コジーン

和名:コジーン

英名:Cozzene

1980年生

芦毛

父:カロ

母:ライドザトレイルズ

母父:プリンスジョン

引退レースのBCマイルで見事にGⅠ競走初勝利を挙げた名マイラーは種牡馬としても一流の成績を残す

競走成績:3~5歳時に米で走り通算成績24戦10勝2着5回3着5回

誕生からデビュー前まで

ギャラントマンドクターファーガーの管理調教師として知られるジョン・A・ネルド氏が、自身が所有するフロリダ州タータンズファームにおいて生産・所有した。管理調教師はネルド氏の息子ジャン・H・ネルド師であった。

競走生活(3歳時)

デビューは遅く、3歳5月にベルモントパーク競馬場で行われたダート6ハロンの未勝利戦だった。このデビュー戦は、2着ギャラントマインディドに3馬身差で快勝した。7月のサラトガ競馬場ダート6ハロンの一般競走では、勝ったビッグマッコイから3馬身1/4差の2着。8月に同コースで行われた一般競走では、2着ストップカードに2馬身1/4差で勝利した。9月にはサラトガ競馬場ダート7ハロンの一般競走を、2着デイヴザデュードに1馬身1/4差で勝利した。

10月にはジャマイカH(GⅢ・D8F)に出走したが、ウッドメモリアルSの勝ち馬バウンディングバスク、ジムダンディS・ジェロームHを連勝してきたアフェノメノン、ヤングアメリカS・アーリントンクラシックS・ハスケル招待H2着のベットビッグといった同世代一線級の馬達に歯が立たず、勝ったバウンディングバスクから10馬身差をつけられた5着に敗退した。次走のパリサデスS(D8.5F)では、前走3着のベットビッグ、ジャージーダービー・ペガサスHの勝ち馬ワールドアピールなどが対戦相手となった。ここではベットビッグの頭差2着と好走して、3歳時を6戦3勝の成績で終えた。

競走生活(4歳時)

4歳時は5月にベルモントパーク競馬場で行われたダート7ハロンの一般競走から始動したが、ジェロームH・スタイヴァサントHの勝ち馬でヴォスバーグS2着のフィットトゥファイトに7馬身半差をつけられて2着に敗退した。次走はGⅠ競走初出走となるメトロポリタンH(GⅠ・D8F)となったが、フィットトゥファイト、前年のジャマイカH2着後にヴォスバーグSを勝っていたアフェノメノン、グレイラグHの勝ち馬モロの3頭に敗れて、勝ったフィットトゥファイトから8馬身1/4差をつけられた4着に終わった。なお、フィットトゥファイトはこの後にブルックリンH・サバーバンHも連勝して史上4頭目のニューヨークハンデ三冠馬になっている。

一方の本馬は翌月に同じベルモントパーク競馬場で行われた新設競走ジャイプールS(D6F)に出走した。しかし結果はキャノンシェルの7馬身3/4差6着と完敗。この段階で陣営はダート路線を断念して、本馬を芝路線に転向させた。

まずは前走から2週間後にモンマスパーク競馬場で芝8.5ハロンの一般競走に出走。このレースにはニューオーリンズH・オークローンHとダートのグレード競走を2勝していたワイルドアゲインも出走していたが、本馬がワイルドアゲインを3/4馬身差の2着に抑えて芝初戦を飾った。斤量は本馬よりワイルドアゲインのほうが4ポンド重かったが、ワイルドアゲインが同年暮れのBCクラシックを制覇することを思えば、芝競走ならば一線級相手でも劣らない事を結果的に示すことになった。

次走のユナイテッドネーションズH(GⅠ・T9.5F)では、ロスマンズ国際S・マンノウォーS・レキシントンS・ソードダンサーHなどの勝ち馬でワシントンDC国際Sでも2年連続入着していた芝の強豪マジェスティーズプリンス、ボーリンググリーンH・レッドスミスH・フォートマーシーHの勝ち馬ヒーローズオナーなどが対戦相手となった。ここでは114ポンドという軽量の恩恵もあり、ヒーローズオナーの1馬身半差2着と好走。米国東海岸の芝路線では最強と言われていたマジェスティーズプリンスは4着だった。

次走のバーナードバルークH(GⅡ・T9F)では、ラトガーズH・タイダルHの勝ち馬ウインから1馬身差の3着に入った。主戦となるウォルター・ゲラ騎手と初コンビを組んだマンノウォーS(GⅠ・T9.5F)では、ユナイテッドネーションズH4着後にソードダンサーHを勝ってきた前年の覇者マジェスティーズプリンス、バーナードバルークH勝利後にマンハッタンHを勝ってきたウインの2頭に食い下がり、マジェスティーズプリンスの1馬身3/4差3着と好走した。

