和名:カラグロウ |
英名:Kalaglow |
1978年生 |
牡 |
芦毛 |
父:カラムーン |
母:ロシトール |
母父:ペルメル |
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古馬になってエクリプスS・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDSを連勝して欧州競馬の頂点に立ったグレイソヴリン直系の名馬 |
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競走成績:2~4歳時に英仏で走り通算成績14戦10勝 |
誕生からデビュー前まで
サマリーズスタッドにより生産された愛国産馬で、1歳10月のニューマーケットセールに出品され、英国ガイ・ハーウッド調教師の代理人ジェームズ・デラフーク氏により1万1500ギニーで購入された。トニー・ワード氏の所有馬となった本馬は、ハーウッド師の管理馬となった。主戦はグレヴィル・スターキー騎手が務めた。体高は16ハンドに達した大柄な馬だったという。
競走生活(2歳時)
2歳8月にニューマーケット競馬場で行われた芝6ハロンの未勝利ステークスでデビューして、6馬身差で勝ち上がった。同月末にはニューベリー競馬場でヴュースポートS(T7F)に出て、後の英セントレジャー馬カットアバヴ以下を蹴散らして2馬身差で勝利した。翌9月にはニューベリー競馬場でナーサリーH(T7F)に出て、トップハンデを克服して2着プリンシパルダンサーに1馬身半差で勝利した。同月末にはグッドウッド競馬場でキンララS(T8F)に出て2馬身差で勝利。
10月にはニューベリー競馬場でホーリスヒルS(英GⅢ・T7F60Y)に出走して、単勝オッズ4倍の1番人気に支持された。ここでは5ポンドのハンデを与えたカットアバヴとの接戦となったが、本馬が3/4馬身差で勝利を収めた。
2歳時は5戦全勝の成績を残したが、国際クラシフィケーションの評価は117ポンドで同世代トップのストームバードより11ポンドも低く、英タイムフォーム社のレーティングでも126ポンドの評価で同世代トップのストームバードより8ポンド低かった。
競走生活(3歳時)
3歳時は当初から英ダービーを目指し、4月にニューマーケット競馬場で行われたヒースS(T9F)から始動した。ここでは2着クリアーヴァーディクトに4馬身差をつけて快勝した。しかし次走のダンテS(英GⅡ・T10.5F)では重馬場に脚を取られていつもの走りを披露することが出来ずに、勝ったウィリアムヒルフューチュリティSの勝ち馬ベルデールフラッターから15馬身差をつけられた5着に敗れた。
それでも英ダービー(英GⅠ・T12F)には出走した。主な対戦相手は、サンダウンクラシックトライアルS・チェスターヴァーズを連勝してきたウィリアムヒルフューチュリティS2着馬シャーガー、ダンテSで2着だったショットガン、伊グランクリテリウム・伊ダービーの勝ち馬グリントオブゴールド、フォルス賞を勝ってきたアルナスル、リングフィールドダービートライアルSを勝ってきたリベレットなどだった。本命馬シャーガーに対抗できそうな唯一の馬と言われていたベルデールフラッターは、本番前週の調教中に放馬して、ムーアスタイル(既にジュライC・スプリントC・アベイドロンシャン賞・フォレ賞などを勝っていた当時の欧州短距離王)と激突して肋骨と膝を負傷(重傷ではなく3か月後には復帰している)してしまい不在となっていた。そのためにシャーガーが単勝オッズ1.91倍という断然の1番人気に支持され、本馬も3番人気の評価を受けていた。しかし本馬はレース序盤で脚を負傷してしまい、まともな走りを見せることが出来ず、2着グリントオブゴールドに10馬身差という同競走史上最大着差で勝ったシャーガーから35馬身後方の13着と惨敗してしまった。負傷療養のために3歳時はこの後にレースに出ず、この年の成績は3戦1勝に終わった。
競走生活(4歳時)
