デザートキング

和名:デザートキング

英名:Desert King

1994年生

鹿毛

父:デインヒル

母:サバー

母父:ヌレイエフ

大種牡馬デインヒルの欧州における知名度向上と、名伯楽エイダン・オブライエン調教師の雄飛の契機となった愛2000ギニー・愛ダービーの優勝馬

競走成績:2・3歳時に愛英で走り通算成績12戦5勝2着5回

誕生からデビュー前まで

愛国ナショナルスタッドの生産馬で、クールモアグループの総裁ジョン・マグナー氏の盟友マイケル・テイバー氏の所有馬として、愛国エイダン・パトリック・オブライエン調教師に預けられた。愛国ウェックスフォード郡出身のオブライエン師は、愛国の名伯楽ジム・ボルジャー調教師の元で調教助手として学び、後に女性調教師アン・マリー・クローリー師の調教助手となった。そしてクローリー師と結婚した2年後の1993年に自身も調教師資格を取得し、妻の厩舎を受け継いで開業した。この時点で23歳という若さだったが、すぐに障害調教師として名を馳せ、歴史的名障害競走馬イスタブラクなどを手掛けて、1993/94シーズンから1997/98シーズンまで5シーズン連続で愛障害首位調教師を獲得した。

その一方で、愛国を代表する名伯楽だったヴィンセント・オブライエン調教師(彼とは親戚というわけではない)が1994年に引退すると、ヴィンセント・オブライエン師の娘婿であるジョン・マグナー氏に認められてその後任に抜擢され、ヴィンセント・オブライエン師のバリードイル厩舎を受け継いで平地競走にも進出していた。そして有り得ないほど多数の活躍馬を送り出し、今日における欧州競馬をリードする超一流調教師として君臨し続けている。本馬は、そんな彼が最初に手掛けた平地競走における最初の大物競走馬の1頭であり、彼の名声が確立される第一歩ともなった馬である。

競走生活(2歳時)

2歳8月にレパーズタウン競馬場で行われた芝7ハロンの未勝利戦で、主戦となるクリスティ・ロシェ騎手を鞍上にデビュー。単勝オッズ6倍の3番人気での出走となり、結果は単勝オッズ5倍の2番人気馬スウィフトガリヴァーの3馬身半差2着だった。

次走は前走から12日後にカラー競馬場で行われたリステッド競走タイロウスS(T7F)となった。前走で本馬を破ったスウィフトガリヴァーも出走していたが、本馬が単勝オッズ2倍の1番人気に支持され、スウィフトガリヴァーは単勝オッズ4倍の2番人気だった。本馬はスタートから先行して、残り1ハロン地点からはやはり先行していたスウィフトガリヴァーとの一騎打ちとなったが、最後に後れを取って1馬身半差の2着に敗れた。

タイロウスSから11日後には、トレリー競馬場で行われた芝8ハロンの未勝利戦に出走。ここでは単勝オッズ1.8倍の1番人気に応えて、2着となった単勝オッズ11倍の4番人気馬ブラスケットアイランドに3馬身差をつけて勝利した。

次走は約1か月後の愛ナショナルS(愛GⅠ・T7F)となった。ここではさすがに人気は低く、単勝オッズ12倍の8番人気だった。単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持されていたのは、前走ヴィンテージSで2位入線しながら進路妨害で最下位に降着となったサーム(名牝サルサビルの唯一の息子)で、コヴェントリーSを勝ち愛フェニックスSで3着してきたヴェルグラが単勝オッズ5倍の2番人気、愛フューチュリティS3着馬ビューティフルファイアが単勝オッズ6.5倍の3番人気、英ダービー馬ヘンビットの甥に当たる後のGⅢ競走2勝馬ファンタスティックフェローが単勝オッズ8倍の4番人気、レイルウェイSの勝ち馬でコヴェントリーS2着のデイライトインドバイが単勝オッズ9倍の5番人気だった。

