ダヴォナデイル

和名:ダヴォナデイル

英名:Davona Dale

1976年生

鹿毛

父:ベストターン

母:ロイヤルエントランス

母父:ティムタム

米国牝馬三冠競走“National Triple Tiara”とニューヨーク牝馬三冠競走“The New York Triple Tiara”を史上唯一完全制覇する

競走成績:2~4歳時に米で走り通算成績18戦11勝2着2回3着1回

ニューヨーク牝馬三冠競走と米国牝馬三冠競走について

英国には英1000ギニー・英オークス・英セントレジャーの英国牝馬三冠が、日本には桜花賞・優駿牝馬・秋華賞の中央競馬牝馬三冠が存在するように、米国にも牝馬三冠競走が存在する。一般的には、エイコーンS・マザーグースS・CCAオークスの3競走(現在はエイコーンS・CCAオークス・アラバマSの3競走)の総称であるニューヨーク牝馬三冠競走“The New York Triple Tiara”が、米国版の牝馬三冠競走として認知されている。このニューヨーク牝馬三冠競走はマザーグースSが創設された1957年からシリーズ化されたものであるが、名前のとおりにニューヨーク州で行われる競走に偏っている。

それもあってか、全米サラブレッド競馬協会は他の州にも跨った米国牝馬三冠競走“National Triple Tiara”の存在を提唱している。しかしながら、どの3競走をもって“National Triple Tiara”と言うのかについては一定していない。3競走中2競走は、ケンタッキー州チャーチルダウンズ競馬場で行われるケンタッキーオークス、メリーランド州ピムリコ競馬場で行われるブラックアイドスーザンS(旧ピムリコオークス)で確定なのだが、残り1競走については、ニューヨーク牝馬三冠競走のうちどれか1つとなっている。そのため「ケンタッキーオークス・ブラックアイドスーザンS・エイコーンS」「ケンタッキーオークス・ブラックアイドスーザンS・マザーグースS」「ケンタッキーオークス・ブラックアイドスーザンS・CCAオークス」という3つの組み合わせが存在することになり、資料によって扱いがばらばらである。米国競馬名誉の殿堂博物館のウェブサイトにおいては、「ケンタッキーオークス・ブラックアイドスーザンS・CCAオークス」を三冠競走としている(同サイトではこれを“The Original Series”、ニューヨーク牝馬三冠競走を“The Modern Series”と呼称している)し、ニューヨーク牝馬三冠競走が整備される前の1940~50年代頃には、この組み合わせが米国牝馬三冠競走とみなされていたというから、これが最も有力ではあるようだが、どの3競走を勝てば誰もが認める“National Triple Tiara”の達成となるのかは判然としない。

ところが、ケンタッキーオークスとブラックアイドスーザンSに加えて、ニューヨーク牝馬三冠競走も全て制覇したために、文句なしに“National Triple Tiara”を達成したと断言できる馬が史上唯1頭存在している。それが本項の主人公である本馬なのである。ケンタッキーオークスとブラックアイドスーザンSの両競走を制し、かつ、ニューヨーク牝馬三冠競走のどれか1つでも勝った馬は、本馬以外には1949年のウィストフルと1952年のリアルディライトの2頭のみであり、2頭ともニューヨーク牝馬三冠競走のうち勝ったのはCCAオークスのみ(当時はマザーグースSが無かったのだからニューヨーク牝馬三冠競走全勝は不可能である)となっているから、仮にウィストフルとリアルディライトの2頭を“National Triple Tiara”の達成馬だとしても(米国競馬名誉の殿堂博物館のウェブサイトでは、2頭とも達成馬だとみなしている)、“National Triple Tiara”と“The New York Triple Tiara”を両方達成した馬は、やはり本馬のみということになる。

誕生からデビュー前まで

本馬はウィストフルやリアルディライトの生産・所有者でもあった米国の名門カルメットファームの生産・所有馬で、ジョン・M・ヴィーチ調教師に預けられた。体高は16.1ハンドと牝馬としては大柄なほうであり、胴回りなどもよく発達した、非常にプロポーションが良い馬だったという。主戦はホルヘ・ヴェラスケス騎手で、本馬の全競走に騎乗した。

