ステインレン

和名:ステインレン

英名:Steinlen

1983年生

鹿毛

父:ハビタット

母:サザンシーズ

母父:ジムフレンチ

4歳時までは仏国の下級馬だったが移籍先の米国で徐々に実績を積み重ね6歳時にBCマイル・アーリントンミリオンを勝って米国芝馬の頂点に上り詰める

競走成績:3~7歳時に仏米で走り通算成績45戦20勝2着10回3着7回

誕生からデビュー前まで

仏国の国際的画商兼馬主だったダニエル・ウィルデンシュタイン氏の馬産団体アレフランスステーブルにより生産された英国産馬で、ウィルデンシュタイン氏の所有馬として、仏国パトリック・ルイ・ビアンコーヌ調教師に預けられた。

競走生活(3・4歳時)

デビューは遅く、3歳4月にエヴリ競馬場で行われたボース賞(T1600m)だった。しかし結果は、この1か月後にジャンプラ賞を勝つマジカルワンダーから9馬身差をつけられた3着だった。翌月のプレカタラン賞(T1600m)では、名馬グリーンダンサーの半弟グリーンマウント(ライブリマウントの父)の3/4馬身差2着。翌月のポンターム賞(T1600m)も、後にハリウッドダービー・アーケイディアHなどを勝ちムーランドロンシャン賞で2着するスリルショーの5馬身差7着に終わり、3歳時の成績は3戦未勝利に終わった。

4歳時は4月にメゾンラフィット競馬場で行われたフレショワ賞(T2000m)から始動して、2着ファビュラスパールに1馬身半差で勝利。次走のサヴィニー賞(T1800m)も、2着シムシムに3/4馬身差で勝利した。ビュートモルテモルト賞(T1800m)では、2着ノースヴァーディクトに3馬身差で快勝。さらにラヴレイス賞(T1600m)も2着アルジョハラに1馬身半差で制して4連勝。

一間隔を空けて、7月にサーギャラハッド賞(T1600m)に出走したが、59kgの斤量が響いたか、勝ったエフィアルテスから3馬身3/4差の3着に敗れた。次走のセルクル賞(T1600m)でも59.5kgを背負わされて、エフィアルテスの1馬身差3着に敗退。さらに8日後に出走したクインシー賞(仏GⅢ・T1600m)でも59kgを背負わされて、斤量54.5kgだった3歳牡馬トービンラッドの1馬身3/4差5着に敗れた。

この段階でウィルデンシュタイン氏は、このまま仏国で走らせていても目処が立たないと判断したらしく、本馬はロバート・J・フランケル厩舎を経てダレル・ウェイン・ルーカス厩舎に転厩して、主戦場を米国に移すことになった。

移籍初戦は10月にサンタアニタパーク競馬場で行われた芝9ハロンの一般競走となった。1番人気に推されたのだが、6馬身差の7着と完敗。この年はそのまま休養入りし、4歳時の成績は8戦4勝となった。

競走生活(5歳時)

5歳時は1月にサンタアニタパーク競馬場で行われた芝9ハロンの一般競走から始動。ゲイリー・スティーヴンス騎手を鞍上に迎えたが、ハリウッドフューチュリティ・サンタアニタダービー・スワップスSとGⅠ競走で3勝を挙げていたテンパレートシルから3馬身半差の3着に敗れた。3月にはサンタアニタパーク競馬場ダート8.5ハロンの一般競走でダート競走に出てみたが、ノーマーカーの5馬身差7着と完敗。2週間後のサンタアニタパーク競馬場芝8ハロンの一般競走では、一昨年の伊グランクリテリウムを勝った後に米国に移籍していたサナムを5馬身差の2着に破って圧勝し、4戦目でようやく移籍後初勝利を挙げた。

次走となった新設競走エルリンコンH(T8.5F)では、サンタアニタパーク競馬場芝8.5ハロンのコースレコード1分34秒8を計時して、2着となったハリウッドダービー馬ポリティカルアンビションに1馬身3/4差をつけて勝利した。プレミエールH(米GⅢ・T8F)では、デルマーダービーの勝ち馬で前年のBCマイル4着のデピュティガヴァナーを抑えて1番人気に支持され、2着シャーカレムに鼻差で勝利を収め、デビュー16戦目でようやくグレード競走勝ち馬となった。

