ストリートクライ

和名:ストリートクライ

英名:Street Cry

1998年生

黒鹿

父:マキャヴェリアン

母:ヘレンストリート

母父:トロイ

生涯4着以下無しの安定した成績を残したドバイワールドC優勝馬は種牡馬としても絶好調だったがその最中に原因不明の病気で急逝する

競走成績:2~4歳時に米首で走り通算成績12戦5勝2着6回3着1回

誕生からデビュー前まで

ドバイのシェイク・モハメド殿下により生産・所有された愛国産馬で、米国で走るゴドルフィンの所属馬をしばしば任させるようになっていたエオイン・ハーティー調教師に預けられた。

競走生活(2歳時)

2歳7月にハリウッドパーク競馬場で行われたダート5.5ハロンの未勝利戦で、主戦となるデヴィッド・フローレス騎手を鞍上にデビューした。ここでは、ビヴァリーヒルズH・イエローリボンSなどを勝利した名牝アルプライドと名種牡馬ストームキャットの間に産まれた良血馬プライドオブキャッツが単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持されており、本馬は単勝オッズ6.1倍の2番人気だった。レースではスタートがあまり良くなく、道中は馬群の中団5番手を追走。直線に入ってから追い上げたが、逃げ切って勝った単勝オッズ14倍の6番人気馬ディヴァインスピリットに1馬身届かず2着に敗れた(プライドオブキャッツは本馬から鼻差の3着だった)。

1か月後にデルマー競馬場で行われたダート6.5ハロンの未勝利戦では、単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持された。ここでは普通のスタートを切ったが、前走と同じく馬群の中団5番手を追走した。しかし向こう正面で仕掛けると、四角途中で先頭に立ち、後は後続を引き離す一方となった。最後は2着となった単勝オッズ10.7倍の4番人気馬ドットエイジに7馬身差をつけて勝ち上がった。

9月のデルマーフューチュリティ(米GⅡ・D7F)では、ベストパルSを勝ってきたフレイムスロウアー、グラデュエーションSを5馬身差で勝ってきたアラビアンライト、ハリウッドジュヴェナイルCSSの勝ち馬スクワートルスクワート(翌年にBCスプリントを勝ってエクリプス賞最優秀短距離馬に選出)といった実力馬も参戦してきた。フレイムスロウアーが単勝オッズ2倍の1番人気、本馬が単勝オッズ4.1倍の2番人気、アラビアンライトが単勝オッズ5.6倍の3番人気、スクワートルスクワートが単勝オッズ8.8倍の4番人気となった。レースではフレイムスロウアーが逃げを打ち、本馬は馬群の中団後方を追走。三角から四角にかけて一気に位置取りを上げて、直線入り口3番手から、逃げるフレイムスロウアーに詰め寄っていったが、頭差届かずに2着に敗れた。

10月のノーフォークS(米GⅡ・D8F)でも、フレイムスロウアーとの対戦となった。フレイムスロウアーが単勝オッズ2倍の1番人気で、本馬が同馬主同厩のドバイブリーズ(前走の未勝利戦が現役時代唯一の勝利という並の馬)とのカップリングで単勝オッズ2.3倍の2番人気と、ほぼ完全な一騎打ちムードだった。今回もフレイムスロウアーが逃げを打ち、本馬は前走より少し前目でレースを進めた。そして直線入り口でフレイムスロウアーに並びかけ、叩き合いに持ち込んだ。しかしフレイムスロウアーが最後まで粘り切り、本馬は首差の2着に敗れた。

その後はケンタッキー州に向かい、チャーチルダウンズ競馬場で行われたBCジュヴェナイル(米GⅠ・D8.5F)に参戦。シャンペンSを勝ってきたエーピーヴァレンタイン、フレイムスロウアー、加国のGⅠ競走グレイBCSを勝ってきたホープフルS3着馬マッチョウノ、ケンタッキーCジュヴェナイルSの勝ち馬でシャンペンS2着のポイントギヴン、デルマーフューチュリティ3着後にブリーダーズフューチュリティSを3馬身差で快勝してきたアラビアンライト、トレモントS・サンフォードS・サラトガスペシャルS・ホープフルSと4連勝してベルモントフューチュリティSでも1位入線して5連勝と思われたが2着降着となっていたシティジップ、ホープフルSでシティジップと1着同着で勝利していたサンフォードS2着・シャンペンS3着馬ヨナグスカ、ブリーダーズフューチュリティS2着馬ダラービル、英シャンペンS・ジュライSを勝ちデューハーストSで2着してきたゴドルフィンの所属馬ノヴェールなどが対戦相手となった。エーピーヴァレンタインが単勝オッズ3.4倍の1番人気、フレイムスロウアーが単勝オッズ6.4倍の2番人気、1勝馬の身である本馬が単勝オッズ6.6倍の3番人気、マッチョウノが単勝オッズ7.3倍の4番人気となり、実績ナンバーワンのはずのシティジップは前走シャンペンSの大惨敗が響いて単勝オッズ33.8倍の8番人気まで評価を下げていた。