競走生活(3歳初期まで)

2歳10月にベルモントパーク競馬場で行われたダート6ハロンの未勝利戦でデビューして、1馬身1/4差で勝ち上がった。翌月にメドウランズ競馬場で出走したホリーS(D6F)では、スクーカルSなど3戦全勝で臨んできたワンダロウスミーを1馬身半差の2着に破って勝利。2歳時の成績は2戦2勝となった。

3歳時は1月にフロリダ州コールダー競馬場で行われた牡馬相手のトロピカルパークダービー(GⅢ・D8.5F)から始動した。単勝オッズ2.3倍の1番人気に支持されたのだが、牡馬相手では少々分が悪かったか、ビショップズチョイス、ケンタッキージョッキークラブSの勝ち馬でブリーダーズフューチュリティ2着のロットオゴールド、シティオブマイアミHを勝ってきたスマーテンの3頭に屈して、勝ったビショップズチョイスから5馬身差の4着に敗退した。

2月にガルフストリームパーク競馬場で出走したシャーリージョーンズS(D6F)では、セリマS・ブリガンティーンS・マーメイドSなど5戦全勝の成績で前年のエクリプス賞最優秀2歳牝馬に選ばれていたキャンディエクレアとの対戦となった。3歳初戦の一般競走も勝って連勝を6に伸ばしていたキャンディエクレアが単勝オッズ1.5倍の1番人気に支持され、本馬が単勝オッズ3.7倍の2番人気となった。スタートが切られるとキャンディエクレアが逃げを打ち、最初の2ハロンを22秒というハイペースで飛ばした。キャンディエクレアはさすがに直線では失速し、後方から差してきた本馬がそれを捕らえにかかった。しかしキャンディエクレアが粘り切って勝利し、本馬は1馬身3/4差の2着に敗れた。

2週間後に同コースで行われたボニーミスS(D7F)でも、キャンディエクレアとの対戦となった。ここでもキャンディエクレアは最初の2ハロンを22秒2で飛ばしたが、今度は遅れずについていった本馬が直線で差し切り、キャンディエクレアを3/4差の2着に下して勝利した。勝ちタイム1分21秒0は、コースレコードに0秒2まで迫る優秀なものだった。そしてここから本馬の快進撃が始まる。

フロリダ州からニューオーリンズ州フェアグラウンズ競馬場に場所を移して3月に出走したデビュータントS(D6F)では、単勝オッズ1.3倍という断然の1番人気に支持された。そして四角先頭から直線独走で、2着ジャスタリフレクションに7馬身差をつけて圧勝した。

次走は4月にアーカンソー州オークローンパーク競馬場で行われたファンタジーS(GⅠ・D8.5F)となった。ここではジャスタリフレクションに加えて、GⅠ競走サンタスサナSを筆頭にアノアキアS・サンブルーノS・ベイメドウズラッシーSを勝ちオークリーフS・サンタイネスSで2着していた米国西海岸の強豪カリーン、サドルバックS・マグノリアSを勝っていたサティーン(後にサンタアニタH勝ち馬マーシャルロウの母となる)などが対戦相手となった。本馬とカリーンが並んで単勝オッズ2.1倍の1番人気となった。スタートが切られるとサティーンが逃げを打ち、名手ウィリアム・シューメーカー騎手が手綱を取るカリーンが2番手を追走。一方の本馬はスタートで躓いて出遅れたが、徐々に持ち直してきた。そしてカリーンと本馬が並んで直線を向いたが、本馬がすぐにカリーンを突き放し、2馬身半差をつけて勝利した。

競走生活(3歳中期)

