ウインドインハーヘア

和名:ウインドインハーヘア

英名:Wind in Her Hair

1991年生

鹿毛

父:アルザオ

母:バークレアー

母父:バステッド

七冠馬ディープインパクトの母は妊娠中にGⅠ競走を優勝した肝っ玉母さん

競走成績:2~4歳時に英愛独で走り通算成績13戦3勝2着4回3着2回

誕生からデビュー前まで

米国の大馬主ロバート・サングスター氏が愛国に所有するスウェッテンハムスタッドと、名馬ジェネラスを生産した愛国バロンズタウンスタッドの共同生産馬で、クールモアグループの所有馬として英国ジョン・W・ヒルズ調教師に預けられた。

競走生活(2歳時)

2歳8月にグッドウッド競馬場で行われた芝7ハロンの未勝利ステークスで、ダリル・ホランド騎手を鞍上にデビューした。このレースは、ジョン・ゴスデン厩舎所属のザマと、ヘンリー・セシル厩舎所属のステイトクリスタル(後のランカシャーオークス勝ち馬)の2頭による一騎打ちムードであり、本馬は単勝オッズ9倍の3番人気だった。レースでは馬群の中団につけて、残り2ハロン地点からスパートを開始。逃げるザマに猛然と迫ったが、短頭差及ばず2着に敗れた。

1か月後にはニューマーケット競馬場で行われたタタソールズホートンセールズ条件S(T7F)に出走。ここで主戦となるリチャード・ヒルズ騎手と初コンビを組んだ。単勝オッズ2.75倍の1番人気だった後のクイーンアンS・ヴィットリオディカプア賞勝ち馬ニコロットや、単勝オッズ6.5倍の2番人気だったロウザーS勝ち馬ベルベットムーン(ドバイワールドC馬ムーンバラッドの母)など、既に勝ち上がった馬達が対戦相手であり、ここでは単勝オッズ21倍の6番人気に留まった。レースでもゴール前でそれなりに伸びてきたものの、フモディロンドラの4馬身差11着に敗れ、2歳時は2戦未勝利に終わった。

競走生活(3歳時)

3歳時は4月にニューマーケット競馬場で行われた、英オークスの前哨戦であるリステッド競走プリティポリーS(T10F)から始動。ここでは単勝オッズ3.25倍の1番人気に支持された。スタートから最後方に陣取ると、残り2ハロン地点から鋭く追い込み、2着ヴィーシュダンに1馬身3/4差で勝利を収めた。

次走のリステッド競走ニューベリーフィリーズトライアルS(T10F6Y)では、単勝オッズ1.62倍の1番人気に支持された。今回は馬群の好位を追走し、直線では馬群の隙間から抜け出して2着ベアオールに1馬身1/4差で勝利。これで英オークスの有力候補として浮上した。

そして迎えた英オークス(英GⅠ・T12F10Y)では、フレッドダーリンSの勝ち馬バラクシーが単勝オッズ3倍の1番人気に支持され、仏国でヴァントー賞を勝って参戦してきたボナッシュが単勝オッズ4倍の2番人気、前走の英1000ギニーで2着したバランシーンが単勝オッズ7倍の3番人気で、本馬は単勝オッズ8倍の4番人気だった。スタートから馬群のやや後方でレースを進めた本馬は、直線入り口7番手から追い上げてきたが、先に抜け出したバランシーンには及ばず、2馬身半差の2着に敗れた。勝ったバランシーンは次走の愛ダービーで牡馬を蹴散らして圧勝する実力の持ち主であり、これは相手が悪かったと言えるかも知れない。

そのバランシーンが愛ダービーに向かったために不在だった次走の愛オークス(愛GⅠ・T12F)では、リブルスデールSを5馬身差で圧勝してきた英オークス不参戦のボラスが単勝オッズ3.5倍の1番人気に支持され、本馬が単勝オッズ4倍の2番人気、前走の仏オークスでイーストオブザムーンの2着してきたハーレディシップが単勝オッズ6.5倍の3番人気となっていた。ここでも馬群の中団後方を進み、直線入り口6番手から追い上げたが、今ひとつ伸びずに、ボラスの5馬身差4着と完敗した。

