レッドランサム

和名:レッドランサム

英名:Red Ransom

1987年生

鹿毛

父:ロベルト

母:アラビア

母父:ダマスカス

競走馬としては故障のためグレード競走不出走ながら種牡馬としては100頭以上のステークスウイナーを出して父ロベルトの後継種牡馬として大活躍する

競走成績:2・3歳時に米で走り通算成績3戦2勝2着1回

誕生からデビュー前まで

歴史的名馬ミルリーフなどを誕生させた米国の名馬主ポール・メロン氏が米国ヴァージニア州に所有するロークビーステーブルにおいて生産・所有した馬で、米国マッケンジー・ミラー調教師に預けられた。

競走生活

2歳8月にサラトガ競馬場で行われたダート5ハロンの未勝利戦でデビューして、後にベストターンS・ローズベンH・アフィナミナンHとGⅢ競走を3勝するフォーリアリーを3馬身半差の2着に下し、56秒8のコースレコードを樹立して勝利した。この4週間後に出走したベルモントパーク競馬場ダート6ハロンの一般競走も、2着ケンタッキージャズ(後にプリークネスSにも駒を進めている)に頭差ながら勝利。

その後はベルモントフューチュリティSやカウディンS、そしてBCジュヴェナイルが目標だったが、故障を起こしたために2歳時は2戦のみで終了した。しかしそれでも素質は高く評価されており、翌年のケンタッキーダービーの有力候補として認知されていた。

3歳時は3月にガルフストリームパーク競馬場で行われたダート7ハロンの一般競走で復帰したが、後にエクワポイズマイルHを勝つブライトアゲインに敗れて1馬身1/4差の2着。この6日後に脚の腱に炎症を起こした(種子骨の骨折であるとする資料もある)ため、僅か3戦で競走馬を引退した。

馬名は米国の小説家オー・ヘンリー(「最後の一葉」が日本では有名)の短編小説「赤い酋長の身代金(The Ransom of Red Chief)」に由来する。

血統

Roberto Hail to Reason Turn-to Royal Charger Nearco
Sun Princess
Source Sucree Admiral Drake
Lavendula 
Nothirdchance Blue Swords Blue Larkspur
Flaming Swords 
Galla Colors Sir Gallahad
Rouge et Noir
Bramalea Nashua Nasrullah Nearco
Mumtaz Begum
Segula Johnstown
Sekhmet
Rarelea Bull Lea Bull Dog
Rose Leaves
Bleebok Blue Larkspur
Forteresse
アラビ Damascus Sword Dancer Sunglow Sun Again
Rosern 
Highland Fling By Jimminy
Swing Time
Kerala My Babu Djebel
Perfume
Blade of Time Sickle
Bar Nothing
Christmas Wind Nearctic Nearco Pharos
Nogara
Lady Angela Hyperion
Sister Sarah
Bally Free Ballymoss Mossborough
Indian Call
Fair Freedom Fair Trial
Democratie

ロベルトは当馬の項を参照。

母アラビアは現役成績13戦3勝。本馬を産んだ後に日本に繁殖牝馬として輸入されているが、これといった活躍馬は出ていない。アラビアの半兄には、ウィンターズテイル(父アーツアンドレターズ)【サバーバンH2回(米GⅠ)・ブルックリンH(米GⅠ)・マールボロカップ招待H(米GⅠ)・ナッソーカウンティH(米GⅡ)2回】がいる他、アラビアの半姉ウェザーワイズ(父アーツアンドレターズ)の孫にはスーパーアバウンド【セクレタリアトS(米GⅠ)】が、アラビアの半妹クリスマスコイン(父キートゥザミント)の孫にはロスコーピト【ブリティッシュコロンビアダービー(加GⅡ)】がいる。

