コンガリー

和名:コンガリー

英名:Congaree

1998年生

栗毛

父:アラジ

母:マリズシーバ

母父:マリズブック

米国古馬ダート路線のトップを走り続けてシガーマイルH2連覇などGⅠ競走で5勝を挙げ父アラジが惨敗したケンタッキーダービーでも好走する

競走成績:2~6歳時に米で走り通算成績25戦12勝2着2回3着4回

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州においてロバート・マクネア氏とジャニス・マクネア夫人のストーナーサイドステーブルにより生産・所有され、米国ボブ・バファート調教師に預けられた。

競走生活(2・3歳時)

2歳9月にデルマー競馬場で行われたダート6ハロンの未勝利戦でタイラー・ベイズ騎手を鞍上にデビューして、単勝オッズ3.1倍の1番人気に支持された。スタート後しばらくは馬群の中団につけていたが、向こう正面で2番手まで押し上げていった。しかしここから伸びを欠いて、勝った単勝オッズ8.2倍の4番人気馬チヌークキャットから3馬身1/4差の6着に敗退。その後に右前脚の故障が判明して休養入りしたため、2歳時の出走はこれだけだった。

3歳2月にサンタアニタパーク競馬場で行われたダート8ハロンの未勝利戦で、ヴィクター・エスピノーザ騎手を鞍上に復帰した。単勝オッズ2.8倍で僅差の2番人気だったが、4番手の好位追走から向こう正面で先頭に立ち、そのまま直線を独走して、2着アイリッシュミンストレルに5馬身差をつけて圧勝した。

翌月にサンタアニタパーク競馬場で行われたダート8.5ハロンの一般競走では、単勝オッズ1.5倍の1番人気に支持された。そして2番手追走から三角で先頭に立ち、今回も直線を独走して、2着サドングローリーに8馬身差をつけて圧勝した。

その後はケンタッキーダービーを目指して東上し、まずはウッドメモリアルS(GⅡ・D9F)に出走した。強敵はフロリダダービーなど3戦連続で圧勝中のモナーコス、ゴーサムSの勝ち馬リッチリーブレンディドの2頭だった。モナーコスが単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持され、本馬が単勝オッズ2.7倍の2番人気、リッチリーブレンディドが単勝オッズ4.75倍の3番人気となった。レースは、リッチリーブレンディドが逃げを打って、本馬が2番手、モナーコスが後方からという展開となった。三角で本馬がリッチリーブレンディドをかわして先頭に立ち、そのまま後続を引き離して直線に入った。後方からはモナーコスも後続馬を大きく引き離して追いかけてきたが、本馬が2着モナーコスに2馬身3/4差をつけて完勝を収め、一躍ケンタッキーダービーの有力候補となった。

そして迎えたケンタッキーダービー(GⅠ・D10F)では、ハリウッドフューチュリティ・サンフェリペS・サンタアニタダービーと3連勝してきた同厩馬ポイントギヴン、ケンタッキージョッキークラブS・リズンスターSの勝ち馬でブルーグラスS3着のダラービル、レーンズエンドスパイラルS・アーカンソーダービーの勝ち馬バルトスター、ブルーグラスS・サンタカタリナSの勝ち馬ミレニアムウインド、モナーコス、UAEダービー馬エクスプレスツアー、シャンペンSの勝ち馬エーピーヴァレンタイン、アーカンソーダービー2着のジャマイカンラム、フラミンゴSの勝ち馬サンダーブリッツ、ファウンテンオブユースSの勝ち馬ソングアンドアプレイヤーなどが対戦相手となった。ポイントギヴンが単勝オッズ2.8倍の1番人気、ダラービルが単勝オッズ7.6倍の2番人気、本馬が単勝オッズ8.2倍の3番人気となった。

