トスマー

和名:トスマー

英名:Tosmah

1961年生

鹿毛

父:ティムタム

母:コスマー

母父:コズミックボム

アーリントンクラシックSなどで牡馬を蹴散らして勝つなど一流の成績を残し米国競馬の殿堂入りも果たした名種牡馬ヘイローの半姉

競走成績:2~5歳時に米で走り通算成績39戦23勝2着6回3着2回

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州においてユージーン・V・モリ氏により生産され、最初はアンソニー・インベシ氏の、後にニュージャージー州ブライアデールファームの所有馬となった。ジョセフ・W・マーグラー調教師に預けられ、主戦はサム・ブルメティス騎手が務めた。

競走生活(2歳時)

2歳時に競走馬デビュー。アトランティックシティ競馬場で出走したマーメイドS(D6F)では、この年のセリマSの勝ち馬マイカードを10馬身差の2着に破って圧勝。ベルモントパーク競馬場で出走した分割競走アスタリタS(D7F)では、この年のナショナルスタリオンS・ニューカッスルS・ロセンナSの勝ち馬ビューティフルデイを2着に破って勝利。同じくベルモントパーク競馬場で出走したフリゼットS(D8F)では、ビューティフルデイを2着に、この年のソロリティS・ガーデニアSの勝ち馬キャッスルフォーブズを3着に破って勝利した。2歳時の成績は8戦7勝2着1回と優秀なもので、この年の米最優秀2歳牝馬に選ばれた(デイリーレーシングフォームによる選出。全米サラブレッド競馬協会は14戦5勝2着4回3着3回のキャッスルフォーブズを米最優秀2歳牝馬に選出している)。

競走生活(3歳前半)

3歳時は、5月にモンマスパーク競馬場で出走したミスウッドフォードS(D6F)を勝利した。同月にはガーデンステート競馬場でコロニアルH(D6F)に出走して、2着ルックマに1馬身半差で勝利した。6月にワシントンパーク競馬場で出走したウォーレンライトH(D7F)では、この年のスワップスSの勝ち馬カップサイズの2着だったが、1952年から1965年まで続き、かつてはスウォーンズサンラウンドテーブルインテンショナリーといった有力馬も参戦していた同競走史上唯一の牝馬による入着となった。

7月にアケダクト競馬場で出走したリバティーベルH(D6F)では、ファッションS・ポリードルモンドS・ナショナルスタリオンS・アストリアS・ソロリティS・スピナウェイSインターボローH・コレクションHを勝っていた1歳年上の名牝アフェクショネイトリーとの対戦となった。アフェクショネイトリーはニューヨーク州クイーンズ地区にあるアケダクト競馬場を殊のほか得意としていたから“Queen of Queens”の異名を頂戴していたほどだった。しかし結果は本馬が10ポンドのハンデを与えた2着ルックマに2馬身差で勝利を収め、アフェクショネイトリーは本馬から15馬身後方の8着最下位に終わった。

8月のアーリントンクラシックS(D8F)では、対戦相手は全て牡馬だったが、サラナクHの勝ち馬でアメリカンダービー2着のルーテナントスティーヴンズを2馬身半差の2着に破り、1944年のトワイライトティアー、1947年のバットホワイノット以来17年ぶり史上3頭目の同競走牝馬制覇を果たした。本馬の次に牝馬が同競走を勝ったのはちょうど50年後の2014年のイスタンフォードだが、イスタンフォードが勝った時点で同競走はGⅢ競走だった。しかし本馬が勝った当時のアーリントンクラシックSは間違いなく今日のGⅠ競走級であり、本馬の前にもブルーラークスパーギャラントフォックスカヴァルケイドオマハグランヴィルシャルドンシャットアウト、ポンダー、ネイティヴダンサーナシュア、スウォーンズサンなどが勝ち、本馬の翌年にトムロルフ、その翌年にバックパサー、そのまた翌年にドクターファーガーが勝つなど、3歳馬限定競走としては米国三冠競走に次ぐ格を誇っていた。