アラビアの祖母バリーフリーの半姉エマンシペイションと半姉ビーケアフル【ジムクラックS・英シャンペンS】はいずれも優秀な牝系を構築しており、前者の牝系子孫にはジュリエットマーニー【英オークス(英GⅠ)・愛オークス(愛GⅠ)】、ジュリオマリナー【英セントレジャー(英GⅠ)】、シンティレート【英オークス(英GⅠ)】、フレンチホリー【クリスマスハードル(英GⅠ)】、デアノズビーノ【ロングウォークハードル(英GⅠ)】、ジュリンスキープリンス【ウィンザーパークプレート(新GⅠ)】、日本で走ったユキノアラシ【菊水賞・兵庫ダービー】、サイモンロード【名古屋記念・梅見月杯】、コパノリチャード【高松宮記念(GⅠ)・スワンS(GⅡ)・アーリントンC(GⅢ)・阪急杯(GⅢ)】などがおり、後者の牝系子孫にはグリース【伊グランクリテリウム(伊GⅠ)】、リヴェリナチャーム【MRC1000ギニー(豪GⅠ)・カンタベリーギニー(豪GⅠ)・ローズヒルギニー(豪GⅠ)・ニュージーランドS(新GⅠ)】、ドバイディスティネーション【クイーンアンS(英GⅠ)】、リブレッティスト【ジャックルマロワ賞(仏GⅠ)・ムーランドロンシャン賞(仏GⅠ)】、ラクカラチャ【ナンソープS(英GⅠ)】、ネロリ【クイーンオブザターフS(豪GⅠ)】、ベンフィカ【ザTJスミス(豪GⅠ)】、日本で走ったヒシアケボノ【スプリンターズS(GⅠ)・スワンS(GⅡ)】と日本と海外で走ったアグネスワールド【アベイドロンシャン賞(仏GⅠ)・ジュライC(英GⅠ)・全日本三歳優駿(GⅡ)・CBC賞(GⅡ)・函館三歳S(GⅢ)】の兄弟、ロイヤルスズカ【スワンS(GⅡ)・ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)】、ブロードストリート【ローズS(GⅡ)】などがいる。→牝系:F6号族①

母父ダマスカスは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬はデビュー戦で見せたスピード能力が評価され、メロン氏の所有のもと、米国ケンタッキー州ワイナリースタッドで種牡馬入りを果たした。初年度産駒から活躍馬が出て、1994年の北米新種牡馬ランキングで1位になった。その後も活躍馬を出し、種付け料は種牡馬入り当初の7500ドルから最高7万5千ドルまで上昇した。メロン氏が1999年2月に91歳で死去すると、ドバイのゴドルフィングループが中心となって組んだ種牡馬シンジケートによって購入された。しばらくはワイナリースタッドと豪州の間を行き来するシャトルサイヤーとして活動した。2004年にゴドルフィン傘下の英国ダルハムホールスタッドに移動した後も豪州にシャトルされ続けた。2009年11月にシャトル先の豪州において、腸の手術を受けた後の合併症により22歳で他界した。

産駒のステークスウイナーは2010年に100頭の大台に到達した。産駒はロベルト直系らしい重厚さに富み、比較的長い距離までこなせる。しかし本馬の産駒は、大競走で勝ち切れなかったり、勝ったレースの格がGⅠ競走から外れた時期だったり、代表産駒のエレクトロキューショニストが夭折したりと、やや運に恵まれない部分はある。それでも後継種牡馬としてインティカブが成功してサイアーラインを伸ばしている。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1992

Bail Out Becky

デルマーオークス(米GⅠ)・ニジャナS(米GⅢ)

1992

Petrouchka

ミセスリヴィアS(米GⅢ)

1992

Sri Pekan

リッチモンドS(英GⅡ)・英シャンペンS(英GⅡ)・コヴェントリーS(英GⅢ)

1992

Upper Noosh

ミスグリオS(米GⅢ)

1993

Red Robbo

ロイヤルハントC

1993

Trail City

アーリントンクラシックS(米GⅡ)

1993

Wandering Star

EPテイラーS(加GⅡ)

1994

Intikhab

クイーンアンS(英GⅡ)・ダイオメドS(英GⅢ)

1994

Rojo Dinero

ラウンドテーブルS(米GⅢ)

1995

Comic Strip

ルイジアナダービー(米GⅢ)・フォースターデイヴH(米GⅢ)・リバーシティH(米GⅢ)

1995

Stay Sound

ホーソーンダービー(米GⅢ)

1996

Crystal Symphony

マイチャーマーH(米GⅢ)

1996

Perfect Sting

BCフィリー&メアターフ(米GⅠ)・ガーデンシティBCH(米GⅠ)・クイーンエリザベスⅡ世CCS(米GⅠ)・ニューヨークH(米GⅡ)・ダイアナH(米GⅡ)・ブラックヘレンH(米GⅡ)・サンズポイントS(米GⅢ)・ボーゲイH(米GⅢ)・ジャストアゲームBCH(米GⅢ)

