リローンチ

和名:リローンチ

英名:Relaunch

1976年生

芦毛

父:インリアリティ

母:フォギーノート

母父:ジアックス

レベルが低い米国芝のGⅢ競走を2勝した程度の競走成績に反して種牡馬として成功し貴重なマンノウォー直系の救世主となった異流血脈の塊

競走成績:2~4歳時に米で走り通算成績18戦5勝2着5回3着4回

誕生からデビュー前まで

米国スリーチムニーズファームとテイラーメイドファームにより共同生産されたケンタッキー州産馬で、米国の事業家兼馬産家だったレオナルド・H・ラヴァン氏がフロリダ州に所有していたグレンヒルファームの所有馬となり、米国ジョン・H・アダムス調教師に預けられた。

競走生活(2・3歳時)

2歳9月にデルマー競馬場で行われたダート6ハロンの未勝利戦でデビューしたが6馬身半差の3着に敗れ、2歳時の出走はこれだけだった。

3歳時は7月に復帰し、ハリウッドパーク競馬場で行われたダート6ハロンの未勝利戦を1馬身3/4差で勝ち上がった。その後は地元米国西海岸でしばらく芝路線を進む。8月に出走したデルマー競馬場芝8.5ハロンの一般競走を5馬身差で圧勝。1週間後に出たラホヤマイルS(GⅢ・T8F)では、サンフェリペS・サンタカタリナSの勝ち馬ポールポジションが出走してきた。しかし本馬が2着ハイアニスポートに2馬身差で勝利を収め、ポールポジションは3着だった。さらに2週間後に出たデルマーダービー(GⅢ・T9F)でも、再びポールポジションを3着に下し、2着カマリイキングに4馬身半差で圧勝した。

しかし一息入れて出走した10月のヴォランテH(GⅢ・T9F)では、ラホヤマイルSから直行してきたハイアニスポート、後のイングルウッドHの勝ち馬レッドクレッセントの2頭に後れを取り、勝ったハイアニスポートから4馬身差の3着に敗れてしまった。そのためか次に出走したのは、ダート競走のアリバイH(D8.5F)だった。しかし今回もハイアニスポート、レッドクレッセントに屈して、勝ったハイアニスポートから15馬身半差もつけられた4着最下位に惨敗した。3歳時の成績は6戦4勝だった。

競走生活(4歳前半)

4歳時は1月のサンカルロスH(GⅡ・D7F)から始動した。ここではハンサムネスの2馬身半差2着に敗れたが、カリフォルニアダービー・シネマH・パロスヴェルデスHを勝ちサンタアニタダービー・ウィルロジャーズSで2着していたビューズイーグルには先着した。

そして僅か6日後にはサンフェルナンドS(GⅡ・D9F)に出走した。対戦相手は僅か3頭だったが、その中には、サンタアニタダービー・ハリウッドダービー・デルマーフューチュリティ・ノーフォークS・サニースロープS・サンヴィンセントS・バルボアSを勝っていたフライングパスター、そして、ケンタッキーダービー・プリークネスS・シャンペンS・ローレルフューチュリティ・フロリダダービー・フラミンゴS・ブルーグラスS・マールボロCH・ヘリテージS・メドウランズCH・マリブS・ワールズプレイグラウンドS・ファウンンオブユースS・ヤングアメリカS・ハッチソンSを勝っていた現役米国最強馬スペクタキュラービッドの姿もあった。レースでは本馬がスタートから猛然と先頭を飛ばしたが、後方から上がってきたスペクタキュラービッドに四角でかわされると失速。勝ったスペクタキュラービッドから16馬身半差、2着フライングパスターからも15馬身後方の3着と完敗した(本馬も4着馬には33馬身差をつけていた)。

次走はGⅠ競走初出走となるチャールズHストラブS(米GⅠ・D10F)となった。このレースにも、スペクタキュラービッドとフライングパスターが出走していた。他の出走馬は、スワップスS・シルヴァースクリーンH・サンパスカルH・パターソンH・ラトガーズHの勝ち馬でジェロームH2着のヴァルデスのみで、前走と同じく4頭立てとなった。もともとこのレースはスペクタキュラービッドの1頭しか出走登録がされておらず、単走になる事を恐れたサンタアニタパーク競馬場が他馬陣営に懇願して対戦相手3頭をかき集めたのだという。そしてレースは前走と似たような内容及び結果となり、スタートから大逃げを打った本馬は直線で大きく失速して、1分57秒8という2015年現在も破られていない驚異的な世界レコードで勝ったスペクタキュラービッドから12馬身3/4差をつけられた4着最下位に敗れた。

