マウントリヴァーモア

和名:マウントリヴァーモア

英名:Mt.Livermore

1981年生

栗毛

父:ブラッシンググルーム

母:フラマアーディエント

母父:クリムゾンサタン

GⅠ競走級の実力を有しながらも現役時代GⅠ競走には勝てなかったが種牡馬としてリベンジしたブラッシンググルームの後継種牡馬

競走成績:3・4歳時に米で走り通算成績30戦11勝2着6回3着2回

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州ウィンブルドンファームの設立者ヒラリー・ブーン・ジュニア氏により生産され、バリー・ビール氏とロイド・R・フレンチ・ジュニア氏、それに管理調教師も務めたカリフォルニア州のダレル・ウェイン・ルーカス師の共同所有馬となった。ルーカス師は、かつてクォーターホース調教師として、史上最強のクォーターホースと言われたダッシュフォーキャッシュを管理し、その後にサラブレッド調教師に転身した人物で、本馬が2歳時の1983年から10年連続を含む14度の北米首位調教師を獲得する事になる名伯楽だった。

競走生活(3歳時)

3歳3月にサンタアニタパーク競馬場で行われたダート6.5ハロンの未勝利戦でデビューしたが、勝ち馬から12馬身差をつけられ、7頭立ての6着に敗れた。翌月のサンタアニタパーク競馬場ダート6ハロンの未勝利戦では、2馬身半差で初勝利を挙げた。その後はハリウッドパーク競馬場に場所を移して一般競走に延々と出走。4月末に出たダート6ハロンの一般競走では3/4馬身差の2着。5月に出たダート6ハロンの一般競走では頭差の2着。同月に出たダート8ハロンの一般競走では2馬身半差の2着。さらに同月に出た芝8.5ハロンの一般競走では6馬身差の6着。6月に出たダート7ハロンの一般競走では10馬身半差の9着。7月に出たダート6ハロンの一般競走を1馬身3/4差で勝利した。8月にはデルマー競馬場でダート6ハロンの一般競走に出たが、12馬身1/4差の7着最下位。10月にはサンタアニタパーク競馬場ダート6ハロンの一般競走に出たが、4馬身半差の5着。同月に出たサンタアニタパーク競馬場ダート6.5ハロンの一般競走では半馬身差の2着だった。

11月にはハリウッドパーク競馬場で行われたブルリーS(D7F)でステークス競走に初出走したが、勝ったバスケットウィーブから9馬身半差をつけられた10着に敗れた。同月にハリウッドパーク競馬場で出たダート6ハロンの一般競走でも8馬身半差の6着に敗れ、3歳時の成績は13戦2勝となった。

競走生活(4歳前半)

翌4歳時は今まで本拠地としていた米国西海岸ではなく米国東海岸を主戦場とする。まずは1月にニューヨークのアケダクト競馬場に姿を現した本馬は、初戦のダート6ハロンの一般競走を3/4馬身差で勝利。翌2月にもアケダクト競馬場ダート6ハロンの一般競走に出て、1馬身1/4差で勝利。同月には同コースの一般競走に出て、これも1馬身半差で勝利。3月にも同コースの一般競走に出て、2馬身1/4差で勝利。同月末にはアケダクト競馬場ダート8ハロンの一般競走を5馬身3/4差で圧勝し、アケダクト競馬場で出走した一般競走を5連勝した。

4月にはオークローンパーク競馬場で行われたカウントフリートスプリントH(D6F)で2度目のステークス競走に挑戦。結果は5馬身差の2着だったが、勝ち馬は前年のブルーグラスS・ルイジアナダービーを勝っていたテイラーズスペシャルだったから、それほど悪い結果ではなかった。

次走はグレード競走初挑戦となる5月のカーターH(GⅡ・D7F)となった。このレースには、前年のトラヴァーズS・ジムダンディSを勝ちマールボロカップ招待Hで2着していたカードナスクラという実力馬の姿があった。しかしスタートから先手を打って単騎で逃げた本馬が、そのまま先頭を譲らずに、2着ロッキーマリッジに1馬身1/4差で勝利を収めた。

続いてベルモントパーク競馬場に移動して同月のローズベンH(GⅢ・D6F)に出走したが、ここではハグレーズリワードの1馬身半差4着に敗れた。6月のジャイプールH(D6F)では、前年のユナイテッドネーションズHで2着、BCマイル・マンノウォーSで3着だった後のBCマイル勝ち馬コジーンも出走してきたが、本馬が2着メイントップに2馬身3/4差で勝利を収め、コジーンはさらに半馬身差の3着だった。同月のトゥルーノースH(GⅡ・D6F)では、前年のカーターH2着馬カノンシェル、ローズベンHで6着だったバスケットウィーブの2頭に後れを取って、カノンシェルの2馬身1/4差3着に敗退。7月のトムフールS(GⅡ・D7F)では、カノンシェル(3着)、バスケットウィーブ(4着)には先着したものの、前年のドワイヤーS・ヴォスバーグSを勝ち、ホイットニーH・ジェロームHで2着、BCクラシックで4着していたトラックバロンに敵わずに、6馬身3/4差をつけられた2着に敗れた。8月のサフォークダウンズスプリントH(GⅢ・D6F)では、ディギンディッチズの14馬身差8着と惨敗。同月のフォアゴーH(GⅡ・D7F)では、ジギーズボーイの8馬身3/4差4着に敗れた。

