サザンヘイロー

和名:サザンヘイロー

英名:Southern Halo

1983年生

鹿毛

父:ヘイロー

母:ノーザンシー

母父:ノーザンダンサー

競走馬としてはステークス競走未勝利の身ながら亜国で種牡馬として記録的大成功を収めた「アルゼンチンのサドラーズウェルズ」

競走成績:2~4歳時に愛米で走り通算成績24戦5勝2着7回3着3回

誕生からデビュー前まで

加国の名馬産家エドワード・P・テイラー氏によりウインドフィールズ牧場の米国メリーランド支場において生産された。1歳7月のキーンランドセールにおいて英ブラッドストックエージェンシー社の愛国支社により60万ドルで購入され、ギリシアの海運王で世界的馬主でもあったスタブロス・スピロス・ニアルコス氏の所有馬となった。

競走生活

2歳時に愛国でデビューしたが、デビュー戦・2戦目のいずれも着外に敗れた。結局この2戦のみで欧州を去り、米国のダレル・ウェイン・ルーカス厩舎に転厩した。

まずは3歳1月にサンタアニタパーク競馬場ダート6ハロンの未勝利戦に出走したが、11馬身3/4差の5着に敗退。僅か1週間後に出走したサンタアニタパーク競馬場ダート6.5ハロンの未勝利戦でも、12馬身差の3着に敗れた。さらに1週間後に出走した2月のサンタアニタパーク競馬場ダート8.5ハロンの未勝利戦では2着。3月に出走したサンタアニタパーク競馬場ダート9ハロンの未勝利戦を8馬身半差で圧勝して勝ち上がった。

その10日後には前走と同コースで行われたブラッドバリーS(D9F)に出走したが、後に日本に種牡馬として輸入されるアイシーグルームから8馬身3/4差をつけられた5着と惨敗。次走は芝のラプエンテS(T9F)となったが、勝ったトリポリショアーズから17馬身3/4差をつけられた7着と、全く結果を出せなかった。5月にハリウッドパーク競馬場で行われたダート8ハロンの一般競走では1馬身半差の2着と好走した。しかしその翌週に出走したスポットライトS(T8.5F)では、5馬身3/4差の6着に敗退。相変わらずステークス競走では勝ち負けに至らなかった。

本馬の能力が徐々に開花し始めたのは6月になってからで、まずはハリウッドパーク競馬場で出走したダート8ハロンの一般競走を4馬身差で快勝した。その翌週に同コースで行われた一般競走も2馬身1/4差で勝利。7月にはシルヴァースクリーンH(GⅡ・D8F)に出走した。このレースには、プリークネスS・ノーフォークS・ハリウッドフューチュリティ・フロリダダービー・サンタアニタダービー・ジャージーダービーなどを勝っていた現役米国最強3歳馬スノーチーフも出走してきた。しかし勝った牝馬メレアから6馬身半差をつけられながらも2着を確保した本馬が、3着スノーチーフに4馬身半差先着した。勝ったメレアはレイルバードS・プリンセスSに続くグレード競走3勝目で、このレースを最後に5戦無敗の成績で競走馬を引退していった。

一方の本馬は7月下旬のスワップスS(GⅠ・D10F)に参戦した。スノーチーフの姿は無く、GⅠ競走勝利の絶好の機会だったのだが、ウィザーズSの勝ち馬でピーターパンS2着のクリアチョイスに頭差で敗れて2着だった。

翌8月にはラホヤマイルH(GⅢ・T8F)に出走したが、勝ったヴァーノンキャッスルから20馬身差をつけられた12着最下位と大惨敗を喫し、以降2度と芝コースを走ることは無かった。

仕切り直しとなったデルマー競馬場ダート7ハロンの一般競走では、鼻差で勝利した。9月のエルカフォンS(D8.5F)では、前年のBCジュヴェナイル・デルマーフューチュリティ・ブリーダーズフューチュリティを勝利してエクリプス賞最優秀2歳牡馬に選ばれたタッソーに屈して、3馬身差の2着に敗れた。

続くスーパーダービー(GⅠ・D10F)でも、ハスケル招待H・トラヴァーズS・レキシントンSの勝ち馬ワイズタイムズという強敵が登場した。レースでは本馬、ワイズタイムズ、セントポールダービーの勝ち馬で前走アーリントンクラシックS3着のチープスケートの3頭がゴール前で大接戦を展開した。しかしワイズタイムズが僅かに抜け出して半馬身差で勝利を収め、本馬とチープスケートは2着同着だった。10月のラウンドテーブルH(D8.5F)で4馬身半差4着に敗れたのが3歳最後のレースとなり、3歳時は17戦4勝の成績となった。

