クーヨンガ

和名:クーヨンガ

英名:Kooyonga

1988年生

栗毛

父:パーシャンボールド

母:アンジュリ

母父:ノースフィールズ

日本人馬主の所有馬として走り英国の伝統競走エクリプスSで牡馬勢を蹴散らして勝つなどGⅠ競走で4勝を挙げた欧州の名牝

競走成績:2~4歳時に愛英米独で走り通算成績18戦9勝2着4回3着1回

誕生からデビュー前まで

愛国オヴィッズタウンスタッドにおいてショーン・コリンズ氏により生産された。愛国で行われたゴフスセールに出品され、日本人馬主の芳賀満男氏により購入され、愛国マイケル・カウンツ調教師に預けられた。芳賀氏はバブル期にゴルフ場の経営で成功した人物で、栃木県の芳賀牧場や米国ケンタッキー州グリーンゲーツファーム(スペンドスリフトファームの一部)において馬産も行っていた。

競走生活(2歳時)

2歳8月に愛国ゴーランパーク競馬場で行われた芝7ハロンの未勝利戦で、ウォーレン・オコナー騎手を鞍上にデビューした。単勝オッズ3.5倍の2番人気だったが、単勝オッズ2.625倍の1番人気に推されていたドンナリコを3馬身差の2着に下して勝利した。翌月にはリステッド競走シルヴァーフラッシュS(T7F)に、オコナー騎手騎乗で出走した。ここでは単勝オッズ6倍の3番人気だったが、単勝オッズ1.8倍の1番人気に推されていたアフリカンダンスを頭差の2着に抑えて勝利した。

さらに翌10月には、賞金総額100万ポンドと超高額だったゴフスセール出身馬限定戦のリステッド競走カルティエミリオン(T7F)に出走した。高額賞金を狙って本馬を含む20頭が参戦しており、ここではW・F・ハリス騎手が騎乗した本馬は単勝オッズ10倍の6番人気だった。しかしここでも人気以上に走り、勝った単勝オッズ8倍の4番人気馬リンカダスから1馬身半差の2着に入った。

その2週間後に出走したレパーズタウンS(愛GⅢ・T7F)でもハリス騎手とコンビを組んだ。そして単勝オッズ3倍の1番人気に応えて、2着スムーズパフォーマンスに4馬身差で圧勝。2歳時を4戦3勝で終えた。

競走生活(3歳前半)

3歳時は4月のリステッド競走レパーズタウン1000ギニートライアル(T7F)から始動した。ここではパークSを勝っていたアイルオブグラス(メジロダーリングの母)と人気を分け合い、共に単勝オッズ3倍の1番人気となった。そしてオコナー騎手を鞍上に、アイルオブグラスを1馬身差の2着に退けて勝利した。

次走の英1000ギニー(英GⅠ・T8F)では、マルセルブサック賞・フレッドダーリンSなど4戦無敗のシャダイード、ロックフェルS・ネルグウィンSを連勝してきたクリスタルゲイジング、オーソーシャープSを勝ってきたダートリー、前走のヨーロピアンフリーHで英2000ギニー馬ミスティコの2着してきたモイグレアスタッドS3着馬ジガウラ、ネルグウィンSで2着してきたテトラドンナなどが対戦相手となった。シャダイードが単勝オッズ1.67倍の1番人気に支持される一方で、本馬は単勝オッズ15倍の4番人気止まりだった。しかしテン乗りのレスター・ピゴット騎手を鞍上に好位を先行してよく粘り、シャダイードの2馬身差2着と好走した。

本国に戻って出走した愛1000ギニー(愛GⅠ・T8F)では、デリンズタウンスタッド1000ギニートライアルを快勝してきたルアドロが単勝オッズ3倍の1番人気に支持され、このレースから主戦として固定されることになったオコナー騎手騎乗の本馬は単勝オッズ5倍の2番人気となった。しかし結果は本馬が2着ジュリーラルーズに3馬身差をつけて完勝した。

