スターオブコジーン

和名:スターオブコジーン

英名:Star of Cozzene

1988年生

黒鹿

父:コジーン

母:スタージェム

母父:ピアスター

3歳時から素質を垣間見せていたが5歳時に本格化してアーリントンミリオンを勝つなど米国芝のマイル中距離路線で活躍した本邦輸入種牡馬

競走成績:2~6歳時に米仏英日で走り通算成績38戦14勝2着8回3着5回

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州ダブルジェイファームの生産馬で、米ブラッドホース誌やデイリーレーシングフォーム紙の記者だったバリー・アーウィン氏が創設した馬主団体クローバーレーシングステーブルの所有馬となり、ダレル・ウェイン・ルーカス調教師に預けられた。

競走生活(2・3歳時)

2歳12月にハリウッドパーク競馬場で行われたダート6ハロンの未勝利戦でデビューしたが、勝ったレイズサンシャインから10馬身半差の4着と完敗。3歳1月にベイメドウズ競馬場で行われたダート8ハロンの未勝利戦が2戦目となった。後方から追い込むも、勝ったシャモニエから5馬身差の2着に終わった。次走のプリンスドンBH(D8F)では単勝オッズ30.1倍で8頭立ての最低人気ながら、他馬より6ポンド以上軽い109ポンドの最軽量を活かして追い込み、前走で敵わなかったシャモニエの頭差2着に入った。ようやく未勝利を脱出したのは、単勝オッズ3.8倍の3番人気に推された3月のサンタアニタパーク競馬場ダート9ハロンの未勝利戦で、4番手の好位から直線で抜け出し、2着インターダンスに1馬身半差で勝ち上がった。

4月には米国東海岸に移動して、ガーデンステートS(米GⅢ・D9F)に出走した。西海岸で未勝利戦を勝ってきただけでは注目されるはずもなく、単勝オッズ15.1倍で7番人気の低評価。レースでも、最後方待機策から四角で上がって追い込むが、同じく後方から四角で上がって追い込んだ単勝オッズ3.3倍の1番人気馬タンクにちぎられ、11馬身半差をつけられた3着に終わった。翌月のアケダクト競馬場ダート9ハロンの一般競走では、112ポンドという軽量に恵まれた事もあり、単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持された。ここでは初めて逃げを打つ手に出ると、四角からゴールまで後続を引き離し続け、2着ボトムオブザナインスに9馬身1/4差をつけて圧勝した。

次走は初めて米国一線級との対戦となるピーターパンS(米GⅡ・D9F)だった。ここには、カウディンS・レムセンSの勝ち馬でサンフェリペS・ウィザーズS2着のスキャン、ウッドメモリアルS2着・BCジュヴェナイル3着のロストマウンテン、レベルSの勝ち馬クインターナなどが出走してきた。本馬はトップハンデのスキャンよりも12ポンドも軽い114ポンドの最軽量だったのだが、それでも単勝オッズ13倍で6頭立て5番人気の低評価。レースでは単勝オッズ2.5倍の1番人気馬スキャンをマークするように3番手を追走したが、直線で伸びを欠き、114ポンドの軽量を活かして追い込んで勝った単勝オッズ2.8倍の2番人気馬ロストマウンテンから5馬身3/4差の5着に敗れた。翌6月に出たベルモントパーク競馬場ダート9ハロンの一般競走では、単勝オッズ2倍の1番人気に支持された。ここではスタートからの先行争いを制して先頭に立ち、そのまま2着マジェステリアンに3馬身3/4差をつけて逃げ切り快勝した。

その後は夏場のモンマスパーク開催に向かい、初の芝競走となるランプライターH(米GⅢ・T8.5F)に出走した。本馬も含めてダート路線から芝路線に向かってきた馬が多く、ファンも取捨選択に迷う状態だったが、とりあえずはホープフルS3着・フロリダダービー4着の実績があったリンクが単勝オッズ4.4倍の1番人気に押し出され、ヒルプリンスS3着馬レックが単勝オッズ4.5倍の2番人気、本馬は単勝オッズ4.9倍の3番人気となった。本馬は2番手を追走したのだが、直線に入るとあまり伸びず、勝った単勝オッズ5.9倍の4番人気馬フューチャリストから8馬身3/4差の4着に終わった。その後はダート競走のリストレーションS(D8.5F)に出走。119ポンドのトップハンデを課されたために単勝オッズ2.6倍の2番人気だった。ここでは4番手につけると直線入り口で先頭に立った。しかし6ポンドのハンデを与えた単勝オッズ14.5倍の5番人気馬サンダーブフォーザストームに差されて、1馬身1/4差の2着に敗れた。

この辺りまでは一般競走は勝てるがグレード競走では勝ち負けに絡めない平凡な馬だったが、再び芝に戻ってきた次走のチョイスH(米GⅢ・T8.5F)で本馬は突如目覚めた。ここでは3連勝中のピッチインが単勝オッズ2.8倍の1番人気、ランプライターHで10着に沈んでいたリンクが単勝オッズ5倍の2番人気で、初騎乗となるアーロン・グライダー騎手鞍上の本馬は単勝オッズ5.3倍の3番人気だった。しかし3番手追走から四角で先頭に立つと、そのまま後続を引き離し、2着に突っ込んできた単勝オッズ37.4倍の8番人気馬ティンキャンアリに6馬身1/4差をつけて、グレード競走初勝利を挙げた。