2戦連続で完敗した本馬だが、さすがに米国競馬史上十指に入る名馬スペクタキュラービッド相手では荷が重かったようである。その後はスペクタキュラービッドを避けるようにレースに出た。まずはサンアントニオS(GⅠ・D9F)に出走。サンカルロスH3着後に一般競走を勝っていたビューズイーグルの3馬身半差2着に入り、カールトンFバークH・サンカルロスH・レイクサイドHを勝ちサンタアニタダービー・サンアントニオS2着・ハリウッドダービー・スワップスS・チャールズHストラブS・サンアントニオS3着の実績があった古豪ダブルディスカウントなどに先着と、まずまずの走りを見せた。

次走はスペクタキュラービッドが2着フライングパスターに5馬身差をつけて勝ったサンタアニタH当日に同じサンタアニタパーク競馬場で行われた芝9ハロンの一般競走となった。スペクタキュラービッドの項に書いたとおり、この日のサンタアニタパーク競馬場は馬場状態が非常に悪かった。本馬は重馬場を大の苦手にしていたわけではないようだが、得意というわけでもなかったようで、ここでは6馬身半差の3着に敗退した。

2週間後のサンルイレイS(GⅠ・T12F)では、サンタアニタH2着から直行してきたフライングパスター、カールトンFバークH・サンルイオビスポHの勝ち馬で前走サンタアニタHでは4着だったシルバーイーグル、オークツリー招待H・ノーフォークSの勝ち馬でサンタアニタダービー2着のバルザック、ラウンドテーブルH・サンガブリエルH・サンマルコスH・ハイアリアターフCに勝っていたジョンヘンリーなどが対戦相手となった。スタートが切られると本馬はいつもどおりに先頭に立って逃げを打った。しかし後方から来たジョンヘンリーに直線でかわされて1馬身半差の2着に敗退。スペクタキュラービッドに代わって米国最強馬の地位に君臨する事になるジョンヘンリーの記念すべきGⅠ競走初勝利の引き立て役となってしまった。

続いて4月のネイティヴダイヴァーH(GⅢ・D8F)に出走した。サンルイレイSでは6着に終わっていたフライングパスターに加えて、サンハシントS・サンヴィンセントSの勝ち馬でカリフォルニアンS2着のリプラント、ジャージーダービー・エイモリーLハスケルH・イリノイダービー・ニューオーリンズH・ネイティヴダイヴァーHとGⅠ競走2勝を含むグレード競走5勝を挙げてサンタアニタダービー2着・ハリウッドダービー・サンアントニオS3着の実績もあったライフズホープも出走してきた。ライフズホープと言えば、エクセラーシアトルスルーが激戦を演じた一昨年のジョッキークラブ金杯で、アファームド陣営がシアトルスルー潰しのラビット役として用意した馬だった。ライフズホープは本馬と同じくスタートから先頭をがんがん飛ばす馬であり、ここでは共倒れとなってしまった。レースはリプラントが勝ち、本馬は5馬身半差の2着、ライフズホープは4着に終わった。

競走生活(4歳後半)

その後はしばらく休養し、夏場のデルマー開催で復帰した。この時期にはスペクタキュラービッドもジョンヘンリーも米国西海岸にいなかったため、本馬を含む他馬勢にとってはチャンスだったし、デルマー競馬場は本馬が前年に一般競走・ラホヤマイルS・デルマーダービーと3連勝した地で験が良かった。まずはデルマー競馬場芝8.5ハロンの一般競走に出走すると、2馬身1/4差で勝利して、前年のデルマーダービー以来11か月ぶりの勝ち星を挙げた。

続いてエディリードH(GⅢ・T9F)に出走した。しかし、センチュリーH・ハリウッド金杯・デルマーフューチュリティの勝ち馬でハリウッド招待H3着のゴーウェストヤングマン、欧州から移籍してきたロイヤルホイップSの勝ち馬ザバート(後にハイアリアターフカップH・センチュリーHとGⅠ競走を2勝)、南アフリカで多くのステークス競走を勝った後に米国に移籍してレイクサイドH・アメリカンHを勝っていたボールドトロピック、サンルイレイS4着後にセンチュリーH・ハリウッド招待H・サンセットHと3戦連続GⅠ競走2着だったバルザックといった有力馬勢が参戦してきた。本馬は健闘したものの、上記4頭全てに差されて、勝ったゴーウェストヤングマンから2馬身1/4差の5着に敗れた。