4歳時も現役を続け、2月にサンタアニタパーク競馬場で行われたダート6.5ハロンの一般競走から始動したが、ここでは10馬身1/4差の7着。しかし翌月のサンタアニタパーク競馬場ダート8.5ハロンの一般競走では3馬身差で勝利。続くサンタアニタパーク競馬場ダート8ハロンの一般競走でも首差2着と好走。さらにハリウッドパーク競馬場で出走したダート8ハロンの一般競走では、タッソー、メトロノミックの2頭とゴール前で大接戦に持ち込んだが、他2頭の同着勝利から頭差遅れて3着だった。次走のケンジントンH(D10F)では、4馬身半差の3着に敗退。このレースを最後に、4歳時5戦1勝の成績で競走馬を引退した。

血統

Halo Hail to Reason Turn-to Royal Charger Nearco
Sun Princess
Source Sucree Admiral Drake
Lavendula 
Nothirdchance Blue Swords Blue Larkspur
Flaming Swords 
Galla Colors Sir Gallahad
Rouge et Noir
Cosmah Cosmic Bomb Pharamond Phalaris
Selene
Banish Fear Blue Larkspur
Herodiade
Almahmoud Mahmoud Blenheim
Mah Mahal
Arbitrator Peace Chance
Mother Goose 
Northern Sea Northern Dancer Nearctic Nearco Pharos
Nogara
Lady Angela Hyperion
Sister Sarah
Natalma Native Dancer Polynesian
Geisha
Almahmoud Mahmoud
Arbitrator
Sea Saga Sea-Bird Dan Cupid Native Dancer
Vixenette
Sicalade Sicambre
Marmelade
Shama Bold Ruler Nasrullah
Miss Disco
Lea Lark Bull Lea
Colosseum

ヘイローは当馬の項を参照。

母ノーザンシーは現役成績20戦7勝。2歳時にはマーメイドS・リンウッドSを勝ち、フリゼットS(米GⅠ)・セリマS(米GⅠ)でいずれも2着した。3歳時はテストS(米GⅢ)を勝っている。本馬の半妹エクセレントレディ(父スマーテン)の子にジェネラルチャレンジ【サンタアニタダービー(米GⅠ)・パシフィッククラシックS(米GⅠ)・サンタアニタH(米GⅠ)・サンタカタリナS(米GⅡ)・アファームドH(米GⅢ)】、ノータブルキャリア【オークリーフS(米GⅠ)・ランダルースS(米GⅢ)】、曾孫にイヴニングジュエル【アッシュランドS(米GⅠ)・デルマーオークス(米GⅠ)・ハネムーンH(米GⅡ)・サンクレメンテH(米GⅡ)】が、本馬の半妹ノーザンページェント(父スペクタキュラービッド)の子にスノーダンス【レイクプラシッドH(米GⅡ)・ミセスリヴィアS(米GⅡ)・ニューヨークH(米GⅡ)・パッカーアップS(米GⅢ)・スワニーリヴァーH(米GⅢ)】、孫に日本で走ったケイアイレオーネ【兵庫ジュニアグランプリ(GⅡ)・シリウスS(GⅢ)】、曾孫にウィッシュハピネス【エーデルワイス賞(GⅢ)】、パネギリコ【アメリカ国際大賞(亜GⅠ)】がいる。

ノーザンシーの母シーサガはレディーズHの勝ち馬で、ノーザンシーの半妹キートゥザサガ(父キートゥザミント)【パッカーアップS(米GⅢ)】の孫にはサーボーフォート【サンタアニタH(米GⅠ)】、曾孫には日本で走ったエーシンクールディ【読売レディス杯2回・兵庫サマークイーン賞・秋桜賞・笠松グランプリ2回・くろゆり賞】、エイシンヒカリ【香港C(香GⅠ)・イスパーン賞(仏GⅠ)・毎日王冠(GⅡ)・エプソムC(GⅢ)】がいる。母系を遠く遠く遡ると、無敗の英国三冠馬オーモンドの母リリーアグネスの全妹リジーアグネスに行きつく事ができる。→牝系:F16号族②

母父ノーザンダンサーは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は、ニアルコス氏によって南米に輸出されて、亜国のビスナガ牧場やケブラダ牧場で種牡馬として供用された。彼の地では種牡馬として記録的大成功を収め、1994/95シーズンから2001/02シーズンまでの8季連続に加えて、03/04、07/08シーズンと合計10度の亜首位種牡馬を獲得した。産駒のステークスウイナーは実に170頭以上に上り、GⅠ競走勝ち馬は56頭、チャンピオンクラスの馬は16頭に及ぶ。亜国の大種牡馬として著名なのは20世紀初頭に活躍したコングリーヴ(亜首位種牡馬に7回輝いている)だが、本馬はそれを上回り、亜国史上最大の種牡馬としての名声を確立している。繁殖牝馬の父としても優秀で、2004/05シーズンから12/13シーズンまで9季連続で亜母父首位種牡馬となっている。