ベルモントパーク競馬場に移動して9月に出走したヌレイエフS(T8.5F)では、同じ3歳馬のフォースターズオールスターとの顔合わせとなった。フォースターズオールスターは2歳時にピルグリムSを勝ちローレルフューチュリティで2着した米国調教馬でありながら、3歳時に一般競走を2戦して向かった遠征先の欧州で愛2000ギニーを勝利し、米国調教馬として史上初めて欧州クラシック競走を制した馬となっていた。帰国後は一息のレースが続いていたが、ここではさすがに単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持されていた。そしてホセ・サントス騎手騎乗の本馬が単勝オッズ3.1倍の2番人気となった。レースでは本馬とフォースターズオールスターが揃って馬群の中団後方を追走。しかし本馬が先に仕掛けて、四角で先頭に立つと、追いかけてきたフォースターズオールスターを寄せ付けずに3馬身差をつけて完勝した。

続くケルソH(米GⅢ・T8F)では、名馬リファレンスポイントの半弟ノウンレンジャーが単勝オッズ2.9倍の1番人気、本馬が単勝オッズ3.2倍の2番人気、セントポールダービー・ポーカーS・ジャイプールH・ダリルズジョイH2回の勝ち馬フォースターデイヴが単勝オッズ3.3倍の3番人気だった。ここではフォースターデイヴが逃げて本馬が2番手を追走。そのままの態勢で直線に入ると、最後方から追い込んできたノウンレンジャーも2頭の争いに割って入り、前評判どおりに3頭の勝負となった。最後は本馬が2着ノウンレンジャーに1馬身差、3着フォースターデイヴにはさらに3/4馬身差をつけて勝利した。

次走はチャーチルダウンズ競馬場で行われたBCマイル(米GⅠ・T8F)となった。ここでは対戦相手の層が今までとは桁違いに厚く、メトロポリタンH・サバーバンH・ホイットニーH・ウッドワードSとGⅠ競走4連勝中でここを勝てばエクリプス賞年度代表馬確実だったインエクセス、アーリントンミリオン・エディリードH・デルマーダービー・イングルウッドH・アメリカンHなど破竹の8連勝中でやはりここで勝てばエクリプス賞年度代表馬の可能性が高かった当時の米国芝最強馬タイトスポット、ピーターパンS3着後にジェロームH・ペガサスHとGⅠ競走を2勝していたスキャン、ドンH・ガルフストリームパークHの勝ち馬ジョリーズヘイロー、ジャマイカHの勝ち馬でNYRAマイルH2着のサルトリーソング、欧州でギシュ賞・フォルス賞・エドモンブラン賞・ミュゲ賞を勝ちイスパーン賞で2着した後に米国に移籍してエディリードHで2着していたヴァルデボワ、2年前のエクリプスSで歴史的名馬ナシュワンの2着に突っ込んで名を馳せた後に米国に移籍してオークローンH・レイザーバックH・ETターフクラシックSなどを勝っていたオープニングヴァース、ジャンプラ賞・ジャックルマロワ賞・ムーランドロンシャン賞を勝ち前年のBCマイルで3着していたプリオロ、スプリントC・ロッキンジSの勝ち馬ポーラーファルコン、愛1000ギニー・コロネーションS・メイトロンSの勝ち馬でクイーンエリザベスⅡ世S2着のクーヨンガ、英1000ギニー・マルセルブサック賞・フレッドダーリンSの勝ち馬でコロネーションS・サセックスS2着・英オークス・スプリントC・クイーンエリザベスⅡ世S3着のシャダイード、サセックスSの勝ち馬セカンドセット、仏1000ギニー・フォレ賞の勝ち馬ダンスーズドゥソワールの13頭が対戦相手となった。このメンバー構成では、いくら3連勝と勢いに乗る本馬でも、単勝オッズ19.6倍の8番人気だったのは止むを得ないだろうし、むしろ評価された方であろう。

サントス騎手がスキャンに騎乗したために、本馬にはパット・デイ騎手が騎乗した。レースでは単勝オッズ3.2倍の1番人気馬インエクセスが果敢に先頭に立ち、ジョリーズヘイロー、ダンスーズドゥソワール、オープニングヴァースなども先行。最初は中団にいた単勝オッズ3.8倍の2番人気馬タイトスポットも向こう正面で先頭争いに加わった。一方の本馬だが、鞍上のデイ騎手は慌てず騒がずに本馬の能力を最大限に発揮できるように、好スタートから徐々に下げて馬群の中団後方でじっくりとレースを進めさせていた。そのまま10番手で直線を向くと、豪快な末脚を繰り出して追い込んできた。先行馬勢の大半は失速して、唯一その中からオープニングヴァースが抜け出していた。本馬は直線半ばで失速する先行馬が壁になって外側に進路変更する場面があったために、オープニングヴァース(単勝オッズ27.7倍の10番人気)と、大外から他馬に影響されずに追い込んだヴァルデボワ(単勝オッズ17.3倍の7番人気)の2頭には及ばなかったが、勝ったオープニングヴァースから1馬身1/4差の3着に入り、上位人気馬勢に悉く先着してみせた。3歳時の成績は13戦6勝だった。

