キートゥザミント

和名:キートゥザミント

英名:Key to the Mint

1969年生

鹿毛

父:グロースターク

母:キーブリッジ

母父:プリンスキロ

同世代のリヴァリッジと好勝負を演じリヴァリッジを抑えてエクリプス賞最優秀3歳牡馬に選ばれたリボー直系の名種牡馬

競走成績:2~4歳時に米で走り通算成績29戦14勝2着4回3着3回

誕生からデビュー前まで

米国の名物馬主ポール・メロン氏により米国ヴァージニア州ロークビーステーブルにおいて生産され、ロークビーステーブル名義で競走馬となり、米国ジョン・エリオット・バーチ調教師に預けられた。

成長後の体高は16ハンドで、整った顔立ち、角度の良い肩、強靭な下半身、筋肉質で頑丈な馬体を有すると評された、非常に見栄えが良い馬だった。また、本馬が1歳時の1970年に、メロン氏の所有馬でバーチ師の管理馬だった半兄フォートマーシーが、米年度代表馬・米最優秀ハンデ牡馬騙馬・米最優秀芝馬に選出される活躍を示していたため、本馬に対しても大きな期待が掛けられたと思われる。多くのレースでブリンカーとシャドーロールを着用しており、それがトレードマークとなっていた。

競走生活(2歳時)

2歳6月にベルモントパーク競馬場で行われたダート5.5ハロンの未勝利戦で、主戦となるJ・ロッツ騎手を鞍上にデビュー。1番人気に支持されたが、デビュー2戦目だった後の好敵手リヴァリッジから5馬身半差をつけられた2着に敗れた。2週間後にアケダクト競馬場で行われたダート5.5ハロンの未勝利戦では、2着フロアーショウに2馬身差で勝ち上がった。その10日後に出走した同コースの一般競走では、ビービービーの2馬身半差3着に敗退。

その後は少し間隔を空け、9月にベルモントパーク競馬場で行われたダート6ハロンの一般競走に出て、ミスタープロスペクターの1歳年上の全兄サーチフォーゴールドを半馬身差の2着に抑えて勝利。その2週間後にはベルモントフューチュリティS(D6.5F)に出走。フラッシュSを勝ってきたリヴァリッジと2度目の対戦となったが、勝ったリヴァリッジから5馬身半差をつけられた5着に敗れた。その11日後にはカウディンS(D7F)に出たが、サラトガスペシャルS2着馬ロウクウェイシイャスドンの鼻差2着に惜敗。翌10月にガーデンステート競馬場で出走した一般競走では1位入線するも進路妨害で4着に降着となった。11月にはアケダクト競馬場で行われたダート7ハロンの一般競走に出て、2着ノーレアセに2馬身差で勝利。翌週に出走したガーデンステートS(D8.5F)では、リヴァリッジと3度目の対戦となった。しかしシャンペンS・ローレルフューチュリティも勝ってステークス競走4連勝中と絶好調だったリヴァリッジにまたも屈して、2馬身3/4差の3着に敗北。2週間後のレムセンS(D8F)では、新しい主戦としてブラウリオ・バエザ騎手を鞍上に迎えた。このレースを2着デターマインドコズミックに半馬身差で制してようやくステークス競走初勝利を挙げ、2歳時の成績は10戦4勝となった。

競走生活(3歳前半)

3歳時は3月にハイアリアパーク競馬場で行われたバハマズS(D7F)から始動した。ここではアーリントンワシントンフューチュリティの勝ち馬ホールドユアピースとの対戦となったが、勝ったのはニュープロスペクトで、ホールドユアピースは2着、本馬はニュープロスペクトから10馬身差をつけられた4着と大敗した。12日後に出走したハイアリアパーク競馬場ダート6ハロンの一般競走では、後脚の膝関節を打撲して負傷した影響でまったく競馬にならず、勝ったオーバーアレンジドから42馬身差をつけられた12着最下位に敗れた。

それでも、ケンタッキーダービーを目指してチャーチルダウンズ競馬場に向かい、ダービートライアルS(D8F)に出走。ルイジアナダービー・アーカンソーダービーを勝ってきたノーレアセを2馬身半差の2着に破って勝利を収めた。そのまま4日後のケンタッキーダービーに向かうかと思われたが、ハイアリアパーク競馬場で負傷した怪我の具合が悪化したために、ケンタッキーダービーは回避となった。