その後は再度英国に向かってコロネーションS(英GⅠ・T8F)に出走。ここにはシャダイードに加えて、仏1000ギニー馬ダンスーズドゥソワールも参戦しており、英愛仏の1000ギニー馬頂上決戦となった。前走の英オークスで3着だったシャダイードが単勝オッズ3.25倍の1番人気、本馬が単勝オッズ4倍の2番人気、ダンスーズドゥソワールが単勝オッズ4.33倍の3番人気、英1000ギニーで本馬から1馬身差の3着だったクリスタルゲイジングが単勝オッズ7倍の4番人気、ムシドラSを勝ってきたグシーマーロウが単勝オッズ11倍の5番人気となった。レースはグシーマーロウが逃げて、本馬が2番手、シャダイードが3番手、ダンスーズドゥソワールが4番手につけた。そのまま直線に入ると、本馬が残り1ハロン地点で先頭に立ち、そのまま押し切って勝利。3/4馬身差の2着がシャダイードで、さらに1馬身半差の3着がグシーマーロウ、さらに首差の4着がダンスーズドゥソワールという結果だった。

競走生活(3歳後半)

夏場は休養に充て、秋はメイトロンS(愛GⅢ・T8F)から始動した。愛1000ギニーで5着だったルアドロくらいしか目立つ対戦相手はおらず、本馬が他馬勢より4ポンド重い131ポンドのトップハンデでも単勝オッズ2.1倍の1番人気に支持された。そして好位追走から残り2ハロン地点で先頭に立ち、2着ジュリーラルーズに3馬身差で快勝した。

次走のクイーンエリザベスⅡ世S(英GⅠ・T8F)では、ジャックルマロワ賞・仏2000ギニー・仏グランクリテリウム・サラマンドル賞・モルニ賞とGⅠ競走5勝のヘクタープロテクター、サセックスSを勝ってきたセントジェームズパレスS2着馬セカンドセット、コロネーションS2着後にサセックスS2着・スプリントC3着だったシャダイード、伊グランクリテリウム・伊2000ギニー・リボー賞・ヴィットリオディカプア賞・伊共和国大統領賞・クイーンアンSの勝ち馬サイクストン、愛国際Sの勝ち馬ムカダマー、テンプルフォーチュンSを圧勝してきたセルカークなどが対戦相手となった。セカンドセットが単勝オッズ4倍の1番人気、本馬が単勝オッズ4.5倍の2番人気、前走ムーランドロンシャン賞で惨敗していたヘクタープロテクターが単勝オッズ6.5倍の3番人気となった。レースではフォーティナイナーデイズが先頭を引っ張り、本馬は2番手につけた。そして直線に入るといったんは先頭に立ったのだが、後方から来たセルカークに差されて、1馬身半差の2着に敗退した。本馬から首差の3着にはシャダイードが入り、セカンドセットはシャダイードから3馬身差の4着、ヘクタープロテクターは6着と完敗した。

その後は米国に向かい、チャーチルダウンズ競馬場で行われたBCマイル(米GⅠ・T8F)に参戦した。このレースはさすがに有力馬が目白押しだった。メトロポリタンH・サバーバンH・ホイットニーH・ウッドワードSとダートGⅠ競走を4連勝中のインエクセス、エディリードH・アーリントンミリオンのGⅠ競走2勝を含む破竹の8連勝中のタイトスポットという別路線の有力馬2頭が、それぞれBCクラシックとBCターフを蹴ってここに矛先を向けてきていた。他にも短距離GⅠ競走スプリントCを勝ってきたポーラーファルコン、ジェロームH・ペガサスHとダートGⅠ競走2勝のスキャン、ドンH・ガルフストリームパークHとダートGⅠ競走2勝のジョリーズヘイローといった、やはり路線違いの実力馬達も多く出走しており、ムーランドロンシャン賞を勝ってきたプリオロ、フォレ賞を勝ってきたダンスーズドゥソワール、シャダイード、セカンドセットなど芝のマイルGⅠ競走勝ち馬達が埋もれてしまう状態だった。本馬も単勝オッズ12.4倍の5番人気止まりであり、単勝オッズ3.2倍のインエクセスと単勝オッズ3.8倍のタイトスポットが人気を集めていた。