続いて出走したナッソーS(英GⅡ・T10F)では、愛オークス2着馬ハワジスと並んで単勝オッズ5倍の1番人気に支持された。ここでも馬群の後方につけ、6番手で直線に入ってきたが、ここから伸びずに、ハワジスの7馬身半差5着に沈んだ。

秋は牝馬限定の英セントレジャー(ただし古馬混合戦)とでも言うべきパークヒルS(英GⅢ・T14F132Y)に出走した。セントサイモンSの勝ち馬キサンガ(英セントレジャー馬ミランの母)が単勝オッズ4倍の1番人気で、本馬は単勝オッズ4.5倍の2番人気に推された。今回は逃げ馬を見るように先行して、残り3ハロン地点で仕掛けた。しかしここから粘る事ができずに、コイガッハの7馬身差4着に敗退。3歳時を6戦2勝の成績で終えた。

競走生活(4歳時)

4歳になった本馬は繁殖入りし、5月にアラジと交配して妊娠した。しかし妊娠中のまま本馬は現役を続行した(日本ではまずあり得ないが、海外では時々あるという)。

5月末にニューベリー競馬場で行われたエルミタージュ条件S(T10F6Y)から始動した。ここでは単勝オッズ5.5倍の3番人気だった。今回も先行策を採り、残り3ハロン地点で仕掛けたが、もうひとつ粘り切れずに、勝ったキャピアスから3馬身差の3着に敗れた。

次走のハードウィックS(英GⅡ・T12F)では、伊ダービー馬タイムスターや、オーモンドSを勝ってきたジルザルザマーンなどが対戦相手となり、本馬は単勝オッズ6.5倍の4番人気だった。ここでは後方待機策に戻し、直線殿一気の末脚に賭けたが、出遅れて無理矢理先行して失速したタイムスター1頭だけしか抜く事が出来ずに、ボーチャンプヒーローの11馬身差5着に敗れた。

7月にニューマーケット競馬場で行われたサンクトペテルブルク条件S(T12F)が次走となった。後にセプテンバーSに勝利する英国ハンデ競走の有力馬ブルージが単勝オッズ2.2倍の1番人気で、本馬は単勝オッズ2.75倍の2番人気だった。鞍上のヒルズ騎手は敗戦続きの本馬を何とかしようと色々考えていたらしく、ここではスタートから逃げを打つ作戦に出た。この作戦が嵌って久々に勝利を挙げるかと思われたゴール寸前、左側によれたところを、最後方から突っ込んできたブルージにかわされて頭差2着に敗れてしまった。

翌8月には、独国に遠征してアラルポカル(独GⅠ・T2400m)に参戦した。当時の独国最強馬ランドや後のバーデン大賞勝ち馬ジャーマニーは不在だったが、地元独国ではランドと並ぶ双璧だったアラルポカル・オイロパ賞2連覇・ヘルティー大賞・ゲルリング賞2連覇・ハンザ賞勝ちのモンズーン、メルクフィンク銀行賞・独2000ギニー・ウニオンレネン・メルセデスベンツ大賞などを勝っていたコルナド、同年のウニオンレネン勝ち馬ルクロワ、ゲルリング賞勝ち馬プロテクトールなど、独国を代表する実力馬達が対戦相手となった。本馬は単勝オッズ13.8倍で7頭立ての5番人気という伏兵だった。レースで本馬は中団好位を追走し、最終コーナーでは外側に持ち出した。そして先行して失速したモンズーンをかわすと、そのまま外埒沿いをひた走り、追い込んできたルクロワに2馬身差をつけて快勝し、妊娠中にGⅠ競走制覇という世にも稀な記録を打ち立てた。

この僅か10日後には英国に戻ってヨークシャーオークス(英GⅠ・T11F195Y)に出走。このレースでは、愛オークスを勝ち英オークスで3着だったピュアグレインが単勝オッズ2.1倍という頭ひとつ抜けた1番人気となっており、本馬を含む4頭が単勝オッズ8倍の2番人気で並ぶ状況だった。ここでも馬群の中団好位を進み、直線で追い上げてきたが、先行して抜け出したピュアグレインと、逃げた最低人気馬マジカルリトリートの2頭に届かず、ピュアグレインの2馬身差3着までだった。

