トップヴィル

和名:トップヴィル

英名:Top Ville

1976年生

鹿毛

父:ハイトップ

母:セガヴィル

母父:シャルロットヴィル

貴重なダンテ直系の血を欧州に広めた仏ダービー・リュパン賞の勝ち馬

競走成績:2・3歳時に仏で走り通算成績10戦6勝2着1回3着1回

誕生からデビュー前まで

1966年に死去した仏国の名馬産家フランソワ・デュプレ氏のアンナ未亡人により生産された。しかし本馬が1歳の時にアンナ未亡人も死去したため、デュプレ夫婦の牧場に繋養されていた馬達はセリに掛けられる事になった。ところがこのセリに掛けられる予定だった馬全てをアガ・カーンⅣ世殿下が買い占めたため、セリは中止になった。本馬もまたアガ・カーンⅣ世殿下の所有馬となり、タンティエームなどデュプレ夫婦の生産馬を数多く管理した仏国フランソワ・マテ調教師に預けられた。

競走生活(2歳時)

2歳7月にメゾンラフィット競馬場で行われたグライシー賞(T1200m)でデビューしたが、後にロベールパパン賞・クリテリウムデプーリッシュ・マルレ賞・ノネット賞を勝ちモルニ賞・サンタラリ賞・ジャンプラ賞で2着する牝馬ピタシアと、後に本馬と何度か戦う事になるシャープマンの2頭に敗れて、ピタシアの3着だった。同月にはシャンティ競馬場でサンマキシミン賞(T1400m)にも出たが、後にイスパーン賞とジャックルマロワ賞を勝つナジャールの2着に敗れた。

9月に入り、サンクルー競馬場で行われたブレゾン賞(T1600m)で初勝利を挙げてから本馬の快進撃が始まる。同月末にはロンシャン競馬場で行われたサンロマン賞(GⅢ・T1800m)に出走した。アンリ・サマニ騎手が騎乗する本馬は、道中は2番手を進み、直線に入ってから楽に抜け出して、2着ポリニキスに2馬身差で勝利した。翌10月にはコンデ賞(GⅢ・T2000m)に出走して、単勝オッズ1.4倍という圧倒的な1番人気に支持された。ここでも直線に入ってから先頭に立って後続馬を引き離し、2着となった後のラクープドメゾンラフィットの勝ち馬ルックファストに4馬身差をつけて完勝した。

陣営は本馬を距離が伸びた方が良いタイプだと考えていたようで、距離が短い仏グランクリテリウムなどの仏国2歳GⅠ競走には出走せず、2歳時は5戦3勝の成績で終えた。

競走生活(3歳時)

3歳時はやはり距離不足の仏2000ギニーは目標とせず、仏ダービーを目指して4月のギシュ賞(GⅢ・T1950m)から始動した。トーマブリョン賞の勝ち馬ベリファ、フォンテーヌブロー賞でアイリッシュリヴァーの3着してきたルックファストなどが対戦相手となったが、このレースからサマニ騎手に代わって主戦を務めることになったイヴ・サンマルタン騎手鞍上の本馬が単勝オッズ1.4倍という断然の1番人気に支持された。レースは重馬場で行われたのだが、本馬にはあまり関係なかったようで、好スタートから下げて好位を追走すると、直線で先頭に立ち、ゴール前で急襲してきた2着ベリファに半馬身差を、3着ルックファストにはさらに4馬身差をつけて勝利した。

次走のリュパン賞(GⅠ・T2100m)では、仏2000ギニー・モルニ賞・サラマンドル賞・仏グランクリテリウム・ボア賞・フォンテーヌブロー賞を勝っていたアイリッシュリヴァーとの対決となった。レースではペースメーカー役のシルヴァードゥーを先に行かせて、本馬はその直後を追走。直線に入ってから残り200m地点で内側を突いて先頭に立つと、追いかけてきたアイリッシュリヴァーと仏2000ギニー2着馬シャープマンの追撃を完封。2着シャープマンに1馬身差、3着アイリッシュリヴァーにはさらに3/4馬身差をつけて、2分09秒3のレースレコードで勝利した。

そして迎えた仏ダービー(GⅠ・T2400m)では、アイリッシュリヴァーは不在だったが、シャープマン、ギシュ賞2着後にジョンシェール賞を勝ってきたベリファの他に、ロシェット賞・グレフュール賞・オカール賞を勝ってきたルマルモ、ノアイユ賞の勝ち馬でオカール賞2着のハイシエラなどが対戦相手になった。しかし単勝オッズ2.3倍の1番人気に支持された本馬が、直線で力強く先頭に立つと、追い上げてきた2着ルマルモに1馬身差、3着シャープマンにはさらに5馬身差をつけて、2分25秒2のレースレコードで勝利を収め、6連勝で仏ダービー馬となった。

