ソヴィエトソング

和名:ソヴィエトソング

英名:Soviet Song

2000年生

鹿毛

父:マージュ

母:カリンカ

母父:ソヴィエトスター

脚部不安を抱えながらも6歳時まで徹底してマイル路線のみを走り続けてGⅠ競走で5勝を挙げ、4歳時にはカルティエ賞最優秀古馬に選出される

競走成績:2~6歳時に英仏愛で走り通算成績24戦9勝2着6回3着2回

誕生からデビュー前まで

愛国の馬主団体エリートレーシングクラブの生産・所有馬で、英国ジェームズ・R・ファンショー調教師に預けられた。本馬は蹄が弱い馬で、脚部不安を抱えながらの競走馬生活を送った。

競走生活(2歳時)

2歳7月に英国ケンプトンパーク競走場で行われた距離6ハロンの牝馬限定未勝利ステークスでデビュー。このレースは、後にチェヴァリーパークS・テンプルS・リッジウッドパールSを勝つなど短距離路線で活躍するエアウェーブのデビュー戦でもあり、快速馬エアウェーブが単勝オッズ3倍の1番人気に支持され、主戦となるオスカー・アービナ騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ7倍の3番人気だった。本馬とエアウェーブは揃ってスタートで出遅れてしまい後方からのレースとなった。短距離戦で出遅れた時点で普通は致命的なのだが、本馬とエアウェーブの2頭は普通ではなかった。本馬は残り3ハロン地点から外側を通って追い上げると、残り1ハロンで先頭に立った。エアウェーブも残り1ハロン地点から爆発的な加速を見せて本馬に迫り、結局はスタートで出遅れた2頭による一騎打ちとなった。最後は本馬がエアウェーブを半馬身差の2着に抑えて勝利を収めた(3着馬はエアウェーブからさらに5馬身後方だった)。

次走は8月にニューマーケット競馬場で行われたリステッド競走スウィートソレラS(T7F)となった。このレースでは前走の未勝利ステークスを5馬身差で勝ち上がってきたジュドホーアが単勝オッズ3.25倍の1番人気に支持され、本馬は単勝オッズ5倍の2番人気だった。レース当日は土砂降りだったため馬場状態はかなり悪化していたが、本馬にはあまり関係なかったようである。道中は馬群の中団好位を進み、残り1ハロン地点からインコースを一気に加速して瞬く間に先頭に立ち、2着サミットヴィルに3馬身差で快勝した。

その後は9月のフィリーズマイル(英GⅠ・T8F)に向かった。スウィートソレラS2着後にメイヒルSを勝ってきたサミットヴィル、チェリーヒントンSの勝ち馬ダズルの娘である1戦1勝馬レインボークイーン、日本国内外で活躍したアグネスデジタルの3歳年下の半妹に当たる1戦1勝馬リーチフォーザムーン、メイヒルSで2着してきたアプローチ、未勝利ステークスを8馬身差で勝ち上がってきたカジュアルルックなどが対戦相手となったが、本馬が単勝オッズ2.1倍の1番人気に支持された。レースではやはり馬群の中団好位を進み、残り2ハロン地点で外側に持ち出してスパートを開始。残り1ハロン地点で先頭に立つと、2着カジュアルルックに1馬身半差をつけて勝利した。

2歳時を3戦全勝で終えた本馬は、マルセルブサック賞・カルヴァドス賞に勝利してカルティエ賞最優秀2歳牝馬を受賞したシックスパーフェクションズと並んで、翌年の英1000ギニーの最有力候補として挙げられた。

競走生活(3歳時)

