コナゴールド

和名:コナゴールド

英名:Kona Gold

1994年生

鹿毛

父:ジャワゴールド

母:ダブルサンライズ

母父:スルーオゴールド

BCスプリントに5年連続出走し6歳時に同レースを制覇と息の長い活躍を示した名短距離馬だが競走馬引退後の余生は短かった

競走成績:4~9歳時に米で走り通算成績30戦14勝2着7回3着2回

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州トワイライトファームにおいてカルロス・ペレス氏により生産され、1歳9月のキーンランドセールにおいてブルース・ヘッドリー調教師により3万5千ドルで購入され、ヘッドリー師、アーウィン・モラスキー氏、アンドリュー・モラスキー氏、マイケル・シン氏の共同所有馬となった。ヘッドリー師によりカリフォルニア州で調教を受けたが、仕上がりが非常に遅く、ヘッドリー師はとても根気良く本馬を育成する必要があった。しかも膝の剥離骨折などの故障もあり、2・3歳時は1度もレースに出ることが出来なかった。

競走生活(4歳時)

4歳5月にハリウッドパーク競馬場で行われたダート6.5ハロンの未勝利戦で、クリス・マッキャロン騎手を鞍上にデビューした。ここではアレックス・ソリス騎手が騎乗するリーガルサンダーが単勝オッズ1.5倍の1番人気に支持されており、本馬は単勝オッズ6.3倍の2番人気だった。レースでは好位を進んで直線で追い上げたが、勝ったリーガルサンダーから7馬身差をつけられた2着に敗れた。

2か月後にデルマー競馬場で行われたダート6.5ハロンの未勝利戦が2戦目となった。ここでは前走でリーガルサンダーに騎乗していたソリス騎手とコンビを組み、単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持された。そして3番手を先行すると四角で先頭に立ち、そのまま後続をどんどん引き離して、2着コミックトリックに15馬身差をつけて大圧勝。この後は、ソリス騎手が本馬の主戦として固定されることになる。

8月にデルマー競馬場で行われたダート6ハロンの一般競走では、単勝オッズ1.4倍の1番人気に支持された。そして2番手追走から四角で先頭に立ち、直線で後続を引き離すという前走と似たようなレースぶりで、2着ブラスアンバサダーに7馬身差をつけて圧勝した。

次走は9月に同コースで行われたオプショナルクレーミング競走(本馬は売却の対象外)となり、ここでも単勝オッズ1.3倍の1番人気に支持された。今回はペースが遅かった事もあり、スタート直後から先頭に立つと、そのままゴールまで先頭で走り抜けて、2着ヴィーナスジーナスに6馬身半差をつけて圧勝した。

10月にはエインシャントタイトルBCH(GⅢ・D6F)に出走した。アグリームHの勝ち馬エーピーアセイ、ビングクロスビーH・ロサンゼルスHの勝ち馬ゴールドランド、トリプルベンド招待BCH2着馬ジエクセターマン、ベストパルS・パットオブライエンHの勝ち馬オールドトッパー、ラスシエネガスH・ハリウッドターフイクスプレスH・ランチョベルナルドHの勝ち馬アドヴァンシングスターなどが対戦相手となった。過去3戦の内容から既に本馬はかなりの注目馬であり、単勝オッズ2.3倍の1番人気に支持された。エーピーアセイが単勝オッズ5.3倍の2番人気、ゴールドランドが単勝オッズ6倍の3番人気だった。しかしここでは今までとは違う他馬勢のペースに戸惑ったのか付いていけずに後方2番手を走ることになり、直線で何とか追い上げてくるも、ゴールドランドの2馬身1/4差5着に敗退した。

