和名:アルデバラン |
英名:Aldebaran |
1998年生 |
牡 |
鹿毛 |
父:ミスタープロスペクター |
母:チャイムズオブフリーダム |
母父:プライヴェートアカウント |
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典型的な善戦馬から米国短距離王に変身を遂げた大種牡馬ミスタープロスペクター産駒最後のGⅠ競走勝ち馬 |
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競走成績:2~5歳時に英米で走り通算成績25戦8勝2着12回3着3回 |
実力はありながらも勝ちきれない善戦馬というのは、おそらく古今東西どこにでも存在すると思われる。こうした馬はファンの人気を得る事も多いが、結局は大競走勝ちには至らない事例が以前は多かったように思われる(日本におけるホワイトストーン、ナイスネイチャ、ロイスアンドロイスなど)。しかし最近はそうでもなく、GⅠ競走であと一歩足りなかった馬が悲願のGⅠ競走初勝利を挙げる事例が増えているような気がする(2001年のメイショウドトウやステイゴールドあたりからだろうか。シーキングザダイヤのような例外もあるけれども)。
そんな善戦馬から脱却してトップホースに上り詰めた海外の馬の代表例として挙げられるのが本馬である。デビュー18戦目でGⅠ競走を初勝利したが、それまでに2着が11回(うち4回はGⅠ競走)、3着が2回あった。レースぶりは典型的な追い込みであり、安定こそしていたが、前に届かないことが非常に多かった(先行した事もたまにあるが、その場合もゴール前で差されている)。それでも最終的には米国短距離路線のトップホースとなったわけだから、陣営や応援し続けたファンは報われたと言えるだろう。余談だが、日本でいう善戦馬の事を英語圏では“bridesmaid(ブライデスメイド。結婚式で花嫁に付き添う未婚の女性)”というらしく、本馬についてもそのように紹介されている。
誕生からデビュー前まで
ニアルコスファミリーの米国名義フラックスマンホールディングスが生産・所有した米国産馬で、英国ヘンリー・セシル調教師に預けられた。
競走生活(2・3歳時)
その血統の良さから注目を集め、2歳10月にドンカスター競馬場で行われた芝7ハロンの未勝利ステークスにおいて、リチャード・クイン騎手を鞍上にデビューした時は、単勝オッズ3.5倍で21頭立ての1番人気に支持された。スタートはあまり良くなかったが、すぐに馬群にとりつくと、残り1ハロン地点で抜け出して2着テイクトゥタスクに2馬身差で勝利した。
2歳時はこの1戦のみで終え、翌年は5月にドンカスター競馬場で行われたスポンサーシップクラブ条件S(T8F)から始動した。ここでは後のミュゲ賞勝ち馬ダンドゥーンが単勝オッズ2.375倍の1番人気に支持され、本馬は単勝オッズ3.75倍の2番人気だった。レースでは馬群の好位につけ、先行して抜け出したダンドゥーンを追撃したが、1馬身半届かずに2着に敗れた。
続いて出走したリステッド競走ヘロンS(T8F)でも、ダンドゥーンとの顔合わせとなった。ダンドゥーンが単勝オッズ2.1倍の1番人気で、本馬が単勝オッズ3倍の2番人気と、前走以上の一騎打ちムードとなった。前走で届かなかった轍を踏むまいとしたのか、今回の本馬は2番手につける先行策を採った。そして残り2ハロン地点で仕掛けて先頭に立ったのだが、今度は後方待機策を採っていたダンドゥーンに差されて、1馬身3/4差の2着に敗れた。
3歳3戦目となったジャージーS(英GⅢ・T7F)では、愛2000ギニーで2着してきたモーツァルトとの対戦となった。モーツァルトが単勝オッズ2.75倍の1番人気に支持され、本馬は単勝オッズ11倍の5番人気だった。レースではモーツァルトが逃げを打ち、本馬は最後方待機策を採った。そして残り2ハロン地点で仕掛けて猛然と追い上げてきたが、勝ったモーツァルトに首差届かず2着に敗れた。なお、モーツァルトはこの直後にジュライC・ナンソープSを連勝して、この年のカルティエ賞最優秀短距離馬に選ばれることになる。