このレースを最後に4歳時5戦1勝の成績で正式に競走馬を引退した。馬名を直訳すると「彼女の髪を通り過ぎる風」である。

血統

Alzao Lyphard Northern Dancer Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Goofed Court Martial Fair Trial
Instantaneous
Barra Formor
La Favorite
Lady Rebecca Sir Ivor Sir Gaylord Turn-to
Somethingroyal
Attica Mr. Trouble
Athenia
Pocahontas Roman Sir Gallahad
Buckup
How Princequillo
The Squaw
Burghclere Busted Crepello Donatello Blenheim
Delleana
Crepuscule Mieuxce
Red Sunset
Sans le Sou ヴィミー Wild Risk
Mimi
Martial Loan Court Martial
Loan
Highclere Queen's Hussar March Past Petition
Marcelette
Jojo Vilmorin
Fairy Jane
Highlight Borealis Brumeux
Aurora
Hypericum Hyperion
Feola

父アルザオはリファールの直子で、2~4歳時に英仏伊で走り通算成績12戦4勝2着2回3着1回。2歳時に2戦2勝と活躍したが、3歳になると不振に陥ってほとんど活躍できず。唯一の勝ち星がリステッド競走マッチェム賞で、ほかにはラクープドメゾンラフィット(仏GⅢ)で2着したのが目立つ程度。生涯唯一のGⅠ競走出走となった英チャンピオンS(英GⅠ)ではコーモラントウッドの8着に終わっている。3歳時の成績は6戦1勝。4歳になって3戦目にようやくエリントン賞(伊GⅢ)を制したのが結局唯一のグループ競走勝ちということになった。4歳時は4戦1勝の成績で現役を引退。主戦が名手キャッシュ・アスムッセン騎手だった点からすると期待はされていたようだが、競走馬として大成したとは言い難い。

競走馬引退後は愛国ラズベリースタッドで種牡馬入りを果たしたものの、主な勝ち鞍が伊国のGⅢ競走だけにほとんど期待されていなかったようである。ところが初年度産駒からチェヴァリーパークS勝ち馬パスザピースを出すなど順調に活躍馬を輩出。名種牡馬として評価されるようになり、供用場所もクールモアスタッドに変わり、豪州にもシャトルされた。1998年にはアルボラーダ、シャントゥーシュ、ウィノナなどの活躍により、英愛種牡馬ランキングでサドラーズウェルズに次ぐ2位となった。2005年には産駒のステークスウィナーの頭数が100頭を超えた。2006年に高齢のため種牡馬を引退した。牡駒の活躍馬もいないわけではないが、牝駒の活躍が目立っており、繁殖牝馬の父としての成績も優秀である。

