和名:スプリンターサクレ |
英名:Sprinter Sacre |
2006年生 |
騙 |
黒鹿 |
父:ネットワーク |
母:ファティマ |
母父:バヨリダーン |
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短距離チェイス界で圧倒的な強さを発揮し英タイムフォーム社のレーティングで1970年代以降では最高となる192ポンドの評価を得た歴史的名障害競走馬 |
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競走成績:2016年開始時点で現役競走馬。4~9歳時に英愛で走り通算成績21戦15勝2着3回3着1回(うち障害19戦13勝2着3回3着1回) |
まだ現役競走馬ではあるが、英タイムフォーム社のスティープルチェイス部門のレーティングにおいて、いずれも1960年代に活躍したアークルとフライングボルトの2頭に次ぐ第3位となる192ポンドの評価を獲得している、過去50年間における最強スティープルチェイサー。
誕生からデビュー前まで
クリストフ・マスレ氏により生産された仏国産馬で、キャロライン・モールド氏の所有馬となり、英国ニッキー・ヘンダーソン調教師に預けられた。デビューは平地競走ではあるが、英愛の障害競走ナショナルハントが施行する将来の障害競走馬育成用の平地競走が初戦だったところを見ると、最初から障害競走を目標としていたのは間違いないようである。
競走生活(09/10・10/11シーズン)
2009/10シーズンの2月にアスコット競馬場で行われた距離15.5ハロンの平地競走で主戦となるバリー・ジェラティ騎手を鞍上にデビューして、単勝オッズ1.73倍の1番人気に支持された。レースでは中団を進み、道中で進路が塞がる不利がありながらも残り4ハロン地点で仕掛けて、残り1ハロン地点で先頭に立った。そこへ最後方からの追い込みに賭けた単勝オッズ4.33倍の2番人気馬キングオブザナイトが襲い掛かってきて並ばれたが、斤量は本馬が13ポンド軽かった事もあって競り勝ち、鼻差で勝利した。
引き続き4月にエアー競馬場で行われた距離16ハロンの平地競走に出走。ここでは単勝オッズ2.625倍の1番人気だった。今回も中団に控えると、残り4ハロン地点で進出を開始。残り1ハロン地点で先頭に立つという、前走とほぼ同様の走りを見せた。今回は迫ってくる馬はおらず、2着に逃げ粘った単勝オッズ6倍の2番人気馬イエストムに4馬身差をつけて勝利した。
09/10シーズンはこの2戦で終了。翌10/11シーズンから障害競走に参入した。他の歴史的名スティープルチェイサー達と同様に、最初は飛越の難易度が低いハードル分野に向かった。
11月にアスコット競馬場で行われたレッドストーンノービスハードル(19.5F)に出走。単勝オッズ2.2倍の1番人気に支持された。今回も序盤は抑え気味に進み、レース中盤から加速して、逃げていた単勝オッズ4.33倍の3番人気馬フラスカティパークを追撃。しかし最後まで届かず、1馬身3/4差の2着に敗れた。
次走は翌年2月にフォスラス競馬場で行われたウィリアムヒルノービスハードル(16F)となった。ここでは単勝オッズ1.22倍という断然の1番人気に支持された。今回は逃げ馬を追って積極的に先行。最後から3番目の障害で先頭に立つと、そのままゴールまで後続を引き離し続け、2着となった単勝オッズ21倍の5番人気馬ソルシレラに10馬身差をつけて圧勝した。
