和名:キャロルハウス |
英名:Carroll House |
1985年生 |
牡 |
栗毛 |
父:ロードゲイル |
母:テュナ |
母父:シルバーシャーク |
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伊国や独国のレースで地道に力をつけて重馬場となった凱旋門賞を制して欧州競馬の頂点に立った力馬だが日本の馬場には適合できず |
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競走成績:2~5歳時に英仏伊独愛日で走り通算成績20戦7勝2着1回3着6回 |
誕生からデビュー前まで
P・クラーク夫人により生産された愛国産馬で、1歳時のセリにおいて1万5千ギニーで取引された。翌年には再度売りに出され、不動産開発業者のジェラルド・ジョン・ハワード・キャロル氏により3万2千ギニーで購入された。キャロル氏はその当時の英国における最大の家族経営企業だったキャロルグループの代表者であり、グループ名にちなんで本馬を命名し、英国マイケル・ジャーヴィス調教師に預けた。
競走生活(2・3歳時)
2歳9月にニューマーケット競馬場で行われた芝8ハロンの未勝利ステークスでデビューしたが、勝ったチーフモールから2馬身差の4着に敗退。翌月にニューベリー競馬場で行われたワコムS(T8F)が2戦目となった。ここでは重馬場の中を2着デヴィズスに1馬身差で勝ち上がった。2歳時の成績は2戦1勝に過ぎなかったが、英タイムフォーム社は「距離が伸びればもっと多くのレースに勝てるはずで、翌3歳時にはきっと有力馬になるでしょう」と本馬の将来を予想している。
3歳時は4月にニューマーケット競馬場で行われたフェリデンS(T9F)から始動した。主戦となるブルース・レイモンド騎手が騎乗した本馬は、単勝オッズ2.5倍のヴィンテージSの勝ち馬アンダーカット、単勝オッズ3.25倍のケファに次いで、単勝オッズ6倍の3番人気とそれなりの評価を受けたが、馬群の中団後方から伸びずに、勝ったケファから5馬身差、2着アンダーカットから2馬身差の3着に敗れた。
その後、渡仏して出走したオカール賞(仏GⅡ・T2400m)では、クリテリウムドサンクルー2着馬で後の仏ダービー馬アワーズアフター(7着)には先着したものの、後に米国に移籍してGⅠ競走を4勝するナスルエルアラブから9馬身半差、2着となったノアイユ賞の勝ち馬ネリオから3馬身半差の3着に敗れた。
英国や仏国では実力が一歩足りないと判断されたらしい本馬はこの後、伊国・独国を転戦する。まずは伊ダービー(GⅠ・T2400m)に向かい、重馬場にも助けられて、ティスランの短頭差2着と好走した(3着馬サウジデザートは6馬身後方だった)。このレースの後、本馬は伊国の馬主アントニオ・バルザリーニ氏により購入された。
いったん英国に戻って6月のコールウェルシュダービーS(T12F)に出走。ここでは僅か3頭立てとなった事もあって単勝オッズ1.57倍の1番人気に支持されると、スタートから積極的に先頭争いに参加し、そのまま押し切って2着ゴールデンウェーヴに1馬身半差で勝利した。
すぐに独国に移動して、前走から10日後のベルリン銀行大賞(独GⅠ・T2400m)に参戦。先頭でゴールインしたのだが、レース後の審議で進路妨害を咎められ、ヘリコンの3着に降着となってしまった。
短い休養を挟み、8月にバーデンバーデン競馬場で行われたファーステンバークレネン(独GⅢ・T2200m)に出走して、2着ダルガンに1馬身半差で勝利。次走のバーデン大賞(独GⅠ・T2400m)では、本馬の得意な重馬場となった事もあり、3番手追走から残り200m地点で先頭に立ち、2着ヘリコンに3馬身半差をつけてGⅠ競走勝ち馬となった。