スタートが切られると単勝オッズ11倍の6番人気馬リファレンダムが先頭に立ち、このレースだけコンビを組んだウォルター・スウィンバーン騎手が手綱を取る本馬は馬群の中団後方に待機。そして残り2ハロン地点で仕掛けた。残り1ハロン地点でもまだ4番手だったが、残り50ヤードから鋭く追い込み、逃げ切ろうとしていたリファレンダムを首差捕らえて優勝。リファレンダムから1馬身差の3着にはリファレンダムと並んで6番人気だったモイグレアスタッドS3着馬アズラが入り、上位人気5頭は全て着外という波乱の結末となった。なお、オブライエン師にとっては、これが記念すべき初の平地GⅠ競走タイトルとなった。

続いて英国に向かい、デューハーストS(英GⅠ・T7F)に参戦した。モルニ賞・ミドルパークSを連勝してきたバハミアンバウンティと後にチャレンジS・ニアークティックSを勝利するカハルが並んで単勝オッズ4.5倍の1番人気に支持され、本馬が単勝オッズ5倍の3番人気、サラマンドル賞で2着してきたザウエストが単勝オッズ5.5倍の4番人気となった。スタートが切られると単勝オッズ7.5倍の5番人気馬ミュージカルパースートが先頭に立ち、単勝オッズ11倍の6番人気だった英シャンペンS2着・ミドルパークS3着馬インコマンドやカハルがそれを追って先行。本馬やバハミアンバウンティは馬群の中団を追走した。本馬鞍上のロシェ騎手はレース中盤で早めに仕掛けて前との差を詰めていったが、どうも仕掛けが早すぎたようで、残り1ハロン地点から失速。結局レースは先行したインコマンドがゴール直前でミュージカルパースートを頭差かわして勝ち、さらに首差の3着には単勝オッズ51倍の最低人気馬エアエクスプレス(ただし翌年にクイーンエリザベスⅡ世S・伊2000ギニー・独2000ギニーを勝っており実は一流馬だった)が入った。バハミアンバウンティは4着、カハルは5着、本馬はインコマンドから2馬身1/4差の6着に敗退。愛ナショナルSと同じく上位人気勢は総崩れとなったが、本馬の立場は愛ナショナルSと今回では逆だった。

2歳時はこれが最後のレースで、この年の成績は5戦2勝だった。

競走生活(3歳前半)

3歳時は愛2000ギニーを目指して、4月のグラッドネスS(愛GⅢ・T7F)から始動した。ここでは、一昨年のチェヴァリーパークSで2着、前年の愛1000ギニーで3着、英1000ギニーでボスラシャムの4着などの実績があった4歳牝馬マイブランチが単勝オッズ2.375倍の1番人気に支持され、本馬が単勝オッズ4倍の2番人気、コンコルドS2着の実績があった6歳牡馬クールエッジが単勝オッズ7倍の3番人気だった。このレースを勝ったのはクールエッジで、本馬は2馬身半差の2着に敗れた。

それから3週間後にはテトラークS(愛GⅢ・T7F)に出走した。前走グラッドネスSと異なり3歳馬同士の戦いだった。しかし対戦相手が弱いわけではなく、レパーズタウン2000ギニートライアルSを勝ってきたリルズボーイ、レパーズタウン2000ギニートライアルSで2着してきた後のロッキンジSの勝ち馬フライトゥザスターズ、前年の愛フェニックスSで6着に終わっていたヴェルグラ、ジュライSの勝ち馬リッチグラウンド、アングルシーS2着馬シャレモノも出走してきた。128ポンドのトップハンデを課せられた本馬が単勝オッズ3倍の1番人気に支持され、118ポンドのフライトゥザスターズが単勝オッズ3.5倍の2番人気、124ポンドのヴェルグラが単勝オッズ5.5倍の3番人気となった。スタートが切られると単勝オッズ21倍の最低人気馬シャレモノが先頭に立ち、フライトゥザスターズと本馬は揃って2番手を追走した。レース中盤でフライトゥザスターズがシャレモノをかわして先頭に立つと、本馬もシャレモノをかわして2番手に上がった。そして残り2ハロン地点でフライトゥザスターズに並びかけると、残り1ハロン地点から一気に後続を突き放した。最後は2着に追い込んできた単勝オッズ7倍の4番人気馬リッチグラウンドに5馬身半差をつけて圧勝した。