続いて、ニューベリー競馬場で行われたシステムズバイデザイン条件S(T7F)に出走。ホーリスヒルS・クレイヴンS勝ち馬ユミスティムを抑えて、単勝オッズ2倍の1番人気に支持された。ここでは馬群の中団につけ、さらにいつもより早めに残り3ハロン地点で仕掛けて追い上げていった。しかしスタートから先頭争いを演じてそのまま押し切ったユミスティムに首差届かずに2着に敗退した。
夏場を休養に充て、秋は距離を伸ばしてドンカスター競馬場で行われたジョイUK条件S(T10F)に出た。ここでは過去5戦全てで手綱を取ったクィン騎手からウィリー・ライアン騎手に乗り代わっており、単勝オッズ7倍の3番人気だった。レースではスタートから2番手につけて抜け出そうとしたが、やはり差されて、勝ったラグディンから1馬身1/4差の2着に敗退。これで5戦連続の2着となってしまった。
続くリステッド競走ホームズジョエルS(T8F)では、愛ナショナルSの勝ち馬ベケット、後のゴールデンジュビリーS勝ち馬マルハブ、後のアットザレーシズマイル勝ち馬スワローフライトなどが出走しており、リステッド競走としてはかなりハイレベルな争いとなった。ベケットが単勝オッズ4倍の1番人気に支持され、クィン騎手騎乗の本馬は単勝オッズ7倍の3番人気だった。ここではスタートから先頭争いを演じたが、例によってゴール前で差されて、勝ったベケットから1馬身半差の3着だった。
モーツァルトやベケットと好勝負を演じているわけだから、実力があるのは疑いようが無かったが、このあまりの勝ち切れなさに業を煮やしたらしいニアルコスファミリーは、環境を変えるために本馬を米国ロバート・フランケル厩舎に転厩させた。
移籍初戦は、ベルモントパーク競馬場で行われたナッソーH(T8F)となった。ここでは単勝オッズ5.8倍の4番人気だったが、ホルヘ・シャヴェス騎手を鞍上に、最後方待機策から三角手前で上がっていき、直線途中で先頭に立つと、2着キャプサイズドに3馬身1/4差をつけて勝利した。
この快勝ぶりから、陣営は期待を抱いて本馬を米国西海岸に向かわせ、ハリウッドダービー(米GⅠ・T9F)に出走させた。対戦相手は、本馬の叔父でもある同馬主同厩のフォンテーヌブロー賞勝ち馬デノン、セクレタリアトS勝ち馬スタータック、ベイメドウズダービーを勝ってきたブルーステラー、オハイオダービー勝ち馬ウエスタンプライドなどだった。シャヴェス騎手騎乗の本馬とデノンのカップリングが単勝オッズ2.1倍の1番人気に支持された。ここでも前走同様に最後方待機策を選択。そして徐々に位置取りを上げていったが、やはり対戦相手のレベルが高く、前がなかなか止まらずに5番手で直線を向くことになった。そして直線でも今ひとつ伸びずに、好位から先に抜け出して勝ったデノンから4馬身差の3着に敗れた。
結局3歳時は8戦1勝2着5回3着2回という典型的な善戦馬のまま終わった。
競走生活(4歳時)
4歳時は3月にサンタアニタパーク競馬場で行われたダート7ハロンのオプショナルクレーミング競走から始動(本馬は売却の対象外)。初ダートではあったが、単勝オッズ2.6倍の1番人気に支持された。ケント・デザーモ騎手が騎乗した本馬は、道中で後方2番手を追走し、三角で仕掛けると直線半ばで先頭に立ち、そのまま2着ジミーズィーに3馬身差をつける見事な勝利を収めた。以降は基本的にダート路線を進む事になる。
まずはコモンウェルスBCS(米GⅡ・D7F)に出走して、単勝オッズ2.8倍の1番人気に支持された。スタートが切られると単勝オッズ3.6倍の2番人気だったサンフェルナンドBCS2着馬オリエンテートが逃げを打ち、デザーモ騎手騎乗の本馬は前走と同じく後方2番手につけた。そして三角で仕掛けて上がっていったが、オリエンテートに届かずに1馬身1/4差の2着に敗れた。
