和名:ヒズマジェスティ |
英名:His Majesty |
1968年生 |
牡 |
鹿毛 |
父:リボー |
母:フラワーボウル |
母父:アリバイ |
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故障の影響もあって競走馬としては大成できなかったが、種牡馬として兄グロースタークと同じく成功しリボーの直系存続の最大の功労馬となる |
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競走成績:3~5歳時に米で走り通算成績22戦5勝2着6回 |
誕生からデビュー前まで
米国ケンタッキー州ダービーダンファームにおいて、同牧場の所有者ジョン・W・ガルブレイス氏により生産・所有された。父は歴史的名馬リボー、母は名牝フラワーボウル、半姉に名牝ボウルオブフラワーズ、5歳年上の全兄に名馬グロースタークがいるという超良血馬だった。しかし母フラワーボウルは本馬を産んですぐに出血多量で他界してしまい、本馬は別の牝馬を乳母として育てられた。
馬体も良かった本馬は、牧場の人から非常に大事にされ、そのためか皇帝に呼びかけるときに使用する「陛下」という意味の「ヒズマジェスティ」と名付けられた。牧場時代には、同世代で温和な性格だったグッドカウンセルと非常に仲が良かったという。なお、グッドカウンセルは最初愛国で競走馬としてデビューしたため、本馬と一緒に走る機会はしばらく無かった。一方の本馬は米国のルー・ロンディネッリ調教師に預けられた。
競走生活
2歳時に競走馬デビュー。デビュー戦の未勝利戦で勝ち上がり、次走の一般競走で2着となり、2歳時の成績は2戦1勝2着1回となった。
3歳時はフロリダ州のハイアレアパーク競馬場から始動して、一般競走を勝利した。しかしバハマズS(D7F)では道中で不利を受けた影響もあり、兄グロースターク産駒のレムセンS勝ち馬ジムフレンチ、後のアーカンソーダービー・オハイオダービー勝ち馬ツイストジアクスの2頭に屈して、ジムフレンチの3着に敗れた。しかしエヴァーグレイズS(D9F)ではジムフレンチを2着に破って勝利し、この時点でケンタッキーダービーの有力候補に躍り出た。
ところがその後に出走したフラミンゴS(D9F)でレース中に内埒に激突してしまい、エクスキューショナーの6着に大敗(ジムフレンチが3着)。しかもその時に右前脚を骨折したため、兄グロースターク同様にケンタッキーダービーを目前に戦線離脱してしまった。3歳時は復帰することが出来ず、この年の成績は6戦2勝2着1回3着1回となった。
しかしそのまま競走馬を引退した兄とは異なり、骨折箇所の手術を受けた本馬は9か月の空白期間を経て4歳時に復帰を果たした。復帰後は、愛国で芽が出ず米国に舞い戻っていた同厩のグッドカウンセルと一緒に、サンタアニタパーク競馬場やハイアレアパーク競馬場など各地を転戦した。ハイアレアパーク競馬場で行われたセミノールH(D9F)では、やはりケンタッキーダービーには不参加だったエクスキューショナーが勝ち、グッドカウンセルが2着、本馬が3着だった。その3週間後に同じハイアレアパーク競馬場で行われたワイドナーH(D10F)ではグッドカウンセルが勝ち、本馬が鼻差2着だった。しかしホーソーン金杯に向けての調整中に、本馬は再び故障を起こし、5か月間の休養を余儀なくされた。4歳時の成績は12戦1勝2着4回3着2回だった。
5歳1月に復帰し、ハイアレアパーク競馬場で行われたダート9ハロンの一般競走で1分46秒4のコースレコードを樹立。しかしドンH(D9F)のレース中に今度は左前脚の腱を痛めて着外に敗退(勝ち馬トライアンファント)し、このレースを最後に5歳時2戦1勝の成績で競走馬を引退した。結局ステークス競走勝ちはエヴァーグレイズSの1戦のみだった。
血統
Ribot | Tenerani | Bellini | Cavaliere d'Arpino | Havresac |
Chuette | ||||
Bella Minna | Bachelor's Double | |||