再び伊国に戻り、伊ジョッキークラブ大賞(伊GⅠ・T2400m)に出走した。ここでは、前走の凱旋門賞を筆頭に伊共和国大統領賞2回・ミラノ大賞2回・伊ジョッキークラブ大賞を勝っていた伊国最強馬トニービンとの対戦となった。しかし勝ったのは3歳馬ローアカラッドで、トニービンは1馬身差の2着、本馬はトニービンから2馬身差の3着だった。次走のローマ賞(伊GⅠ・T2000m)でも、イタリア大賞を勝ってきた3歳馬ウェルシュガイドの5馬身3/4差4着に敗れた。伊ジョッキークラブ大賞とローマ賞はいずれも本馬の得意な重馬場だったが結果を出せなかったのは、おそらく疲労が溜まっていたためであり、この後休養入りした。3歳時の成績は9戦3勝だった。
競走生活(4歳時)
4歳時は戦いの場を英国に戻し、4月のゴードンリチャーズS(英GⅢ・T10F)から始動した。仏オークス・サンタラリ賞・愛チャンピオンS・英チャンピオンSとGⅠ競走4勝の名牝インディアンスキマーを筆頭に、前走ジョンポーターSでアンフワインの2着してきたパークワド、英国際S・ロジャーズ金杯・ダルマイヤー大賞の勝ち馬シェイディハイツ、ウィリアムヒルフューチュリティSの勝ち馬エムソン、後に伊共和国大統領賞・ミラノ大賞・カールトンFバークHとGⅠ競走を3勝するアルワウーシュなどが対戦相手となり、本馬は単勝オッズ34倍で9頭立ての7番人気という低評価だった。初コンビとなるウォルター・スウィンバーン騎手が騎乗した本馬は、先行して2番手で直線に入り、残り2ハロン地点で先頭に立って粘り込みを図ったが、ゴール直前でインディアンスキマーとパークワドの2頭に差されて、インディアンスキマーから半馬身差の3着に敗れた。しかし低評価を覆す好走ではあった。
次走のタタソールズ金杯(愛GⅡ・T10F)では、GⅠ競走勝ち馬である本馬は130ポンドのトップハンデでの出走となった。それもあって単勝オッズ7倍の3番人気止まりであり、レースでもイルドシフルの4馬身半差3着と完敗した。次走のプリンセスオブウェールズS(英GⅡ・T12F)では、カンバーランドロッジS・ハードウィックSを勝ってきたアサティス、後の英セントレジャー馬ミケロッツォ、豪州GⅠ競走タンクレッドSやハードウィックSなど4戦連続2着中のトップクラスなど4頭が対戦相手となった。アサティスが単勝オッズ1.36倍の1番人気に支持される一方で、単勝オッズ11倍の本馬は5頭立て4番人気の低評価だった。しかも本馬が得意とは言えない良馬場だったが、先行して残り3ハロン地点で先頭に立つと、猛追してきたアサティスを抑え切り、2着アサティスに首差、3着ミケロッツォにはさらに3馬身差をつけて勝利した。
さらに11日後には、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS(英GⅠ・T12F)に参戦した。対戦相手は、英2000ギニー・英ダービー・エクリプスSなど5戦全勝のナシュワン、リングフィールドダービートライアルS・キングエドワードⅦ世Sの勝ち馬で英ダービー3着のカコイーシーズ、コロネーションC・サンクルー大賞を連勝してきたシェリフズスター、プリンセスオブウェールズSで5着最下位だったトップクラスなど6頭だった。ナシュワンが単勝オッズ1.22倍という断然の1番人気に支持され、カコイーシーズが単勝オッズ7倍の2番人気、シェリフズスターが単勝オッズ11倍の3番人気で、本馬は4番人気ながらも単勝オッズは34倍という伏兵扱いだった。レースではトップクラスと共に積極的に先頭を伺ったが、本馬にとっては苦手な堅良馬場でレースが行われた事もあり、直線に入ると失速。カコイーシーズとの叩き合いを制して勝ったナシュワンから11馬身半差をつけられた5着に終わり、トップクラス(3着)やシェリフズスター(4着)にも先着を許した。
その後は愛チャンピオンS(愛GⅠ・T10F)に向かった。デューハーストS・ウィリアムヒルクラシックの勝ち馬でセントジェームズパレスS3着のシーニック、ステヴェントンSを勝ってきたシティダンサー、ナッソーSを勝ってきたママルナ、プリティポリーSの勝ち馬ヌーラアブ、レパーズダウンSの勝ち馬トゥルサナなどが対戦相手となった。出走馬のレベルはゴードンリチャーズSやプリンセスオブウェールズSなどよりむしろ低かったのだが、本馬が不得手な良馬場だった事もあり、シーニックが単勝オッズ2.25倍の1番人気に押し出され、本馬とシティダンサーが並んで単勝オッズ6倍の2番人気となった。しばらく主戦を務めていたスウィンバーン騎手から、初コンビとなるマイケル・キネーン騎手に乗り代わっていた本馬は、逃げるシティダンサーやママルナを見るように3番手を先行。そして残り2ハロン地点で仕掛けると、2着シティダンサーに3/4馬身差で勝利した。