続くメトロポリタンH(米GⅠ・D8F)では、前年のヴォスバーグS・シガーマイルHの勝ち馬レフトバンク、サンラファエルS勝ち馬でサンタアニタダービー2着のクラフティシーティー、ヴォスバーグS・シガーマイルH・カーターHとGⅠ競走3勝のアファームドサクセス、エインシェントタイトルBCHの勝ち馬スウェプトオーヴァーボードといった有力馬が対戦相手となった。この年のエクリプス賞最優秀古馬牡馬に選ばれるレフトバンクが単勝オッズ3.2倍の1番人気、クラフティシーティーが単勝オッズ5.2倍の2番人気で、ジェリー・ベイリー騎手騎乗の本馬が単勝オッズ5.3倍の3番人気となった。今回も後方2番手からレースを進めた本馬は、三角手前で仕掛けて3番手で直線に入ってきた。そして先に抜け出したスウェプトオーヴァーボードを追撃したが、その差は縮まらず、4馬身3/4差をつけられて2着に敗れた。
その後は2か月間の休養を経て、サラトガ競馬場ダート7ハロンの一般競走に必勝を期して出走した。単勝オッズ1.65倍の断然人気に支持されたベイリー騎手騎乗の本馬は、やはり後方待機策から追い込んできたが、逃げたヴードゥーに届かず1馬身1/4差の2着に敗れた。
続いて出走したフォアゴーH(米GⅠ・D6.5F)では、前年のBCスプリントを制したスクワートルスクワート、次走のBCスプリントを制することになるオリエンテートとの対戦となり、(後の選出も含めて)エクリプス賞最優秀短距離馬3頭が顔を合わせる事になった。オリエンテートが単勝オッズ2.8倍の1番人気、パット・デイ騎手騎乗の本馬が単勝オッズ2.95倍の2番人気、スクワートルスクワートが単勝オッズ4.4倍の3番人気となった。スタートからスクワートルスクワートとオリエンテートが激しく先頭を争い、本馬は例によって後方2番手につけた。スクワートルスクワートとオリエンテートの争いは三角まで続いたが、四角に入るとオリエンテートが抜け出した。そこへ後方から本馬が追い込んできたが、オリエンテートに届かずに2馬身1/4差の2着だった。
さらにヴォスバーグS(米GⅠ・D7F)に出走。阪神カップHの勝ち馬ボナポー、ヴードゥーが対戦相手となったが、ボナポーを僅差で抑えて単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持された。レースではボナポーが逃げて、ヴードゥーが2番手を追走。デイ騎手騎乗の本馬は中団後方につけた。そして四角で前との差を詰めていき、ヴードゥーを直線半ばでかわしたが、ボナポーはかわせずに2馬身半差の2着に敗退。これで2度目の5戦連続2着という憂き目に遭ってしまった。
その後は久しぶりに芝に戻り、アーリントンパーク競馬場で行われたBCマイル(米GⅠ・T8F)に参戦。このレースでは、仏グランクリテリウム・デューハーストS・英2000ギニー・愛2000ギニー・セントジェームズパレスS・サセックスS・ムーランドロンシャン賞と破竹のGⅠ競走7連勝中だったロックオブジブラルタルが単勝オッズ1.8倍という圧倒的な1番人気に支持されており、シャヴェス騎手騎乗の本馬は単勝オッズ15.9倍の5番人気だった。レースでは単勝オッズ27倍の伏兵ドームドライヴァーが、ロックオブジブラルタルの猛追を凌ぎきって勝利したが、本馬は後方のまま何の見せ場も無く、ドームドライヴァーから13馬身差の11着に終わり、初の惨敗を喫してしまった。
続いて出走したシガーマイルH(米GⅠ・D8F)では、2年前のプリークネスS勝ち馬で前走フォギーロードSを勝ってきたレッドビュレット、クラフティシーティー、ウッドメモリアルS・スワップスS・デルマーBCHの勝ち馬コンガリー、ボナポー、フロリダダービー・ブルーグラスS勝ち馬ハーランズホリデーなどが対戦相手となった。シャヴェス騎手騎乗の本馬は単勝オッズ5.2倍で、単勝オッズ4.25倍のレッドビュレット、単勝オッズ4.4倍のクラフティシーティーに次ぐ3番人気となった。レッドビュレット以外の有力馬勢が前目で走る馬だった事もあってか、今回は馬群の中団好位につけた。そして4番手で直線を向くと、先に抜け出した単勝オッズ5.5倍の4番人気馬コンガリーを追撃。しかし差を縮めるどころか逆に差を広げられてしまい、5馬身半差をつけられた2着に終わった。