そしてそれから3週間後の愛2000ギニー(愛GⅠ・T8F)へと駒を進めた。対戦相手は、前年にサラマンドル賞・仏グランクリテリウムなど4戦無敗の成績でカルティエ賞最優秀2歳牡馬に選ばれたレヴォーク、前走の条件Sを9馬身差で圧勝してきたホーリスヒルS2着馬ロイヤルアマレット、前走の仏2000ギニーでデイラミの4着だったグリーナムSの勝ち馬ヤレイエタンニー、英オークス・愛ダービーを勝った名牝バランシーンの半弟という良血馬ロマノフ、前走の英2000ギニーでは惨敗していた前年のデューハーストS2着馬ミュージカルパースート、前走4着のヴェルグラ、同6着最下位のシャレモノ、ジェベル賞の勝ち馬ファンタスティックフェローなどだった。前走の英2000ギニーで2着してきたレヴォークが単勝オッズ2.1倍の1番人気に支持され、本馬が単勝オッズ4倍の2番人気、ロイヤルアマレットが単勝オッズ8倍の3番人気、ヤレイエタンニーが単勝オッズ9倍の4番人気となった。

スタートが切られると単勝オッズ101倍の11番人気馬シャレモノが先頭に立って後続を引き離し、レヴォークは好位、本馬はその後方につけた。そして残り2ハロン地点でロシェ騎手が仕掛けると素晴らしい伸びを見せて残り1ハロン半地点では早くも先頭。その後は何も危ない場面は無く、2着に突っ込んできた単勝オッズ34倍の7番人気馬ヴェルグラに3馬身差をつけて完勝した(レヴォークは本馬から10馬身差の6着だった)。同年の愛1000ギニーもクラシックパークで制していたオブライエン師に、愛1000ギニーと愛2000ギニーのダブル勝利をプレゼントした事になり、同師の評価はこれで大きく高まった。

その後は英国に渡って、セントジェームズパレスS(英GⅠ・T8F)に出走した。愛2000ギニーよりも出走馬の層は断然上であり、仏2000ギニー・フォンテーヌブロー賞の勝ち馬でクリテリウムドサンクルー2着のデイラミ、前走の英2000ギニーで3着してきたレーシングポストトロフィー2着馬ポティーン、ジャンプラ賞を勝ってきたスターボロー、ジャンプラ賞2着のママリク、前年のデューハーストS3着後に伊2000ギニー・独2000ギニーを連勝してきたエアエクスプレス、デューハーストSで本馬を破って勝ったインコマンド、後に米国に移籍してブルックリンH・サラトガBCH・マサチューセッツHに勝利するランニングスタッグが参戦してきた。本馬が単勝オッズ3倍の1番人気、デイラミとポティーンが並んで単勝オッズ4.5倍の2番人気、スターボローが単勝オッズ6.5倍の4番人気となった。スタートが切られるとスターボローが先頭に立ち、エアエクスプレスなどが先行。デイラミと本馬は中団につけた。しかし残り2ハロン地点で馬群がごちゃついてしまい、中団待機馬勢は揃って伸びなかった。結局スターボローが2着エアエクスプレスに1馬身差をつけて勝ち、さらに4馬身差の3着がデイラミで、本馬はデイラミから半馬身差の4着に終わった。