凱旋門賞
次走はオカール賞以来の仏国出走となる凱旋門賞(仏GⅠ・T2400m)となった。参戦してくれば大本命間違いなしだったナシュワンは前哨戦のニエル賞で3着に敗れて回避しており、ナシュワンに匹敵する超大物3歳馬だった仏ダービー・愛ダービーの勝ち馬オールドヴィックも不参戦だったため、この年の凱旋門賞は大混戦となっていた。プランスドランジュ賞を勝ってきた3戦無敗のインザウイングス、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS2着後に英国際Sでも2着してきたカコイーシーズ、ガネー賞2回・エクスビュリ賞の勝ち馬でイスパーン賞・サンクルー大賞2着のセントアンドリュース、ヴェルメイユ賞・マルレ賞の勝ち馬ヤングマザー、サンタラリ賞・ペネロープ賞の勝ち馬ベヘーラ、英オークスで1位入線(翌年に薬物検査により失格となっている)していた愛オークス2着馬アリーサ、前年のロワイヤルオーク賞とこの年のアルクール賞・エヴリ大賞・フォワ賞を勝ちガネー賞で2着していたスターリフト、ナシュワンが敗れたニエル賞を勝利したサンクルー大賞2着馬ゴールデンフェザント、ヴェルメイユ賞で2着してきたノネット賞勝ち馬シエラロベルタ、リス賞の勝ち馬ハーベストタイム、ニエル賞でナシュワンに先着する2着だったフレンチグローリー、セレクトSを快勝してきたリーガルケース、フォワ賞で2着してきたエドヴィル賞の勝ち馬ロボレ、パリ大賞やドーヴィル大賞で2着していたノルベルト、プランスドランジュ賞で2着してきたマンソンニエン、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS3着以来の実戦となるトップクラスなどが出走しており、どの馬にも勝つチャンスがあるような状況だった。
無敗を評価されたインザウイングスが単勝オッズ4.7倍の1番人気、カコイーシーズが単勝オッズ5.9倍の2番人気と、この時点ではGⅢ競走勝ちまでしかない2頭が人気となった。以下、セントアンドリュースとヤングマザーのカップリングが単勝オッズ6.1倍の3番人気、ベヘーラとアリーサのカップリングが単勝オッズ7倍の4番人気、凱旋門賞馬サガスの半弟スターリフトが単勝オッズ7.4倍の5番人気、ゴールデンフェザントが単勝オッズ10.2倍の6番人気、シエラロベルタとハーベストタイムのカップリングが単勝オッズ16倍の7番人気、フレンチグローリーが単勝オッズ17倍の8番人気、リーガルケースが単勝オッズ19倍の9番人気と続き、前走に続いてキネーン騎手とコンビを組んだ本馬は単勝オッズ19.9倍の10番人気だった。
外側の16番枠からの発走だった本馬は、道中は馬群の中団好位の外側を追走した。中心馬不在のためか馬群が一団となって進み、本馬はフォルスストレートで外側から徐々に進出して4番手で直線を向いた。直線では内側で逃げるセントアンドリュース、真ん中から追い上げるベヘーラ、そして外側の本馬の3頭による勝負となった。本馬はまずベヘーラを競り落とし、続いて内側のセントアンドリュースに並びかけて、これも競り落とした。ゴール前ではやや脚色が鈍ったが、後続を寄せ付ける事はなく、2着ベヘーラに1馬身半差をつけて先頭でゴールインし、欧州競馬の頂点を極めた。なお、本馬が直線でセントアンドリュースに並びかけた際に後方にいたベヘーラの進路を妨害したとして審議が行われているが、着順に変更はなかった。馬場が力のいる稍重馬場だったのも本馬に幸いしたと思われる。
競走生活(凱旋門賞以降)