4歳時は4月にニューマーケット競馬場で行われたアールオブセフトンS(英GⅢ・T9F)で復帰した。長期休養明けにも関わらず単勝オッズ5倍の1番人気に支持されると、新ダービーやカンタベリーギニーを勝ってオセアニアから移籍してきたリングザベルを3馬身差の2着に破って勝利した。その後は渡仏してガネー賞(仏GⅠ・T2100m)に出走した。しかし生憎と本馬にとって不得手な重馬場となってしまい、勝った同父のビカラ(前年の仏ダービー馬で、凱旋門賞でも2着していた)の7着に敗れ去った。
地元に戻ってきた本馬はブリガディアジェラードS(英GⅢ・T10F)に出走。前走の敗戦にも関わらず単勝オッズ2倍の1番人気に支持された。レースでは馬群の中団につけると直線に入って残り3ハロン地点からスパート。残り2ハロン地点で先頭に立つと一気に後続馬を引き離し、2着シルヴァーシーズンに8馬身差をつけて、2分02秒14のコースレコードを計時して圧勝した(このレースには後のジャパンC勝ち馬スタネーラも出走していたが、本格化前のスタネーラは4着に終わっている)。
次走はエクリプスS(英GⅠ・T10F)となった。特に目立つ対戦相手はおらず、本馬が単勝オッズ2.1倍の1番人気に支持された。そしてプリンスオブウェールズSで2着してきたロブコヴィーツを4馬身差の2着に破って圧勝し、GⅠ競走初勝利を挙げた。
続いてキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS(英GⅠ・T12F)に出走。ガネー賞から直行してきたビカラや、前年の英ダービー2着後にパリ大賞・オイロパ賞・サンクルー大賞・グレートヴォルティジュールS・ジョンポーターSを勝ち英セントレジャー・コロネーションCで2着していたグリントオブゴールドの姿もあったが、最大の強敵は、仏ダービー・愛ダービー・ガリニュールSと3連勝中の3歳馬アサートだった。アサートが単勝オッズ2.1倍の1番人気に支持され、本馬が単勝オッズ7.5倍の2番人気、グリントオブゴールドが単勝オッズ11倍の3番人気となった。レースはアサートと本馬の2頭が共に馬群の好位につけ、直線に入るとアサートは馬場の真ん中から、本馬は内側を突いて抜け出した。そして残り1ハロン地点で本馬とアサートの馬体が併さって2頭の一騎打ちとなった。最後は本馬が競り勝ち、2着アサートに首差、3着グリントオブゴールドにはさらに3馬身差をつけて優勝。これで欧州古馬の頂点に立った。
その後は凱旋門賞を目標として調整されていたが、馬場状態が悪化する事が予想されたために回避。その代わりに英チャンピオンS(英GⅠ・T10F)に出走して、1番人気に支持された。しかし2番人気に推されていた同年の英オークス馬タイムチャーターが7馬身差の圧勝を収めたのに対して、本馬は大差をつけられた8着と惨敗。
このレースを最後に、4歳時6戦4勝の成績で競走馬を引退した。しかし国際クラシフィケーションでは133ポンドの数値を獲得し、同年の欧州古馬としてはトップの評価を得た(英タイムフォーム社のレーティングでは132ポンドで、134ポンドのアルドロスに次ぐ第2位)。
血統
Kalamoun | ゼダーン | Grey Sovereign | Nasrullah | Nearco |
Mumtaz Begum | ||||
Kong | Baytown | |||
Clang | ||||
Vareta | Vilmorin | Gold Bridge | ||
Queen of the Meadows | ||||
Veronique | Mon Talisman | |||
Volubilis | ||||
Khairunissa | Prince Bio | Prince Rose | Rose Prince | |
Indolence | ||||
Biologie | Bacteriophage | |||
Eponge | ||||
Palariva | Palestine | Fair Trial | ||
Una | ||||
Rivaz | Nearco | |||
Mumtaz Begum | ||||
Rossitor | Pall Mall | Palestine | Fair Trial | Fairway |
Lady Juror | ||||
Una | Tetratema | |||