次走は2週間後にアスコット競馬場で行われたトリソフトノービスハードル(15.5F)となった。ここでは単勝オッズ1.3倍の1番人気だった。このレースは異常にペースが遅かったために本馬は掛かってしまい、ジェラティ騎手が懸命に宥めながら先行集団を走っていた。障害が残り4つとなった時点でジェラティ騎手が本馬の脚を解き放つと、待っていましたとばかりに先頭に立って後続馬を引き離した。その後の3つの障害も難なく攻略し、14ポンドのハンデを与えた単勝オッズ4.5倍の2番人気馬ポリスキーを7馬身差の2着に破って勝利した。
次走は5月にチェルトナム競馬場で行われたシュプリームノービスハードル(英GⅠ・16.5F)となった。このレースには、GⅠ競走チャンピオンバンパーとGⅡ競走チェルトナムコレクションシャープノービスハードルをいずれも8馬身差で勝っていたキューカード、前走のリステッド競走ベットフェアフォン&アンドロイドAPPノービスハードルを21馬身差で圧勝してきたスピリットソン、GⅡ競走ウインターバンパーの勝ち馬でチャンピオンバンパー2着のアルフェロフ、GⅠ競走ロイヤルボンドノービスハードルの勝ち馬でフューチャーチャンピオンノービスハードル・デロイトノービスハードルとGⅠ競走2戦連続2着中のザイドプール、GⅢ競走トートスポーツトロフィーハードルを含む3連勝中のリセッションプルーフといった有力馬勢が挙って参戦してきた。キューカードが単勝オッズ2.75倍の1番人気、スピリットソンが単勝オッズ6倍の2番人気、アルフェロフが単勝オッズ11倍の3番人気、本馬とザイドプールが並んで単勝オッズ12倍の4番人気となった。ジェラティ騎手がスピリットソンに騎乗したため、本馬にはトニー・マッコイ騎手が騎乗した。レースでは本馬は先行し、残り3番目の障害の手前で先頭に立った。しかし最終障害で飛越に失敗し、落馬はしなかったが大きく失速。その隙にアルフェロフとスピリットソンの2頭に差されてしまい、勝ったアルフェロフから5馬身1/4差の3着に敗れた。10/11シーズンの成績は4戦2勝だった。
競走生活(11/12シーズン)
翌11/12シーズンからは、戦いの舞台をハードルからチェイスに移した。
まずは12月にドンカスター競馬場で行われたアティスソリシターズノービスチェイス(16.5F)から始動した。このレースではデヴィッド・バス騎手が本馬に騎乗して、単勝オッズ1.22倍という断然の1番人気に支持された。バス騎手は本馬を無理に抑えずに、行きたいがままに走らせた。それでも本馬は順調に障害を飛越していき、レース中盤で先頭に立った。後は延々と後続馬を引き離すだけとなり、2着となった単勝オッズ7倍の2番人気馬ライトニングロッドに24馬身差をつけて大圧勝した。
次走は同月末にケンプトンパーク競馬場で行われたウィリアムヒルノービスチェイス(英GⅡ・16F)となった。対戦相手は僅か2頭だったが、そのうちの1頭ペドラーズクロスは、GⅠ競走ネプチューンインヴェストメントマネージメントノービスハードル・ファイティングフィフスハードル・GⅡ競走マージーノービスハードルを勝ち、英チャンピオンハードルで2着していた強豪だった。ペドラーズクロスが単勝オッズ1.8倍の1番人気、ジェラティ騎手が鞍上に復帰した本馬が単勝オッズ2.1倍の2番人気で、もう1頭の出走馬ハリーハントは単勝オッズ41倍だった。レースはペドラーズクロスが第1障害からいきなり飛越にもたつき、ハリーハントもずっと後方だったため、結局本馬が先頭を走ることになった。それでも本馬は障害を楽に攻略していき、最終障害を無事に飛越した時点で既に勝負あり。ペドラーズクロスを16馬身差の2着に葬り去って圧勝した。
次走は年明け2月にニューベリー競馬場で行われたベットフェアスーパーサタデーチェイス(英GⅡ・16.5F)となった。本馬以外にこれといった馬は出走しておらず、本馬が単勝オッズ1.4倍の1番人気に支持された。スタート直後は抑え気味に入ったが、前の馬達が飛越にもたついているのを見てとったジェラティ騎手は、さっさと本馬を先頭に立たせた。そして余力残しの競馬で、2着となった単勝オッズ17倍の4番人気馬フレンチオペラに6馬身差をつけて勝利した。
