ハリウッドワイルドキャット

和名:ハリウッドワイルドキャット

英名:Hollywood Wildcat

1990年生

黒鹿

父:クリスエス

母:ミスワイルドキャッター

母父:ミスタープロスペクター

米国西海岸で芝とダートを問わずに活躍してBCディスタフを制した名牝は繁殖牝馬としてもブリーダーズカップ勝ち馬を産んで成功する

競走成績:2~5歳時に米で走り通算成績21戦12勝2着3回3着3回

誕生からデビュー前まで

米国の馬産家であるアーヴィング・コーワン氏とマージョリー・コーワン夫人の夫婦により生産・所有されたフロリダ州産馬で、米国エマニュエル・トルトラ調教師に預けられた。

競走生活(2歳時)

2歳4月にコールダー競馬場で行われたダート4.5ハロンの未勝利戦でデビューした。後にサンタマリアH・エルエンシノSを勝つスパージェムが単勝オッズ2.1倍の1番人気で、ルネ・ダグラス騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ3.3倍の2番人気だった。レースではスタートから本馬と単勝オッズ6.5倍の4番人気馬マルティハイゼンガが先頭争いを展開。直線に入ると本馬が後続を引き離して、2位入線のマルティハイゼンガに5馬身差で圧勝した(マルティハイゼンガは進路妨害で降着となり、さらに3/4馬身差3位入線のスパージェムが繰り上がって2着となった)。

次走は6月にチャーチルダウンズ競馬場で行われたデビュータントS(D5.5F)となった。前走の快勝でも本馬の評価はそれほど高くなっておらず、単勝オッズ8.8倍で5番人気の評価だった。当面の主戦となるファビオ・アルゲリョ・ジュニア騎手が騎乗する本馬は好スタートから3番手につけた。そして直線で抜け出すと、2着となった単勝オッズ7.2倍の3番人気馬コズミックスピードクイーンに3馬身差をつけて快勝した。

翌7月にコールダー競馬場で出走したメラルーカS(D5.5F)では、単勝オッズ2.2倍の1番人気に支持された。ここではスタートが前走ほど良くなかったが、それでも4番手の好位につけた。そして直線入り口で先頭に立つと、そのまま押し切って、2着となった単勝オッズ4倍の2番人気馬デビーズブリスに2馬身半差で勝利した。

翌8月にモンマスパーク競馬場で出走したソロリティS(GⅢ・D6F)では、アストリアBCSで2着してきたダコードレスやアワートムボーイが人気を集めており、本馬は単勝オッズ4.6倍の3番人気となった。レースでは単勝オッズ6.2倍の4番人気馬ファミリーエンタープライズが先頭を飛ばし、本馬は最後方に控えた。しかし徐々に位置取りを上げていくと、直線では逃げ粘るファミリーエンタープライズを並ぶ間もなく差し切り、最後は4馬身差をつけて圧勝した。なお、ファミリーエンタープライズは次走のスピナウェイSで、1位入線馬スカイビューティの降着による繰り上がりながらも勝利を収めている。

翌9月にコールダー競馬場で出走したスーザンズガールS(D7F)では、単勝オッズ1.5倍という断然の1番人気に支持された。今回は馬群の中団後方を進んだのだが、直線に入っても全く伸びずに、後にゴールデンロッドSを勝ちBCジュヴェナイルフィリーズで3着する単勝オッズ7.2倍の3番人気馬ブーツンジャッキーの14馬身半差6着と惨敗し、初黒星を喫した。そしてレース後に故障が判明して休養入りし、2歳時を5戦4勝で終えた。

競走生活(3歳前半)

3歳3月にガルフストリームパーク競馬場で行われたダート6ハロンの一般競走で復帰した。スピナウェイS勝利後にメイトロンSで3着していたファミリーエンタープライズが単勝オッズ1.9倍の1番人気で、アルゲリョ・ジュニア騎手に代わってジェリー・ベイリー騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ2.3倍の2番人気となった。しかしレースは単勝オッズ32.8倍の最低人気馬アワースウィートメグが逃げ切ってしまい、馬群の中団を進んだ本馬は伸びきれずに1馬身差の3着、アワースウィートメグに絡まれたファミリーエンタープライズは本馬から3馬身3/4差の4着に沈んだ。