母バークレアーは現役成績6戦1勝、リブルスデールS(英GⅡ)で4着したのが目立つ程度だった。しかし血統的には非常に優秀。バークレアーの母ハイクレアは英1000ギニー(英GⅠ)・仏オークス(仏GⅠ)を勝ち、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS(英GⅠ)で世界的女傑ダリアの1馬身差2着した名牝。バークレアーの半兄には本邦輸入種牡馬ミルフォード(父ミルリーフ)【プリンセスオブウェールズS(英GⅡ)・ホワイトローズS(英GⅢ)・リングフィールドダービートライアルS(英GⅢ)】、半妹にはハイトオブファッション(父バスティノ)【プリンセスオブウェールズS(英GⅡ)・メイヒルS(英GⅢ)・フィリーズマイル(英GⅢ)】がいる。ハイトオブファッションの子にはアルワスミ【ジョンポーターS(英GⅢ)】、アンフワイン【プリンセスオブウェールズS(英GⅡ)・ジョッキークラブS(英GⅡ)・チェスターヴァーズ(英GⅢ)・ジョンポーターS(英GⅢ)】、ナシュワン【英2000ギニー(英GⅠ)・英ダービー(英GⅠ)・エクリプスS(英GⅠ)・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS(英GⅠ)】、ネイエフ【英チャンピオンS(英GⅠ)・ドバイシーマクラシック(首GⅠ)・英国際S(英GⅠ)・プリンスオブウェールズS(英GⅠ)・ローズオブランカスターS(英GⅢ)・セレクトS(英GⅢ)・カンバーランドロッジS(英GⅢ)】、孫にはガナーティ【英1000ギニー(英GⅠ)・コロネーションS(英GⅠ)】、曾孫にはラフドゥード【BCフィリー&メアターフ(米GⅠ)・フラワーボウル招待S(米GⅠ)】がいる。また、バークレアーの半妹ハイブロウ(父シャーリーハイツ)の子にはブループリント【ジョッキークラブS(英GⅡ)・サンルイレイH(米GⅡ)・サンセットH(米GⅡ)】、孫にはアスク【コロネーションC(英GⅠ)・ロワイヤルオーク賞(仏GⅠ)】がいるし、バークレアーの半妹ウィリートリック(父クレヴァートリック)の子にはエレガントファッション【香港ダービー】がいる。バークレアーの子には本馬の半姉カポディモンテ(父ファイナルストロー)【ヴァインランドH(米GⅢ)】がいる他、本馬の半姉インヴァイト(父ビーマイゲスト)の子に日本で走ったウインクリューガー【NHKマイルC(GⅠ)・アーリントンC(GⅢ)】が、孫にソリッドプラチナム【マーメイドS(GⅢ)】がいる。→牝系:F2号族②

母父バステッドは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は愛国クールモアスタッドで繁殖入りした。5歳時にはアラルポカルに勝った時にお腹にいた初子の牝駒グリントインハーアイ(父アラジ)を産んだ。グリントインハーアイは7戦未勝利に終わった。

6歳時には2番子の牝駒ヴェイルオブアヴァロン(父サンダーガルチ)を産んだ。ヴェイルオブアヴァロンは現役成績19戦7勝。当初は英国を中心に走っていたが4歳時に米国に移籍してデラローズH(米GⅢ)に勝利した。

7歳時には3番子の牝駒レディブロンド(父シーキングザゴールド)を産んだ。レディブロンドは外国産馬として日本で走り、5戦無敗で挑んだスプリンターズS(GⅠ)でデュランダルの4着したのを最後に6戦5勝で引退した。

8歳時には4番子の牝駒スターズインハーアイズ(父ウッドマン)を産んだ。スターズインハーアイズは10戦未勝利に終わった。

スターズインハーアイズを産んだ後にクールモアスタッドは本馬を売却に出した。その理由は、この頃に走っていた初子のグリントインハーアイが全く活躍しなかったため、早々に見切りをつけられてしまったからだった。そして本馬は、愛国のサラブレッドエージェンシーであるジョン・マコーマック氏(シンコウフォレストやタップダンスシチーが日本に来た仕掛け人でもあった)の仲介により、日本のノーザンファームに購入され、9歳時の2000年からノーザンファームで繁殖生活を送ることになった。

日本に到着した本馬は5番子の牝駒ライクザウインド(父デインヒル)を産んだ。ライクザウインドは日本で走ったが、4戦未勝利に終わった。

翌10歳時には初の牡駒となる6番子ブラックタイド(父サンデーサイレンス)を産んだ。ブラックタイドはスプリングS(GⅡ)・若駒Sを勝ち、きさらぎ賞(GⅢ)で2着して、皐月賞(GⅠ)では2番人気に推されたがダイワメジャーの16着に敗れた。その後は勝ち鞍を挙げられないまま通算22戦3勝の成績で引退した。