4歳時の成績は8戦1勝2着6回(うちGⅠ競走2着が4回)であり、前年同様に善戦馬のままで終わってしまった。
競走生活(5歳時)
5歳時は3月にサンタアニタパーク競馬場で行われたサンカルロスH(米GⅠ・D7F)から始動。シガーマイルHで本馬から首差の3着だったクラフティシーティーが単勝オッズ2.1倍の1番人気に支持され、本馬は単勝オッズ3.4倍の2番人気となった。このレースで本馬に初騎乗したホセ・ヴァルディヴィア・ジュニア騎手は、前の馬から大きく離れた後方2番手を本馬に走らせるという、徹底した後方待機策を採った。そして向こう正面で仕掛けると、直線に入ってすぐに先頭を奪った。あとはゴールまで思い切り走るだけであり、2着クラフティシーティーに5馬身差をつけて圧勝。これで7度目の挑戦にして遂にGⅠ競走初勝利となった。
次走のカーターH(米GⅠ・D8F)では、主戦として固定されるベイリー騎手と3度目のコンビを組んだ。対戦相手はコンガリー、アファームドサクセス、2年前の同競走勝ち馬ピーピングトムなどだった。コンガリーが単勝オッズ1.8倍の断然人気に支持され、本馬が単勝オッズ3.15倍の2番人気となった。レースではアファームドサクセスとコンガリーが先頭争いを演じ、本馬は最後方につけた。そして三角で仕掛けて上がっていったが、またもコンガリーに追いつけず、3馬身半差の2着に敗れた。
次走のチャーチルダウンズH(米GⅡ・D7F)では、カーターHで3着だったピーピングトムが対戦相手となったが、それほど強敵が出走していたわけではなく、本馬が120ポンドのトップハンデながらも単勝オッズ2.3倍の1番人気に支持された。レースではもはや定位置となった感がある後方2番手につけ、三角で仕掛けて四角で位置取りを上げるというお決まりの戦法。そして直線半ばで先頭に立つと、2着パスラッシュに2馬身半差で快勝した。
その後は前年に勝てなかったメトロポリタンH(米GⅠ・D8F)に駒を進めた。コンガリー、ウエストチェスターHを勝ってきたナジュラン、レムセンS勝ち馬サーランド、レキシントンS勝ち馬プラウドシチズン、ピーピングトムなどが対戦相手となった。コンガリーが単勝オッズ1.8倍の1番人気となり、ナジュランが単勝オッズ5.1倍の2番人気、本馬が単勝オッズ5.4倍の3番人気となった。スタートが切られるとコンガリー、ナジュランの2頭が先頭に立ち、本馬は後方2番手につけた。先頭争いを演じた人気馬2頭は四角に入ると揃って失速。それと入れ代わるように後方から上がってきた本馬が直線入り口で先頭を奪った。そこへ最後方を走っていたサーランドが襲い掛かってきた。以前の本馬であれば最後に差されてしまうところだったが、このレースでは最後まで粘り切って首差で勝利。前年までの勝ち切れない姿は影を潜めていた。
次走のスティーヴンフォスターH(米GⅠ・D9F)は、ハリウッドダービー以来の9ハロン戦となった。有力な対戦相手は、ピムリコスペシャルHを勝ってきたこの年のエクリプス賞年度代表馬マインシャフト、レーンズエンドスパイラルS・インディアナダービー勝ち馬パーフェクトドリフトの2頭だった。マインシャフトが単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持され、本馬が単勝オッズ4.2倍の2番人気となった。今回は珍しく馬群の中団好位につけた。おそらくは直前を走っていたマインシャフトとパーフェクトドリフトの2頭を意識した位置取りだったと思われる。向こう正面でマインシャフトが仕掛けると、パーフェクトドリフトがそれを追って上がっていったが、本馬は反応が悪く置いていかれてしまった。それでも直線で末脚を伸ばして3着には入ったが、勝ったパーフェクトドリフトとマインシャフトの一騎打ちからは9馬身半差をつけられていた。もっとも、このレースは距離も長かったし、最初の位置取りも前目だったから、止むを得ない面はあった。
