ソヴィエトスター

和名:ソヴィエトスター

英名:Soviet Star

1984年生

鹿毛

父:ヌレイエフ

母:ヴェルシュカ

母父:ヴェンチア

好敵手でもあった同世代同父の名牝ミエスクと同じく米国で産まれて欧州で走りGⅠ競走で5勝を挙げた歴史的名マイラー

競走成績:2~4歳時に仏英で走り通算成績14戦8勝2着4回

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州キンダーヒルファームの生産馬で、1歳11月のキーンランドセールにおいてドバイのシェイク・モハメド殿下の代理を務めた英ブラッドストックエージェンシー社により31万ポンドで購入され、仏国アンドレ・ファーブル調教師に預けられた。後に本馬を種牡馬として供用する事になる愛国バリーリンチスタッドの運営責任者ジョン・オコナー氏によると、本馬は親切で可愛げがある馬だったという。

競走生活(2・3歳時)

2歳10月にサンクルー競馬場で行われたサモレ賞(T1500m)でデビューして勝利したが、2歳時はこの1戦のみだった。3歳時は4月にロンシャン競馬場で行われたフォンテーヌブロー賞(仏GⅢ・T1600m)から始動。主戦となるグレヴィル・スターキー騎手を鞍上に、後のリュパン賞3着馬ミラクルホースを1馬身半差の2着に破って勝利した。

続く仏2000ギニー(仏GⅠ・T1600m)でも、ヨーロピアンフリーHを勝ってきたノーブルミンストレルを1馬身差の2着に、トーマブリョン賞の勝ち馬グローリーフォーエヴァーをさらに首差の3着に抑えて優勝した。

次走のジャンプラ賞(仏GⅠ・T1850m)では、グリーナムSの勝ち馬でミドルパークS・フォレ賞2着のリスクミー、ロイヤルロッジSの勝ち馬でウィリアムヒルフューチュリティS2着のベンガルファイアなどとの対戦となった。ここでは、後にパリ大賞も勝利するリスクミーの半馬身差2着に敗れた。

英国に移動して出走したセントジェームズパレスS(英GⅡ・T8F)では、3着リスクミーには首差先着するも、ハーフアイヤーの1馬身差2着に敗れた。

次走のサセックスS(英GⅠ・T8F)では、ヴィットリオディカプア賞の勝ち馬ターカッター、ハンガーフォードS・キヴトンパークSの勝ち馬でロッキンジS3着のハディールといった古馬勢が対戦相手となった。単勝オッズ4倍で出走した本馬は、スタートから直線入り口まで徹底して最後方を走り続けた。そして直線では大外から殿一気の末脚を繰り出した。そしてゴールでは2着スターカッターをきっちりと半馬身差し切った。

続くムーランドロンシャン賞(仏GⅠ・T1600m)では、英1000ギニー・仏1000ギニー・サラマンドル賞・マルセルブサック賞・ジャックルマロワ賞と既にGⅠ競走で5勝を挙げていたミエスクとの初対決となった。しかし3着となったクリテリウムドメゾンラフィットの勝ち馬グレシャンアーンには1馬身差をつけたものの、勝ったミエスクに2馬身半差をつけられて2着に完敗した。

次走のフォレ賞(仏GⅠ・T1400m)では、イスパーン賞・エドモンブラン賞の勝ち馬で仏2000ギニー・ジャンプラ賞2着の4歳馬ハイエストオナーを1馬身差の2着に破って勝利。3歳シーズンを7戦4勝2着3回の好成績で締めくくった。

競走生活(4歳時)

4歳時はスターキー騎手に代わってキャッシュ・アスムッセン騎手を主戦に迎えた。まずは4月にサンダウンパーク競馬場で行われたトラストハウスフォルテマイル(英GⅡ・T8F)から始動した。ここでは単勝オッズ2.25倍の1番人気に支持されると、直線入り口4番手から残り1ハロン地点で先頭に立ち、2着となったデューハーストS2着馬シェイディハイツに2馬身半差をつけて完勝した。

6月のクイーンアンS(英GⅡ・T8F)では、前年の同競走の勝ち馬でクリスタルマイルやロッキンジSなども制していたゼンアゲイン、ロンポワン賞・ダイオメドSの勝ち馬ワージブなどとの対戦となった。本馬は単勝オッズ1.73倍の1番人気に支持されたのだが、直線での猛追及ばず、ワージブの頭差2着に敗れた。

次走はジュライC(英GⅠ・T6F)となった。生涯最短距離のレースとなったが、テンプルS・デュークオブヨークS2回・リゾランジ賞の勝ち馬で後にこの年のスプリントCS・アベイドロンシャン賞などを勝つハンサムセーラー、ジャージーSの勝ち馬インディアンリッジ、ミドルパークSの勝ち馬ガリックリーグ、グロシェーヌ賞の勝ち馬グリファーダ、コーク&オラリーSの勝ち馬ビッグシャッフルといった短距離戦の有力馬達を抑えて、単勝オッズ2.875倍の1番人気に支持された。そして好位追走から残り1ハロン地点で先頭に立ち、2着ビッグシャッフルに2馬身差をつけて快勝した。