その後は夏場を休養に充て、秋は凱旋門賞を目指して前哨戦のニエル賞(GⅢ・T2400m)に出走した。ノアイユ賞で3着していた同厩馬カマリダーンとのカップリングだったが、単勝オッズ1.4倍の1番人気に支持された。しかしトップハンデが影響したのか、ルマルモ、フォルス賞・リス賞の勝ち馬ファビュラスダンサー、カマリダーンの3頭に後れを取り、ルマルモの1馬身半差4着に敗れてしまった。

本番の凱旋門賞(GⅠ・T2400m)では、ルマルモ、前走2着のファビュラスダンサー、同3着のカマリダーンの他に、英ダービー・愛ダービー・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS・ベンソン&ヘッジズ金杯とGⅠ競走4勝を含む6連勝中のトロイ、仏1000ギニー・サンタラリ賞・ヴェルメイユ賞・ヴァントー賞の勝ち馬で仏オークス2着のスリートロイカス、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS・コロネーションC・キングエドワードⅦ世S・ジェフリーフリアSの勝ち馬イルドブルボン、ガネー賞・ドラール賞2回・アルクール賞などの勝ち馬で前年の凱旋門賞でアレッジドの2着などGⅠ競走2着が6回あったトリリオン、デビュー戦で本馬を破ったピタシア、フォワ賞を勝ってきたペヴェロ、プリンスオブウェールズSの勝ち馬クリムゾンボウ、グレートヴォルティジュールSの勝ち馬ノーブルセイント、バーデン大賞・ジャンドショードネイ賞の勝ち馬ヴァルーア、サンルイレイS2回・ユナイテッドネーションズH2回とGⅠ競走4勝の実績を引っ提げて米国から遠征してきたノーブルダンサーなどが対戦相手となった。トロイが単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持され、本馬とカマリダーンのカップリングが単勝オッズ6.75倍の2番人気となった。レース前の本馬はかなり馬体が良く見えたが、ロンシャン競馬場に詰めかけた大観衆の声援を恐れるように落ち着きが無かった。その焦れ込みが影響したのか、レースでは馬群の中団を追走するも、直線で大きく失速して、2着ルマルモに3馬身差をつけて勝ったスリートロイカスから47馬身差の17着と惨敗してしまった。このレースを最後に、3歳時5戦3勝の成績で競走馬を引退した。

血統

High Top Derring-Do Darius Dante Nearco
Rosy Legend
Yasna Dastur
Ariadne
Sipsey Bridge Abernant Owen Tudor
Rustom Mahal
Claudette Chanteur
Nearly
Camenae ヴィミー Wild Risk Rialto
Wild Violet
Mimi Black Devil
Mignon
Madrilene Court Martial Fair Trial
Instantaneous
Marmite Mr. Jinks
Gentlemen's Relish
Sega Ville Charlottesville Prince Chevalier Prince Rose Rose Prince
Indolence
Chevalerie Abbot's Speed
Kassala
Noorani Nearco Pharos
Nogara
Empire Glory Singapore
Skyglory
La Sega Tantieme Deux-Pour-Cent Deiri
Dix Pour Cent
Terka Indus
La Furka
La Danse Menetrier Fair Copy
La Melodie
Makada Rustom Pasha
Rayonnante

父ハイトップは現役成績10戦5勝、英2000ギニー・オブサーヴァー金杯・サースククラシックトライアルSを勝ち、サセックスS・ジャックルマロワ賞で2着したマイラーだった。種牡馬としても成功しているが、自身とは異なりかなり長距離色が強かった。繁殖牝馬の父としても優れており、1993年にはオペラハウスの活躍により英愛母父首位種牡馬を獲得している。ハイトップの父デリングドゥーは現役成績14戦6勝、クイーンエリザベスⅡ世S・ハンガーフォードS・インペリアルプロデュースS・コーンウォリスS・キャベンディッシュS・ヴァルドーSを勝ち、サセックスS・クイーンエリザベスⅡ世Sで2着したという、やはりマイラーだった。デリングドゥーの父ダリウスはダンテ産駒で現役成績20戦9勝。英2000ギニー・セントジェームズパレスS・エクリプスS・英シャンペンS・ジュライSなどを勝ち、エクリプスS・コロネーションC・英チャンピオンS・ミドルパークSで2着、英ダービー・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSで3着している。

母セガヴィルは現役成績5戦2勝、フロール賞(仏GⅢ)を勝ち、クロエ賞(仏GⅢ)で2着している。本馬の全妹タルシーラの子にトルジョーン【ダンテS(英GⅡ)】、タカルーナ【プリティポリーS(愛GⅡ)】、孫にタカリアン【アメリカンH(米GⅡ)2回・メルドS(愛GⅢ)・ベイメドウズBCダービー(米GⅢ)】、タカリ【ロイヤルホイップS(愛GⅡ)・メルドS(愛GⅢ)】、タカール【ミンストレスS(愛GⅢ)】がいる。また、本馬の半妹タイーシャ(父ミルリーフ)の子にはタジュン【カドラン賞(仏GⅠ)・ヴィコンテスヴィジェ賞(仏GⅡ)・バルブヴィル賞(仏GⅢ)・グラディアトゥール賞(仏GⅢ)】がいる。

