フローレスリー

和名:フローレスリー

英名:Flawlessly

1988年生

鹿毛

父:アファームド

母:ラコンフィデンス

母父:ニジンスキー

米国芝GⅠ競走を9勝して2年連続エクリプス賞最優秀芝牝馬に選ばれ米国競馬の殿堂入りも果たした米国三冠馬アファームドの代表産駒

競走成績:2~6歳時に米で走り通算成績28戦16勝2着4回3着3回

誕生からデビュー前まで

米国フロリダ州ハーバービューファームにおいて、同牧場の所有者で父アファームドの生産者でもあったルイス・エルウッド・ウルフスン氏と妻のパトリス・ジェイコブス・ウルフスン夫人により生産・所有され、米国リチャード・E・ダットロウ・ジュニア調教師に預けられた。

競走生活(2歳時)

2歳6月にベルモントパーク競馬場で行われたダート5ハロンの未勝利戦で、アンヘル・コルデロ・ジュニア騎手を鞍上にデビューしたが、勝ったメドウスターから10馬身差をつけられて4着に敗れた。その後は一間隔を空けて、9月にベルモントパーク競馬場で行われたダート6ハロンの未勝利戦に、ジェリー・ベイリー騎手騎乗で出走。ここでは2着アイムアスリラーに1馬身1/4差をつけて勝ち上がった。

その13日後にはガーデニアS(GⅢ・D8.5F)に、ベイリー騎手騎乗で出走。7月のアストリアSでメドウスターの1馬身1/4差2着してきたスイートサリタを4馬身半差の2着に破って圧勝した。

そして10月のフリゼットS(GⅠ・D8F)で、未勝利戦・アストリアS・スカイラヴィルS・スピナウェイS・メイトロンSと5連勝中だったメドウスターと2度目の対戦となった。しかし結果はメドウスターが2着シャンパングロウに14馬身差をつけて圧勝し、ベイリー騎手騎乗の本馬はシャンパングロウとの2着争いにも鼻差敗れて3着に終わった。

引き続きベルモントパーク競馬場で行われたBCジュヴェナイルフィリーズ(GⅠ・D8.5F)に出走した。メドウスターに加えて、ソレントS・オークリーフSを勝ってきたライトライト、ナタルマSを勝ってきたダンススマートリーとマザリンS・プリンセスエリザベスSを勝ってきたウィルダネスソングの加国調教馬2頭、デルマーデビュータントSの勝ち馬ビヨンドパーフェクション、アーリントンワシントンラッシーSの勝ち馬スルーフライト、アルキビアデスSを勝ってきたプライヴェートトレジャー、シャンパングロウ、メイトロンS2着馬ヴァーバスルなどが出走しており、ラフィット・ピンカイ・ジュニア騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ47.2倍の8番人気という低評価だった。

スタートが切られるとダンススマートリーとウィルダネスソングの後の加国顕彰馬コンビが先頭を引っ張り、単勝オッズ1.2倍という断然の1番人気に支持されていたメドウスターは好位、本馬はさらに後方を追走した。しかし三角で仕掛けて四角で先頭を奪ったメドウスターが2着プライヴェートトレジャーに5馬身差をつけて圧勝し、何の見せ場も無かった本馬はメドウスターから13馬身差の7着に終わった。

その3週間後にはコルデロ・ジュニア騎手とコンビを組んでデモワゼルS(GⅡ・D9F)に出走したが、プライヴェートトレジャーやBCジュヴェナイルフィリーズに不参戦だったデビュータンツヘイローなどに屈して、デビュータンツヘイローの4馬身1/4差4着に敗れた。12月に出走したテンプテッドS(GⅢ・D8.5F)では、ベイリー騎手を鞍上に2着デビュータンツヘイローに頭差で勝利を収め、2歳時を7戦3勝の成績で終えた。

競走生活(3歳時)