競走生活(4歳時)

4歳になった本馬を、クローバーレーシングステーブルは欧州で走らせてみることとし、仏国フランソワ・ブータン厩舎に送り出した。5月にサンクルー競馬場で行われたミュゲ賞(仏GⅢ・T1600m)で欧州初戦を迎えた。ここでは、トーマブリョン賞・エドモンブラン賞の勝ち馬イグジットトゥノーウェア、前年の仏オークス・ノネット賞の勝ち馬でマルセルブサック賞2着・仏1000ギニー3着のカーリーナ、ジョンシェール賞の勝ち馬メタルストーム、メシドール賞の勝ち馬アクチュールフランセなどが出走しており、欧州初戦としては相手にとって不足は無かった。キャッシュ・アスムッセン騎乗の本馬は3番手を追走したのだが、直線に入るとイグジットトゥノーウェアとカーリーナの2頭に差されて、勝ったイグジットトゥノーウェアから2馬身差の3着に敗れた。次走のシェマンドフェルデュノール賞(仏GⅢ・T1600m)では、前走5着のアクチュールフランセなどを抑えて、単勝オッズ1.6倍の1番人気に支持された。しかし単勝オッズ6.4倍の3番人気馬アズクエトゥの1馬身半差2着に敗れた。

次走のサセックスS(英GⅠ・T8F)では、愛1000ギニー・コロネーションS・チェヴァリーパークSの勝ち馬で英1000ギニー2着のマーリング、クイーンエリザベスⅡ世S・ロッキンジSの勝ち馬セルカーク、前年のBCマイルでは12着に終わっていたがクイーンアンSで2着して復調気配のセカンドセット、前年のナンソープSを勝ちスプリントC・アベイドロンシャン賞で2着した後のBCスプリントで人気薄を覆して勝利を収めてカルティエ賞最優秀短距離馬を受賞していたシェイクアルバドゥ、伊グランクリテリウム・伊2000ギニー・ヴィットリオディカプア賞2回・伊共和国大統領賞2回・ローマ賞と伊国のGⅠ競走で7勝を挙げクイーンアンSや愛国際Sも勝っていた伊国の歴史的名馬サイクストンなどが出走してきて、本馬は単勝オッズ34倍で8頭立ての最低人気だった。そしてレースでも全く何の見せ場も無く、勝ったマーリングから5馬身差の6着に敗退した。

次走のジャックルマロワ賞(仏GⅠ・T1600m)では、アスタルテ賞の勝ち馬で仏1000ギニー2着のハイドロカリド(日本でセントライト記念を勝ったシンコウカリドの母)、ホーリスヒルS・グリーナムSの勝ち馬でミドルパークS2着・仏2000ギニーモルニ賞3着のライオンキャヴァーン、ジャンプラ賞の勝ち馬でパリ大賞2着のキットウッド、リッチモンドS・コヴェントリーS・ポルトマイヨ賞の勝ち馬ディラム、伊2000ギニー・エミリオトゥラティ賞2回・リボー賞の勝ち馬ミシル、クイーンアンSの勝ち馬でロッキンジS2着のラヒブ、クリテリウムドメゾンラフィット・エクリプス賞の勝ち馬カルドゥン、前走5着のサイクストン、イグジットトゥノーウェア、英1000ギニー勝ち馬ハトゥーフなどが参戦してきて、本馬は単勝オッズ37倍で14頭立ての最低人気だった。ここで本馬の手綱を取ったジェラルド・モッセ騎手は最後方待機策を選択。直線入り口でもまだ最後方だったが、ここからBCマイルを髣髴とさせる末脚を繰り出し、勝ったイグジットトゥノーウェアから1馬身半差の4着に入った。

次走のクインシー賞(仏GⅢ・T1600m)では、前走の走りが評価されて単勝オッズ1.6倍の1番人気に支持された。しかし後方2番手でレースを進めるも伸びを欠き、勝った単勝オッズ2.6倍の2番人気馬ダンピエールから4馬身差の4着に敗退。結局5戦して勝ち星を挙げられないまま欧州を後にした。

米国に戻った本馬はブータン厩舎所属のまま、アーリントンミリオン(米GⅠ・T10F)に出走した。前走クインシー賞から僅か8日後という強行日程であり、それも嫌われたのか単勝オッズ35.5倍で12頭立て10番人気の低評価だった。主な対戦相手は、前年のロスマンズ国際Sの勝ち馬でETディキシーH・ETマンハッタンH・シーザーズ国際H・アーリントンHと目下4連勝中のスカイクラシック、2年前の英ダービー馬で米国に移籍してハリウッドターフHでGⅠ競走2勝目を挙げてきたクエストフォーフェイム、芝とダートを併用しながらハリウッド金杯・エディリードHと両方でGⅠ競走を勝っていたマーケトリー、前年のジャパンCを勝利していた一昨年のアーリントンミリオンの勝ち馬ゴールデンフェザント、香港ダービー・香港チャンピオンズ&チャターC2回・香港招待C・香港金杯・クイーンエリザベスⅡ世Cに勝っていた香港最強馬リヴァーヴァードン、イグジットトゥノーウェア、仏国でジャンドショードネイ賞を2連覇し遠征先の米国でもマンノウォーS・ターフクラシック招待Sと2度のGⅠ競走2着があったディアドクター、サセックスS3着から直行してきたセカンドセットなどだった。シェーン・セラーズ騎手が手綱を取った本馬は、最後方辺りを追走して直線の末脚勝負に賭けた。しかし末脚が不発に終わり、勝った単勝オッズ14.9倍の6番人気馬ディアドクターから7馬身3/4差の9着と惨敗した。

