プラウドトゥルース

和名:プラウドトゥルース

英名:Proud Truth

1982年生

栗毛

父:グロースターク

母:ウェイクロビン

母父:サマータン

直線の激闘を制した第2回BCクラシックなど3歳時にGⅠ競走3勝を挙げるもエクリプス賞最優秀3歳馬を逃した無冠の王者

競走成績:2~4歳時に米で走り通算成績21戦10勝2着4回

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州ダービーダンファームにおいて、同牧場の所有者であるジョン・W・ガルブレイス氏の妻ドロシー・ファイアストーン・ガルブレイス夫人により生産された。ダービーダンファーム名義で競走馬となり、ジョン・M・ヴィーチ調教師に預けられた。

競走生活(3歳前半まで)

2歳12月にアケダクト競馬場で行われたダート6ハロンの未勝利戦で、主戦となるジョン・ヴェラスケス騎手を鞍上にデビュー。2着テイクコントロールに2馬身3/4差をつけて勝ち上がった。同月末にはフロリダ州コールダー競馬場で行われたダート7ハロンの一般競走に出走。2着ボウラッドローマに3馬身差をつけて勝利を収め、2歳時の成績は2戦2勝となった。

3歳時は引き続きフロリダ州に留まり、1月上旬のトロピカルパークダービー(GⅡ・D8.5F)に出走した。このレースには、前走のワットアプレジャーSを勝ってきた後のGⅠ競走7勝馬クレームフレーシュ、ケンタッキージョッキークラブS・ナシュアSとGⅢ競走で2戦連続2着してきたバナーボブ、ワットアプレジャーSで2着してきたアーティレリストといった実力馬の姿もあった。しかし結果はワットアプレジャーSで3着だった単勝オッズ21倍の伏兵アイリッシュシュールが勝利を収め、本馬は2馬身3/4差の4着、クレームフレーシュはさらに6馬身半差の10着と大敗した。

その後は翌2月にガルフストリームパーク競馬場で行われたダート8.5ハロンの一般競走に向かい、2着クラウニングオナーズに6馬身差をつけて圧勝した。それから2週間後のファウンテンオブユースS(GⅡ・D8.5F)では、アイリッシュシュール、前走2着のアーティレリスト、ハリウッドフューチュリティの勝ち馬ステファンズオデッセイ、サラトガスペシャルS2着馬ドゥイットアゲインダン、クラウニングオナーズなどが出走してきた。しかし本馬がステファンズオデッセイとの接戦を首差で制して勝利した。

次走のフロリダダービー(米GⅠ・D9F)では、ステファンズオデッセイ、トロピカルパークダービー3着後にハッチソンSを勝ってきたバナーボブ、前走3着のドゥイットアゲインダン、同5着のアイリッシュシュールなどが対戦相手となった。しかし本馬がアイリッシュシュールとの接戦を首差で制して勝利を収め、GⅠ競走勝ち馬となった。

次走のフラミンゴS(米GⅠ・D9F)では、前走6着のステファンズオデッセイに加えて、BCジュヴェナイル・ホープフルS・カウディンS・ノーフォークS・サラトガスペシャルSを勝っていた前年のエクリプス賞最優秀2歳牡馬チーフズクラウンも参戦してきた。しかし単勝オッズ2.2倍の1番人気に支持されたのは本馬であり、4連勝中と絶好調のチーフズクラウンは単勝オッズ2.6倍の2番人気だった。このレースはかなり物議を醸す結果となった。チーフズクラウンが本馬を首差抑えてトップゴールしたのだが、直線の攻防においてチーフズクラウンが本馬に対して進路妨害をしたと裁定され、チーフズクラウンは2着降着となり、本馬が繰り上がって勝利馬となった。ここまでなら特に珍しい事例ではないのだが、レースの11日後になって、チーフズクラウン陣営が申し立てていた異議が認められ、進路妨害の裁定は取り消しとなり、いったんは2着降着になったチーフズクラウンが改めて勝利馬となり、本馬は結局2着敗退という結果となったのである。馬券の払い戻し等でいかなる措置が執られたのかは資料不足で確認できなかったが、このレースは日本と同じくパリミューチュエル方式で行われていたから、日本と同様のルールであれば、本馬に賭けていた人はそのまま払い戻しを受けられ、チーフズクラウンに賭けていた人は結局払い戻しを受けられない結果となったと思われる。この一件でハイアリアパーク競馬場の株は下がったと思われるが、この一件で本馬の株が下がったことは無いようである。