3歳時は1月にアケダクト競馬場で行われたブサンダS(D8F70Y)から始動した。女性騎手ジュリー・クローン騎手を鞍上に単勝オッズ2.4倍の1番人気に支持されたが、向こう正面でずるずると後退して、勝ったアイムアスリラーから大差をつけられた7着最下位(記録上は競走中止)に惨敗。この後は半年近くレースに出ず、その間にダットロウ・ジュニア厩舎からチャールズ・ウィッティンガム厩舎に転厩し、本拠地を米国西海岸に移す事になった。

復帰初戦は7月にハリウッドパーク競馬場で行われたストリートダンサーS(T8.5F)で、ここで初の芝競走に挑戦する事になった。クリス・マッキャロン騎手とコンビを組んだ本馬は単勝オッズ2.7倍の1番人気に支持された。そして3番手追走から直線入り口で先頭に立ち、英国から移籍してきて単勝オッズ3.2倍の2番人気に推されていたジョリーズプリンセスを1馬身3/4差の2着に抑えて勝利。これ以降の本馬は全レースで芝を走る事になり、またマッキャロン騎手も本馬の主戦として、本馬がレースに出る際は常に騎乗する事になった。

次走は1か月後のサンクレメンテH(T8F)となった。本馬が他馬より3~11ポンド重い120ポンドのトップハンデでも単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持され、116ポンドのジョリーズプリンセスが単勝オッズ3.8倍の2番人気となった。ここでは序盤こそ馬群の中団に位置していたが、レース中盤で仕掛けて四角で先頭に立ち、2着ゴールドフリースに1馬身3/4差で勝利した。

次走のデルマーオークス(GⅢ・T9F)では、ジョリーズプリンセスやゴールドフリースに加えて、ハリウッドオークス・モンマスオークスを連勝してきたフォウダという強敵が登場した。しかし本馬が単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持され、フォウダは単勝オッズ5.3倍の2番人気だった。レースでは本馬とフォウダが牽制しあうように後方を追走したが、先にフォウダが仕掛けて上がっていった。しかしそれを追いかけて上がってきた本馬が四角でフォウダをかわして直線入り口で先頭に立ち、2着シアトルシンフォニーに2馬身差をつけて完勝した。

9月はレースに出ず、次走は10月のハロルドCラムザーシニアH(GⅢ・T8F)となった。123ポンドのトップハンデが課された本馬が単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持され、117ポンドのプライオレスS勝ち馬ザマハマーが単勝オッズ5.3倍の2番人気、120ポンドのラスヴァージネスS3着馬ナイスエッセイが単勝オッズ9.6倍の3番人気となった。今回も本馬は序盤を慎重に後方から入り、向こう正面で仕掛けて先頭集団に取り付いた。そして直線を押し切ろうとしたが、本馬をマークするように上がってきた単勝オッズ27.2倍の7番人気馬グラヴィエールに並びかけられた。いったんはグラヴィエールが前に出る場面もあったが、最後は本馬が6ポンドのハンデを与えたグラヴィエールを半馬身差の2着に競り落として勝利した。

次走はBCジュヴェナイルフィリーズ以来1年ぶりのGⅠ競走となるイエローリボンS(GⅠ・T10F)となった。欧州でデスモンドSを勝った後に米国に移籍してラスパルマスHを勝ってきたコストロマ、ビヴァリーDS・ウィルシャーH・サンタアニタBCHを勝ってきたファイアザグルーム、フラワーボウルH・EPテイラーS・モデスティHを勝ってきたレディシャール、亜国のGⅠ競走セレクシオン大賞を勝った後に米国に移籍してラモナHを勝っていたカンパニャルド、仏国でオペラ賞・ノネット賞・ミュゲ賞を勝っていたカラーチャートなどが出走しており、今まで出走してきた芝競走とは対戦相手の層が違っていた。コストロマが単勝オッズ4.1倍の1番人気、ファイアザグルームが単勝オッズ4.5倍の2番人気、本馬とレディシャールが並んで単勝オッズ6倍の3番人気となった。レースではレディシャールが逃げを打ち、本馬も今回は積極的に3番手を追走。そしてそのままの態勢で直線に入ってきたのだが、本馬を見るように4番手を追走してきたコストロマにかわされると抵抗できずに2馬身差の2着に敗れた。

