アフリカンストーリー

和名:アフリカンストーリー

英名:African Story

2007年生

栗毛

父:ピヴォタル

母:ブリクセン

母父:ゴーンウエスト

現役当初は仏国のマイル短距離路線で地道に走っていたが、ドバイ転厩後に開花して7歳時に出走したドバイワールドCをコースレコードで制覇する

競走成績:3~8歳時に仏首香で走り通算成績21戦8勝2着4回3着3回

誕生からデビュー前まで

英国ダーレースタッドにおいて、同牧場の所有者であるドバイのシェイク・モハメド殿下により生産・所有され、仏国アンドレ・ファーブル調教師に預けられた。

競走生活(3・4歳時)

デビューは遅くなり、3歳11月にサンクルー競馬場で行われたボラ賞(1600m)だった。ミカエル・バルザローナ騎手が騎乗する本馬は、単勝オッズ9.9倍で8頭立て7番人気の評価だったが、単勝オッズ4.5倍の1番人気馬ダパオリーノを2馬身半差の2着に抑えて勝利した。

次走は翌11月に同じくサンクルー競馬場で行われたスービエ賞(T1600m)だった。今回はピエールシャルル・ブドー騎手とコンビを組み、単勝オッズ3.3倍で12頭立ての1番人気に支持された。しかし結果は単勝オッズ4.6倍の2番人気馬ラウンドミッドナイトが勝利を収め、本馬は1馬身半差の2着だった。3歳時の成績は2戦1勝だった。

4歳時は3月にドーヴィル競馬場で行われたダイイ賞(AW1500m)から始動した。マキシム・ギュイヨン騎手が騎乗する本馬は、単勝オッズ2.5倍で8頭立ての1番人気に支持された。レースでは馬群の後方を進み、残り400m地点で仕掛けて残り200m地点で先頭に立ち、2着となった単勝オッズ21倍の7番人気馬ロビンデュノールに2馬身半差をつけて快勝した。

次走は翌4月にロンシャン競馬場で行われたグロカイユ賞(T1400m)となった。今回もギュイヨン騎手が騎乗した本馬は、単勝オッズ2.8倍で9頭立ての1番人気に支持された。しかしここでは、単勝オッズ5.7倍の2番人気馬ソーロングマルピックの1馬身半差2着に敗れてしまった。

次走は翌5月にシャンティ競馬場で行われたアリカーン賞(T1200m)となった。このレースはそれが特徴なのか、それとも英愛の障害競走ナショナルハントに存在するような障害競走馬を目指すための平地競走なのかは不明だが、全出走馬が64.5kg以上の斤量を課されていた。ここではアマチュア騎手のフロレン・ガイ騎手が騎乗した本馬は、単勝オッズ2.8倍で8頭立て1番人気の評価を受けた。しかし結果は単勝オッズ3.9倍の2番人気馬スペクタクルドマルスが勝利を収め、本馬は2馬身半差の3着に敗れた。

次走は翌6月にロンシャン競馬場で行われたパレロワイヤル賞(仏GⅢ・T1400m)となった。対戦相手は、サンチャリオットS2回・パン賞の勝ち馬で日本のマイルCSと香港マイルで3着していたサプレザ、インプルーデンス賞の勝ち馬ムーンライトクラウド、サンドリンガム賞3着馬エヴァポレーションなどだった。ムーンライトクラウドが単勝オッズ1.9倍の1番人気、サプレザが単勝オッズ5.6倍の2番人気、ギュイヨン騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ7倍の3番人気となった。このレースでは本馬は8頭立ての4番手を追走したが、道中で馬群に閉じ込められてしまい、残り100m地点でようやく抜け出た時には既に遅く、勝ったサプレザから2馬身半差の4着に敗れた。