その後、クローバーレーシングステーブルから名前が変わった競馬投資シンジケート団体チームヴァラー(現チームヴァラー国際)名義となった本馬は、マーク・A・ヘニング調教師の管理馬となり、主戦にゲイリー・スティーヴンス騎手を迎えた。

まずは11月にハリウッドパーク競馬場で行われた芝8.5ハロンの一般競走から始動。有力な対戦相手は、マーヴィンルロイH・カールトンFバークHの勝ち馬スーパーメイ、チリでタンテオデポトリジョス賞・ドスミルギネアス賞・グランクリテリウム賞・クリアドレス大賞とGⅠ競走4勝を挙げた後に米国に移籍してきたメモの2頭だった。本馬が単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持されたのだが、単勝オッズ3.1倍の2番人気に推されたのは、カールトンFバークHを勝利した後に8連敗中だったスーパーメイ(単勝オッズ4.7倍の3番人気)でも、米国移籍後5連敗中となかなか芽が出ていなかったメモ(単勝オッズ9倍の4番人気)でもなく、仏国でフォルス賞を勝ちパリ大賞で3着した後に米国に移籍してきたものの移籍後は殆ど実績を残せていなかったコタシャーンだった。レースではメモが先頭を引っ張り、本馬は中団、コタシャーンは最後方につけた。やがて四角で本馬が進出して直線入り口で先頭に立ち、追いかけてきた2着スーパーメイに1馬身1/4差をつけて勝利。コタシャーンは本馬から9馬身差の5着に沈んだ。

次走ハリウッドパーク競馬場芝9ハロンのハンデ競走では、セレブレーションマイルを勝って欧州から移籍してきたボールドルシアン、スーパーメイ、フォースターデイヴなどを抑えて、単勝オッズ2.2倍の1番人気に支持された。ここでは最後方を追走し、三角から四角にかけて一気に位置取りを上げて直線入り口で先頭に立ち、2着となった単勝オッズ10.8倍の4番人気馬ゴーガーティに3馬身半差をつけて快勝。4歳時の成績を8戦2勝とした。

競走生活(5歳前半)

5歳時はいきなり元日のサンガブリエルH(米GⅢ・T9F)に出走した。対戦相手は、前走4着のボールドルシアン、エディリードH2着馬リュティエアンシャントゥール、亜国のGⅠ競走グランクリテリウム大賞の勝ち馬で米国に移籍してサイテーションHを勝ってきたレジャーキャット、ロンポワン賞・ベイメドウズダービーの勝ち馬でハリウッドダービー2着のビストロガーデン、デルマー招待ダービーの勝ち馬ダロス、2度目の顔合わせとなるコタシャーンなどだった。本馬が同馬主のジューンズリワードとのカップリングで単勝オッズ2.4倍の1番人気に支持され、リュティエアンシャントゥールが単勝オッズ3.3倍の2番人気、コタシャーンは単勝オッズ21.1倍の7番人気だった。スタートからリュティエアンシャントゥールとボールドルシアンが先頭争いを展開し、本馬は馬群の中団で様子を見た。そして四角で仕掛けると、直線半ばで先頭に立ち、2着となった単勝オッズ9.5倍の4番人気馬ビストロガーデンに3馬身差をつけて完勝。追い込んだコタシャーンは本馬から6馬身3/4差の4着だった。

次走のサンマルコスH(米GⅡ・T10F)では、前年のスワップスSとハリウッドターフCを勝っていたビエンビエン、ビストロガーデン、コタシャーンとの対戦となった。本馬が単勝オッズ2.1倍の1番人気に支持され、ハリウッドターフCの勝利が繰り上がりだったビエンビエンが単勝オッズ3.6倍の2番人気、ビストロガーデンが単勝オッズ4.4倍の3番人気で、コタシャーンは単勝オッズ13.8倍の5番人気だった。レースでは単勝オッズ12.9倍の4番人気馬カーニバルベイビーが先頭を飛ばし、本馬は後方2番手を追走した。そして向こう正面から進出すると、直線ではあっさりとカーニバルベイビーを差し切り、2着馬に1馬身差で勝利した。このレースで2着したのは、逃げたカーニバルベイビーではなく、追い込んだコタシャーンであり、ここからコタシャーンの快進撃が始まるのだが、本馬自身はしばらくコタシャーンと別路線を進むため、しばらく顔を合わせることは無かった。