次走のケンタッキーオークス(GⅠ・D8.5F)では、ボニーミスS2着後にアッシュランドSを勝ってきたキャンディエクレア、スピナウェイS・アッシュランドSで2着していた後のカゼルHの勝ち馬ヒマラヤン、後のハリウッドオークス馬プライズズポット、カリフォルニアオークス2着馬ツアールーラなど5頭が対戦相手となったが、本馬が単勝オッズ1.4倍という断然の1番人気に支持された。泥だらけの不良馬場の中でまず先手を取ったのはやはりキャンディエクレアだった。一時は後続を4馬身ほど引き離して逃げたキャンディエクレアだったが、直線に入ると失速。そこへ外側から本馬が、内側からヒマラヤンが差してきた。しかし本馬がヒマラヤンを突き放し、最後は4馬身半差をつけて完勝。さらに2馬身差の3着にはプライズズポットが入り、ばてたキャンディエクレアはさらに半馬身差の4着に敗れた。ヴィーチ師はレース翌朝の本馬の様子を見ながら、かつて自身が管理した同じカルメットファーム産馬のアワーミムズ(CCAオークス・アラバマS・デラウェアHなどを制して1977年のエクリプス賞最優秀3歳牝馬に選ばれたが、ケンタッキーオークス・エイコーンS・マザーグースSはいずれも敗れていた)より良い馬だと語った。

ケンタッキーオークスの2週間後には、ブラックアイドスーザンS(GⅡ・D8.5F)に出走。ここでは、デモワゼルSの勝ち馬で後にレディーズS・モリーピッチャーHなどを勝つプランクトンが挑んできたが、本馬が単勝オッズ1.1倍という圧倒的な1番人気に支持された。今回の本馬はスタートしてすぐに先頭に立ち、観衆達を驚かせた。最初の6ハロンを1分11秒6というペースで逃げた本馬は、2番手を追走してきたフィービーズドンキーを直線で引き離し、最後は4馬身1/4差をつけて楽勝した。

続いて出走したのはエイコーンS(GⅠ・D8F)だった。このレースは勿論ニューヨーク牝馬三冠競走の第1戦であり、3歳時はここをシーズン最初の目標としてくる牝馬もいるくらいなのだが、本馬はこのレースが3歳8戦目だった。しかし疲労の色などはなく、本馬の外見はますます光り輝いて見えるほどだった。ケンタッキーオークス2着から直行してきたヒマラヤン、前走3着のプランクトン、メイトロンS・アスタリタS・プライオレスSの勝ち馬フォールアスペン(ティンバーカントリーなど9頭のステークスウイナーを産んだ稀代の名繁殖牝馬として著名)、カリフォルニア州でレイルバードS・ラセンチネラS・パサデナS・スターレットSとステークス競走4勝を挙げてきたエロクエントなどが対戦相手となったが、本馬が単勝オッズ1.3倍という断然の1番人気に支持された。スタートが切られると、エロクエントが最初の2ハロンを22秒6というペースで逃げ、フォールアスペンなどがそれを追走。本馬は前走から一転して中団待機策を採り、そして三角から四角にかけて位置取りを上げていった。エロクエントが結構な粘りを見せたためにヴェラスケス騎手は鞭を使う必要があったが、それでも直線でエロクエントを差し切ると、最後は2着エロクエントに2馬身1/4差、3着プランクトンにはさらに8馬身差をつけて完勝した。

次走のマザーグースS(GⅠ・D9F)では、エロクエント、プランクトンなどを抑えて、単勝オッズ1.4倍の1番人気に支持された。今回は逃げ戦法を選択し、最初の4ハロンを45秒6、最初の6ハロンを1分10秒0と快調に先頭を飛ばした。そして直線入り口で後続に4馬身差をつけると、直線でも差を広げ続け、最後は2着エロクエントに10馬身差をつけて圧勝した。

