イェーツ

和名:イェーツ

英名:Yeats

2001年生

鹿毛

父:サドラーズウェルズ

母:リンドンヴィル

母父:トップヴィル

史上初のアスコット金杯4連覇を果たし4年連続でカルティエ賞最優秀長距離馬に選出された21世紀欧州最高の長距離馬

競走成績:2~8歳時に愛英仏加豪で走り通算成績26戦15勝2着2回3着2回

誕生からデビュー前まで

名馬ジェネラスや、ディープインパクトの母ウインドインハーヘアなどを生産した事で知られる愛国バロンズタウンスタッドと、クールモアグループ傘下のオーペンデール社の共同生産馬である。バロンズタウンスタッドとオーペンデール社は以前にもジェネラスの半妹イマジンを共同生産するなど、協力関係を深めていたようである。

クールモアグループの総裁ジョン・マグナー氏のスーザン夫人と、バロンズタウンスタッドの所有者の一人ダイアン・ネーグル女史の共同名義で競走馬となり、愛国エイダン・パトリック・オブライエン調教師に預けられた。

競走生活(2・3歳時)

2歳9月にカラー競馬場で行われた芝8ハロンの未勝利戦でマイケル・キネーン騎手を鞍上にデビューした。単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持されると、先行して早めに抜け出す横綱相撲を見せて、2着ハラティラに4馬身差で快勝した。この時点で英国のブックメーカーは、本馬を翌年の英ダービーにおける1番人気に挙げた。

2歳時はデビュー戦の1戦のみで終え、3歳時は4月のバリサックスS(愛GⅢ・T10F)から始動。ジェイミー・スペンサー騎手を鞍上に、単勝オッズ1.33倍という断然の1番人気に支持された。そして先行して後続を突き放し、最後は2着ダビローンを10馬身ぶっちぎって圧勝した。

次走のデリンズタウンスタッドダービートライアルS(愛GⅡ・T10F)では、ベレスフォードS2着馬リラックスドジェスチャーという強敵が相手となったが、本馬が単勝オッズ1.2倍という圧倒的な1番人気となった。レースでは先行して残り3ハロン地点で仕掛けると、最後方から追い込んできたリラックスドジェスチャーの追撃を1馬身半差で封じて勝利した。

ここまでの出走過程は、同じオブライエン厩舎の所属馬だった3年前の英ダービー馬ガリレオと同様であり、ガリレオに勝るとも劣らない勝ち方から、英ダービーの大本命と目された。ところが本番の数日前に故障を発生してしまい、英ダービーどころか3歳シーズンの残りを全て棒に振ってしまった。

競走生活(4歳時)

4歳5月にカラー競馬場で行われたムーアズブリッジS(愛GⅢ・T10F)でキーレン・ファロン騎手を鞍上に1年ぶりのレースに臨んだ。長期休養明けではあったが、単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持された。しかし不良馬場で行われたレースでは、先行するも勝負どころにおける反応が悪く、先に抜け出したカーディスに6馬身ちぎられて2着に敗北した。

次走のコロネーションC(英GⅠ・T12F10Y)では、ジョッキークラブSを勝ってきた後のジャパンC優勝馬アルカセット、コロネーションCを前年まで2連覇していたバーデン大賞・ジョッキークラブSなどの勝ち馬ウォーサン、ショードネイ賞・グラディアトゥール賞の勝ち馬リーフスケープ、コンセイユドパリ賞の勝ち馬プライドなどが出走してきた。アルカセットが単勝オッズ3倍の1番人気、3連覇を目指すウォーサンが単勝オッズ4.5倍の2番人気で、本馬は単勝オッズ6倍の3番人気となった。

レースではスタートから逃げを打つ戦法に出て、残り2ハロン地点で二の脚を使うとそのままアルカセットを2馬身半差の2着に下して完勝し、GⅠ競走初勝利を挙げた。愛国調教馬がコロネーションCを勝ったのは1973年のロベルト以来32年ぶりだった。また、コロネーションCは英ダービーと同コースで行われるレースであり、本馬が無事に英ダービーに出走していれば勝っていた可能性が十分にあったということも示した。