このレース後に本馬は社台スタリオンステーションの吉田善哉氏に購入された。ちなみに、前所有者のバルザリーニ氏は後に身代金目的の誘拐罪で逮捕され、その前の所有者キャロル氏は1990年代半ばに事業に失敗して破産と、いずれもろくな行く末を辿らない人物であり、ある意味では本馬は吉田氏に購入された事で救われた形となった。
そして来日してジャパンC(日GⅠ・T2400m)に出走した。この年のジャパンCは非常にレベルが高く、日本からは、菊花賞・天皇賞秋の勝ち馬スーパークリーク、有馬記念・マイルCSの勝ち馬オグリキャップ、天皇賞春・宝塚記念の勝ち馬イナリワン、安田記念の勝ち馬バンブーメモリーなどが、海外からは、ノーフォークS・セクレタリアトS・オークツリー招待Hと米国GⅠ競走3勝のホークスター、モーリスドニュイユ賞・ジェフリーフリアS・オイロパ賞など4連勝中のイブンベイ、プリンセスオブウェールズS2着後にセプテンバーS・伊ジョッキークラブ大賞を連勝してきたアサティス、前年の覇者ペイザバトラー、豪州のGⅠ競走マッキノンSを勝ってきたホーリックス、ロワイヤルオーク賞・ケルゴルレイ賞などを勝ってきたトップサンライズなどが参戦していた。スーパークリークが単勝オッズ4.6倍の1番人気、オグリキャップが単勝オッズ5.3倍の2番人気、オークツリー招待Hを世界レコードで勝ってきたホークスターが単勝オッズ5.6倍の3番人気、イブンベイが単勝オッズ7.3倍の4番人気、アサティスが単勝オッズ7.5倍の5番人気、ペイザバトラーが単勝オッズ8.6倍の6番人気と続き、本馬は凱旋門賞馬にも関わらず単勝オッズ8.9倍の15頭立ての7番人気とあまり支持を受けなかった。
スタートが切られるとイブンベイがホークスターのハナを叩いて超ハイペースで逃げまくった。イブンベイの後方には、ホークスター、ホーリックス、オグリキャップ、スーパークリークと続き、本馬はスーパークリークの後ろを追走した。しかし三角から四角にかけて手応えが無くなり、世界レコードで勝ったホーリックスから17馬身半差も離された14着と惨敗を喫してしまった。どちらかと言えばパワー型の本馬には向かない超高速決着となったのも大敗の一因だと思われる。
それでもこの年の国際クラシフィケーションでは128ポンド、英タイムフォーム社のレーティングにおいても132ポンドの評価を得ており、いずれもこの年の古馬の中では最高値であった。4歳時の成績は7戦3勝だった。
本馬は翌5歳時も現役を続けたが、本馬が調教を受けていたニューマーケット地方はこの年非常に乾燥して馬場が堅く、本馬の調教には不適当だった。まずは6月のハードウィックS(英GⅡ・T12F)に出走した。このレースには前年の愛ダービー以来の実戦となるオールドヴィックに加えて、オーモンドSで2着してきた英セントレジャー馬ミケロッツォ、ブリガディアジェラードSを勝ってきたハスヤン、ジャパンCで12着に敗れていたアサティスなどが出走していた。オールドヴィックが単勝オッズ1.8倍の1番人気、ミケロッツォが単勝オッズ5倍の2番人気で、本馬が単勝オッズ6.5倍の3番人気となった。オールドヴィックとミケロッツォが逃げたために、本馬は無理に先行せずに好位を進み、2番手で直線に入ってきた。しかしここから大失速してしまい、単勝オッズ51倍の最低人気という低評価を覆して勝ったアサティスから21馬身も離された7着最下位と惨敗してしまった。
続くサンクルー大賞(仏GⅠ・T2400m)では、前年の凱旋門賞では11着だったがコロネーションCを勝って巻き返してきたインザウイングス、コリーダ賞・エヴリ大賞を連勝してきたオード、サンタラリ賞の勝ち馬エアデリーンなどが対戦相手となった。ここでは3番手を進み、残り400m地点で仕掛けたが伸びを欠き、インザウイングスの4馬身3/4差4着に敗退。そしてこのレース中に故障を発症してしまったため、5歳時2戦未勝利の成績で競走馬を引退した。
血統
Lord Gayle | Sir Gaylord | Turn-to | Royal Charger | Nearco |
Sun Princess | ||||
Source Sucree | Admiral Drake | |||
