニー、エルカミノリアルダービーを勝ってきたルールマン、エヴァーグレーズSの勝ち馬でフラミンゴS2着のソーリーアバウトザットなどが対戦相手となった。レースでは本馬が先頭をひた走り、そのまま逃げ切るかに思われたが、ゴール直前で単勝オッズ34倍の8番人気馬ブライアンズタイムに差されて首差の2着に敗れた。

その後はケンタッキーダービーを目指してケンタッキー州に向かい、まずは新たに主戦となったパット・デイ騎手と共に脚慣らしで、ラファイエットS(D7F)に出走した。フロリダダービーで6着だったブイ、スウィフトSを勝ってきたアロハプロスペクターなどが出走していたが、格の違いを見せた本馬が2着ブイに5馬身差をつける圧勝を飾った。それから8日後のレキシントンS(GⅡ・D8.5F)では、ルイジアナダービーを勝ってきたリズンスターとの対戦となった。レースでは2番手を走り、直線入り口で先頭に立ったが、ここで外側からリズンスターに並びかけられて叩き合いとなり、最後は頭差屈して2着に敗れた。

その後はケンタッキーダービー(GⅠ・D10F)に進んだが、この年に消化した5戦はラファイエットSを除くと接戦ばかりで不安が残る状態だった。主な対戦相手は、サンタアニタオークスを8馬身差・牡馬相手のサンタアニタダービーを7馬身半差で圧勝してきた牝馬ウイニングカラーズ、ウッドメモリアル招待S・ゴーサムS・フェデリコテシオSなど7戦全勝のプライヴェートタームズ、リズンスター、フロリダダービー勝利後はジムビームS3着・ウッドメモリアル招待S5着と振るわなかったブライアンズタイム、ゴーサムS・ウッドメモリアル招待Sで連続2着してきたスウェイルSの勝ち馬シーキングザゴールド、ジムビームSの勝ち馬でダービートライアルS2着・ヤングアメリカS3着のキングポスト、サンタアニタダービーで2着だったサンタカタリナSの勝ち馬ライブリーワン、サマーS・カップ&ソーサーS・グレイS・コロネーションフューチュリティの勝ち馬でBCジュヴェナイル2着・ハリウッドフューチュリティ・ブルーグラスS3着の前年のソヴリン賞最優秀2歳牡馬リーガルクラシック、アーカンソーダービーを勝ってきたプロパーリアリティ、ダービートライアルSを勝ってきた前年のシャンペンS4着馬ジムズオービット、タンパベイダービーの勝ち馬セフィスなどだった。ウイニングカラーズとプライヴェートタームズが並んで1番人気に支持され、本馬は3番人気での出走となった。

スタートが切られると、ウイニングカラーズが問答無用で先手を奪った。本馬も先行態勢を取ったが、大外枠発走だった事もあり無理に先頭を主張せずに2番手に控えた。向こう正面でシーキングザゴールドが2番手に上がり、本馬は3番手となった。三角に入ってくると後続各馬が仕掛けたが、かなりのハイペースながらも単騎で楽に逃げていたウイニングカラーズの脚色はなかなか衰えず、その差は縮まらなかった。四角で経済コースを利して後続を引き離したウイニングカラーズが単騎で直線に突入し、本馬はそれから5馬身ほど離された4番手で直線に入ってきた。ここから本馬は必死に追い上げ、ゴール前でようやく脚色が衰え始めたウイニングカラーズを追い詰めた。しかし結局は首差届かず2着に敗れた。

続くプリークネスS(GⅠ・D9.5F)にも、ウイニングカラーズが参戦してきた。他の主な出走馬は、前走3着のリズンスター、同5着のリーガルクラシック、同6着のブライアンズタイム、同8着のセフィス、同9着のプライヴェートタームズなどだった。1番人気はウイニングカラーズで、本馬が2番人気、プライヴェートタームズが3番人気となった。スタートが切られるとウイニングカラーズが先頭を伺ったが、前走でウイニングカラーズを楽に逃がしてしまった反省からか、本馬が猛然と加速してウイニングカラーズより前に出た。ウイニングカラーズも負けずと競りかけてきたため、前走と同様にかなりのハイペースになった(通過ラップはケンタッキーダービーより0秒2遅い程度)。三角まで2頭が先頭を争っていたが、ここで後方から来たリズンスターに内側から2頭まとめてかわされた。そのまま直線に入ると、先頭のリズンスターにウイニングカラーズが必死で食らい付いていったが、本馬には既にスタミナは残っておらず失速。ブライアンズタイムやプライヴェートタームズなど後方から来た馬達に次々かわされた。最後はリズンスターが2着ブライアンズタイムに1馬身1/4差、3着ウイニングカラーズにもさらに1馬身1/4差をつけて快勝し、本馬はウイニングカラーズからさらに11馬身半も後方の7着と惨敗した。