続くサンクルー大賞(仏GⅠ・2400m)ではアルカセット、前走3着のリーフスケープに加えて、前年の凱旋門賞を筆頭にクリテリウム国際・ジャンプラ賞・パリ大賞・ガネー賞とGⅠ競走5勝を挙げていた前年のカルティエ賞最優秀3歳牡馬バゴ、豪州でヴィクトリアダービー・アンダーウッドS・コーフィールドC・CFオーアSとGⅠ競走4勝を挙げた後に海外遠征に旅立ちドバイデューティーフリーを勝っていたエルヴストロームという強敵が出現した。バゴが単勝オッズ2.25倍の1番人気に支持され、本馬は単勝オッズ4倍の2番人気となった。ここで本馬に初めて騎乗したジミー・フォーチュン騎手は、本馬を好位に控えさせる作戦を採用したが、結果的にこの作戦は大失敗だった。前走で破ったアルカセットがこのレースに勝利し、直線に入ってすぐに大失速した本馬はアルカセットから20馬身差をつけられて9着と惨敗した。フォーチュン騎手はこの1戦のみで本馬の鞍上から降ろされた。

夏場は休養に充て、秋は愛セントレジャー(愛GⅠ・T14F)に出走。対戦相手は、愛セントレジャー4連覇に加えてロワイヤルオーク賞も勝っていた3年前のカルティエ賞最優秀長距離馬ヴィニーロー、愛ダービー3着馬シャラプール、ゲルリング賞勝ち馬コリアーヒル、前年のサンクルー大賞勝ち馬ガマットなどだった。同競走5連覇という大偉業に挑むヴィニーローと、再度ファロン騎手とコンビを組んだ本馬が並んで単勝オッズ3.25倍の1番人気に支持された。しかしファロン騎手はサンクルー大賞でフォーチュン騎手が採ったのと同じく控える作戦を採り、残り2ハロン地点で仕掛けるも今ひとつ伸びが無く、結局はコリアーヒルの1馬身半差4着に敗れた(5連覇を目指したヴィニーローは3着だった)。

続いて北米大陸に遠征して、加国際S(加GⅠ・T12F)に参戦した。かなりの有力馬が揃っており、ミラノ大賞・英国際Sを連勝してきたエレクトロキューショニスト、ソードダンサー招待S勝ち馬で前走マンノウォーS2着のキングスドラマ、愛ダービー・タタソールズ金杯の勝ち馬グレイスワロー、かつてデリンズタウンスタッドダービートライアルSで本馬の2着に敗れた後に米国に移籍してマンハッタンHとソードダンサー招待Sで2着していたリラックスドジェスチャーなどが対戦相手となった。エレクトロキューショニストが単勝オッズ2.35倍の1番人気に支持され、本馬は単勝オッズ5.3倍の2番人気となった。しかし本馬はスタートを大失敗してしまい、それでもすぐに加速して先頭に立つという強行策に出たものの、三角で失速。勝ったリラックスドジェスチャーから12馬身差の6着と大敗した。

4歳時は5戦してコロネーションCの1勝のみに終わった。

競走生活(5歳時)

5歳時は6月のアスコット金杯(英GⅠ・T20F)から始動。初の超長距離戦への出走だけあって距離適性が未知数であり、前年のグッドウッドC勝ち馬ディスティンクション、前年のサンクルー大賞5着後にカドラン賞を勝っていたリーフスケープ、前年にノーサンバーランドプレート・エボアH・シザレウィッチHの英国伝統の長距離ハンデ3競走を史上初めて同一年に全て制覇したサージェントセシルなど既に長距離実績を有する馬達より人気薄で、単勝オッズ8倍の4番人気だった。しかしレースではファロン騎手が今度こそきっちりと先行逃げ切り戦法を採り、そのまま2着リーフスケープに4馬身差、3着ディスティンクションにはさらに頭差をつけて圧勝した。この勝利により、陣営は本馬を超長距離路線に専念させる事に決めたようである。

次走のグッドウッドC(英GⅡ・T16F)では、八百長疑惑で逮捕・起訴されたファロン騎手が裁判終了まで英国内における騎乗を禁止されたため、キネーン騎手とデビュー戦以来のコンビを組んだ。ここでもリーフスケープ、前走5着のサージェントセシルとの顔合わせとなったが、既に距離適性が証明された本馬が単勝オッズ1.91倍の1番人気に支持された。前走では先行して勝ったにも関わらず、キネーン騎手は本馬を抑える作戦を採った。しかし残り4ハロン地点で仕掛けると、素晴らしい加速を見せた。残り2ハロン地点で先頭に踊り出た後も勢いは衰えず、2着ジョーディーランドに5馬身差をつけて圧勝し、3分21秒55というコースレコードも樹立した。アスコット金杯とグッドウッドCを同一年に制したのは1995年のダブルトリガー以来11年ぶりだった。