しかし3歳時は調整が遅れてしまい、英1000ギニー(英GⅠ・T8F)には前哨戦無しで出走する事になった。この年の英1000ギニーは、レース前と後を含めてGⅠ競走の勝ち馬が合計8頭、そのGⅠ競走勝利総数は18勝にも上ることになり、おそらく同競走史上最もハイレベルなメンバー構成となっていた。シックスパーフェクションズを筆頭に、牡馬相手の仏グランクリテリウムでカルティエ賞最優秀2歳牡馬ホールドザットタイガーの1馬身差3着と健闘していたインターコンティネンタル、UAE1000ギニーなど2戦2勝のメゾソプラノ、ロウザーS・プリンセスマーガレットSの勝ち馬でチェヴァリーパークS2着のルシアンリズム、フレッドダーリンSを勝ってきたタントローズ、ネルグウィンSを勝ってきたクルード、チェリーヒントンSの勝ち馬スピノラ、UAE1000ギニー2着馬ゴンフィリア、デビュータントS2着馬イエスタデイ、フィリーズマイル2着後にロックフェルSでも2着していたカジュアルルック、フィリーズマイルで8着に終わっていたサミットヴィルなどが主な出走馬だった。シックスパーフェクションズが単勝オッズ2.75倍の1番人気、本馬が単勝オッズ5倍の2番人気、インターコンティネンタルが単勝オッズ6倍の3番人気、メゾソプラノが単勝オッズ8倍の4番人気、ルシアンリズムが単勝オッズ13倍の5番人気となった。

スタートが切られるとヘクターズガールが先頭に立ち、本馬は例によって馬群の中団につけた。そして残り2ハロン地点で馬群の外側からスパートを開始したのだが、残り1ハロン地点からの伸びが無く、素晴らしい末脚を繰り出して勝ったルシアンリズムから4馬身1/4差の4着に敗れた。2着がシックスパーフェクションズ、3着がインターコンティネンタルで、いずれも後のブリーダーズカップ覇者だった。

その後は愛1000ギニーをスキップして、英オークス直前のコロネーションS(英GⅠ・T8F)に出走した。対戦相手は、同じく英1000ギニーから直行してきたルシアンリズム、ムシドラSの勝ち馬カシス、モイグレアスタッドSの勝ち馬メイルザデザート、独1000ギニーの勝ち馬ディアカダなどだった。ルシアンリズムが単勝オッズ1.57倍の1番人気、本馬が単勝オッズ5.5倍の2番人気、カシスが単勝オッズ11倍の3番人気となった。レースはルシアンリズムが先行して、一方の本馬は後方待機策を選択した。そして残り3ハロン地点で仕掛けると、残り2ハロン地点で内側に切れ込みながらも、先頭に立っていたルシアンリズムを追撃。しかし届かず、1馬身半差の2着に敗れた。

その後は英国を襲った熱波の影響で調整が上手く進まず、結局次走は9月のムーランドロンシャン賞(仏GⅠ・T1600m)となった。この年のムーランドロンシャン賞も同競走史上有数と言えるほど出走メンバーの層が厚かった。前年の仏オークス・オペラ賞の勝ち馬で前走アスタルテ賞を勝ってきたサンタラリ賞・イスパーン賞2着のブライトスカイ、英2000ギニー・愛ナショナルS・デズモンドSの勝ち馬リフューズトゥベンド、前年のBCマイル・ロンポワン賞を勝ちジャックルマロワ賞で2年連続2着していたドームドライヴァー、仏2000ギニー・フォンテーヌブロー賞の勝ち馬クロドヴィル、この年の仏オークス馬ネブラスカトルネード、前走のサセックスSを勝ってきたリールバディ、前年のクイーンエリザベスⅡ世Sの勝ち馬でロッキンジS2着のウェアオアウェン、パース賞・メシドール賞の勝ち馬スペシャルカルドゥーン、コヴェントリーSの勝ち馬でサセックスS2着のスタチューオブリバティ、ミュゲ賞の勝ち馬ダンドゥーン、日本から遠征してきたNHKマイルC・京王杯スプリングCの勝ち馬で前走ジャックルマロワ賞3着のテレグノシス、中山記念・マイラーズCの勝ち馬で宝塚記念・安田記念3着のローエングリンなどが出走しており、本馬を含めてGⅠ競走勝ち馬が9頭もいた。人気もかなり割れたが、ブライトスカイが単勝オッズ3倍の1番人気に支持された。一方の本馬は単勝オッズ17.4倍で8番人気の低評価だった。テレグノシスとローエングリンはいずれも社台レースホースの所有馬だったためにカップリングされて単勝オッズ14倍の5番人気だった。