スタートが切られると、単勝オッズ10.7倍の6番人気馬アラビアンライトが単独で先頭に立ち、フレイムスルーヤー、シティジップ、マッチョウノなどがそれを追って先行。本馬はそれらの先行集団を見るように、馬群のちょうど中団辺りを追走した。そして四角で位置取りを上げて、3番手で直線を向いた。そして前を走るマッチョウノを追撃したが、差を縮めることが出来ず、逆に大外を追い上げてきたポイントギヴンに差されて、勝ったマッチョウノから1馬身半差の3着に終わった。2歳時の成績は5戦1勝だった。

競走生活(3歳時)

3歳時はドバイのサイード・ビン・スルール厩舎に転厩し、ドバイのリステッド競走UAE2000ギニー(D1600m)から始動した。ここでは、BCジュヴェナイルで11着に終わっていたノヴェールが主な対戦相手だった。ノヴェールの主戦だったランフランコ・デットーリ騎手は本馬に騎乗することを選んだ。レースでは馬群の中団後方につけて、直線入り口6番手から追い込みを開始。逃げていたノヴェールを残り200m地点でかわして先頭に立つと、そのまま2着ノヴェールに2馬身差をつけて快勝した。

続いてUAEダービー(首GⅢ・D1800m)に出走した。ノヴェールの姿は無かったが、チリでタンエオデポトリヨス賞・チリ2000ギニー・チリグランクリテリウム・チリセントレジャーを勝っていたリドパレスという実力者が参戦してきた。英国ブックメーカーのオッズでは、デットーリ騎手騎乗の本馬が単勝オッズ2.5倍の1番人気、リドパレスが単勝オッズ3.5倍の2番人気で、3番人気のホーリスヒルS2着馬プライズマンは単勝オッズ13倍という2強対決だった。レースでは、米国フロリダ州で地道に走っていた単勝オッズ21倍の8番人気馬エクスプレスツアーが逃げて、リドパレスと本馬はいずれも馬群の好位5~6番手につけた。そして直線に入ると、リドパレスを置き去りにしてエクスプレスツアーを追撃。しかし仕掛けがワンテンポ遅かったようで、短頭差届かずに2着に敗れた(3着リドパレスは6馬身後方だった)。

この後はケンタッキーダービーに向かう予定だったが、右前脚の球節を痛めて長期休養に入ったため、米国三冠競走は全て棒に振ってしまった。

復帰戦となったのは、10月にアケダクト競馬場で行われたディスカヴァリーH(米GⅢ・D9F)となった。ここでは、前年のBCジュヴェナイル以来1年ぶり(と言っても間には2走しか挟んでいないが)にフローレス騎手とコンビを組んだ。主な対戦相手は、後のケンタッキーカップクラシックHの勝ち馬ピュアプライズ、後にウエストチェスターHを勝つジムダンディS2着馬フリーオブラヴ、ピーターパンS3着馬デイトンフライヤーなどだった。トップハンデとなる118ポンドの本馬が単勝オッズ1.85倍の1番人気、112ポンドのピュアプライズが単勝オッズ4.95倍の2番人気、115ポンドのフリーオブラヴが単勝オッズ5倍の3番人気、115ポンドのデイトンフライヤーが単勝オッズ7倍の4番人気となった。

レースでは7頭立ての5番手を追走。三角から四角にかけて上がっていくと、直線入り口では先頭に立った。そのまま押し切って勝つと思われたが、後方から差してきた単勝オッズ66.5倍の最低人気馬イヴニングアタイアにかわされて1馬身差の2着に敗れた。勝ったイヴニングアタイアはこの時点では単なる1勝馬だったために、トップハンデの本馬より7ポンド軽い111ポンドの最軽量だった。しかしイヴニングアタイアは次走のクイーンズカウンティHとその次のアケダクトHを連勝し、さらにはジョッキークラブ金杯やサラトガBCH2回などを勝つ米国ダート路線の一流馬に成長する事になる。したがって長期休養明けの本馬が、本格化が始まっていたイヴニングアタイアに7ポンドのハンデを与えたというのは結果的にはハンデを与え過ぎであった。