控えても勝てず競りかけても勝てなかった本馬は、距離が伸びるベルモントSでは勝ち目が無いと判断され回避となった。

競走生活(3歳後半)

その後は短期休養を挟んで、7月にモンマスパーク競馬場で行われたダート8ハロンの一般競走で、ジュリー・クローン騎手を鞍上に仕切り直しのスタートを切った。ここではさすがに実力が違い、2着スルーシティースルー(この時点ではステークス競走入着歴もないまったくの無名馬だったが、翌月のサルヴェイターマイルHを勝つと、翌年にガルフストリームパークH・オークローンHとGⅠ競走を2勝して、ドンH・ワイドナーHでも2着する)に7馬身1/4差をつけて圧勝した。

そして2週間後のハスケル招待H(GⅠ・D9F)に、ラフィット・ピンカイ・ジュニア騎手を鞍上に出走した。ベルモントSを大圧勝したが直後に繋靭帯炎を発症したリズンスター、ベルモントSで惨敗したウイニングカラーズ、ベルモントS3着後に一休みしていたブライアンズタイムは不参加だったが、ケンタッキーダービー7着後にピーターパンS・ドワイヤーSを連勝してきたシーキングザゴールド、プリークネスS4着後にガヴァナーズHを勝ってきたプライヴェートタームズ、アーカンソーダービー2着後にオハイオダービーでも2着してスペンドアバックSを勝ってきたプライマルなどが出走してきた。斤量は本馬とプライヴェートタームズが126ポンドのトップハンデ、シーキングザゴールドが125ポンド、プライマルが117ポンドだった。スタートが切られると、最内枠から絶好のスタートを切った本馬がすかさず先頭に立ち、プリークネスSまで相棒だったデイ騎手が騎乗するシーキングザゴールドが2番手につけた。向こう正面に入る手前でテディドローンという馬が掛かり気味に上がってきて先頭を奪い、本馬は2番手となった。三角手前でテディドローンが失速すると本馬が再び先頭に立ち、すぐに並びかけてきたシーキングザゴールドと共に先頭を走り続けた。そのままの態勢で直線に入ると、2頭の激しい叩き合いとなった。最後は本馬が2着シーキングザゴールドを鼻差で抑えて勝利した。

次走のトラヴァーズS(GⅠ・D10F)では、前走4着のプライヴェートタームズは不在となり、シーキングザゴールド、休養明けのジムダンディSを勝ってきたブライアンズタイム、フロリダダービー7着後にリヴァリッジSを勝ちドワイヤーS・ジムダンディSと続けて2着してきたイヴニングクリス、デビュー戦で本馬に敗れた後に主に裏街道を進んでジャージーダービーを勝っていたダイナフォーマーなどとの対戦となった。スタートが切られると、最内枠発走のシーキングザゴールドが先頭を伺った。今回はクリス・マッキャロン騎手とコンビを組んでいた本馬が外側からそれをかわしていったんは先頭に立ったが、最初のコーナーで内側を利したシーキングザゴールドが先頭を奪還した。しかし向こう正面に入るところで後方からするすると上がってきたダイナフォーマーが先頭に並びかけ、本馬も釣られて加速して先頭を奪い、シーキングザゴールドはいったん4番手に下がるという、出入りが激しいレースとなった。そのまま四角を回って直線に入ってくると、逃げる本馬を後方からシーキングザゴールドとブライアンズタイムの2頭が追いかけてくる展開となった。ゴール前ではシーキングザゴールドが本馬に並びかけてきたが、本馬が鼻差凌いで勝利を収め、3/4馬身差の3着にブライアンズタイムが入った。リズンスターもウイニングカラーズも既に3歳牡馬戦線には不在となっていたから、この時点で3歳牡馬路線のトップは本馬という事になった。