次走は翌7月に同じくロンシャン競馬場で行われたポルトマイヨ賞(仏GⅢ・T1400m)となった。対戦相手は、前走でサプレザから1馬身半差の2着だったムーンライトクラウド、前走で本馬に短頭差先着する3着だったエヴァポレーション、モーリスドギース賞3連覇の他にジュライC・アベイドロンシャン賞・ポルトマイヨ賞2回・グロシェーヌ賞・サンジョルジュ賞も勝っていた3年前のカルティエ賞最優秀短距離馬マルシャンドールなどだった。ムーンライトクラウドが単勝オッズ2.2倍の1番人気、ギュイヨン騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ7倍の2番人気で、全盛期を過ぎていたマルシャンドールは単勝オッズ9.8倍の5番人気だった。レースは前走で追い上げて届かなかったムーンライトクラウドが先行して、本馬は前走と同じく馬群の中団を進んだ。そして残り200m地点で先頭のムーンライトクラウドに本馬が並びかけて一騎打ちとなった。しかしムーンライトクラウドが競り勝ち、本馬は頭差の2着と惜敗した。

次走は翌8月にドーヴィル競馬場で行われたクインシー賞(仏GⅢ・T1600m)となった。16日前のGⅢ競走リューレイ賞を勝ってきたばかりのサンディーズチャームが単勝オッズ2.875倍の1番人気、ギュイヨン騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ3.5倍の2番人気、クリテリウム国際2着馬サルトが単勝オッズ5倍の3番人気となった。スタートが切られるとサンディーズチャームが先頭に立ち、本馬やサルトは馬群の中団を進んだ。しかしレースは先行した単勝オッズ15倍の5番人気馬ジナバーがサンディーズチャームを短首差で競り落として勝ってしまい、本馬はサンディーズチャームから1馬身半差の3着に敗れた。4歳時はこれが最後のレースで、この年の成績は6戦1勝だった。

競走生活(5歳時)

5歳時は馬主がゴドルフィン名義に代わり、ドバイのサイード・ビン・スルール厩舎に転厩。この後はほぼ全て地元ドバイのメイダン競馬場のレースに出ることになった。

まずは1月のファウンデーションH(AW1400m)に出走。F・デットーリ騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持され、エインシェントタイトルS3着などの実績があった8歳馬バーベキューエディが単勝オッズ4.5倍の2番人気となった。レースは本馬とバーベキューエディの2頭が揃って先行。残り400m地点で先に先頭に立ったのはバーベキューエディのほうだったが、本馬が残り100m地点で差し切り、1馬身差をつけて勝利した。

次走は翌2月のファイアブレイクS(首GⅢ・AW1600m)となった。南アフリカ最大の競走ダーバンジュライとマクトゥームチャレンジR2を勝っていた長期休養明けのボールドシルヴァノが単勝オッズ1.67倍の1番人気、本馬のデビュー戦で手綱を取った後にプールモアで英ダービーを制して19歳の若さで英ダービー騎手となっていたバルザローナ騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ5.5倍の2番人気となった。本馬とボールドシルヴァノはいずれも馬群の中団を進んだ。しかしこの2頭より一足先に仕掛けた単勝オッズ21倍の6番人気馬サンダジールと単勝オッズ41倍の最低人気馬タマーザルの2頭に揃って届かず、本馬は勝ったサンダジールから僅か首差の3着に敗れた。

次走は翌3月のバージナハール(首GⅢ・AW1600m)となった。南アフリカのGⅠ競走ゴールデンホースシューの他にUAE2000ギニー・UAEダービー・マクトゥームチャレンジR3・アルラシディヤとドバイのグレード競走を4勝していたムジールが単勝オッズ1.73倍の1番人気で、デットーリ騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ6倍の2番人気となった。

スタートが切られると単勝オッズ51倍の最低人気馬カバンゴが先頭に立ち、ムジールは中団を進んだ。一方の本馬は前走で届かなかった反省を活かそうとしたのか、逃げるカバンゴを積極的に追いかけた。結果的にこの作戦は当たりだったようで、残り300m地点で先頭に立つと、本馬と同じく先行して2着に粘った単勝オッズ34倍の10番人気馬スナーフィに4馬身差をつけて快勝し、グレード競走初勝利を挙げた。また、この勝利は父ピヴォタルにとって記念すべき産駒のステークス競走100勝目でもあった。