本馬の株が少し下がったのは次走のウッドメモリアルS(米GⅠ・D9F)だった。前走のゴーサムSを勝ってきたエターナルプリンスに2馬身3/4差をつけられた2着と、今度は完全に敗北を喫したのである。

それでも、ケンタッキーダービー(米GⅠ・D10F)には出走した。対戦相手は、フラミンゴSの次走ブルーグラスSも勝って連勝を6まで伸ばしていたチーフズクラウン、アーリントンワシントンフューチュリティ・チェリーヒルマイルH・ガーデンステートSの勝ち馬でヤングアメリカS2着・BCジュヴェナイル3着のスペンドアバック、エターナルプリンス、ウッドメモリアルS3着だったエヴァーグレイズSの勝ち馬ローマンルール、アーカンソーダービー・エルカミノリアルダービーの勝ち馬でBCジュヴェナイル2着のタンクスプロスペクト、フラミンゴS3着後にレキシントンSを勝ってきたステファンズオデッセイ、サンタアニタダービーを勝ってきたスカイウォーカーなどだった。チーフズクラウンが1番人気、スペンドアバックが2番人気、本馬が3番人気となった。スタートが切られると、スペンドアバックが猛然と加速して先頭に立ち、本馬は馬群の後方につけた。スペンドアバックは快調に先頭を飛ばし、向こう正面では2番手以下に7~8馬身もの差をつける大逃げとなった。そのままの態勢で直線に突入したスペンドアバックは、その後も脚色を衰えさせずに逃げ切って優勝。外側を走らされた本馬は四角で外側に膨んで6番手辺りで直線に入ってきて、順位を殆ど上げられずに、勝ったスペンドアバックから8馬身差の5着と完敗を喫した。

プリークネスSには出走せずに、その翌週のピーターパンS(米GⅠ・D9F)に回った。プリークネスSでタンクスプロスペクトの5着だったローレルフューチュリティ2着馬カットラスリアリティが出走していたが、カットラスリアリティは本馬が2着したウッドメモリアルSで6着に終わっていた馬だった。よって本馬の敵ではなく、本馬がカットラスリアリティを1馬身1/4差の2着に破って勝利した。

その後は2週間後のベルモントSに向かう計画だったのだが、左前脚の骨折が判明して、ベルモントSには出走できなかった。本馬不在のベルモントSは、トロピカルパークダービー10着後に地道に走り続けていたクレームフレーシュが勝利を収めている。

競走生活(3歳後半)

本馬の故障の程度は比較的軽微であり、前走から4か月半後の10月初旬にベルモントパーク競馬場で行われたダート7ハロンの一般競走で実戦復帰に漕ぎ着けた。ただの一般競走ではあったが、前年の第1回BCクラシックを筆頭に、メドウランズCH・ニューオーリンズH・オークローンHを勝っていたワイルドアゲインという強敵の姿があった。しかし本馬がワイルドアゲインを3馬身1/4差の2着に下して完勝した。

10月末にはアケダクト競馬場でディスカヴァリーH(GⅢ・D9F)に出走。イリノイダービーの勝ち馬でドワイヤーS3着のインポータントビジネス(例のフラミンゴSでは4着だった)を首差の2着に抑えて勝利した。

そして同じアケダクト競馬場で僅か1週間後に行われた第2回BCクラシック(米GⅠ・D10F)に参戦した。対戦相手は、ケンタッキーダービー3着・プリークネスS2着・ベルモントS3着と米国三冠競走全て1番人気で勝ち切れなかったもののトラヴァーズS・マールボロCHを勝利して復権してきたチーフズクラウン、前年のプリークネスSやスーパーダービー・コーンハスカーHの勝ち馬でサンフェリペH・マールボロCH・ジョッキークラブ金杯2着・前年のBCクラシック・アーカンソーダービー・サンフェルナンドS・チャールズHストラブS・サンタアニタH3着の実績があったゲートダンサー、サバーバンH・ジョッキークラブ金杯の勝ち馬でウッドワードS2着・ホイットニーH・マールボロCH3着のヴァンランディンガム、ドワイヤーS・ヴォスバーグS・ホイットニーH・ウッドワードS・トムフールSの勝ち馬でホイットニーH・ジェロームH2着のトラックバロン、スワップスS・トラヴァーズSで2着していた同世代馬ターコマン、ウッドメモリアルS・ブルックリンH・メドウランズCH・マサチューセッツH・ジャマイカHの勝ち馬でジョッキークラブ金杯3着のバウンディングバスク、加国三冠競走第2戦のプリンスオブウェールズSを勝ち三冠競走の残り2競走でいずれも2着していたインペリアルチョイスの計7頭だった。チーフズクラウンが単勝オッズ2.8倍の1番人気、ゲートダンサーが単勝オッズ4.2倍の1番人気、ヴァンランディンガムが単勝オッズ5.5倍の2番人気、トラックバロンが単勝オッズ5.5倍の3番人気、トラックバロンが単勝オッズ7.4倍の4番人気、本馬が単勝オッズ8.4倍の5番人気となった。