その後はセントジェームズパレスSから12日後という強行軍で、愛ダービー(愛GⅠ・T12F)に出走した。リングフィールドダービートライアルSの勝ち馬で英ダービー2着のシルヴァーペイトリアーク、愛1000ギニーで2着してきた同厩馬ストロベリーローン、仏2000ギニー・フォンテーヌブロー賞でいずれもデイラミの2着だったルウソヴァージュ、英ダービーで5着してきたザフライ、名馬エルグランセニョールの甥に当たる3連勝中のドクタージョンソン、ベレスフォードS・ガリニュールSを連勝してきたヨハンクライフ、パークSの勝ち馬トークンジェスチャー、愛2000ギニーから直行してきたヴェルグラなどが対戦相手となった。シルヴァーペイトリアークが単勝オッズ2.25倍の1番人気、名馬ジェネラスの半妹という血統が買われたストロベリーローンが単勝オッズ6倍の2番人気、本馬が単勝オッズ6.5倍の3番人気、ルーソヴァージュが単勝オッズ9倍の4番人気となった。この人気順は血統や実績からくる距離適性の推定が反映されたものだったが、本馬に関しては過密日程も人気を下げる一因となっていたようである。

スタートが切られると単勝オッズ12倍の5番人気馬ザフライが先頭に立ち、シルヴァーペイトリアークなどがそれを追って先行。一方の本馬は今回も馬群の中団に待機した。そして残り3ハロン地点から徐々に加速して直線に入ってきた。そして残り2ハロン地点から本格的にスパートを開始。残り2ハロン地点で先に先頭に立っていた単勝オッズ13倍の6番人気馬ドクタージョンソンを残り1ハロン地点でかわすと、最後は1馬身差をつけて優勝した。愛2000ギニーと愛ダービーを1頭で両方勝つというのは、第二次世界大戦終了前は珍しくなかった(8頭が達成)が、第二次世界大戦後は少なくなり、1964年のサンタクロースと1975年のグランディしか登場していなかった。本馬はグランディ以来22年ぶり史上11頭目の達成であり、そして本馬以降にこの2競走を両方勝った馬は2015年現在1頭も出ていない。

競走生活(3歳後半)

それから4週間後のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDSは自重して、さらに3週間後の英国際S(英GⅠ・T10F85Y)に出走した。僅か4頭立てのレースではあったが、本馬を含む4頭全てが一流馬だった。フィリーズマイル・英1000ギニー・英チャンピオンS・プリンスオブウェールズS・フレッドダーリンS・ブリガディアジェラードSを勝っていた前年のカルティエ賞最優秀3歳牝馬ボスラシャム、ジャパンC・ドバイワールドC・加国際S・コロネーションC・ゴードンリチャーズS・セレクトSを勝っていたシングスピール、英ダービー・ロイヤルロッジS・サンダウンクラシックトライアルSの勝ち馬で前走エクリプスS2着のベニーザディップの3頭が本馬の前に立ち塞がった。ボスラシャムが単勝オッズ1.8倍の1番人気、シングスピールが単勝オッズ5倍の2番人気、ベニーザディップが単勝オッズ5.5倍の3番人気で、このレースだけコンビを組んだマイケル・キネーン騎手騎乗の本馬は単勝オッズ7倍の最低人気で出走することになった。スタートが切られるとベニーザディップが先頭に立ち、シングスピールが2番手、ボスラシャムが3番手、そして本馬が最後方を追走した。直線に入るとシングスピールがベニーザディップをかわして先頭に立った。そこへ最後方から本馬が突っ込んできて、ベニーザディップとボスラシャムの2頭をかわして2番手に上がった。しかし最後までシングスピールには届かず、1馬身半差の2着に敗れた。