この後にドンカスターCに出走して勝てば、ダブルトリガー以来史上7頭目(8度目)の英国長距離三冠馬になれたのだが、陣営が選択したのはドンカスターC翌週の愛セントレジャー(愛GⅠ・T14F)だった(本馬不在のドンカスターCはサージェントセシルが勝っている)。再びファロン騎手を鞍上に迎えた本馬は、単勝オッズ1.29倍の1番人気に支持された。2番手追走から早めに先頭に立つという、アスコット金杯と同様の走りを見せたのだが、直線に入ると単勝オッズ7倍の2番人気だった牝馬カストリアに並びかけられて叩き合いに持ち込まれ、競り合いに屈して半馬身差2着に惜敗した。

続いて出走したのは、豪州最大の長距離競走メルボルンC(豪GⅠ・3200m)だった。実績では出走馬中ナンバーワンだったが、59kgというトップハンデ(次にハンデが重かったのが日本から参戦した菊花賞馬デルタブルースの56kg)が嫌われたのか、デルタブルースと同じ角居勝彦厩舎所属の目黒記念勝ち馬ポップロック、そしてそのポップロックを前走コーフィールドCで下したタウキートの2頭(共に単勝オッズ6倍)に次ぐ3番人気(単勝オッズ6.5倍)となった。本馬はスタートで後手を踏み(ファロン騎手によるとスタート時における人馬の呼吸が合わなかったとのこと)、内枠発走だったために、位置取りを上げるために大外を回る羽目となった。残り1000m地点でようやく先頭に立ったが、直線入り口でデルタブルースにかわされるとそのまま失速して8馬身差7着に敗れた。好スタートからすんなり先行した岩田康誠騎手騎乗のデルタブルースが1着、追い上げたポップロックが頭差2着と、日本調教馬のワンツーフィニッシュとなった。

5歳時の成績は4戦2勝だったが、カドラン賞も制したサージェントセシルを抑えて、この年のカルティエ賞最優秀長距離馬に選ばれた。

競走生活(6歳時)

6歳時は4月に愛国ナヴァン競馬場で行われたリステッド競走ヴィンテージクロップS(T13F)から始動した。134ポンドのトップハンデだったが、単勝オッズ1.33倍の1番人気に支持された。そして先行して早めに先頭に立つという得意の戦法で、2着リフォームアクトに5馬身差をつけて圧勝した。

次走のリステッド競走サヴァルベグS(T14F)でも134ポンドのトップハンデだったが、単勝オッズ1.14倍という前走以上の断然人気に支持された。走り方も結果も前走とほぼ同様であり、先行して早めに抜け出すと2着ムタカリムに6馬身差で圧勝した。

そして好調を維持したままアスコット金杯(英GⅠ・T20F)に出走。ヨークシャーCを勝ってきたサージェントセシル、シャンティ大賞の勝ち馬ジョーディーランド、ロワイヤルオーク賞の勝ち馬モンターレ、伊ジョッキークラブ大賞・ラインラントポカル・ローマ賞とGⅠ競走で3勝を挙げ、凱旋門賞でバゴの2着した実績もあったチェリーミックス、ランカシャーオークス・ヘンリーⅡ世Sの勝ち馬アレグレットなどが対戦相手となったが、本馬が単勝オッズ1.62倍の1番人気に支持された。今回は馬群の中団につけて、残り5ハロン地点でスパートを開始。残り2ハロン地点で先頭に立った後に左側によれる場面もあったが、後続馬の追撃は寄せ付けずに、2着ジョーディーランドに1馬身半差で勝利を収め2連覇を果たした。

夏場は休養に充て、秋は愛セントレジャー(愛GⅠ・T14F)で三度目の正直を目指した。パリ大賞・英セントレジャー・コロネーションCを勝っていた同厩のスコーピオンが強敵であり、事実上の一騎打ちとなった。本馬が単勝オッズ1.57倍の1番人気で、スコーピオンが単勝オッズ4.5倍の2番人気となった。スタートが切られるとスコーピオンが先頭に立ち、本馬は好位を追走した。そして直線に入ると前を行くスコーピオンを追撃。ゴール前でスコーピオンをかわして、半馬身差で勝利を収めた。

続いて出走したのは仏国伝統の超長距離戦カドラン賞(仏GⅠ・4000m)だった。当然のように単勝オッズ1.3倍の1番人気に支持された。しかし今回は馬群の中団後方から直線で伸びを欠き、この年のアスコット金杯3着馬ルミラクルと、グラディアトゥール賞を勝ってきたヴァルヴィーの2頭に届かず、ルミラクルの3馬身差3着に敗退。

しかしこの年5戦4勝の成績で、2年連続でカルティエ賞最優秀長距離馬に選ばれた。

競走生活(7歳時)