勢いに乗る本馬は続いてジョンヘンリーH(米GⅠ・T9F)に参戦したが、ここでは前走で6着に終わっていたデピュティガヴァナーの2馬身差2着に敗れた。しかし次走のイングルウッドH(米GⅡ・T8.5F)では、デピュティガヴァナーを2馬身半差の2着に破って勝利。そしてアメリカンH(米GⅠ・T9F)で再びGⅠ競走に挑んだが、前年のジョンヘンリーH・アメリカンH2着・前走のハリウッド招待H3着のスキップアウトフロントに敗れて、1馬身差の2着に終わった。

米国東海岸に移動して出走したバーナードバルークH(米GⅠ・T8.5F)ではパット・デイ騎手とコンビを組んだが、ダリルズジョイSで2着してきたマイビッグボーイの半馬身差2着に惜敗。しかし同じくデイ騎手を鞍上に出走したバドワイザーBCH(米GⅢ・T8.5F)では、2着アイアンカレッジに首差で勝利を収め、GⅠ競走には手が届かないながらも米国芝路線の有力馬としての地位を固めていった。

しかしケルソH(米GⅢ・T8F)ではサンズザシャドウの7馬身3/4差6着と大敗し、勢いは止まった。次走のローレルダッシュS(T6F)では、2着マックズファイターに鼻差、3着フォースターデイヴにはさらに半馬身差で辛勝。

続いて出走したのは、チャーチルダウンズ競馬場で行われたBCマイル(米GⅠ・T8F)だった。このレースにおける対戦相手の層の厚さは、今まで本馬が出走してきたレースとはまるで違っていた。サセックスS・クイーンエリザベスⅡ世S・リッチモンドS・英シャンペンSの勝ち馬で特にクイーンエリザベスⅡ世Sの完勝ぶりから欧州最強マイラーの称号を手にしていたウォーニング、前年のBCマイルを筆頭に英1000ギニー・仏1000ギニー・サラマンドル賞・マルセルブサック賞・ジャックルマロワ賞2回・ジャックルマロワ賞・イスパーン賞を勝っていたミエスクの両巨頭を筆頭に、仏2000ギニー・サンロマン賞・フォンテーヌブロー賞の勝ち馬ブラッシングジョン、ベルモントS・アーリントンワシントンフューチュリティ・ローレルフューチュリティ・ハスケル招待H・サプリングS・ファウンテンオブユースS・ピムリコスペシャルHの勝ち馬でケンタッキーダービー・プリークネスS2着のベットトゥワイス、シュマンドフェルデュノール賞・メシドール賞を連勝して挑んだこの年のアーリントンミリオンを勝っていたミルネイティヴ、英1000ギニー・仏1000ギニー・チェヴァリーパークSの勝ち馬ラヴィネラ、カリフォルニアダービー・ロングエイカーズマイルHの勝ち馬でマーヴィンルロイH2着のシンプリーマジェスティック、アーケイディアHの勝ち馬モハメドアブドゥ、本馬が敗れたケルソHで2着していたフォアランナーS・サラナクS・ギャラントマンS・ラトガーズHの勝ち馬ポーゼン、キーンランドBCSを勝ってきたニッコロポロ、チョイスHの勝ち馬マスタークリストファーが出走していたのである。スティーヴンス騎手がモハメドアブドゥに、デイ騎手がブラッシングジョンに騎乗したため、ラフィット・ピンカイ・ジュニア騎手とコンビを組んだ本馬は、GⅠ競走未勝利やケルソHの敗戦などが嫌われて、単勝オッズ38.4倍で12頭立て10番人気の低評価だった。