スタートが切られると、ソングアンドアプレイヤーが先頭に立ち、バルトスター、ミレニアムウインド、本馬などがそれを追走し、ポイントギヴンは先行集団から少し離れた6~7番手辺りにつけた。最初の2ハロン通過が22秒25、半マイル通過は44秒86、1マイル通過が1分35秒という、ケンタッキーダービー史上稀に見る超ハイペース(最初の1マイル通過タイムは同競走史上最速)でレースが推移した。あまりのハイペースに先行馬達は次々に脱落し、ポイントギヴンも伸びを欠く中で、前に行った馬の中で本馬のみが四角で位置取りを上げると、そのまま先頭で直線に突入した。しかし後方待機策を採っていたモナーコスに直線半ばでかわされ、ゴール寸前でインヴィジブルインクにも差されてしまい、モナーコスの4馬身3/4差3着に敗れた。しかし4着サンダーブリッツには4馬身差を、5着ポイントギヴンにはさらに2馬身3/4差をつけていた事、モナーコスの勝ちタイムは同競走史上2度目の2分未満となる1分59秒97だった事などを考慮すると、かなり内容が濃い3着だったと言えるだろう。

次走のプリークネスS(GⅠ・D9.5F)では、モナーコス、ポイントギヴン、前走7着のエーピーヴァレンタイン、同15着のダラービル、ウィザーズSを勝ってきたリッチリーブレンディド、ゴーサムS2着馬ミスタージョンなどが対戦相手となった。モナーコスとポイントギヴンが並んで単勝オッズ3.3倍の1番人気に支持され、エスピノーザ騎手がエーピーヴァレンタインに騎乗したためにジェリー・ベイリー騎手とコンビを組んだ本馬は単勝オッズ3.8倍の3番人気だった。

スタートが切られると、リッチリーブレンディドが単騎逃げを打ち、本馬は2番手、1番人気の2頭は共に後方につけた。前走に比べると大分ましだったが、それでもリッチリーブレンディドが刻むペースは速く、三角に入る頃には既に失速。入れ代わりに本馬が先頭に立とうとしたのだが、そこへ後方からポイントギヴンがモナーコスを置き去りにして伸びてきた。そして直線入り口で並びかけられると突き放された。さらにゴール前でエーピーヴァレンタインにも首差かわされて、勝ったポイントギヴンから2馬身半差の3着に終わった。

その後のベルモントSは回避して、一間隔を空けて7月のスワップスS(GⅠ・D9F)に出走。三冠競走2戦でいずれも敗れたとは言えハイペースの中を先行して上位に粘り込んだ本馬の実力は高く評価されており、しかもこのレースにはこれと言った強敵もいなかった事から、単勝オッズ1.1倍という圧倒的な1番人気に支持された。ゲイリー・スティーヴンス騎手とコンビを組んだ本馬は、スタートから先頭に立って、そのまま鮮やかに逃げ切り、2着アンティルサンダウンに4馬身差をつけてGⅠ競走初勝利を挙げた。

次走のジムダンディS(GⅠ・D9F)では、エーピーヴァレンタインとの2強対決となった。スティーヴンス騎手騎乗の本馬が単勝オッズ1.45倍の1番人気、エスピノーザ騎手騎乗のエーピーヴァレンタインが単勝オッズ3.4倍の2番人気だった。レースでは本馬はお得意の先行策、エーピーヴァレンタインは中団待機策を採った。そして四角で先頭に並びかけていった本馬だったが、ここで右前脚の古傷に痛みが走って失速。勝った単勝オッズ12.5倍の3番人気馬スコーピオンから6馬身1/4差の3着に敗れた。

右前脚の怪我を癒すために、その後に長期休養を余儀なくされ、3歳シーズン後半は棒に振ってしまった。3歳時の成績は7戦4勝だった。

競走生活(4歳時)

