モンテロッソ

和名:モンテロッソ

英名:Monterosso

2007年生

鹿毛

父:ドバウィ

母:ポルトロカ

母父:バラシア

日本調教馬がワンツーを決めたドバイワールドCで3着し、翌年の同競走で祖父ドバイミレニアムの制覇から12年目の優勝を飾った本邦輸入種牡馬

競走成績:2~6歳時に英愛独首で走り通算成績17戦7勝2着2回3着1回

誕生からデビュー前まで

英国ダーレースタッドにおいて、同牧場の所有者であるドバイのシェイク・モハメド殿下により生産された。モハメド殿下の息子であるシェイク・ハムダン殿下の所有馬となり、英国マーク・ジョンストン調教師に預けられた。

競走生活(2・3歳時)

2歳9月にウルヴァーハンプトン競馬場で行われたオールウェザー7ハロン32ヤードの未勝利ステークスで、当面の主戦となるジョー・ファニング騎手を鞍上にデビュー。単勝オッズ13倍で12頭立ての5番人気という評価だった。レースでは先行して残り2ハロン地点で仕掛けるも、残り1ハロン地点から失速して、勝った単勝オッズ1.57倍の1番人気馬ブロンズプリンスから9馬身差の5着に敗れた。

2歳時はこの1戦のみで終え、3歳時はまず1月にリングフィールド競馬場で行われたオールウェザー7ハロンの未勝利ステークスに出走した。ここでは単勝オッズ3.5倍で9頭立ての2番人気だった。今回はスタートから逃げを打ち、残り3ハロン地点で並びかけてきた単勝オッズ2.625倍の1番人気馬ファイブホールドとの激しい叩き合いとなった。後方からはさらに他2頭も追い上げてきたが、結局は本馬とファイブホールドの2頭が先頭でほぼ同時にゴールラインを通過。写真判定の結果は本馬の短頭差負けだった。

それから僅か8日後には同じリングフィールド競馬場でオールウェザー8ハロンの未勝利ステークスに出走した。ここでは本馬が単勝オッズ2.625倍で10頭立ての1番人気の評価を受ける番となった。今回は他馬を先に行かせて先行し、残り3ハロン地点で先頭に立つと、ゴールまでしっかりと脚を伸ばし、同じく先行して2着に入った単勝オッズ4.5倍の3番人気馬ダルショニンに3馬身1/4差をつけて勝利した。

その後はハンデ競走路線に進み、次走は翌2月にリングフィールド競馬場で行われたリングフィールドパークゴルフクラブH(AW9F)となった。本馬には133ポンドのトップハンデが課されたが、単勝オッズ1.73倍で5頭立ての1番人気に支持された。レースは単勝オッズ4倍の2番人気馬テンエースストリームが逃げて、本馬は2番手を追走。残り1ハロン地点で先頭に立つと、差してきた単勝オッズ5.5倍の3番人気馬リサハネボグを1馬身半差の2着に抑えて勝利した。

次走は4月にリポン競馬場で行われたリポンコックオーザノースH(AW8F)となった。過去4戦で手綱を取ったファニング騎手から、ロイストン・フレンチ騎手に乗り代わった本馬は、単勝オッズ6.5倍で9頭立ての3番人気タイの評価だった。ここでは先行したものの、レース中盤でよれて少し位置取りが下がってしまった。すぐに挽回しようとしたが、今度は進路が塞がって立ち往生し、残り1ハロン地点まで馬群の中に閉じ込められていた。しかし最後になってようやく進路が開くと、一気に加速してゴール直前で先頭を奪い、8ポンドのハンデを与えた同じ3番人気馬エレアノーラドゥーゼ(後にこの年のブランドフォードSを勝ってGⅡ競走勝ち馬となっている)を首差の2着に抑えて勝利した。