それから13日後にタンパベイダウンズ競馬場で出走したフロリダオークス(D8.5F)では、1戦叩いた効果が期待された本馬が他馬より3~10ポンド重い121ポンドのトップハンデながらも、斤量114ポンドのダヴォナデイルS3着馬インハーグローリーと並んで単勝オッズ2.7倍の1番人気に支持された。今回はリカルド・ロペス騎手とコンビを組んだ本馬は最後方からレースを進め、直線に入ると豪快に追い込んできた。しかし本馬の少し前を走り続けた単勝オッズ6.6倍の3番人気馬スタージョリーに追いつけず、2馬身差の2着に敗れた。もっとも、本馬の斤量121ポンドに対して、スタージョリーは111ポンドであり、そう悲観する内容ではなかった。

しかし次走のファンタジーS(GⅡ・D8.5F)では一気に評価を落とし、単勝オッズ12.6倍で7頭立ての最低人気となってしまった。サンタアニタオークス2着馬ストルクリークが単勝オッズ3.1倍の1番人気、ハニービーSを勝ってきたアズテックヒルが単勝オッズ3.6倍の2番人気、一般競走を圧勝してきたアドリダーが単勝オッズ5.6倍の3番人気、サンタアニタオークス5着馬スワジズモーメントが単勝オッズ6.3倍の4番人気、サンタアニタオークス3着馬ダンスフォーバニーが単勝オッズ8.5倍の5番人気、マグノリアSの勝ち馬プロパーリフレクションが単勝オッズ11.9倍の6番人気だった。今回はアルゲリョ・ジュニア騎手とコンビを組んだ本馬は、馬群の中団を進んだ。しかし直線で全く伸びずに、勝ったアズテックヒルから10馬身差をつけられた6着と大敗してしまった。

この結果を受けて、ケンタッキーオークスもニューヨーク牝馬三冠競走も出走を回避した。代わりに6月にコールダー競馬場で行われたアザレアS(D7F)で、エイバル・コア騎手を鞍上に仕切り直しのスタートを切った。サンタイネスBCS2着馬ニジヴィジョンが単勝オッズ3.7倍の1番人気、前走の一般競走を10馬身1/4差で圧勝してきたカノンズデスティニーが単勝オッズ4倍の2番人気、前走のハンデ競走を6馬身1/4差で圧勝してきたキムズカントリーダイヤモンドが単勝オッズ4.1倍の3番人気で、本馬は単勝オッズ6.3倍の4番人気止まりだった。レースではスタートから積極的に先頭争いに加わった。しかし直線に入ると、キムズカントリーダイヤモンドとニジヴィジョンの2頭に差されて、勝ったキムズカントリーダイヤモンドから3馬身1/4差の3着に敗れた。

この不調から脱却させるために、コーワン夫妻は本馬を、カリフォルニア州に本拠を構えていたニール・D・ドライスデイル厩舎に転厩させ、米国西海岸で走らせることにした。

競走生活(3歳後半)