復帰したのは前走から10か月が経過した4歳5月だった。まずはローンスターパークH(GⅢ・D8.5F)に出走。テキサスマイルSを勝ってきたアンルーラーブル、プリークネスS11着後に一般競走を2連勝していたミスタージョン、テキサスマイルSで2着してきたリーバズゴールド、サンパスカルH・グッドウッドBCHの勝ち馬フリーダムクレストなどを抑えて、単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持された。パット・デイ騎手鞍上の本馬は、スタートから単騎の逃げを打った。三角から四角にかけて、一旦は後続馬に差を縮められたものの、直線に入ると逆に差を広げた。そして2着プリンスイロコイに2馬身差をつけて勝利を収め、復活の狼煙を挙げた。

続くスティーヴンフォスターH(GⅠ・D9F)では、ドバイワールドCを勝ってきたストリートクライ、ホーソーン金杯Hで2着するなどしていたダラービル、ウィリアムドナルドシェイファーHを勝ってきたテンピンズ、本馬より1歳年上のトラヴァーズS・レキシントンSの勝ち馬アンシェイデッドなどが対戦相手となった。本馬の斤量はストリートクライより1ポンド重かったが、それでも単勝オッズ2.3倍の1番人気に支持され、ストリートクライが単勝オッズ3.1倍の2番人気で続いた。しかし今回の本馬はスタート後の加速があまり良くなく、道中はストリートクライより後方の4番手を走ることになった。向こう正面でようやく位置取りを上げて、三角ではいったん先頭に立つ場面もあったが、直線に入ると失速。勝ったストリートクライから11馬身半差をつけられた6着に敗退してしまった。

次走のサンディエゴH(GⅡ・D8.5F)では、サンバーナーディノHの勝ち馬ボスクレドンド、ベルエアH・オールアメリカンH・コーンハスカーBCHの勝ち馬で第1回ジャパンCダートでは2番人気に推されたユーカー、伯国のGⅠ競走ジュリアーノマルティンス大賞を勝った後に米国に移籍してきたインヴェスターズドリーム、ゴドルフィンマイルの勝ち馬グレイメモなどが対戦相手となった。デイ騎手に代わってデヴィッド・フローレス騎手が騎乗した本馬が、単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持された。今回はスタートから快調に先頭を飛ばしたが、最初の2ハロン通過が22秒91と、やや速いペースだった。それでも直線に入ってもしばらくは先頭を守っていたが、やがて後方から来たグレイメモに一気に差され、さらにはユーカーにも抜かれて、勝ったグレイメモから3馬身半差の3着に敗れた。

その後のデルマーBCH(GⅡ・D8F)では、一般競走を2連勝してきたケラ、ユーカー、リーバズゴールドが手強い相手だった。本馬は単勝オッズ2.4倍の1番人気に支持されたが、ケラも単勝オッズ2.6倍の2番人気と、僅差だった。今回はマイク・スミス騎手とコンビを組んだ本馬は、スタートから他馬に絡まれながらも先頭を死守。そのまま先頭で直線に入ってくると、後方から追い込んできたケラとリーバズゴールドの追撃を封じ込め、2着ケラに1馬身差で勝利した。

次走は生涯唯一の芝レースとなったオークツリーBCマイル(GⅡ・T8F)だった。スウェイルS・チャーチルダウンズHの勝ち馬ドワイルドキャット、サンタアニタダービー・エインシャントタイトルBCH・マリブSとGⅠ競走3着3回のアイラヴシルヴァー、イングルウッドHの勝ち馬ナイトパトロールなどを抑えて単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持された。ここでも初の芝をものともせずにスタートから単騎で先頭に立った。そのまま先頭で直線に入ってきたのだが、後方から押し寄せてきた後続馬勢に飲み込まれてしまい、勝ったナイトパトロールからの着差は3馬身差ながらも7着という結果に終わった。