ファンも同感だったのか、次走のトムフールH(米GⅡ・D7F)では、ナジュラン、ノーザンテースト産駒の日本産馬ノーザンロック、ピーピングトムなどを抑えて、単勝オッズ1.95倍の1番人気に支持された。レースでは定位置である後方2番手ではなく、前の馬から大きく離された最後方につけた。しかし向こう正面で加速すると、次々に他馬を抜き去っていき、最後は2着ピーピングトムに2馬身差で快勝した。
次走のフォアゴーH(米GⅠ・D7F)では、リヴァリッジBCS・ドワイヤーS・キングズビショップSの勝ち馬ガイジスターと人気を二分することになった。本馬が単勝オッズ2.6倍の1番人気で、ガイジスターが単勝オッズ2.85倍の2番人気だった。レースではナジュランが先頭に立って逃げ、ガイジスターは中団後方、本馬は最後方につけた。そして四角でガイジスターが先頭のナジュランに詰め寄っていったが、そこへ後方から来た本馬がガイジスターを一気にかわしていった。直線に入ってすぐにナジュランもかわして先頭に立つと、そのまま独走して2着ナジュランに4馬身3/4差をつけて完勝。勝ちタイム1分21秒26はコースレコードだった。
そしてサンタアニタパーク競馬場で行われたBCスプリント(米GⅠ・D6F)に参戦。本馬にとっては欧州時代も含めて過去最短距離の競走となったが、対戦相手は、トゥルーノースBCHなどの勝ち馬シェイクユーダウン、キングズビショップS勝ち馬ヴァリッドビデオ、スウェイルS・ダービートライアルS勝ち馬ミダスアイズ、ラサロバレラ記念S勝ち馬キャプテンスクワイヤ、ポトレログランデBCH勝ち馬ブルースザスタンダード、ケンタッキーカップスプリントSを勝ってきたケイジャンビート、リヴァリッジBCS勝ち馬ポッセなど、本馬が今までに戦ってきた相手に比べれば全体的に小粒であり、本馬が単勝オッズ3.1倍の1番人気に支持された。ところがスタートから行き脚がつかずに、前から大きく離された最後方からの競馬となってしまった。直線入り口でもまだ後方3番手。ここからインコースを追い込んできたが、前が止まらず、勝ったケイジャンビートから5馬身半差の6着と追い込み不発に終わった。
これが現役最後のレースとなったが、この年8戦5勝の成績で、エクリプス賞最優秀短距離馬のタイトルを獲得した。
血統
Mr. Prospector | Raise a Native | Native Dancer | Polynesian | Unbreakable |
Black Polly | ||||
Geisha | Discovery | |||
Miyako | ||||
Raise You | Case Ace | Teddy | ||
Sweetheart | ||||
Lady Glory | American Flag | |||
Beloved | ||||
Gold Digger | Nashua | Nasrullah | Nearco | |
Mumtaz Begum | ||||
Segula | Johnstown | |||
Sekhmet | ||||
Sequence | Count Fleet | Reigh Count | ||
Quickly | ||||
Miss Dogwood | Bull Dog | |||
Myrtlewood | ||||
Chimes of Freedom | Private Account | Damascus | Sword Dancer | Sunglow |
Highland Fling | ||||
Kerala | My Babu | |||
Blade of Time | ||||
Numbered Account | Buckpasser | Tom Fool | ||
Busanda | ||||
Intriguing | Swaps | |||
Glamour | ||||
Aviance | Northfields | Northern Dancer | Nearctic | |
Natalma | ||||
Little Hut | Occupy | |||
Savage Beauty | ||||
Minnie Hauk | Sir Ivor | Sir Gaylord | ||