スタートが切られると、ローエングリンが即座に先頭を奪い、そのまま馬群を牽引。一方の本馬は今回も後方待機策を採った。直線に入ってもローエングリンの逃げ脚は衰えず、そのまま逃げ切りを図った。一方、直線入り口11番手だった本馬はインコースを突いて追い上げてきた。しかし道中は2番手を追走していたネブラスカトルネードが残り200m地点でローエングリンをかわして勝利。ローエングリンは惜しくも半馬身差の2着、さらに1馬身差の3着にブライトスカイが入り、本馬はさらに1馬身半差の4着に終わった。ネブラスカトルネードは3歳牝馬であり、この年の欧州3歳牝馬勢のレベルの高さを証明する形とはなった。

その後は英国に戻って、クイーンエリザベスⅡ世S(英GⅠ・T8F)に出走した。対戦相手はやはりかなり強力であり、ジャパンC・伊共和国大統領賞・ミラノ大賞・イスパーン賞・エクリプスS・英国際Sを勝っていたこの年のカルティエ賞最優秀古馬ファルブラヴ、コロネーションS勝利後に出走したナッソーSも勝っていたルシアンリズム、クイーンアンS・英シャンペンSの勝ち馬ドバイディスティネーション、ムーランドロンシャン賞では6着に終わっていたウェアオアウェン、セレブレーションマイルの勝ち馬で前年のクイーンエリザベスⅡ世S3着のティラーマン、英2000ギニー3着馬ノーズダンサーなどだった。ファルブラヴが単勝オッズ2.5倍の1番人気、ルシアンリズムが単勝オッズ4倍の2番人気、ドバイディスティネーションが単勝オッズ4.5倍の3番人気、デビュー戦から一貫して騎乗してきたアービナ騎手に代わってジェイミー・スペンサー騎手が手綱を取った本馬は単勝オッズ9倍の4番人気だった。鞍上が代わっても本馬の作戦に変更はなく、道中は馬群の後方を追走。そして残り2ハロン地点から追い込む構えを見せた。しかし完全に末脚が不発に終わり、勝ったファルブラヴから6馬身1/4差の5着に敗退。

2着に入ったルシアンリズムとの対戦はこれが最後で、対戦成績は本馬の3戦全敗となってしまった。本馬の3歳時のレースもこれが最後で、この年の成績は4戦未勝利に終わってしまった。

競走生活(4歳時)

3歳限りで競走馬を引退しても不思議ではなかったのだが、陣営は現役続行を選択。翌4歳時は慌てず急がず地道に4月にケンプトンパーク競馬場で行われたリステッド競走フィリーズS(T8F)から始動する事になった。新しく主戦となったジョニー・ムルタ騎手が騎乗する本馬は、単勝オッズ1.36倍という断然の1番人気に支持された。今回も後方待機策を採った本馬は、残り2ハロン地点から内側を突いて進出を開始。逃げていた単勝オッズ15倍の3番人気馬ベネヴェンタを残り1ハロン地点でかわして先頭に立った。ところが本馬に抜かれたベネヴェンタがここから粘りを発揮し、ゴール直前で差し返された本馬は頭差の2着に敗れた。

それから2週間後にはサンダウンパーク競馬場でベットフレッドドットコムマイル(英GⅡ・T8F14Y)に出走。前年の愛2000ギニー馬だがその後は2戦していずれも二桁着順だったインディアンヘイヴン、前年のクイーンエリザベスⅡ世Sで7着に終わっていたノーズダンサー、ミンストレスS・ダイオメドS・アールオブセフトンSの勝ち馬ゲートマン、クレイヴンSの勝ち馬ハリケーンアランなどが出走していたが、本馬が単勝オッズ3.5倍の1番人気に支持された。今回も後方待機策を採り、残り2ハロン地点からスパートを開始。しかし中団から抜け出したハリケーンアランと逃げたゲートマンの2頭に届かず、勝ったハリケーンアランから1馬身1/4差の3着に敗れた。