次走はドバイミーティングの一環ゴドルフィンマイル(首GⅡ・AW1600m)となった。対戦相手は、米国のGⅠ競走ジャマイカHを勝ちハリウッドダービーで3着していたウェスタンアリストクラット、英国のGⅡ競走チャレンジSの勝ち馬でクイーンエリザベスⅡ世S3着のレッドジャズ、本馬を破ったファイアブレイクSの次走ザビールマイルでは4着だったサンダジール、そのザビールマイルを勝利したドゥイットオール、ドバイのGⅡ競走アルファヒディフォートを勝ってきた一昨年の愛2000ギニー・エクリプスS3着馬ヴィスカウントネルソン、パシフィッククラシックS2回・グッドウッドS・サンアントニオHを勝ちハリウッド金杯3着の実績もある実力馬だが近走は不振が続いていたリチャーズキッドなどだった。デットーリ騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ1.83倍の1番人気、ウェスタンアリストクラットが単勝オッズ7倍の2番人気、レッドジャズが単勝オッズ11倍の3番人気、サンダジールが単勝オッズ12倍の4番人気、ドゥイットオールとヴィスカウントネルソンが並んで単勝オッズ13倍の5番人気となった。

スタートが切られるとレッドジャズが先頭に立ち、本馬は前走と同じく先行した。そして残り600m地点から徐々に加速すると、残り300m地点でレッドジャズをかわして先頭に立った。そして2着に追い込んできたヴィスカウントネルソンに4馬身差をつけて完勝した。

レース後に陣営は英国遠征の可能性も示唆したが、結局その後は香港に遠征して、5月のチャンピオンズマイル(香GⅠ・T1600m)に出走した。対戦相手は、前走ドバイデューティーフリーを勝ってきたジョエルS・ソロナウェイS・パース賞の勝ち馬でヴィットリオディカプア賞・香港マイル2着のシティスケープ、クイーンエリザベスⅡ世C・香港ダービー・香港金杯の勝ち馬アンビシャスドラゴン、7戦5勝2着2回の地元馬グロリアスデイズ、前年の香港スプリントを勝ちチャンピオンズマイルで2着していたラッキーナイン、チェアマンズトロフィーを勝ってきたアドミレイション、前年のチャンピオンズマイルの勝ち馬エクステンション、前年の香港マイルの勝ち馬でチャンピオンズマイルも2回勝っていたエイブルワン、バージナハール3着後に出走したドバイデューティーフリーで6着だったムジール、新1000ギニーの勝ち馬キングスローズ、一昨年の香港マイルの勝ち馬ビューティーフラッシュなどであり、かなり層が厚かった。シティスケープが単勝オッズ2.2倍の1番人気、アンビシャスドラゴンが単勝オッズ4.7倍の2番人気、グロリアスデイズが単勝オッズ6.6倍の3番人気、ラッキーナインが単勝オッズ12倍の4番人気で、英国を拠点に活動していた当時31歳のシルベストル・ド・スーザ騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ14倍の5番人気止まりだった。

スーザ騎手はブラジル出身で、18歳時にたまたまサンパウロで地元の名騎手ファウスト・ダーソー騎手と知り合ったのがきっかけで騎手を志したそうである。当初はまったく騎乗が上手にならず、自信を喪失しかけた事もあったそうだが、地道に成績を積み上げ、この前年2011年には英平地騎手ランキングで2位に入るまでになっていた。

スタートが切られると、これが現役最後のレースであるエイブルワンが先頭に立ち、本馬もそれを追って先行集団に入った。そして直線に入ると、エイブルワンを始めとする先行馬勢も粘り、後方待機馬勢も揃って末脚を伸ばしてきて、大混戦となった。しかし内側の経済コースをすり抜けてきた単勝オッズ18倍の7番人気馬エクステンションが2連覇を達成し、本馬はエクステンションから2馬身3/4差の6着に敗れた。5歳時はこれが最後のレースで、この年の成績は5戦3勝となった。

競走生活(6歳時)