再び同世代のトップに立った本馬の次走は、古馬相手のウッドワードS(GⅠ・D10F)となった。ここではブライアンズタイムに加えて、前年のケンタッキーダービー・プリークネスSを筆頭にスーパーダービー・チャールズHストラブS・サンタアニタH・フィリップHアイズリンH・サンバーナーディノHを勝ちBCクラシック・ハリウッドフューチュリティ・サンフェリペS・ハスケル招待H・ハリウッド金杯で2着していた当時の米国古馬最強馬アリシーバ、ブルックリンH2回・マサチューセッツH・ミシガンマイル&ワンエイスH・ジャマイカHの勝ち馬でサバーバンH2着の5歳馬ワクォイト、フロリダダービー・ペガサスH・エヴァーグレーズS・ホーソーン金杯の勝ち馬でベルモントS・フラミンゴS・トラヴァーズS・ドンH・ガルフストリームパークH・オークローンHと6度のGⅠ競走2着があった4歳馬クリプトクリアランスなどとの対決となった。レースでは、ピンカイ・ジュニア騎手が騎乗した本馬と、マッキャロン騎手騎乗のアリシーバの接戦となったが、闘争心抜群のアリシーバに首差敗れて2着。しかし内容的には悪くなかった。

その後は新設競走NYRAマイルH(D8F)に出走した。このレースには、BCスプリント・スワップスS・サンフェルナンドS・チャールズHストラブS・カリフォルニアンS・ウッドワードS・サンラファエルS・デルマーH・マリブS・マーヴィンルロイH・サンパスカルH・サンバーナーディノHを勝ちサンタアニタダービー・スーパーダービー・カリフォルニアンS・ハリウッド金杯・フィリップHアイズリンH・マールボロCHで2着していた7歳馬プレシジョニストの姿もあった。プレシジョニストは5歳限りでいったん競走馬を引退して種牡馬入りしたが、受精率が低かったためにこの年から競走馬として復帰させられていたのだった。明らかに競走馬としての全盛期にはなかったプレシジョニストだが、カブリロH・デルマーBCHなど目下3連勝中であり、まだ高い能力を維持していた。しかしさすがに若き3歳馬である本馬のほうが実力は一枚上手であり、本馬が2着モーサフに首差で勝利を収め、プレシジョニストはさらに1馬身1/4差の3着だった。

そして本馬はチャーチルダウンズ競馬場に向かい、BCクラシック(GⅠ・D10F)に参戦した。ウッドワードS勝利後にメドウランズCHも勝ってきたアリシーバ、ウッドワードS3着後にジョッキークラブ金杯を15馬身差で勝ってきたワクォイト、トラヴァーズS2着後にスーパーダービーを勝ってきたシーキングザゴールド、ワイドナーH・サバーバンH・ナッソーカウンティH・クイーンズカウンティHの勝ち馬でハスケル招待H・ブルックリンH・ジョッキークラブ金杯2着のパーソナルフラッグ、カリフォルニアンS・ハリウッド金杯・ベルエアH・サンディエゴH・グッドウッドHの勝ち馬でローレルフューチュリティ・ピーターパンS・ドワイヤーS2着のカットラスリアリティ、サルヴェイターマイルHを勝った後にメドウランズCHで2着してきたスルーシティースルー、ウッドワードS6着後に出走したメドウランズCHでは5着だったクリプトクリアランス、ケンタッキーダービー12着後にスワップスSを勝ちスーパーダービーで3着していたライブリーワンの計8頭が対戦相手となった。マッキャロン騎手騎乗のアリシーバが単勝オッズ2.5倍の1番人気、ワクォイトが単勝オッズ3.9倍の2番人気、クローン騎手騎乗の本馬が単勝オッズ4.7倍の3番人気、デイ騎手騎乗のシーキングザゴールドとパーソナルフラッグのカップリングが単勝オッズ6.8倍の4番人気だった。

あちこちに水溜りが出来ているような不良馬場の中でスタートが切られると、スルーシティースルーとワクォイトの2頭が後続を大きく引き離して逃げを打ち、アリシーバは4番手、本馬は意外にもその後方につけた。三角手前でアリシーバが上がっていき、さらに後方からシーキングザゴールドも上がってきたが、本馬の手応えは極めて良くなく、四角では最後方まで下がってしまった。直線では外側に持ち出して追い上げてきたが、叩き合いながら伸びるアリシーバとシーキングザゴールドの2頭には及ぶべくも無く、粘るワクォイトを捕らえることにも首差で失敗して、勝ったアリシーバから5馬身3/4差の4着と完敗。