翌5月には初めて愛国の競馬場に姿を現し、リッジウッドパールS(愛GⅡ・T8F)に出走した。ここでは前年のサンチャリオットSの勝ち馬エコーズインエタニティと人気を二分し、本馬が単勝オッズ2.1倍の1番人気、エコーズインエタニティが単勝オッズ2.75倍の2番人気となった。出走頭数が5頭と少なかったこともあってか、今回は3番手を追走した。そして残り2ハロン地点から加速を始めると、残り1ハロン半地点で突き抜けて先頭に立った後も後続との差を広げ続け、2着リヴァディヤに6馬身差をつけて圧勝。フィリーズマイル以来1年8か月ぶりの勝利の美酒を味わった。

6月のクイーンアンS(英GⅠ・T8F)では、前年の英1000ギニー2着後にジャックルマロワ賞・BCマイルを勝っていたシックスパーフェクションズ、前年のムーランドロンシャン賞で本馬を破って勝利したネブラスカトルネード、ベットフレッドドットコムマイル4着後に出たロッキンジSでルシアンリズムの3/4馬身差3着していたノーズダンサー、前年のムーランドロンシャン賞11着以降に3戦して全て惨敗していたリフューズトゥベンド、伊国のGⅢ競走キウスーラ賞を3連覇した馬で前走ロッキンジS2着のサルスロンなどが対戦相手となった。シックスパーフェクションズが単勝オッズ3.5倍の1番人気、本馬が単勝オッズ7倍の2番人気、ネブラスカトルネードが単勝オッズ8倍の3番人気となった。前走で3番手を進んで圧勝した事が影響したのか、今回の本馬はスタートから先頭を伺う積極策に出た。そして残り1ハロン地点で完全に先頭に立ち、そのまま押し切るかと思われたが、本馬と同じく先行していた単勝オッズ13倍の6番人気馬リフューズトゥベンドにかわされて、首差の2着に敗れた。それでも、ネブラスカトルネード(3着)やシックスパーフェクションズ(6着)に先着し、前年とは実力が逆転している事を示した。

7月のファルマスS(英GⅠ・T8F)では、英1000ギニー・愛1000ギニー・コロネーションS・チェリーヒントンS・クイーンメアリーSなど8戦無敗の成績を誇っていた前年のカルティエ賞最優秀2歳牝馬アトラクション、ウィンザーフォレストS・愛メイトロンSの勝ち馬フェイヴァラブルタームズ、チャートウェルフィリーズSを勝ってきた2戦2勝馬イラストリアスミス、サンドランガン賞を勝ってきたバッカーなどが対戦相手となった。アトラクションが単勝オッズ1.8倍の1番人気、本馬が単勝オッズ3.75倍の2番人気、フェイヴァラブルタームズが単勝オッズ7倍の3番人気となった。

スタートが切られると典型的な逃げ馬だったアトラクションがやはり先頭に立った。一方の本馬は中団待機策を採用した。そして残り2ハロン地点で仕掛けると、残り1ハロン地点でアトラクションに並びかけた。そしてすぐにかわして突き放し、2着アトラクションに2馬身半差をつけて勝利。アトラクションに生涯初めての黒星をつけると同時に、自身1年10か月ぶりとなるGⅠ競走2勝目を挙げた。しかしアトラクションも本馬と同様に脚部不安を抱えながら、過酷な日程を走り続けてきただけに、この時点では本馬とアトラクションの力関係は確定できなかった。