しかしそれでも陣営は一線級相手でも勝負になると踏んだようで、続いてケンタッキー州に向かい、チャーチルダウンズ競馬場で行われたBCスプリント(GⅠ・D6F)に果敢に参戦した。対戦相手は、フォアゴーH・ヴォスバーグSを勝ってきたアファームドサクセス、カーターH・メトロポリタンH・ケンタッキーCクラシックHの勝ち馬ワイルドラッシュ、ケンタッキーCスプリントS勝ちなど5戦4勝のリレイズ、ゴールドランド、前走2着のエーピーアセイ、フェニックスBCSを勝ってきたパートナーズヒーロー、ベルモントフューチュリティS・シャンペンS・ピーターパンSの勝ち馬グランドスラムなどだった。アファームドサクセスが単勝オッズ3.5倍の1番人気、ワイルドラッシュが単勝オッズ3.8倍の2番人気、リレイズが単勝オッズ4.8倍の3番人気、ゴールドランドが単勝オッズ7.8倍の4番人気、エーピーアセイが単勝オッズ14.9倍の5番人気となった。本馬はステークス競走未勝利の身ではあったが、デルマー競馬場における3連勝の印象が強烈だったのか、単勝オッズ17.8倍で14頭立ての6番人気と穴馬としての評価を受けた。

スタートが切られるとリレイズが逃げを打ち、本馬は馬群の好位集団につけた。そして直線に入ると先頭のリレイズを追撃したが、その差を縮めることは出来ず、ゴール直前で単勝オッズ33.2倍の9番人気馬グランドスラムに差されて、リレイズの2馬身差3着に敗れた。それでも前走で敗れたゴールドランド(4着)やエーピーアセイ(5着)に先着しており、今後の飛躍が期待できる内容だった事は確かだった。4歳時の成績は6戦3勝だった。

競走生活(5歳時)

5歳時は1月早々にサンタアニタパーク競馬場で行われたエルコネホH(D5.5F)から始動した。カリフォルニアスプリントCSH・カリフォルニアカップスプリントH・オントラストHなど5連勝中の上がり馬ビッグジャグ、ロサンゼルスHの2着馬ミスターダブルダウンなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ2倍の1番人気に支持され、ビッグジャグが単勝オッズ4倍の2番人気となった。ここでは2番手追走から四角で先頭に立って押し切るという得意のレースぶりで、2着ビッグジャグに2馬身1/4差をつけて、1分01秒6のコースレコードを樹立して快勝した。

次走のパロスヴェルデスH(GⅡ・D6F)では、単勝オッズ1.3倍の1番人気に支持された。しかしビッグジャグより5ポンド重い121ポンドのトップハンデが響いたのか、スタートから逃げを打つも、ゴール直前で単勝オッズ4.2倍の2番人気だったビッグジャグに差されて頭差2着に惜敗した。それでも、3着となったハリウッドフューチュリティの勝ち馬スイスヨーデラーには8馬身差をつけていた。

3月のサンカルロスH(GⅡ・D7F)では、ビッグジャグ、マリブSの勝ち馬ロードグリロ、メドウランズCH・モルソンエクスポートミリオン・デルマーBCHの勝ち馬ドラマティックゴールドなどが対戦相手となった。前走より斤量差は縮まっていたが、やはりビッグジャグより2ポンド重い120ポンドのトップハンデを課せられた。本馬が単勝オッズ2.1倍の1番人気、ビッグジャグが単勝オッズ3.9倍の2番人気、ロードグリロが単勝オッズ4.2倍の3番人気となった。レースは単勝オッズ8.5倍の4番人気馬ドラマティックゴールドが逃げを打ち、本馬が2番手、少し離れた3番手にビッグジャグがつけた。そして直線ではこの3頭が横一線となって三つ巴の勝負となったが、最後はビッグジャグが勝ち、本馬は半馬身差の2着に惜敗した。