本馬の次走は4月のエルリンコンH(米GⅡ・T8F)となった。ここでは、一昨年のBCマイルで本馬に先着する2着に入り前年のBCマイルでも4着していたヴァルデボワと2度目の顔合わせとなった。122ポンドの本馬が単勝オッズ1.8倍の1番人気、118ポンドのヴァルデボワが単勝オッズ2.7倍の2番人気となった。レースでは、本馬とヴァルデボワが互いをけん制するように中団を走り、ほぼ同時に仕掛けて、2頭が揃って直線入り口で先頭に立った。しかしここからヴァルデボワが前に出て勝利し、本馬は2馬身差の2着に敗れた。

東海岸に遠征して出走した次走のETターフクラシックS(米GⅢ・T9F)では、前年のBCマイル・ゴーサムSの勝ち馬ルアー、ハリウッドダービー・米国競馬名誉の殿堂博物館Sの勝ち馬でBCマイル・セクレタリアトS2着のパラダイスクリークの2頭との初顔合わせとなった。123ポンドのルアーが単勝オッズ2.1倍の1番人気、同じく123ポンドのパラダイスクリークが単勝オッズ3.7倍の2番人気、118ポンドの本馬が単勝オッズ3.8倍の3番人気となった。レースではルアーが逃げを打ち、パラダイスクリークが3番手、本馬は5番手を追走。三角で仕掛けた本馬がパラダイスクリークをかわし、直線に入ると逃げるルアーを追撃した。しかし僅かに届かずに3/4馬身差の2着に敗れた(パラダイスクリークは本馬から2馬身差の4着)。

次走のETディキシーH(米GⅢ・T9F)では、ルアーとの完全な一騎打ちムードとなった。124ポンドのルアーが単勝オッズ1.8倍の1番人気、119ポンドの本馬が単勝オッズ2.4倍の2番人気となった。ここではルアーは3番手を追走し、本馬は馬群の中団後方につけた。そして三角でルアーが先頭に立つのと同時に仕掛けて上がっていった。しかし最後までルアーを捕らえる事は出来ず、1馬身半差の2着に敗れた。

ここで本馬の主戦はスティーヴンス騎手から、かつてケルソHで本馬を勝利に導いたサントス騎手に交替となった。新コンビ初戦のマンハッタンH(米GⅡ・T10F)では、またしてもルアーとの顔合わせとなった。124ポンドのルアーが単勝オッズ1.8倍の1番人気、118ポンドの本馬が単勝オッズ3.7倍の2番人気、同じく118ポンドのレキシントンSの勝ち馬スペクタキュラータイドが単勝オッズ7.7倍の3番人気となった。レースではルアーが3番手、本馬が5番手を進み、直線入り口ではこの2頭がほぼ同時に先頭に立った。ここから2頭の叩き合いが始まったが、叩き合いになると斤量が軽いほうが有利であり、本馬が2着ルアーに3/4馬身差をつけて勝利した。

次走のシーザーズ国際H(米GⅡ・T9.5F)では、ルアー、ゴールデンゲートHを勝ってきたヴァルデボワとの対戦となった。123ポンドのルアーが単勝オッズ1.8倍の1番人気、120ポンドの本馬が単勝オッズ3.5倍の2番人気、119ポンドのヴァルデボワが単勝オッズ3.7倍の3番人気となった。今回はルアーがスタートから逃げを打ち、本馬は少し離れた5番手を追走した。そして2番手で直線に入ると、逃げるルアーを追撃。直線半ばで並びかけると競り落とし、1馬身差で勝利した。ルアーから11馬身半差の4着に終わったヴァルデボワはここで現役を引退した。

次走のバーナードバルークH(米GⅡ・T9F)にはルアーが不在であり、代わりにジェロームHの勝ち馬フュリアスリーが対戦相手となった。今度は本馬が123ポンドのトップハンデを課される番となり、フュリアスリーが119ポンドだった。前評判は、本馬が単勝オッズ2倍の1番人気で、フュリアスリーが単勝オッズ3.4倍の2番人気だった。レースでは、フュリアスリーが2番手を進み、本馬は最後方を追走した。直線入り口でもまだ後方2番手で、ここから追い上げを見せるも、フュリアスリーに1馬身届かずに2着に敗れた。

競走生活(5歳後半)

その後はアーリントンミリオン(米GⅠ・T10F)に参戦。スウォーンズサンS・ローレンスアーマーH・アーリントンHと3連勝してきたエヴァネセント、前年の覇者ディアドクター、リュパン賞の勝ち馬ヨハンクアッツ、サンガブリエルHで本馬の3着に敗れた後にアーケイディアH・ジョンヘンリーHを勝ちエディリードHで2着してきたレジャーキャットなどが対戦相手となったが、ルアーが直前に回避した事もあり、前年に比べると少々層が薄いメンバー構成となった。それもあって、本馬が単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持され、エヴァネセントが単勝オッズ6.7倍の2番人気、連覇を狙うディアドクターが単勝オッズ7倍の3番人気となった。