次走のCCAオークス(GⅠ・D12F)では、一般的に最も有力である“National Triple Tiara”の組み合わせの完全制覇に加えて、ニューヨーク牝馬三冠達成も懸かっており、前走3着のプランクトン、スピナウェイS・スカイラヴィルS・ファッションSの勝ち馬パームハットなどを抑えて、単勝オッズ1.1倍という圧倒的な1番人気となった。スタートが切られるとパームハットが先頭に立ったが、パームハットが作り出したペースは、最初の4ハロン通過が49秒2というスローだった。スタート直後は様子を見ていた本馬鞍上のヴェラスケス騎手は、このスローペースを見切って早めに位置取りを上げていった。そして1マイル通過時点で先頭に立つと、そのまま先頭をひた走り、2着プランクトンに8馬身差をつけて圧勝。これで1975年のラフィアン以来4年ぶり史上5頭目のニューヨーク牝馬三冠制覇を達成すると同時に、“National Triple Tiara”も文句なしに達成したことになった。

競走生活(3歳後期)

その後は短期休養を取り、CCAオークスから6週間後のアラバマS(GⅠ・D10F)に出走した。ここでは、大種牡馬ミスタープロスペクターの初年度産駒イッツインジエアが本馬に挑戦状を叩きつけてきた。2歳時にアーリントンワシントンラッシーS・オークリーフSを勝ちフリゼットSで2着して、キャンディエクレアと共に前年のエクリプス賞最優秀2歳牝馬に選ばれていたイッツインジエアは、3歳になってもヴァニティHを勝ちハリウッドオークスで2着するなど強さを発揮していた。しかし本馬が単勝オッズ1.3倍という断然の1番人気に支持された。スタートが切られるとイッツインジエアが父ミスタープロスペクターから受け継いだ快速を活かして先頭に立ったが、最初の4ハロン通過が49秒という遅めのペースだった。当然本馬も早めにイッツインジエアを捕らえにかかったのだが、イッツインジエアは本馬の追撃を巧みに逃れ続け、そのまま押し切って勝利。連戦の疲れが取りきれていなかったのか、いつもの加速が今ひとつ見られなかった本馬は、イッツインジエアから1馬身半差の2着に敗れ、連勝は8でストップした。ちなみにこのレースで本馬から3馬身3/4差の3着に入ったのは、後の第1回ジャパンC優勝馬メアジードーツだった。

次走は牡馬相手のトラヴァーズS(GⅠ・D10F)となった。トラヴァーズSは例年ならば米国三冠競走で活躍した牡馬勢が参戦してくるレースなのだが、この年はケンタッキーダービー・プリークネスSを制したスペクタキュラービッドも、ベルモントSを制したコースタルも不在であり、やや層が薄かった。ホープフルS・サラトガスペシャルS・ゴーサムSの勝ち馬でケンタッキーダービー・シャンペンS・ローレルフューチュリティ2着のジェネラルアセンブリー、トロピカルパークダービーで本馬に先着する3着だった後にウッドローンS・イリノイダービー・ペンシルヴァニアダービー・オハイオダービー・アメリカンダービーなどを勝っていたスマーテン、ドワイヤーS・アーリントンクラシックSと連続2着した後にジムダンディSを勝ってきたプライヴェートアカウントなどが対戦相手となった。しかしジェネラルアセンブリーはプリークネスSが最下位でベルモントSも7着、スマーテンとプライヴェートアカウントはいずれも米国三冠競走には不参戦だったから、ヴィーチ師にとっては十分な勝算があったようである。ファンも本馬を単勝オッズ3.7倍の1番人気に支持したのだが、結果は無残だった。レースは米国三冠競走の鬱憤を晴らすかのような快走を見せたジェネラルアセンブリーが2着スマーテンに15馬身差をつけて圧勝を収め、さらに11馬身差の3着にプライヴェートアカウントが入り、本馬はプライヴェートアカウントからさらに3馬身差の4着と惨敗してしまったのである。