転厩初戦となったハリウッドオークス(GⅠ・D9F)では、ラスヴァージネスS・セニョリータBCS・ハネムーンHの勝ち馬ライカブルスタイル、ファンタジーS2着後にセニョリータBCS・ハネムーンHでも2着していたアドリダー、ベイメドウズオークスの勝ち馬でハリウッドスターレットS2着のパッシングヴァイス、ファンタジーS4着後にプリンセスSで2着していたスワジズモーメント、サンタイネスBCS・プリンセスSの勝ち馬でレイルバードS2着のフィットトゥリード、ボーモントSなど4戦連続2着中のアディドアセットなどが対戦相手となった。ライカブルスタイルが単勝オッズ1.7倍の1番人気、アドリダーが単勝オッズ6.8倍の2番人気、パッシングヴァイスが単勝オッズ7.9倍の3番人気、スワジズモーメントが単勝オッズ8.5倍の4番人気、フィットトゥリードが単勝オッズ9.3倍の5番人気、アディドアセットが単勝オッズ9.4倍の6番人気と続き、主戦となるエディ・デラフーセイ騎手と初コンビを組んだ本馬は単勝オッズ17.6倍の7番人気だった。スタートが切られるとフィットトゥリードが先頭に立ち、本馬はその直後2番手を追走した。そのままの態勢で直線に入ると、フィットトゥリードに並びかけて競り落とした。最後は2着フィットトゥリードに1馬身3/4差、3着アドリダーにはさらに6馬身半差をつけて勝利。西海岸初戦でいきなりGⅠ競走初勝利を挙げた。

次走は8月にデルマー競馬場で行われたサンクレメンテH(T8F)となった。初芝の上に120ポンドのトップハンデを課された本馬だったが、それでも単勝オッズ3.1倍の1番人気に支持され、117ポンドのハネムーンH3着馬ヴィニスタが単勝オッズ4.2倍の2番人気、愛国でレパースタウン1000ギニートライアルSを勝ちウェルドパークSで2着した後に米国に移籍してきた116ポンドのマイアミサンズが単勝オッズ5.9倍の3番人気となった。前走とは異なり、今回の本馬は馬群の中団を慎重に追走。しかし四角で一気に位置取りを上げると、直線入り口で先頭に立ち、そのまま2着マイアミサンズに4馬身半差をつけて快勝した。

次走のデルマーオークス(GⅡ・T8.5F)では、ハリウッドオークスで5着に終わっていたライカブルスタイル、仏国から移籍して芝競走を2連勝してきたポッシブリーパーフェクト、パッカーアップS・ニジャナSを勝ってきたアマルハヤティ、マイアミサンズ、アドリダーなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持され、ライカブルスタイルが単勝オッズ6.2倍の2番人気、ポッシブリーパーフェクトが単勝オッズ8.2倍の3番人気、アマルハヤティが単勝オッズ11.4倍の4番人気となった。スタートが切られるとポッシブリーパーフェクトが逃げを打ち、本馬は4番手の好位を追走した。そのままの態勢で直線に入ると鮮やかに差し切り、2着ポッシブリーパーフェクトに1馬身差で勝利した。このポッシブリーパーフェクトは、後にイエローリボン招待S・サンタアナH・サンタバーバラH・ゲイムリーH・ラモナH・ビヴァリーDSと芝のGⅠ競走で6勝を挙げて、2年後の1995年にはエクリプス賞最優秀芝牝馬に選ばれるほどの実力馬であり、それに勝った本馬は芝でも一流である事を証明する形となった。

しかし陣営の目標は暮れのBCディスタフにこそあったようで、次走は10月にサンタアニタパーク競馬場で行われたダート競走のレディーズシークレットS(D8.5F)となった。ハリウッドスターレットS・ラスヴァージネスS・リンダヴィスタBCH・チュラヴィスタHの勝ち馬で前年のサンタアニタオークス2着・BCディスタフ3着のマジカルメイドン、亜国のGⅠ競走ミルギネアス大賞とヴァニティH・ダリアHの勝ち馬でミレイディH・ラモナH2着・ヴァニティH・ミレイディH3着のレトス、サンタイネスBCSの勝ち馬でハリウッドスターレットS・アップルブロッサムH・トップフライトH2着のルーイーカポウティ、オールアロングS2着のウェディングリングの4頭が対戦相手となった。本馬が単勝オッズ1.7倍の1番人気、マジカルメイドンが単勝オッズ3.5倍の2番人気、レトスが単勝オッズ6.7倍の3番人気、ルーイーカポウティが単勝オッズ8.5倍の4番人気、ウェディングリングが単勝オッズ14.8倍の最低人気となった。スタートが切られるとルーイーカポウティが先頭に立ち、マジカルメイドンが2番手で、本馬は3番手を追走した。そして直線入り口で先頭に立つと、追い込んできた2着レトスに2馬身差をつけて快勝した。