スタートが切られるとチーフズクラウンが先頭を伺ったが、それをトラックバロンが強引にかわして先頭を奪った。それからインペリアルチョイス、バウンディングバスク、ゲートダンサー等が続き、本馬は馬群の最後方につけた。そのままの態勢で三角に入るとインペリアルチョイスが外側を通って進出を開始し、続いてゲートダンサー、そして本馬も上がっていった。直線に入ると、最内のトラックバロン、真ん中のヴァンランディンガムとチーフズクラウン、外側のインペリアルチョイスの4頭が横並びとなったが、これらの馬を大外からゲートダンサーが瞬く間に抜き去って残り1ハロン地点で先頭に立った。しかしそこへさらに外側から伸びてきた本馬が襲い掛かり、残り半ハロン地点で2頭が並んで叩き合いとなった。そしてゴール前で本馬が僅かに前に出て、2着ゲートダンサーに頭差、3着に追い込んできたターコマンにはさらに4馬身差をつけて優勝した。

3歳時の成績は11戦7勝で、BCクラシックを含むGⅠ競走3勝を挙げたが、ケンタッキーダービー・モンマスHとGⅠ競走2勝の7戦5勝馬スペンドアバックにエクリプス賞年度代表馬及び最優秀3歳牡馬の座を奪われてしまった。これは、ケンタッキーダービーで本馬がスペンドアバックより8馬身後方でゴールしたという事実に加えて、スペンドアバックが仮にプリークネスS・ベルモントSにも出走していたら米国三冠馬になれたのではないかと言われた事などが影響しているようである(スペンドアバックが上記2競走に出走しなかった理由は当馬の項を参照)。

競走生活(4歳時)

4歳時は1月にサンタアニタパーク競馬場で行われたサンフェルナンドS(米GⅠ・D9F)から始動した。しかし、エルカミノリアルSの勝ち馬でハリウッドフューチュリティ3着のライトコン、アリバイHの勝ち馬でサンタアニタダービー3着のノスタルジアズスター、サンタアニタダービー2着馬ファストアカウントといった地元カリフォルニア州の馬達に敗れて、勝ったライトコンから7馬身差の5着に終わった。翌2月のチャールズHストラブS(米GⅠ・D10F)でも、ノスタルジアズスター、ファストアカウント、ライトコン、アソールトHを勝ってきたルーアートといった面々に屈して、勝ったノスタルジアズスターから7馬身1/4差の5着に敗退。結果を出せないまま西海岸を後にした。

その後は同月末のガルフストリームパークH(米GⅠ・D10F)に向かった。ここでは、前年のベルモントS勝利後にアメリカンダービー・ジェロームH・スーパーダービー・ドンHを勝っていたクレームフレーシュ、前年のハスケル招待H・オハイオダービー・ペンシルヴァニアダービー・ペガサスH・パターソンHを勝っていた本馬とは未対戦の有力馬スキップトライアルとの対戦となった。レースは本馬とスキップトライアルの接戦となったが、3ポンド斤量が軽かったスキップトライアルが勝利を収め、本馬は鼻差の2着に敗れた。

翌月のワイドナーH(米GⅠ・D10F)では、前走のサンタアニタHで5着に敗れていたゲートダンサー、ガルフストリームパークHで4着だったクレームフレーシュ、前年のBCクラシック3着後にアファームドHを勝っていたターコマンなどが対戦相手となった。結果はターコマンが勝利を収め、本馬は10馬身差をつけられた5着に敗退した。

その後は5月のメトロポリタンH(米GⅠ・D8F)に向かった。しかし、スタイヴァサントH・ホーソーン金杯H・ウエストチェスターH・エクセルシオールHとグレード競走4連勝中だったガーソーンが勢いそのままに勝利を収め、本馬は4馬身半差の5着に敗退した(この年のエクリプス賞年度代表馬に選ばれる名牝レディーズシークレットが3着だった)。

翌6月のナッソーカウンティH(米GⅡ・D9F)では、チャールズHストラブS2着馬ルーアート、ヴォスバーグSの勝ち馬アナザーリーフなどに屈して、ルーアートの7馬身半差4着に敗退。同月末には初の芝競走となるタイダルH(米GⅡ・T11F)に出走。ここでは2着マジャスキュールを首差抑えて勝利を収めた。