その後は7か月間休養し、10月のエインシャントタイトルBCH(GⅡ・D6F)で復帰した。好敵手ビッグジャグはいなかったが、ベイメドウズBCスプリントHで3着してきたレキシコン、未勝利戦で本馬を圧倒したパットオブライエンHの勝ち馬リーガルサンダー、後にハリウッド金杯を勝つアーリーパイオニアなどが対戦相手となった。120ポンドのトップハンデでも本馬が単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持され、116ポンドのレキシコンが単勝オッズ4.2倍の2番人気、117ポンドのリーガルサンダーが単勝オッズ5.1倍の3番人気となった。本馬はスタートから逃げるレキシコンを2番手で追撃。直線入り口ではいったんレキシコンに並びかけたのだが、ここから4ポンドの斤量差が響いたのか逆に離されてしまい、レキシコンの2馬身差2着に敗れた。

続いてフロリダ州に向かい、ガルフストリームパーク競馬場で行われたBCスプリント(GⅠ・D6F)に参戦した。この年の対戦相手は、カーターH・ヴォスバーグH・フォレストヒルズHなどの勝ち馬アータックス、ドワイヤーS・キングズビショップSの勝ち馬フォレストリー、ジュライC・ナンソープSを勝ってこの年のカルティエ賞最優秀短距離馬に選ばれるストラヴィンスキー、ファウンテンオブユースS・フロリダダービーの勝ち馬ヴィカー、ウィザーズS・ケンタッキーCスプリントSなどの勝ち馬サクセスフルアピール、ポトレログランデBCH・ベイメドウズBCスプリントHを勝っていたビッグジャグ、レキシコン、前年のBCスプリントで6着後にシガーマイルH・カーターH・トムフールH・フォアゴーHで2着していたアファームドサクセスなどだった。アータックスとフォレストリーが並んで単勝オッズ4.7倍の1番人気に支持され、ストラヴィンスキーが単勝オッズ5.8倍の2番人気、本馬が単勝オッズ8.7倍の4番人気となった。

スタートが切られるとアータックスが逃げを打ち、本馬は馬群の中団好位を追走した。そして四角で内側を突いて進出すると、直線では直前を行くアータックスを懸命に追撃した。しかしその差は縮まりそうで縮まらず、1分07秒89というBCスプリント史上最速タイムで駆け抜けたアータックスの半馬身差2着に敗れた。5歳時は6戦1勝2着5回と勝ち切れない年となった。

競走生活(6歳時)

しかし6歳になった本馬は遂に本格化する。まず1月のパロスヴェルデスH(GⅡ・D6F)から始動した。BCスプリントで本馬から2馬身3/4差の3着だったビッグジャグ、エルコネホHを勝ってきたフリースプール、オールドトッパーなどが対戦相手となった。121ポンドの本馬が単勝オッズ2.1倍の1番人気、同斤量のビッグジャグが単勝オッズ3.3倍の2番人気、115ポンドのフリースプールが単勝オッズ3.9倍の3番人気となった。レースはフリースプールが先頭に立ち、オールドトッパーが2番手、本馬が3番手で、ビッグジャグはかなり離れた4番手を追走した。直線に入るとすぐに本馬がフリースプールをかわして先頭に立ち、そして2着ビッグジャグの追い上げを2馬身差で完封した。

次走のサンカルロスH(GⅡ・D7F)では、ポトレログランデBCH・トリプルベンドBCH・ビングクロスビーBCH・ロサンゼルスHを勝っていた同厩馬サンオブアピストル、オールドトッパー、デルマーBCHの勝ち馬ホーリーコームなどが対戦相手となった。122ポンドの本馬と117ポンドのサンオブアピストルのカップリングが単勝オッズ1.4倍の1番人気に支持された。ここではスタートから先頭に立って逃げた本馬だったが、5ポンドのハンデを与えたサンオブアピストルにゴール直前でかわされて鼻差の2着に惜敗した。

次走のポトレログランデBCH(GⅡ・D6.5F)では、レキシコン、オールドトッパー、ユアヘイローの3頭のみが対戦相手となった。122ポンドのトップハンデを課された本馬が単勝オッズ1.7倍の1番人気で、117ポンドのレキシコンが単勝オッズ2.7倍の2番人気、116ポンドのオールドトッパーが単勝オッズ7.9倍の3番人気となった。レースではレキシコンが単騎の逃げに持ち込み、本馬は少し離れた2番手を追走。そして四角でレキシコンをかわすとそのまま直線を独走し、2着オールドトッパーに4馬身半差をつけて圧勝した。