その後は12月のメイトリアークS(GⅠ・T9F)に向かった。コストロマ、前走で本馬から半馬身差の3着だったファイアザグルーム、前走6着のカラーチャート、オールアロングSを勝ってきたシャター、フォレ賞勝ち馬ブロケードの娘であるカウンテスファーガーH勝ち馬フリーアットラストなどが対戦相手となった。コストロマが単勝オッズ2倍の1番人気、ファイアザグルームが単勝オッズ4.6倍の2番人気、本馬は単勝オッズ7.3倍の3番人気だった。今回の本馬は馬群の中団に控えて、コストロマより後ろでレースを進めた。そしてコストロマが加速を始めるのを見計らってからスパートを開始。直線入り口でコストロマに追いつくと、伸びを欠くコストロマを尻目に末脚を伸ばし、先行して2着に粘ったファイアザグルームに1馬身3/4差をつけて勝利を収め、GⅠ競走初勝利を挙げた。3歳時の成績は7戦5勝だった。

競走生活(4歳時)

4歳時は6月のビヴァリーヒルズS(GⅠ・T9F)から始動した。このレースでは、メイトリアークSこそ6着だったが今年に入ってサンタバーバラH・ウィルシャーHを連勝していたコストロマとの2強対決となった。コストロマが単勝オッズ1.6倍の1番人気で、本馬が単勝オッズ2.9倍の2番人気となった。レースは意外にもスタートから本馬が先頭を奪い、2番手をコストロマが追ってくる展開となり、マッチレースの様相を呈した。そして2頭が並んで直線に入り、激しい叩き合いを展開した末に、本馬が頭差で競り勝ってGⅠ競走2勝目を挙げた。しかし斤量は本馬よりコストロマが2ポンド重かったため、まだ本馬がコストロマを実力で超えたとは言い難かった。

そして次走のラモナH(GⅠ・T9F)では、本馬とコストロマが他馬勢より7~9ポンド重い123ポンドのトップハンデで並び、ここで2頭の優劣が決する事になった。コストロマが単勝オッズ2.1倍の1番人気、本馬が単勝オッズ2.4倍の2番人気となった。スタートが切られると本馬が先頭を奪ったが、追いかけてきたのはコストロマではなく、亜国のGⅠ競走ミルギネアス大賞を勝った後に米国に移籍してダリアHを勝っていたレトスだった。しかし直線に入ると本馬がレトスを徐々に引き離していった。中団につけていたコストロマにはあまり伸びが無かった。最後は本馬が2着レトスに3馬身差をつけて快勝した。

その後は10月のラスパルマスH(GⅡ・T9F)に向かった。ラモナHで4着に終わっていたコストロマの姿はここには無く、レトス、パロマーHを勝ってきたスーパースタッフ、仏国でオマール賞を勝ってきたギスレーヌなどが主な対戦相手だった。本馬には他馬勢より7~10ポンド重い124ポンドのトップハンデが課せられたが、それでも単勝オッズ1.5倍の1番人気に支持された。レースでは116ポンドのスーパースタッフが快調に先頭を飛ばし、本馬は3~4番手の好位を追走した。そして直線に入ると逃げるスーパースタッフを追いかけたのだが、スローペースで逃げていたスーパースタッフには余力が十分にあり、8ポンドの斤量差も響いて届かず、3/4馬身差の2着に敗れた。

続くイエローリボン招待S(GⅠ・T10F)では、スーパースタッフに加えて、カリフォルニアジョッキークラブHを勝ってきたポレミック、オールアロングSを勝ってきたマーブルメイドン、デルマーオークスの勝ち馬スウィーヴィ、カンパニャルド、仏国でサンタラリ賞を勝っていたローズフィンチ、それにこの当時は無名だった後の凱旋門賞馬アーバンシーなどが対戦相手となった。ハンデ競走ではないために他馬との厳しい斤量差から解放された本馬が単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持され、スーパースタッフとポレミックのカップリングが単勝オッズ4.6倍の2番人気となった。今回もスーパースタッフが先頭に立ち、本馬は好位を追走するという前走と似たような展開となった。そして直線入り口で本馬がスーパースタッフに並びかけたのだが、ここからスーパースタッフが予想外の粘りを発揮して本馬に抜かさせなかった。結局本馬は鼻差2着に敗れてしまい、今回は同斤量だったために言い訳が出来ない敗戦となった。