次走のシガーマイルH(GⅠ・D8F)では、プリークネスS以来久々にベイリー騎手とコンビを組んだ。2年前のプリークネスS勝ち馬で前走フォギーロードSを勝ってきたレッドビュレット、サンラファエルSの勝ち馬クラフティーシーティー、グレード競走勝ちこそ無かったがメトロポリタンH・フォアゴーH・ヴォスバーグSと3度のGⅠ競走2着があった良血馬アルデバラン、ヴォスバーグS・カウントフリートスプリントH・阪神カップHの勝ち馬ボナポウ、フロリダダービー・ブルーグラスS・ペンシルヴァニアダービーなどの勝ち馬ハーランズホリデーなどの有力馬が顔を揃えていた。レッドビュレットが単勝オッズ4.25倍の1番人気、クラフティーシーティーが単勝オッズ4.4倍の2番人気、アルデバランが単勝オッズ5.2倍の3番人気、本馬が単勝オッズ5.5倍の4番人気、ボナポウが単勝オッズ6倍の5番人気と、人気は非常に割れていた。

本馬はボナポウとクラフティーシーティーを先に行かせて、3番手につけた。そして向こう正面で仕掛けて三角で先頭に並びかけるという、十八番戦法に出た。そして先頭で直線に入ってくると、後続馬を全く寄せ付けず、2着アルデバランに5馬身半差をつけて圧勝。勝ちタイム1分33秒11は、この年に北米で施行されたダート1マイル競走で計時された最速タイムだった。4歳時の成績は6戦3勝だった。

競走生活(5歳時)

5歳時は1月のサンパスカルH(GⅡ・D8.5F)から早々に始動した。オークローンHの勝ち馬クドス、ネイティヴダイヴァーHを勝ってきたピエンサソナンド、亜国のGⅠ競走ラウル&ラウルEチェバリエル賞の2着馬コテージ、パットオブライエンHの2着馬ホットマーケットなどが対戦相手となったが、本馬が単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持された。ここではフリーダムクレストが先頭に立ち、ホットマーケットやクドスが先行。本馬は馬群の好位4番手につけた。三角まではじっと我慢していたが、四角で仕掛けると直線入り口で先頭を奪取。あとは後続を引き離す一方という、シガーマイルHと似たようなレースぶりで、2着クドスに6馬身差をつけて圧勝した。

次走のサンアントニオH(GⅡ・D9F)では、前年のサンタアニタH・カリフォルニアンSを勝ちBCクラシックで3着していたミルウォーキーブルー、グッドウッドBCHをレコード勝ちしていたプレザントリーパーフェクトという2頭の難敵が本馬の前に立ち塞がった。さらに本馬には123ポンドのトップハンデが課されたが、120ポンドのミルウォーキーブルー、117ポンドのプレザントリーパーフェクトを抑えて、単勝オッズ1.5倍の1番人気に支持された。レースでは単勝オッズ26.9倍の5番人気だった後のジャパンCダートの勝ち馬フリートストリートダンサーが逃げを打ち、本馬が2番手につけ、ミルウォーキーブルーとプレザントリーパーフェクトはいずれも最後方だった。対抗馬2頭が向こう正面で仕掛けて本馬に迫ってきたのを見計らってからスパートを開始。四角で先頭に立って直線を向くと、追ってきた2頭を完封し、2着ミルウォーキーブルーに2馬身1/4差をつけて勝利した。

そして迎えたサンタアニタH(GⅠ・D10F)では、前年の覇者ミルウォーキーブルー、前走3着のプレザントリーパーフェクト、クドスなど5頭だけが対戦相手となった。本馬には他馬勢より5~12ポンド重い124ポンドのトップハンデが課せられたのだが、それでも単勝オッズ1.6倍の1番人気に支持された。レースでは2番手を追走して三角手前で先頭に立ったが、本馬をマークするように走っていたミルウォーキーブルーに並びかけられ、直線では2頭の一騎打ちとなった。3着クドスを4馬身半ほど引き離す激闘の末、ミルウォーキーブルーが2連覇を達成し、本馬は頭差2着に惜敗した。しかし2頭の斤量差5ポンドを考慮すると、競走能力的には本馬が上位と判断できる結果だった。