6歳時からはドバイを離れることは無くなり、目標はドバイミーティングに絞る事になった。まずはバージナハール(首GⅢ・AW1600m)に出走。エドモンブラン賞・ファイアブレイクSの勝ち馬ムーンウォークインパリ、ブリーダーズフューチュリティS・ブルーグラスS・パシフィッククラシックSの勝ち馬でケンタッキーダービー3着のデュラハン、ジャンプラ賞の勝ち馬イソップスファーブルズ、前年のゴドルフィンマイルで3着だったレッドジャズ、前年のファイアブレイクSで6着に終わるも前々走のマクトゥームチャレンジR1を勝ってきたイソップスファーブルズなどが対戦相手となった。バルザローナ騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ3.75倍の1番人気、ムーンウォークインパリが単勝オッズ5倍の2番人気、デュラハンとイソップスファーブルズが並んで単勝オッズ6.5倍の3番人気、レッドジャズとイソップスファーブルズが並んで単勝オッズ13倍の5番人気となった。

スタートが切られると単勝オッズ15倍の7番人気馬ロイヤルリッジが先頭に立ち、今回の本馬は馬群の中団を進んだ。そして残り600m地点からのロングスパートを仕掛けた。残り300m地点で先頭に立った後もしっかりを脚を維持し、先行して2着に粘った単勝オッズ34倍の13番人気馬キャピタルアトラクションに2馬身1/4差をつけて勝利した。

マイル戦のバージナハールを叩いたわけだから次走はゴドルフィンマイルかと思われたが、出走したのはドバイワールドC(首GⅠ・AW2000m)だった。対戦相手は、前哨戦のマクトゥームチャレンジR2・マクトゥームチャレンジR3を連勝してきたローマ賞・ローズオブランカスターSの勝ち馬ハンターズライト、BCレディーズクラシック2回・アラバマS・ベルデイムS・ブラックアイスーザンS・フルールドリスH・デラウェアH・セイビンHの勝ち馬でベルデイムS・パーソナルエンスンH2着のロイヤルデルタ、一昨年のケンタッキーダービー・スパイラルSの勝ち馬でプリークネスS・BCマイル・ガルフストリームパークターフH2着のアニマルキングダム、ガネー賞・ノアイユ賞・アルクール賞の勝ち馬で仏ダービー・パリ大賞2着のプラントゥール、バージナハールで11着に終わっていたデュラハン、マクトゥームチャレンジR3で2着してきたカシアノ、パリ大賞・サンクルー大賞・ベルリン大賞の勝ち馬メオンドル、マクトゥームチャレンジR3の勝ち馬で前年のドバイワールドC2着のカッポーニ、愛ダービー・セクレタリアトSの勝ち馬で英ダービー・ターフクラシック招待S2着のトレジャービーチ、前年の香港ヴァーズ・ヨークシャーCの勝ち馬でメルボルンC・コロネーションC2着のレッドカドー、ソヴリンS・ダイオメドSの勝ち馬でクイーンアンS3着のサイドグランスの計11頭だった。ハンターズライトが単勝オッズ3.5倍の1番人気、ロイヤルデルタが単勝オッズ4倍の2番人気、アニマルキングダムが単勝オッズ6.5倍の3番人気、バルザローナ騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ9倍の4番人気、プラントゥールが単勝オッズ11倍の5番人気となった。

スタートが切られるとロイヤルデルタが先頭に立ち、ハンターズライトやアニマルキングダムも先行。一方の本馬はスタートしてしばらくは好位につけていたが、距離を意識したのか徐々に下げて、馬群の中団後方からレースを進めた。そして残り800m地点で仕掛けたが、他馬勢も一斉に加速したために順位は殆ど上げられず、9番手で直線に入ってきた。そして末脚不発に終わり、勝ったアニマルキングダムから7馬身差の5着に敗れた。6歳時は以降レースに出ることは無く、この年の成績は2戦1勝となった。

競走生活(7歳時)

7歳時は2月のマクトゥームチャレンジR2(首GⅡ・AW1900m)から始動した。前年と異なり、この年は最初からドバイワールドCが目標だったのは確実である。対戦相手は、前年のドバイワールドCで7着だったハンターズライト、ダーバンジュライ・チャンピオンズチャレンジと南アフリカのGⅠ競走を2勝していたヘヴィメタル、ベレスフォードS・バリサックスS・デリンズタウンスタッドダービートライアルSの勝ち馬バトルオブマレンゴ、メルボルンC・香港ヴァーズ・コーフィールドC・バルブヴィル賞の勝ち馬でコロネーションC・サンクルー大賞2着・ガネー賞・香港ヴァーズ3着のドゥーナデン、コンセイユドパリ賞・プランスドランジュ賞・セプテンバーSの勝ち馬でマクトゥームチャレンジR3では2年連続3着だった同馬主同厩のプリンスビショップ、前年の同競走2着馬サーファーなどだった。スーザ騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ4倍の1番人気、ハンターズライトが単勝オッズ5倍の2番人気、ヘヴィメタルが単勝オッズ9倍の3番人気となった。