次走は5月にニューベリー競馬場で行われたトートスクープ6ロンドン金杯H(T10F6Y)となった。このレースでは当面の主戦を務めるランフランコ・デットーリ騎手と初コンビを組み、単勝オッズ6.5倍で15頭立ての2番人気となった。今回はスタートから先行して、その後もスムーズに走った。そして残り2ハロン地点で、逃げていた単勝オッズ12倍の5番人気馬グリーンムーンに並びかけた。しかしここからグリーンムーンが二の脚を使って本馬を引き離した。斤量は本馬が6ポンド重かった影響もあって追いつくことは出来ず、4馬身差をつけられて2着に敗れた。

次走は同月末にニューマーケット競馬場で行われたジョンズプラクティスH(T10F)となった。ここでは他馬より4~10ポンド重い130ポンドのトップハンデだったが、単勝オッズ3.5倍で8頭立ての1番人気に支持された。スタートが切られると単勝オッズ9倍の5番人気馬コールダークルイックスが逃げて、本馬は3番手を追走。残り2ハロン地点で2番手に上がると、残り1ハロン地点でコールダークルイックスを抜いて先頭に立った。ここから左側によれながらも差を広げ、7ポンドのハンデを与えたコールダークルイックスを3馬身3/4差の2着に下して勝利した。

ここでハンデ競走への出走は終了となり、次走は翌6月のキングエドワードⅦ世S(英GⅡ・T12F)となった。前走の英ダービーで勝ったワークフォースに7馬身差をつけられながらも2着に入ったアットファーストサイトが単勝オッズ3.5倍の1番人気、本馬が単勝オッズ4.5倍の2番人気、トートスクープ6ロンドン金杯Hで本馬を破った後にリステッド競走フェアウェイSを勝っていたグリーンムーンが単勝オッズ5倍の3番人気、リングフィールドダービートライアルSの勝ち馬バレットトレイン(後に半弟フランケルのペースメーカー役として有名になる)が単勝オッズ6倍の4番人気、ロシェット賞の勝ち馬でジャンリュックラガルデール賞3着のバズワードが単勝オッズ12倍の5番人気となった。スタートが切られると、英ダービーでも逃げを打ったアットファーストサイトがやはり逃げを打ち、本馬は少し離れた4番手を追走した。そして残り2ハロン地点で先頭に立つと右側によれながらも末脚を維持し、中団から2着まで差してきた単勝オッズ15倍の6番人気馬アークティックコスモスに2馬身1/4差をつけて勝利した。

次走は愛ダービー(愛GⅠ・T12F)となった。前走から僅か9日後という強行軍だったが、陣営は15万ユーロもの追加登録料を支払って参戦に踏み切っており、それだけの自信はあったようである。英ダービー馬ワークフォースも仏ダービー馬ロペデヴェガも不在であり、対戦相手は、愛フューチュリティS・ダンテS・タイロスSの勝ち馬ケープブランコ、クリテリウム国際・ガリニュールSの勝ち馬ヤンフェルメール、デリンズタウンスタッドダービートライアルSの勝ち馬ミダスタッチ、タタソールズタイムフォームトロフィーの勝ち馬コーディネイテッドカット、バリサックスSの勝ち馬パンチャークリンチ、前走4着のアットファーストサイトなどだった。本馬が単勝オッズ4倍の1番人気に支持され、ケープブランコが単勝オッズ4.5倍の2番人気、ヤンフェルメールが単勝オッズ5倍の3番人気、ミダスタッチが単勝オッズ5.5倍の4番人気、コーディネイテッドカットが単勝オッズ9倍の5番人気となった。スタートが切られるとケープブランコ陣営が用意したペースメーカー役のブライトホライズンが逃げを打ち、アットファーストサイトが2番手、ミダスタッチが3番手、ケープブランコが4番手、本馬が5番手を進んだ。しかし直線に入るとケープブランコとミダスタッチが抜け出し、本馬は徐々に離されていった。さらに後方から来たヤンフェルメールにも差されてしまい、勝ったケープブランコから3馬身差の4着に敗れた。