その後は短い休養を経て、7月のビングクロスビーBCH(GⅡ・D6F)に出走した。サンオブアピストル、レキシコンに加えて、マリブSの勝ち馬ラヴザットジャズなどが対戦相手となった。123ポンドの本馬と118ポンドのサンオブアピストルのカップリングが単勝オッズ1.6倍の1番人気に支持され、117ポンドのレキシコンが単勝オッズ2.8倍の2番人気、118ポンドのラヴザットジャズが単勝オッズ6.5倍の3番人気となった。レースではレキシコンが逃げを打ち、本馬は少し離れた3番手を追走。そして四角で先頭に並びかけたところに、後方から来たラヴザットジャズが並びかけてきた。そして直線では2頭の一騎打ちとなったが、ラヴザットジャズより5ポンド重い斤量を背負っていた本馬が競り勝ち、3/4馬身差で勝利した。

その後は10月のエインシャントタイトルH(GⅡ・D6F)に向かった。対戦相手は、トリプルベンドBCHの勝ち馬エラボレイト、リーガルサンダーなど3頭のみだった。本馬が他馬勢より7~10ポンド重いトップハンデでも単勝オッズ1.3倍の1番人気に支持され、116ポンドのエラボレイトが単勝オッズ5.1倍の2番人気、117ポンドのリーガルサンダーが単勝オッズ8.6倍の3番人気となった。本馬は今回も2番手追走から四角先頭で押し切るという十八番の走りを披露し、2着リーガルサンダーに3馬身差をつけて楽勝した。

そしてチャーチルダウンズ競馬場に向かい、3度目のBCスプリント(GⅠ・D6F)に臨んだ。この年の対戦相手は、ケンタッキーCスプリントSなど3連勝中のコーラーワン、キングズビショップS・ハッチソンSの勝ち馬でヴォスバーグS2着のモアザンレディ、ヴォスバーグS・リヴァリッジS・トムフールHなどの勝ち馬トリッピ、フェニックスBCSを勝ってきたファイヴスターデイ、フォレストヒルズHを勝ってきたデラウェアタウンシップ、アリスティデスHの勝ち馬ベットオンサンシャイン、アルフレッドGヴァンダービルトHを勝っていたサクセスフルアピール、テストS・バレリーナH・ギャラントブルームHを勝ってきたドリームシュプリーム、サンタモニカH・サンタイネスS・ディスタフBCH・アグリームHの勝ち馬オネストレディ、エラボレイト、それに日本から遠征してきたアベイドロンシャン賞・ジュライCの勝ち馬アグネスワールドなどだった。このメンバーの中で、単勝オッズ2.7倍で堂々の1番人気に支持されたのは他ならぬ本馬だった。コーラーワンが単勝オッズ5倍の2番人気、モアザンレディが単勝オッズ6倍の3番人気、トリッピが単勝オッズ9.9倍の4番人気と続き、アグネスワールドは単勝オッズ20.7倍の7番人気だった。

スタートが切られるとコーラーワンが逃げを打ち、本馬はコーラーワンを射程圏内に捉えた位置取りの4~5番手を追走。そして四角で少し位置取りを上げて、2番手で直線を向くと、逃げるコーラーワンを追撃。前2年は逃げ馬を捕らえ切れずに終わったが、この年は一完歩ずつ差を縮め、残り1ハロンを切った辺りで遂にコーラーワンを捕らえて先頭に立った。そこへ後方から単勝オッズ32.3倍の11番人気馬オネストレディと、単勝オッズ21.2倍の8番人気馬ベットオンサンシャインの人気薄馬2頭が猛然と追い込んできた。しかし何とか凌ぎ切った本馬が、2着オネストレディに半馬身差をつけ、1分07秒77のコースレコード(前年のアータックスの勝ちタイム1分07秒89より速く、BCスプリント史上最速タイムでもあった)で優勝した(アグネスワールドは8着だった)。