そして同じサンタアニタパーク競馬場で行われるBCディスタフ(GⅠ・D9F)に向かった。このレースには、亜国のGⅠ競走エンリケアセバル大賞を勝った後に米国に移籍して前年のBCディスタフを筆頭にサンタマリアH・サンタマルガリータ招待H・アップルブロッサムH2回・ミレイディH2回・ヴァニティH・スピンスターSと米国GⅠ競走を9勝していた前年のエクリプス賞最優秀古馬牝馬パセアナ、本馬が不在だったエイコーンS・マザーグースS・CCAオークスのニューヨーク牝馬三冠競走を全勝した他にもメイトロンS・アラバマS・アディロンダックS・レアパフュームSを勝っていたスカイビューティ、本馬不在のケンタッキーオークスに加えてガゼルH・ベルデイムSを勝ちボニーミスSではスカイビューティを破っていたディスピュートという、本馬とは初対戦となる3頭の強豪馬が参戦してきた。他の出走馬は、レトス、前走5着最下位のマジカルメイドン、イエルバブエナHの勝ち馬でサンタアナH2着・ビヴァリーヒルズH3着のパーティーサイテッド、デビュー戦で本馬と戦ったスパージェムの4頭で、合計8頭による戦いとなった。本馬が単勝オッズ2.3倍で堂々の1番人気に支持され、連覇を目指すパセアナが単勝オッズ3.5倍の2番人気、スカイビューティが単勝オッズ5.3倍の3番人気、ディスピュートが単勝オッズ5.5倍の4番人気、レトスが単勝オッズ19.4倍の5番人気となった。

スタートから先頭を伺った本馬をスパージェムがかわして先頭に立ち、本馬は2番手につけた。少し離れたところをパセアナとディスピュートが走り、5番手にスカイビューティがつけた。三角に入ると本馬がスパージェムをかわして先頭に立ち、そこへ後方からパセアナがやってきて外側から本馬に並びかけてきた。そのまま2頭が並んで直線に入り、激しい叩き合いとなった。2頭の一騎打ちはゴールまで続いたが本馬が競り勝ち、2着パセアナに鼻差で勝利。シーズン当初の迷走ぶりが嘘のような5連勝での戴冠だった。パセアナから2馬身半差の3着には追い込んだレトスが入り、ディスピュートはさらに1馬身差の4着、スカイビューティはさらに3/4馬身差の5着に終わった。本馬とパセアナの一騎打ちは、米ブラッドホース誌の読者アンケートにおいて、“Race of the Year”に選出された名勝負だった。

3歳時の成績は9戦5勝だったが、BCディスタフの勝利が評価された本馬がGⅠ競走2勝ながら、この年GⅠ競走4勝のスカイビューティと、この年GⅠ競走3勝のディスピュートの2頭を抑えて、エクリプス賞最優秀3歳牝馬に選出された。

競走生活(4歳前半)

4歳時は2月のラカナダS(GⅡ・D9F)から始動した。リンダヴィスタBCHの勝ち馬でサンタアニタオークス2着のストルクリーク、シルヴァーベルズHの勝ち馬ゴールデンクレアなど3頭だけが対戦相手となった。122ポンドの本馬が単勝オッズ1.5倍の1番人気、119ポンドのストルクリークが単勝オッズ3.7倍の2番人気、119ポンドのゴールデンクレアが単勝オッズ6倍の3番人気となった。スタートが切られると本馬がすぐに先頭に立ったのだが、ストルクリークに競りかけられた。平素なら競られても平気な本馬だったが、前年からの連戦の疲労が残っていたのか、直線に入ると失速。7ポンドのハンデを与えた単勝オッズ9.9倍の最低人気馬アリシーナにも差されてしまい、勝ったストルクリークから5馬身1/4差の3着に敗れた。そこで4か月間の休養が与えられた。