競走生活(4歳後半)

このように夏場は調子を落としていた本馬だったが、秋になると調子が上向いた。9月のブージャムH(GⅢ・D6F)では、後にサンカルロスHなどグレード競走を3勝するザニータクティクスを3馬身差の2着に、前走フォアゴーHで2着だったテイラーズスペシャルを6着に破って勝利。10月のフォールハイウェイトH(GⅡ・D6F)では、マーヴィンルロイH・ナショナルスプリントCS・トボガンHの勝ち馬で前年のBCスプリント3着のファイティングフィットを頭差の2着に、ジギーズボーイを3着に破って勝利した。

11月にはアケダクト競馬場で行われたBCスプリント(GⅠ・D6F)でGⅠ競走に初挑戦。ファイティングフィット、ジギーズボーイに加えて、ベイショアS・シルヴァースクリーンHの勝ち馬でジェロームH2着の3歳馬パンチョヴィラ、スワップスS・サンフェルナンドS・チャールズHストラブS・サンラファエルS・デルマーH・マリブS・マーヴィンルロイHの勝ち馬でサンタアニタダービー・スーパーダービー・カリフォルニアンS・ハリウッド金杯2着のプレシジョニスト、アーリントンクラシックS・フェアマウントパークダービーの勝ち馬スマイル、欧州から遠征してきたスプリントCS・アベイドロンシャン賞2回とGⅠ競走3勝のコミッティドなどが対戦相手となった。実績ではプレシジョニストが最上位だったが、休養明けだったために割り引かれており、本馬とパンチョヴィラのカップリングが単勝オッズ4倍の1番人気に支持され、ジギーズボーイが単勝オッズ4.3倍の2番人気、プレシジョニストが単勝オッズ4.4倍の3番人気となった。レースではジョン・ヴェラスケス騎手を鞍上に得意の逃げ戦法を採り、先頭で直線を向いた。直線ではスマイルと外から追い上げてきたプレシジョニストとの三つ巴の対戦となったが競り負け、勝ったプレシジョニストから1馬身半差、2着スマイルから3/4馬身差の3着に敗退。プレシジョニストはこの年のエクリプス賞最優秀短距離馬で後の米国顕彰馬、スマイルも翌年にBCスプリントを制してエクリプス賞最優秀短距離馬に選ばれる強豪であり、本馬もGⅠ競走級の実力を示したと言えるのだが、このレースを最後に本馬は4歳時16戦9勝の成績で競走馬引退となったため、GⅠ競走制覇を果たす事はなかった。

本馬はデビュー6戦目に芝8.5ハロンを走った以外の出走は全てダート1マイル以下のレースで、30戦中27戦が7ハロン以下のレースだった。4歳3月に1マイルの一般競走でも勝ち星を挙げているが、基本的には短距離馬だったようである。

血統

Blushing Groom Red God Nasrullah Nearco Pharos
Nogara
Mumtaz Begum Blenheim
Mumtaz Mahal
Spring Run Menow Pharamond
Alcibiades
Boola Brook Bull Dog
Brookdale
Runaway Bride Wild Risk Rialto Rabelais
La Grelee
Wild Violet Blandford
Wood Violet
Aimee Tudor Minstrel Owen Tudor
Sansonnet
Emali Umidwar
Eclair
Flama Ardiente Crimson Satan Spy Song Balladier Black Toney
Blue Warbler
Mata Hari Peter Hastings
War Woman
Papila Requiebro Re-Echo
Trepadora
Papalona Papanatas
Tarumba
Royal Rafale Reneged Revoked Blue Larkspur
Gala Belle
White Samite Gallant Fox
Ommiad
Questar Requested Questionnaire
Fair Perdita
Albania Bull Dog
Cristar