次走はダート競走のデルマー招待H(GⅡ・D10F)となった。対戦相手は、ゴーウェストヤングマン、前走4着のバルザックなどだった。ここでも本馬は健闘したが、ゴーウェストヤングマンの頭差2着と惜敗した。次走のパターソンH(GⅡ・D9F)では、ジェロームHで2着してきた後の名種牡馬ファピアノなどが対戦相手となった。しかしファピアノが2着と好走する一方で、本馬は勝ったテューナラップから実に26馬身3/4差もつけられた10着最下位に惨敗。このレースを最後に、4歳時11戦1勝の成績で競走馬を引退した。

本馬が挙げた5勝中4勝が芝競走であり、グレード競走2勝もいずれも芝で挙げたものではあったが、ダート競走でもまずまずの走りを見せており、当時の米国芝路線のレベルの低さを考えると、芝とダートのどちらが得意だったとは断定しづらい。ただ、いずれにしてもGⅠ競走勝ちは無く、一線級相手には殆ど通用しなかったから、お世辞にも一流とは言えない競走成績ではあった。

血統

In Reality Intentionally Intent War Relic Man o'War
Friar's Carse
Liz F. Bubbling Over
Weno 
My Recipe Discovery Display
Ariadne
Perlette Percentage
Escarpolette
My Dear Girl Rough'n Tumble Free for All Questionnaire
Panay
Roused Bull Dog
Rude Awakening
Iltis War Relic Man o'War
Friar's Carse
We Hail Balladier
Clonaslee
Foggy Note The Axe Mahmoud Blenheim Blandford
Malva
Mah Mahal Gainsborough
Mumtaz Mahal
Blackball Shut Out Equipoise
Goose Egg
Big Event Blue Larkspur
La Troienne
Silver Song Royal Note Spy Song Balladier
Mata Hari
Penroyal Royal Minstrel
Penelope
Beadah Djeddah Djebel
Djezima
Beauty Spot Bull Dog
Spotted Beauty

インリアリティは当馬の項を参照。

母フォギーノートは現役成績34戦10勝、ロングビーチH(現ゲイムリーS)の勝ち馬。直子の活躍馬は本馬くらいだが、牝系子孫はなかなかの発展を示しており、本馬の全姉ムーングリッターの子にはグリッターマン【フィラデルフィアパークBCH(米GⅢ)】、孫には1992年のエクリプス賞最優秀短距離馬ルビアノ【NYRAマイルH(米GⅠ)・カーターH(米GⅠ)・ヴォスバーグS(米GⅠ)・トムフールS(米GⅡ)・フォアゴーH(米GⅡ)】、曾孫には北米首位種牡馬タピット【ウッドメモリアルS(米GⅠ)】、日本で走ったタイキバカラ【クリスタルC(GⅢ)】、玄孫には2009年のエクリプス賞最優秀3歳牡馬サマーバード【ベルモントS(米GⅠ)・トラヴァーズS(米GⅠ)・ジョッキークラブ金杯(米GⅠ)】、日本で走ったリーダーズボード【ゴールドウィング賞・新春ペガサスC・駿蹄賞】が、本馬の半姉ベルオリーズン(父ヘイルトゥリーズン)の孫にはチャイムズバンド【キングズビショップS(米GⅡ)・フォールハイウェイトH(米GⅡ)】、曾孫にはライフアットテン【オグデンフィップスH(米GⅠ)・ベルデイムS(米GⅠ)】がいる。フォギーノートの半妹レトシネイト(父ライダン)の孫にはゴールデンアクト【加国際CSS(加GⅠ)】がいる。牝系は名種牡馬ベイロナルドの半妹ブラックベルベットからの流れで、米国の歴史的名馬アームドも同じ牝系から出ている。→牝系:F3号族②

母父ジアックスはマームードの直子で、大繁殖牝馬ラトロワンヌの曾孫に当たる。現役成績は38戦15勝で、マンノウォーS・加国際CSS・サンルイレイH・サンマルコスH・ワシントンバースデイH・ニッカボッカーH・ロングアイランドH・アーケイディアHなどを勝っている。