レースは単勝オッズ101倍の最低人気馬マスタークリストファーが先頭を引っ張り、本馬は3~4番手辺りの好位を追走した。三角手前でニッコロポロが外側をするすると上がってきて、2番手を走っていたシンプリーマジェスティックと一緒に先頭に立った。さらに四角手前でミエスクも上がってきたが、本馬鞍上のピンカイ・ジュニア騎手は仕掛けを我慢していた。直線を向くとシンプリーマジェスティックとニッコロポロの2頭が叩き合いながら先頭争いを演じたが、本馬を置き去りにして素晴らしい切れ味を見せたミエスクが瞬く間に前の2頭をかわしていった。本馬はそのまま4着かと思われたが、ゴール前で一伸びを見せてシンプリーマジェスティックとニッコロポロの2頭を抜き去り、ミエスクには4馬身差をつけられながらも2着を確保してみせた(ウォーニングは11着だった)。5歳時は13戦6勝の成績を残した本馬だったが、GⅠ競走では4戦全て2着と、善戦馬状態となっていた。

競走生活(6歳前半)

6歳時は3月にサンタアニタパーク競馬場で行われた芝8ハロンの一般競走から始動して、シネマHの勝ち馬ピースを首差の2着に抑えて勝利。次走のエルリンコンH(T8F)では、前年の同競走で本馬の2着に敗れた後にハリウッドパーク招待ターフHでGⅠ競走2勝目を挙げていたポリティカルアンビションの1馬身半差3着だった。続くプレミエールH(米GⅢ・T8F)では、3着ポリティカルアンビションには先着したものの、ピースの1馬身差2着に敗れた。さらにジョンヘンリーH(米GⅠ・T9F)でも、ピースの3/4馬身差2着と惜敗した(3着は前年のジャパンCの勝ち馬ペイザバトラーだった)。

続くイングルウッドH(米GⅡ・T8.5F)では、2着パサコスに2馬身1/4差をつけて2連覇を果たした。しかしアメリカンH(米GⅠ・T9F)では、英国でクリテリオンSを勝った後に米国に移籍してきたミスターワンダフルの鼻差2着に敗退。これで過去にGⅠ競走に6回出走して全て2着。完全な善戦馬になってしまっていた。

その後は東海岸に移動して分割競走ダリルズジョイS(米GⅢ・T8.5F)に出走。サラナクS・ランプライターHの勝ち馬イクスペンシヴディシジョンを2馬身半差の2着に破って快勝した。次走はバーナードバルークH(米GⅠ・T9F)となった。鞍上は初騎乗となる南米チリ出身のホセ・サントス騎手に代わっていたが、サントス騎手とは好相性だったのか、かつて負けたことがあるグリーンマウントの半弟ソヴィエトラッドを5馬身差の2着に、前年のフロリダダービー・ペガサスH・ジムダンディSの勝ち馬でプリークネスS2着のブライアンズタイムをさらに3/4馬身差の3着に破る圧勝を飾り、遂にGⅠ競走を初戴冠。惜敗続きの本馬を信じて1番人気に支持したファンの期待に見事に応えた。ここからの本馬はそれまでの鬱憤を一気に晴らすかのような快進撃を見せることになるのである。