その後は再び休養に入ったために、3歳時は3戦1勝の成績で終えた。

競走生活(4歳時)

4歳時は2月のマクトゥームチャレンジR3(首GⅡ・D2000m)から始動した。強敵と言えるのは、ドラール賞・プランスドランジュ賞の勝ち馬である同厩馬ステートシントウ、マクトゥームチャレンジR2で2着してきたロイヤルトライストといったところだった。ここではデットーリ騎手が騎乗した本馬は、3番手を先行して、残り400m地点で先頭に立った。後は後続を引き離すだけで、2着ステートシントウに8馬身半差をつけて圧勝した。

続いて出走したのはドバイワールドC(首GⅠ・D2000m)だった。対戦相手は、前年のBCクラシックでも2着と好走していた凱旋門賞・英国際S・ダンテS・サンダウンクラシックトライアルSの勝ち馬サキー、マクトゥームチャレンジR2を2連覇してきた同じマキャヴェリアン産駒のギョームドルナノ賞の勝ち馬ベストオブザベスツ、ステートシントウの同厩馬3頭と、オハイオダービー・サンフェルナンドSの勝ち馬ウエスタンプライド、コンセイユドパリ賞の勝ち馬クリムゾンクエスト、パース賞の勝ち馬ケルトス、亜共和国大賞・エストレージャス大賞クラシックと亜国でGⅠ競走2勝を挙げ近走はサウジアラビアのトップホースとして活躍していたセイミ、マクトゥームチャレンジR3で3着だったロイヤルトライストなどだった。日本からは、マイルCS南部杯・天皇賞秋・香港C・フェブラリーSとGⅠ競走を4連勝してきたアグネスデジタル、前年の同競走2着馬でもあったエリザベス女王杯馬トゥザヴィクトリーの2頭が参戦していたが、出走していれば本馬にとって最大の強敵となるはずだったジャパンCダートの勝ち馬クロフネは既に屈腱炎で引退していたため不参戦だった。

英国ブックメーカーのオッズでは、サキーが単勝オッズ1.4倍の1番人気、本馬が単勝オッズ5.5倍の2番人気、アグネスデジタルが単勝オッズ6倍の3番人気で、並んで4番人気となったベストオブザベスツとウエスタンプライドは単勝オッズ21倍という3強ムードだった。

デットーリ騎手がサキーに騎乗したため、本馬にはドバイワールドCで既に3勝を挙げていた米国の名手ジェリー・ベイリー騎手が騎乗した。スタートが切られるとウエスタンプライドが先頭を引っ張り、前年の同競走で逃げ粘ったトゥザヴィクトリーがそれを追撃。ベストオブザベスツやサキーなどがその後方を追走し、好スタートを切った本馬は、サキーを見るように好位につけた。しばらくはそのままの位置取りで走っていたが、最終コーナー手前から内側の経済コースを活用して位置取りを上げ、直線入り口では既に先頭に立っていた。ここからナドアルシバ競馬場の長い直線を押し切れるのか懸念されたが、後続馬はいつまで経っても本馬との差を縮めることが出来なかった。そしてそのまま2着セイミに4馬身半差、3着サキーにもさらに4馬身半差をつけて完勝した(アグネスデジタルは6着、トゥザヴィクトリーは11着最下位だった)。ドバイワールドCの優勝請負人ベイリー騎手の手腕が冴え渡るレースとなった。