そこですぐにプリークネスSに目標を切り替えてピムリコ競馬場に向かい、本番1週間前に行われたダート8.5ハロンの一般競走に出走。ここでは同父馬のラディガ(後に日本に種牡馬として輸入され優駿牝馬の勝ち馬ケイキロクなどを出す)を2馬身半差の2着に破って快勝した。そして迎えたプリークネスS(D9.5F)では、ケンタッキーダービーを勝ってきたリヴァリッジに次ぐ2番人気に推された。しかし超不良馬場の中で行われたレースでは、リヴァリッジ(4着)には初めて先着したものの、サバイバーSを勝って臨んできた4番人気馬ビービービーと、ダービートライアルS2着後に出たケンタッキーダービーで2着していた3番人気馬ノーレアセの2頭に敗れて、勝ったビービービーから5馬身3/4差の3着に終わった。

その後はベルモントSには直行せずに、先にウィザーズS(D8F)に出走。後に名種牡馬となるアイスカペイドを1馬身差の2着に退けて勝利した。そして迎えたベルモントS(D12F)では、リヴァリッジ、ノーレアセに次ぐ3番人気に推された。スタートからしばらくして先頭に立ったリヴァリッジに外側から並びかけた本馬は2~3番手を追走した。しかし四角でリヴァリッジに引き離されると力尽きて、ルリタニアとクラウディドーンの後続馬2頭に差され、勝ったリヴァリッジから13馬身差の4着に敗れた。このレースは仕掛けが早すぎたと評されている。

競走生活(3歳後半)

夏場も休まず走り、7月のブルックリンH(D9.5F)に向かった。メトロポリタンH・サンフォードS・フラミンゴS・ガルフストリームパークH・セミノールHを勝っていたエグゼキューショナー、ディスカヴァリーH・サンフェルナンドS・エクセルシオールH・ウエストチェスターHを勝っていたオートバイオグラフィー、前年のウッドワードSの勝ち馬でトラヴァーズS2着のウエストコーストスカウトといった有力4歳馬勢が主な対戦相手となった。しかし112ポンドという軽量に恵まれた本馬が、122ポンドを背負っていた2着オートバイオグラフィーに2馬身差をつけて逃げ切り勝利。勝ちタイム1分54秒8はコースレコードタイだった。

次走は8月のホイットニーH(D9F)となった。ここでも対戦相手の中心は古馬勢であり、オートバイオグラフィー、トラヴァーズS・エクセルシオールHの勝ち馬でマンノウォーS・ジョッキークラブ金杯2着のラウド、メトロポリタンHの勝ち馬でサバーバンH3着のチューネックスなどが出走してきた。今回も本馬は113ポンドの軽量に恵まれており、2着チューネックスに2馬身差で勝利した。

2週間後のトラヴァーズS(D10F)は同世代馬同士の戦いだった。リヴァリッジは不在だったが、ジムダンディSを勝って勢いに乗るテンタム、レキシントンHを勝ってきたビッグスプルース、ジムダンディSで2着してきたトゥルーナイトといった実力馬達との対戦となった。しかし3番手を追走した本馬が、逃げるテンタムを直線で差し切って1馬身差で勝利した。

9月にはウッドワードS(D12F)に出走。このレースには、ホイットニーHで4着だったオートバイオグラフィー、CCAオークス・ヘンプステッドH・ブラックアイドスーザンS・モンマスオークス・アラバマSを勝ちベルデイムSで2着してきた同世代馬サマーゲストなどに加えて、リヴァリッジも参戦してきて、本馬とは6度目の対戦となった。しかし夏場に米国西海岸に遠征してハリウッドダービーに出走して以降、すっかり調子を落としていたリヴァリッジは4着と凡走し、本馬が2位入線のオートバイオグラフィー(進路妨害により3着に降着となり、3位入線のサマーゲストが繰り上がって2着となっている)に1馬身1/4差をつけて勝利した。

次走のジョッキークラブ金杯(D16F)でも、リヴァリッジ、オートバイオグラフィーと顔を合わせた。今回はオートバイオグラフィーが一世一代の激走を見せて15馬身差で圧勝(この勝ち方が評価されてオートバイオグラフィーは同年のエクリプス賞最優秀古馬牡馬を受賞した)。本馬は2着に敗れたが、3着リヴァリッジには3馬身先着した。

