タイムチャーター

和名:タイムチャーター

英名:Time Charter

1979年生

鹿毛

父:サリテイマー

母:セントロコン

母父:ハイライン

英オークス・英チャンピオンS・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDSなどを制した1980年代の欧州競馬を代表する名牝

競走成績:2~5歳時に英仏で走り通算成績20戦9勝2着4回3着1回

同世代のオールアロングと共に1980年代前半の欧州競馬を代表する名牝中の名牝であるが、ジャパンCにも参戦したオールアロングに比べると日本における知名度ではかなり劣る。本馬とオールアロングはどちらが強かったとは断定できず(対戦成績は2勝2敗の五分)、いずれにしてもこの2頭は1980年代のみならずサラブレッド競馬史上においても有数の存在である。

誕生からデビュー前まで

愛国の馬産家ロバート・バーネット氏の生産・所有馬で、英国オックスフォードシャー州キングストンウォーレンに厩舎を構えていたバーネット氏の専属調教師ヘンリー・キャンディ師に預けられた。

競走生活(3歳初期まで)

2歳6月に英国サンダウンパーク競馬場で行われたジューンS(T5F)でデビューしたが、マムルフィンの6馬身差3着に敗退。翌7月にレスター競馬場で出走したワークソップマナーS(T6F)を4馬身差で制して初勝利を挙げた。同月にはアスコット競馬場でプリンセスマーガレットS(T6F)に出走したが、勝ったサーカスリングから16馬身差をつけられて6着に大敗した。その後は9月にグッドウッド競馬場で行われたナーサリーH(T7F)に出走。2歳牝馬にして133ポンドというかなり厳しい斤量が課せられたが、2着ラムラッシュに3/4馬身差をつけて勝利した。翌10月にはリングフィールド競馬場でナーサリーHに出走したが、牡馬に混じってトップハンデを課せられてしまい、牡馬スパニッシュプールの7着に敗れた。2歳時の成績は5戦2勝だった。

3歳時は4月初めにケンプトンパーク競走場で行われたマサカS(T8F)から始動した。そして2着エピセットに5馬身差をつける圧勝を飾った。そして同月末の英1000ギニー(英GⅠ・T8F)に駒を進めたが、単勝オッズ12倍とそれほど評価されていなかった。本馬の鞍上が当時は見習い騎手だったウィリアム・ニューネス騎手だったというのも評価を下げる一因となっていたようである。レースではコーンウォリスS3着馬ハローカドルスと一緒に先頭に立って馬群を先導。そしてそのまま押し切ろうとしたが、残り2ハロン地点で後方から来た単勝オッズ34倍の伏兵オンザハウスに差されて、2馬身半差の2着に敗れた。それでも3着となった後のオペラ賞の勝ち馬ディオーネには2馬身差をつけており、健闘したと言える内容だった。

競走生活(3歳中期と後期)

次走の英オークス(英GⅠ・T12F)では、父サリテイマーが短距離馬だった影響から距離不安が指摘されており、前走よりさらにオッズが上がって単勝オッズ13倍の評価だった。主な対戦相手は、リングフィールドオークストライアルSを4馬身差で勝ってきた単勝オッズ5倍の1番人気馬タンツ、ムシドラSを勝ってきたラストフェザー、フレッドダーリンSの勝ち馬スライトリーデンジャラス(ウォーニングコマンダーインチーフ兄弟の母)、ペネロープ賞の勝ち馬でサンタラリ賞2着のオールアロング、フィリーズマイル3着馬ジンザラ、後のヨークシャーオークス・伊ジョッキークラブ大賞の勝ち馬アワーシフなどだった。スタートが切られると、やはり距離を意識したのかニューネス騎手は前走とは異なり本馬を後方に下げた。そして直線に入ってから外側に持ち出して末脚に賭けた。そして豪快な末脚を伸ばし、残り1ハロン地点で先頭に立つと、2着スライトリーデンジャラスに1馬身差、3着ラストフェザーにはさらに1馬身半差をつけて快勝した。勝ちタイム2分34秒21はレースレコードであっただけでなく、この3日前に行われた英ダービーにおけるゴールデンフリースの勝ちタイム2分34秒27より速かった。

その後は7月末のナッソーS(英GⅡ・T10F)に出走したが、ここでは7ポンドのハンデを与えたコロネーションS3着馬ダンシングロックスの2馬身差2着に敗れた。その後はヨークシャーオークスやベンソン&ヘッジズ金杯に出走する予定だったが、風邪をひいて鼻水が止まらなくなったために回避。