次走は英国障害競走の祭典チェルトナムフェスティバルのアークルチャレンジトロフィー(英GⅠ・16F)となった。対戦相手は、シュプリームノービスハードルで本馬を3着に破った後にやはりチェイスに転向してGⅠ競走ヘンリーⅧ世ノービスチェイス・GⅡ競走インディペンデント紙ノービスチェイスを勝っていたアルフェロフ、シュプリームノービスハードルで本馬から1馬身1/4差の4着に終わった後にやはりチェイスに転向していたキューカード、GⅠ競走シュプリームノービスハードル・GⅡ競走スタンジェームス国際ハードル・GⅢ競走グレートウッドハードルの勝ち馬メノラー、GⅠ競走ヘラルドチャンピオンノービスハードル・レーシングポストノービスチェイスの勝ち馬ブラックステアマウンテンなど5頭だった。本馬が単勝オッズ1.73倍の1番人気に支持され、アルフェロフが単勝オッズ4倍の2番人気、キューカードが単勝オッズ7.5倍の3番人気、メノラーが単勝オッズ11倍の4番人気となった。レースはキューカードが先頭を引っ張り、本馬は3番手を追走した。キューカードが最後から5番目の障害で飛越に手間取って失速したため、本馬が進出してきて先頭を奪取。あとは何一つ危ない場面は無く、ゴール前では流して走り、2着キューカードに7馬身差、3着メノラーにはさらに22馬身差をつけて圧勝した。
翌4月にはエイントリー競馬場でマグフルノービスチェイス(英GⅠ・16F)に出走。本馬に恐れをなしたのか対戦相手は僅か3頭で、実績的にも不足していた。そのために本馬が単勝オッズ1.14倍という圧倒的な1番人気に支持された。本馬はレース前半を2番手で進み、ちょうどレース中間地点で先頭に立った。後はお得意の独走劇をゴールまで披露し、2着となった単勝オッズ11倍の2番人気馬トウバブに13馬身差をつけて勝利した。11/12シーズンの成績は5戦全勝だった。
競走生活(12/13シーズン)
12/13シーズンは、12月にサンダウンパーク競馬場で行われたティングルクリークチェイス(英GⅠ・15.5F)から始動した。このレースには、スコティッシュチャンピオンハードル・セレブレーションチェイス・デザートオーキッドチェイスとGⅡ競走を3勝していたサンクチュアリという馬も参戦してきて、本馬との2強ムードとなった。本馬が単勝オッズ1.36倍の1番人気、サンクチュアリが単勝オッズ3.75倍の2番人気で、3番人気のクンベシュワルという馬は単勝オッズ26倍だった。スタートが切られるとサンクチュアリが先頭に立って後続を一気に引き離した。本馬は珍しく第4障害で飛越に失敗する場面があったが、落馬はせずに、サンクチュアリから8馬身ほど離された2番手を進んだ。そして最後から3番目の障害の辺りで一気にサンクチュアリに迫ると、スタミナが切れたサンクチュアリを一気に抜き去って先頭に立った。その後は例によって独走状態となり、2着クンベシュワルに15馬身差、3着サンクチュアリにはさらに4馬身半差をつけて勝利した。
次走は翌年1月にチェルトナム競馬場で行われたヴィクターチャンドラーチェイス(英GⅠ・16.5F)となった。ティングルクリークチェイス3着後にGⅡ競走デザートオーキッドチェイスを勝ってきたサンクチュアリ、ティングルクリークチェイス2着後にそのデザートオーキッドチェイスで2着していたクンベシュワルに加えて、GⅠ競走ヴィクターチャンドラーチェイス・GⅡ競走ヘンリーⅧ世ノービスチェイスの勝ち馬サマースビーも出走してきたが、前評判は本馬断然。本馬が単勝オッズ1.2倍の1番人気、サンクチュアリが単勝オッズ7倍の2番人気、サマースビーが単勝オッズ9倍の3番人気、クンベシュワルが単勝オッズ26倍の4番人気となった。今回のサンクチュアリは逃げずに後方待機策を選択した。その代わりに単勝オッズ51倍の6番人気馬マッドムースが先頭に立ち、本馬は例によって2~3番手を進んだ。そして第6障害を飛越した直後に先頭に立つと、残り8つの障害も次々に飛越。そのまま独走して、2着に逃げ粘ったマッドムースに14馬身差をつけて勝利した。