次走のメイトリアークS(GⅠ・T9F)では、スーパースタッフに加えて、前走ビヴァリーDSでGⅠ競走3勝目を挙げてきたコストロマ、バヤコアHで2着してきたレディシャール、ラスパルマスH3着のレトス、前走3着のカンパニャルド、それに本馬が7着に敗れたBCジュヴェナイルフィリーズでは本馬より下の12着に敗れたが3歳時にラスヴァージネスS・サンタアニタオークス・ファンタジーS・ケンタッキーオークス・CCAオークスを勝って一時的に同世代最強の地位に君臨していたライトライトなどが出走してきた。本馬が単勝オッズ2.4倍の1番人気に支持され、コストロマが単勝オッズ2.9倍の2番人気、スーパースタッフが単勝オッズ5.5倍の3番人気で、CCAオークス勝利後は絶不調だったライトライトは単勝オッズ43.5倍の8番人気だった。スタートが切られるとコストロマが先頭に立ち、レディシャールとライトライトが2・3番手、今回控えたスーパースタッフが4番手で、本馬が5番手につけた。レディシャールとライトライトの2頭は四角で沈んでいき、コストロマ、スーパースタッフ、本馬の順番で直線に突入。しかし本馬が直線で他の2頭を鮮やかに差して、2着スーパースタッフに1馬身差、3着コストロマにはさらに2馬身差をつけて勝利。

4歳時の成績は5戦3勝だったが、3勝いずれもGⅠ競走であり、この年のエクリプス賞最優秀芝牝馬のタイトルを受賞した。

競走生活(5歳時)

5歳時は6月のビヴァリーヒルズH(GⅠ・T9F)から始動した。対戦相手は3頭いたが、その中で最大の強敵は前年の仏オークス・ヴェルメイユ賞勝ち馬で、BCクラシックでは牡馬に混じって3着と健闘していたジョリファだった。121ポンドのジョリファが単勝オッズ1.8倍の1番人気で、123ポンドの本馬は単勝オッズ1.9倍の2番人気と、完全な2強対決となった。しかしレース結果は2強ではなく1強となった。4頭立ての3番手を追走した本馬は四角でスパートすると、最後方から上がってきたジョリファをみるみる引き離していった。そしてジョリファを9馬身差の2着に切り捨てて圧勝した。

次走のラモナH(GⅠ・T9F)では、ジョリファに加えて、メルボルンC・マッキノンS・コーフィールドC・オーストラリアンCと豪州でGⅠ競走4勝を挙げて豪年度代表馬にも選ばれていたレッツイロープも米国に本拠地を移して参戦してきた。125ポンドの本馬が単勝オッズ1.9倍の1番人気、121ポンドのジョリファが単勝オッズ3.3倍の2番人気、118ポンドのレッツイロープが単勝オッズ5.1倍の3番人気、前走ヴァニティHを勝ってきた117ポンドのレトスが単勝オッズ9.4倍の4番人気となった。スタートが切られると単勝オッズ28.6倍の5番人気馬ハートオブジョイ(スプリンターズSを勝ったマイネルラヴの母)が後続を大きく引き離す逃げを打ち、本馬とジョリファが2・3番手、レッツイロープは後方からレースを進めた。最大で7~8馬身の大逃げを打ったハートオブジョイは、後続に差を詰められても直線で粘りに粘った。しかしハートオブジョイから3馬身ほど後方の2番手で直線に入ってきた本馬が、ゴール前で一気にハートオブジョイをかわして1馬身差で勝利。レッツイロープはさらに1馬身差の3着で、ジョリファは6着に敗れた。