3度目の正直で悲願を達成すると共に、この年6戦5勝2着1回の好成績で、エクリプス賞最優秀短距離馬のタイトルをも獲得した。年度代表馬の候補にも挙がったが、これはティズナウの次点だった。

競走生活(7歳時)

翌7歳時は、3月のサンカルロスH(GⅠ・D7F)から始動した。サンオブアピストル、サンフェルナンドS・サンパスカルHの勝ち馬ディキシードットコム、リーガルサンダーなどが対戦相手となった。本馬には他馬勢よりも9~14ポンドも重い125ポンドのトップハンデが課せられたが、それでも114ポンドのサンオブアピストルとのカップリングで単勝オッズ1.3倍の1番人気に支持された。116ポンドのディキシードットコムが単勝オッズ6.3倍の2番人気で、113ポンドの軽量が評価されたブレイドプロスペクターという馬が単勝オッズ7倍の3番人気となった。レースではブレイドプロスペクターとサンオブアピストルが先頭争いを演じ、本馬はそれを見るように3番手につけた。そして直線入り口で先頭に立つと、逃げ粘った2着ブレイドプロスペクターに2馬身差をつけて、2つ目のGⅠ競走タイトルを手にした。

次走のポトレログランデBCH(GⅡ・D6.5F)では、エクスプリシット、ホーリーコーム、ロマンゾの3頭のみが対戦相手だった。本馬には他馬勢より10~12ポンド重い126ポンドのトップハンデが課せられたが、それでも単勝オッズ1.3倍の1番人気に支持された。116ポンドのエクスプリシットが単勝オッズ5.6倍の2番人気、115ポンドのロマンゾが単勝オッズ6.7倍の3番人気、114ポンドのホーリーコームが単勝オッズ9倍の4番人気だった。スタートが切られるとエクスプリシットが猛然と先頭を奪い、ホーリーコームが少し離れた2番手、本馬は3番手につけた。直線に入るとホーリーコームと本馬が先頭に並びかけ、そのままこの2頭の一騎打ちとなった。しかし最後はホーリーコームより12ポンド重い斤量の本馬が首差で競り勝ち、2連覇を果たした。

次走はこれも2連覇がかかるビングクロスビーBCH(GⅡ・D6F)となった。ここには、ホーリーコームのほかに、ドバイゴールデンシャヒーン・ロサンゼルスHを連勝してきたコーラーワン、サンミゲルSの勝ち馬スウェプトオーヴァーボードの姿もあった。126ポンドの本馬が単勝オッズ1.9倍の1番人気、124ポンドのコーラーワンが単勝オッズ2.5倍の2番人気、115ポンドのスウェプトオーヴァーボードが単勝オッズ5.4倍の3番人気となった。レースではやはりコーラーワンが逃げを打ち、本馬が2番手につけた。そのままの態勢で直線に入ると、本馬がコーラーワンに並びかけ、徐々に前に出た。後方からはスウェプトオーヴァーボードもやってきたが、これも前2頭に追いつくほどの勢いは無く、本馬が2着コーラーワンに3/4馬身差で勝利を収めた。

次走は、この年からGⅠ競走に昇格したエインシャントタイトルBCH(GⅠ・D6F)となった。スウェプトオーヴァーボード、フリースプール、レキシコンなどが対戦相手となったが、本馬が単勝オッズ1.6倍の1番人気に支持された。しかしこのレースにおける本馬の斤量は127ポンドで、他馬勢より10~12ポンド重かった。そのためかスタートからあまり行き脚が良くなく、馬群の中団を追走することになった。それでも直線入り口ではいったん先頭に立ったのだが、後方から来た単勝オッズ4.6倍の2番人気馬スウェプトオーヴァーボードに並ぶ間もなくかわされて2馬身半差の2着に敗れてしまい、連勝は8でストップした。