本馬は続いて同月末のサセックスS(英GⅠ・T8F)に出走。クイーンアンSの次走エクリプスSも勝ってGⅠ競走4勝目を挙げていたリフューズトゥベンド、この年の英2000ギニー・クレイヴンSの勝ち馬ハーフド、レイルウェイSの勝ち馬でセントジェームズパレスS3着のアントニウスピウス、チャレンジS・レノックスS2回・ダイオメドSの勝ち馬でモーリスドギース賞・ドバイデューティーフリー3着のナイール、ヴィットリオディカプア賞・伊2000ギニー・ロシェット賞などの勝ち馬レヴェデイコローリ、エッティンゲンレネン・ダイオメドSの勝ち馬でセレブレーションマイル2着のパッシンググランス、クイーンアンSで5着だったティラーマン、同14着に沈んでいたノーズダンサーなどが対戦相手となった。リフューズトゥベンドが単勝オッズ3.75倍の1番人気、本馬が単勝オッズ4倍の2番人気、ハーフドが単勝オッズ5.5倍の3番人気となった。

今回も馬群の中団につけた本馬だったが、仕掛けどころの残り2ハロン地点で馬群に包まれて進路を失ってしまった。しかしすぐに馬群を突破して抜け出すと、残り1ハロン地点で先頭に立ち、後方から追い込んできた2着ナイールに首差で勝利。牡馬混合のGⅠ競走を初めて勝利した。ちなみにリフューズトゥベンドは11着最下位に、ハーフドは9着に壊滅した。また、馬主のエリートレーシングクラブにとっても記念すべき通算200勝目となった。

次走は9月のメイトロンS(愛GⅠ・T8F)となった。ファルマスS2着後に出走したジャックルマロワ賞で10着最下位に終わっていたアトラクション、前年の英1000ギニー8着後に愛1000ギニーを勝ち英オークス・ヴェルメイユ賞・オペラ賞で2着・BCフィリー&メアターフで3着していたイエスタデイ、オークツリーSを勝ってきたファントムウインドなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ1.62倍の1番人気に支持され、前走の大敗で評価を落としたアトラクションは単勝オッズ4.5倍の2番人気、イエスタデイが単勝オッズ8倍の3番人気となった。

スタートが切られると、やはりアトラクションが先頭に立ち、本馬は6頭立ての5番手を進んだ。直線に入ったアトラクションが後続を引き離した時には追いつけるのか不安視されたが、直線に入る手前から加速を開始していた本馬が残り1ハロン地点でアトラクションに追いつくと、粘るアトラクションを半馬身差の2着に抑えて勝利した。

その2週間後にはクイーンエリザベスⅡ世S(英GⅠ・T8F)に出走した。サセックスS11着最下位から直行してきたリフューズトゥベンド、伊ダービー・伊共和国大統領賞・英チャンピオンS・プリンスオブウェールズSを勝ちプリンスオブウェールズS・香港Cで2着など主に10ハロン路線を進んでいたラクティ、ロシェット賞の勝ち馬で仏2000ギニー・セントジェームズパレスS・ムーランドロンシャン賞など4戦連続2着中のダイヤモンドグリーン、サセックスS2着後にセレブレーションマイルでも2着していたナイール、サセックスS4着後にソヴリンSを勝ち英国際S・愛チャンピオンSで2着していたノーズダンサー、デスモンドSなど3戦無敗のエース、サセックスS5着後にムーランドロンシャン賞で3着していたアントニウスピウス、ヴィンテージS・英シャンペンSの勝ち馬ラッキーストーリーなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ3.5倍の1番人気、リフューズトゥベンドが単勝オッズ5倍の2番人気、ラクティが単勝オッズ5.5倍の3番人気となった。今回の本馬は馬群の中団を追走。そして残り2ハロン地点で仕掛けたが、今回は何故か反応が非常に悪く、先頭をひた走るラクティとの差はどんどん開いていった。結局、勝ったラクティから9馬身半差をつけられた6着と完敗してしまった。