次走は3月のチェルトナムフェスティバルのメイン競走の1つであるクイーンマザーチャンピオンチェイス(英GⅠ・16F)となった。このレースには、GⅠ競走ネイチャーノービスチェイス・アークルチャレンジトロフィー・ティングルクリークチェイス・ボイルズスポーツチャンピオンチェイス・パディパワーダイアルAベットチェイス・GⅡ競走クラドックスタウンノービスチェイス・プライスウォーターハウスクーパースチャンピオンチェイス・PWCチャンピオンチェイス・クロンメルオイルチェイス・コテージチェイス・GⅢ競走バックハウスノービスチェイスも勝っていた一昨年の同競走の覇者サイジングヨーロッパも出走してきた。ヴィクターチャンドラーチェイスで3着だったサマースビー、同4着だったサンクチュアリ、仏国のGⅡ競走ムラ賞・GⅢ競走トロイタウン賞の勝ち馬メールデュビーヴレ、前走のGⅡ競走ベットフェアスーパーサタデーチェイスを勝ってきたウィッシュフルシンキングなども出走していたが、大本命の本馬と対抗馬のサイジングヨーロッパの一騎打ちムードだった。本馬が単勝オッズ1.25倍の1番人気、サイジングヨーロッパが単勝オッズ7倍の2番人気、サンクチュアリとメールデュビーヴレが並んで単勝オッズ21倍の3番人気となった。スタートが切られるとメールデュビーヴレが先頭に立ち、本馬とサイジングヨーロッパは揃って先行。第9障害飛越時点で先に先頭に立ったのはサイジングヨーロッパのほうだった。しかし第10障害飛越時に本馬が先頭を奪い取り、その後は残り3つの障害を軽々と飛越しながら差を広げていった。最後は2着サイジングヨーロッパに19馬身差をつけて圧勝した。
まともに走ったサイジングヨーロッパほどの実力馬を19馬身もちぎった事で、英タイムフォーム社は本馬にスティープルチェイサー史上第3位となる192ポンドのレーティングを与えた。上位2頭のアークルとフライングボルトはかなり昔の馬であり、現代の馬と比較する事は困難であるから、本馬が近代スティープルチェイス最強馬として認められたことになった。
次走は4月にエイントリー競馬場で行われたメリングチェイス(英GⅠ・20F)となった。今まで2マイル前後の短距離チェイス競走を主戦場としてきた本馬にとっては長い距離だった。対戦相手は、前年のアークルチャレンジトロフィーで本馬の2着に敗れた後にGⅠ競走アスコットチェイス・ライアンエアーチェイス・GⅡ競走ハルドン金杯を勝っていたキューカード、GⅠ競走アークルノービスチェイス・パワーズ金杯・ジョンダーカン記念パンチェスタウンチェイス・GⅡ競走フォートリアチェイス・GⅢ競走ナースディレクターズプレートノービスチェイスの勝ち馬フレメンスター、GⅠ競走マグフルノービスチェイス2回・GⅡ競走キングメーカーノービスチェイス・デザートオーキッドチェイスも勝っていた前年のクイーンマザーチャンピオンチェイスの勝ち馬フィニアンズレインボー、GⅠ競走ベットフェアノービスチェイス・GⅡ競走オールドローンチェイスの勝ち馬フォーノンストップなどだった。本馬が単勝オッズ1.33倍の1番人気、キューカードとフレメンスターが並んで単勝オッズ8倍の2番人気、フィニアンズレインボーが単勝オッズ17倍の4番人気となった。スタートが切られるとキューカードが先頭に立ち、本馬は2番手を進んだ。通常であればレース中盤では既に先頭に立ってしまうのだが、ここでは距離を意識したのか、先頭に立ったのは最後から2番目の障害を飛越した時点だった。そして2着キューカードに4馬身半差、3着フレメンスターにはさらに19馬身差をつけて勝利。慎重にレースを進めたために今までのような圧勝では無かったが、この距離でも問題ないことを証明した。