そのままサントス騎手を主戦として迎えた本馬の次走は、生涯初の10ハロンとなるアーリントンミリオン(米GⅠ・T10F)となった。元々本馬はアーリントンパーク競馬場から招待を受けていなかったのだが、出走予定だったハリウッド金杯の勝ち馬ブラッシングジョンや前年の同競走2着馬イコライズが怪我で回避したため、ウィルデンシュタイン氏が追加登録料5万ドルを支払うことで出走が認められたのだった。対戦相手は、前年のBCターフを筆頭にサンフアンカピストラーノ招待H・ハリウッドターフカップS・ハリウッドパークターフH・サンルイオビスポH2回・ゴールデンゲートHなどを勝っていたグレートコミュニケーター、オークツリー招待H・カールトンFバークH・チャールズHストラブS・サンフアンカピストラーノ招待HとGⅠ競走4勝を挙げていたナスルエルアラブ、ハイアリアターフカップH・ボーリンググリーンH・ソードダンサーHとGⅠ競走3勝を挙げていたエルセニョール、ユナイテッドネーションズH・ローレルターフカップS・アップルトンH・エルクホーンS・キングエドワード金杯・オーシャンポートS・ETターフクラシックSの勝ち馬ヤンキーアフェアー、英国際S・ロジャーズ金杯などの勝ち馬でデューハーストS・エクリプスS2着のシェイディハイツ、3か月前の仏オークスを勝っていたサンタラリ賞3着馬レディインシルヴァー、仏グランクリテリウム・パリ大賞・ニエル賞の勝ち馬でジャンプラ賞2着のフィジャータンゴ、キングエドワード金杯・スウォーンズサンSの勝ち馬でハイアリアターフカップH・アーリントンH2着のフロスティザスノーマン、ユジェーヌアダム賞の勝ち馬リヴァーワーデン、前走ボーリンググリーンHでエルセニョールの3着してきたペイザバトラー、メッカブックメイカーズクラシックSの勝ち馬ケファー、サンフアンカピストラーノ招待H2着・サンセットH3着のプレザントヴァラエティの12頭であり、前年のBCマイルにも引けを取らない好メンバーが揃った。ナスルエルアラブとリヴァーワーデンのカップリングが単勝オッズ4倍の1番人気に支持され、本馬は単勝オッズ6.3倍の2番人気だった。

内枠発走の本馬は好スタートからそのまま先頭を走り、しばらくしてフロスティザスノーマンを先に行かせて2番手につけた。向こう正面でレディインシルヴァーに抜かれて3番手に下がったが、鞍上のサントス騎手は慌てなかった。そのままの位置取りで直線を向くと、内埒沿いをすり抜けて先頭を奪い、レディインシルヴァーとの叩き合いを半馬身差で制して優勝。5万ドルを支払って出走させたウィルデンシュタイン氏に60万ドルの優勝賞金をプレゼントした。

競走生活(6歳後半)

次走のバドワイザーBCS(米GⅢ・T9F)では、2着クリスタルモーメントに頭差で勝利した。

そしてガルフストリームパーク競馬場に向かい、BCマイル(米GⅠ・T8F)に参戦。前年に比べるとやや層は薄かったが、それでも超強敵が1頭参戦していた。それは僅か5か月前に彗星のように現れて、ジャージーS・クリテリオンS・サセックスS・クイーンエリザベスⅡ世Sなどを瞬く間に5連勝して欧州最強マイラーの座に君臨していたジルザルだった。他の出走馬は、前年の同競走3着後にサンガブリエルH・オールアメリカンH・ロングエイカーズマイルH・マイアミBCHを勝っていたシンプリーマジェスティック、カリフォルニアンSの勝ち馬でハリウッド金杯・マーヴィンルロイH2回2着のサボナ、ダリルズジョイH・サラトガバドワイザーBCHの勝ち馬ハイランドスプリングス、フォアゴーH2連覇のクイックコール、独国のGⅡ競走デュッセルドルフ大賞の勝ち馬でフォレ賞2着のロイヤルタッチ、ドンH・リグスH2回・ボルチモアBCH・ジョンBキャンベルHの勝ち馬リトルボールドジョン、サセックスSでジルザルの2着だったグリーンラインエクスプレス、ギシュ賞・ロンポワン賞の勝ち馬インイクストリーミス、ロッキンジS・セレクトSの勝ち馬で英ダービー・英チャンピオンS2着のモストウェルカムだった。ジルザルが単勝オッズ2倍の1番人気、本馬が単勝オッズ2.8倍の2番人気、シンプリーマジェスティックが単勝オッズ5.8倍の3番人気、サボナが単勝オッズ11.5倍の4番人気、ハイランドスプリングスが単勝オッズ36.4倍の5番人気だった。