それから僅か5日後に出走したサバーバンH(米GⅠ・D10F)では、ルーアート、前走のベルモントSを勝ってきたダンチヒコネクション、ガルフストリームパークH勝利後にジョンBキャンベルH・マサチューセッツHを連勝してきたスキップトライアル、ワイドナーHで4着だったクレームフレーシュなどが対戦相手となった。きつい日程ながらもよく走った本馬だったが、ルーアートの2馬身差2着に敗退。そしてこのレースで脚を痛めたために、4歳時8戦1勝の成績で競走馬引退となった。

血統

Graustark Ribot Tenerani Bellini Cavaliere d'Arpino
Bella Minna
Tofanella Apelle
Try Try Again
Romanella El Greco Pharos
Gay Gamp
Barbara Burrini Papyrus
Bucolic
Flower Bowl Alibhai Hyperion Gainsborough
Selene
Teresina Tracery
Blue Tit
Flower Bed Beau Pere Son-in-Law
Cinna
Boudoir Mahmoud
Kampala
Wake Robin Summer Tan Heliopolis Hyperion Gainsborough
Selene
Drift Swynford
Santa Cruz
Miss Zibby Omaha Gallant Fox
Flambino
Fairisk Stimulus
My Risk
War Ribbon Bimelech Black Toney Peter Pan
Belgravia
La Troienne Teddy
Helene de Troie
War Regalia Man o'War Fair Play
Mahubah
Regal Lady Supremus
Regal Roman

グロースタークは当馬の項を参照。

母ウェイクロビンは現役成績9戦2勝、テストS2着の実績がある。本馬の半姉リトルレッドロビン(父リボー)の子にアワーキャプテンウィリー【ローレンスリアライゼーションS(米GⅡ)】がいる。ウェイクロビンの母ウォーリボンは優れた繁殖牝馬で、ウェイクロビンの半兄バトルダンス(父ボレロ)【ゴールデンゲートH・サンパスカルH】、半兄オーナメント(父ボールドルーラー)【ヴォスバーグS】、半弟ツァーアレクサンダー(父パンパードキング)【マンノウォーS・ディキシーH・ボーリンググリーンH・オークツリーS】などを産んだ。ウォーリボンの母ウォーレガリアはダイアナHの勝ち馬で、その全姉にはリーガルリリー【アラバマS・ガゼルH】がいる。ウォーレガリアの母リーガルレディの全姉アルキビアデスはケンタッキーオークス馬で、名馬トムフールの父となったメノウ【ベルモントフューチュリティS・ウィザーズS】の母でもある。→牝系:F8号族②

母父サマータンは現役成績28戦11勝、カウディンS・ガーデンステートS・ユナイテッドステーツホテルS・ユースフルS・ピムリコスペシャルS・ギャラントフォックスH・ヴォスバーグH・マクレナンHなどを勝ち、ケンタッキーダービーで3着している。種牡馬としての成績は並だった。サマータンの父ヘリオポリスはハイペリオン産駒で、競走馬としては英国で走り15戦5勝。インペリアルプロデュースS・チェスターヴァーズ・プリンスオブウェールズS・プリンセスオブウェールズSを勝ち、英ダービーで3着している。米国で種牡馬として成功し、1950・54年の北米首位種牡馬を獲得した。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は生まれ故郷のダービーダンファームで種牡馬入りした。しかしケンタッキー州における種牡馬生活は5年間で終わり、10歳時からレーア・ジャクソン氏が所有するメリーランド州コーベットファームに移動した。本馬の種牡馬成績は期待を下回るものであり、16歳時には中米パナマの実業家フェルナンド・エレタ・アルマラン氏に購入されてパナマに移り住み、セロプンタ牧場で種牡馬生活を続けた。パナマで米国のGⅠ競走の勝ち馬、それも米国最大級の競走の勝ち馬が種牡馬生活を送るのは極めて異例の事だったという。本馬はパナマにおいては成功を収め、同国の三冠馬スパゴなど6頭のチャンピオンホースを出した。その結果、産駒のステークスウイナーは37頭となった。2005年8月に疝痛のため23歳で他界し、セロプンタ牧場に埋葬された。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1988

Stem the Tide

カラセルS(米GⅢ)2回

1989

Low Tolerance

ネクストムーヴBCH(米GⅢ)・スノーグースH(米GⅢ)

1990

Aztec Hill

ファンタジーS(米GⅡ)・ブラックアイドスーザンS(米GⅡ)・ハニービーS(米GⅢ)

1990

Truth of It All

グレイS(加GⅢ)

1992

Very True

レアトリートH(米GⅢ)

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