治療のために短期間の休養を取り、10月のサンチャリオットS(英GⅡ・T10F)に向かった。ここでは当時牡馬相手のGⅡ・GⅢ競走路線で勝てないまでも好走を続けていた後のジャパンC馬スタネーラと顔を合わせた。斤量は本馬が3ポンド重かったが、残り2ハロン地点で早めに先頭に立って押し切り、スタネーラを3/4馬身差の2着に抑えて勝利した。

そして英チャンピオンS(英GⅠ・T10F)に出走した。さすがに対戦相手は強力であり、この年のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS・エクリプスS・アールオブセフトンS・ブリガディアジェラードSを勝っていたカラグロウ、英2000ギニー・クリテリウムドメゾンラフィットの勝ち馬でサラマンドル賞・ジャンプラ賞2着のジノ、クイーンエリザベスⅡ世Sを3馬身差で完勝してきたバザーズベイ、ホーリスヒルSの勝ち馬モンテキン、ダイオメドSの勝ち馬プリマヴォーチェ、ロッキンジS2着馬ノアルトなどが参戦してきた。カラグロウが1番人気に支持され、本馬は単勝オッズ5.5倍の2番人気だった。馬群が固まってレースが進展する中、本馬は馬群の中団後方を進んだ。勝負どころに差し掛かってもしばらくは馬群の中にいたが、残り1ハロン地点手前の辺りでインコースから先行馬をかわすと、一気に後続を引き離し、最後は2着プリマヴォーチェに同競走史上最大となる7馬身差をつけて圧勝した。3歳時の成績は6戦4勝で、この年の英最優秀3歳牝馬に選ばれた。

競走生活(4歳前半)

3歳限りで競走馬を引退して、翌年はノーザンダンサーと交配される計画が組まれていたのだが、英チャンピオンSの勝ち方があまりにも強かったために、予定を変更して翌年も現役を続けることになった。そして4歳になっても調教が続けられた本馬だったが、この1983年の春シーズンの英国は非常に寒く、本馬は体調を崩してしまった。鼻や口などから膿汁が流れ出ていたというから、前年に引いた風邪よりも症状は悪かったようである。

それでも何とか治癒した事から、4月にニューマーケット競馬場で行われたジョッキークラブS(英GⅢ・T12F)に出走した。しかしグレートヴォルティジュールS・ホワイトローズS・ゴードンSを勝っていた牡馬エレクトリックに頭差屈して2着に敗れた。もっとも、主戦のニューネス騎手は本馬の体調を慮って無理に追わなかったようである。その後はコロネーションCに向かう予定だったが、今度は脚を怪我してしまったために回避となった。

負傷の程度はそれほど重度ではなく、7月のエクリプスS(英GⅠ・T10F)には出走した。対戦相手は、前年のサンチャリオットSで本馬に敗れた後にジャパンCで4着と健闘し、この年にブリガディアジェラードS・プリンスオブウェールズS・ハードウィックSと3連勝してきたスタネーラ、英2000ギニー・セントジェームズパレスS2着のトロメオ、クレイヴンSの勝ち馬で英2000ギニー3着のムスカタイト、リス賞を勝ってきたソルフォード、ダンテS2着馬ガンズオブナバロンなどだった。レースではやはり後方待機策を採り、直線で追い上げる作戦に出た。しかし上記に挙げた5頭がゴール前で演じた頭差、頭差、首差、首差の大接戦に本馬は参加することが出来ず、勝ったソルフォードから2馬身差の6着に敗れた。

競走生活(4歳後半)

