スカイウォーカー

和名:スカイウォーカー

英名:Skywalker

1982年生

黒鹿

父:リローンチ

母:ボールドキャプティヴ

母父:ボールドネシアン

第3回BCクラシックを先行押し切りの競馬で優勝し、マイナー種牡馬だった父リローンチの種牡馬としての名声を高める

競走成績:2~5歳時に米で走り通算成績20戦8勝2着3回3着3回

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州ストーンファームにおいて、同牧場の所有者アーサー・ハンコックⅢ世氏により生産された。ストーンファームは後にサンデーサイレンスが誕生する牧場であり、本馬の母ボールドキャプティヴの所有者はサンデーサイレンスの母ウィッシングウェルの所有者だった石油業者トマス・P・テイサム氏であった。後にセリで売れ残ったサンデーサイレンスの所有をアーサー・ハンコックⅢ世氏から打診されたがそれを拒否するという(結果から見れば)大失策を犯すテイサム氏だが、本馬は普通に所有する事になった(馬主名義はテイサム氏を代表とするオーククリフステーブルとなっている)。

馬名はテイサム氏の息子による命名で、映画スター・ウォーズの主人公ルーク・スカイウォーカーにちなんでいる。管理調教師はマイケル・ウィッティンガム師(サンデーサイレンスを管理する事になるチャールズ・ウィッティンガム師の息子)が務めた。

競走生活(2・3歳時)

2歳11月にハリウッドパーク競馬場で行われたダート8ハロンの未勝利戦でデビューして鼻差で勝ち上がった。その3週間後にはハリウッドフューチュリティ(GⅠ・D8.5F)に挑戦した。このレースには前々走の第1回BCジュヴェナイルフィリーズと前走のハリウッドスターレットSを勝って同年のエクリプス賞最優秀2歳牝馬に選ばれるアウトスタンディングリー、BCジュヴェナイル2着・ヤングアメリカS・シャンペンS3着とGⅠ競走で3度の入着があった実力馬タンクスプロスペクト、エルカミノリアルSの勝ち馬ライトコンなどが出走していた。しかし結果はステファンズオデッセイが勝利を収め、本馬は4馬身1/4差の5着、アウトスタンディングリーはさらに6馬身3/4差の8着と振るわなかった。2歳時の成績は2戦1勝だった。

3歳時は1月にサンタアニタパーク競馬場で行われたダート8.5ハロンの一般競走に出走して、2着ターコマンに2馬身半差で勝利。翌月にはエルカミノリアルダービー(D8.5F)に出走したが、本馬が5着に敗れたハリウッドフューチュリティで4着だったタンクスプロスペクト、同3着だったライトコンの2頭に後れを取って3位入線。しかもダンズディアブロという馬の進路を妨害した咎で4着に降着となった。次走のサンフェリペH(GⅠ・D8.5F)では、ハリウッドフューチュリティで6着に終わっていたイメージオブグレートネスという馬に足元を掬われて鼻差の2着に敗退。

しかしラフィット・ピンカイ・ジュニア騎手が騎乗したサンタアニタダービー(GⅠ・D9F)では、エルカミノリアルダービーから直行してきたタンクスプロスペクト、前走サンフェリペHで3着だったノスタルジアズスター、サンラファエルSの勝ち馬スマーテンアップ、サンラファエルS2着馬ファストアカウントなどを蹴散らし、2着ファストアカウントに鼻差で勝利を収めた。