Santa Minna | ||||
Tofanella | Apelle | Sardanapale | ||
Angelina | ||||
Try Try Again | Cylgad | |||
Perseverance | ||||
Romanella | El Greco | Pharos | Phalaris | |
Scapa Flow | ||||
Gay Gamp | Gay Crusader | |||
Parasol | ||||
Barbara Burrini | Papyrus | Tracery | ||
Miss Matty | ||||
Bucolic | Buchan | |||
Volcanic | ||||
Flower Bowl | Alibhai | Hyperion | Gainsborough | Bayardo |
Rosedrop | ||||
Selene | Chaucer | |||
Serenissima | ||||
Teresina | Tracery | Rock Sand | ||
Topiary | ||||
Blue Tit | Wildfowler | |||
Petit Bleu | ||||
Flower Bed | Beau Pere | Son-in-Law | Dark Ronald | |
Mother in Law | ||||
Cinna | Polymelus | |||
Baroness La Fleche | ||||
Boudoir | Mahmoud | Blenheim | ||
Mah Mahal | ||||
Kampala | Clarissimus | |||
La Soupe |
父リボーは当馬の項を参照。
母フラワーボウルは競走馬としてもデラウェアH・レディーズHなどを勝ち32戦7勝の成績を残した活躍馬だったが、繁殖牝馬としてはさらに活躍し、本馬の半姉である米国顕彰馬ボウルオブフラワーズ【フリゼットS・エイコーンS・CCAオークス・スピンスターS・ナショナルスタリオンS・ガーデニアS】、本馬の全兄で名種牡馬のグロースターク【アーチワードS・バハマS】を産んでいる。フラワーボウルの半妹フローラルパーク(父アリバイ)の孫にはルーテントゥーテンウーテン【デモワゼルS(米GⅠ)】、曾孫にはプロルトーリ【伊ダービー(伊GⅠ)】、玄孫にはグルーピードール【BCフィリー&メアスプリント(米GⅠ)2回・ヴァイネリーマディソンS(米GⅠ)・ヒューマナディスタフH(米GⅠ)】が、半妹グリーンフィンガー(父ベターセルフ)の曾孫にはアワポエティックプリンス【コックスプレート(豪GⅠ)・ライオンブラウンスプリント(新GⅠ)・タンクレッドS(豪GⅠ)・クイーンエリザベスS(豪GⅠ)】が、半妹マルチフローラ(父ビューマックス)の子には米国顕彰馬ギャラントブルーム【メイトロンS・ポストデブS・モンマスオークス・デラウェアオークス・ガゼルH・マッチメイカーS・スピンスターS・サンタマリアH・サンタマルガリータ招待H】がいる。
フラワーボウルの母フラワーベッドの半弟にはユアホスト【デルマーフューチュリティ・サンフェリペS・サンタアニタダービー】がおり、その牝系一族からは数々の活躍馬が出ているが、その詳細は既にユアホストの項に記載したので、そちらを参照してほしい。→牝系:F4号族①
母父アリバイはユアホストの項を参照。
競走馬引退後
競走馬を引退した本馬は、兄グロースタークも繋養されていた生まれ故郷のダービーダンファームで種牡馬入りした。種牡馬としては兄に負けず劣らずの好成績を収め、リボーの直系が現代まで残る最大の功労馬となった。1982年には、兄が獲得できなかった北米首位種牡馬のタイトルを獲得。輩出したステークスウイナーは57頭(資料によっては59頭)、ステークスウイナー率は9%であり、それぞれ52頭と8%だったグロースタークを僅かながら上回るものであった。リボーの直系らしくスタミナが豊富で、10ハロン以上の距離で活躍する産駒が多かった。また、ダートだけでなく芝の活躍馬も多く出した。1995年9月に老衰のため27歳で安楽死の措置が執られ、ダービーダンファームに埋葬された。