次走は同月末にパンチェスタウン競馬場で行われたボイルズスポーツチャンピオンチェイス(愛GⅠ・16F)となった。このレースには、クイーンマザーチャンピオンチェイス以来の実戦となるサイジングヨーロッパも参戦してきた。本馬が単勝オッズ1.11倍の1番人気、サイジングヨーロッパが単勝オッズ7倍の2番人気、クラドックスタウンノービスチェイス・ヒリーウェイチェイス・パディパワーチェイスとGⅡ競走を3勝していたデイズホテルが単勝オッズ21倍の3番人気となった。レースはサイジングヨーロッパが逃げて、本馬が2番手でそれを追いかける展開となった。サイジングヨーロッパにしてみれば、なるべく本馬を引き離さないと勝ち目は無い状態だったが、本馬は獲物を狙う狩人のように直後を追いかけてきて、決して差を広げさせなかった。そして最後から2番目の障害で本馬がサイジングヨーロッパをかわして先頭に立った時点で、ほぼ勝負は決した。サイジングヨーロッパも必死に食い下がってきたが、本馬が着実に差を広げていき、最後は5馬身半差をつけて勝利した。サイジングヨーロッパも3着馬デイズホテルには33馬身差をつけており、その実力は十分に示したのだが、如何せん相手が悪かった。12/13シーズンはこれが最後のレースで、このシーズンの成績も5戦全勝だった。
競走生活(13/14・14/15シーズン)
13/14シーズンは12月にケンプトンパーク競馬場で行われたデザートオーキッドチェイス(英GⅡ・16F)から始動した。本馬が単勝オッズ1.22倍の1番人気、前走ティングルクリークチェイスでGⅠ競走制覇を飾ってきたGⅡ競走セレブレーションチェイスの勝ち馬サイアードグルギーが単勝オッズ5倍の2番人気となった。スタートが切られると単勝オッズ15倍の3番人気馬ファーゴが先頭に立って後続を引き離し、サイアードグルギーがそれを追いかけていった。ところが一方の本馬はどうも様子がおかしく、馬群の中に入って追走するのが精一杯といった雰囲気だった。そしてレースが半ばを過ぎたところで、ジェラティ騎手の判断により競走を中止。レースはサイアードグルギーが勝利した。レース後の検査で不整脈が判明し、心臓に負荷がかかっていた事が分かった。そのために13/14シーズンは以後全休となった。
14/15シーズンは、1月にアスコット競馬場で行われたクラレンスハウスチェイス(英GⅠ・17F)から復帰した。前走のティングルクリークチェイスでGⅠ競走制覇を飾ってきたGⅡ競走オプスエネルギーノービスチェイス・アークルトロフィートライアルノービスチェイス・ウィリアムヒルノービスチェイスの勝ち馬ドッジングバレッツ、前走のパディパワーダイアルAベットチェイスでGⅠ競走制覇を飾ってきたGⅡ競走クラドックスタウンノービスチェイス・ケリーグループヒリーウェイチェイス・フォートリアチェイス・GⅢ競走ウェザービーズアイルランドハードル・バリーブリットノービスチェイス・ポプラスクウェアチェイスの勝ち馬ツインライト、本馬が19馬身差で圧勝した一昨年のクイーンマザーチャンピオンチェイスで落馬競走中止になった後にGⅡ競走ハルドン金杯を勝っていたサマースビーなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ1.67倍の1番人気、ドッジングバレッツが単勝オッズ4.5倍の2番人気、ツインライトが単勝オッズ7倍の3番人気、サマースビーが単勝オッズ9倍の4番人気となった。スタートが切られるとサマースビーが出遅れながらも先頭を奪い、ツインライトが2番手、ドッジングバレッツが3番手、本馬が4番手を進んだ。最後から2番目の障害で本馬とドッジングバレッツの2頭が先頭で並んだが、ここから抜け出したのはドッジングバレッツのほうだった。本馬は3馬身差をつけられて2着に敗れ、競走中止以外では3年8か月ぶりの黒星を喫した。