その後は独国に飛び、翌7月の独ダービー(独GⅠ・T2400m)に参戦した。ウニオンレネン・ドクトルブッシュ記念の勝ち馬でクリテリウムドサンクルー3着のザズー、バンクハウスメッツラー春季賞・バーヴァリアンクラシックの勝ち馬スカロ、ハノーヴァーダービートライアルSを勝ってきたセブンススカイ、ブレーメンダービートライアルSを勝ってきた独2000ギニー3着馬ルシアンタンゴ、ウニオンレネン2着馬リンデンツリー、キングエドワードⅦ世Sで本馬から4馬身半差の3着した後にここに直行してきたバズワードなど19頭が対戦相手となった。デットーリ騎手に代わってキーレン・ファロン騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ4倍の1番人気、ザズーが単勝オッズ4.3倍の2番人気、スカロが単勝オッズ5.3倍の3番人気、セブンススカイが単勝オッズ6.2倍の4番人気、ルシアンタンゴが単勝オッズ14.1倍の5番人気となった。今回の本馬は逃げ馬の直後を追走。そのまま絶好の位置を維持した状態で直線に入ってきたが、ここから見せ場を作ることは出来なかった。レースは好位から四角でスパートした単勝オッズ18.8倍の7番人気馬バズワードが勝ち、そのバズワードをキングエドワードⅦ世Sで一蹴していた本馬は5馬身3/4差をつけられて7着に終わった。

本馬の敗因は疲労だと筆者は思うのだが、陣営は休みを与えず、翌8月のグレートヴォルティジュールS(英GⅡ・T12F)に出走させた。対戦相手は、英ダービー3着馬リワイルディング、ケープブランコから半馬身差の2着と好走した愛ダービーから直行してきたミダスタッチ、ロイヤルロッジSの勝ち馬ジョシュアツリー、チェスターヴァーズの勝ち馬テッドスプレッドなどだった。リワイルディングが単勝オッズ2.5倍の1番人気、ミダスタッチが単勝オッズ3.5倍の2番人気で、前走に続いてファロン騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ9倍と離された3番人気だった。そしてレースでは疲労がピークに達していたのか、スタートから後方のままでなんも見せ場も無く、勝ったリワイルディングから19馬身半差をつけられた5着と惨敗。

グレートヴォルティジュールSは英セントレジャーの最重要前哨戦であり、上位4頭のリワイルディング、ミダスタッチ、ジョシュアツリー、テッドスプレッドはいずれも英セントレジャーに向かった。しかし本馬は英セントレジャーには不参戦となった。本馬不在の英セントレジャーは、キングエドワードⅦ世Sで本馬の2着だったアークティックコスモスが勝利を収めた。3歳時は結局グレートヴォルティジュールSが最後のレースで、この年の成績は10戦5勝となった。

競走生活(4歳時)

4歳時は所属がゴドルフィンに代わり、管理調教師は有名なサイード・ビン・スルール調教師と共にゴドルフィンの専属調教師となって間もないマフムード・アル・ザローニ師(前年の独ダービーで本馬を破って勝ったバズワードの管理調教師も彼)、主戦はこの年の英ダービーでプールモアに騎乗して19歳で英ダービー優勝騎手となる仏国の新星ミカエル・バルザローナ騎手に変更となった。

まずは3月のドバイシティオブゴールド(首GⅡ・T2400m)に出走した。対戦相手は、フォルス賞の勝ち馬シモンドモンフォール、シェーヌ賞・ギシュ賞の勝ち馬カルヴァドスブルース、ラウル&ラウルEチェバリエル大賞・亜ジョッキークラブ大賞・カルロスペレグリーニ大賞と亜国のGⅠ競走3勝のインタラクション、ドーヴィル大賞の勝ち馬マリノス、グラディアトゥール賞を2連覇した他にカドラン賞2着・香港ヴァーズ・カドラン賞3着の実績もあったカスバーブリスなどだった。シモンドモンフォールが単勝オッズ3倍の1番人気、カルヴァドスブルースとインタラクションが並んで単勝オッズ5倍の2番人気、マリノスが単勝オッズ7倍の4番人気、本馬が単勝オッズ11倍の5番人気となった。スタートが切られるとインタラクションが先頭に立ち、本馬は先行集団につけた。そして直線に入ると残り300m地点で先頭に立って押し切り、2着カルヴァドスブルースに1馬身1/4差をつけて勝利した。