Attica | ||||
Best in Show | Traffic Judge | |||
Stolen Hour |
父ミスタープロスペクターは当馬の項を参照。なお、本馬はミスタープロスペクター産駒として最後にGⅠ競走に優勝した馬である。
母チャイムズオブフリーダムは現役成績9戦6勝。モイグレアスタッドS(愛GⅠ)・コロネーションS(英GⅠ)・チャイルドS(英GⅡ)・チェリーヒントンS(英GⅢ)を制した名牝。繁殖牝馬としても優れており、本馬の半兄グッドジャーニー(父ヌレイエフ)【アットマイル(加GⅠ)・サイテーションH(米GⅡ)2回・ファイアクラッカーBCH(米GⅡ)】、半妹シーオブシャワーズ(父シアトルスルー)【ジェニーワイリーS(米GⅢ)】も産んでいる。本馬も含めたチャイムズオブフリーダム産駒の活躍馬の父が世界的大種牡馬ばかりなのは、「最高級の繁殖牝馬に最高級の種牡馬をつける」のがニアルコスファミリーの馬産方針であるためだそうである。
チャイムズオブフリーダムの母エイヴィアンスは愛フェニックスS(愛GⅠ)の勝ち馬。母としてはチャイムズオブフリーダムの他に、その半弟で、本馬とハリウッドダービーで戦ったデノン(父プレザントコロニー)【ハリウッドダービー(米GⅠ)・チャールズウィッテンガム記念H(米GⅠ)・ターフクラシック招待S(米GⅠ)・マンハッタンH(米GⅠ)・フォンテーヌブロー賞(仏GⅢ)】も産んでいる。チャイムズオブフリーダムの半妹インパーフェクトサークル(父リヴァーマン)の子にはスピニングワールド【BCマイル(米GⅠ)・愛2000ギニー(愛GⅠ)・ジャックルマロワ賞(仏GⅠ)2回・ムーランドロンシャン賞(仏GⅠ)・ミュゲ賞(仏GⅡ)・サンロマン賞(仏GⅢ)】、孫にはパスフォーク【ナショナルS(愛GⅠ)】が、チャイムズオブフリーダムの全妹ピケトノルの子にはディートリッヒ【バリーオーガンS(愛GⅢ)・キングジョージS(英GⅢ)】が、チャイムズオブフリーダムの半妹リモートロマンス(父アイリッシュリヴァー)の子にはサデックス【ラインラントポカル(独GⅠ)・伊共和国大統領賞(伊GⅠ)・ゲルリング賞(独GⅡ)・シャンティ大賞(仏GⅡ)】がいる。エイヴィアンスの半弟チーフコンテンダーはカドラン賞(仏GⅠ)の勝ち馬。近親には他にも多くの活躍馬が出ている名門牝系である。→牝系:F8号族②
母父プライヴェートアカウントは当馬の項を参照。
競走馬引退後
競走馬を引退した本馬は米国ケンタッキー州ダービーダンファームで種牡馬入りした。4年後の2008年に日本中央競馬会に購入されて日本に輸入され、翌2009年から日本軽種馬協会静内種馬場で供用されている。外国産馬として日本で走ったダノンゴーゴーが2008年のファルコンSを勝ち、NHKマイルCで3着する活躍を見せたため、日本における供用初年度は98頭の繁殖牝馬を集めた。しかし2年目は45頭、3年目は28頭、4年目は23頭、5年目は17頭、6年目は12頭と、その後の交配数は右肩下がりとなっている。産駒は芝とダートを問わず走っている。
主な産駒一覧
生年 |
産駒名 |
勝ち鞍 |
2005 |
Arcadia's Angle |
ポールドムーサック賞(仏GⅢ) |
2005 |
ダノンゴーゴー |
ファルコンS(GⅢ) |
2006 |
Eye of Taurus |
バレービューS(米GⅢ)・アシーニアS(米GⅢ) |
2006 |
Taqarub |
メリーランドスプリントH(米GⅢ) |
2008 |
Mambia |
カルヴァドス賞(仏GⅢ) |
2009 |
Main Sequence |
BCターフ(米GⅠ)・ユナイテッドネーションズS(米GⅠ)・ソードダンサー招待S(米GⅠ)・ジョーハーシュターフクラシック招待S(米GⅠ)・マックディアーミダS(米GⅡ)・リングフィールドダービートライアルS(英GⅢ) |
2010 |
ポセイドン |
サラブレッド大賞典(金沢) |
2010 |
リュウノタケシツウ |
ハヤテスプリント(盛岡) |