7歳時は前年と同じく4月のリステッド競走ヴィンテージクロップS(T13F)から始動した。やはり134ポンドのトップハンデながらも単勝オッズ1.67倍の1番人気に支持された。2番手から抜け出す得意の走りを披露したが、ゴール前で後方から来た2番人気馬レッドモロニーに迫られた。しかし最後は3/4馬身差でなんとか勝利した。

次走はアスコット金杯(英GⅠ・T20F)となった。前年に続いて1番人気に支持されたが、前走が辛勝だったためか、単勝オッズは前年より劣る2.375倍だった。単勝オッズ3倍の2番人気となったのは、リューテス賞・ショードネイ賞・バルブヴィル賞・ヴィコンテスヴィジェ賞とグループ競走4勝を含む6連勝中のコースタルパスで、前年の2着馬ジョーディーランドが単勝オッズ8.5倍の3番人気となっていた。他にも前年のロワイヤルオーク賞勝ち馬アレグレットなどの姿もあった。

ジョニー・ムルタ騎手と初めてコンビを組んだ本馬は、道中は馬群の中団を追走。そして残り4ハロン地点でスパートすると、前を行くコースタルパスなどを一気に抜き去り、2着ジョーディーランドに5馬身差をつけて圧勝した。これで1975年から77年にかけて3連覇したサガロ以来史上2頭目となるアスコット金杯3連覇を達成した。7歳馬がこのレースを勝ったのは、1993年のドラムタップス以来15年ぶりだった。オブライエン師は「初勝利も2勝目も信じられなかったのに、3勝目なんて、あまりに驚くべき事で私は何を言えば良いのでしょうか」と語った。ジョーディーランドに乗っていたシェーン・ケリー騎手は、「あの馬の脚を紐で結ばない限り、他馬に勝ち目は無いでしょう」と脱帽した。

次走のグッドウッドC(英GⅡ・T16F)では、単勝オッズ1.53倍の1番人気となった。ここには2年前のアスコット金杯以来の顔合わせとなるディスティンクションもいたのだが、既にディスティンクションは本馬の相手ではなく12馬身差の4着に敗退。本馬はレース前に多量の発汗が見られたのだが、それでも先行して早めに仕掛けて後続馬をちぎり捨てるレースぶりは何ら変わるところは無く、2着タングステンストライクに7馬身差をつけて圧勝した。

その後はドンカスターCでも愛セントレジャーでもなく、少し間隔を空けてカドラン賞(仏GⅠ・4000m)に出走した。単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持されたのだが、先行するも直線で伸びを欠き、スペイン調教馬バナビーの5馬身半差5着に敗れた。

次走のロワイヤルオーク賞(仏GⅠ・3100m)では、ケルゴルレイ賞・ジョッキークラブS・ドーヴィル大賞などの勝ち馬ゲッタウェイ、ショードネイ賞を勝ってきたワタール、バナビー、愛オークス馬ムーンストーン、前走パークヒルSを勝ってきたアレグレットなどとの対戦となった。カドラン賞で2年連続敗れていた本馬は人気を落としており、ゲッタウェイとワタールの2頭に次ぐ単勝オッズ5.5倍の3番人気だった。レースでは本馬陣営が用意したペースメーカー役のミハイルフォーキンが逃げを打ち、本馬はその直後を追走した。そして残り600m地点で先頭に立つと、そのまま押し切って2着アレグレットに1馬身半差で勝ち、仏国で初めて勝利を収めた。

この年5戦4勝の成績で、3年連続でカルティエ賞最優秀長距離馬に選ばれた。これは1998年から2000年にかけて3年連続で選ばれたカイフタラ以来史上2頭目だった。

競走生活(8歳時)

8歳時は3年連続でヴィンテージクロップS(T13F)から始動した。135ポンドのトップハンデながら、単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持された。重馬場の中を先行したのだが、レース終盤で大きく失速してしまい、勝ったアランディから32馬身も離された6着と惨敗を喫してしまった。

それでも4連覇がかかる次走のアスコット金杯(英GⅠ・T20F)では、過去2年連続2着のジョーディーランド、クイーンズヴァーズ・サガロSの勝ち馬パトカイ、ドバイシーマクラシックの勝ち馬イースタンアンセムなどを抑えて、単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持された。絶好の堅良馬場で行われたレースでは道中好位に付け、3コーナーでまくって先頭に立つと、そのまま2着パトカイに3馬身半差をつけて勝利を収め、200年の歴史を誇るアスコット金杯史上初の4連覇を達成した。8歳馬がこのレースを勝ったのは、1900年のマーマン以来109年ぶりのことだった(史上最年長制覇は1842年に9歳で勝利したビーズウイング)。鞍上のムルタ騎手は「ラスト1ハロンの大歓声は過去に経験した事が無いほどでした」と語った。