ドバイシティオブゴールドに出走したという事は次の目標は同じコースで行われるドバイシーマクラシックと思われたが、方針転換したのか次走はドバイワールドC(首GⅠ・AW2000m)となった。対戦相手は一気に強化されており、前哨戦のマクトゥームチャレンジR3を勝ってきた英チャンピオンS2回・エクリプスS・ユジェーヌアダム賞・クレイヴンSの勝ち馬で英チャンピオンS・プリンスオブウェールズS・英国際S2着・セントジェームズパレスS・ロッキンジS・BCクラシック・愛チャンピオンS3着のトゥワイスオーヴァー、前年の愛ダービー勝利後に愛チャンピオンSを勝ちキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSで2着していたケープブランコ、クイーンエリザベスⅡ世S・英シャンペンS・セレブレーションマイルの勝ち馬ポエッツヴォイス、アーリントンミリオン・フランクEキルローマイルH・マンハッタンH・マンノウォーS2回・シャドウェルターフマイルS・ヴァージニアダービー・ヒルプリンスS・サーボーフォートSの勝ち馬でターフクラシック招待S・BCクラシック・マンハッタンH・アーリントンミリオン・BCマイル2着のジオポンティ、南アフリカのGⅠ競走ゴールデンホースシューやUAE2000ギニー・UAEダービーの勝ち馬ムジール、チェスターヴァーズの勝ち馬で愛ダービー2着のゴールデンソード、グッドウッドS・ダイアモンドSの勝ち馬ジターノエルナンド、コンセイユドパリ賞・プランスドランジュ賞の勝ち馬プリンスビショップ、ドワイヤーSの勝ち馬でベルモントS・トラヴァーズS2着のフライダウン、パシフィッククラシックS2回・グッドウッドS・サンアントニオHの勝ち馬でグッドウッドS・ハリウッド金杯3着のリチャーズキッド、そして日本からも、阪神ジュベナイルフィリーズ・桜花賞・優駿牝馬・ヴィクトリアマイル・天皇賞秋・京都記念・チューリップ賞の勝ち馬で有馬記念2回・宝塚記念・ジャパンC・ドバイシーマクラシック2着のブエナビスタ、皐月賞・有馬記念・弥生賞・中山記念・ラジオNIKKEI杯2歳Sの勝ち馬で東京優駿・ジャパンC3着のヴィクトワールピサ、ジャパンCダート・フェブラリーS・みやこSと重賞を3連勝してきたトランセンドが参戦してきた。トゥワイスオーヴァーが単勝オッズ3倍の1番人気、ケープブランコが単勝オッズ5倍の2番人気、ブエナビスタが単勝オッズ8倍の3番人気と続く一方で、本馬は単勝オッズ41倍の12番人気という低評価だった。

スタートが切られると本馬と同じく12番人気だった藤田伸二騎手騎乗のトランセンドが先頭に立ち、本馬はケープブランコやジオポンティなどと共に先行。ライアン・ムーア騎手騎乗のブエナビスタは後方2番手、単勝オッズ13倍の5番人気だったミルコ・デムーロ騎手騎乗のヴィクトワールピサが最後方を進んだ。向こう正面に差し掛かったところで最後方にいたヴィクトワールピサが大外をするすると上がり、先頭のトランセンドに並びかけていった。そして日本調教馬2頭が先頭に立った状態で直線へと突入した。馬群の中団以降にいた馬は殆ど伸びてこず、レースは逃げ粘るヴィクトワールピサと、それを追うトランセンド、本馬、ケープブランコ、ジオポンティといった先行馬勢の勝負に絞られた。結果はヴィクトワールピサが粘り切って日本調教馬として史上初のドバイワールドC制覇を達成。半馬身差の2着にトランセンドが粘り、日本馬のワンツーフィニッシュを演出した。本馬はトランセンドから首差の3着で、ケープブランコは本馬からさらに首差の4着だった。

この年のドバイワールドCは東日本大震災の15日後に行われており、日本競馬界においては被災地に勇気を与えたという声が蔓延した。競馬に興味がある人はともかく、興味が無い人達に勇気を与えたとは筆者にはあまり思えないのだが、ホクトベガが命を落として以来筆者にとっても悲願だった日本調教馬のドバイワールドC制覇は筆者にとっては確かに大きな慶事となった。