次走はベルモントパーク競馬場で行われたBCスプリント(GⅠ・D6F)となった。この年の対戦相手は、シガーマイルH・デルマーBCH2連覇・パットオブライエンH勝ちなど9戦7勝のエルコレドール、スウェプトオーヴァーボード、ヴォスバーグSを勝ってきたレフトバンク、キングズビショップSを勝ちヴォスバーグSで2着してきたスクワートルスクワート、フォアゴーH・フォレストヒルズHを勝ってきたデラウェアタウンシップ、コーラーワン、ジュライC・ナンソープSを勝ってこの年のカルティエ賞最優秀短距離馬に選ばれるモーツァルト、プライオレスS勝ちなど20戦17勝の成績を誇った3歳牝馬エクストラヒートなどだった。本馬が単勝オッズ4.5倍で前年に引き続き1番人気に支持され、エルコレドールが単勝オッズ5.4倍の2番人気、スウェプトオーヴァーボードが単勝オッズ5.9倍の3番人気、レフトバンクが単勝オッズ9.9倍の4番人気、スクワートルスクワートが単勝オッズ10.6倍の5番人気と続いた。本馬はスタート直後こそ好位集団に付けたが、しばらくしてまるで故障したかと思われるほど一気に位置取りが下がってしまった。故障したわけではなかったようで、レース後半に若干盛り返してきたが、最後まで勝ち負けに絡む事が出来ず、スクワートルスクワートの4馬身差7着に終わった。

そのまま米国東海岸に留まり、FJフランシス記念ダッシュ(GⅠ・D6F)に出走した。前走2着のエクストラヒート、同3着のコーラーワン、同6着のデラウェアタウンシップなども出走してきた。別定重量戦のためハンデ戦ほどの斤量差に悩まされる必要が無かったが、それでもデラウェアタウンシップと並んでトップハンデの125ポンドが課せられた。本馬が単勝オッズ3.1倍の1番人気に支持され、115ポンドのエクストラヒートが単勝オッズ3.7倍の2番人気、122ポンドのコーラーワンが単勝オッズ4倍の3番人気、デラウェアタウンシップが単勝オッズ4.4倍の4番人気となった。しかし本馬はここでも行き脚が悪く、馬群の中団を追走した。そして直線に入っても伸びは無く、デラウェアタウンシップの3馬身3/4差4着に敗れた。7歳時の成績は6戦3勝だった。

競走生活(8歳時)

通常ならばここで引退してもおかしくないところだが、騙馬である本馬に種牡馬入りの道はなく、8歳時も現役を続行。半年ぶりのレースとなる6月のロサンゼルスH(GⅢ・D6F)で復帰した。これといった対戦相手はいなかったため、単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持された本馬の敵は、休み明けと、他馬勢より9~12ポンド重い125ポンドのトップハンデだった。ここでも本馬は行き脚が悪く、馬群の中団につけることになった。それでも今回は四角で先頭に並びかけると、2着ノーアーミスティスに1馬身1/4差で勝利を収め、ひとまず健在ぶりを示した。

次走は7月のトリプルベンドBCH(GⅡ・D7F)となった。ここでは、ベイメドウズBCスプリントHの勝ち馬メロウフェロー、スウェイルS・チャーチルダウンズHの勝ち馬ドワイルドキャット、パレロワイヤル賞の勝ち馬ブルエアフォース、マリブS3着馬アイラヴシルヴァーなどが対戦相手となった。本馬の斤量は126ポンドで、他馬勢より6~13ポンド重かったが、それでも単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持された。近走は最初に行き脚が付かない事が多かったためか、ここではスタートから押して先頭争いに参加した。しかしそれが逆に仇となったのか、直線に入ると失速。逃げ切って勝った単勝オッズ17.5倍の6番人気馬ディスタービングザピースから6馬身3/4差をつけられた6着に敗退してしまった。