次走のカーターH(GⅠ・D7F)では、ベイリー騎手に代わってスティーヴンス騎手とコンビを組んだ。前走サンカルロスHでGⅠ競走挑戦7度目にして初勝利を挙げてきたアルデバラン、前年のカーターHに加えてヴォスバーグS・シガーマイルH・フォアゴーH・ジェネラルジョージHなどを勝っていた古豪アファームドサクセス、2年前のカーターH・ジェネラルジョージHの勝ち馬ピーピングトムなど4頭だけが対戦相手となった。ここでも本馬には122ポンドのトップハンデが課されたが、他馬勢との差は4~8ポンドで、前走に比べると比較的ましだった。ここではアファームドサクセスと共に馬群を先導し、三角に入るとアファームドサクセスを置き去りにしてスパートを開始。そのまま後続を引き離して直線に入ると、最後方からようやく追い込んできた2着アルデバランに3馬身半をつけて完勝した。

次走のメトロポリタンH(GⅠ・D8F)では、前走より斤量が厳しくなり、他馬勢より5~11ポンド重い124ポンドだった。それでも、ウエストチェスターHを勝ってきたナジラン、アルデバラン、レムセンSの勝ち馬サーランド、レキシントンSの勝ち馬でケンタッキーダービー2着のプラウドシチズンなどを抑えて、単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持された。ここではナジランを先に行かせて2番手を追走。三角で仕掛けて先頭に立つ得意の走りを披露した。ところがここから失速してしまい、後方馬勢に次々と抜かれてしまった。結局、勝ったアルデバランから9馬身1/4差の6着と完敗してしまった。

次走のハリウッド金杯(GⅠ・D10F)では、再びベイリー騎手とコンビを組んだ。前走の大敗が人気に影響を及ぼさなかったわけではないだろうが、ハンデ戦の前走と異なり今回は定量戦だけに、カリフォルニアンSを勝ってきたクドス、ドンHを勝ちドバイワールドCで2着してきたハーランズホリデー、ピエンサソナンド、オハイオダービー・サンフェルナンドS・サンバーナーディノHなどの勝ち馬ウエスタンプライドなどを抑えて、単勝オッズ2.2倍の1番人気に支持された。ここではスタート直後こそ3番手を追走していたが、向こう正面で早くも先頭に踊り出てしまった。別にペースが遅かったわけではなく、最初の2ハロン通過タイムは22秒93、半マイル通過は45秒71だった。それでも先頭で直線に入った本馬の勢いに陰りは無く、2着ハーランズホリデーに3馬身差をつけて完勝した。

短い夏休みを経て、秋はケンタッキーCクラシックH(GⅡ・D9F)から始動した。スティーヴンフォスターH・ワシントンパークHなどに勝ちケンタッキーダービー3着の実績もあった1歳年下のパーフェクトドリフトという有力馬の姿もあり、本馬との完全な2強ムードだった。124ポンドの本馬が単勝オッズ1.5倍の1番人気、120ポンドのパーフェクトドリフトが単勝オッズ2.4倍の2番人気となった。レースでは本馬がスタートから先手を取り、パーフェクトドリフトは少し離れた3番手につけた。そのままの態勢で直線に入ると、上がってきたパーフェクトドリフトが本馬に並びかけて叩き合いに持ち込んだ。最後には4ポンドの斤量差が効いて、パーフェクトドリフトが勝利を収め、本馬は1馬身差の2着に敗れた。