それはさておき、このレースで世界の有力馬の多くに先着した本馬の知名度は上昇し、その後の活躍が期待されたが、疝痛の治療のため4歳の残りシーズンは完全に棒に振ってしまい、この年の成績は2戦1勝となった。

競走生活(5歳時)

復帰したのは前走から1年近くが経過した5歳3月で、復帰戦はマクトゥームチャレンジR3(首GⅠ・AW2000m)だった。対戦相手は、南アフリカ最大の競走ダーバンジュライの勝ち馬で前年のマクトゥームチャレンジR2も勝ったが打撲負傷で1年間レースに出ていなかったボールドシルヴァノ、ストレンソールS・アークトライアルの勝ち馬グリーンデスティニー、前年のマクトゥームチャレンジR1・バージナハールを勝ってドバイデューティーフリーに出走するも6着に終わりこの年はマクトゥームチャレンジR2を勝っていたメンディップ、本馬と同馬主同厩の地元ドバイの有力馬カッポーニ、オカール賞・シャンティ大賞の勝ち馬でサンクルー大賞3着のシルヴァーポンド、伊グランクリテリウムの勝ち馬ビオンデッティ、前年のドバイワールドCで10着に終わっていたプリンスビショップ、同12着のリチャーズキッド、同13着のフライダウンなどだった。ボールドシルヴァノが単勝オッズ4.5倍の1番人気、グリーンデスティニーが単勝オッズ5.5倍の2番人気、本馬とメンディップが並んで単勝オッズ6倍の3番人気、カッポーニとプリンスビショップが並んで単勝オッズ10倍の5番人気となった。スタートが切られると単勝オッズ41倍の最低人気馬トレブルジグが先頭に立ち、本馬は馬群の中団を追走した。そして直線に入る手前からスパートしたが、残り200m地点で前の馬と脚色が一緒になってしまい、勝ったカッポーニから6馬身半差の4着に敗れた。

完敗を喫してしまったが、久々だったから仕方がない一面もあり、その後は予定どおりドバイワールドC(首GⅠ・AW2000m)に向かった。本馬以外の出走馬は、カッポーニ、前走3着のプリンスビショップ、同11着のメンディップ、コックスプレート2回・アンダーウッドS・ヤルンバS・マッキノンSと豪州でGⅠ競走5勝を挙げた後に愛国に移籍してタタソールズ金杯・エクリプスS・愛チャンピオンSを勝ちプリンスオブウェールズS・英チャンピオンSで2着していた新国出身の名馬ソーユーシンク、サンタアニタH・グッドウッドS・サンアントニオS・ローンスターダービーの勝ち馬で前年のBCクラシック・ハリウッド金杯2着のゲームオンデュード、BCレディーズクラシック・アラバマS・ブラックアイドスーザンSの勝ち馬でベルデイムS2着・CCAオークス3着のロイヤルデルタ、本馬が7着に終わった独ダービーでバズワードから1馬身1/4差の2着と好走した後にローマ賞・バーデン貯蓄銀行賞を勝ちラインラントポカル・香港Cで3着していたザズー、ガネー賞・ノアイユ賞・アルクール賞の勝ち馬で仏ダービー・パリ大賞2着のプラントゥール、ジェベルハッタを勝ってきたマスターオブハウンズ、そして日本からも、JBCクラシック2回・東京大賞典2回・帝王賞・川崎記念・浦和記念2回・ブリーダーズゴールドC・ダイオライト記念・日本テレビ盃・白山大賞典・兵庫ゴールドトロフィー・佐賀記念・名古屋大賞典・かきつばた記念2回・さきたま杯2回と重賞19勝を挙げていた目下9連勝中のスマートファルコン、一昨年の東京優駿・京成杯の勝ち馬で前年の天皇賞春・有馬記念2着のエイシンフラッシュ、前年のドバイワールドC2着後にマイルCS南部杯・ジャパンCダートを勝ちJBCクラシックで2着していたトランセンドが参戦してきて、計12頭が対戦相手となった。ソーユーシンクが単勝オッズ2.25倍の1番人気に支持され、以下、単勝オッズ7.5倍のスマートファルコン、単勝オッズ9倍のゲームオンデュード、単勝オッズ11倍のロイヤルデルタ、単勝オッズ12倍のカッポーニ、単勝オッズ13倍のザズー、単勝オッズ15倍のエイシンフラッシュとプラントゥールの2頭と続き、本馬は単勝オッズ21倍で、トランセンドとマスターオブハウンズの2頭と並んで9番人気だった。

