ブレイヴェストローマン

和名:ブレイヴェストローマン

英名:Bravest Roman

1972年生

鹿毛

父:ネヴァーベンド

母:ローマンソング

母父:ローマン

日本で3頭の牝馬クラシックホースを出したが、基本はダート向きだったネヴァーベンド直子の名種牡馬

競走成績:2・3歳時に米で走り通算成績25戦9勝2着5回

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州産馬で、ジョン・A・モリス夫人の所有馬として、ウッドフォード・スティーヴンズ調教師に預けられた。

競走生活

2歳時は4戦1勝2着1回とごく普通の成績だった。3歳時はとにかくタフに走りまくり、年間21戦して8勝を挙げたが、大半の勝ち鞍が一般競走だった。最初のステークス競走勝ちは4月にマサチューセッツ州サフォークダウンズ競馬場で行われたポールレヴェアS(D6F)で、タイロSの勝ち馬ボールドガンを2着に破ってのものだった。唯一のグレード競走勝ちは6月にベルモントパーク競馬場で出走したサラナクS(GⅡ・D8F)だった。この8日前の一般競走で本馬を2着に破っていたローレルフューチュリティ2着馬ワジマを頭差の2着に、サラトガスペシャルS2着・ベルモントフューチュリティS3着馬ヴァリッドアピールを3着に破っての勝利だった。ヴァリッドアピールは次走のドワイヤーHを勝ち、そのドワイヤーHで2着に敗れたワジマはそこからモンマス招待H・トラヴァーズS・ガヴァナーS・マールボロC招待HのGⅠ競走4勝を含む5連勝してこの年のエクリプス賞最優秀3歳牡馬に選出される事になる。しかし本馬はこの後にステークス競走で活躍することは無く、3歳時を最後に競走馬を引退。勝ち鞍の全てがマイル戦以下というマイラーであった。

血統

Never Bend Nasrullah Nearco Pharos Phalaris
Scapa Flow
Nogara Havresac
Catnip
Mumtaz Begum Blenheim Blandford
Malva
Mumtaz Mahal The Tetrarch
Lady Josephine
Lalun Djeddah Djebel Tourbillon
Loika
Djezima Asterus
Heldifann
Be Faithful Bimelech Black Toney
La Troienne
Bloodroot Blue Larkspur
Knockaney Bridge
Roman Song Roman Sir Gallahad Teddy Ajax
Rondeau
Plucky Liege Spearmint
Concertina
Buckup Buchan Sunstar
Hamoaze
Look Up Ultimus
Sweeping Glance
Quiz Song Sun Again Sun Teddy Teddy
Sunmelia
Hug Again Stimulus
Affection
Clever Song Jacopo Sansovino
Black Ray
Flying Song Sir Gallahad
Filante

ネヴァーベンドは当馬の項を参照。

母ローマンソングは現役成績21戦3勝。本馬の全兄プラウディストローマン【ホープフルS(米GⅠ)】、豪州で種牡馬入りした半弟ローマンプリンス(父コーニッシュプリンス)も産んでいる。また、本馬の半姉アイオルソー(父スカイハイ)の曾孫にはウォーエンブレム【ケンタッキーダービー(米GⅠ)・プリークネスS(米GⅠ)・ハスケル招待H(米GⅠ)】がいる。ローマンソングの曾祖母フライングソングの全弟にはフェネロン【トラヴァーズS・ジョッキークラブ金杯・ブルックリンH・ホイットニーS】がおり、フライングソングの半姉フリヴァーの牝系子孫には、ダンシングスプリー【BCスプリント(米GⅠ)・サバーバンH(米GⅠ)・カーターH(米GⅠ)】や、ヘヴンリープライズ【フリゼットS(米GⅠ)・アラバマS(米GⅠ)・ガゼルH(米GⅠ)・ベルデイムS(米GⅠ)・アップルブロッサムH(米GⅠ)・ヘンプステッドH(米GⅠ)・ゴーフォーワンドH(米GⅠ)・ジョンAモリスH(米GⅠ)】などが、フライングソングの全姉フライングギャルの子にはボズウェル【英セントレジャー・エクリプスS】がいるが、当時も今もそれほど流行の牝系ではない。→牝系:F20号族②

母父ローマンはトムロルフの項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は米国で種牡馬となり、4年間米国で種牡馬供用された。1979年に日本に輸入され、1980年からイーストスタッドで種牡馬供用された。血統的にも競走成績的にもそれほど見るべきものは無かったのだが、日本では当初から人気種牡馬だった。初年度は61頭、2年目は70頭、3年目は65頭、4年目の1983年は66頭の繁殖牝馬を集めた。日本における初年度産駒はこの1983年にデビュー。そのうちの1頭であるトウカイローマンが翌1984年の優駿牝馬を優勝した。本馬の種牡馬入り当初は、その競走成績から産駒はダートの短距離向きになりそうと言われていたらしいが、いきなり正反対の結果が出た。1987年には4年目産駒のマックスビューティが桜花賞や優駿牝馬など8連勝する大活躍を見せた。種牡馬人気は安定しており、5年目は75頭、6年目は66頭、7年目は67頭、マックスビューティが活躍した8年目は68頭、9年目は65頭、10年目も65頭、11年目は57頭、12年目は54頭、13年目は55頭、14年目は53頭、15年目の1994年は61頭の繁殖牝馬を集めた。この1994年にオグリローマンが桜花賞を勝利して3頭目のクラシックホースが出たが、同年7月に心臓麻痺のため22歳で他界した。全日本種牡馬ランキングでは1988・89年の3位が最高で、1985~94年まで10年連続でトップテン入りしている。