レースはインエクセスが果敢に先頭に立ち、ジョリーズヘイローがそれを追い、本馬はダンスーズドゥソワールと共にその後方を追走した。三角手前でタイトスポットが外を通ってインエクセスに並びかけると、各馬も一気に動き出した。ところがこの仕掛け所で本馬はまるで行き脚が付かず、直線に入っても全く伸びずに、勝ち馬から12馬身差の13着と惨敗してしまった。ちなみに3頭並んで先頭で直線を向いたインエクセス、ジョリーズヘイロー、タイトスポットはいずれも撃沈してしまい、好位から四角で位置取りを上げて5番手で直線を向いた単勝オッズ27.7倍の10番人気馬オープニングヴァースが、後方から差してきた単勝オッズ17.3倍の7番人気馬ヴァルデボワと、単勝オッズ19.6倍の8番人気馬スターオブコジーンを振り切って優勝するという大波乱の結末になった。

本馬の3歳時の成績は7戦4勝で、この年から創設された欧州の年度表彰カルティエ賞において最優秀3歳牝馬に選ばれた。

競走生活(4歳前半)

3歳時は徹底してマイル路線を進んできた本馬だったが、4歳時は10ハロン路線に転向した。まずは6月にレパーズタウン競馬場で行われたリステッド競走グレンカーンS(T9F)から始動。これといった対戦相手はおらず、単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持されたのだが、他馬勢より4~12ポンド重い133ポンドのトップハンデが影響したのか、アプローチザベンチの3馬身差5着に敗れた。

次走のプリンスオブウェールズS(英GⅡ・T10F)では、タタソールズ金杯・ブリガディアジェラードSを連勝してきたオペラハウス、前年に英国際Sを勝利して初代のカルティエ賞最優秀古馬に選出されたテリモン、英2000ギニーとジャンプラ賞で2着していたラッキーリンディ、前年の英チャンピオンSの勝ち馬テルクウェル、セプテンバーSの勝ち馬ヤングバスターなどが対戦相手となった。オペラハウスが単勝オッズ3.5倍の1番人気に支持され、本馬は単勝オッズ10倍の5番人気という評価だった。レースでは先行して残り2ハロン地点で仕掛けると、残り1ハロン地点でヤングバスターと共に先頭に立った。しかしここで右側によれて、ヤングバスターにぶつかってしまった。ヤングバスターはそれで失速し、追い上げてきた単勝オッズ21倍の8番人気馬パーペンディキュラーを本馬が1馬身半抑えて先頭でゴールしたが、ヤングバスターに対する進路妨害が咎められて3着に降着となり、パーペンディキュラーが繰り上がって1着、ヤングバスターが2着となった。

次走はエクリプスS(英GⅠ・T10F7Y)となった。前走イスパーン賞も勝ってきた愛国際S・タタソールズ金杯などの勝ち馬ゾーマン、そのイスパーン賞で首差2着だったユジェーヌアダム賞の勝ち馬アルカング、プリンスオブウェールズSで4着だったテリモン、同6着だったオペラハウス、英ダービーで5着してきたチェスターヴァーズの勝ち馬ツイストアンドターン、ハードウィックS2回・ジョッキークラブS・プリンセスオブウェールズS・ヨークシャーC・リングフィールドダービートライアルS・ジョンポーターSの勝ち馬ロックホッパー、ヤングバスター、ハードウィックSで2着してきたプリンセスオブウェールズS・ジョッキークラブSの勝ち馬サピエンスなどが対戦相手となった。しかし出走12頭中唯一の牝馬だった本馬が単勝オッズ4.5倍で堂々の1番人気に支持された。アルカングが単勝オッズ6倍の2番人気、ゾーマンが単勝オッズ6.5倍の3番人気、オペラハウスとツイストアンドターンが並んで単勝オッズ9倍の4番人気と続いた。

スタートが切られると単勝オッズ201倍の最低人気馬メラビーが先頭に立ち、アルカング、オペラハウスなどがそれを追って先行。本馬はサピエンスと共に最後方を追走した。レースがスタミナを消耗する重馬場で行われた事もあり、直線に入るとスタミナ切れを起こした馬達は次々に失速。その中でいったんアルカングが先頭に立ち、さらにそれをオペラハウスが残り1ハロン地点でかわして先頭に立った。そこへ後方から本馬が突っ込んできた。そして一気に先頭に踊り出ると、2着オペラハウスに1馬身半差、3着サピエンスにはさらに1馬身半差をつけて完勝。牝馬がエクリプスSを勝ったのは1985年のペブルス以来7年ぶり史上2頭目で、2015年現在までに110回以上施行されている同競走史上において牝馬の勝利はこの2回だけである。