これを最後に、3歳時13戦6勝の成績で競走馬を引退した。エクリプス賞最優秀3歳牡馬はリズンスターが受賞し、本馬の2年連続エクリプス賞受賞は成らなかった。

馬名は1949年のゴールドラッシュ時の採掘者の総称に由来する。探鉱夫という意味の父の名前にちなんだ命名である。

血統

Mr. Prospector Raise a Native Native Dancer Polynesian Unbreakable
Black Polly
Geisha Discovery
Miyako
Raise You Case Ace Teddy
Sweetheart
Lady Glory American Flag
Beloved 
Gold Digger Nashua Nasrullah Nearco
Mumtaz Begum
Segula Johnstown
Sekhmet
Sequence Count Fleet Reigh Count
Quickly
Miss Dogwood Bull Dog
Myrtlewood
File Tom Rolfe Ribot Tenerani Bellini
Tofanella
Romanella El Greco
Barbara Burrini
Pocahontas Roman Sir Gallahad
Buckup
How Princequillo
The Squaw
Continue Double Jay Balladier Black Toney
Blue Warbler
Broomshot Whisk Broom
Centre Shot
Courtesy Nasrullah Nearco
Mumtaz Begum
Highway Code Hyperion
Book Law

ミスタープロスペクターは当馬の項を参照。

母ファイルは米国で走り、シンデレラS勝ちなど22戦5勝の競走成績を残した。本馬以外にこれといった成績を残した産駒はいないが、本馬の半弟レコーダー(父プライヴェートアカウント)は現役成績16戦3勝ながら血統が評価されて日本に種牡馬として輸入されている(ただし全く活躍できなかった)。14戦4勝だった本馬の全姉シリーズ、それに本馬の全妹アブレードの娘である5戦1勝のフリクション、本馬の全妹スクレイプの娘である24戦3勝のウォーターエナンなども日本に繁殖牝馬として輸入されているが、いずれも特筆できる結果を出していない。

ファイルの母コンティニューは優秀な繁殖牝馬であり、ファイルの半兄リスト(父エルバジェ)【ガヴァナーズカップH・ABレテリア記念H】、半姉ツエルタ(父フォルリ)【ロングアイランドH(米GⅢ)・クリサンセマムH(米GⅢ)】、半兄である本邦輸入種牡馬ヤマニン(父エルバジェ)【ワイドナーH(米GⅠ)・クラークH(米GⅢ)】なども産んでいる。ファイルの半姉チェイン(父エルバジェ)の子にはチェインブレスレット【トップフライトH(米GⅠ)・シュヴィーH(米GⅡ)・ベッドオローゼズH(米GⅢ)】、曾孫にはゾフティグ【シリーンS(加GⅠ)】、ゾフティグの子にはザフティグ【エイコーンS(米GⅠ)】とゾーインプレッシヴ【マザーグースS(米GⅠ)】の姉妹が、ツエルタの子にはスウェイル【ケンタッキーダービー(米GⅠ)・ベルモントS(米GⅠ)・ベルモントフューチュリティS(米GⅠ)・ヤングアメリカS(米GⅠ)・フロリダダービー(米GⅠ)・サラトガスペシャルS(米GⅡ)・ブリーダーズフューチュリティS(米GⅡ)・ハッチソンS(米GⅢ)】、曾孫にはヴァレナール【フォレ賞(仏GⅠ)】が、ファイルの半姉コンティニュエイション(父フォルリ)の孫にはシャディード【英2000ギニー(英GⅠ)・クイーンエリザベスⅡ世S(英GⅡ)】、曾孫には日本で走ったストロングブラッド【かしわ記念(GⅠ)・カブトヤマ記念(GⅢ)・さくらんぼ記念(GⅢ)・群馬記念(GⅢ)】が、ファイルの半姉ファーリング(父ホイストザフラッグ)の孫にはブランズウィック【ホイットニーH(米GⅠ)】、曾孫には日本で走ったナムラマース【札幌2歳S(GⅢ)・毎日杯(GⅢ)】がいるなど、近親には活躍馬が多くいる。コンティニューの曾祖母ブックローは英セントレジャーなどを勝った名牝。→牝系:F1号族⑤