3週間後のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS(英GⅠ・T12F)では、仏ダービー・アングルシーSの勝ち馬で愛ダービー2着のカーリアン、前走の英オークスを12馬身差で大圧勝してきたサンプリンセス、ミラノ大賞・サンクルー大賞・ジョンポーターS・エヴリ大賞の勝ち馬ダイヤモンドショール、ガネー賞・エヴリ大賞・アルクール賞・リス賞・エドヴィル賞の勝ち馬でガネー賞・サンクルー大賞2回2着のランカストリアン、前年の英オークスでは本馬の4着だったヨークシャーオークス馬で凱旋門賞3着のアワーシフ、米国から遠征してきたサンフアンカピストラーノ招待H・マールボロカップ招待H・ジョッキークラブ金杯・ソードダンサーHの勝ち馬でハリウッド招待H2着のレムヒゴールドなどが対戦相手となった。ニューネス騎手がレース数日前の調教中に乗っていた馬が突如死亡して落馬負傷していたため、本馬の鞍上は当時48歳の大ベテラン騎手ジョー・マーサー騎手に交代となっていた。カーリアンとサンプリンセスが並んで単勝オッズ3.25倍の1番人気で、本馬は単勝オッズ6倍の3番人気だった。鞍上が変わっても本馬の戦法に変化はなく、道中は馬群の後方を追走。もっとも、それほど縦長の馬群ではなく、先頭までは5馬身程度の差だった。そして直線に入ってくると、外側を通って鮮やかな末脚を繰り出し、粘るダイヤモンドショールを差し切り、2着ダイヤモンドショールに3/4馬身差、3着サンプリンセスにはさらに1馬身差をつけて勝利を収めた。

その後は凱旋門賞を目指して渡仏し、前哨戦のフォワ賞(仏GⅢ・T2400m)に出走。鞍上は怪我が癒えたニューネス騎手に戻っていた。対戦相手は、前年の英オークスで本馬の6着に敗れた後にヴェルメイユ賞・モーリスドニュイユ賞を勝ちジャパンCで2着していたオールアロング、ゴントービロン賞・クインシー賞の勝ち馬グレートサブステンスなどだった。ここでは道中で進路が塞がる不利があったが、すぐに克服すると直線に入って残り200m地点で内側を突いて先頭に立ち、3kgのハンデを与えたオールアロングを3/4馬身差の2着に抑えて勝利した。

そして本番の凱旋門賞(仏GⅠ・T2400m)に向かった。主な対戦相手は、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS2着後にバーデン大賞を勝ってきたダイヤモンドショール、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS3着後にヨークシャーオークス・英セントレジャーを連勝してきたサンプリンセス、エクリプスS4着後にジョーマクグラス記念Sを勝ってきたスタネーラ、ヴェルメイユ賞・ノネット賞の勝ち馬でサンタラリ賞2着のシャラヤ、ポモーヌ賞・ドーヴィル大賞などの勝ち馬ザラテア、ジャックルマロワ賞・ムーランドロンシャン賞・アスタルテ賞の勝ち馬ルースエンシャンティ、ニジンスキーS・テトラークS・愛国際Sの勝ち馬サーモンリープ、アルクール賞・ジャンドショードネイ賞・ドラール賞の勝ち馬ウェルシュターム、独ダービー・ベルリン大賞・アラルポカル・独2000ギニー・ウニオンレネン・デュッセルドルフ大賞・ハンザ賞2回などの勝ち馬オロフィノ、プランスドランジュ賞を勝ってきたリュパン賞2着馬ラヴリーダンサー、ニエル賞を勝ってきたサガス、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDSではいずれも着外だったランカストリアンとアワーシフ、それにオールアロングだった。凱旋門賞は前年まで4年連続で牝馬が勝利していた事もあってか、本馬が単勝オッズ4.25倍で堂々の1番人気に支持された。レースが26頭という多頭数で行われたためか、本馬は先行策を採った。終始外側を走らされながらも最終コーナーでは積極的に仕掛けたが、いつもの切れ味は見られず、インコースを抜け出したオールアロングや、サンプリンセス、ルースエンシャンティとの争いに敗れて4着に終わった。それでも勝ったオールアロングとの着差は1馬身1/4差であり、実力は示したと言える。なお、この年の凱旋門賞は上位4頭が牝馬であり、5年連続牝馬による勝利という点も含めて牝馬の強さ(と牡馬の不甲斐なさ)が目立つ結果となった。4歳時は5戦2勝の成績で、この年の英最優秀古馬牝馬に選ばれた。

競走生活(5歳時)

5歳時も現役を続行したが、今度は腰を痛めたために復帰が遅れ、6月のコロネーションC(英GⅠ・T12F)がシーズン初戦となった。ここでは3度目の対戦となるサンプリンセスに加えて、前年のコロネーションS・プリティポリーSの勝ち馬で英チャンピオンS2着のフレイムオブタラ(名牝サルサビルの母)、前年の凱旋門賞7着後にアルクール賞を勝っていたラヴリーダンサー、前年の英ダービー3着馬シェアーウォークなどが対戦相手となった。本馬の鞍上は米国から来たスティーブ・コーゼン騎手に交代となっていた。レースでは前を行くサンプリンセスを残り1ハロン地点で並ぶ間も無くかわすと、そのまま突き抜けて、2着サンプリンセスに4馬身差をつけて圧勝した。