続くジャックルマロワ賞(仏GⅠ・T1600m)では、前年のムーランドロンシャン賞勝利後にBCマイル・イスパーン賞を勝っていたミエスクに加えて、サセックスS・リッチモンドS・英シャンペンS・クレイヴンSの勝ち馬ウォーニングも参戦してきて、時代を代表する名マイラー3頭の勝負となった。レースでは本馬と同じシェイク・モハメド殿下の所有馬インティミデートが先頭を引っ張ったが、かなりのスローペースとなり、本馬は折り合いを欠いてしまった。その結果として直線でもう一つ伸びを欠き、ウォーニング、ミエスクに差されると、ゴール前では10日前にアスタルテ賞を勝ってきたガビナ(翌年のフォレ賞の勝ち馬)にも鼻差かわされてしまい、連覇を達成したミエスクから3馬身差、2着ウォーニングから2馬身差の4着に終わった。

次走のムーランドロンシャン賞(仏GⅠ・T1600m)では、ウォーニングは不在だったが、ガビナ、この年の仏2000ギニー・フォンテーヌブロー賞の勝ち馬ブラッシングジョンに加えて、ミエスクと3度目の対戦となった。しかしここでは本馬が意地を見せた。本馬とミエスクの2頭は共に中団後方からレースを進め、直線で先に抜け出した本馬に後方からミエスクが並びかけて叩き合いに持ち込んできた。しかし重馬場でスピードを殺されたミエスクにはいつもの切れがなく、本馬が競り合いを頭差制して優勝した。ミエスクとの対戦はこれが最後で、対戦成績は本馬の1勝2敗となった。

その後のクイーンエリザベスⅡ世S(英GⅠ・T8F)では、共に単勝オッズ3.25倍の1番人気に支持されたウォーニングとの2強対決となった。しかしここでは直線でまったく伸びず、勝ったウォーニングに8馬身差をつけられた4着に完敗。これが現役最後のレースとなり、4歳時の成績は6戦3勝となった。

血統

Nureyev Northern Dancer Nearctic Nearco Pharos
Nogara
Lady Angela Hyperion
Sister Sarah
Natalma Native Dancer Polynesian
Geisha
Almahmoud Mahmoud
Arbitrator
Special Forli Aristophanes Hyperion
Commotion
Trevisa Advocate
Veneta
Thong Nantallah Nasrullah
Shimmer
Rough Shod Gold Bridge
Dalmary
Veruschka ヴェンチア Relic War Relic Man o'War
Friar's Carse
Bridal Colors Black Toney
Vaila
Rose O'Lynn Pherozshah Pharos
Mah Mahal
Rocklyn Easton
Rock Forrard
Marie d'Anjou Vandale Plassy Bosworth
Pladda
Vanille La Farina
Vaya
Marigold Panipat Firdaussi
Penang
Theodora Prince Rose
Aziyade

ヌレイエフは当馬の項を参照。

母ヴェルシュカは競走馬としては仏国と米国で走り通算成績36戦2勝、ラカロン賞で2着している。その産駒には、記念すべき第1回ジャパンCで1番人気に支持された事で知られる本馬の半姉ザベリワン(父ワンフォーオール)【サンタバーバラH(米GⅠ)・ディキシーH(米GⅡ)・シープスヘッドベイH(米GⅡ)・ブラックヘレンH(米GⅡ)・クリサンセマムH(米GⅢ)2回・クイーンシャーロットH(米GⅢ)・ロングアイランドH(米GⅢ)】がいる。繁殖牝馬として日本に輸入された本馬の半姉ヴェルシェンカ(父ニジンスキー)の子にはイシヤクマッハ【グランシャリオC(GⅢ)】、孫にはヤマノラヴリー【リリーC】が、本馬の半妹リフカ(父リファール)の孫にはレディオブヴェニス【キャッシュコールマイル招待S(米GⅡ)】がいる。

ヴェルシュカの祖母マリーゴールドの半妹ラヴァガボンドの曾孫にはトレブルック【カドラン賞(仏GⅠ)】、玄孫世代以降にはリドジャスティス【BCスプリント(米GⅠ)】、コマンダーコリンズ【レーシングポストトロフィー(英GⅠ)】、グルメガール【ミレイディH(米GⅠ)・アップルブロッサムH(米GⅠ)・ヴァニティH(米GⅠ)】、日本で走ったフサイチソニック【神戸新聞杯(GⅡ)】がいる。マリーゴールドの曾祖母ファリザデの半妹セレリナの牝系子孫には史上初の中央競馬牝馬三冠馬メジロラモーヌ【桜花賞(GⅠ)・優駿牝馬(GⅠ)・エリザベス女王杯(GⅠ)】、マカイビーディーヴァ【メルボルンC(豪GⅠ)3回・コックスプレート(豪GⅠ)・シドニーC(豪GⅠ)・オーストラリアンC(豪GⅠ)・ザBMW(豪GⅠ)】、キャンフォードクリフス【愛2000ギニー(愛GⅠ)・セントジェームズパレスS(英GⅠ)・サセックスS(英GⅠ)・ロッキンジS(英GⅠ)・クイーンアンS(英GⅠ)】などが出ている。→牝系:F9号族①