6月にハリウッドパーク競馬場で行われた芝競走のゲイムリーH(GⅠ・T9F)で復帰した。このレースには、メイトリアークS3連覇・ビヴァリーヒルズH2連覇・ラモナH2連覇・ビヴァリーDSとGⅠ競走で既に8勝を挙げ、前年まで2年連続でエクリプス賞最優秀芝牝馬に選ばれていたフローレスリーという超難敵が出走していた。シーズン初戦だったフローレスリーが124ポンドのトップハンデながらも単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持され、122ポンドの本馬が単勝オッズ3.7倍の2番人気、前年の同競走3着馬ベルズスターレットが単勝オッズ9.2倍の3番人気、南アフリカでGⅠ競走を9勝した後に米国に移籍してきたエンプレスクラブが単勝オッズ9.3倍の4番人気、ウィルシャーHを勝ってきたスキンブル(パシフィッククラシックS2連覇のスキミングの母)が単勝オッズ10.6倍の5番人気となった。

スタートが切られるとスキンブルとベルズスターレットが先頭に立ち、本馬は少し離れた3番手、フローレスリーは最後方につけた。向こう正面で後続馬が進出してきて本馬をかわしていき、本馬はいったん最後方まで下がったが、三角に入ると満を持してスパートを開始。直線に入ると、先に先頭に立っていた単勝オッズ20.7倍の最低人気馬ミズジルベアとフローレスリーの2頭を並ぶ間もなくかわし、最後は2着ミズジルベアに2馬身1/4差、3着フローレスリーにはさらに2馬身3/4差をつけて完勝。芝でもGⅠ競走を勝った。

次走のビヴァリーヒルズH(GⅠ・T9F)では、フローレスリー、ミズジルベア、前走4着のエンプレスクラブ、仏国でレゼルヴォワ賞・ヴァントー賞を勝った後に米国に移籍して前走サンタアニタBCHなど2戦2勝してきたコラゾナ、亜国でホルヘデアトゥーチャ大賞・エストレージャス大賞ジュヴェナイルフィリーズとGⅠ競走を2勝した後に米国に移籍してきたポトリデーなど6頭が対戦相手となった。124ポンドのトップハンデとなった本馬が単勝オッズ2倍の1番人気、同じく124ポンドのフローレスリーが単勝オッズ2.6倍の2番人気、119ポンドのコラゾナが単勝オッズ8倍の3番人気、114ポンドのミズジルベアが単勝オッズ13.6倍の4番人気となった。レースは単勝オッズ25.1倍の6番人気馬エンプレスクラブを先頭に出走全馬が一団となって進んだ。フローレスリーやコラゾナは馬群の後方で、本馬は最後方だった。そのまま団子状態で直線に入ると、本馬、フローレスリー、コラゾナの3頭による争いとなった。しかし最後に5ポンドの斤量差が効いたようで、コラゾナが勝利を収め、本馬は首差の2着、フローレスリーはさらに鼻差の3着だった。

次走のラモナH(GⅠ・T9F)でも、フローレスリーとの対戦となった。ここではこの2頭以外にこれといった馬が出走しておらず、やはり本馬とフローレスリーが124ポンドのトップハンデで並んだ。今回も本馬が単勝オッズ1.8倍の1番人気で、フローレスリーが単勝オッズ2.3倍の2番人気となった。スタートが切られると、ゲイムリーHで5着だった単勝オッズ13.4倍の4番人気馬スキンブルが単騎で逃げを打ち、フローレスリーが後方2番手、本馬が最後方からレースを進めた。先に仕掛けたのはフローレスリーのほうで、四角で一気に位置取りを上げていき、少し遅れて本馬も追撃を開始した。そして直線では押し切りを図るフローレスリーを、本馬が必死に追う展開となった。しかし今回はフローレスリーが粘り切って勝利し、本馬は頭差の2着に敗れた。これが本馬とフローレスリーの最後の対戦となったが、本馬が2勝1敗と勝ち越しており、本馬は芝でも一流である事を改めて示す結果となった。