母父トムロルフは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は生まれ故郷のクレイボーンファームで種牡馬入りした。初年度産駒の成績はなかなか優秀で、1992年の北米新種牡馬ランキングで1位になった。しかしその後の産駒成績は伸び悩み、初年度産駒の1頭ナインキーズが1994年のアップルブロッサムSを制してGⅠ競走勝ち馬とはなったが、他にGⅠ競走を勝つ産駒がなかなか出ず、当初の期待を下回る成績だった。そのため、1995年にクレイボーンファームは本馬を日本中央競馬会に1000万ドルで売却。本馬は翌1996年から日本で種牡馬生活を送ることになった。ところが(ありがちな話だが)輸出直後に米国に残してきた産駒が大活躍。ベルモントSなどを勝利したエディターズノート、NYRAマイルHなどを勝利したゴールドフィーヴァーなどが活躍した1996年には北米首位種牡馬になった(算出方式の違いで、この年の北米首位種牡馬はコジーン又はパレスミュージックとする場合のほうが多く、一般的にはこの年における本馬の北米種牡馬ランキングは3位である)。

さて、日本軽種馬協会静内種馬場で種牡馬生活を開始した本馬は、日本における初年度は82頭の繁殖牝馬を集めた。翌1997年は前年における米国の産駒成績が日本にも伝わったために93頭の繁殖牝馬を集めた。3年目も89頭、4年目の1999年も88頭の交配数であり、人気種牡馬の地位を確立した。日本における初年度産駒は1999年にデビュー。米国と同じく当初の産駒成績は目立たなかったが、その後はダートの一流馬を次々に送り出して本領を発揮した。なお、米国から何度も高額で買い戻しのオファーが来たが、不幸にも(あえて不幸と書く)日本での種牡馬成績も良好だったため、本馬が米国に戻る事は無かった。5年目は88頭、6年目は84頭、7年目は83頭、8年目は81頭、9年目は72頭、20歳になった10年目も60頭の交配数であり、種牡馬生活晩年まで人気種牡馬としての地位を保っていたが、さすがに寄る年波には勝てずに受精率が低下し、11年目は36頭と交配して翌年誕生の産駒が10頭、12年目の2007年は19頭と交配して翌年誕生の産駒が2頭だった。この2007年に受精率の低下を理由に種牡馬を引退。2015年現在も日本軽種馬協会静内種馬場で功労馬として余生を送っている。

全日本種牡馬ランキングは、ユートピア、マイネルセレクト、ビワシンセイキなどが最も活躍した2003・04年の6位が最高で、2001年の10位、2002年の9位と合わせて4度のトップテン入りを果たしている。日本における産駒の傾向としては、芝が全く駄目ではないがやはりダート馬が多かった。2003年には中央競馬芝限定ランキングでは56位だったのに、ダート限定ランキングでは1位を獲っている。それを含めて、中央競馬ダート限定ランキングではベストテンに9回入っている。地方競馬の種牡馬ランキングでは、2004年の2位を筆頭に、2003年に6位、2005年に5位に入っている。距離適性は短めで、勝ち上がり率は優秀であり、日本国内におけるミスタープロスペクター直系の典型例であるとも言える。

本馬の日本における成功を受けて、本馬が米国に残してきた産駒のエンドスウィープ、トワイニング、コロナドズクエストなどが次々と日本に輸入されたが、エンドスウィープとコロナドズクエストは早世、トワイニングは失敗に終わった。幸いにも日本に輸入されなかったディストーテッドユーモアが米国で後継種牡馬として成功。また、日本で産まれたサンデーブレイクやユートピアは米国に逆輸出されて種牡馬入りしており、日本でもエンドスウィープの代表産駒アドマイヤムーンが種牡馬入りしている。しかし、くれぐれも日本のせいで本馬の直系は滅亡しました、やはり日本は種牡馬の墓場でしたという結果は勘弁してほしい(直系を伸ばす事に無頓着な日本が集中的にその系統の種牡馬を買い漁ったせいで滅亡した又は滅亡の危機に瀕している系統は、ザボス、ファリスネヴァーセイダイプリンスリーギフトニジンスキーダンシングブレーヴなど数え切れないほどある。今回も正直危ないのではないかと筆者は思っている)。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1990

Dalhart

ナシュアS(米GⅢ)・レベルS(米GⅢ)

1990

Nine Keys

アップルブロッサムH(米GⅠ)・ランパートH(米GⅡ)・ハニービーH(米GⅢ)・モンマスパークBCH(米GⅢ)

1990

No Contract

ナドアルシバスプリント

1990

Tactical Advantage

サラトガスペシャルS(米GⅡ)

1991

End Sweep

ジャージーショアBCS(米GⅢ)

1991

Twining

ウィザーズS(米GⅡ)・ピーターパンS(米GⅡ)

1992

Announce

エクワポイズマイル(米GⅢ)