亜国の大競走を勝つのは寝ても覚めても本馬の血を引く馬ばかりという状況となり、同じヘイロー産駒であることから、日本では「南半球のサンデーサイレンス」として紹介されることが多い。もちろん、これは日本のみの呼称であり、海外においてそう呼ばれているわけではない。海外における本馬の異名は、クールモアグループの総裁ジョン・マグナー氏が名付けた「アルゼンチンのサドラーズウェルズ」である。なお、本馬はマグナー氏の主導により1990年代から米国ケンタッキー州アッシュフォードスタッドにも何度かシャトルされている。米国でも一定の種牡馬成績を残しているが、亜国ほどの成功を収める事はできず、種牡馬生活後半には米国へのシャトルは打ち切られている。また、2003年に1年だけ日本の静内スタリオンステーションでリース供用され、68頭の繁殖牝馬を集めたが、それほど活躍する馬は出なかった。亜国における活躍馬は短距離から中距離まで幅広く走っているのだが、米国や日本における産駒の傾向からすると、基本的にスピード型のようである。2009年に種牡馬を引退し、その直後11月に老衰による合併症のため、ケブラダ牧場において24歳で他界した。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1989

Gouache

サトゥルニーノJウンスエ大賞(亜GⅠ)・ブエノスアイレス市大賞(亜GⅠ)

1989

Laramie

ブエノスアイレス州賞(亜GⅡ)

1989

Numeraria

ポージャデポトランカス大賞(亜GⅠ)

1989

Orca

ポトランカス大賞(亜GⅠ)・ミルギネアス大賞(亜GⅠ)

1989

Overspeed

エストレージャス大賞ディスタフ(亜GⅠ)

1990

Hangar

ナシオナル大賞(亜GⅠ)

1990

La Costa Azul

ポージャデポトランカス大賞(亜GⅠ)

1990

Southern Filly

ポトランカス大賞(亜GⅠ)

1991

Brisque

ラプラタ市賞(亜GⅠ)

1991

Cadeaux

サトゥルニーノJウンスエ大賞(亜GⅠ)・ホルヘデアトゥーチャ大賞(亜GⅠ)

1991

El Compinche

パレルモ大賞(亜GⅠ)2回・エストレージャス大賞クラシック(亜GⅠ)2回・サンマルティン将軍大賞(亜GⅠ)・アメリカ国際大賞(亜GⅠ)

1991

Rimel

ヒルベルトレレーナ大賞(亜GⅠ)

1991

Rockville

エストレージャス大賞ジュヴェナイル(亜GⅠ)

1991

Wally

ブエノスアイレス市大賞(亜GⅠ)・エストレージャス大賞スプリント(亜GⅠ)3回・マイプ大賞(亜GⅠ)・フェリクスデアルサガウンスエ大賞(亜GⅠ)・スイパチャ大賞(亜GⅠ)

1993

Giulie-Halo

ヒルベルトレレーナ大賞(亜GⅠ)

1993

Southern Spring

ホルヘデアトゥーチャ大賞(亜GⅠ)・エストレージャス大賞ジュヴェナイルフィリーズ(亜GⅠ)・ポージャデポトランカス大賞(亜GⅠ)

1994

Handsome Halo

サンティアゴルーロ大賞(亜GⅠ)・モンテビデオ大賞(亜GⅠ)

1994

Matthis

エストレージャス大賞スプリント(亜GⅠ)

1994

New Heaven

スイパチャ大賞(亜GⅠ)・マイプ大賞(亜GⅠ)

1994

Venusino

スイパチャ大賞(亜GⅠ)

1995

Chevillard

ポージャデポトリジョス大賞(亜GⅠ)・ダルドロチャ大賞(亜GⅠ)

1995

Flirteador

サンマルティン将軍大賞(亜GⅠ)

1995

My Halo

フェリクスデアルサガウンスエ大賞(亜GⅠ)

1995

Sinoptico

ペドロゴエナガ賞(亜GⅡ)・ルイスマリアドエナルド賞(亜GⅢ)・アウグスティンBガンビエル賞(亜GⅢ)

1995

Team

サンティアゴルーロ大賞(亜GⅠ)・モンテビデオ大賞(亜GⅠ)・エストレージャス大賞ジュヴェナイル(亜GⅠ)

1995

Vacacionada

エストレージャス大賞スプリント(亜GⅠ)

1996

Bon Vivant

ホアキンVゴンザレス大賞(亜GⅠ)