その後はぶっつけ本番で、アーリントンパーク競馬場で行われたBCスプリント(GⅠ・D6F)に参戦した。この年の対戦相手は、フォアゴーH・アルフレッドGヴァンダービルトHなど4連勝中のオリエンテート、ヴォスバーグSの勝ち馬ボナポウ、メトロポリタンHを勝っていたスウェプトオーヴァーボード、相変わらず数多くの勝ち星を重ねていたエクストラヒート、サンタモニカH・ポトレログランデBCH・ランチョベルナルドH・エインシェントタイトルBCHを勝ってきたカルーカンクイーン、ビングクロスビーBCH・パットオブライエンHの勝ちを上乗せしていたディスタービングザピースなどだった。オリエンテートが単勝オッズ3.7倍の1番人気、ボナポウが単勝オッズ5.6倍の2番人気、スウェプトオーヴァーボードが単勝オッズ6.4倍の3番人気、エクストラヒートが単勝オッズ7.4倍の4番人気で、過去2年連続1番人気だった本馬は単勝オッズ8.3倍の5番人気と評価を下げていた。そして本馬は前年の同競走以上に行き脚が悪く、スタート直後から後方の位置取りとなった。直線入り口でもまだ後方であり、大外から末脚を伸ばしたが、勝ったオリエンテートから3馬身1/4差の4着に終わった。このレースを含む近走のレース内容からすると、スピード能力が衰えたというよりも、反応がずぶくなっているような印象を受ける。8歳時の成績は3戦1勝だった。

競走生活(9歳時)

9歳時も現役を続け、元日にサンタアニタパーク競馬場で行われたエルコネジョH(GⅢ・D5.5F)に出走。フォレストヒルズHを勝っていたアバンサド、ノーアーミスティス、ベイショアSの勝ち馬ローマンダンサー、メロウフェローなどが出走してきたが、他馬勢より6~12ポンド重い123ポンドの本馬が単勝オッズ2.3倍の1番人気に支持された。今回も本馬はスタート直後から最後方だった。そして直線入り口でも後方だったが、ここから差し切って、2着ラジアータに首差で勝利。9歳馬によるグレード競走勝利を飾った。

次走のパロスヴェルデスH(GⅡ・D6F)では、ディスタービングザピース、アバンサド、ドワイルドキャット、メロウフェロー、ラジアータの5頭が対戦相手となった。相変わらず本馬は他馬勢より4~9ポンド重い124ポンドのトップハンデだったが、単勝オッズ2.4倍の1番人気に支持された。ここでは後方2番手を進み、四角で先頭に並びかけようとしたが、直線に入ると失速。逃げ切って勝った単勝オッズ7.5倍の3番人気馬アバンサドから6馬身1/4差の6着最下位に終わった。

次走のポトレドグランデBCH(GⅡ・D6.5F)では、少し斤量が下がったものの、他馬勢より3~12ポンド重い121ポンドのトップハンデだった。それでも、3連勝中のブルースザスタンダード、ドワイルドキャットなどを抑えて単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持された。ソリス騎手が同日のドバイミーティングに参加したため、このレースに限り本馬にはコーリー・ナカタニ騎手が騎乗した。レースでは後方2番手から直線で末脚を伸ばすも、逃げ切った単勝オッズ3.2倍の2番人気馬ブルースザスタンダードの2馬身半差3着に敗退した。

7月のビングクロスビーBCH(GⅡ・D6F)では、斤量が119ポンドまで下がった。しかしさすがに近走の状況では1番人気にならず、単勝オッズ4.5倍の2番人気だった。対戦相手は、単勝オッズ3.1倍の1番人気に推されていたラサロバレラ記念Sの勝ち馬キャプテンスクイーア、カウントフリートスプリントHの勝ち馬ボウズタウン、アバンサド、ディスタービングザピース、ブルースザスタンダードなどだった。例によってスタート直後に最後方だった本馬は、直線でも伸びずに、勝った単勝オッズ6.1倍の3番人気馬ボウズタウンの4馬身3/4差5着に敗退。ここで遂に長い競走生活にピリオドを打った。9歳時の成績は4戦1勝だった。