スタートが切られると単勝オッズ11倍の4番人気馬アルティジャーノが先頭に立ち、本馬は今回も後方からレースを進めた。そして加速しながら直線に入って追い上げてきたが、中団から早めに抜け出していた単勝オッズ15倍の9番人気馬プリンスビショップに届かずに、1馬身1/4差の2着に敗れた。

次走は本番と全く同じコースと距離で行われるマクトゥームチャレンジR3(首GⅠ・AW2000m)となった。対戦相手は、プリンスビショップ、前走8着のサーファー、前年のドバイワールドC4着後にマッキノンSを勝ちアーリントンミリオンで3着していたサイドグランス、加国際S3回・ロイヤルロッジS・ケルゴルレイ賞の勝ち馬で加国際S2着・コロネーションC3着のジョシュアツリー、それに、日本で活躍したノボトゥルーの甥に当たるキャットオマウンテン、UAEダービー2着馬エレーヴァル、サンショーウェズといった地元ドバイ勢などだった。ウィリアム・ビュイック騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ2倍の1番人気、プリンスビショップが単勝オッズ6倍の2番人気、キャットオマウンテンが単勝オッズ9倍の3番人気となった。

スタートが切られると単勝オッズ41倍の11番人気馬ムタジャレが先頭に立ち、本馬は馬群の中団後方につけた。そして加速しながら直線に入ってきたが、前走よりも末脚の伸びが悪く、今回も中団から抜け出して勝ったプリンスビショップから3馬身1/4差の8着に敗れた。

本番のドバイワールドC(首GⅠ・AW2000m)では、プリンスビショップ、前走2着のサンショーウェズ、同3着のサーファー、同4着のキャットオマウンテン、同7着のサイドグランス、クイーンエリザベスⅡ世C・シンガポール航空国際C・香港金杯の勝ち馬ミリタリーアタック、前年の英ダービー・チェスターヴァーズの勝ち馬で英チャンピオンS3着のルーラーオブザワールド、香港C・香港ダービーの勝ち馬アキードモフィード、ヨークS・ブリガディアジェラードSの勝ち馬でプリンスオブウェールズS2着・エクリプスS3着のムカドラム、キングエドワードⅦ世Sの勝ち馬でキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS3着のヒルスター、前年のドバイワールドC2着後に勝ち星こそ無かったがメルボルンC2着・天皇賞春3着と活躍していたレッドカドー、ジェベルハッタで2着してきたギョームドルナノ賞の勝ち馬バンクーバーライト、サンタアニタH・スティーヴンフォスターH・ジョッキークラブ金杯の勝ち馬でホイットニー招待H2着・スティーヴンフォスターH3着のロンザグリーク、日本から参戦してきたジャパンCダート・武蔵野Sの勝ち馬で東京優駿・フェブラリーS3着のベルシャザール、かしわ記念・帝王賞・東京大賞典・川崎記念・レパードS・佐賀記念・名古屋大賞典・アンタレスSの勝ち馬でマイルCS南部杯・フェブラリーS2着・ジャパンCダート2回3着のホッコータルマエの計15頭が対戦相手となった。ミリタリーアタックが単勝オッズ4倍の1番人気、ルーラーオブザワールドが単勝オッズ7倍の2番人気、プリンスビショップとアキードモフィードが並んで単勝オッズ9倍の3番人気、スーザ騎手が騎乗する本馬とサンショーウェズが並んで単勝オッズ13倍の5番人気となった。