どうやらレース中に球節を痛めていたらしく、4歳時はこれが最後のレースとなったが、この年の成績は8戦4勝で、牝馬ながらカルティエ賞最優秀古馬のタイトルを受賞した。

競走生活(5歳時)

5歳時は球節の故障のため現役続行が危ぶまれたが、6月のウィンザーフォレストS(英GⅡ・T8F)で復帰に漕ぎ着けた。プリンセスエリザベスSの勝ち馬でフィリーズマイル・英1000ギニー2着の日本産のサンデーサイレンス産駒サンドロップ、ダリアSの勝利などデビューから6戦5勝2着1回のターファー、本馬とはデビュー戦以来の対戦となるチェヴァリーパークS・テンプルS・リッジウッドパールSの勝ち馬エアウェーブ、プリンセスエリザベスS2着馬ピアリスなどが対戦相手となった。既にこの年1戦していた分だけサンドロップの評価が高く、単勝オッズ2.875倍の1番人気。本馬は単勝オッズ3.5倍の2番人気となった。今回は逃げるサンドロップを見るように先行したものの、ゴール前では脚色が同じになってしまい、先行して抜け出したピアリスとサンドロップの2頭に届かず、勝ったピアリスから3馬身3/4差の3着に敗れた。

次走のファルマスS(英GⅠ・T8F)では、ピアリス、サンドロップに加えて、オペラ賞・香港C・プリティポリーSを勝ち愛1000ギニー・プリティポリーSで2着していたアレクサンダーゴールドラン、ネルグウィンSの勝ち馬でコロネーションS2着のカレンズケイパーが参戦してきた。2連覇がかかる本馬が単勝オッズ2.75倍の1番人気に支持され、アレクサンダーゴールドランが単勝オッズ4.5倍の2番人気、ピアリスが単勝オッズ5倍の3番人気、サンドロップが単勝オッズ7倍の4番人気となった。今回はピアリスが逃げて、サンドロップやアレクサンダーゴールドランがそれを追いかける展開となった。一方の本馬は馬群の中団で脚を溜めていた。ムルタ騎手はぎりぎりまで仕掛けを我慢し、残り1ハロン地点でようやく本馬の脚を解き放った。すると素晴らしい伸びを見せて瞬く間に他馬を抜き去り、2着アレクサンダーゴールドランに2馬身半差をつけて快勝した。

次走のサセックスS(英GⅠ・T8F)では、ジャージーSを勝ってきたプロクラメーション、3戦無敗のスリーピングインディアン、フェアウェイS・フィンクガラSとリステッド競走を2連勝してきたデビッドジュニア、前年のクイーンエリザベスⅡ世Sで4着だったナイール、ミドルパークSの勝ち馬でセントジェームズパレスS2着のアドヴァロレムなどが対戦相手となった。2連覇がかかる本馬が単勝オッズ3倍の1番人気、プロクラメーションが単勝オッズ4倍の2番人気、スリーピングインディアンが単勝オッズ7.5倍の3番人気となった。

今回も後方待機策を採った本馬だったが、残り2ハロン地点でムルタ騎手が仕掛けても反応が悪かった。その隙に本馬と同じく後方にいたプロクラメーションが外側を通って突き抜けていった。本馬は残り1ハロンを切ったところでようやくエンジンがかかり、追い上げてきたが、プロクラメーションに届かずに半馬身差の2着に敗れた。この後に脚に炎症を起こしたために長期休養入りし、5歳時の成績は3戦1勝に留まった。

競走生活(6歳時)