本馬の血統表には現代の主流血脈たるネアルコの血は入っておらず、さらにネアルコの父ファロス、その父ファラリス、その父ポリメラスさえも見当たらない(ポリメラスの父サイリーンはラトロワンヌの母父父の1箇所だけ名前がある)。しかもハイペリオンネイティヴダンサーまでも見当たらない(さすがにセントサイモンの名前は何箇所かにある)。4代父の名前を順に並べると、ウォーレリックマンノウォー系)、ディスカヴァリーフェアプレイ系)、フリーフォーオール(プローディット系)、ウォーレリック、ブレニムブランドフォード系)、シャットアウトドミノ系)、スパイソング(ドミノ系)、ジェダー(トウルビヨン系)となる。まさしく世界の傍流血統の集大成のような血統構成である。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は、米国ケンタッキー州のウィンブルドンファームで種牡馬入りした。母系は比較的優れているとは言え、こんなマイナー血統で下級グレード競走2勝馬でも種牡馬入り出来てしまう米国は凄い(馬産規模が違うから止むを得ないが日本ではまず無理だろう)。しかしもっと凄いのは、種牡馬として成功した本馬だろう。数少ない初年度産駒のスカイウォーカーが1985年のサンタアニタダービーを制して産駒のGⅠ競走初勝利を挙げると、翌1986年にはスカイウォーカーがBCクラシックを制覇。翌1987年には初年度産駒のローンチアペガサスがワイドナーHを、2年目産駒のワクオイトがブルックリンHを制し、相次いでGⅠ競走勝ち馬が出た。その後も活躍馬を出して一躍人気種牡馬となり、貴重なマンノウォー直系を後世に伝える立役者の一頭となった。1996年11月に疝痛のため惜しまれながら20歳で他界したが、サイアーラインは、後継種牡馬シーズティジーからBCクラシック2連覇のティズナウと伸びており、現在でも健闘している。母父としての代表産駒はゴーストザッパーで、本馬の血を引く馬はBCクラシックにおける活躍が目立つ。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1982

Launch a Pegasus

ワイドナーH(米GⅠ)・セミノールH(米GⅡ)・アークラテックスH(米GⅢ)

1982

Skywalker

BCクラシック(米GⅠ)・サンタアニタダービー(米GⅠ)・マーヴィンルロイH(米GⅡ)・ロングエイカーズマイルH(米GⅡ)・サンディエゴH(米GⅢ)

1983

Relasure

シュマンドフェルデュノール賞(仏GⅢ)

1983

Waquoit

ブルックリンH(米GⅠ)2回・ジョッキークラブ金杯(米GⅠ)・マサチューセッツH(米GⅡ)・ミシガンマイル&ワンエイスH(米GⅡ)・ジャマイカH(米GⅢ)

1986

Diane's Girl

ベッツィーロスH(米GⅢ)

1986

Kool Arrival

ラスヴァージネスS(米GⅠ)・ランチョベルナルドH(米GⅢ)

1987

Special Happening

アルキビアデスS(米GⅡ)

1988

Classy Women

ヒルズボローH(米GⅢ)

1988

Good Potential

ソロリティS(米GⅢ)

1988

One Dreamer

BCディスタフ(米GⅠ)・ルイビルBCH(米GⅡ)

1988

Split Run

エクワポイズマイル(米GⅢ)・スウォーンズサンS(米GⅢ)

1989

Gray Cashmere

ターフウェイBCS(米GⅡ)・フォールズシティH(米GⅢ)

1989

Star of the Crop

マリブS(米GⅡ)・ハリウッドプレビューS(米GⅢ)・ロサンゼルスH(米GⅢ)

1990

Afto

レイルバードS(米GⅡ)

1990

Altazarr

ハリウッドジュヴェナイルCSS(米GⅡ)

1990

トーヨーリファール

ニュージーランドトロフィー四歳S(GⅡ)・平安S(GⅢ)・マーチS(GⅢ)

1991

Aucilla

ギャロレットH(米GⅢ)

1991

Canaveral

ウィリアムドナルドシェイファーH(米GⅢ)

1991

Slew Gin Fizz

シェリダンS(米GⅢ)

1993

Bright Launch

サラトガスペシャルS(米GⅡ)

1993

Future Quest

デルマーフューチュリティ(米GⅡ)・ノーフォークS(米GⅡ)

1993

Honour and Glory

メトロポリタンH(米GⅠ)・ブリーダーズフューチュリティS(米GⅡ)・サンラファエルS(米GⅡ)・キングズビショップS(米GⅡ)

1994

エイシンビンセンス

北九州記念(GⅢ)

1995

With Anticipation

ソードダンサー招待H(米GⅠ)2回・マンノウォーS(米GⅠ)2回・ユナイテッドネーションズH(米GⅠ)

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