スタートが切られると単勝オッズ15倍の7番人気馬ムカドラムが先頭に立ち、本馬は過去数戦の中団待機策を捨てて先行した。ホッコータルマエやルーラーオブザワールドも先行し、ミリタリーアタックやベルシャザールは中団、プリンスビショップは後方からレースを進めた。ムカドラムの手応えはレース終盤に差し掛かっても良く、直線に入っても粘り続けた。先行馬勢は直線に入ると概ね失速したが、本馬のみは例外で、直線入り口で2馬身ほどあったムカドラムとの差を縮めにかかった。そして残り200m地点でムカドラムに並びかけると、ここでようやく脚色が衰え始めたムカドラムを置き去りにして突き抜けた。最後は鞍上のスーザ騎手が派手なガッツポーズを見せながらゴールインし、2着ムカドラムに2馬身3/4差、3着キャットオマウンテンにはさらに4馬身1/4差をつけて、2分01秒61のコースレコードで優勝した。

7歳馬の同競走制覇は、1996年のシガー、2004年のプレザントリーパーフェクト、2009年のウェルアームド、2010年のグロリアデカンペオンの4頭(厳密には南半球産馬であるグロリアデカンペオンが4頭中最年長となる)の記録を更新する、史上最年長勝利となった。スーザ騎手は前年のドバイターフ・ロッキンジS・英チャンピオンSを勝っていたが、世界最高峰のレースを勝ったのは初めてであり、「それは実に素晴らしい感覚でした」と喜んだ。7歳時はこれが最後のレースで、この年の成績は3戦1勝だった。

競走生活(8歳時)

8歳時もドバイワールドC2連覇を目指して現役を続行。まずは前年と同じくマクトゥームチャレンジR2(首GⅡ・D1900m)から始動した。ところで、前年までメイダン競馬場はダートではなくオールウェザーを使用していたが、この年からダートに変更していた。そのため、本馬にとってはこれが生涯初のダート競走となった。対戦相手は、前年のドバイワールドC9着後にセプテンバーSを勝っていたプリンスビショップ、前年のドバイワールドCでは15着に終わるも前月のマクトゥームチャレンジR1を勝ってきたサーファー、マクトゥームチャレンジR1で2着してきたフランキーフォーフィンガーズ、米国のGⅢ競走ペガサスSの勝ち馬ルベルナルダン、亜国のGⅠ競走ナシオナル大賞の勝ち馬クープタードなどだった。この年の本馬の主戦を務めるジェームズ・ドイル騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ3.25倍の1番人気、プリンスビショップが単勝オッズ4.33倍の2番人気、サーファーが単勝オッズ4.5倍の3番人気、フランキーフォーフィンガーズが単勝オッズ7倍の4番人気となった。

スタートが切られるとフランキーフォーフィンガーズが先頭に立ち、本馬は馬群の中団を追走した。しかし直線で先行馬勢を抜き去るような末脚を披露することは出来ず、逃げ切って勝ったフランキーフォーフィンガーズから6馬身1/4差の7着に敗れた。

次走のマクトゥームチャレンジR3(首GⅠ・D2000m)では、フランキーフォーフィンガーズ、前走2着のプリンスビショップ、同3着のルベルナルダン、前年のジョッキークラブ金杯3着馬ロングリヴァーなどが対戦相手となり、レベルは前走とほぼ同様だった。人気順には変動があり、プリンスビショップが単勝オッズ2.5倍の1番人気、フランキーフォーフィンガーズが単勝オッズ4倍の2番人気、本馬が単勝オッズ6.5倍の3番人気となった。

スタートが切られると単勝オッズ21倍の6番人気馬ヘンリークレイが、フランキーフォーフィンガーズのハナを叩いて先頭に立った。本馬は前走から戦術を変えて先行した。そして残り600m地点からスパートして直線に入ると、逃げ粘るヘンリークレイを残り200m地点で抜き去った。そこへ後方からの追い込みに賭けたプリンスビショップが強襲してきて、ゴール前ではほぼ並ばれたが、首差だけ凌いで勝利を収めた。