トウカイローマン、マックスビューティ、それにランドヒリュウのように芝の2000m以上で活躍をした馬が初期に出たために、意外と芝の中長距離向きなのかというイメージを抱いた人もいたようだが、これらの馬達が例外だったというべきで、結局のところは自身の競走成績どおりにダートのマイル前後を得意とする産駒が多かった。芝をこなす馬であっても多くの場合ダートも得意としていた。特にダート向きという傾向は、中央競馬における芝限定ランキングとダート限定ランキングを比較すると一目瞭然であり、前者は1987年(4位)の1回しかトップテン入りしていないのに対し、後者は1985~97年まで13年連続でトップテン入りしており、そのうち7回は1位になっている。地方競馬の種牡馬ランキングで首位になる事は無かった(1997年の3位が最高)が、地方競馬で活躍した馬も多く出している。惜しむらくはその種牡馬全盛時代に中央競馬のダート路線が未整備だった事だろうか。

牝馬に活躍馬が多かった影響もあり、後継種牡馬はなかなか人気が出ず、直系は繁栄していない。カリスタグローリやメイショウホムラなど数少ない後継種牡馬が父として重賞勝ち馬を出す健闘を見せて頑張っているが、既に赤信号が点灯している。なお、繁殖牝馬の父としての活躍も以前は目立っており、キョウエイマーチ、ニホンピロジュピタ、トーシンブリザードなど多くの重賞勝ち馬を出していたが、最近はあまり見かけなくなっている。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1980

First Summer Day

加オークス

1981

エスコート

ひまわり賞(旭川)・栄冠賞(札幌)・北海道三歳優駿(札幌)・北海優駿(札幌)・クイーンC(岩見沢)・クイーンC(旭川)2回・金杯(札幌)

1981

グレートローマン

新潟ジュニアC(新潟)・新潟皐月賞(三条)・新潟ダービー(新潟)・ダイヤモンド特別(名古屋)・新春グランプリ(名古屋)・東海大賞典(笠松)・東海菊花賞(名古屋)・名古屋大賞典(名古屋)

1981

トウカイローマン

優駿牝馬(GⅠ)・京都大賞典(GⅡ)

1981

ローマンプリンス

フェブラリーH(GⅢ)・シアンモア記念(盛岡)

1982

トチノニシキ

中山金杯(GⅢ)

1982

ニホンピロヤマト

赤レンガ記念(札幌)

1982

フシミイチジョウ

若駒賞(岩見沢)・ひまわり賞(岩見沢)・北海道三歳優駿(札幌)

1982

ランドヒリュウ

高松宮杯(GⅡ)・日経新春杯(GⅡ)・京都四歳特別(GⅢ)

1983

アイアイローマン

稲穂特別(足利)・ばん阿賞(足利)

1983

エイシンガッツ

京都四歳特別(GⅢ)

1984

オサイチブレベスト

帝王賞(大井)

1984

グリーンフランシス

新潟グランプリ(新潟)・農林水産大臣賞典(金沢)

1984

ソダカザン

ウインターS(GⅢ)

1984

タイツクバ

新春グランプリ(名古屋)

1984

マックスビューティ

桜花賞(GⅠ)・優駿牝馬(GⅠ)・オークストライアル四歳牝馬特別(GⅡ)・神戸新聞杯(GⅡ)・ローズS(GⅡ)

1984

マルブツロンリー

サファイアS(GⅢ)

1985

フシミラッキー

北海優駿(岩見沢)

1985

ホッカイローマン

群馬記念(高崎)

1985

ホリノライデン

阪急杯(GⅢ)

1986

マルブツスピーリア

ウインターS(GⅢ)・ゴールド争覇(名古屋)

1988

オースミプリンス

迎春賞(新潟)

1988

カリスタグローリ

クリスタルC(GⅢ)

1988

メイショウホムラ

フェブラリーH(GⅢ)

1990

アコニットローマン

東京プリンセス賞(大井)

1990

マルカアイリス

小倉三歳S(GⅢ)

1991

オグリローマン

桜花賞(GⅠ)・ジュニアクラウン(笠松)・プリンセス特別(笠松)・ゴールドウィング賞(名古屋)・ジュニアグランプリ(笠松)

1991

フジノマッケンオー

根岸S(GⅢ)・ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)・セントウルS(GⅢ)・さきたま杯(GⅢ)

1991

マルカイッキュウ

黒潮マイルCS(高知)・新春杯(高知)2回・二十四万石賞(高知)・桂浜月桂冠賞(高知)・建依別賞(高知)

1993

カガヤキローマン

東京盃(GⅡ)2回・北海道スプリントC(GⅢ)・東京シティ盃(南関GⅢ)

1993

ダイワハンニバル

東北サラブレッド大賞典(盛岡)

1993

ヒロベスト

東国賞(高崎)

1994

イズミホーガン

スプリンターズ賞(高崎)2回

1994

キャニオンロマン

羽田盃(南関GⅠ)・京浜盃(南関GⅡ)・黒潮盃(南関GⅡ)・フロンティアスプリント盃(南関GⅢ)

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