スタートが切られると、シンプリーマジェスティックとクイックコールの2頭が先手を取り、本馬は好位の4~5番手辺りを内埒に沿ってロス無く進んだ。一方、人気のジルザルはいつものスタートダッシュが見られず後方からの競馬となっていた。三角に入って他馬の動きが活発になっても、本馬鞍上のサントス騎手はなお仕掛けを我慢していた。そして直線に入ってようやく追い出すと、馬群の内側から一気に突き抜けて先頭に立った。外側からサボナがじりじりと差を縮めてきたが、最後は半馬身抑えて優勝(ジルザルは6着)。仏国で芽が出なかった本馬が米国で遂に頂点を極めた瞬間だった。

6歳時は11戦7勝(うちGⅠ競走3勝)の好成績を残し、ユナイテッドネーションズH・マンノウォーS・ターフクラシックとGⅠ競走3勝を挙げたヤンキーアフェアーを抑えて、この年のエクリプス賞最優秀芝牡馬に選出された。

競走生活(7歳時)

翌7歳時も現役を続けた。まずは3月にサンタアニタパーク競馬場で行われたアーケイディアH(米GⅢ・T8F)から始動した。このレースは前年のBCターフを制したスワップスSの勝ち馬プライズドのシーズン初戦でもあり、前年の芝のブリーダーズカップ覇者同士の対決となった。しかしプライズドが勝利を収め、本馬は4馬身3/4差をつけられて7着に敗れた。

次走は、この年からGⅡ競走に格上げされたエルリンコンH(米GⅡ・T8F)となった。ここでは2着ブルーホに頭差で勝利を収め、同競走2年ぶりの勝利を挙げた。次走は、逆にこの年からGⅡ競走に降格となったジョンヘンリーH(米GⅡ・T9F)となった。ここでは、仏国から移籍してきたニエル賞の勝ち馬でサンクルー大賞2着のゴールデンフェザント、愛国から移籍してきた愛ナショナルS・ベレスフォードSの勝ち馬クラシックフェイムの2頭に屈して、ゴールデンフェザントの2馬身差3着だった。

次走のハリウッドターフH(米GⅠ・T10F)では、ゴールデンフェザントに加えて、ノーフォークS・セクレタリアトS・オークツリー招待H・デルマーダービーを勝っていた芝12ハロンの世界レコード保持馬ホークスターとの対戦となった。しかし本馬が2着ホークスターに首差で勝利した。

その後は、GⅡ競走に降格になっていたアメリカンH(米GⅡ・T9F)に出走したが、クラシックフェイムの3/4馬身差2着に惜敗した。次走のシーザーズ国際H(米GⅡ・T9.5F)では、トラストハウスフォルテマイル・クイーンアンSの勝ち馬マークオブディスティンクション、伊共和国大統領賞・ミラノ大賞・カールトンFバークHの勝ち馬アルワウーシュ、セリマS・ニューヨークH・マッチメイカーSなどの勝ち馬カパデスなどが本馬に挑んできた。しかし本馬が2着カパデスに3馬身3/4差をつけて、1分52秒0のコースレコードを計時して完勝した。

その後はアーリントンパーク競馬場で実施されるアーリントンチャレンジCなるレースに出走予定だった。このレースは前年の米国三冠競走やBCクラシックで死闘を演じたサンデーサイレンスイージーゴアの直接対決第5ラウンドとして用意された舞台だった。賞金額は100万ドルと高額であり、本馬陣営もそれを狙っていた。ところがサンデーサイレンスとイージーゴアの2頭は揃って故障して引退してしまい、目玉を失ったアーリントンチャレンジCの賞金額は4分の1に下げられた。そのために本馬もまたアーリントンチャレンジCを回避してしまった。その代わりに、アーリントンチャレンジCから8日後に行われた、この年からGⅡ競走に降格となったバーナードバルークH(米GⅡ・T9F)に出走したのだが、フーズトゥペイの2馬身差2着に敗れた。