その後はBCクラシック制覇を目指して再度米国に渡り、6月のスティーヴンフォスターH(米GⅠ・D9F)に出走。鞍上は引き続きベイリー騎手が務めた。対戦相手は、前年のスワップスS・ウッドメモリアルSの勝ち馬でケンタッキーダービー・プリークネスS3着のコンガリー、本馬が3着したBCジュヴェナイルでは10着、ケンタッキーダービーでは15着だったが、ケンタッキージョッキークラブSを勝ちブルーグラスS・プリークネスS・ベルモントS・トラヴァーズS・オークローンHでも一定の走りを見せていたダラービル、ウィリアムドナルドシェイファーHを勝ってきたテンピンズ、前年のトラヴァーズS・レキシントンSの勝ち馬でベルモントS3着のアンシェイデッドなどだった。この年初戦のローンスターパークHを勝って順調なスタートを切ったコンガリーが121ポンドのトップハンデでも単勝オッズ2.3倍の1番人気となり、120ポンドの本馬が単勝オッズ3.1倍の2番人気、114ポンドのダラービルが単勝オッズ7.2倍の3番人気、115ポンドのテンピンズが単勝オッズ8倍の4番人気だった。スタートが切られると、テンピンズが先頭に立ち、本馬は3~4番手の好位を追走した。そして三角で仕掛けて四角で先頭に立つと、直線で後続を引き離すという、ドバイワールドCを髣髴とさせるレースぶりで、追い込んで2着に入ったダラービルに6馬身半差をつけて圧勝した(コンガリーは6着だった)。

次走のホイットニーH(米GⅠ・D9F)では、どちらかと言えばマイル~短距離戦を主戦場としていたヴォスバーグS・シガーマイルH・トムフールHなどの勝ち馬レフトバンク、UAEダービー3着後に米国に渡り前年のホイットニーH・ウッドワードSを勝っていたリドパレス、BCジュヴェナイルで本馬を破って勝利した後にやはり故障で米国三冠競走を棒に振ったが復帰後にペンシルヴァニアダービー・マサチューセッツHを勝っていたマッチョウノなどとの対戦となった。トップハンデとなる123ポンドの本馬が単勝オッズ2倍の1番人気、118ポンドのレフトバンクが単勝オッズ4.6倍の2番人気、119ポンドのリドパレスが単勝オッズ4.8倍の3番人気、118ポンドのマッチョウノが単勝オッズ5.6倍の4番人気と、なかなか絶妙な斤量設定となった。レースでは単勝オッズ37.25倍の最低人気馬セイントベールが単騎で逃げを打ち、レフトバンクが2番手、さらに6~7馬身も離された3番手を本馬が追走した。2番人気のレフトバンクだったが、9ハロンの距離を走るのは久々であり、スタミナに一抹の不安があった。それゆえに本馬も下手に深追いできず、その結果として四角で先頭に立ったレフトバンクを直線で捕まえるのに失敗。コースレコードで走ったレフトバンクから1馬身1/4差の2着に敗れた。

しかしレフトバンクはこれが生涯最後のレースとなってしまった。ホイットニーHの翌週に持病の疝痛(幼少期に疝痛のため小腸切除手術が施されていた)が再発して緊急手術が行われたが、回復せずに2か月後に他界してしまったのである。

一方の本馬もこのホイットニーHが現役最後のレースとなってしまった。本当はアーリントンパーク競馬場で行われるBCクラシックを目指す予定だったが、右前脚球節の古傷が再発したのである。そのためBCクラシックを諦めて4歳時4戦3勝の成績で競走馬引退となった。

本馬はこの年のエクリプス賞最優秀古馬牡馬の候補にも挙がったが、トムフールHとホイットニーHの連続レコード勝ちの印象度に加えて、おそらく同情票も集めたレフトバンクにその座を譲ることになった。

血統

Machiavellian Mr. Prospector Raise a Native Native Dancer Polynesian
Geisha
Raise You Case Ace
Lady Glory
Gold Digger Nashua Nasrullah
Segula
Sequence Count Fleet
Miss Dogwood
Coup de Folie Halo Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Cosmah Cosmic Bomb
Almahmoud
Raise the Standard Hoist the Flag Tom Rolfe
Wavy Navy
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Helen Street Troy Petingo Petition Fair Trial
Art Paper
Alcazar Alycidon
Quarterdeck
La Milo Hornbeam Hyperion
Thicket
Pin Prick Pinza
Miss Winston
Waterway Riverman Never Bend Nasrullah
Lalun
River Lady Prince John
Nile Lily
Boulevard Pall Mall Palestine
Malapert
Costa Sola Worden
Sunny Cove

マキャヴェリアンは当馬の項を参照。

母ヘレンストリートは現役成績9戦3勝、愛オークス(愛GⅠ)・カルヴァドス賞(仏GⅢ)の勝ち馬。本馬の半姉グリーシャンスリッパー(父サドラーズウェルズ)の子にマグナグラエキア【バルブヴィル賞(仏GⅢ)】、グレコ【コンデ賞(仏GⅢ)】、曾孫にテリトリーズ【ジャンプラ賞(仏GⅠ)】が、本馬の全姉ヘルシンキの子に2004年のカルティエ賞最優秀2歳牡馬シャマルダル【仏2000ギニー(仏GⅠ)・仏ダービー(仏GⅠ)・デューハーストS(英GⅠ)・セントジェームズパレスS(英GⅠ)・ヴィンテージS(英GⅡ)】、ジェフリーチョーサー【ベレスフォードS(愛GⅡ)】がいる。