そこで陣営は本馬をケンタッキーダービー(GⅠ・D10F)に、エディ・デラフーセイ騎手とのコンビで参戦させた。BCジュヴェナイル・ホープフルS・カウディンS・ノーフォークS・フラミンゴS・ブルーグラスS・サラトガスペシャルSを勝っていた前年のエクリプス賞最優秀2歳牡馬チーフズクラウンを筆頭に、アーリントンワシントンフューチュリティ・ガーデンステートSの勝ち馬でヤングアメリカS2着・BCジュヴェナイル3着のスペンドアバック、フロリダダービー・ファウンテンオブユースSの勝ち馬でフラミンゴS・ウッドメモリアル招待S2着のプラウドトゥルース、ゴーサムS・ウッドメモリアルSを連勝してきたエターナルプリンス、サンタアニタダービーで9着最下位に終わった後にアーカンソーダービーを勝ってきたタンクスプロスペクト、ハリウッドフューチュリティ勝利後にレキシントンSを勝ちファウンテンオブユースS2着・フラミンゴS3着のステファンズオデッセイ、サンタアニタダービー2着後にダービートライアルSでも2着していたファストアカウント、エヴァーグレイズSの勝ち馬でローレルフューチュリティ・ウッドメモリアルS3着のローマンルールなどが対戦相手となった。スタートが切られるとスペンドアバックが先頭に立って後続馬群を大きく引き離し、本馬は馬群の中団外側につけた。しかしスペンドアバックの逃げは快調で、三角と四角を回って直線に入ってきてもまだ大きなリードを保っていた。本馬は中団から追い上げたが末脚が不発に終わり、結局逃げ切って勝ったスペンドアバックから11馬身差をつけられた6着に敗れた。その後は米国三冠競走の残り2戦には参戦せず、地元に戻って3歳シーズン後半は全休した。3歳時の成績は5戦2勝だった。

競走生活(4歳時)

復帰したのはケンタッキーダービーから11か月が経過した4歳4月で、サンタアニタパーク競馬場で行われたダート8.5ハロンの一般競走に姿を現した。この復帰初戦は3着だったが、同月末のマーヴィンルロイH(GⅡ・D8F)では、2着サボナに2馬身半差をつけて勝利を収めた。

その後は6月のカリフォルニアンS(GⅠ・D8F)に出走したが、BCスプリント・スワップスS・サンフェルナンドS・チャールズHストラブS・サンラファエルS・デルマー招待H・マリブS・マーヴィンルロイH・サンパスカルH・サンバーナーディノHを勝っていた前年のエクリプス賞最優秀短距離馬プレシジョニスト、サンディエゴHの勝ち馬スーパーダイアモンドの2頭に後れを取り、プレシジョニストの4馬身差3着に敗れた。3週間後のベルエアH(GⅢ・D9F)でも、スーパーダイアモンド、ウィリアムヒルフューチュリティS・サンダウンクラシックトライアルS・リングフィールドダービートライアルSを勝った後に米国に移籍してハリウッドターフカップSを勝っていたアルファベイティム、ニューオーリンズHの勝ち馬でハリウッドダービー・サンタアニタH2着のヘラトの3頭に後れを取り、スーパーダイアモンドの4着に敗れた。

しかし翌7月に出たサンディエゴH(GⅢ・D8.5F)では、前年のサンタアニタダービー3着後に地道に裏街道を走り続けて、チャールズHストラブSを勝ちサンフェルディナンドSで2着していたノスタルジアズスターを1馬身1/4差の2着に破って勝利した。

その後はワシントン州ロングエーカーズ競馬場に向かい、8月のロングエーカーズマイルH(GⅡ・D8F)に出走した。ベルエアHで本馬に先着する3着だったヘラトも出走していたが、本馬が2着ベッドサイドプロミスに首差で勝利した。

次走は10月のカーネルFWケスターH(T8F)だった。このレースはこの年のブリーダーズカップが行われるサンタアニタパーク競馬場の1マイル戦であり、陣営は場合によっては本馬をBCマイルに出走させる事も考えていたのではないだろうか。結果は仏国から米国に移籍していた英チャンピオンS・ジョンヘンリーHの勝ち馬パレスミュージックの頭差2着。

パレスミュージックは前年のBCマイルで降着になったとは言え2位入線した馬であり、好走した部類には入るだろうが、陣営は結局BCマイルではなくBCクラシック(GⅠ・D10F)に本馬を出走させた。対戦相手は、ワイドナーH・マールボロC招待H・オークローンH・アファームドHの勝ち馬でスワップスS・トラヴァーズS・ジョッキークラブ金杯2着・前年のBCクラシック3着のターコマン、カリフォルニアンSで本馬を破った後にウッドワードSを勝ちフィリップHアイズリンH・マールボロCHで2着していたプレシジョニスト、マルセルブサック賞・愛2000ギニー・英チャンピオンSの勝ち馬で英オークス・コロネーションC・エクリプスS・英国際S2着・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS・凱旋門賞3着のトリプティク、ベルエアH2着後にハリウッド金杯で2着していたアルファベイティム、サンディエゴH2着後に一般競走を勝ってきたノスタルジアズスター、この年のケンタッキーダービーでファーディナンドの2着していた仏グランクリテリウム2着の欧州調教馬ボールドアレンジメント、クラークHの勝ち馬ホープフルワード、ロングエーカーズマイルH7着後にメリーランドクラシックを勝ってきたヘラト、シャンペンS・ゴーサムSの勝ち馬でウッドメモリアルS・ジェロームH2着のモガンボ、ドラール賞・リス賞の勝ち馬イアデスの計10頭だった。ターコマンが単勝オッズ2.6倍の1番人気、プレシジョニストが単勝オッズ2.7倍の2番人気と、いずれも過去に1度だけ本馬と対戦経験があるこの2頭に人気が集中しており、勝ったほうがこの年のエクリプス賞年度代表馬を獲得できる状況だった。トリプティクが単勝オッズ11倍の3番人気で、ピンカイ・ジュニア騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ11.1倍の4番人気となった。