スタートが切られると前年と同じくトランセンドが逃げを打ち、ソーユーシンク、ロイヤルデルタ、カッポーニなどもそれを追って先行。本馬は先頭からそれほど離されていない馬群の中団好位の6番手につけ、スタートで出遅れたスマートファルコンやエイシンフラッシュは後方からレースを進めた。直線に入る手前でトランセンドが失速し、ロイヤルデルタを巻き込みながら後退。代わって先頭に立ったのはカッポーニで、それをソーユーシンクが追いかけていた。しかし直線手前でスパートしていた本馬が、直線入り口でソーユーシンクを抜き去った。そしてすぐにカッポーニに並びかけて叩き合いに持ち込むと、残り300m地点で先頭を奪取。残り200m地点から差を広げると、最後はバルザローナ騎手がプールモアで英ダービーを勝った時と同様に立ち上がって派手なガッツポーズを見せながら先頭でゴールイン。2着カッポーニに3馬身差をつける見事な優勝を飾った。カッポーニから半馬身差の3着に追い込んだプラントゥールが入り、それからさらに半馬身差の4着がソーユーシンク。前年はワンツーフィニッシュを決めた日本調教馬は、エイシンフラッシュの6着が最高で、スマートファルコンは10着、トランセンドは13着最下位と振るわなかった。

陣営はレース後に、次走はシンガポール航空国際Cになる可能性を示唆したが、結局は出走せず、欧州に移動してエクリプスS(英GⅠ・T10F7Y)に出走した。対戦相手は、前走プリンスオブウェールズSで3着してきた4戦3勝の上がり馬ファー、前年のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS・キングエドワードⅦ世Sの勝ち馬ナサニエル、ドバイデューティーフリー・ジョエルS・ソロナウェイS・パース賞の勝ち馬でヴィットリオディカプア賞・香港マイル2着のシティスケープ、ダンテSの勝ち馬ボンファイア、伊共和国大統領賞など3連勝で臨んできた前年の伊ダービー馬クラッカージャックキング、前年のドバイワールドC9着後に英国際S・ヨークSを勝っていたトゥワイスオーヴァー、ギョームドルナノ賞・ソラリオS・ブリガディアジェラードSの勝ち馬で一昨年のエクリプスS2着のスリプトラなどだった。底を見せていなかった同じゴドルフィン所属のファーが単勝オッズ3.75倍の1番人気に支持され、ナサニエルが単勝オッズ4.5倍の2番人気、シティスケープが単勝オッズ7倍の3番人気、ボンファイアが単勝オッズ7.5倍の4番人気、本馬が単勝オッズ9倍の5番人気となった。スタートが切られるとゴドルフィン陣営が用意したペースメーカー役のシティスタイルが先頭に立ち、ナサニエルが2番手で、本馬はその後方につけた。しかし残り4ハロン地点の辺りから既に手応えが悪くなり始め、残り2ハロン地点から大きく失速。勝ったナサニエルから33馬身差の8着と惨敗し、ペースメーカー役のシティスタイルにしか先着できなかった。

5歳時はこれ以降レースに出ず、この年の成績は3戦1勝となった。

競走生活(6歳時)