そして史上初の2連覇をかけてドバイワールドC(首GⅠ・D2000m)に参戦した。対戦相手は、プリンスビショップ、前走9着最下位のロングリヴァー、ケンタッキーダービー・プリークネスS・ハリウッドダービー・サンフェリペSを勝っていた前年のエクリプス賞年度代表馬カリフォルニアクローム、ドンH・ハルズホープS2回の勝ち馬で前走ドンH2着のリー、ロバートBルイスSの勝ち馬でキャッシュコールフューチュリティ2着・サンタアニタダービー3着のキャンディボーイ、前年のドバイワールドCで4着だったサイドグランス、日本から参戦してきた菊花賞・ジャパンC・神戸新聞杯・ラジオNIKKEI杯2歳Sの勝ち馬で皐月賞・東京優駿2着のエピファネイア、前年のドバイワールドC16着最下位後にチャンピオンズC・東京大賞典・川崎記念を勝っていたホッコータルマエで、計8頭が対戦相手となった。カリフォルニアクロームが単勝オッズ2.25倍の1番人気、リーが単勝オッズ5倍の2番人気、エピファネイアが単勝オッズ7.5倍の3番人気、本馬とホッコータルマエが並んで単勝オッズ9倍の4番人気となった。

スタートが切られるとホッコータルマエが先頭に立ち、本馬はカリフォルニアクロームと一緒に先行した。しかし直線に入る前から手応えが悪くなり、勝ち馬から13馬身半差をつけられた6着に完敗。勝ったのは、後方待機策から追い込んだ単勝オッズ15倍の6番人気馬プリンスビショップだった。そしてこのレースの約1か月後に陣営から本馬とプリンスビショップの2頭が競走馬を引退する旨が発表された。今後はゴドルフィンが所有する牧場で余生を過ごすと思われる。

血統

Pivotal Polar Falcon Nureyev Northern Dancer Nearctic
Natalma
Special Forli
Thong
Marie D'Argonne Jefferson Charlottesville
Monticella
Mohair Blue Tom
Imberline
Fearless Revival Cozzene Caro フォルティノ
Chambord
Ride the Trails Prince John
Wildwook
Stufida Bustino Busted
Ship Yard
Zerbinetta Henry the Seventh
Yucatan
Blixen Gone West Mr. Prospector Raise a Native Native Dancer
Raise You
Gold Digger Nashua
Sequence
Secrettame Secretariat Bold Ruler
Somethingroyal
Tamerett Tim Tam
Mixed Marriage
Danish デインヒル Danzig Northern Dancer
Pas de Nom
Razyana His Majesty
Spring Adieu
Tea House Sassafras Sheshoon
Ruta
House Tie Be Friendly
Mesopotamia

ピヴォタルは当馬の項を参照。

母ブリクセンは米国産馬で、競走馬としては愛国で走り3戦1勝だった。ブリクセンの母ダニッシュは、クイーンエリザベスⅡ世CCS(米GⅠ)・サラトガBCH(米GⅢ)に勝ち、フラワーボウル招待S(米GⅠ)・ダイアナH(米GⅡ)・シープスヘッドベイH(米GⅡ)・ニューヨークH(米GⅡ)2回で2着、フラワーボウル招待S(米GⅠ)で3着するなど25戦6勝の成績を挙げた活躍馬。ダニッシュの全弟にはホークアイ【デズモンドS(愛GⅢ)】と、BCターフ(米GⅠ)2着の実績もあるエース【デズモンドS(愛GⅢ)】がいる。ダニッシュの母ティーハウスの半妹イティサールの孫にはキングズバーンズ【レーシングポストトロフィー(英GⅠ)】が、ティーハウスの半妹ジャマイカンパンチの曾孫にはリップヴァンウィンクル【サセックスS(英GⅠ)・クイーンエリザベスⅡ世S(英GⅠ)・英国際S(英GⅠ)】がいる。ドバイワールドCで本馬の2着に敗れた3か月後にエクリプスS(英GⅠ)を勝ったムカドラムは、ティーハウスの従姉妹の孫チェロキーローズ【モーリスドギース賞(仏GⅠ)・スプリントC(英GⅠ)】の曾孫であるから、本馬の遠縁に当たる。ホーリング【エクリプスS(英GⅠ)2回・英国際S(英GⅠ)2回・イスパーン賞(仏GⅠ)】やアルカセット【ジャパンC(日GⅠ)・サンクルー大賞(仏GⅠ)】も同じ牝系。→牝系:F10号族②

母父ゴーンウエストは当馬の項を参照。

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