レースでは馬群の中団好位を追走。三角から四角にかけて他馬の動きが活発になっても、鞍上のサントス騎手はあせることなく仕掛けを我慢した。そして7番手で直線を向くと、外側に持ち出して一気に追い込んできた。先にエヴァネセントとヨハンクアッツの2頭が抜け出していたが、残り1ハロン地点で本馬がその2頭を並ぶ間もなくかわし、そのままゴールへと一直線。2着エヴァネセントに3馬身1/4差をつける完勝で、遂にGⅠ競走勝ち馬となった。

次走のマンノウォーS(米GⅠ・T11F)では、エヴリ大賞・モーリスドニュイユ賞を連勝して仏国から遠征してきたセラント、サンマルコスHで本馬の4着に敗れた後にサンルイレイSとサンフアンカピストラーノ招待Hでいずれもコタシャーンの2着に入りハリウッドターフH・サンセットHと連勝してきたビエンビエン、前走4着のディアドクター、フュリアスリー、ボーリンググリーンHの勝ち馬でソードダンサーH3着のドクターキールナン、ETマンハッタンHで本馬の4着に敗れた後にボーリンググリーンH・レッドスミスHで2着して出走した前走ソードダンサーHでGⅠ競走勝ち馬となっていたスペクタキュラータイドなどが出走してきて、アーリントンミリオンよりこちらのほうがレベルは高くなった。本馬が単勝オッズ1.8倍の1番人気、セラントが単勝オッズ5.5倍の2番人気、ビエンビエンが単勝オッズ7.1倍の3番人気、ディアドクターが単勝オッズ7.9倍の4番人気となった。レースではやはり馬群の中団後方を追走。四角で一気に位置取りを上げると直線入り口で先頭に踊り出た。あとは後続を引き離す一方で、2着セラントに5馬身半差をつけて圧勝した。このレース後に本馬は日本のトマエアトファームによって300万ドルで購入された。

次走は初の12ハロンとなるターフクラシック招待S(米GⅠ・T12F)となった。対戦相手は、前年のBCターフ・ソードダンサー招待Hを勝っていたフレイズ、オイロパ賞・グレフュール賞・プランスドランジュ賞を勝って仏国から遠征してきたアップルツリー、マンノウォー2連覇・ターフクラシック招待SとGⅠ競走で3勝していたソーラースプレンダーなど4頭だった。本馬が単勝オッズ1.5倍の1番人気、フレイズが単勝オッズ4.3倍の2番人気、アップルツリーが単勝オッズ5.7倍の3番人気、ソーラースプレンダーが単勝オッズ8.4倍の4番人気となった。レースではソーラースプレンダーが逃げを打ち、本馬は2番手を追走した。しかしただでさえ初の12ハロンだったのに、先行してしまっては本馬の末脚を活かす事は出来ず、直線で明らかに伸びを欠き、勝ったアップルツリーから3馬身3/4差の4着に完敗してしまった。

その後にサンタアニタパーク競馬場で行われたBCターフは回避。回避理由は追加登録料を嫌ったためだとする資料があったが、本馬は2年前のBCマイルに出ているわけだし、この時点で本馬の父コジーンは種牡馬としての全盛期を迎えつつあったからブリーダーズカップ登録が無かったとは考えにくく、おそらく別の理由があったのだろう。筆者はターフクラシック招待Sの敗戦による距離不安かとも考えたのだが、それならばかつて3着した事があるBCマイルに向かえばよいわけで、結局次走がターフクラシック招待Sとほぼ同距離のジャパンCだったことからしても距離不安でBCターフに出なかったとはやはり考えにくい。結局その理由は筆者には分からなかった。

いずれにしても本馬の次走はジャパンC(日GⅠ・T2400m)となった。このレースには、かつて本馬に3戦連続で敗れながらもその後に劇的に強くなり本馬不在のBCターフを筆頭にサンルイオビスポS・サンルイレイS・サンフアンカピストラーノH・エディリードH・オークツリー招待Hを制して米国最強芝馬の座に上り詰めていたコタシャーンも参戦してきた。他の対戦相手は、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS・凱旋門賞で2着していた伊ダービー馬ホワイトマズル、ローズヒルギニー・AJCダービー・コーフィールドSと豪州GⅠ競走3勝を挙げていた前年のジャパンC2着馬ナチュラリズム、コックスプレート・新ダービー・新国際Sの勝ち馬ザファントムチャンス、快進撃を続けていたコタシャーンにデルマー招待Hで黒星を付けた馬でオークツリー招待H2着・BCターフ3着のルアズー、凱旋門賞馬アーバンシー、本馬が4着に健闘したジャックルマロワ賞8着後にローマ賞・伊ジョッキークラブ大賞を勝っていたミシル、メルフィンク銀行賞・ミラノ大賞の勝ち馬プラティニといった海外馬勢と、東京優駿の勝ち馬ウイニングチケット、前年の有馬記念2着馬レガシーワールド、菊花賞・天皇賞春の勝ち馬ライスシャワー、前年の宝塚記念・有馬記念の勝ち馬メジロパーマー、目黒記念などの勝ち馬マチカネタンホイザ、有馬記念で2年連続3着だったナイスネイチャ、帝王賞・川崎記念などの勝ち馬ハシルショウグンといった日本馬勢だった。コタシャーンが単勝オッズ5.2倍の1番人気、ホワイトマズルが単勝オッズ6.4倍の2番人気、本馬が単勝オッズ8倍の3番人気となった。