競走生活(4歳後半以降)

その後は前年同様にBCディスタフを目指してダート競走に戻り、レディーズシークレットS(D8.5F)に出走。ここでは、サンタアナH・サンタバーバラH・エルエンシノS・ラカナダS・チュラヴィスタHの勝ち馬でヴァニティHではポトリデーの2着だったエクスチェンジ、本馬と同世代でBCジュヴェナイルフィリーズ・サンタアニタオークス・アーリントンワシントンラッシーS・アルキビアデスSを勝ちケンタッキーオークス2着・サンタアニタオークス3着のエクリプス賞最優秀2歳牝馬イライザの2頭と顔を合わせた。本馬が124ポンドのトップハンデながらも単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持され、121ポンドのエクスチェンジが単勝オッズ3倍の2番人気、119ポンドのイライザが単勝オッズ5.5倍の3番人気となった。芝競走では後方待機策が多かった本馬も、ダート競走では先行策が多く、ここではスタートから単騎で先頭に立った。途中で何度かエクスチェンジに絡まれたが先頭を譲ることは無く、直線に入ると後続を突き放して、2着エクスチェンジに2馬身1/4差で勝利した。

そしてBCディスタフに出走することになったのだが、しかしこの年のブリーダーズカップはケンタッキー州チャーチルダウンズ競馬場で行われる事になっていたため、レディーズシークレットS勝利後の本馬は西海岸を離れて久々に東上することになった。

このBCディスタフ(GⅠ・D9F)には、前年のBCディスタフでは5着に終わるも4歳になってシュヴィーH・ヘンプステッドH・ゴーフォーワンドS・ラフィアンH・ヴェイグランシーHとGⅠ競走4勝を含む5戦全勝のスカイビューティ、フリゼットS・アラバマS・ガゼルH・ベルデイムSとGⅠ競走4勝を挙げBCジュヴェナイルフィリーズ・テストSで3着していた3歳馬ヘヴンリープライズの2頭も出走してきた。他の出走馬は、エクスチェンジ、欧州から遠征してきた伊1000ギニー馬エリンバード、ジョンAモリスHの勝ち馬でゴーフォーワンドS2着のリンクリヴァー、前走のEPテイラーSを勝ってきたロワイヨモン賞の勝ち馬トゥルーリーアドリーム、ルイビルBCHの勝ち馬ワンドリーマー、スピンスターSで3着してきたミスドミニクだった。本馬が単勝オッズ2.8倍の1番人気、スカイビューティが単勝オッズ2.9倍の2番人気、ヘヴンリープライズが単勝オッズ3.1倍の3番人気となった。4番人気のエクスチェンジは単勝オッズ16倍だったから、完全なる3強対決だった。

スタートが切られると単勝オッズ48.1倍の8番人気馬ワンドリーマーが単騎逃げに持ち込み、本馬とエクスチェンジが2番手、ヘヴンリープライズが馬群の中団後方、スカイビューティは後方2番手につけた。ワンドリーマーが刻むペースは最初の2ハロンが23秒6、半マイル通過が47秒8という遅いものであり、ヘヴンリープライズが向こう正面で早くも上がっていき、2番手まで押し上げていった。しかし本馬とスカイビューティの2頭は反応が悪く、逆に位置取りがどんどん下がっていった。結局、レースを完璧に支配したワンドリーマーがそのまま2着ヘヴンリープライズを首差抑えて逃げ切ってしまい、本馬は8馬身1/4差の6着、スカイビューティは本馬からさらに4馬身差の9着最下位に沈んでしまった。

スカイビューティは地元ニューヨーク州以外では勝ち星無し、本馬も西海岸以外のレースでは振るわなかった事から、両馬ともにケンタッキー州の水が合わなかったのかとも思われるが、真相は不明である。4歳時の成績は6戦2勝で、さすがにこの年のエクリプス賞最優秀古馬牝馬のタイトルには届かなかった(スカイビューティが選出された)。