6歳時も現役を続行した。なお、この年はムルタ騎手に代わって、3歳時のクイーンエリザベスⅡ世Sで1度だけ本馬に騎乗経験があったスペンサー騎手が主戦を務めた。

まずは5月のロッキンジS(英GⅠ・T8F)に出走した。前年のファルマスS3着後にサンチャリオットSを勝っていたピアリス、セレブレーションマイル2着馬メジャーズキャスト、ベットフレッドドットコムマイル・ジョエルSの勝ち馬ロブロイ、フォレ賞・レノックスSの勝ち馬コートマスターピースなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ4.5倍の1番人気、ピアリスが単勝オッズ5倍の2番人気、メジャーズキャストとロブロイが並んで単勝オッズ5.5倍の3番人気となった。今回は本馬が先行して、ピアリスが後方を進むという、前年のファルマスSと逆の位置取りとなった。しかし本馬は先行するとやはり本領を発揮できない馬だったようで、残り1ハロン地点から失速。勝ったピアリスから6馬身3/4差の4着に敗れた。

次走のウィンザーフォレストS(英GⅡ・T8F)では、チャートウェルフィリーズS・プリンセスエリザベスSなど3連勝してきたエシュロン、遠征先の米国でガーデンシティBCSを勝っていたルアスラインなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ2.375倍の1番人気、エシュロンが単勝オッズ4倍の2番人気、ルアスラインが単勝オッズ8倍の3番人気となった。今回の本馬はスタートで出遅れてしまい、最後方からの競馬となった。しかし結果的にはそれが良かったようで、残り2ハロン地点で外側を通って追い上げ、残り1ハロン地点で先頭に立ち、2着エシュロンに2馬身差で勝利した。

次走のファルマスS(英GⅠ・T8F)では、フィリーズマイル・コロネーションS・プレステージSの勝ち馬ナンニナ、ロッキンジS勝利後に出たクイーンアンSで4着だったピアリス、メイヒルS・スウィートソレラS・フレッドダーリンSの勝ち馬でフィリーズマイル・英1000ギニー3着のナシージなどが対戦相手となった。3連覇がかかる本馬が単勝オッズ2.2倍の1番人気に支持され、ナンニナが単勝オッズ3倍の2番人気、ピアリスが単勝オッズ5.5倍の3番人気となった。今回も本馬は後方待機策を採り、残り1ハロン地点で満を持して仕掛けた。ところがここからいつもの爆発的な加速力が全く見られず、4馬身差の6着に敗退。勝ったのは単勝オッズ51倍の最低人気馬ラジームだった。

次走のサセックスS(英GⅠ・T8F)では、愛2000ギニー・セントジェームズパレスSを連勝してきたアラーファ、サマーマイルSを勝ってきたエコーオブライト、ロッキンジS3着後にクイーンアンSで2着していたコートマスターピース、仏2000ギニー・タタソールSの勝ち馬オージールールズ、ロッキンジSで6着だったロブロイなどが対戦相手となった。アラーファが単勝オッズ2.1倍の1番人気、エコーオブライトが単勝オッズ5.5倍の2番人気、久々にムルタ騎手とコンビを組んだ本馬が単勝オッズ6.5倍の3番人気となった。レースでは後方待機策を採ったものの、残り3ハロン地点で早くも仕掛けて先行馬勢に詰め寄っていった。そして残り1ハロン地点で2番手に上がったものの、内側を突いて先に抜け出していた単勝オッズ8.5倍の4番人気馬コートマスターピースに届かず、2馬身差の2着に敗れた。

その後は8月末のセレブレーションマイル(英GⅡ・T8F)に向かった。英2000ギニー・愛フェニックスS・愛ナショナルS・レイルウェイSの勝ち馬で愛2000ギニー2着の前年のカルティエ賞最優秀2歳牡馬ジョージワシントン、ミンストレスS・デスモンドSの勝ち馬でフォレ賞2着のカラダク、サセックスSで3着だったロブロイなどが対戦相手となった。ジョージワシントンが単勝オッズ1.83倍の1番人気、スペンサー騎手が鞍上に戻ってきた本馬が単勝オッズ4倍の2番人気、カラダクが単勝オッズ7倍の3番人気となった。ここでも後方待機策を採った本馬だったが、直線で他馬を上回る末脚を披露する事は出来ず、勝ったカラダクから3馬身差の5着に終わった。