次走のクリフハンガーH(T8.5F)は分割競走となって出走馬の層が薄くなった事にも助けられて、2着アイマンに半馬身差で勝利を収め、ステークス競走初勝利を挙げた。翌10月にベルモントパーク競馬場で出走した芝8ハロンの一般競走では、1分33秒0の好タイムで駆け抜け、2着シッツマークに4馬身差で快勝。

そして米国西海岸に向かい、ハリウッドパーク競馬場で行われた第1回BCマイル(GⅠ・T8F)に挑戦した。対戦相手は、ハリウッドダービー・ビヴァリーヒルズH・オペラ賞・ビヴァリーヒルズHの勝ち馬でバドワイザーミリオン2着のロイヤルヒロイン、ジャックロマロワ賞・英シャンペンS・クレイヴンSの勝ち馬でムーランドロンシャン賞2着・英2000ギニー3着のリアファン、ハンガーフォードSの勝ち馬でクリスタルマイル・チャレンジS2着のプレゴ、ロサンゼルスHの勝ち馬でロングエーカーズマイルS2着のナイトムーヴァー、デルマーダービー・ウィルロジャーズSの勝ち馬ツナミスルー、シルヴァースクリーンH・ラホヤマイルH・ヴォランテHの勝ち馬タイツ、パンアメリカンSの勝ち馬でセンチュリーH2着のトンザラン、メトロポリタンH・フェイエットSの勝ち馬スターチョイスなどだった。ロイヤルヒロインとプレゴのカップリングが単勝オッズ2.7倍の1番人気に支持され、勢いが買われた本馬が単勝オッズ4.8倍の2番人気、リアファンが単勝オッズ6.2倍の3番人気となった。本馬は道中を3番手で追走し、四角で先頭に並びかけて直線で粘り込みを図ったが、外側から来たロイヤルヒロインに瞬く間にかわされ、ゴール前で最低人気馬スターチョイスにも差されて、全米レコードの1分32秒6で勝利したロイヤルヒロインの1馬身3/4差3着に敗退。4歳時の成績は10戦3勝で、この年はGⅠ競走制覇には至らなかった。

競走生活(5歳時)

5歳時は、5月にベルモントパーク競馬場で行われたダート6ハロンの一般競走から始動した。久々のダート競走だったが、ブルリーSの勝ち馬バスケットウィーヴを1馬身1/4差の2着に抑えて勝利した。次走のワイズシップS(T7F)では、シッツマークの1馬身3/4差3着。次走のジャイプールS(D6F)では、後の名種牡馬マウントリヴァーモアの3馬身1/4差3着と連敗した。

しかし7月のオーシャンポートH(GⅢ・T8.5F)では、2着ステイザコースに3馬身差をつけて快勝した。8月のバーナードバルークH(GⅡ・T9F)では、前年と同じくウインに敗れて首差2着だった(シッツマークが3着だった)。同月のロングフェローH(GⅡ・T9F)では、2着ゾファニー(後にハリウッドターフカップS・サンセットH・サンルイレイSとGⅠ競走を3勝)に2馬身差で勝利した。10月のクリフハンガーH(GⅢ・T8.5F)では、前年に本馬が出走しなかったもう一方の分割競走クリフハンガーHを勝っていたレイトアクトの16馬身差6着に終わり、芝では生涯唯一の着外となってしまった。

しかしこのレースは不良馬場だったため度外視され、堅良馬場のアケダクト競馬場で行われたBCマイル(GⅠ・T8F)では、単勝オッズ4.6倍で2番人気の評価を受けることになった。対戦相手は、クイーンアンS・サセックスS・ムーランドロンシャン賞と欧州の重要マイル競走を3連勝してきたルションを筆頭に、アメリカンH・エディリードH・カールトンFバークHを勝ってきた前年の同競走5着馬ツナミスルー、英2000ギニー・クイーンエリザベスⅡ世S・クレイヴンSの勝ち馬シャディード、キングズスタンドS・ジュライC・スプリントCS・モーリスドギース賞・ポルトマイヨ賞・ダイアデムS・テンプルSと欧州の主要短距離戦を勝ちまくってきたネヴァーソーボールド、英チャンピオンS・ダフニ賞・ラクープドメゾンラフィットの勝ち馬でジャックルマロワ賞2着のパレスミュージック、アーリントンH2着馬ザノーブルプレイヤー、イングルウッドHの勝ち馬でサンアントニオH・アメリカンH・エディリードH2着のアルマムーン、メトロポリタンH・フォートマーシーHの勝ち馬フォーザンド、シッツマーク、レイトアクト、チェリーヒントンS・デュークオブヨークSの勝ち馬チャペルコテージ、ロングブランチS・ロイヤルパームHの勝ち馬でレキシントンS・カナディアンターフH2着のドクターシュワルツマンなどだった。