次走は3月のクイーンマザーチャンピオンチェイス(英GⅠ・16F)となった。対戦相手は、ドッジングバレッツ、本馬が競走中止となったデザートオーキッドチェイスを勝った後にクラレンスハウスチェイス・クイーンマザーチャンピオンチェイス・セレブレーションチェイスとGⅠ競走を3連勝していたサイアードグルギー、前走のGⅡ競走ラッシュチェイスなど4連勝で臨んできたミスターモール、GⅠ競走マグフルノービスチェイス・GⅡ競走デザートオーキッドチェイスの勝ち馬スペシャルティアラ、前走4着のサマースビーなどだった。本馬が単勝オッズ3.25倍の1番人気、連覇がかかるサイアードグルギーが単勝オッズ3.5倍の2番人気、ドッジングバレッツが単勝オッズ5.5倍の3番人気となった。スタートが切られるとスペシャルティアラが先頭に立って後続を引き離し、ドッジングバレッツなどがそれを追いかけていった。しかし本馬は先行できずに馬群の中団を進んでいた。そして徐々に失速して最後尾まで落ち、レース終盤にジェラティ騎手の判断で競走を中止した。
この敗因は腰痛だったようで、治療を受けて早い段階で症状が治まったため、翌月にはサンダウンパーク競馬場でセレブレーションチェイス(英GⅠ・15.5F)に出走した。対戦相手は、前走2着のサマースビー、同3着のスペシャルティアラ、同8着のミスターモール、GⅠ競走ライアンエアーノービスチェイス・GⅡ競走ハルドン金杯の勝ち馬ゴッズオウン、GⅠ競走ヘンリーⅧ世ノービスチェイス・GⅡ競走ウィリアムヒルノービスチェイス・キングメーカーノービスチェイスの勝ち馬ヴィブラートヴァルタなどだった。スペシャルティアラが単勝オッズ4倍の1番人気、ジェラティ騎手に代わってニコ・デ・ボアンヴィル騎手が騎乗する本馬とミスターモールが並んで単勝オッズ5倍の2番人気、サマースビーとゴッズオウンが並んで単勝オッズ6倍の4番人気となり、本馬は2011年のウィリアムヒルノービスチェイスでペドラーズクロスに次ぐ2番人気になって以来久々に1番人気の座を他馬に明け渡した。ウィリアムヒルノービスチェイスではペドラーズクロスを16馬身差の2着に葬り去って、その人気順が誤りであることを立証した本馬だったが、ここではそれが出来なかった。スタートしてすぐに先頭に立ったスペシャルティアラが鮮やかに逃げ切ってしまい、先行した本馬は6馬身差をつけられた2着に敗れてしまった。14/15シーズンは3戦未勝利と、甚だ不本意なシーズンになってしまった。
競走生活(15/16シーズン)
15/16シーズンも現役を続行。まずは11月にチェルトナム競馬場で行われたシュラーチェイス(英GⅡ・16F)に出走した。対戦相手は、セレブレーションチェイスで本馬から3馬身3/4差の3着だったミスターモール、同競走で5着に終わっていたサマースビー、GⅠ競走マグフルノービスチェイス2着馬シンプリーネッドなどだった。ジェラティ騎手がミスターモールに騎乗したために今回もボアンヴィル騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ2.875倍の1番人気、シンプリーネッドが単勝オッズ4倍の2番人気、サマースビーが単勝オッズ6倍の3番人気、ミスターモールが単勝オッズ7倍の4番人気となった。スタートが切られるとミスターモールが先頭に立ち、本馬はそれを見るように先行した。そして第4障害を飛越した段階で早くも先頭に立った。しかし残り9つの障害を次々に飛越しながら後続との差を広げると、久々に見せる直線独走で、2着サマースビーに14馬身差をつけて圧勝した。