競走生活(3歳後半)

9月にベルモントパーク競馬場で出走したマスケットH(D8F)では、この年のデラウェアH・スピンスターS・フォールズシティHの勝ち馬である5歳馬オールドハット、ニューカッスルS・マーゲイトHの勝ち馬でモリーピッチャーH2着のスノーシーンなどの古馬12頭が対戦相手となり、3歳馬は本馬のみだった。その分だけ斤量には恵まれたが、それでも2着オールドハットに6馬身差をつけて圧勝したとなると、斤量に恵まれていなくても本馬が勝ったと思わせる内容だった。

同じく9月にアーリントンパーク競馬場で出走したアーリントンメイトロンH(D9F)でも、3歳馬は本馬のみだった。ここでは2着オールドハットに半馬身差をつけて勝利した。同月にアケダクト競馬場で出走したベルデイムS(D9F)では、CCAオークス・モンマスオークス・デラウェアオークス・アラバマSの勝ち馬でケンタッキーオークス・スピンスターS・デラウェアH2着のミスカヴァンディッシュ、この年はエイコーンSを勝ちCCAオークス・モンマスオークスで2着していたキャッスルフォーブズが対戦相手となり、古馬混合戦ではあったが、3歳馬3頭による頂上決戦となった。しかし蓋を開けてみれば本馬の独壇場。2着ミスカヴァンディッシュに4馬身差、3着キャッスルフォーブズにはさらに6馬身差をつけて圧勝してしまった。

10月にはガーデンステート競馬場でステークス競走に続けて出走。クエーカーシティH(D6F)は牡馬相手のレースだったが、1942年に創設された同競走初めての牝馬制覇を果たした。ヴァインランドH(D9F)では、アラバマSの勝ち馬でデラウェアオークス・トップフライトH2着の4歳馬トナの2着だったが、この年のヴァニティH・ビヴァリーHを勝っていた4歳馬スターマギーには先着した。ベッツィーロスS(D6F)では、この年のプライオレスSの勝ち馬ナイリーンワンダーの2着だった。ジャージーベルH(D8.5F)では、後にフィレンツェH・レディーズH・ベッドオローゼズH・デラウェアH・ダイアナH・ヴァインランドHを勝ちトップフライトH・ベルデイムS・レディーズHで2着する同世代の強豪馬スティープルジルを1馬身3/4差の2着に、後にレコードタイムを連発してデラウェアH・ダイアナH・スピンスターSを勝つオープンファイアを3着に破って勝利した。

3歳時は14戦10勝2着3回の成績を残し、この年の米最優秀3歳牝馬・米最優秀ハンデ牝馬に選ばれた(米最優秀ハンデ牝馬はデイリーレーシングフォームによる選出。全米サラブレッド競馬協会はオールドハットを最優秀ハンデ牝馬に選出している)。

競走生活(4歳時)

4歳時は3歳時ほどの勢いがなくなり、ステークス競走の勝利は、2連覇を飾った9月のマスケットH(D8F)のみだった。しかしこのレースでは128ポンドを背負いながらも、同斤量のアフェクショネイトリーを鼻差2着に、ハリウッドオークスの勝ち馬で後にレディーズH・サンタマルガリータ招待H・サンタバーバラH・ベッドオローゼズH2回・シープスヘッドベイH・フィレンツェH・オーキッドH・トップフライトH・デラウェアH・ヴァインランドH・スピンスターSを勝ちまくるストレートディールを3着に破ってのものだった。ヴァインランドH(D9F)では、この年に本格化したスティープルジル、この年のマザーグースSの勝ち馬コーディアリーに続く3着だった。

4歳時の成績は7戦3勝3着1回に留まり、さすがに米最優秀ハンデ牝馬は受賞できなかった(オールドハットとアフェクショネイトリーが同時受賞)。

競走生活(5歳時)