11歳時には7番子の牡駒ディープインパクト(父サンデーサイレンス)を産んだ。ディープインパクトの競走成績に関しては今更書く必要も無いだろうが一応は記載すると、現役成績は14戦12勝。皐月賞(GⅠ)・東京優駿(GⅠ)・菊花賞(GⅠ)・天皇賞春(GⅠ)・宝塚記念(GⅠ)・ジャパンC(GⅠ)・有馬記念(GⅠ)・弥生賞(GⅡ)・神戸新聞杯(GⅡ)・阪神大賞典(GⅡ)を勝ち、シンボリルドルフ以来史上2頭目となる無敗の中央競馬牡馬クラシック三冠馬となり、2度の中央競馬年度代表馬に選ばれ、後に顕彰馬にも選出されている。本馬の名前は「妊娠中にGⅠ競走を勝った馬」としてディープインパクトの登場以前から一部で知られていた(筆者もディープインパクトの登場より前に本馬の存在は認識していた)が、これで本馬は「ディープインパクトの母」として日本の競馬ファンなら知らぬ者は無いほどの知名度を獲得したのだった。

12歳時には8番子の牡駒オンファイア(父サンデーサイレンス)を産んだ。オンファイアは現役成績3戦1勝、東京スポーツ杯2歳S(GⅢ)で3着したが屈腱炎を発症したためそのまま引退した。

13歳時には9番子の牡駒ニュービギニング(父アグネスタキオン)を産んだ。ニュービギニングの父がサンデーサイレンスではないのは、この一昨年2002年にサンデーサイレンスが他界したためである。ニュービギニングは現役成績39戦3勝、オープン特別のホープフルSを勝っているが、重賞では毎日杯(GⅢ)の3着が最高成績だった。

14歳時には10番子の牝駒ヴェルザンディ(父アグネスタキオン)を産んだ。ヴェルザンディは11戦2勝の成績に終わった。15歳時には11番子の牝駒ランズエッジ(父ダンスインザダーク)を産んだ。ランズエッジは8戦未勝利に終わった。

ここまでは毎年のように子を産んできた本馬だが、16・17歳時には産駒がいなかった。18歳時には12番子の牡駒トーセンロレンス(父ダイワメジャー)を産んだ。トーセンロレンスは不出走に終わった。

19歳時には13番子の牝駒トーセンソレイユ(父ネオユニヴァース)を産んだ。トーセンソレイユは現役成績18戦3勝、オープン特別エルフィンSを勝利して牝馬三冠路線にも皆勤したが全て着外に敗れた。

20歳時には14番子の牡駒モンドシャルナ(父ネオユニヴァース)を産んだ。モンドシャルナは15戦2勝に終わった。

21歳時には15番子の牝駒レスペランス(父キングカメハメハ)を産んだ。レスペランスは不出走に終わった。

そしてこの2012年をもって本馬は繁殖牝馬を引退。現在はノーザンホースパークで、自身とはまったく無関係の子馬の面倒を見る(本馬はとても面倒見が良い馬らしい)などして余生を送っている。ノーザンホースパークを本馬目当てで訪れるファンは今でも多いという。

後世に与えた影響

なお、ディープインパクトの活躍を受けて、本馬が海外に残してきた牝駒も全て日本に輸入されて繁殖入りしている。そして本馬の娘達も繁殖牝馬として活躍している。グリントインハーアイは海外でジェレミー【ベットフレッドマイルS(英GⅡ)・ジャージーS(英GⅢ)】を産んでいる。ヴェイルオブアヴァロンは、野路菊S・カシオペアS・都大路Sとオープン特別3勝のリルダヴァルを産んでいる。レディブロンドは、ゴルトブリッツ【帝王賞(GⅠ)・アンタレスS(GⅢ)2回・マーキュリーC(GⅢ)】を産んでいる。スターズインハーアイズは、オープン特別若駒Sを勝ったアインラクスを産んでいる。今後は優秀な牝系が本馬から派生することにも期待がかかっている。

また、本馬の息子達もまた種牡馬として活躍している。2012年から3年連続で全日本首位種牡馬となったディープインパクトは言うまでも無いが、ブラックタイドやオンファイアも、ディープインパクトと全く同じ血統という点が評価されて人気種牡馬となっており、いずれも重賞勝ち馬を輩出している。特にブラックタイドは2015年の菊花賞馬キタサンブラックを出し、競走馬としては果たせなかったGⅠ競走制覇を種牡馬として果たした。

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