直子のプレザントコロニーが後継種牡馬として大活躍し、本馬の直系を後世に伝えている。また、繁殖牝馬の父としてはデインヒル、リズンスター、ダイナフォーマー、英1000ギニー・英オークス勝ち馬ミッドウェイレディ、BCフィリー&メアスプリント勝ち馬インフォームドディシジョンなどを出し、母父としても後世に大きな影響を与えた。
主な産駒一覧
生年 |
産駒名 |
勝ち鞍 |
1974 |
Cormorant |
ジャージーダービー(米GⅠ)・ゴーサムS(米GⅡ)・ベイショアS(米GⅢ) |
1975 |
Batonnier |
イリノイダービー(米GⅢ) |
1975 |
Majesty's World |
ジョンBキャンベルH(米GⅡ) |
1975 |
Obraztsovy |
サンフアンカピストラーノ招待H(米GⅠ)・ハードウィックS(英GⅡ)・セントサイモンS(英GⅢ)・ジョッキークラブS(英GⅢ) |
1977 |
Ribbon |
パッカーアップS(米GⅢ) |
1978 |
Andover Way |
トップフライトH(米GⅠ)・ネクストムーヴH(米GⅢ) |
1978 |
Mehmet |
フィリップHアイズリンH(米GⅠ)・マーヴィンルロイH(米GⅡ)・カールトンFバークH(米GⅡ)・メドウランズCH(米GⅡ) |
1978 |
Panjandrum |
テヴェレ賞(伊GⅡ) |
1978 |
ケンタッキーダービー(米GⅠ)・プリークネスS(米GⅠ)・レムセンS(米GⅠ)・ウッドメモリアルS(米GⅠ)・ウッドワードS(米GⅠ) |
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1978 |
Recusant |
コーンハスカーH(米GⅡ)・ホーソーン金杯(米GⅡ)・ジョンBキャンベルH(米GⅡ) |
1979 |
Majesty's Prince |
ロスマンズ国際S(加GⅠ)2回・マンノウォーS(米GⅠ)・ソードダンサーH(米GⅠ)・マンノウォーS(米GⅠ)・レキシントンS(米GⅡ)・ソードダンサーH(米GⅡ)・ヒルプリンスS(米GⅢ)・ランプライターH(米GⅢ) |
1979 |
Queen of Song |
シュヴィーH(米GⅡ)・シックスティセイルズH(米GⅢ) |
1980 |
Country Pine |
ウィザーズS(米GⅡ)・ディスカヴァリーH(米GⅢ)・クイーンズカウンティH(米GⅢ) |
1984 |
Louise a la Plage |
クリサンセマムH(米GⅢ) |
1985 |
Frosty the Snowman |
キングエドワード金杯(加GⅢ)・スウォーンズサンS(米GⅢ) |
1986 |
River Master |
ラホヤH(米GⅢ)・アスコットH(米GⅢ)・オールアメリカンH(米GⅢ) |
1987 |
アーリントンミリオンS(米GⅠ)・エディリードH(米GⅠ)・デルマーダービー(米GⅡ)・イングルウッドH(米GⅡ)・アメリカンH(米GⅡ)・ラホヤH(米GⅢ)・サンフランシスコマイルH(米GⅢ) |
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1988 |
Three Coins Up |
ボーリンググリーンH(米GⅡ) |
1991 |
Chelsey Flower |
フラワーボウル招待H(米GⅠ)・シープスヘッドベイH(米GⅡ)・ミスグリオS(米GⅢ) |
1991 |
Valiant Nature |
ハリウッドフューチュリティ(米GⅠ) |
1994 |
Cetewayo |
ソードダンサー招待H(米GⅠ)・ガルフストリームパークBCターフS(米GⅠ)・ボーリンググリーンH(米GⅡ)・レッドスミスH(米GⅡ)・スターズ&ストライプスBCターフS(米GⅢ) |