1か月後のエクリプスS(英GⅠ・T10F)では、愛2000ギニー・ベレスフォードS・デリンズタウンスタッドダービートライアルSの勝ち馬で仏ダービー2着のサドラーズウェルズ、前年のエクリプスS3着後に米国に遠征してアーリントンミリオンSを勝っていたトロメオ、イスパーン賞を2連覇してきたクリスタルグリッターズ、英チャンピオンS・サンチャリオットS・ロッキンジSの勝ち馬コーモラントウッド、プリンスオブウェールズS・ゴードンリチャーズSを勝ってきたモルコンなどが対戦相手となった。マーサー騎手が騎乗した本馬は例によって馬群の中団後方を追走し、直線に入ると先に抜け出したサドラーズウェルズを猛追したが、首差及ばずに2着に敗れた。

その後はダリア以来の連覇を目指して、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS(英GⅠ・T12F)に出走した。対戦相手は、サドラーズウェルズ、コロネーションC2着から直行してきたサンプリンセス、仏ダービー・クリテリウムドサンクルー・グレフュール賞・オカール賞など5連勝中のダルシャーン、サンクルー大賞・オーモンドSを連勝してきた前年の英ダービー馬ティーノソ、リュパン賞の勝ち馬で愛ダービー3着のダハール、トロメオなどだった。ここでも後方待機策を採って直線で追い上げてきたが、前年のような爆発的な末脚は見られず、先行して勝ったティーノソから6馬身半差をつけられた4着に終わった。

その後は凱旋門賞を目標としたが、9月頃にまたしても風邪をひいてしまい、前哨戦を使わずにぶっつけ本番で凱旋門賞(仏GⅠ・T2400m)に出走することになってしまった。対戦相手は、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS2着後に愛チャンピオンSを勝っていたサドラーズウェルズ、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS5着から直行してきたサンプリンセス、前年の凱旋門賞勝利後に北米に遠征してロスマンズ国際S・ターフクラシックS・ワシントンDC国際Sを全て勝利してエクリプス賞年度代表馬に選ばれていたオールアロング、前年の凱旋門賞では11着に終わるもその後にコンセイユドパリ賞・フォワ賞を勝ちガネー賞で2着していたサガス、コロネーションC3着後にプランスドランジュ賞の2連覇を果たしてきたラヴリーダンサー、仏オークス・ヴェルメイユ賞・ノネット賞の勝ち馬でサンタラリ賞2着のノーザントリック、愛オークス・プリティポリーSの勝ち馬で愛チャンピオンS3着のプリンセスパティ、グレートヴォルティジュールSの勝ち馬でデューハーストS・愛ダービー2着・仏ダービー3着のレインボークエスト、豪州でローズヒルギニー・AJCダービー・クイーンズランドダービー・コックスプレートなどを勝った後に海外に遠征してバーデン大賞を勝っていたストロベリーロード、オイロパ賞・ミラノ大賞の勝ち馬エスプリデュノール、ベルリン大賞2連覇のアバリなどだった。このメンバー相手に体調不良の本馬では対抗することが出来ず、勝ったサガスから大差をつけられた11着に大敗(オールアロングは3着だった)。

本馬はこのレースを最後に競走馬を引退した。5歳時は4戦1勝の成績ながら、2年連続の英最優秀古馬牝馬に選ばれた。英タイムフォーム社による本馬のレーティング131は、第二次世界大戦以降の英オークス馬ではプティトエトワール、ノーブレス、ダンファームリンに次ぐ高さである。

血統

Saritamer ダンサーズイメージ Native Dancer Polynesian Unbreakable
Black Polly
Geisha Discovery
Miyako
Noors Image Noor Nasrullah
Queen of Baghdad
Little Sphinx Challenger
Khara
Irish Chorus Ossian Royal Charger Nearco
Sun Princess
Prudent Polly Atout Maitre
Sister Anne
Dawn Chorus ライジングライト Hyperion
Bread Card
Duke's Delight His Grace
Early Light
Centrocon High Line ハイハット Hyperion Gainsborough
Selene
Madonna Donatello
Women's Legion
Time Call Chanteur Chateau Bouscaut
La Diva
Aleria Djebel
Canidia
Centro ヴィエナ Aureole Hyperion
Angelola
Turkish Blood Turkhan
Rusk
Ocean Sailing Big Game Bahram
Myrobella
Kyanos Blue Peter
Harina