次走のマスケットS(GⅡ・D8F)では、アラバマSの次走デラウェアオークスも勝ってきたイッツインジエアの他に、テストS・バレリーナSを連勝してきたブライティ(名馬リヴァリッジとマザーグースS・CCAオークスを勝って1966年の米最優秀3歳牝馬に選ばれたレディピットの間に産まれた良血牝馬。後に、BCスプリント勝ち馬ダンシングスプリーの母、GⅠ競走8勝の名牝ヘヴンリープライズの祖母となる)、前年の同競走の他にガゼルH・ロングアイランドH・ニューヨークH・シュヴィーH・ヘンプステッドH・ダイアナH・フラワーボウルHを勝ちラフィアンH・ベルデイムS・トップフライトH2着の5歳牝馬パールネックレスなどが対戦相手となった。目下6連勝中のパールネックレスが125ポンドのトップハンデながら単勝オッズ2.1倍の1番人気に支持され、9戦連続1番人気中だった本馬は1番人気の座から陥落した。そして本馬は今回も勝ち負けに絡むことが出来なかった。勝ったのは110ポンドの軽量を活かしたブライティで、首差の2着に122ポンドのイッツインジエア、さらに鼻差の3着にパールネックレスが入り、122ポンドの本馬は中団のまま伸びを欠き、ブライティから3馬身半差の4着に敗れてしまった。そしてそのまま翌年まで休養入りとなった。

実はヴィーチ師はCCAオークスの楽勝ぶりから、ほぼ同距離である仏国の凱旋門賞挑戦も視野に入れていたらしいのだが、秋の失速によりこの遠征計画は白紙となった。それでも3歳時13戦8勝の成績で、この年のエクリプス賞最優秀3歳牝馬に選出された。本馬がこの年に稼いだ賞金は総額55万5723ドルに達し、これは3歳牝馬が獲得した賞金としては1974年にクリスエヴァートが記録した55万1063ドルを上回る全米新記録だった。

競走生活(4歳時)

しかし本馬の脚は連戦でかなり疲弊しており、関節や腱に損傷がある状態だった。そのため休養はかなり長引き、復帰は前走から10か月以上経った4歳7月にベルモントパーク競馬場で行われたダート6ハロンの一般競走だった。結果は勝ったコーニッシュクイーンから1馬身3/4差の3着だった。

それから2週間後に出走したバレリーナS(D7F)では、前年のマスケットS2着後にラフィアンH・エルエンシノS・ヴァニティHを勝っていたイッツインジエア、バーバラフリッチーH・ディスタフH・ベッドオローゼズH・ヘンプステッドHの勝ち馬でトップフライトH2着のミスティーガロアなどが対戦相手となった。ここでは本馬がミスティーガロアを1馬身差の2着に、イッツインジエアを3着に破って勝利した。

次走のマスケットS(GⅠ・D8F)では、前年のCCAオークス3着・アラバマS5着後にガゼルH・デラウェアHで2着していたクロッキーに加えて、この年のケンタッキーダービーで65年ぶりの牝馬優勝を果たしプリークネスS・ベルモントSでも2着していたジェニュインリスク、エイコーンS・CCAオークス・ケンタッキーオークス・サンタスサナS・ファンタジーS・オークリーフSを勝利するもマザーグースSで惜しくも2着に敗れて2年連続ニューヨーク牝馬三冠を逃したボールドンデターマインド、テストS・アラバマS・ガゼルHと3連勝中のラヴサインといった強力3歳牝馬勢との対決になった。レースでは本馬、ジェニュインリスク、ボールドンデターマインドの3頭がほぼ横一線で直線を向いたのだが、真っ先に本馬が脱落してしまった。レースはボールドンデターマインドがジェニュインリスクとの大激戦を鼻差制して勝利を収め、ラヴサインが3着に入り、本馬はボールドンデターマインドから7馬身1/4差をつけられた4着と完敗。このレースを最後に4歳時3戦1勝の成績で競走馬を引退した。

血統

Best Turn Turn-to Royal Charger Nearco Pharos
Nogara
Sun Princess Solario
Mumtaz Begum
Source Sucree Admiral Drake Craig an Eran
Plucky Liege
Lavendula  Pharos
Sweet Lavender
Sweet Clementine Swaps Khaled Hyperion
Eclair
Iron Reward Beau Pere
Iron Maiden
Miz Clementine Bull Lea Bull Dog
Rose Leaves
Two Bob The Porter
Blessings
Royal Entrance Tim Tam Tom Fool Menow Pharamond
Alcibiades
Gaga Bull Dog
Alpoise
Two Lea Bull Lea Bull Dog
Rose Leaves
Two Bob The Porter
Blessings
Prince's Gate Sun Again Sun Teddy Teddy
Sunmelia
Hug Again Stimulus
Affection
Siena Way Bull Lea Bull Dog
Rose Leaves
Hydroplane Hyperion
Toboggan