セガヴィルの母ラセガは仏1000ギニー・仏オークス・イスパーン賞・サンタラリ賞・ロシェット賞・プティクヴェール賞・グロット賞を勝つなど14戦9勝2着5回の成績を残した名牝中の名牝で、セガヴィルの半兄サンサン(父モーン)【プティクヴェール賞】なども産んでいる。ラセガの全弟には本邦輸入種牡馬ダンスール【パリ大賞・カドラン賞・ジャンプラ賞・リス賞】がいる。ラセガの母ラダンスの半妹レイナタの牝系子孫にはフィッツウィリアムプレイス【ビヴァリーヒルズH(米GⅠ)・ゲイムリーS(米GⅠ)】、日本で走ったブライトトゥモロー【新潟大賞典(GⅢ)】、トップガンジョー【エプソムC(GⅢ)・新潟記念(GⅢ)】が、ラダンスの半妹マグダの牝系子孫にはプロデューサー【フォレ賞(仏GⅠ)】、ヤンキーアフェアー【ユナイテッドネーションズH(米GⅠ)・マンノウォーS(米GⅠ)・ターフクラシック(米GⅠ)】、マンタリ【愛ナショナルS(愛GⅠ)】、キャシット【英チャンピオンハードル(英GⅠ)・トライアンフハードル(英GⅠ)】、日本で走ったエアエミネム【札幌記念(GⅡ)・神戸新聞杯(GⅡ)・オールカマー(GⅡ)・函館記念(GⅢ)】、ヒシウォーシイ【東海ダービー・東海菊花賞2回・オグリキャップ記念2回・東海ゴールドカップ・梅見月杯】などがいる。→牝系:F8号族①

母父シャルロットヴィルはプリンスローズの項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は300万ポンドのシンジケートが組まれて、アガ・カーンⅣ世殿下が所有する仏国ボネヴァル牧場で種牡馬入りした。初年度産駒から愛オークス馬プリンセスパティなどの活躍馬を出し、人気種牡馬となった。そのため英国ダルハムホールスタッドから1千万ポンドのオファーがあり、本馬は1986年に英国に移った。しかし英国では今ひとつ成績が伸びずに1990年に仏国に戻った。1994年に種牡馬を引退。没年は不明である。後継種牡馬として大きな成功を収めた牡駒がおらず、直系はかなり衰退しているが、母父としてはベルメッツモンジューイェーツ、ダーレミなどを送り出して大きな成功を収めている。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1981

Euliya

ロワイヤリュー賞(仏GⅢ)

1981

Kirmann

ジョッキークラブS(英GⅡ)

1981

Princess Pati

愛オークス(愛GⅠ)・プリティポリーS(愛GⅡ)

1982

Saint Estephe

コロネーションC(英GⅠ)・モーリスドニュイユ賞(仏GⅡ)・アルクール賞(仏GⅡ)

1982

Shardari

マッチメイカー国際S(英GⅠ)・プリンセスオブウェールズS(英GⅡ)・カンバーランドロッジS(英GⅢ)・セントサイモンS(英GⅢ)

1983

Bello Horizonte

アーケイディアH(米GⅡ)・ニュージャージーターフクラシックS(米GⅢ)

1983

Darara

ヴェルメイユ賞(仏GⅠ)・プシシェ賞(仏GⅢ)

1983

Un Desperado

ユジェーヌアダム賞(仏GⅡ)

1985

Floripedes

リューテス賞(仏GⅢ)

1985

Top Sunrise

ロワイヤルオーク賞(仏GⅠ)・ケルゴルレイ賞(仏GⅡ)・ベルトゥー賞(仏GⅢ)・バルブヴィル賞(仏GⅢ)

1987

Norwich

エルリンコンH(米GⅡ)・ハンガーフォードS(英GⅢ)・サンフランシスコマイルH(米GⅢ)

1987

Top of the World

ヘンリーⅡ世S(英GⅢ)

1987

Top Waltz

オカール賞(仏GⅡ)

1987

Whitehaven

ポモーヌ賞(仏GⅡ)

1988

Pistolet Bleu

クリテリウムドサンクルー(仏GⅠ)・サンクルー大賞(仏GⅠ)・ノアイユ賞(仏GⅡ)・オカール賞(仏GⅡ)・エヴリ大賞(仏GⅡ)・コンデ賞(仏GⅢ)

1988

Toulon

英セントレジャー(英GⅠ)・モーリスドニュイユ賞(仏GⅡ)・チェスターヴァーズ(英GⅢ)

1990

Beneficial

キングエドワードⅦ世S(英GⅡ)・スコティッシュクラシック(英GⅢ)

TOP