ルションが単勝オッズ4倍の1番人気で、ツナミスルーが単勝オッズ4.7倍の3番人気、シャディードが単勝オッズ6.3倍の4番人気、ネヴァーソーボールドが単勝オッズ10.1倍の5番人気となっていた。

スタートが切られると、まずは単勝オッズ19.1倍の8番人気馬アルマムーンが逃げて、シャディードがそれを2番手で追いかけ、本馬は前年と同様に3番手を追走した。そのままの態勢で直線に入ると、シャディードを置き去りにして先頭のアルマムーンを追撃。残り1ハロン地点で先頭に立つと、ゴール前で追い込んできた単勝オッズ17.1倍の6番人気馬パレスミュージック(6位入線のツナミスルーと9位入線のルションの進路を妨害した咎で9着降着となり、アルマムーンとシャディードが繰り上がって2・3着となった)に2馬身1/4差をつけて、1分35秒0のコースレコードで優勝。引退レースを見事にGⅠ競走初制覇で飾った。5歳時の成績は8戦4勝で、この年のエクリプス賞最優秀芝牡馬に選出された。

血統

Caro フォルティノ Grey Sovereign Nasrullah Nearco
Mumtaz Begum
Kong Baytown
Clang
Ranavalo Relic War Relic
Bridal Colors
Navarra Orsenigo
Nervesa
Chambord Chamossaire Precipitation Hurry On
Double Life
Snowberry Cameronian
Myrobella
Life Hill Solario Gainsborough
Sun Worship
Lady of the Snows Manna
Arctic Night
Ride the Trails Prince John Princequillo Prince Rose Rose Prince
Indolence
Cosquilla Papyrus
Quick Thought
Not Afraid Count Fleet Reigh Count
Quickly
Banish Fear Blue Larkspur
Herodiade
Wildwook Sir Gaylord Turn-to Royal Charger
Source Sucree
Somethingroyal Princequillo
Imperatrice
Blue Canoe Jet Pilot Blenheim
Black Wave
Portage War Admiral
Carillon

カロは当馬の項を参照。

母ライドザトレイルズは不出走馬だが、繁殖牝馬としては、本馬の半姉ムーヴィンマネー(父ドクターファーガー)【デルマーオークス(米GⅡ)】、半姉モチーラ(父インリアリティ)【2着ラフィアンH(米GⅠ)】などを産んで活躍した。本馬の半姉メサビ(父ミネソタマック)の子にはファニストラダ【フォールハイウェイトH(米GⅡ)】、玄孫にはアドミラルキトゥン【セクレタリアトS(米GⅠ)】が、ムーヴィンマネーの曾孫にはセルミス【伊共和国大統領賞(伊GⅠ)】が、モチーラの子にはセラーピ【バレリーナS(米GⅠ)】、曾孫にはティズミズスー【オグデンフィップスH(米GⅠ)】がいる。

ライドザトレイルズの母ワイルドウークはアディロンダックSの勝ち馬で、ライドザトレイルズの半弟であるララミートレイル(父スワップス)【ゴーサムS(米GⅡ)・ベイショアS(米GⅢ)】も産んでいる。ライドザトレイルズの半妹マイワイルドフラワー(父トップサイダー)の子には、日本で走ったジョイフルハート【北海道スプリントC(GⅢ)】とブルーメンブラット【マイルCS(GⅠ)・府中牝馬S(GⅢ)】の兄妹がいる。ワイルドウークの半妹リヴァーガイドの曾孫にはテイエムオペラオー【皐月賞(GⅠ)・天皇賞春(GⅠ)2回・宝塚記念(GⅠ)・天皇賞秋(GⅠ)・ジャパンC(GⅠ)・有馬記念(GⅠ)】が、ワイルドウークの従姉妹には大繁殖牝馬フォールアスペン(ティンバーカントリーの母でドバイミレニアムの祖母)がおり、名門牝系であると言える。→牝系:F4号族③

母父プリンスジョンは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は米国ケンタッキー州ゲインズウェイファームで種牡馬入りした。1996年にはアルファベットスープのBCクラシック制覇により北米首位種牡馬に、2002年には日本で走ったアドマイヤコジーンなどの活躍により全世界トータルの種牡馬ランキングで堂々の第1位に輝くなど、父カロの後継として素晴らしい種牡馬成績を挙げた。産駒のステークスウイナーは81頭以上である。

自身の現役時代は芝のマイル前後を得意としており、産駒も同じ傾向が強いが、中には12ハロンをこなす馬や、ダートで活躍する馬などもおり、産駒のタイプは幅広い。また、現役時代に故障知らずだった自身と同様に健康面で優れた産駒が多い。日本の芝に対する適性も優れており、数多くの産駒が輸入されて活躍している。