その後は、サンタアニタパーク競馬場で行われたBCクラシック(GⅠ・D10F)に挑んだ。トラヴァーズS・ホイットニーH・サンフェリペS・ジムダンディS・ストラブS・オークローンHを勝っていたメダグリアドーロ、トラヴァーズS・スーパーダービーを連勝してきたベルモントS2着馬テンモストウォンティド、パーフェクトドリフト、欧州から遠征してきてウッドワードSで2着してきた前年のカルティエ賞最優秀2歳牡馬ホールドザットタイガー、この年のケンタッキーダービー・プリークネスSの勝ち馬ファニーサイド、グッドウッドBCHを2連覇してきたプレザントリーパーフェクト、ローンスターダービーの勝ち馬ダイネヴァー、前年の同競走の覇者ヴォルポニ、ジョッキークラブ金杯・サラトガBCHなどの勝ち馬イヴニングアタイアが対戦相手となった。実績的には本馬が1番人気に推されてもおかしくなかったのだが、直前に軽度の裂蹄を発症した影響があったのか、単勝オッズ7.3倍の5番人気止まりだった。そして過去に本馬に騎乗経験があるベイリー騎手が1番人気のメダグリアドーロに、スティーヴンス騎手が3番人気のパーフェクトドリフトに騎乗したため、本馬はテン乗りのパトリック・ヴァレンズエラ騎手とコンビを組んだ。レースではスタートからメダグリアドーロと先頭を激しく争い、2頭並んだ状態で直線に入ってきた。しかし後方から突っ込んできたプレザントリーパーフェクトとダイネヴァーに差され、メダグリアドーロにも離されてしまい、勝ったプレザントリーパーフェクトの2馬身半差4着に敗れた。

続くシガーマイルH(GⅠ・D8F)では、ダービートライアルS・スウェイルSの勝ち馬ミダスアイズ、メドウランズBCSの勝ち馬ボウマンズバンドくらいしか骨がある相手がおらず、ベイリー騎手騎乗の本馬が他馬勢より6~11ポンド重い斤量ながらも、単勝オッズ1.6倍の1番人気に支持された。レースは2~3番手を追走して、先頭のミダスアイズと並んで直線に入ると、直線半ばで一気にミダスアイズを突き放して最後は5馬身1/4差をつけるという、前年のリプレイのようなレースぶりで同レース史上初の連覇を達成した。

5歳時の成績は9戦5勝(うちGⅠ競走3勝)で、エクリプス賞年度代表馬や最優秀古馬の候補にも名が挙がったが、この年に9戦7勝(うちGⅠ競走4勝)の成績を挙げていた4歳馬マインシャフトには及ばず、両タイトルとも逃した。

競走生活(6歳時)

翌6歳時も現役を続行し、1月のサンアントニオH(GⅡ・D9F)から始動した。対戦相手は僅か3頭であり、そのうちの1頭であるプレザントリーパーフェクトとの完全な2強対決となった。本馬は124ポンドのトップハンデながらも単勝オッズ1.4倍の1番人気に支持され、121ポンドのプレザントリーパーフェクトが単勝オッズ2.9倍の2番人気で、前年のジャパンCダートを勝っていたフリートストリートダンサーは単勝オッズ12.9倍の4番人気となった。少頭数だけに全馬が他馬の出を伺い、馬群が固まってレースが進んだ。そのまま三角に入ってきたが、四角から馬群がばらけ始め、プレザントリーパーフェクトが抜け出し、本馬が遅れ始めた。そしてプレザントリーパーフェクトが勝利を収め、本馬は8馬身1/4差をつけられた4着最下位に沈んだ。

その後は一間隔空けて、5月のチャーチルダウンズH(GⅡ・D7F)に出走した。ここでも123ポンドのトップハンデながらも、アーリントンワシントンフューチュリティの勝ち馬パブリケーション、アータックスHを勝ってきたスパイツタウン(暮れのBCスプリントを勝って、この年のエクリプス賞最優秀短距離馬に選ばれる)、ポトレログランデBCHを勝ってきたマッカンズモヘイヴ、アルフレッドGヴァンダービルトHの勝ち馬プライヴェートホードなどを抑えて、単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持された。しかしここでは先行できずに馬群の中団を走ることになり、そのまま直線に入った後も伸びず、勝ったスパイツタウンから7馬身半差4着に敗退。