競走生活(4歳後半)

その後は独国に向かい、バイエルン大賞(独GⅠ・T2000m)に出走した。プリンスオブウェールズSから直行してきたパーペンディキュラー、ダイオメドSの勝ち馬でセントジェームズパレスS2着のザーイ、ゲルゼンキルヒェン市大賞・ゴードンリチャーズS・ジャンドショードネイ賞と3連勝中のディアドクター、メルセデスベンツ大賞を勝ってきたホンドモンド、エクスビュリ賞・アルクール賞の勝ち馬フォーチュンホイールといった馬達が相手となったが、4番手を追走した本馬がゴール前で鋭く伸び、2着ザーイに3/4馬身差で勝利した。なお、このレースで4着に敗れたディアドクターは、次走のアーリントンミリオンを勝っている。

英国に戻った本馬は英国際S(英GⅠ・T10F85Y)に出走。エクリプスSで6着だったゾーマン、同9着だったテリモン、ナッソーS2回・リディアテシオ賞・EPテイラーS・メルセデスベンツ大賞・プリティポリーSの勝ち馬ルビータイガーといった古馬勢に加えて、英2000ギニー・愛2000ギニー・ミドルパークS・英シャンペンSの勝ち馬ロドリゴデトリアーノ、英ダービー・デューハーストSの勝ち馬で愛ダービー2着のドクターデヴィアス、クレイヴンS・ダンテSの勝ち馬アルナスルアルワシーク、英オークス・ナッソーSで連続2着してきたオールアトシーといった若き3歳馬勢が対戦相手となったが、本馬が単勝オッズ3倍で堂々の1番人気に支持された。しかし前走から16日後という強行軍が影響したのかどうかは不明だが、このレースにおける本馬はまったく競馬になっておらず、ゴール前では歩くように走り、勝ったロドリゴデトリアーノから57馬身差の12着最下位に敗れ去った。

故障などではなかったようで、その4週間後には愛チャンピオンS(愛GⅠ・T10F)に参戦。ここでは、愛ダービーとキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDSを圧勝してきたセントジョヴァイトと、そのセントジョヴァイトを英ダービーで2着に下していた前走4着のドクターデヴィアスの2頭が強敵だった。セントジョヴァイトが単勝オッズ1.57倍の1番人気、ドクターデヴィアスが単勝オッズ4.5倍の2番人気、本馬が単勝オッズ5倍の3番人気という3強対決となった。しかしレースは逃げたセントジョヴァイトと、先行したドクターデヴィアスの2頭による完全なマッチレースとなり、後方からレースを進めた本馬は全く追いつけなかった。結局、ドクターデヴィアスがセントジョヴァイトを短頭差で抑えて勝ち、それから9馬身差の3着が逃げ粘った単勝オッズ51倍の5番人気馬アルフローラ、そしてそれから6馬身差の4着が本馬だった。

次走はレパーズタウン競馬場で行われた東京サラブレッズレースなる距離10ハロンの競走となった。ブランドフォードSで2着してきたアリカラなど3頭が対戦相手となったが、実績では断然上位の本馬が単勝オッズ1.73倍の1番人気に支持された。しかし他馬勢よりも9~15ポンドも重い136ポンドのトップハンデが影響したようで、15ポンドのハンデを与えたマイニングタイクーンの2馬身半差2着に敗れた。

その後はジャパンCに参戦する予定もあったが結局回避して、そのまま4歳時7戦2勝の成績で競走馬を引退した。この年のカルティエ賞最優秀古馬の座は、ジュライC・アベイドロンシャン賞を制してBCスプリントで命を落としたミスターブルックスに譲ったが、100年以上の伝統を誇るエクリプスSを制した事により、本馬は過去10年の愛国調教馬では1歳年下のセントジョヴァイトと双璧を成す最高の馬であるという評価を得た。