ヘレンストリートの母ウォーターウェイはカルヴァドス賞(仏GⅢ)の勝ち馬で、ウォーターウェイの半姉シルケンウェイの子であるポインテッドパスの子には日本で走ったネオユニヴァース【皐月賞(GⅠ)・東京優駿(GⅠ)・スプリングS(GⅡ)・大阪杯(GⅡ)・きさらぎ賞(GⅢ)】が、ウォーターウェイの叔父には本邦輸入種牡馬サンプリンス【ロベールパパン賞(仏GⅠ)・コヴェントリーS(英GⅡ)・セントジェームズパレスS(英GⅡ)・クイーンアンS(英GⅢ)】がいる。→牝系:F1号族④

母父トロイは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は、米国ケンタッキー州ジョナベルファーム(ダーレー・アメリカ)で種牡馬生活を開始した。初年度産駒がいきなり2歳戦から大活躍し、ストリートセンスがBCジュヴェナイルを制覇するに至って、北米新種牡馬ランキング1位だけでなく、北米2歳首位種牡馬まで獲得した。翌年はストリートセンスがケンタッキーダービーを優勝し、その後も初年度産駒のゼニヤッタがBCクラシックなどデビュー19連勝を達成するなどして、本馬の種牡馬としての地位は確固たる物となった。

当初は3万ドルだった種付け料は2008年には10万ドル、2010年には15万ドルまで跳ね上がった。また、初年度から豪州(ダーレー・オーストラリア)にもシャトルされ、こちらでもGⅠ競走勝ち馬を送り出しており、種付け料は最大で11万豪州ドルとなった。ダーレーグループの最高執行責任者オリヴァー・テート氏によると、本馬産駒は総じて頑丈かつ真面目であり、積極的に走る意思を示すため、非常に調教をやり易いそうである。距離適性は万能で、芝もダートもオールウェザーも不問である。ゼニヤッタに代表されるようにレース終盤の「信じられない加速」を武器とする差し追い込み馬が多いのが特徴だという。

こうして種牡馬として絶好調だった本馬だが、2014年にシャトル先の豪州において病魔に襲われた。右前脚の歩様が悪くなり、種付けどころか立ち上がる事も出来なくなってしまったのである、骨折や蹄葉炎のように診断が容易な病気ではなく、神経性疾患であると推定された。ダーレーグループは全力で治療に当たろうとしたが、なにしろ原因が不明だったために対処の方法が無かった。同年9月17日に治療が断念され、16歳で安楽死の措置が執られた。後継種牡馬としてはストリートセンスが既に成功を収めている。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

2004

Big Timer

エイコムS(英GⅢ)

2004

Blues Street

マーヴィンHムニスジュニア記念H(米GⅡ)・フェアグラウンズH(米GⅢ)・リバーシティH(米GⅢ)

2004

Majestic Roi

サンチャリオットS(英GⅠ)・フレッドダーリンS(英GⅢ)

2004

Per Incanto

テュディニ賞(伊GⅢ)

2004

Street Boss

トリプルベンド招待H(米GⅠ)・ビングクロスビーH(米GⅠ)・ロサンゼルスH(米GⅢ)

2004

Street Magician

ハーシュジェイコブズS(米GⅢ)

2004

Street Sense

ケンタッキーダービー(米GⅠ)・BCジュヴェナイル(米GⅠ)・トラヴァーズS(米GⅠ)・ジムダンディS(米GⅡ)・タンパベイダービー(米GⅢ)

2004

Street Sounds

ボーモントS(米GⅡ)

2004

Summer Doldrums

コロニアルターフC(米GⅢ)

2004

Zenyatta

BCクラシック(米GⅠ)・BCレディーズクラシック(米GⅠ)・アップルブロッサムH(米GⅠ)2回・ヴァニティH(米GⅠ)3回・レディーズシークレットS(米GⅠ)3回・クレメントLハーシュS(米GⅠ)2回・サンタマルガリータ招待H(米GⅠ)・エルエンシノS(米GⅡ)・ミレイディH(米GⅡ)2回・クレメントLハーシュH(米GⅡ)