3歳時の出走はこれが最後となり、この年の成績は12戦7勝だった。夏場以降の成績が評価され、12戦5勝のリヴァリッジを抑えてエクリプス賞最優秀3歳牡馬に選出された。夏場以降に急激に上昇してタイトルを奪取した点においては、3年前にマジェスティックプリンスを抑えて米年度代表馬・最優秀3歳牡馬を受賞したアーツアンドレターズと同様であり、比較対象にされた。

競走生活(4歳時)

4歳時は4月のエクセルシオールH(GⅡ・D9F)から始動。2着キングズビショップに2馬身差をつけて、1分47秒8のレースレコードで快勝した。次走のメトロポリタンH(GⅠ・D8F)では、9日前のカーターHを勝ってきたキングズビショップ、前年のトラヴァーズS2着後にジェロームHでも2着して前走トボガンHを勝ってきたテンタムに加えて、リヴァリッジも出走してきて、本馬と8度目の対戦となった。本馬とリヴァリッジの斤量はいずれも127ポンドと互角だった。結果はテンタムが勝ち、本馬は1馬身1/4差の2着、リヴァリッジは大差の7着と惨敗した。

その後はアケダクト競馬場に向かい、ダート9ハロンの一般競走に出走して、2着ルールバイリーズンに2馬身差で軽く勝利。そして出走したブルックリンH(GⅠ・D9.5F)では、テンタム、前年のトラヴァーズS3着後にジェロームH・ローマーH・セミノールHを勝っていたトゥルーナイトなどに加えて、リヴァリッジも出走してきて、本馬と9度目の対戦となった。前年の勝利馬でもある本馬が、リヴァリッジより1ポンド重い128ポンドのトップハンデを課せられた。しかし今回はリヴァリッジがその実力を存分に発揮し、世界レコードで勝利。本馬はリヴァリッジから5馬身半差をつけられた4着に敗れた。

次走のサバーバンH(GⅠ・D10F)にはリヴァリッジは不在であり、本馬が2着トゥルーナイトに1馬身3/4差で勝利した。

9月にはこの年の米国三冠馬セクレタリアトとリヴァリッジの最初で最後の対戦機会として、ベルモントパーク競馬場が主催したマールボロC招待H(D9F)に本馬も参戦。しかし勝ったセクレタリアトから17馬身差、2着リヴァリッジからも13馬身半差をつけられて、7着最下位に敗れた。その12日後には初の芝競走となるユナイテッドネーションズH(GⅠ・T9.5F)に出走したが、勝ったテンタムに10馬身差をつけられた11着と惨敗し、これを最後に4歳時7戦3勝の成績で競走馬を引退した。好敵手リヴァリッジとの対戦成績は本馬の4勝6敗だった。

血統

Graustark Ribot Tenerani Bellini Cavaliere d'Arpino
Bella Minna
Tofanella Apelle
Try Try Again
Romanella El Greco Pharos
Gay Gamp
Barbara Burrini Papyrus
Bucolic
Flower Bowl Alibhai Hyperion Gainsborough
Selene
Teresina Tracery
Blue Tit
Flower Bed Beau Pere Son-in-Law
Cinna
Boudoir Mahmoud
Kampala
Key Bridge Princequillo Prince Rose Rose Prince Prince Palatine
Eglantine
Indolence Gay Crusader
Barrier
Cosquilla Papyrus Tracery
Miss Matty
Quick Thought White Eagle
Mindful
Blue Banner War Admiral Man o'War Fair Play
Mahubah
Brushup Sweep
Annette K.
Risque Blue Blue Larkspur Black Servant
Blossom Time
Risque Stimulus
Risky

グロースタークは当馬の項を参照。

母キーブリッジは不出走馬だが、繁殖牝馬としては、本馬の半兄である米国顕彰馬フォートマーシー(父アメリゴ)【ワシントンDC国際S2回・マンノウォーS・ハリウッドターフ招待H・ユナイテッドネーションズ招待H・タイダルH2回・バーナードバルークH・サンセットH・ブーゲンヴィリアH・ディキシーH・ボーリンググリーンH】、半弟キートゥザキングダム(父ボールドルーラー)【スタイミーH(米GⅢ)】、半弟キートゥコンテント(父フォルリ)【ユナイテッドネーションズH(米GⅠ)・サラナクS(米GⅡ)・フォートマーシーH(米GⅢ)】など活躍馬を続出させ、1980年のケンタッキー州最優秀繁殖牝馬に選出されている。本馬の半妹グライディングバイ(父トムロルフ)の孫には、シルヴァーペイトリアーク【英セントレジャー(英GⅠ)・コロネーションC(英GⅠ)・伊ジョッキークラブ大賞(伊GⅠ)】とパピノー【アスコット金杯(英GⅠ)】の兄弟、曾孫にはウットンバセット【ジャンリュックラガルデール賞(仏GⅠ)】、玄孫には日本で走ったフェイトフルウォー【セントライト記念(GⅡ)・京成杯(GⅢ)】がいる。また、本馬の半姉セブンロックス(父ジャシント)と半妹キーリンク(父ボールドルーラー)の牝系子孫は南米で発展しており、複数の活躍馬が出ている。