その後は2連覇を目指してアーリントンミリオン(米GⅠ・T10F)に参戦。対戦相手は、アーケイディアH勝利後にサンルイレイSも勝っていたプライズド、この年のボーリンググリーンH・タイダルHを勝ちソードダンサーHで2着していた前年の加国三冠馬ウィズアプルーヴァル、ハリウッドターフH4着後にエディリードHで3着していたゴールデンフェザント、クラシックフェイム、前年の同競走4着後にターフクラシックで2着してソードダンサーHの2連覇を成し遂げてきたエルセニョール、シーザーズ国際Hで3着だったアルワウーシュ、前年の同競走7着後にルイジアナダウンズH・アーリントンHを勝っていたプレザントヴァラエティ、ベイメドウズH・エルクホーンS・ETターフクラシックS・ニューハンプシャースウィープSなどの勝ち馬テンキーズ、ロングフェローHの勝ち馬ダブルブックド、ノーフォークS・エディリードHの勝ち馬サラトガパッセージの計10頭だった。プライズドが単勝オッズ3倍の1番人気、本馬が単勝オッズ5倍の2番人気、ウィズアプルーヴァルが単勝オッズ5.5倍の3番人気、ゴールデンフェザントが単勝オッズ6倍の4番人気だった。スタートが切られるとダブルブックドが先頭に立ち、本馬は2番手を進んだ。しばらくは3番手以降とは結構離れていたが、三角手前で後続馬勢が押し寄せてきた。その中で最も脚色が良かったのはウィズアプルーヴァルとゴールデンフェザントの2頭であり、直線入り口で本馬を抜き去っていった。本馬はその後も粘り、後続馬の追撃は封じたが、勝ったゴールデンフェザントに6馬身半差をつけられて3着に敗れた。

次走はダート戦のジョッキークラブ金杯(米GⅠ・D10F)となったが、勝ったフライングコンチネンタルから26馬身も離された6着最下位と惨敗を喫してしまった。

ジョッキークラブ金杯の結果如何では、同じベルモントパーク競馬場で行われるBCクラシックも視野に入っていたと思われるが、この内容では無理であり、素直にBCマイル(米GⅠ・T8F)で2連覇を狙った。対戦相手は、ジュライC・テトラークSの勝ち馬で愛2000ギニー・スプリントC2着のロイヤルアカデミー、バーナードバルークHで本馬を破った後にサラトガバドワイザーBCHを勝ちケルソHで2着してきたフーズトゥペイ、ジャンプラ賞・ジャックルマロワ賞の勝ち馬でパリ大賞2着・ムーランドロンシャン賞3着のプリオロ、シーザーズ国際Hで本馬の4着に敗れた後にクイーンエリザベスⅡ世Sを勝ってきたマークオブディスティンクション、アスタルテ賞を勝ちオペラ賞で2着してきたレディウイナー、前年のダリルズジョイSで本馬の2着に敗れた後にチョイスH・ケルソHを勝っていたイクスペンシヴディシジョン、メドウランズCHを勝ってきたグレイトノーマンド、ファウンテンオブユースSの勝ち馬でトラヴァーズS2着のショットガンスコット、アスコットHを勝ってきたイッツオールグリークトゥミーなど12頭だった。ミエスク、ウォーニング、ジルザルのような超大物はいないにしても層が厚いメンバー構成となった。現役復帰したばかりのレスター・ピゴット騎手を鞍上に迎えていたロイヤルアカデミーが1番人気に支持され、本馬は4番人気止まりだった。

過去2年は内枠発走だった本馬だが、今回は外枠発走だった。しかしレースの進め方は過去2年とさほど変わる事は無く、好位の4~5番手辺りを追走。そして6番手で直線を向くと、それなりに末脚を伸ばしてきたが、前年に見せた稲妻のような加速は無かった。レースは大外から追い上げてきたロイヤルアカデミーが、先に抜け出した10番人気のイッツオールグリークトゥミーを際どく首差かわして勝利し、ピゴット騎手の健在ぶりを見せつけた。一方の本馬は何とか4番手まで上がるのが精一杯で、ロイヤルアカデミーの1馬身半差4着に敗れた。このレースを最後に、7歳時10戦3勝の成績で競走馬を引退した。