ブラッシンググルームは当馬の項を参照。

母フラマアーディエントは現役成績49戦15勝、フォールズシティH(米GⅢ)を勝ち、スピンスターS(米GⅠ)で2着などの実績がある。繁殖牝馬としても実績を残しており、本馬の半弟マジカルワンダー(父ストームバード)【ジャンプラ賞(仏GⅠ)・ジョンシェール賞(仏GⅢ)・ロンポワン賞(仏GⅢ)】も産んでいる。また、本馬の半姉イクスクルーシヴモーメント(父エクスクルシヴネイティヴ)の曾孫には、日本で走ったマグニフィカ【ジャパンダートダービー(GⅠ)】がいる。フラマアーディエントの全妹ブッダレディの子にはソルトドーム【カウントフリートスプリントH(米GⅡ)】が、半妹ウォーターコース(父アイリッシュリヴァー)の子にはストリームキャット【ケンタッキーカップジュヴェナイルS(米GⅢ)・アメリカンターフS(米GⅢ)・アーリントンH(米GⅢ)・東京シティC(米GⅢ)】がいる。フラマアーディエントの祖母クエスターの全姉プレシャスレディの牝系子孫にはベニーザディップ【英ダービー(英GⅠ)】、サイレンススズカ【宝塚記念(GⅠ)・中山記念(GⅡ)・金鯱賞(GⅡ)・毎日王冠(GⅡ)】がいる。→牝系:F9号族②

母父クリムゾンサタンは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は米国ケンタッキー州ゲインズウェイファームで種牡馬入りした。当初はそれほど期待された種牡馬ではなかったが、初年度産駒から2年連続でエクリプス賞最優秀短距離馬に輝いたハウスバスターが出ると、その後も活躍馬を多く出して人気種牡馬となった。もっとも大物はそれほど多くなく、長く堅実に走る子を出す馬主孝行タイプの種牡馬である。また、やはり産駒はどちらかと言えば短距離向きのようである。2005年に受精率低下のため種牡馬を引退し、以降はゲインズウェイファームで余生を送っている。他界したという話は聞かないから、34歳となった2015年現在も存命中のようである。

ハウスバスターやオリエンテートといった牡馬の代表産駒が種牡馬として有力牡馬を出しておらず、いまのところ後継種牡馬には恵まれていない。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1987

Housebuster

ジェロームH(米GⅠ)・カーターH(米GⅠ)・ヴォスバーグS(米GⅠ)・ウィザーズS(米GⅡ)・フォアゴーH(米GⅡ)・ハッチソンS(米GⅢ)・スウェイルS(米GⅢ)・ラファイエットS(米GⅢ)・ダービートライアルS(米GⅢ)・シェリダンS(米GⅢ)・キングズビショップS(米GⅢ)

1988

Greek Costume

ジャージーダービー(米GⅡ)

1989

プロストライン

根岸S(GⅢ)

1990

Blushing Julian

ジェネラルジョージH(米GⅡ)・フィラデルフィアパークBCH(米GⅢ)

1990

Eliza

BCジュヴェナイルフィリーズ(米GⅠ)・サンタアニタオークス(米GⅠ)・アーリントンワシントンラッシーS(米GⅡ)・アルキビアデスS(米GⅡ)

1991

Prince of the Mt.

アークラテックスH(米GⅢ)

1992

Lindsay Frolic

セイビンH(米GⅢ)

1992

Mt. Sassafras

ガルフストリームパークH(米GⅠ)・エクリプスH(加GⅢ)・ドミニオンデイH(加GⅢ)2回

1992

Peaks and Valleys

モルソンエクスポートミリオン(加GⅠ)・メドウランズCH(米GⅠ)・イリノイダービー(米GⅡ)・ダービートライアルS(米GⅢ)

1992

Pyramid Peak

フラミンゴS(米GⅢ)・ボルティモアBCH(米GⅢ)2回

1993

Frisco View

ガルフストリームパークBCスプリントCS(米GⅢ)

1993

Lucky Lionel

ロベールパパン賞(仏GⅡ)・ノーフォークS(英GⅢ)

1993

More Royal

ジャージーダービー(米GⅡ)

1993

Mountain Affair

ミスグリオS(米GⅢ)

1994

Parlay

ディスタフH(米GⅡ)

1994

Subordination

ハリウッドダービー(米GⅠ)・エディリードH(米GⅠ)・ジャマイカH(米GⅡ)・ブルックリンH(米GⅡ)・ベルモントBCH(米GⅡ)・ヒルプリンスS(米GⅢ)・カナディアンターフH(米GⅢ)・フォートマーシーH(米GⅢ)

1994

エイシンドーサン

珊瑚冠賞(高知)・建依別賞(高知)

1997

Hidden Assets

シャーリージョーンズH(米GⅢ)

1998

Hoovergetthekeys

ゴールデンゲートダービー(米GⅢ)・エルカミノリアルダービー(米GⅢ)

1998

Multiple Choice

スポートページH(米GⅢ)・グレーヴセンドH(米GⅢ)・ジャイプールH(米GⅢ)

1998

Orientate

BCスプリント(米GⅠ)・フォアゴーH(米GⅠ)・コモンウェルスBCS(米GⅡ)・アルフレッドGヴァンダービルトH(米GⅡ)・アリスティデスH(米GⅢ)

1999

Equality

タンパベイダービー(米GⅢ)

2000

マイネルモルゲン

ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)・京成杯オータムH(GⅢ)2回

2003

Rock Lobster

サラナクS(米GⅢ)

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