5歳時も現役を続行。2月にハイアリアパーク競馬場で出走したコロンビアナH(D7F)では、後にミスタープロスペクターの母となるゴールドディガーの2着だったが、フリゼットS・ガーデニアS・ナショナルスタリオンS・コリーンS・アストリアS・ファッションSを勝って一昨年の米最優秀2歳牝馬に選ばれていたクイーンエンプレスは3着に抑えた。翌月に同じハイアリアパーク競馬場で出走したブラックヘレンH(D9F)では、前年のプライオレスS・カムリーS・アラバマS・ガゼルH・ベルデイムSを勝ってマザーグースS・CCAオークスでも2着して米最優秀3歳牝馬に選ばれていたワットアトリートの3着だった。4月にボウイー競馬場で出走したバーバラフリッチーH(D7F)では、クイーンエンプレスを2着に、ストレートディールを4着に破って勝利した。

その僅か1週間後に出走したジョンBキャンベルH(D8.5F)では、前年のケンタッキーダービー・サンタアニタダービー・ブルーグラスS・サンヴィンセントSとこの年のサンタアニタHを勝っていたラッキーデボネア、イングルウッドH・ドンHの勝ち馬でガルフストリームパークH・アメリカンH・ウォーレンライトH2着のトロナド、ニューオーリンズHの勝ち馬でドンH2着のジャストアバウトといった強力牡馬勢が対戦相手となった。しかし本馬がジャストアバウトを2着に従えて勝利を収め、1954年に創設された同競走史上初の牝馬制覇を果たした。このレースは2015年現在も続いているが、牝馬の勝利は本馬と1981年のリラクシングの2例しかない。翌5月にはコロニアルH(D8.5F)に出走。一昨年は6ハロンだったこのレースはこの年から距離が伸びていた。しかし同距離のジョンBキャンベルHで牡馬勢を蹴散らしていた本馬には関係なく、同競走2年ぶりの勝利を挙げた。

6月にはアーリントンパーク競馬場でエクワポイズマイルH(D8F)に出走。ここでは1分33秒2という世界レコードで走破したヘッドエヴァー(それよりも後に名馬ダマスカスが宿敵ドクターファーガーを潰すためのラビット役としてのほうが名高いか)の2着に敗れたが、前年のジェロームH・ホーソーンダービー・ベンジャミンフランクリンHの勝ち馬でこの年のチャールズHストラブS・モンマスH・ワシントンパークH・ホーソーン金杯Hなどを勝ってこの年の米最優秀ハンデ牡馬に選ばれるボールドビダーには先着した。1941年に創設されて2015年現在まで続いているエクワポイズマイルHを勝った牝馬は1頭もおらず、2着した牝馬も本馬のみである(3着したのも第1回におけるドッグハウスのみ)。5歳時の成績は10戦3勝2着3回3着1回で、この年を限りに競走馬を引退した。

血統

Tim Tam Tom Fool Menow Pharamond Phalaris
Selene
Alcibiades Supremus
Regal Roman
Gaga Bull Dog Teddy
Plucky Liege
Alpoise Equipoise
Laughing Queen
Two Lea Bull Lea Bull Dog Teddy
Plucky Liege
Rose Leaves Ballot
Colonial
Two Bob The Porter Sweep
Ballet Girl
Blessings Chicle
Mission Bells
Cosmah Cosmic Bomb Pharamond Phalaris Polymelus
Bromus
Selene Chaucer
Serenissima
Banish Fear Blue Larkspur Black Servant
Blossom Time
Herodiade Over There
Herodias
Almahmoud Mahmoud Blenheim Blandford
Malva
Mah Mahal Gainsborough
Mumtaz Mahal
Arbitrator Peace Chance Chance Shot
Peace
Mother Goose  Chicle
Flying Witch