スタートが切られると本馬が先頭を伺ったが、プレシジョニストが快速を活かして先頭を奪った。さらにホープフルワードやヘラトも先頭争いに加わってきて、この4頭が先頭を飛ばした。離れた5番手がモガンボで、ターコマンはさらに離れた6番手集団と、かなり縦長の展開となった。三角に入る手前で本馬が先頭に立つと、そのまま一気に後続を引き離して直線を向いた。そして本馬に追いつこうとするプレシジョニストと後方から追い込んできたターコマンを尻目に直線を先頭で走りきり、2着ターコマンに1馬身1/4差、3着プレシジョニストにもさらに1馬身1/4差をつけて優勝。共に勝ちを逃したターコマンとプレシジョニストはエクリプス賞年度代表馬の座も逃す結果となった(受賞したのはレディーズシークレット)。

本馬の4歳シーズンはBCクラシックが最後のレースではなく、翌12月にハリウッドターフC(GⅠ・T12F)に出走した。BCクラシックで5着だった一昨年の同競走の勝ち馬アルファベイティム、デリンズタウンスタッドダービートライアルSの勝ち馬で前走BCターフ2着のシアトリカル、サンタアナH・ゲイムリーH・ラスパルマスH・イエローリボン招待S・バドワイザーミリオン・オークツリー招待Sの勝ち馬で前走BCターフ3着のエストラペイド、リュパン賞・センチュリーH・サンルイレイS・サンフアンカピストラーノ招待Hの勝ち馬で前走BCターフ5着のダハールなどが対戦相手となった。これらの芝巧者相手ではさすがに厳しかったようで、勝ったアルファベイティムから5馬身半差の5着に敗れた。4歳時の成績は9戦4勝だった。

競走生活(5歳時)

翌5歳時も現役を続け、まずは2月のアーケイディアH(GⅡ・D8F)に出走した。ここでは、仏国でダフニ賞を勝ちムーランドロンシャン賞2着などの実績を残した後に米国に移籍してハリウッドダービーを勝っていたスリルショーの半馬身差2着と好走。しかしこの後に長期休養に入った。

10月に復帰すると、サンタアニタパーク競馬場ダート7ハロンの一般競走を勝利。次走のグッドウッドH(GⅢ・D9F)では、前年のケンタッキーダービーを筆頭にハリウッド金杯・マリブSを勝ちプリークネスS・チャールズHストラブS・サンタアニタH2着・ベルモントS・ハリウッドフューチュリティ・サンタアニタダービー・ジョンヘンリーH3着のファーディナンドとの対決となった。しかし127ポンドのトップハンデを背負っていたファーディナンドが、2着となったシルヴァースクリーンHの勝ち馬キャンディーズゴールド(斤量117ポンド)に1馬身差で勝利を収め、123ポンドの本馬はキャンディーズゴールドから3/4馬身差の3着に終わった。