父ベストターンはターントゥ直子。やはりカルメットファームの生産・所有馬で、現役成績は28戦15勝。サラナクH・ジョンBキャンベルH・ポーモノクH・ヴォスバーグH・クイーンズカウンティHなどを勝っている。種牡馬としては本馬の他にメトロポリタンHの勝ち馬コックスリッジなど24頭のステークスウイナーを出して活躍した。

母ロイヤルエントランスは現役成績31戦7勝。本馬の半姉ノーブルース(父ナシュア)の孫にはアジンコート【ベルモントフューチュリティS(米GⅠ)・ドワイヤーS(米GⅡ)】、玄孫には日本で走ったエーシンユリシーズ【スプリングC・園田ユースC・カンナ賞・池田湖賞】が、本馬の半姉オールアグリーム(父グリーミング)の子にはマジックグリーム【チャイルドS(英GⅡ)】が、本馬の半妹パレスゲート(父ソイヌメロウノ)の孫にはジャメラオ【アメリカ国際大賞(亜GⅠ)】が、本馬の半妹アリズアディタ(父アリダー)の子にはシークゴールド【スティーヴンフォスターH(米GⅠ)】がいる。ロイヤルエントランスの半姉サンゲート(父ブルリー)の子にはゲートダンサー【プリークネスS(米GⅠ)・スーパーダービー(米GⅠ)・コーンハスカーH(米GⅡ)】がいる。ロイヤルエントランスの祖母シエナウェイは米国三冠馬サイテーションの全妹である。→牝系:F3号族④

母父ティムタムは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は生まれ故郷のカルメットファームに戻って繁殖入りした。レイズアネイティヴ、ミスタープロスペクター、アリダーシアトルスルーダンチヒサドラーズウェルズラストタイクーン、レイクコニストンといった種牡馬達との間に合計12頭の子を産んだ。しかしそれほどの活躍馬は登場せず、10歳時に産んだ5番子の牡駒ルヴォワジュール(父シアトルスルー)が1989年のベルモントS(米GⅠ)でイージーゴアサンデーサイレンスの2頭に続く3着に入ったのが目立つ程度である。もっとも、牝系子孫はある程度の発展を見せている。2番子の牝駒ダボナゴールド(父ミスタープロスペクター)は現役成績14戦3勝だったが日本に繁殖牝馬として輸入され、その孫からはオープン特別すみれSを勝ったサスガが、曾孫からはドラゴンエアル【ダービーグランプリ・報知オールスターC】が出た。現役成績9戦1勝だった7番子の牝駒リタ(父アリダー)の子にはジャストアキャット【カウディンS(米GⅡ)】が、現役成績3戦1勝だった8番子の牝駒ポリッシュメイド(父ダンチヒ)の孫にはエグゼクティヴプリヴィレッジ【デルマーデビュータントS(米GⅠ)・シャンデリアS(米GⅠ)・ソレントS(米GⅢ)】やホッパーチュニティ【クラークH(米GⅠ)・レベルS(米GⅡ)・サンパスカルS(米GⅡ)】が出ている。

本馬は1985年に米国競馬の殿堂入りを果たしたが、後の1991年にカルメットファームが破産すると、本馬はセリに掛けられた。そして馬産団体ビーマック・N・Vに購入され、愛国に輸入された。サドラーズウェルズやラストタイクーンと交配されたのはこの後の話である。1997年に最後の子となる牡駒セマ(父レイクコニストン)を産んだ後に21歳で他界した。米ブラッドホース誌が企画した20世紀米国名馬100選で第90位。

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