ティムタムは当馬の項を参照。

母コスマーは米で走り30戦9勝2着5回3着2回。アスタリタS・ガーデニアトライアルSを勝ち、ガーデニアS・ページェントS・カゼルHで2着、フリゼットSで3着している。繁殖牝馬としても優秀な成績を残し、本馬の半弟マリボー(父リボー)【ファウンテンオブユースS】、皐月賞馬ハワイアンイメージの父となった半弟ファーザーズイメージ(父スワップス)【シティオブマイアミH】、サンデーサイレンスの父となった半弟ヘイロー(父ヘイルトゥリーズン)【ユナイテッドネーションズH(米GⅠ)・タイダルH(米GⅡ)・ローレンスリアライゼーションS】なども産んだ。

本馬の半姉コスミアー(父オリンピア)の曾孫に日本で走ったサンライフテイオー【スーパーダートダービー】が、本馬の半姉フラミンゴウェイ(父サードブラザー)の玄孫に日本で走ったレッドリヴェール【阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)】が、本馬の半妹ロイヤルマッチ(父ターントゥ)の玄孫に日本で走ったグレイスティアラ【全日本2歳優駿(GⅠ)】などが、本馬の半妹パーフェクタ(父スワップス)の孫にレミグラン【仏2000ギニー(仏GⅠ)・リュパン賞(仏GⅠ)】が、本馬の半妹クイーンスクリー(父リボー)の子にキャノネイド【ケンタッキーダービー(米GⅠ)・グレートアメリカンS(米GⅢ)・ケンタッキージョッキークラブS(米GⅢ)】、サークルホーム【ケンタッキージョッキークラブS(米GⅢ)・ヘリテージS(米GⅢ)】、孫にスティーヴンズオデッセイ【ハリウッドフューチュリティ(米GⅠ)・ドワイヤーS(米GⅠ)】、ロトカ【エイコーンS(米GⅠ)】、曾孫に日本で走ったマンボツイスト【平安S(GⅢ)・名古屋大賞典(GⅢ)・マーチS(GⅢ)】、エリモマキシム【新潟ジャンプS(JGⅢ)】、玄孫世代以降にバルモント【ミドルパークS(英GⅠ)】、エスケンデレヤ【ウッドメモリアルS(英GⅠ)】、セントラルインテリジェンス【トリプルベンドH(米GⅠ)】などが、本馬の半妹ラヴオブラーニング(父ヘイルトゥリーズン)の孫にアニュアルリユニオン【サンタアナH(米GⅠ)】が、本馬の半妹ラデイムデュラック(父ラウンドテーブル)の子にレイクコモ【アングルシーS(愛GⅢ)】、シングルコンバット【アングルシーS(愛GⅢ)】、孫に米国顕彰馬フローレスリー【メイトリアークS(米GⅠ)3回・ビヴァリーヒルズH(米GⅠ)2回・ラモナH(米GⅠ)3回・ビヴァリーDS(米GⅠ)】、ナディア【サンタラリ賞(仏GⅠ)】、曾孫に日本で走ったローマンエンパイア【京成杯(GⅢ)】、コンゴウリキシオー【金鯱賞(GⅡ)・マイラーズC(GⅡ)・きさらぎ賞(GⅢ)・かきつばた記念(GⅢ)】などがいる。

コスマーの母は世界的名牝系の祖アルマームードで、本馬の従兄弟である大種牡馬ノーザンダンサーを筆頭に近親には活躍馬が多数いるが、その詳細はアルマームードの項を参照してほしい。→牝系:F2号族①

母父コズミックボムはファラモンド産駒で、現役成績27戦11勝。ローレンスリアライゼーションS・トレントンH・ディスカヴァリーH・ローマーH・カウディンS・アーリントンフューチュリティSを勝っている。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬はブライアデールファームで繁殖入りした。しかし受胎率が悪く、生涯に残した産駒は僅か4頭だった。そのうちステークスウイナーは3番子の牝駒ラジュデッカ(父ロイヤルアイジェイ)【ニュージャージーフューチュリティS】のみだった。また、牝系子孫を発展させる事も出来なかった。1984年に米国競馬の殿堂入りを果たした後もブライアデールファームで余生を送り、1992年に31歳という高齢で他界した。遺体はブライアデールファームに埋葬された。

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