母父ヴェンチアはレリックの項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は英国ダーラムホールスタッドで種牡馬入りした。初年度の種付け料は3万ポンドに設定された。しかし当初は活躍馬を出すことが出来ず、その後の1994年に日本に輸入され、翌1995年からブリーダーズスタリオンステーションで繋養された。日本に来た直後になって、ソヴィエトライン、アシュカラニ、フリーダムクライなど欧州に残してきた産駒が活躍するという、ダンシングブレーヴと似たような状況が発生した。そのため日本でもかなり期待され、初年度は78頭、2年目は111頭、3年目は81頭、4年目の1998年は70頭の繁殖牝馬を集めた。しかしこの1998年にデビューした日本における初年度産駒の成績が不振だったため、翌1999年の交配数は48頭まで減少。同年に新国ラオラスタッドにシャトルされると、2000年からは愛国バリーリンチスタッドで供用される事になり、日本に戻ってくることは無かった。結局ダンシングブレーヴと異なり日本ではそれほど活躍馬を出すことが出来ず、全日本種牡馬ランキングでも2001年の58位が最高だった。本馬は欧州だけでなく新国でも活躍馬を出しており、日本だけで振るわなかった理由は不明である。産駒のステークスウイナーは合計43頭以上となっている。2014年1月に繋養先のバリーリンチスタッドにおいて30歳で他界した。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1990

Bon Point

カーネルFWケスターH(米GⅡ)・クインシー賞(仏GⅢ)

1990

Soviet Line

ロッキンジS(英GⅠ)2回・キヴトンパークS(英GⅢ)・スプリームS(英GⅢ)・香港国際ボウル(香GⅢ)・ファイアクラッカーBCH(米GⅢ)・フォースターデイヴH(米GⅢ)・ロバートFケアリー記念H(米GⅢ)・メイカーズマークマイルS(米GⅢ)

1991

Freedom Cry

アルクール賞(仏GⅡ)・メルセデスベンツ大賞(独GⅡ)・ジョンシェール賞(仏GⅢ)・パース賞(仏GⅢ)

1991

Volochine

バーナードバルークH(米GⅡ)

1991

Wessam Prince

ベナツェットレネン(独GⅢ)

1992

Far Ahead

エボアH

1993

Advancing Star

ラスシエネガスH(米GⅢ)・ハリウッドターフエクスプレスH(米GⅢ)・ランチョベルナルドH(米GⅢ)

1993

Ashkalani

仏2000ギニー(仏GⅠ)・ムーランドロンシャン賞(仏GⅠ)・トーマブリョン賞(仏GⅢ)・フォンテーヌブロー賞(仏GⅢ)

1993

Pasternak

ケンブリッジシャーH

1993

Sensation

ファルマスS(英GⅡ)・サンドランガン賞(仏GⅢ)

1994

Clerio

愛メイトロンS(愛GⅢ)

1994

Starborough

ジャンプラ賞(仏GⅠ)・セントジェームズパレスS(英GⅠ)

1995

Limpid

パリ大賞(仏GⅠ)

1996

ジェットバード

いぬ鷲賞(金沢)

1997

トスターバロン

プリンセス特別(SPⅢ)

1998

ファイテングボーイ

サラブレッドヤングチャンピオン(金沢)

1999

セフティーエンペラ

福島記念(GⅢ)

2000

Russian Pearl

ベイヤークラシック(新GⅠ)・香港スチュワーズC

2000

Starcraft

チッピングノートンS(豪GⅠ)・AJCダービー(豪GⅠ)・マッジウェイパーツワールドS(新GⅠ)・ムーランドロンシャン賞(仏GⅠ)・クイーンエリザベスⅡ世S(英GⅠ)・タロックS(豪GⅡ)・ストーニーブリッジS(新GⅡ)・ザデボネア(豪GⅢ)

2002

Democratic Deficit

レイルウェイS(愛GⅡ)・クレイヴンS(英GⅢ)・バリーコーラスS(愛GⅢ)

2003

Boris de Deauville

アルクール賞(仏GⅡ)・ギシュ賞(仏GⅢ)・ゴントービロン賞(仏GⅢ)

2003

Pressing

ローマ賞(伊GⅠ)・ダルマイヤー大賞(独GⅠ)・リボー賞(伊GⅡ)・カルロヴィッタディーニ賞(伊GⅡ)2回・トプカピトロフィー(土GⅡ)・アンブロシアノ賞(伊GⅢ)・フェデリコテシオ賞(伊GⅢ)

2003

Rosinka

グレンズフォールズH(米GⅢ)

2004

Buccellati

セントサイモンS(英GⅢ)・オーモンドS(英GⅢ)

2005

Eva's Request

リディアテシオ賞(伊GⅠ)・ウェルドパークS(愛GⅢ)・プリンセスエリザベスS(英GⅢ)

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