1996

Pico Teneriffe

スウィーテストチャントS(米GⅢ)・ヒアカムズザブライドS(米GⅢ)・スワニーリヴァーH(米GⅢ)

1997

China Visit

ロンポワン賞(仏GⅡ)

1997

Ekraar

伊ジョッキークラブ大賞(伊GⅠ)・ヴィンテージS(英GⅢ)・ローズオブランカスターS(英GⅢ)・セレクトS(英GⅢ)

1997

Shining Hour

クイーンメアリーS(英GⅢ)

1997

Slew the Red

ラクープ(仏GⅢ)・ゴントービロン賞(仏GⅢ)

1998

New Economy

ラプレヴォヤンテH(米GⅡ)・マイチャーマーH(米GⅢ)

1999

Mr. Mellon

アーリントンクラシックS(米GⅡ)

1999

Van Rouge

アスコットH(米GⅢ)

2000

Cassis

ムシドラS(英GⅢ)

2000

Casual Look

英オークス(英GⅠ)

2000

Fairly Ransom

デルマーダービー(米GⅡ)

2000

Halibery

スキラッチS(豪GⅡ)・ブルーダイヤモンドプレビュー(豪GⅢ)・ブルーダイヤモンドプレリュード(豪GⅢ)

2000

Ransom O'War

ダルマイヤー大賞(独GⅠ)・ミュラーブロート大賞(独GⅡ)

2001

Bayeux

リバーシティH(米GⅢ)

2001

Charge Forward

ザギャラクシー(豪GⅠ)・トドマンS(豪GⅡ)・サンドメニコS(豪GⅡ)

2001

Electrocutionist

ドバイワールドC(首GⅠ)・ミラノ大賞(伊GⅠ)・英国際S(英GⅠ)・カルロダレッシオ賞(伊GⅡ)・マクトゥームチャレンジR3(首GⅡ)

2001

Western Ransom

マーサワシントンBCS(米GⅢ)

2002

Domesday

シルヴァースリッパーS(豪GⅡ)

2002

Heavenly Ransom

ウィルシャーH(米GⅢ)

2002

Red Dazzler

トゥーラックH(豪GⅠ)・ビルスタットS(豪GⅡ)

2003

Red Arrow

ロサンゼルスH(米GⅢ)

2003

Red Clubs

スプリントC(英GⅠ)・コヴェントリーS(英GⅡ)・ダイアデムS(英GⅡ)・グリーナムS(英GⅢ)

2004

ロックドゥカンブ

セントライト記念(GⅡ)・ラジオNIKKEI賞(GⅢ)

2005

All American

エミレーツS(豪GⅠ)

2005

Amaryllis

ダーレイプレート(新GⅢ)

2005

Duporth

BTCカップ(豪GⅠ)・STCゴールデンローズS(豪GⅡ)・サンドメニコS(豪GⅢ)

2005

Moiqen

バリサックスS(愛GⅢ)

2005

Muthabara

フレッドダーリンS(英GⅢ)

2005

Portillo

マジックナイトS(豪GⅡ)・サラウンドS(豪GⅡ)

2005

Romneya

ムーニーバレーフィリーズクラシック(豪GⅡ)・ザヴァニティ(豪GⅢ)

2005

Typhoon Tracy

クールモアクラシック(豪GⅠ)・マイヤークラシック(豪GⅠ)・CFオーアS(豪GⅠ)2回・豪フューチュリティS(豪GⅠ)・クイーンオブザターフS(豪GⅠ)・トリスタークS(豪GⅡ)・シュウェッパーヴェッセンストロフィー(豪GⅢ)

2006

Onemorenomore

AJCシャンペンS(豪GⅠ)

2006

Ouqba

ジャージーS(英GⅢ)

2006

Reggane

EPテイラーS(加GⅠ)

2007

Ransom Note

ジョエルS(英GⅡ)・アールオブセフトンS(英GⅢ)

2009

Fuddle Dee Duddle

WAチャンピオンフィリーズS(豪GⅢ)

2009

Kazanluk

ムーニーバレーフィリーズクラシック(豪GⅡ)

2009

Let's Make Adeal

ザバートカミングス(豪GⅢ)

2009

Rumya

ゴールデンスリッパー(南GⅠ)・ケープフィリーズギニー(南GⅠ)

2010

Thump

シルバーシャドウS(豪GⅡ)・サラウンドS(豪GⅡ)・シャンペンS(豪GⅢ)・トリスケイS(豪GⅢ)

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