Lavendula | ||||
Somethingroyal | Princequillo | Prince Rose | ||
Cosquilla | ||||
Imperatrice | Caruso | |||
Cinquepace | ||||
Sticky Case | Court Martial | Fair Trial | Fairway | |
Lady Juror | ||||
Instantaneous | Hurry On | |||
Picture | ||||
Run Honey | Hyperion | Gainsborough | ||
Selene | ||||
Honey Buzzard | Papyrus | |||
Lady Peregrine | ||||
Tuna | シルバーシャーク | Buisson Ardent | Relic | War Relic |
Bridal Colors | ||||
Rose O'Lynn | Pherozshah | |||
Rocklyn | ||||
Palsaka | Palestine | Fair Trial | ||
Una | ||||
Masaka | Nearco | |||
Majideh | ||||
Vimelette | ヴィミー | Wild Risk | Rialto | |
Wild Violet | ||||
Mimi | Black Devil | |||
Mignon | ||||
Sea Parrot | Ocean Swell | Blue Peter | ||
Jiffy | ||||
Precious Polly | Hyperion | |||
Baby Polly |
父ロードゲイルはサーゲイロードの直子で、現役時代は米英仏で走り13戦3勝。パース賞・ウィリアムヒル金杯などの勝ち鞍がある中級競走馬だった。種牡馬としては本馬の他に、英オークス・愛オークス勝ち馬ブルーウインド、チェヴァリーパークS勝ち馬デザイラブル、モイグレアスタッドS勝ち馬ゲイルギャルなど複数のGⅠ競走勝ち馬を出して成功を収めた。
母テュナは現役成績5戦未勝利。本馬の半妹キャロルズキャニオン(父ハティム)の子にフェニックスリーチ【加国際S(加GⅠ)・香港ヴァーズ(香GⅠ)・ドバイシーマクラシック(首GⅠ)・ゴードンS(英GⅢ)】がいる。テュナの祖母シーパロットはヨークシャーオークス・ナッソーSの勝ち馬で、シーパロットの祖母は20世紀英国初頭の名牝プリティポリーの10番子にして最後の子であるベイビーポリーである。→牝系:F14号族①
母父シルバーシャークは当馬の項を参照。
競走馬引退後
競走馬を引退した本馬は日本の社台スタリオンステーションで種牡馬入りした。初年度は66頭、2年目は63頭、3年目は85頭、4年目は106頭、5年目は92頭、6年目の1996年は55頭と、比較的交配数には恵まれた。しかしパワー型の本馬には日本のスピード馬場は合わなかったようで、目立つ産駒はエイシンサンサン程度と、種牡馬成績は不振に終わり、1997年の繁殖シーズン前に愛国に輸出された。全日本種牡馬ランキングでは、エイシンサンサンがエリザベス女王杯で3着した1997年の22位が最高だった。愛国ではサニーヒルスタッドやガリーリチャードスタッドで供用され、2009年に種牡馬を引退した。欧州においても平地の活躍馬は登場していないが、障害競走ではユナイテッドハウス金杯(英GⅢ)勝ち馬ロールアロングなどの活躍馬を出している。日本でも母父としてエイシンサンサンの子である阪神スプリングジャンプ(JGⅢ)勝ち馬エイシンニーザンと京都ハイジャンプ(JGⅡ)・京都ジャンプS(JGⅢ)勝ち馬エーシンディーエス兄弟を出している。
主な産駒一覧
生年 |
産駒名 |
勝ち鞍 |
1992 |
エイシンサンサン |
小倉三歳S(GⅢ) |
1994 |
ルイス |
秋の鞍(SPⅡ)・サラクイーン特別(SPⅢ) |
1999 |
メイプルスプリング |
クイーン賞(GⅢ) |