レースはメジロパーマーが逃げ、レガシーワールドなどがそれを追走。スタートがあまり良くなかった本馬はコタシャーンを見るように最後方を追走した。そして最後方のまま四角を回って直線に入ってきた。東京競馬場の長い直線で本馬の末脚を活かす作戦だったようだが、大外に持ち出して追い出すも届かず、勝ったレガシーワールドから2馬身3/4差の5着に敗退。コタシャーンが鞍上ケント・デザーモ騎手のゴール板誤認というアクシデントがありながらも2着に入った事で、既に本馬よりコタシャーンの方が上であることが証明される結果となってしまった。

5歳時12戦6勝の好成績を残したが、この年の米国芝路線にはコタシャーンや、BCマイル2連覇を果たしたルアーといった、本馬より派手な活躍をした馬達がいたため、エクリプス賞最優秀芝牡馬のタイトルは獲得できなかった(コタシャーンが年度代表馬共々受賞した)。

競走生活(6歳時)

ジャパンCを最後に引退したコタシャーンと異なり、6歳時も現役を続行。5月にハリウッドパーク競馬場で行われた芝8.5ハロンの一般競走から始動した。単勝オッズ2倍の1番人気に支持されたのだが、最後方からの追い込みが不発に終わり、勝った単勝オッズ11.6倍の5番人気馬シルヴァーウィザードから1馬身半差の3着に敗退した。

次走のシーザーズ国際H(米GⅡ・T9.5F)では、ルアーと前年の同競走以来1年ぶり5度目、フォースターズオールスターとヌレイエフS以来2年9か月ぶり2度目の顔合わせとなった。前年のBCマイルで2連覇を果たしたルアーは、ハンデを与えたパラダイスクリークに2連敗中ではあったが、まだ健在ぶりを示していた。フォースターズオールスターは、ヌレイエフS後にエルクホーンS・バーナードバルークH・ニューハンプシャースウィープH・サラトガバドワイザーBCHを勝利して、前年のBCマイルで3着と健闘していた。123ポンドのルアーが単勝オッズ1.6倍の1番人気、121ポンドの本馬が単勝オッズ2.7倍の2番人気、117ポンドのフォースターズオールスターが単勝オッズ7.2倍の3番人気となった。スタートが切られるとやはりルアーが逃げを打ち、本馬は最後方を追走した。本馬の少し前を走っていたフォースターズオールスターが先に仕掛けて直線入り口でルアーに並びかけていったが、本馬はあまり反応が良くなく、直線入り口でもまだ後方だった。レースはルアーが直線でスタンドの影に驚いてジャンプしながらも、フォースターズオールスターとの叩き合いを鼻差で制して勝利し、本馬は1馬身半差の3着に敗れた。

次走のアーリントンH(米GⅡ・T10F)では、ハリウッド金杯で2着してきたメシドール賞・サンルイオビスポHの勝ち馬ファンモア、スターズ&ストライプスHを勝ってきたマラスタニとの対戦となった。119ポンドのファンモアが前走ダート競走にも関わらず単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持され、123ポンドの本馬が単勝オッズ2.3倍の2番人気、114ポンドのマラスタニが単勝オッズ8.6倍の3番人気となった。レースはファンモアが逃げて、本馬は中団につけた。しかし直線でも粘るファンモアとは対照的に、本馬は直線で踏ん張りが効かずに後退。追い込んだマラスタニを首差抑えて勝ったファンモアから10馬身1/4差も離された5着に沈んだ。

次走のアーリントンミリオン(米GⅠ・T10F)では、パラダイスクリークと前年のETターフクラシックS以来1年4か月ぶり2度目の対戦となった。しかしこの年にカナディアンターフH・ETターフクラシックH・ETディキシーH・ETマンハッタンHなどに勝利して、ルアーと並ぶ米国芝路線の最強馬に上り詰めていたパラダイスクリークと、5連敗中と明らかにピークを過ぎていた本馬との差は歴然としていた。本馬には仏国からアーリントンパーク競馬場に一時的に遠征していた武豊騎手が騎乗したのだが、この1週間後のムーランドロンシャン賞でスキーパラダイスに騎乗して日本人騎手として史上初の海外国際GⅠ競走勝利を挙げる武豊騎手の手腕を持ってしてもその差を埋める事は出来なかった。結果はパラダイスクリークが単勝オッズ2.8倍の1番人気に応えて2着ファンモア以下に勝利を収め、単勝オッズ15.1倍で7番人気の本馬は最後方から伸びずに、パラダイスクリークから15馬身1/4差をつけられた12着と惨敗。これを最後に6歳時4戦未勝利で現役生活にピリオドを打った。

血統

Cozzene Caro フォルティノ Grey Sovereign Nasrullah
Kong
Ranavalo Relic
Navarra
Chambord Chamossaire Precipitation
Snowberry
Life Hill Solario
Lady of the Snows
Ride the Trails Prince John Princequillo Prince Rose
Cosquilla
Not Afraid Count Fleet
Banish Fear
Wildwook Sir Gaylord Turn-to
Somethingroyal
Blue Canoe Jet Pilot
Portage
Star Gem Pia Star Olympia Heliopolis Hyperion
Drift
Miss Dolphin Stimulus
Tinamou
Inquisitive Mahmoud Blenheim
Mah Mahal
Swistar Pavot
Schwester
Soonerland Fleet Nasrullah Nasrullah Nearco
Mumtaz Begum
Happy Go Fleet Count Fleet
Draeh
Hill Indian Hill Prince Princequillo
Hildene
Indian Nurse Mahmoud
Gallant Nurse