1992

Niner's Home

アーリントンオークス(米GⅢ)

1992

On Target

デルマーフューチュリティ(米GⅡ)

1993

Distorted Humor

コモンウェルスBCS(米GⅡ)・チャーチルダウンズH(米GⅡ)・サルヴェイターマイルH(米GⅢ)・アクアクH(米GⅢ)

1993

Editor's Note

ベルモントS(米GⅠ)・スーパーダービー(米GⅠ)・ケンタッキーCジュヴェナイルS(米GⅢ)

1993

Gold Fever

NYRAマイルH(米GⅠ)・リヴァリッジS(米GⅢ)・ディスカヴァリーH(米GⅢ)

1993

Gold Sunrise

ゴールデンロッドS(米GⅢ)

1993

Ide

イロコイS(米GⅢ)・ケンタッキージョッキークラブS(米GⅢ)・サウスウエストS(米GⅢ)・レベルS(米GⅢ)

1993

Roar

ジムビームS(米GⅡ)・スウェイルS(米GⅢ)

1994

Banker's Gold

ピーターパンS(米GⅡ)・トムフールH(米GⅡ)

1994

Jules

ナシュアS(米GⅢ)

1994

Move

チャーチルダウンズデビュータントS(米GⅢ)

1995

Coronado's Quest

ハスケル招待H(米GⅠ)・トラヴァーズS(米GⅠ)・カウディンS(米GⅡ)・レムセンS(米GⅡ)・ウッドメモリアルS(米GⅡ)・リヴァリッジS(米GⅡ)・ドワイヤーS(米GⅡ)・ナシュアS(米GⅢ)

1995

マチカネホシマツリ

建依別賞(高知)・珊瑚冠賞(高知)

1996

Ecton Park

スーパーダービー(米GⅠ)・ジムダンディS(米GⅡ)

1996

Golden Temper

ドッグウッドS(米GⅢ)

1996

Marley Vale

テストS(米GⅠ)・シャーリージョーンズH(米GⅢ)

1996

Miss Tobacco

オステルマンポカル(独GⅢ)

1998

テイエムサウスポー

京王杯三歳S(GⅡ)

1998

ビワシンセイキ

かきつばた記念(GⅢ)・とちぎマロニエC(GⅢ)

1999

Sunday Break

ピーターパンS(米GⅡ)

1999

キネティクス

富士S(GⅢ)

1999

クーリンガー

サラブレッドチャレンジC(GⅢ)・佐賀記念(GⅢ)・名古屋大賞典(GⅢ)2回・マーチS(GⅢ)・マーキュリーC(GⅢ)

1999

シャドウスケイプ

根岸S(GⅢ)・クラスターC(GⅢ)

1999

マイネルセレクト

JBCスプリント(GⅠ)・東京盃(GⅡ)・シリウスS(GⅢ)・ガーネットS(GⅢ)・黒船賞(GⅢ)

2000

コウエイソフィア

トゥインクルレディー賞(南関GⅡ)

2000

バンブーボカ

道営記念(H1)・赤レンガ記念(H2)・瑞穂賞(H2)

2000

ユートピア

全日本2歳優駿(GⅠ)・ダービーグランプリ(GⅠ)・マイルCS南部杯(GⅠ)2回・ゴドルフィンマイル(首GⅡ)・ユニコーンS(GⅢ)・ウエストチェスターH(米GⅢ)

2001

アドマイヤホープ

全日本2歳優駿(GⅠ)・北海道2歳優駿(GⅢ)

2001

ムーンバレイ

梅見月杯(SPⅠ)・東海菊花賞(SPⅠ)・名古屋記念(SPⅠ)

2002

ヴァンクルタテヤマ

プロキオンS(GⅢ)・サマーチャンピオン(GⅢ)2回・北海道スプリントC(GⅢ)

2002

エイシンニーザン

阪神スプリングジャンプ(JGⅢ)

2003

アテスト

若駒賞(盛岡)

2003

ケイアイカルディナ

スプリント(SPⅢ)

2003

ダイワパッション

フィリーズレビュー(GⅡ)・フェアリーS(GⅢ)

2004

トウショウガナー

白銀争覇(SPⅢ)

2004

ハードインパルス

尾張名古屋杯(SPⅡ)・スプリント(SPⅢ)

2005

クールフォーマ

新春賞(園田)

2005

ダイワシークレット

いろは丸賞(福山)

2005

フォーティファイド

大井記念(SⅡ)・金盃(SⅡ)

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