続いてアーリントンパーク競馬場に向かい、ビヴァリーDS(GⅠ・T9.5F)に出走した。このレースはレッツイロープに加えて、スワニーリヴァーHを快勝してきたヴィアボルゲーゼとの3強対決となり、本馬が単勝オッズ1.5倍の1番人気、レッツイロープが単勝オッズ4.5倍の2番人気、ヴィアボルゲーゼが単勝オッズ8倍の3番人気となった。レースでは単勝オッズ17.1倍の6番人気馬スキンブルが逃げを打ち、本馬とヴィアボルゲーゼが先行、レッツイロープが中団からレースを進めた。直線入り口で本馬が先頭に立ったところにヴィアボルゲーゼとレッツイロープの2頭が並びかけてきて、3頭による激しい直線の攻防が展開された。そしてレッツイロープが真っ先にゴールラインを駆け抜け、本馬は鼻差遅れて2位入線、ヴィアボルゲーゼはさらに首差の3位入線だった。ところがゴール前でレッツイロープが斜行してヴィアボルゲーゼを圧迫し、さらに本馬もヴィアボルゲーゼに押されて体勢を崩す場面があったため審議対象となり、その結果レッツイロープは他2頭に対する進路妨害を取られて3着に降着となり、本馬が繰り上がって勝ちを拾った。

地元に戻った本馬はサンタアニタパーク競馬場で行われたBCマイル(GⅠ・T8F)に参戦。前年の同競走優勝馬ルアーを筆頭に、ハリウッドダービーなどを勝っていた前年の同競走2着馬パラダイスクリーク、愛2000ギニー馬バラシア、フォレ賞・スプリントCの勝ち馬ウルフハウンド、ゲイムリーH・ウィルシャーH・アメリカンHの勝ち馬トゥソード、サセックスS・クイーンエリザベスⅡ世Sの勝ち馬ビッグストーン、仏1000ギニー・ジャックルマロワ賞・ムーランドロンシャン賞・フォレ賞とGⅠ競走2着4回のスキーパラダイス、リュパン賞勝ち馬ヨハンクアッツ、2年前の愛2000ギニー馬フォースターズオールスターなどが対戦相手となった。2連覇を狙うルアーが単勝オッズ2.3倍の1番人気に支持され、本馬が対抗馬として単勝オッズ4.1倍の2番人気、パラダイスクリークが単勝オッズ9.2倍の3番人気となった。しかし本馬はレース序盤こそ逃げるルアーとスキーパラダイスを見るように好位につけていたが、徐々についていけなくなって後退。直線でも伸びず、勝ったルアーから10馬身差の9着に敗れ去った。

次走のメイトリアークS(GⅠ・T9F)では、BCマイルで4着と健闘していたトゥソード、ビヴァリーDS7着後にリヴァーシティーズBCSを勝ちラスパルマスHで2着していたスキンブル、EPテイラーSを勝ってきたヒーローズラヴなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ1.9倍の1番人気、トゥソードとスキンブルのカップリングが単勝オッズ3.2倍の2番人気、ヒーローズラヴが単勝オッズ5.8倍の3番人気となった。スタートが切られると単勝オッズ11.4倍の4番人気だったエクリプス賞勝ち馬エリザベスベイが先頭に立ち、本馬は馬群の中団、トゥソードは最後方につけた。そして本馬が四角で一気にスパートして先頭を奪うと、後方のトゥソードも上がってきて、ゴール前ではこの2頭による接戦となった。しかし本馬が首差で粘り切り、同競走3連覇の偉業を達成した。

5歳時は5戦4勝の成績で2年連続のエクリプス賞最優秀芝牝馬のタイトルを受賞した。

競走生活(6歳時)