父サリテイマーは現役成績15戦8勝。ジュライC(英GⅠ)・ベレスフォードS(愛GⅡ)・コーク&オラリーS(英GⅢ)・ダイアデムS(英GⅢ)を勝った短距離馬だった。当初は愛国で種牡馬入りし、後にサウジアラビアに輸出された。サリテイマーの父ダンサーズイメージはネイティヴダンサー産駒で現役成績24戦12勝、メリーランドフューチュリティS・グレイH・クラレンドンS・ヴァンダルS・ウッドメモリアルS・ガヴァナーズ金杯・EパルマーヘガーティSの勝ち馬。ケンタッキーダービーでも1位入線したが薬物検査で引っ掛かって失格となり、プリークネスS敗退後に故障で早々に引退した。引退後は愛国と仏国で種牡馬供用され、後に日本の早田牧場に輸入されたが日本では大物産駒は出せなかった。産駒はサリテイマー、ロベールパパン賞・ジュライC・ジャックルマロワ賞・アベイドロンシャン賞の勝ち馬リアンガ、キングズスタンドSの勝ち馬ゴッズウォークなど短距離馬が中心だった。

母セントロコンは現役成績12戦4勝、ランカシャーオークス(英GⅢ)・パラダイスSの勝ち馬。セントロコンの全弟には3頭のグループ競走の勝ち馬がいるが、ニコラスビル【プリンセスオブウェールズS(英GⅡ)・ジェフリーフリアS(英GⅡ)・ジョッキークラブC(英GⅢ)】、セントロライン【ジョッキークラブC(英GⅢ)】、テールクエール【ヴィコンテスヴィジェ賞(仏GⅡ)・ジョッキークラブC(英GⅢ)】とスタミナ豊富な傾向が強い。セントロコンの曾祖母キュアノスの半妹ネオクラシーの子にはタルヤー【英ダービー・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS・英セントレジャー・エクリプスS】とセントクレスピン【凱旋門賞・エクリプスS】の兄弟がおり、やはりスタミナ豊富な牝系である。→牝系:F22号族①

母父ハイラインは現役成績17戦9勝、ジェフリーフリアS2回・ジョッキークラブC3回の勝ち馬。ハイラインの父ハイハットはハイペリオン産駒で、オックスフォードシャーSの勝ち馬。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は、英国フェアウインターファームで繁殖牝馬入りした。母としては10頭の子を産み、うち7頭が勝ち上がり馬となった。自身に匹敵する産駒は出なかったが、3番子の牡駒ジナード(父シャーリーハイツ)【ジョッキークラブS(英GⅡ)】、5番子の牝駒タイムアロウド(父サドラーズウェルズ)【ジョッキークラブS(英GⅡ)・プリンセスロイヤルS(英GⅢ)】の2頭がグループ競走の勝ち馬となった。

孫世代以降からも活躍馬が出ており、7戦1勝だった初子の牝駒バイチャーター(父シャーリーハイツ)の子にファーストチャーター【ロンズデールS(英GⅡ)】、アントンチェコフ【オカール賞(仏GⅡ)】、曾孫にベストタームズ【クイーンメアリーS(英GⅡ)・ロウザーS(英GⅡ)】が、不出走だった4番子の牝駒ノットビフォアタイム(父ポリッシュプレシデント)の子にタイムアウェイ【ムシドラS(英GⅢ)】、孫にタイムオン【マルレ賞(仏GⅡ)】、日本で走ったインカンテーション【レパードS(GⅢ)・みやこS(GⅢ)・平安S(GⅢ)】、曾孫にカーソリーグランス【モイグレアスタッドS(愛GⅠ)】が、8番子の牝駒タイムセーブド(父グリーンデザート)の子にプレアバーゲン【キングエドワードⅦ世S(英GⅡ)】、レイタイム【ウインターヒルS(英GⅢ)】がいる。また、種牡馬となったジナードも、英1000ギニー・英オークス・フラワーボウル招待Sを勝って2002年のカルティエ賞最優秀3歳牝馬に選ばれたカッツィアを出している。

本馬は2001年に繁殖牝馬を引退した後もフェアウインターファームで余生を過ごし、2005年7月にフェアウインターファームにおいて睡眠中に26歳で他界した。

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