コジーンは当馬の項を参照。

母スタージェムは現役時代82戦17勝の成績を残した頑健な馬だった。その産駒には、本馬の半弟ジェイエフウイリアムズ(父ブロードブラッシュ)【ロサンゼルスH(米GⅢ)】、半弟マティージー(父カポウティ)【ハリウッドフューチュリティ(米GⅠ)・アスコットH(米GⅢ)】がいる。スタージェムの子以外には近親における活躍馬には乏しいが、スタージェムの曾祖母インディアンナースがなかなか優秀な牝系を構築しており、ラヴサイン【アラバマS(米GⅠ)・ベルデイムS(米GⅠ)2回】、メロディスト【伊オークス(伊GⅠ)・愛オークス(愛GⅠ)】、コルスター【フラワーボウル招待H(米GⅠ)】、クエイザー【パンチェスタウンチャンピオンハードル(愛GⅠ)】、グレートハンター【ブリーダーズフューチュリティS(米GⅠ)】、ステラーウインド【サンタアニタオークス(米GⅠ)】、モアスピリット【ロスアラミトスフューチュリティ(米GⅠ)】、日本で走ったブラボーデイジー【エンプレス杯(GⅡ)・福島牝馬S(GⅢ)】、メイショウヨウドウ【東京ジャンプS(JGⅢ)】などの活躍馬が出ている。→牝系:F1号族⑤

母父ピアスターは現役成績29戦10勝、ブルックリンH・サバーバンH・ワイドナーH・エクワポイズマイルSなどを勝っている。ピアスターの父オリンピアは、現役成績41戦15勝。2歳時にブリーダーズフューチュリティSを勝ち、3歳時にはサンフェリペS・フラミンゴS・ウッドメモリアルSなど6連勝してケンタッキーダービーでは本命になるがポンダーの着外に敗れた。他にはウィザーズS・ポーモノクH・カムデンHなどに勝っている。ピアスターの父ヘリオポリスはリヴァリッジの項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬はすぐに日本に種牡馬として輸入され、1995年から日高ブリーダーズスタリオンステーションで繋養された。初年度は67頭、2年目は69頭、3年目は74頭、4年目は67頭と安定した交配数が確保された。5年目の1999年は25頭まで交配数が下がったが、この年に2年目産駒のエンゼルカロが三歳戦で活躍したため、翌6年目には109頭まで交配数が増えた。7年目は61頭、8年目は72頭、ニホンピロサートが活躍した9年目の2003年は88頭、ニホンピロサートに加えてマイネルブルックが活躍した10年目の2004年は89頭の交配数であり、しばらくは人気種牡馬の地位を保っていた。ところが11年目の2005年以降の交配数は下落の一途を辿り、11年目は32頭、12年目は30頭、13年目は24頭、14年目は19頭の交配数だった。15年目の2009年にレックススタッドに移動したが、同年は8頭、16年目は3頭と交配数は一層減少した。2011年には熊本県の本田牧場に移動したが、同年の交配数は7頭で翌年に誕生した産駒は1頭のみだった。そのために2012年の種牡馬活動は行わず、翌2013年2月に25歳で他界した。

全日本種牡馬ランキングは2005年の28位が最高で、それを含めて40位以内が8回あり、決して悪い種牡馬成績ではなかった。産駒の勝ち上がり率も高かったが、大物が出ないのが人気低迷の原因だったようである。産駒は仕上がりが早い点では自身と異なるが、それ以外の点(旬を過ぎると一気に衰える傾向がある事、芝向きの鋭い一瞬の切れがある事、ダートもこなす事、距離は中距離が上限である事)では自身と良く似た傾向があった。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1997

エンゼルカロ

函館三歳S(GⅢ)・栄冠賞(旭川)

1997

マイネルビンテージ

京成杯(GⅢ)

1997

ユーワファルコン

中日スポーツ賞四歳S(GⅢ)

1998

ニホンピロサート

ガーネットS(GⅢ)・プロキオンS(GⅢ)・サマーチャンピオン(GⅢ)・さきたま杯(GⅢ)・兵庫ゴールドトロフィー(GⅢ)

1998

ネイティヴハート

オーシャンS(GⅢ)・東北ジュニアグランプリ(盛岡)

1998

ハイコンプリート

とちぎ大賞(北関GⅠ)・春光賞(北関GⅢ)2回・織姫賞(北関GⅢ)

2001

トレオウオブキング

OROカップ(盛岡)

2001

ハリーズコメット

北海道スプリントC(GⅢ)

2001

マイネルブルック

きさらぎ賞(GⅢ)

2004

ナムラグローリー

オータムスプリントC(金沢)2回

2005

マイネルスターリー

函館記念(GⅢ)

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