馬名は豪州にあるクーヨンガゴルフクラブに由来しており、芳賀氏がゴルフ事業で財を成した故の命名と思われる。

血統

Persian Bold Bold Lad Bold Ruler Nasrullah Nearco
Mumtaz Begum
Miss Disco Discovery
Outdone
Barn Pride Democratic Denturius
Light Fantasy
Fair Alycia Alycidon
Fair Edwine
Relkarunner Relko Tanerko Tantieme
La Divine
Relance Relic
Polaire
Running Blue Blue Peter Fairway
Fancy Free
Run Honey Hyperion
Honey Buzzard
Anjuli Northfields Northern Dancer Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Little Hut Occupy Bull Dog
Miss Bunting
Savage Beauty Challenger
Khara
Katricia スカイマスター Golden Cloud Gold Bridge
Rainstorm
Discipliner Court Martial
Edvina
Anxious Call Whistler Panorama
Farthing Damages
Julie Denturius
Justitia

父パーシャンボールドは現役成績は16戦6勝。リッチモンドS(英GⅡ)・ホーリスヒルS(英GⅢ)を勝ち、ミドルパークS(英GⅠ)・セントジェームズパレスS(英GⅡ)で2着している。種牡馬としては競走馬時代を上回る好成績を残し、日本でも宝塚記念馬パーシャンボーイの父として知られている。パーシャンボールドの父ボールドラッドはボールドルーラー産駒の愛国産馬で、2歳年上の米国産馬ボールドラッドとは同名の別馬であり、区別するためにボールドラッド(IRA)と表記される事が多い。現役成績は8戦5勝で、2歳時にミドルパークS・コヴェントリーS・英シャンペンSを勝利している。種牡馬としても欧州短距離王者ネヴァーソーボールドなどを出して活躍した。

母アンジュリは不出走馬。本馬の半姉ハットンガーデンズ(父オークションリング)の子にはライムガーデンズ【ミネルヴ賞(仏GⅢ)】、曾孫にはダイヤモンドディーヴァ【ロイヤルヒロインマイル(米GⅡ)・ウィルシャーH(米GⅢ)】、エクスペリエンス【グランジコンスタッドS(愛GⅢ)】が出ている。アンジュリの半兄ローランドガーデンズは英2000ギニー(英GⅠ)の勝ち馬。アンジュリの曾祖母ジュリーの従兄弟には日本で種牡馬として大成功したテスコボーイ【クイーンアンS】がいるが、大発展している牝系というわけではない。→牝系:F19号族②

母父ノースフィールズはノーザンダンサーの直子で、現役成績は30戦7勝、ホーソーンダービー・ルイジアナダービーを勝っている。種牡馬としては主にマイル戦で活躍する産駒を出している。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は、芳賀氏が米国ケンタッキー州に所有していたグリーンゲーツファームで繁殖入りした。さすが世界的名牝の子だけあって本馬の産駒は高額で取引されることが多く、日本に輸入された子も多い。しかし本馬の産駒成績は不振だった。初子の牝駒フェミニンハート(父エーピーインディ)は愛米で4戦未勝利の後に日本で走ったがここでも4戦未勝利に終わり8戦未勝利で引退。2番子の牡駒ゲイリーザプライド(父シーキングザゴールド)は日本で走り30戦3勝、500万下条件戦までしか勝てなかった。3番子の牡駒エルウェイ(父ミスタープロスペクター)は11戦未勝利。4番子の牡駒ピロマティア(父ダンチヒ)は日本で走り16戦5勝、勝ち星は1000万下条件戦までだった。5番子の牝駒プリンセスアトーサ(父ゴーンウエスト)は不出走に終わった。6番子の牝駒クライスレリアーナ(父シーキングザゴールド)は未勝利戦を勝っただけの16戦1勝。7番子の牝駒マツエ(父ルアー)も未勝利戦を勝っただけの13戦1勝だった。結局自身を髣髴とさせる子を出すことは遂に無く、本馬は2001年に13歳の若さで他界した。それでもクライスレリアーナが母としてバランスザブックス【ウィズアンティシペーションS(米GⅡ)・バーボンS(米GⅡ)】を産むなど、牝系は維持されている。また、ピロマティアも血統が評価されて種牡馬入りし、パタヤ【ジウビレオ賞(伊GⅢ)】を出している。

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