翌年は西海岸に戻り、2月のリトルブライアンS(D7F)に出走。引退繁殖入り直前の最後の走りを西海岸のファンに披露しようとしたのだと考えられる。ハンデ競走ではなかったため、他馬との不条理な斤量差に悩まされる必要も無く、マジカルメイドンやニジヴィジョンなどを抑えて単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持された。そしてレースでも3番手追走から四角で先頭に立って、2着となった単勝オッズ10.9倍の最低人気馬ニジヴィジョンに4馬身半差をつけて完勝。引退レースの花道を飾った。

血統

Kris S. Roberto Hail to Reason Turn-to Royal Charger
Source Sucree
Nothirdchance Blue Swords
Galla Colors
Bramalea Nashua Nasrullah
Segula
Rarelea Bull Lea
Bleebok
Sharp Queen Princequillo Prince Rose Rose Prince
Indolence
Cosquilla Papyrus
Quick Thought
Bridgework Occupy Bull Dog
Miss Bunting
Feale Bridge Gold Bridge
Tolerate
Miss Wildcatter Mr. Prospector Raise a Native Native Dancer Polynesian
Geisha
Raise You Case Ace
Lady Glory
Gold Digger Nashua Nasrullah
Segula
Sequence Count Fleet
Miss Dogwood
Elizabeth K. Third Martini Hasty Road Roman
Traffic Court
The Golden Girl Hyperion
Celestial Way
Baked Apple Hilarious Bimelech
Laughter
Appalachin Cortil
Lantana

クリスエスは当馬の項を参照。

母ミスワイルドキャッターは不出走馬で、近親にも活躍馬は全く見当たらないという貧弱な母系である。→牝系:F4号族⑤

母父ミスタープロスペクターは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は、コーワン夫妻の所有のもと、米国ケンタッキー州レーンズエンドファームで繁殖入りした。初年度はダンチヒと交配され、翌6歳時に初子の牝駒ダンチヒワイルドキャットを産んだ。そしてすぐに再びダンチヒと交配され、翌7歳時に2番子の牡駒ウォーチャントを産んだ。ダンチヒワイルドキャットは1戦1勝止まりだったが、ウォーチャントが大活躍して、母の繁殖牝馬としての名声を確固たるものとした。

コーワン夫妻の所有馬、ドライスデイル師の管理馬だったウォーチャントは2・3歳時に米で走り通算成績7戦5勝2着1回。2歳時は1戦1勝で終え、年明け初戦の一般競走も5馬身差で勝利し、サンラファエルS(米GⅡ)も半馬身差で勝利してケンタッキーダービー候補となった。サンタアニタダービー(米GⅠ)で2着してからケンタッキーダービー(米GⅠ)に向かったが、フサイチペガサスの9着に敗れた。5か月の休養後、今までのダート路線から芝路線に転向。オークツリーBCマイルS(米GⅡ)を勝利した。次走のBCマイル(米GⅠ)では1番人気に支持されると、首差で勝利。ブリーダーズカップを勝った牝馬がブリーダーズカップ勝ち馬の母となったのは、1995年のBCジュヴェナイルフィリーズを勝ったマイフラッグの母であるBCディスタフ勝ち馬パーソナルエンスン以来5年ぶり史上2頭目だった。

ウォーチャントの後はしばらく活躍馬を出せなかった本馬だが、13歳時に産んだ7番子の牡駒イワンデニソーヴィッチ(父デインヒル)がジュライS(英GⅡ)に勝ち、モルニ賞(仏GⅠ)・セクレタリアトS(米GⅠ)で2着、セントジェームズパレスS(英GⅠ)・ハリウッドダービー(米GⅠ)で3着するなど、14戦3勝の成績を挙げている。2012年6月、本馬は癌に起因する合併症のため、レーンズエンドファームにおいて22歳で他界した。

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