それでも連覇を目指して、ハリウッドパーク競馬場で行われたBCクラシック(GⅠ・D10F)に参戦した。対戦相手は、ファーディナンド、この年のケンタッキーダービー・プリークネスS・スーパーダービーの勝ち馬でハリウッドフューチュリティ・サンフェリペS・ハスケル招待H2着のアリシーバ、ジェロームH・ペンシルヴァニアダービーの勝ち馬でクイーンズプレート・メドウランズCH2着の加国調教馬アフリート、フェイエットSを勝ってきたグッドコマンド、カリフォルニアンS・サンバーナーディノH・ベルエアH・ロングエーカーズマイルHの勝ち馬ジャッジアンジェルーチ、フロリダダービー・ペガサスH・エヴァーグレイズSの勝ち馬でベルモントS・フラミンゴS・トラヴァーズS2着のクリプトクリアランス、ホープフルS・ベルモントフューチュリティS・ウッドメモリアルS・メトロポリタンH・サラトガスペシャルS・ベイショアSなどの勝ち馬でノーフォークS・ホイットニーH・ウッドワードS2着のガルチ、キャンディーズゴールド、前年のBCクラシックで4着だったノスタルジアズスター、同7着だったボールドアレンジメントなどだった。ファーディナンドが単勝オッズ2倍の1番人気、アリシーバが単勝オッズ4.6倍の2番人気、本馬が単勝オッズ9.3倍の3番人気であり、ファーディナンドとアリシーバのいずれか勝ったほうがエクリプス賞年度代表馬を獲得できるという、前年に似た雰囲気が漂っていた。スタートが切られるとジャッジアンジェルーチとキャンディーズゴールドの2頭が先頭を争い、本馬はその2頭の後方の3番手集団につけた。しかし向こう正面の途中から徐々に遅れ始め、レース中盤で既に優勝争いから脱落。勝ったファーディナンドから32馬身半差も離された12着最下位に沈んでしまった。このレースを最後に、5歳時4戦1勝の成績で競走馬を引退した。

血統

Relaunch In Reality Intentionally Intent War Relic
Liz F.
My Recipe Discovery
Perlette
My Dear Girl Rough'n Tumble Free for All
Roused
Iltis War Relic
We Hail
Foggy Note The Axe Mahmoud Blenheim
Mah Mahal
Blackball Shut Out
Big Event
Silver Song Royal Note Spy Song
Penroyal
Beadah Djeddah
Beauty Spot
Bold Captive  Boldnesian Bold Ruler Nasrullah Nearco
Mumtaz Begum
Miss Disco Discovery
Outdone
Alanesian Polynesian Unbreakable
Black Polly
Alablue Blue Larkspur
Double Time
Captive Audience Native Dancer Polynesian Unbreakable
Black Polly
Geisha Discovery
Miyako
Home Port Count Fleet Reigh Count
Quickly
Home-Made Occupy
Plucky Maid

リローンチは当馬の項を参照。

母ボールドキャプティヴは現役成績29戦10勝、リベレーションHを勝っている。繁殖牝馬としては優秀で、本馬の半兄パックマニア(父ラムシンガ)【マリブS(米GⅡ)】、半妹ニド(父ノウンファクト)【ポルトマイヨ賞(仏GⅢ)】も産んでいる。また、本馬の半妹ダンザンテ(父ダンチヒ)の子にはモンザンテ【エディリードH(米GⅠ)】がいる。ボールドキャプティヴの4代母プラッキーメイドの従兄妹にはノーザンダンサーの祖母であるアルマームードがいるが、本馬自身の近親にはあまり大競走の勝ち馬の名は出てこない。→牝系:F2号族①

母父ボールドネシアンはシアトルスルーの項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬はカリフォルニア州カーディフスタッドファームで種牡馬入りした。カリフォルニア州繋養種牡馬としてはかなり大きな成功を収め、1993年のエクリプス賞最優秀古馬牡馬バートランドなど40頭ほどのステークスウイナーを出した。1996年に生まれ故郷のストーンファームに戻って種牡馬生活を続けた。まだ現役種牡馬だった2003年2月に心臓発作のため21歳で他界、遺体はストーンファームに埋葬された。バートランドが後継種牡馬として一定の成功を収め、バートランドの息子オフィサーも種牡馬として健闘し、貴重な本馬の直系を繋いでいる。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1989

Bertrando

ノーフォークS(米GⅠ)・パシフィッククラシックS(米GⅠ)・ウッドワードS(米GⅠ)・デルマーフューチュリティ(米GⅡ)・サンフェリペS(米GⅡ)・サンフェルナンドS(米GⅡ)・グッドウッドH(米GⅡ)

1993

Supercilious

レイルバードS(米GⅡ)

1999

Labamta Babe

サンタカタリナS(米GⅡ)

1999

Sky Terrace

ダービートライアルS(米GⅢ)

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