次走の愛チャンピオンS(愛GⅠ・T10F)では、英国際Sよりも出走馬の層は薄かったが、超難敵が1頭参戦していた。それは、BCターフ・エクリプスS・バーデン大賞・ブリガディアジェラードS・ロイヤルホイップSの勝ち馬で、凱旋門賞やキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDSでも2着していた、この当時の欧州最強古馬ピルサドスキーだった。ピルサドスキーが単勝オッズ2.25倍の1番人気、本馬が単勝オッズ2.375倍の2番人気、デューハーストS・英シャンペンS・ロンポワン賞・愛国際S・ヴィンテージS・ソラリオSを勝っていた一昨年のカルティエ賞最優秀2歳牡馬アルハースが単勝オッズ10倍の3番人気となった。スタートが切られると、オブライエン師が本馬のために用意したペースメーカー役のノースラウチが速いペースで先頭を飛ばした。ピルサドスキーは4番手の好位につけ、本馬はピルサドスキーをマークするように5番手につけた。そして直線に入る手前で先に仕掛けたピルサドスキーを追いかけるように上がっていった。しかし直線に入るとピルサドスキーに逆に突き放されてしまい、4馬身半差をつけられて2着に敗れた。3着のアルハースには実に14馬身差をつけていたから、実力は証明したとも言えるが、ピルサドスキーには敵わなかった。

このレースの1週間後には愛セントレジャーが行われる事になっており、本馬が出走して勝てば、1935年のミュージアム、1942年のウィンザースリッパーに次ぐ55年ぶり史上3頭目の愛国三冠馬になったのだが、陣営は距離不安を理由として愛セントレジャーへの参戦は当初から眼中にはなかったようである。もっとも、仮に距離に不安がなかったとしても、既に英国三冠以上に有名無実化している愛国三冠を目指した可能性は低いと筆者は思っている。いずれにしても愛セントレジャーには出走せず、愛チャンピオンSが現役最後のレースとなった。3歳時の成績は7戦3勝だった。

血統

デインヒル Danzig Northern Dancer Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Pas de Nom Admiral's Voyage Crafty Admiral
Olympia Lou
Petitioner Petition
Steady Aim
Razyana His Majesty Ribot Tenerani
Romanella
Flower Bowl Alibhai
Flower Bed
Spring Adieu Buckpasser Tom Fool
Busanda
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Sabaah Nureyev Northern Dancer Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Special Forli Aristophanes
Trevisa
Thong Nantallah
Rough Shod
Dish Dash Bustino Busted Crepello
Sans le Sou
Ship Yard Doutelle
Paving Stone
Loose Cover ヴェンチア Relic
Rose O'Lynn
Nymphet Nearula
Circassia

デインヒルは当馬の項を参照。本馬の登場以前はどちらかと言えば欧州よりも豪州における活躍馬が目立っていたのだが、本馬の活躍により欧州でも注目が集まり、本馬が競走馬を引退した翌1998年にデインヒルのところに集まった繁殖牝馬が翌年に産んだ子の中から、ロックオブジブラルタル、ファインモーション、ウェスターナーなどが登場している。

母サバーは、リブルスデールS(英GⅡ)を勝ちヨークシャーオークス(英GⅠ)で3着した名牝ディッシュダッシュの娘だが、競走馬としては4戦未勝利に終わった。サバーは繁殖牝馬としては活躍し、本馬の半弟ケアディー(父ダルシャーン)【ムーアズブリッジS(愛GⅢ)】も産んでいる。また、本馬の半妹ドーンアタック(父ファンタスティックライト)の子には、クルーシャル【シュウェッパーヴェッセンスS(豪GⅢ)】、ハザード【デーンリッパーS(豪GⅡ)・プラウドミスS(豪GⅢ)】、ジャヴァ【マンフレッドS(豪GⅢ)】、アンテルキャン【エミレーツエアラインプレート(豪GⅢ)】がいる。サバーの半弟にはマルーフ(父ダンチヒ)【クイーンエリザベスⅡ世S(英GⅠ)・ヴィンテージS(英GⅢ)】がいる他、サバーの半妹アーダーブ(父ラーイ)の子にはコールウッドダンサー【ナッソーS(加GⅡ)】、コントルダンス【伊オークス(伊GⅡ)】もいる。