キーブリッジの母ブルーバナーはテストS・フィレンツェH・ディスタフHを勝った名牝で、ブルーバナーの祖母リスクもアーリントンラッシーS・アラバマS・アーリントンメイトロンHを勝った活躍馬。リスクの牝系子孫からは、1989年の加国三冠馬ウィズアプルーヴァル、1990年の加国三冠馬イズヴェスティア、タッチゴールド【ベルモントS(米GⅠ)・ハスケル招待H(米GⅠ)】などが出ている。→牝系:F2号族③

母父プリンスキロは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬はケンタッキー州ゲインズウェイファームで種牡馬入りした。本馬は種牡馬としても父グロースタークの後継として活躍した。牝馬の活躍馬が多く、それ故か母系に入っての活躍も目立つ。1996年9月に老衰のため27歳で他界した。後継種牡馬としてはジャワゴールドが一定の成功を収めたが、その後が続かずに現在はかなり衰退している。繁殖牝馬の父としてはインサイドインフォメーションスウェインを出している。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1975

Key to the Saga

パッカーアップS(米GⅢ)

1975

Sauce Boat

アーリントンワシントンフューチュリティ(米GⅠ)

1975

Spark of Life

レディーズH(米GⅠ)・クリサンセマムH(米GⅢ)

1976

Belle's Gold

ベイショアS(米GⅢ)・ジャマイカH(米GⅢ)・ディスカヴァリーH(米GⅢ)

1976

Clef d'Argent

テストS(米GⅡ)

1976

Kamar

加オークス

1977

Plugged Nickle

ローレルフューチュリティ(米GⅠ)・フロリダダービー(米GⅠ)・ウッドメモリアルS(米GⅠ)・ヴォスバーグS(米GⅠ)・レムセンS(米GⅡ)・トムフールS(米GⅢ)・ジムダンディS(米GⅢ)・スタイヴァサントH(米GⅢ)

1977

Sugar and Spice

マザーグースS(米GⅠ)・コティリオンH(米GⅡ)・アッシュランドS(米GⅢ)

1978

Wings of Grace

ボイリングスプリングスH(米GⅢ)

1981

Gold and Ivory

オイロパ賞(独GⅠ)・伊ジョッキークラブ大賞(伊GⅠ)・バーデン大賞(独GⅠ)・ロイヤルロッジS(英GⅡ)

1981

Love Smitten

アップルブロッサムH(米GⅠ)・サンタマリアH(米GⅡ)・シルヴァーベルズH(米GⅢ)

1984

Java Gold

レムセンS(米GⅠ)・ホイットニーH(米GⅠ)・トラヴァーズS(米GⅠ)・マールボロC招待H(米GⅠ)

1984

Key to the Bridge

ボーゲイH(米GⅢ)

1986

Key Spirit

フィラデルフィアパークBCH(米GⅢ)

1986

Love's Exchange

シャーリージョーンズH(米GⅢ)

1986

Love's Exchange

シャーリージョーンズH(米GⅢ)

1990

Rockamundo

アーカンソーダービー(米GⅡ)

1992

Jewel Princess

BCディスタフ(米GⅠ)・ヴァニティ招待H(米GⅠ)・サンタマリアH(米GⅠ)・サンタマルガリータ招待H(米GⅠ)・エルエンシノS(米GⅡ)・ラカナダS(米GⅡ)・ルイビルBCH(米GⅡ)・サンクレメンテH(米GⅢ)・リンダヴィスタBCH(米GⅢ)

1994

Key Lory

オーシャンポートH(米GⅢ)・レッドバンクH(米GⅢ)

1995

The Fed

ドミニオンデイH(加GⅢ)

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