晩年は芦毛馬に多く見られる悪性黒色腫(メラノーマ)を患ったが、苦痛をもたらすものではなかったため、病気を抱えたままその後も数年間にわたり種牡馬生活を続けた。28歳になった2008年においても38頭の牝馬と交配して26頭を受胎させるなど現役種牡馬として活躍していたが、この年の10月に体調が悪化したために安楽死の措置が執られた。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1987

Cozzene's Prince

コノートC(加GⅡ)

1988

Environment Friend

エクリプスS(英GⅠ)・ダンテS(英GⅡ)

1988

Grab the Green

ニジャナS(米GⅢ)・バックラムオークH(米GⅢ)

1988

Star of Cozzene

アーリントンミリオンS(米GⅠ)・マンハッタンH(米GⅠ)・マンノウォーS(米GⅠ)・サンマルコスH(米GⅡ)・シーザーズ国際H(米GⅡ)・チョイスH(米GⅢ)・ケルソH(米GⅢ)・サンガブリエルH(米GⅢ)

1990

Halissee

サラナクS(米GⅢ)・ヒルプリンスS(米GⅢ)

1990

Hasten to Add

ローレルターフCS(米GⅢ)・エボアH

1990

Realities

ロイヤルハントC

1991

Alphabet Soup

BCクラシック(米GⅠ)・デルマーBCH(米GⅡ)・サンパスカルH(米GⅡ)・サンアントニオH(米GⅡ)・ネイティヴダイヴァーH(米GⅢ)・パットオブライエンH(米GⅢ)

1991

Tikkanen

BCターフ(米GⅠ)・ターフクラシック招待S(米GⅠ)・グレフュール賞(仏GⅡ)

1992

Belle of Cozzene

モデスティH(米GⅢ)・アーリントンメイトロンH(米GⅢ)

1992

エイシンバーリン

クイーンC(GⅢ)・アーリントンC(GⅢ)・京都牝馬特別(GⅢ)・シルクロードS(GⅢ)

1993

Chorwon

ケンタッキーCターフH(米GⅢ)

1993

Grey Way

リディアテシオ賞(伊GⅡ)

1993

Maxzene

シープスヘッドベイH(米GⅡ)2回・ニューヨークH(米GⅡ)・ミセスリヴィアS(米GⅢ)・ジェニーワイリーS(米GⅢ)・ビウィッチS(米GⅢ)

1994

Reach the Top

セリマS(米GⅢ)

1994

Running Stag

ブルックリンH(米GⅡ)・サラトガBCH(米GⅡ)・マサチューセッツH(米GⅡ)・ゴントービロン賞(仏GⅢ)

1996

Rhythm Band

ドバイデューティーフリー(首GⅢ)

1996

アドマイヤコジーン

朝日杯三歳S(GⅠ)・安田記念(GⅠ)・東京スポーツ杯三歳S(GⅢ)・東京新聞杯(GⅢ)・阪急杯(GⅢ)

1997

Gaviola

ガーデンシティBCH(米GⅠ)・レイクプラシッドH(米GⅡ)・ヒアカムズザブライドS(米GⅢ)・サンズポイントS(米GⅢ)・ボーゲイH(米GⅢ)

1997

Lodge Hill

加ブリーダーズS

1997

Purely Cozzene

ウィルロジャーズH(米GⅢ)・ラホヤH(米GⅢ)

1997

Zoftig

シリーンS(加GⅠ)

1998

Casual Feat

リグレットS(米GⅢ)

1998

Mizzen Mast

マリブS(米GⅠ)・ストラブS(米GⅡ)・ギシュ賞(仏GⅢ)

1998

Real Cozzy

フェアグラウンズオークス(米GⅡ)

1998

Star Over The Bay

クレメントLハーシュ記念ターフCSS(米GⅠ)・サンセットH(米GⅡ)・デルマーH(米GⅡ)

1998

ゴッドオブチャンス

京王杯スプリングC(GⅡ)

2000

Derrianne

マーサワシントンBCS(米GⅢ)

2000

シルクブラボー

デイリー杯2歳S(GⅡ)

2002

Laurafina

フランシスAゲンターS(米GⅢ)

2002

Rush Bay

ニジンスキーS(加GⅡ)・ジェファーソンCS(米GⅢ)

2004

Jiggs Coz

ドミニオンデイH(加GⅢ)

2004

Windward Islands

ニジンスキーS(加GⅡ)2回

2004

ローブデコルテ

優駿牝馬(GⅠ)

2007

Brigantin

ヴィコンテスヴィジェ賞(仏GⅡ)・リューテス賞(仏GⅢ)

2008

Silver Screamer

イートンタウンH(米GⅢ)

2009

Cozze Up Lady

シカゴH(米GⅢ)

2009

Cozzetti

アメリカンダービー(米GⅢ)

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