2005

Cry and Catch Me

オークリーフS(米GⅠ)

2005

Globetrotter

グレイBCS(加GⅢ)

2005

Predatory Pricer

JJリストンS(豪GⅡ)・グローミングS(豪GⅢ)

2005

Princess Haya

カナディアンS(加GⅡ)

2005

Seventh Street

アップルブロッサムH(米GⅠ)・ゴーフォーワンドH(米GⅠ)

2005

Shocking

メルボルンC(豪GⅠ)・オーストラリアンC(豪GⅠ)・マカイビーディーヴァS(豪GⅡ)

2005

Victor's Cry

シューメーカーマイルS(米GⅠ)

2005

Whobegotyou

コーフィールドギニー(豪GⅠ)・ヤルンバS(豪GⅠ)・ビルスタットS(豪GⅡ)・AAMIヴァーズ(豪GⅡ)・ダトタンチンナムS(豪GⅡ)2回・ブラメイS(豪GⅡ)・PBローレンスS(豪GⅡ)

2006

Desert Party

サンフォードS(米GⅡ)・UAE2000ギニー(首GⅢ)・マハーブアルシマール(首GⅢ)

2006

Freedom Star

アゼリS(米GⅢ)

2006

Here Comes Ben

フォアゴーS(米GⅠ)

2006

Southdale

エクリプスS(加GⅢ)・ダーラムCS(加GⅢ)

2006

Street Hero

ノーフォークS(米GⅠ)

2007

Hollywoodboulevard

KICフィリーズマイル(南GⅢ)

2007

Hurdy Gurdy Man

ホバートC(豪GⅢ)

2007

Midnight Martini

メイトリアークS(豪GⅡ)

2007

Sea Lord

オーストラリアS(豪GⅡ)

2008

Carlton House

ダンテS(英GⅡ)・ブリガディアジェラードS(英GⅢ)

2008

Saamidd

英シャンペンS(英GⅡ)

2008

Splash Point

UAE2000ギニー(首GⅢ)

2008

Street Game

ヒルプリンスS(米GⅢ)

2008

Zaidan

香港クラシックC

2009

Anjaz

オーキッドS(米GⅢ)

2009

Discourse

スウィートソレラS(英GⅢ)

2009

Emirates Queen

ランカシャーオークス(英GⅡ)

2009

Falls of Lora

UAEオークス(首GⅢ)

2009

Lyric of Light

フィリーズマイル(英GⅠ)・メイヒルS(英GⅡ)

2009

Princess Highway

リブルスデールS(英GⅡ)・ブルーウインドS(愛GⅢ)

2010

Gallatin

タロックS(豪GⅡ)

2010

Long John

コーフィールドギニー(豪GⅠ)・UAE2000ギニー(首GⅢ)

2010

Solicit

AVキューニーS(豪GⅡ)・ヴァニティS(豪GⅢ)・2015ダーレークラウン(豪GⅢ)・サモンドS(豪GⅢ)

2010

Star Fashion

レディースデイヴァーズ(豪GⅢ)

2011

Cali Star

ランパートS(米GⅢ)

2011

Chivalry

HDFマクニールS(豪GⅢ)

2011

New Year's Day

BCジュヴェナイル(米GⅠ)

2011

Pittsburgh Flyer

GHマムS(豪GⅢ)

2011

Sabatini

アンガスアーマナスコS(豪GⅡ)・クエゼットS(豪GⅢ)・ケビンヘイズS(豪GⅢ)

2011

She's Not Here

イエローリボンH(米GⅡ)

2011

Street Story

ヴィクトリーライドS(米GⅢ)・ウィニングカラーズS(米GⅢ)

2011

Sweet and Speedy

ザヴァニティ(豪GⅢ)

2011

Winx

コックスプレート(豪GⅠ)・クイーンズランドオークス(豪GⅠ)・ザスターエプソム(豪GⅠ)・ファーラップS(豪GⅡ)・テオマークスS(豪GⅡ)・フューリアスS(豪GⅢ)・サンシャインコーストギニー(豪GⅢ)

2012

Ambience

ウェイクフルS(豪GⅡ)

2012

Pride of Dubai

ブルーダイヤモンドS(豪GⅠ)・AJCサイアーズプロデュースS(豪GⅠ)

2012

Stay With Me

コーフィールド1000ギニー(豪GⅠ)

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