血統

Habitat Sir Gaylord Turn-to Royal Charger Nearco
Sun Princess
Source Sucree Admiral Drake
Lavendula 
Somethingroyal Princequillo Prince Rose
Cosquilla
Imperatrice Caruso
Cinquepace
Little Hut Occupy Bull Dog Teddy
Plucky Liege
Miss Bunting Bunting
Mirthful
Savage Beauty Challenger Swynford
Sword Play
Khara Kai-Sang
Decree
Southern Seas ジムフレンチ Graustark Ribot Tenerani
Romanella
Flower Bowl Alibhai
Flower Bed
Dinner Partner Tom Fool Menow
Gaga
Bluehaze Blue Larkspur
Flaming Swords 
Schönbrunn Pantheon Borealis Brumeux
Aurora
Palazzo Dante
Edifice
Scheherezade Ticino Athanasius
Terra
Schwarzblaurot Magnat
Schwarzgold

ハビタットは当馬の項を参照。

母サザンシーズは現役成績8戦4勝。繁殖牝馬としてはなかなか優秀な成績を残しており、牝系子孫もかなり発展している。本馬の半兄にはサーラ(父クリムゾンボウ)【ジャンドショードネイ賞(仏GⅡ)】が、本馬の半姉シーシンフォニー(父ファラウェイサン)の曾孫にスタセリタ【サンタラリ賞(仏GⅠ)・仏オークス(仏GⅠ)・ヴェルメイユ賞(仏GⅠ)・ビヴァリーDS(米GⅠ)・フラワーボウル招待S(米GⅠ)】が、本馬の半姉ソフォニスブ(父ウォロー)の子に本邦輸入種牡馬ザグレブ【愛ダービー(愛GⅠ)】が、本馬の半妹スーパーガール(父ウッドマン)の子にスーパーセレブル【ノアイユ賞(仏GⅡ)】がいる。

サザンシーズの母シェーンブルンは独オークス・ドーヴィル大賞の勝ち馬で、サザンシーズの半姉セネカ(父シャパラル)の子にはシンプリーグレート【ダンテS(英GⅡ)】、サガス【凱旋門賞(仏GⅠ)・ガネー賞(仏GⅠ)・イスパーン賞(仏GⅠ)・コンセイユドパリ賞(仏GⅡ)・ニエル賞(仏GⅢ)・フォワ賞(仏GⅢ)2回】、スターリフト【ロワイヤルオーク賞(仏GⅠ)・アルクール賞(仏GⅡ)・エヴリ大賞(仏GⅡ)・フォワ賞(仏GⅢ)】がいる。近親には、スリップアンカー【英ダービー(英GⅠ)】、日本で走ったビワハイジ【阪神三歳牝馬S(GⅠ)】、マンハッタンカフェ【菊花賞(GⅠ)・有馬記念(GⅠ)・天皇賞春(GⅠ)】、ブエナビスタ【阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)・桜花賞(GⅠ)・優駿牝馬(GⅠ)・ヴィクトリアマイル(GⅠ)・天皇賞秋(GⅠ)・ジャパンC(GⅠ)】、ジョワドヴィーヴル【阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)】などもいる。→牝系:F16号族①

母父ジムフレンチはグロースタークの直子で、現役成績は28戦9勝。レムセンS・マイアミビーチH・サンタアニタダービー・ドワイヤーH・バハマズSなどを勝ち、ケンタッキーダービー・ベルモントS・ハリウッドダービーで2着、プリークネスSで3着している。競走馬引退後はウィルデンシュタイン氏により100万ドルで購入されて仏国で種牡馬入りしたが、あまり活躍馬を出すことが出来ずに、9歳時に日本に売られてきた。日本では東京優駿の勝ち馬バンブーアトラスの父になるなどして活躍した。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は米国ケンタッキー州レーンズエンドファームで種牡馬入りした。1996年にカリフォルニア州ハリスファームに移動。2001年6月に放牧中の事故で後脚を骨折して18歳で他界した。産駒の勝ち上がり率は59%と決して悪くなかったのだが、ステークスウイナーは2頭しか出せず、種牡馬としては失敗だった。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1992

Miss Union Avenue

ヤングアメリカS(米GⅢ)

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