Uganda | ||||
Malapert | Portlaw | Beresford | ||
Portree | ||||
Malatesta | Sansovino | |||
Tetranella | ||||
Sonia | Worden | Wild Risk | Rialto | |
Wild Violet | ||||
Sans Tares | Sind | |||
Tara | ||||
Sonsa | Hyperion | Gainsborough | ||
Selene | ||||
Duplicity | Nearco | |||
Doubleton |
父カラムーンはゼダーン産駒。アガ・カーンⅣ世殿下により生産・所有された英国産馬で、競走馬としては仏国で走り10戦4勝。仏2000ギニー(仏GⅠ)・リュパン賞(仏GⅠ)・ジャックルマロワ賞(仏GⅠ)を勝ちムーランドロンシャン賞(仏GⅠ)で2着している。種牡馬としてもかなり優秀だったが、1979年に9歳の若さで他界している。
母ロシトールは英国で走り7戦2勝。実はロシトールは現役時代にアグロウ(Aglow)という名前の牝馬と取り違えられて走っていた。彼女は繁殖入り後もしばらくはアグロウの名前で扱われていた。本馬の名前は、父カラムーンとこのアグロウの名前を足して2で割ったものである。アグロウとロシトールが実は取り違えられていたという事実が発覚したのは本馬が4歳になってからの話だった。ちなみに本物のアグロウはクレペロ産駒で、競走馬としては6戦未勝利に終わっている。ロシトールとアグロウが別世代馬だったら、この2頭が出走した世代限定競走の成績を無効にしなければらないのかという疑義が生じるなどしてややこしい話になるところだったが、この2頭は同世代馬だったためにそういった事態は回避された(同世代馬だったから取り違えられたのだろうが)。
本馬の半妹にはアラマラマ(父パーシャンボールド)【リブルスデールS(英GⅡ)】がおり、さらにアラマラマの子にはアルティスティーク【ベルトゥー賞(仏GⅢ)】が、アルティスティークの子にはモンマルトル【パリ大賞(仏GⅠ)・リス賞(仏GⅢ)】がいる。ロシトールの母ソニアの半姉サンスペックの牝系子孫にはデクランズムーン【ハリウッドフューチュリティ(米GⅠ)】がいる。ソニアの従姉妹には英国牝馬三冠馬メルド【英1000ギニー・英オークス・英セントレジャー】がいる。→牝系:F2号族②
母父ポールモールは現役成績14戦7勝。英2000ギニーを勝ったほかにロッキンジSを2連覇した名マイラーで、種牡馬としても成功している。ポールモールの父パレスタインはフェアトライアル直子で、英2000ギニー・サセックスS・セントジェームズパレスS・コヴェントリーS・リッチモンドS・ジムクラックS・英シャンペンSの勝ち馬。
競走馬引退後
競走馬を引退した本馬は英国ニューマーケットのブルックスタッドで種牡馬入りした。種牡馬としてはまずまずの成功を収め、1994年に16歳で他界した。
主な産駒一覧
生年 |
産駒名 |
勝ち鞍 |
1984 |
Knockando |
セプテンバーS(英GⅢ) |
1984 |
Shining Water |
ソラリオS(英GⅢ) |
1985 |
Red Glow |
ダンテS(英GⅡ) |
1986 |
Weld |
ドンカスターC(英GⅢ)・ジョッキークラブC(英GⅢ) |
1989 |
Jeune |
メルボルンC(豪GⅠ)・VATCアンダーウッドS(豪GⅠ)・CFオーアS(豪GⅠ)・クイーンエリザベスS(豪GⅠ)・ハードウィックS(英GⅡ)・セプテンバーS(英GⅢ) |
1990 |
Sternkönig |
ベルリン大賞(独GⅠ)・フュルシュテンベルクレネン(独GⅢ)・フェデリコテシオ賞(伊GⅢ)・ローマヴェッキア賞(伊GⅢ) |
1992 |
Munwar |
リングフィールドダービートライアルS(英GⅢ) |
1992 |
Timarida |
ダルマイヤー大賞(独GⅠ)・愛チャンピオンS(愛GⅠ)・ビヴァリーDS(米GⅠ)・オペラ賞(仏GⅡ)・EPテイラーS(加GⅡ)・愛メイトロンS(愛GⅢ) |