1996

Hopetown

イグナシオコレアス大賞(亜GⅠ)

1996

La Galerie

サトゥルニーノJウンスエ大賞(亜GⅠ)

1996

Mi Surena

ヒルベルトレレーナ大賞(亜GⅠ)・エストレージャス大賞ディスタフ(亜GⅠ)

1996

Sun Spring

エストレージャス大賞フニオールスプリント(亜GⅠ)

1996

Taimazov

スイパチャ大賞(亜GⅠ)・エストレージャス大賞スプリント(亜GⅠ)

1996

Venusberg

エストレージャス大賞ジュヴェナイルフィリーズ(亜GⅠ)

1997

Miss Linda

セレクシオン大賞(亜GⅠ)・エンリケアセバル大賞(亜GⅠ)・スピンスターS(米GⅠ)・セイビンH(米GⅢ)

1997

More Than Ready

キングズビショップS(米GⅠ)・サンフォードS(米GⅡ)・ハッチソンS(米GⅡ)・トレモントS(米GⅢ)

1997

Saintly Speech

プリンセスマーガレットS(英GⅢ)

1997

Serenita

サトゥルニーノJウンスエ大賞(亜GⅠ)

1997

Star Cross

サンパスカルH(米GⅡ)

1998

Any for Love

ミルギネアス大賞(亜GⅠ)

1998

First One

マイプ大賞(亜GⅠ)

1998

Ivory Tower

ポトランカス大賞(亜GⅠ)・エストレージャス大賞ジュヴェナイルフィリーズ(亜GⅠ)

1998

Petit Club

サンティアゴルーロ大賞(亜GⅠ)・モンテビデオ大賞(亜GⅠ)・エストレージャス大賞ジュヴェナイル(亜GⅠ)

1998

Sebi Halo

スイパチャ大賞(亜GⅠ)

1999

Jolly

ブエノスアイレス市大賞(亜GⅠ)

1999

Manpower

エストレージャス大賞クラシック(亜GⅠ)

1999

My Lad

ラプラタ市賞(亜GⅠ)

2000

Halo Homewrecker

ベイショアS(米GⅢ)

2000

Halo Ola

エリセオラミレス大賞(亜GⅠ)・ポトランカス大賞(亜GⅠ)・コパデプラタ大賞(亜GⅠ)

2000

Masterpiece

サンイシドロ大賞(亜GⅠ)

2000

Mr. Nancho

パレルモ大賞(亜GⅠ)

2000

South Vagabunda

サトゥルニーノJウンスエ大賞(亜GⅠ)・ホルヘデアトゥーチャ大賞(亜GⅠ)

2001

タイキバカラ

クリスタルC(GⅢ)

2002

Alert

エストレージャス大賞フニオールスプリント(亜GⅠ)

2002

Brooke's Halo

ハリウッドオークス(米GⅡ)

2002

Dubleo

サマーS(加GⅡ)・ジェネラスS(米GⅢ)

2002

Sebastiano

サンティアゴルーロ大賞(亜GⅠ)・モンテビデオ大賞(亜GⅠ)

2002

Thano

サンマルティン将軍大賞(亜GⅠ)

2003

Batallosa

サトゥルニーノJウンスエ大賞(亜GⅠ)・ホルヘデアトゥーチャ大賞(亜GⅠ)

2003

Edenwold

クイーンズプレート

2003

Fairy Magic

エストレージャス大賞クラシック(亜GⅠ)・パレルモ大賞(亜GⅠ)・アメリカ国際大賞(亜GⅠ)

2003

Pryka

マイプ大賞(亜GⅠ)・フェリクスデアルサガウンスエ大賞(亜GⅠ)

2004

Fiesta Lady

セレクシオン大賞(亜GⅠ)

2004

Snapy Halo

エストレージャス大賞マイル(亜GⅠ)

2004

ティムガッド

トウケイニセイ記念(水沢)

2004

フェアリーライド

フローラルC(H3)

2005

My Golan

エクアドル賞(亜GⅡ)

2006

Evocado

モンテビデオ大賞(亜GⅠ)

2007

Star Runner

アルゼンチン共和国大賞(亜GⅠ)・エストレージャス大賞クラシック(亜GⅠ)

2008

Illegally Blonde

マルコスリベーラ賞(亜GⅡ)・ROデルウルグアイ賞(亜GⅢ)

2009

Empress Jackie

ミルギネアス大賞(亜GⅠ)・アンドレスSトーレス賞(亜GⅢ)

2009

Lunasia

ミゲルルイスモラレス賞(亜GⅡ)・クラシコポージャデポトランカス賞(亜GⅡ)

2009

South Berk

ウルグアイ東方共和国賞(亜GⅢ)

TOP