2015年はこれが最後の出走で、2016年はおそらくクイーンマザーチャンピオンチェイスを目標とすると思われる。近代最強スティープルチェイサーの戦いはまだ続くようである。※追記:2016年初戦となったクイーンマザーチャンピオンチェイス(英GⅠ・16F)を先行して押し切り、同競走3年ぶりの勝利を挙げた。翌4月のセレブレーションチェイス(英GⅠ・15.5F)も先行策から独走して15馬身差で圧勝し、同競走初勝利を挙げた。
血統
Network | Monsun | Königsstuhl | Dschingis Khan | Tamerlane |
Donna Diana | ||||
Königskrönung | Tiepoletto | |||
Krönung | ||||
Mosella | Surumu | Literat | ||
Surama | ||||
Monasia | Authi | |||
Monacensia | ||||
Note | Reliance | Tantieme | Deux Pour Cent | |
Terka | ||||
Relance | Relic | |||
Polaire | ||||
Nicotiana | Naras | Arjaman | ||
Norne | ||||
Nina | Ticino | |||
Nixe | ||||
Fatima | Bayolidaan | Kamaridaan | Djakao | Tanerko |
Diagonale | ||||
Diamond Drop | Charlottesville | |||
Martine | ||||
Bayonne | Stymphale | Pharis | ||
Tanis | ||||
Belsta | Norseman | |||
Seventh Wonder | ||||
Viva Sacree | Maiymad | Rheingold | Faberge | |
Athene | ||||
Miss Melody | Tudor Melody | |||
The Veil | ||||
Kiki Sacree | Edellic | Relic | ||
Edelfrau | ||||
Amie Sacree | Verdi | |||
Krim Sacree |
父ネットワークは独国の大種牡馬モンズーン産駒の独国産馬。ウニオンレネン(独GⅡ)を勝つなど11戦4勝の成績を挙げた。競走馬引退後は仏国ブルバン国立牧場で種牡馬入りした。当初の種付け料は2100ユーロと安値だったが、本馬の活躍を受けて評価が上がり、2016年からは仏国デンキ牧場において種付け料1万ユーロで種牡馬生活を続ける予定となっている。
母ファティマは仏国産の不出走馬。母系には活躍馬は皆無である。→牝系:その他(サラ系等)
母父バヨリダーンは現役成績15戦7勝。カドラン賞(仏GⅠ)で3着の実績があるが、主要競走の勝ちは無い。バヨリダーンの父カマリダーンは英国産馬だが、競走馬としては仏国で走った。現役成績は14戦3勝で、エクスビュリ賞(仏GⅢ)を勝ち、ノアイユ賞(仏GⅡ)・ベルトゥー賞(仏GⅢ)・ニエル賞(仏GⅢ)で各3着している。カマリダーンの父ジャカオはドーヴィル大賞の勝ち馬で、パリ大賞2着、仏ダービー3着の実績がある。ジャカオの父タネルコはレルコの項を参照。