近親と言うには少々遠いが、同じ牝系には、ドントフォーゲットミー【英2000ギニー(英GⅠ)・愛2000ギニー(愛GⅠ)】、パワーズコート【タタソールズ金杯(愛GⅠ)・アーリントンミリオンS(米GⅠ)】、フランケル【英2000ギニー(英GⅠ)・デューハーストS(英GⅠ)・セントジェームズパレスS(英GⅠ)・サセックスS(英GⅠ)2回・クイーンエリザベスⅡ世S(英GⅠ)・ロッキンジS(英GⅠ)・クイーンアンS(英GⅠ)・英国際S(英GⅠ)・英チャンピオンS(英GⅠ)】とノーブルミッション【タタソールズ金杯(愛GⅠ)・サンクルー大賞(仏GⅠ)・英チャンピオンS(英GⅠ)】の兄弟などの名前も見られる。→牝系:F1号族⑥

母父ヌレイエフは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は愛国クールモアスタッドで種牡馬入りした。2002年には日本にリースされ、イーストスタッドで2006年まで供用された。また、豪州にも頻繁にシャトルされている。両親ともにノーザンダンサー直系の本馬は、ノーザンダンサー3×3の濃いインブリードがあり、配合的難しさはあったようだが、当初の種牡馬成績はかなり好調だった。

産駒は豪州の女傑マカイビーディーヴァのような長距離馬から2歳戦で活躍する早熟の快速馬まで様々なタイプがいたが、どちらかと言えば長距離戦の活躍馬が目立った。ただ、産駒のステークスウイナーは27頭ほどとそれほど多くは無い。しかもここ数年は殆ど活躍馬が出ておらず、種付け料も現在は1万豪ドルを大きく割り込んでいる状態で、既に過去の種牡馬扱いされているようである。

なお、日本では1年目の2002年が148頭、2年目は97頭、3年目は104頭、4年目は97頭、5年目の2006年が58頭と、毎年のように一定数の交配数が確保されていたが、結局のところ1頭の重賞勝ち馬を出すことも出来ず、全日本種牡馬ランキングでは2008年の75位が最高という結果に終わった。マカイビーディーヴァも日本遠征では結果を残せなかったし、日本には不適合だったのだろうか。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1999

Makybe Diva

メルボルンC(豪GⅠ)3回・コックスプレート(豪GⅠ)・AJCシドニーC(豪GⅠ)・オーストラリアンC(豪GⅠ)・ザBMW(豪GⅠ)・VRCクイーンエリザベスS(豪GⅡ)・メムジーS(豪GⅡ)・ターンブルS(豪GⅡ)

1999

Maranilla

メツレル春季賞(独GⅢ)・ワルターJヤコブスレネン(独GⅢ)

1999

Mr. Dinos

ロワイヤルオーク賞(仏GⅠ)・アスコット金杯(英GⅠ)・ヘンリーⅡ世S(英GⅡ)・ベルトゥー賞(仏GⅢ)

1999

Place Rouge

ランカシャーオークス(英GⅢ)

2000

Desert War

AJCエプソムH(豪GⅠ)2回・チッピングノートンS(豪GⅠ)・マッキノンS(豪GⅠ)・ランヴェットS(豪GⅠ)・AJCクイーンエリザベスS(豪GⅠ)・ヒルS(豪GⅡ)2回・アポロS(豪GⅡ)

2000

Rageman

パース賞(仏GⅢ)

2001

Bygone Days

ベンティンクS(英GⅢ)

2001

Darsalam

バイエルン大賞(独GⅠ)・独セントレジャー(独GⅡ)・オーリアンダーレネン(独GⅢ)

2001

Lachlan River

クイーンズランドダービー(豪GⅠ)

2002

Alpacco

ワルターニールセンズミネロップ(那GⅢ)

2002

Chelsea Rose

モイグレアスタッドS(愛GⅠ)

2002

North Queen

ワルターJヤコブス牝馬賞(独GⅢ)

2010

Real Love

パースC(豪GⅡ)・クイーンズC(豪GⅢ)・アジアンボウS(豪GⅢ)

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