翌6月に現役引退が決定し、6歳時2戦1勝の成績で競馬場を後にした。

血統

アラジ Blushing Groom Red God Nasrullah Nearco
Mumtaz Begum
Spring Run Menow
Boola Brook
Runaway Bride Wild Risk Rialto
Wild Violet
Aimee Tudor Minstrel
Emali
ダンスールファビュルー Northern Dancer Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Fabuleux Jane Le Fabuleux Wild Risk
Anguar
Native Partner Raise a Native
Dinner Partner
Mari's Sheba Mari's Book Northern Dancer Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Mari Her Maribeau Ribot
Cosmah
Hem and Haw Double Jay
Royal Fan
Sheba Little Known Fact In Reality Intentionally
My Dear Girl
Tamerett Tim Tam
Mixed Marriage
Come Back ボールドラッド Bold Ruler
Misty Morn
Long Look Ribot
Santorin

アラジは当馬の項を参照。

母マリズシーバは現役成績14戦3勝。ステークス競走勝ちは無いが、サンタアニタオークス(米GⅠ)で3着の実績がある。繁殖牝馬としては全体的に不受胎や死産が多く、本馬以外に活躍馬を産むことはできていないが、本馬の半妹ゴールデンシーバ(父コロナドズクエスト)の子にウェディングトースト【カムリーS(米GⅢ)】がいる。マリズシーバの母シーバリトルの半姉ホーミングピジョンの子にピジョンヴォワヤジュール【イタリア大賞(伊GⅠ)】がおり、シーバリトルの祖母ロングルックは英オークス馬だが、近親の活躍馬はそれほど多くは無い。母系を遡ると、英国クラシック競走4勝の名牝セプターの半姉で、無敗の英国三冠馬オーモンドの姪でもあるスプレンディドに行き着き、クレオパトラトマス、クモハタ、ハクチカラ、ゴールドシップ、シャトーゲイなども同じ牝系であるが、本馬の近親と言うには少し遠い。→牝系:F16号族②

母父マリズブックはノーザンダンサーの直子だが、現役成績は17戦3勝、ステークス競走の勝ちは無しという平凡な競走馬だった。種牡馬としてもそれほど成功していないが、繁殖牝馬の父としては本馬の他に、米国顕彰馬アシャド、米国GⅠ競走3勝のベーレンズ、亜国GⅠ競走4勝のミスターフォンなどの活躍馬を出している。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬はマクネア夫妻の所有のまま、米国ケンタッキー州アデナスプリングスファームで種牡馬入りした。2008年にストーナーサイドステーブルがドバイのシェイク・モハメド殿下に買収された後も、マクネア夫人がマグノリアレーシングステーブル名義で所有した。2010年にニューヨーク州ハイクリフファームに、2013年にはニューヨーク州ミルクリークファームに移動している。

当初の産駒成績は少々寂しいものだったが、2011年以降にGⅠ競走勝ち馬が複数出現しており、現在もアラジの後継種牡馬として何とか頑張っている。中には例外もいるが、全体的に仕上がりは遅く、古馬になって完成する産駒が多いようである。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

2006

Jeranimo

シューメーカーマイルS(米GⅠ)・エディリードS(米GⅠ)・ストラブS(米GⅡ)・サンガブリエルS(米GⅡ)3回・オークツリーマイルS(米GⅡ)・サイテーションH(米GⅡ)

2006

Maoineach

ラウンドタワーS(愛GⅢ)・レパーズタウン1000ギニートライアルS(愛GⅢ)

2006

Mythical Power

ローンスターダービー(米GⅢ)・テキサスマイルS(米GⅢ)

2008

Don't Tell Sophia

スピンスターS(米GⅠ)・チルッキS(米GⅡ)

2009

Killer Graces

ハリウッドスターレットS(米GⅠ)

2010

Shrinking Violet

モンロヴィアS(米GⅡ)

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