6歳時は前年と同じくマクトゥームチャレンジR3(首GⅠ・AW2000m)から始動した。対戦相手は、ローマ賞・マクトゥームチャレンジR2・ローズオブランカスターSの勝ち馬ハンターズライト、前年のBCターフを筆頭にターフクラシックS・アーリントンミリオン・フォートローダーデールS・カナディアンターフH・アップルトンS・カナディアンターフSを勝っていたリトルマイク、同じゴドルフィン所属の期待馬カッシアノ、一昨年の愛ダービー・セクレタリアトS・チェスターヴァーズの勝ち馬で英ダービー・ターフクラシック招待S2着のトレジャービーチ、ロイヤルロッジS・UAEダービーの勝ち馬ダディロングレッグス、前年のドバイワールドCで7着だったプリンスビショップ、日本から参戦してきたアルゼンチン共和国杯・京都記念の勝ち馬でBCターフ4着のトレイルブレイザーなどだった。ハンターズライトが単勝オッズ3.25倍の1番人気、リトルマイクが単勝オッズ5.5倍の2番人気、本馬とカッシアノが並んで単勝オッズ7倍の3番人気、トレイルブレイザー、トレジャービーチ、ダディロングレッグスの3頭が並んで単勝オッズ13倍の5番人気となった。スタートが切られるとダディロングレッグスが先頭に立ち、本馬は馬群の中団を進んだ。しかしここから位置取りを上げられず、徐々に後退していき、勝ったハンターズライトから12馬身半差をつけられた9着に敗退。

ドバイワールドCを始めとするドバイミーティングには参戦しなかった。そして翌4月にザローニ師の管理馬11頭が英国内で薬物検査に引っ掛かり、ザローニ師は8年間の調教免許剥奪処分を受けた。本馬はこの11頭のリストの中に含まれていなかったが、その影響は当然波及したようで、6歳時は1戦のみで競走馬を引退する事になった。

血統

Dubawi Dubai Millennium Seeking the Gold Mr. Prospector Raise a Native
Gold Digger
Con Game Buckpasser
Broadway
Colorado Dancer Shareef Dancer Northern Dancer
Sweet Alliance
Fall Aspen Pretense
Change Water
Zomaradah Deploy Shirley Heights Mill Reef
Hardiemma
Slightly Dangerous Roberto
Where You Lead
Jawaher ダンシングブレーヴ Lyphard
Navajo Princess
High Tern High Line
Sunbittern
Porto Roca Barathea Sadler's Wells Northern Dancer Nearctic
Natalma
Fairy Bridge Bold Reason
Special
Brocade Habitat Sir Gaylord
Little Hut
Canton Silk Runnymede
Clouded Lamp
Antelliere Salieri Accipiter Damascus
Kingsland
Hogan's Sister Speak John
Liz. Piet
Anntelle Loosen Up Never Bend
Dancing Hostess
Soft Quest Robber Prince
Dual Vista

ドバウィは当馬の項を参照。

母ポルトロカは豪州産馬で、競走馬としても豪州で走り通算成績25戦5勝。クールモアクラシック(豪GⅠ)・ウインターS(豪GⅢ)を勝っている。競走馬引退後は豪州で繁殖入りしていたが、2005年12月に英国に輸出され、翌年にドバウィと交配されて誕生したのが本馬である。本馬の半姉セブンスターズ(父キングズベスト)の子にハッピーギャラクシー【エクスプレスウェイS(豪GⅠ)】が、ポルトロカの半兄にブルーバードザワード(父ブルーバード)【新国際S(新GⅠ)】が、ポルトロカの半妹ハロー(父デヒア)の子にウィアーゴナロック【RNアーウィンS(豪GⅢ)・ボビールイスH(豪GⅢ)】がいる。ポルトロカの曾祖母ソフトクエストの全姉デュアルクエストはAJCオークス馬で、ソフトクエストのプレイリームーンはクラウンオークス馬。→牝系:F28号族

母父バラシアは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は来日して、2014年からダーレージャパンスタリオンコンプレックスで種牡馬入りした。既に世界的大種牡馬としての地位を確立しているドバウィの後継種牡馬としての期待は大きく、日本競馬界を席巻しているヘイルトゥリーズンの血が殆ど入っていない(正確に書くと、2本入っているがいずれも五代血統表の外でありかなり薄い)事、種付け料が無事生誕時150万円と比較的安価だった事もあり、初年度は119頭の繁殖牝馬を集めた。

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