次走は9月のサンチャリオットS(英GⅠ・T8F)となった。前年のファルマスS2着後にナッソーS・プリティポリーSを勝ちタタソールズ金杯・ナッソーSで2着していたアレクサンダーゴールドラン、愛メイトロンS・オークツリーSなど7連勝中のレッドエヴィ、この年のファルマスSで本馬に先着する3着に入っていたムジカナ、ブラウンズタウンSの勝ち馬スピニングクイーンの4頭だけが対戦相手となった。アレクサンダーゴールドランが単勝オッズ2.5倍の1番人気、レッドエヴィが単勝オッズ3.25倍の2番人気、3歳時のムーランドロンシャン賞以来のコンビとなるアービナ騎手騎乗の本馬が単勝オッズ5.5倍の3番人気となった。しかしレースは逃げた単勝オッズ13倍の最低人気馬スピニングクイーンがそのまま独走して勝利。本馬は5頭立ての4番手追走から2番手に上がるのが精一杯で、スピニングクイーンから9馬身差をつけられた2着に敗れた。そして翌10月に現役引退が発表され、6歳時の成績は6戦1勝となった。

本馬はデビュー3戦目のフィリーズマイル以降引退まで22戦連続してマイル戦を走っており、陣営の徹底ぶりは相当なものだった。また、英国と愛国以外における出走は一度しかなく、国際的に走る馬が増えてきている傾向が強い近代競馬において、この点も注目に値する。古馬になっても走り続けた本馬だが、脚部不安を抱えており、負担がかかる遠征競馬は行わなかったのかもしれない。周囲の人間からは“Sovie”の愛称で呼ばれていたという。

馬名は母カリンカの名前がロシアの愛唱歌である事に由来するようである。

血統

Marju ラストタイクーン トライマイベスト Northern Dancer Nearctic
Natalma
Sex Appeal Buckpasser
Best in Show
Mill Princess Mill Reef Never Bend
Milan Mill
Irish Lass Sayajirao
Scollata
Flame of Tara アーティアス Round Table Princequillo
Knight's Daughter
Stylish Pattern My Babu
Sunset Gun
Welsh Flame Welsh Pageant Tudor Melody
Picture Light
Electric Flash Crepello
Lightning
Kalinka ソヴィエトスター Nureyev Northern Dancer Nearctic
Natalma
Special Forli
Thong
Veruschka ヴェンチア Relic
Rose O'Lynn
Marie d'Anjou Vandale
Marigold
Tralthee Tromos Busted Crepello
Sans le Sou
Stilvi Derring-Do
Djerella
Swalthee Sword Dancer Sunglow
Highland Fling
Amalthee Right Royal
Azulene

父マルジュはインディジェナスの項を参照。

母カリンカは現役成績12戦1勝。本馬の半妹カザツカ(父グルームダンサー)の子にミスマージュリー【ピナクルS(英GⅢ)】が、全妹シスターアクトの子にリボンズ【ジャンロマネ賞(仏GⅠ)】がいる。カリンカの母トラルジーはロックフェルSの勝ち馬。トラルジーの半姉エパヌイの子にクラブチャンプ【サラナクS(米GⅢ)】、アスクアニタ【イエルバブエナH(米GⅢ)】、孫にミルウォーキーブルー【サンタアニタH(米GⅠ)2回・オハイオダービー(米GⅡ)・カリフォルニアンS(米GⅡ)・マリーンS(加GⅢ)】がいる。→牝系:F20号族②

母父ソヴィエトスターは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬はエリートレーシングクラブ所有のもと、英国カートリントンスタッドで繁殖入りした。ところが9歳時に初子の牡駒ソヴィエトドリーム(父オアシスドリーム)を産んだ以外は不受胎続き。2012年に米国オークロッジスタッドに移動して不妊治療が施され、2014年にようやく2番子となるスパイツタウン牝駒を出産した。ソヴィエトドリームは2戦未勝利に終わっており、今のところ本馬は繁殖牝馬としては成功できていない。

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