本馬はBCスプリントに5回出走しているが、ブリーダーズカップ勝ち馬の中で、ブリーダーズカップに5回出走した経歴を有するのは本馬とBCグランドナショナルを5連覇したマックダイナモの2頭のみである。

血統

Java Gold Key to the Mint Graustark Ribot Tenerani
Romanella
Flower Bowl Alibhai
Flower Bed
Key Bridge Princequillo Prince Rose
Cosquilla
Blue Banner War Admiral
Risque Blue
Javamine Nijinsky Northern Dancer Nearctic
Natalma
Flaming Page Bull Page
Flaring Top
Dusky Evening Tim Tam Tom Fool
Two Lea
Home by Dark Hill Prince
Sunday Evening
Double Sunrise Slew o'Gold Seattle Slew Bold Reasoning Boldnesian
Reason to Earn
My Charmer Poker
Fair Charmer
Alluvial Buckpasser Tom Fool
Busanda
Bayou Hill Prince
Bourtai
How High The Moon Majestic Light Majestic Prince Raise a Native
Gay Hostess
Irradiate Ribot
High Voltage
Clear Ceiling Bold Ruler Nasrullah
Miss Disco
Grey Flight Mahmoud
Planetoid

父ジャワゴールドはキートゥザミント産駒で、現役成績は15戦9勝。米国三冠競走には不参戦だったが、レムセンS(米GⅠ)・ホイットニーH(米GⅠ)・マールボロC招待H(米GⅠ)・トラヴァーズS(米GⅠ)を制した実力馬だった。

母ダブルサンライズは現役成績3戦未勝利。ダブルサンライズの母ハウハイザムーンの半姉にはクイックアズライトニング【英1000ギニー(英GⅠ)・フィリーズマイル(英GⅢ)】が、全兄にはストラトスフェリク【カンデラブラS(英GⅢ)】がいる。また、ハウハイザムーンの全姉インフィニットの曾孫にはホットチャチャ【クイーンエリザベスⅡ世CCS(米GⅠ)】が、ハウハイザムーンの半姉ピュアプロフィットの子にはエデュケイティドリスク【フリゼットS(米GⅠ)・トップフライトH(米GⅠ)】と米国顕彰馬インサイドインフォメーション【BCディスタフ(米GⅠ)・アッシュランドS(米GⅠ)・エイコーンS(米GⅠ)・シュヴィーH(米GⅠ)・ラフィアンH(米GⅠ)・スピンスターS(米GⅠ)】の姉妹が、インサイドインフォメーションの子にはスマッグラー【マザーグースS(米GⅠ)・CCAオークス(米GⅠ)】がいる。同じ母系からは、本馬と何度か対戦経験があるコーラーワン【ドバイゴールデンシャヒーン(首GⅠ)】など、多くの活躍馬が出ている(ハウハイザムーンの従姉妹の孫がコーラーワン)。→牝系:F5号族③

母父スルーオゴールドは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は、6戦5勝と相性が良かったデルマー競馬場で引退式を行い、その後はヘッドリー師が所有する南カリフォルニアの牧場で愛玩用の馬として数年間を過ごした。2007年11月、前月に他界したジョンヘンリーの後釜としてケンタッキーホースパークに迎え入れられた。ケンタッキーホースパークでは、シガーが使用していた馬屋が与えられ(シガーはジョンヘンリーが使用していた馬屋に移動)、以降はそこで余生を送った。

少々やんちゃだが温和な性格の本馬は、ケンタッキーホースパークの重役ジョン・ニコルソン氏を始めとする牧場スタッフや訪問者達からとても愛されていたが、2009年9月、牧場内でBCマイル2勝のダホスと一緒に放牧されていた際に躓いて左前脚を骨折したために安楽死の措置が執られた。15歳という年齢は、当時ケンタッキーホースパークに繋養されていた名馬達の中では2番目に若かった。

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