6歳時は6月のゲイムリーH(GⅠ・T9F)から始動した。最大の強敵は、前年にBCディスタフ・ハリウッドオークス・デルマーオークスなどを勝ってエクリプス賞最優秀3歳牝馬に選ばれていたハリウッドワイルドキャットだった。しかしハリウッドワイルドキャットは芝の勝ち鞍もあったが専らダート競走を走っていたため、124ポンドの本馬が単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持され、122ポンドのハリウッドワイルドキャットは単勝オッズ3.7倍の2番人気、前年の同競走3着馬ベルズスターレットが単勝オッズ9.2倍の3番人気、南アフリカでGⅠ競走を9勝していたエンプレスクラブが単勝オッズ9.3倍の4番人気、前年のメイトリアークSでトゥソードから2馬身差の3着だったスキンブルが単勝オッズ10.6倍の5番人気となった。スタートが切られるとベルズスターレットとスキンブルの2頭がハイペースで先頭を飛ばし、ハリウッドワイルドキャットは3番手、本馬は6頭立ての最後方からレースを進めた。しかし本馬は反応が悪く、直線入り口でもまだ後方。ここから追い上げてはきたが、ゴール直前でエンプレスクラブを首差捕らえるのが精一杯で、勝ったハリウッドワイルドキャットから5馬身差、2着に粘った単勝オッズ20.7倍の最低人気馬ミズジルベアからも2馬身3/4差をつけられた3着に敗れた。

次走のビヴァリーヒルズH(GⅠ・T9F)でも、ハリウッドワイルドキャットとの対戦となった。124ポンドのハリウッドワイルドキャットが単勝オッズ2倍の1番人気、同斤量の本馬が単勝オッズ2.6倍の2番人気、119ポンドのサンタアニタBCH勝ち馬コラゾナが単勝オッズ8倍の3番人気、114ポンドのミズジルベアが単勝オッズ13.6倍の4番人気となった。スタートが切られるとエンプレスクラブが先頭に立ち、本馬とハリウッドワイルドキャットは共に後方からレースを進めた。そして先に本馬が仕掛けて直線入り口で4番手まで上がったが、ここで馬群に包まれて抜け出すことが出来なかった。ようやく馬群を抜け出した時には既に遅く、後方から来たコラゾナとハリウッドワイルドキャットの2頭にかわされており、勝ったコラゾナから首差の3着に惜敗した。

次走のラモナH(GⅠ・T9F)でもハリウッドワイルドキャットとの対戦となった。124ポンドのハリウッドワイルドキャットが単勝オッズ1.8倍の1番人気、同斤量の本馬が単勝オッズ2.3倍の2番人気で、完全な2強対決となった。スタートが切られるとスキンブルが先頭に立ち、本馬は4番手、ハリウッドワイルドキャットは本馬から1馬身ほど後方の最後方5番手につけた。四角で本馬が仕掛けて一気に先頭に立つと、ハリウッドワイルドキャットもスパートを開始。そして直線ではこの2頭による一騎打ちとなった。しかし今回は本馬が競り勝ち、2着ハリウッドワイルドキャットに頭差で勝利。同競走3連覇を達成した。

その後はビヴァリーDS(GⅠ・T9.5F)に向かった。ハリウッドワイルドキャットは不在だったが、その代わりにビヴァリーヒルズHから直行してきたコラゾナ、さらには英1000ギニー・EPテイラーS・英チャンピオンS・オペラ賞・アスタルテ賞を勝っていたハトゥーフ、英オークス・愛オークス・ヨークシャーオークス・英セントレジャー・サンクルー大賞を勝ち凱旋門賞でも2着していた一昨年のカルティエ賞年度代表馬ユーザーフレンドリーという男勝りの名牝も2頭参戦していた。本馬が単勝オッズ3倍の1番人気、ハトゥーフが単勝オッズ3.9倍の2番人気、コラゾナが単勝オッズ5.5倍の3番人気、ユーザーフレンドリーが単勝オッズ5.8倍の4番人気、ルイビルBCHの勝ち馬で暮れのBCディスタフを勝つワンドリーマーが単勝オッズ6.8倍の5番人気となった。スタートが切られるとワンドリーマーが先頭に立ち、ユーザーフレンドリーが2番手、本馬は4番手を追走した。直線に入る前にユーザーフレンドリーは失速したが、ワンドリーマーはまだ粘っていた。それを本馬がかわして先頭に立ったのも束の間、道中は最後方にいたハトゥーフが突っ込んできて、ゴール前でかわされた本馬は半馬身差の2着に敗れた。このレースを最後に6歳時4戦1勝の成績で現役引退となった。