次走の愛セントレジャー(愛GⅠ・T14F)では、独ダービー・独セントレジャー・ハンザ賞・ドイツ賞・オイロパ賞・伊ジョッキークラブ大賞・グッドウッドC・ケルゴルレイ賞などを勝っていた独国の歴史的名馬スキャパレリ、アランディ、カラーC・バリーローンSなど3連勝中のプロファウンドビューティなどが対戦相手となった。アスコット金杯を4連覇したと言っても、本馬の競走能力が下降線を辿っていたのは明白であり、距離が短いここでは単勝オッズ5倍の4番人気に留まった。レースでは重馬場の中を先行するも直線に入ると大きく失速。勝ったアランディから60馬身も離された8着最下位に沈んでしまった。

現役最後のレースとなったカドラン賞(仏GⅠ・4000m)では、グラディアトゥール賞を2連覇してきたカスバーブリス、前年の2着馬でもあるモーリスドニュイユ賞勝ち馬インカントドリーム、アランディなどとの対戦となった。ここでは単勝オッズ5倍の3番人気だった。本馬陣営が用意したペースメーカー役のウィンザーパレスが逃げを打ち、本馬はその直後につけた。しかし直線の追い比べに屈してアランディの1馬身半差3着に敗れた。

この年は4戦1勝の成績ながら、愛セントレジャー・カドラン賞勝ちなど7戦4勝のアランディ、コロネーションC・ロワイヤルオーク賞・ヨークシャーC勝ちなど4戦3勝のアスクの2頭を抑えてカルティエ賞最優秀長距離馬に選ばれた。4年連続でカルティエ賞最優秀長距離馬に選ばれたのは本馬が史上初であり、4年連続でカルティエ賞を受賞したのも本馬のみである。

本馬は並の馬より物理的に大きな心臓と肺を持っており、その心肺機能はずば抜けていたという。また、本馬はハンサムな馬としても有名であり、多くの女性ファンも獲得していたという。

馬名は愛国の画家ジャック・バトラー・イェーツ氏(ノーベル文学賞を受賞した詩人・劇作家のウィリアム・バトラー・イェーツ氏の弟)に因む。

血統

Sadler's Wells Northern Dancer Nearctic Nearco Pharos
Nogara
Lady Angela Hyperion
Sister Sarah
Natalma Native Dancer Polynesian
Geisha
Almahmoud Mahmoud
Arbitrator
Fairy Bridge Bold Reason Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Lalun Djeddah
Be Faithful
Special Forli Aristophanes
Trevisa
Thong Nantallah
Rough Shod
Lyndonville Top Ville High Top Derring-Do Darius
Sipsey Bridge
Camenae ヴィミー
Madrilene
Sega Ville Charlottesville Prince Chevalier
Noorani
La Sega Tantieme
La Danse
Diamond Land Sparkler Hard Tack Hard Sauce
Cowes
Diamond Spur Preciptic
Diamond Princess
Canaan Santa Claus Chamossaire
Aunt Clara
Rustic Bridge Bois Roussel
Wyn

サドラーズウェルズは当馬の項を参照。

母リンドンヴィルは現役成績3戦1勝。母としては本馬の半兄で外国産馬として日本で走ったツクバシンフォニー(父デインヒル)【エプソムC(GⅢ)・2着NHKマイルC(GⅠ)】、半兄スールシャール(父デインヒル)【ロイヤルホイップS(愛GⅡ)】なども産んでいる。リンドンヴィルの半姉サハラブリーズ(父エラマナムー)の子には、アルカザー【ロワイヤルオーク賞(仏GⅠ)・ケルゴルレイ賞(仏GⅡ)・サガロS(英GⅢ)】とレディオブチャド【マルセルブサック賞(仏GⅠ)・アスタルテ賞(仏GⅡ)・グロット賞(仏GⅢ)】がいる。リンドンヴィルの祖母の半姉にはカンテロ【英セントレジャー(英GⅠ)】がおり、他にも母系からは長距離戦の活躍馬が多く出ているなど、全体的にスタミナ色の強い牝系である。→牝系:F1号族④

母父トップヴィルは当馬の項を参照。

父サドラーズウェルズ、母父トップヴィルという組み合わせはモンジューと同じである。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は、愛国クールモアスタッドで種牡馬入りした。種付け料は9千ユーロに設定されている。初年度産駒は2013年にデビューしているが、これまでのところ活躍馬は出ていない。

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