2015年現在、エクリプス賞最優秀芝牝馬を2度受賞した馬は本馬を含めて4頭いるが、他の3頭(ミエスクウィジャボードゴルディコヴァ)はいずれも欧州調教馬であるから、米国調教の牝馬としては本馬が史上最高の芝馬であると言える。

血統

Affirmed Exclusive Native Raise a Native Native Dancer Polynesian
Geisha
Raise You Case Ace
Lady Glory
Exclusive Shut Out Equipoise
Goose Egg
Good Example Pilate
Parade Girl
Won't Tell You Crafty Admiral Fighting Fox Sir Gallahad
Marguerite
Admiral's Lady War Admiral
Boola Brook
Scarlet Ribbon Volcanic Ambrose Light
Hot Supper
Native Valor Mahmoud
Native Gal
La Confidence Nijinsky Northern Dancer Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Flaming Page Bull Page Bull Lea
Our Page
Flaring Top Menow
Flaming Top
La Dame Du Lac Round Table Princequillo Prince Rose
Cosquilla
Knight's Daughter Sir Cosmo
Feola
Cosmah Cosmic Bomb Pharamond
Banish Fear
Almahmoud Mahmoud
Arbitrator

アファームドは当馬の項を参照。

母ラコンフィデンスは現役成績4戦1勝。本馬の4歳年下の全弟パーフェクト【アスコットH(米GⅢ)】も産んでいる。ラコンフィデンスは後に日本の社台ファームにより購入されたが、日本ではこれといった産駒は出せなかった。ラコンフィデンスの全弟にはレイクコモ【アングルシーS(愛GⅢ)】とシングルコンバット【アングルシーS(愛GⅢ)】がいる。レイクコモは日本に種牡馬として輸入されたが成功しなかった。また、ラコンフィデンスの半妹アルパインスウィフト(父ストームバード)も日本に輸入され、子孫からローマンエンパイア【京成杯(GⅢ)】や地方競馬の名馬キーポケットが出た。また、ラコンフィデンスの全妹ナズーの子にはナディア【サンタラリ賞(仏GⅠ)】、孫には日本で走ったコンゴウリキシオー【金鯱賞(GⅡ)・マイラーズC(GⅡ)・きさらぎ賞(GⅢ)・かきつばた記念(GⅢ)】がいる。また、ラコンフィデンスの半妹ミズナー(父サドラーズウェルズ)の子にはジンダバッド【ヨークシャーC(英GⅡ)・ハードウィックS(英GⅡ)・ウインターヒルS(英GⅢ)・ジョンポーターS(英GⅢ)】がいる。

ラコンフィデンスの母ラダームデュラックはラウンドテーブル産駒の不出走馬だが、その母は名牝コスマーで、祖母は名牝アルマームード。つまり、ラダームデュラックはヘイローの半妹でノーザンダンサーの従兄妹という事になり、本馬の牝系はかなりの名門である。→牝系:F2号族①

母父ニジンスキーは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬はケンタッキー州エルムウッドファームで繁殖牝馬となった。しかし腎臓病を患ったために満足な繁殖生活を送ることは出来ず、ストームキャットとの間にフローレスネス、ドリームライクの2頭の牝駒を出すに留まった。フローレスネスは現役成績9戦1勝で、ドリームライクは不出走に終わった。2002年9月26日、前日まで元気だった本馬は腎臓病のため急死し、エルムウッドファームに埋葬された。エルムウッドファームの牧場主だったジョン・ウィリアムス氏によると、本馬は非常に温和な性格だったという。この2年後の2004年には米国競馬の殿堂入りを果たしている。

本馬が残した牝駒のうち、フローレスネスは母よりも先に他界してしまったが、ドリームライクはウォークアップドリーミン【トゥルーノースBCH(米GⅡ)・スマイルスプリントH(米GⅡ)】、デノミネーション【ヴァントー賞(仏GⅢ)・ヒルズボロS(米GⅢ)・ヴァイオレットS(米GⅢ)・アシーニアS(米GⅢ)】、レモンドロップドリーム【カウントフリートスプリントH(米GⅢ)】などを産み、牝系を維持している。

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