プリンスジョン
和名:プリンスジョン |
英名:Prince John |
1953年生 |
牡 |
栗毛 |
父:プリンスキロ |
母:ノットアフレイド |
母父:カウントフリート |
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競走馬としては故障のため3歳戦を走る事無く引退となったが、種牡馬として成功し、さらに繁殖牝馬の父として大きな成功を収める |
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競走成績:2歳時に米で走り通算成績9戦3勝2着3回 |
誕生からデビュー前まで
米国ケンタッキー州において、米国の実業家ジョン・ダニエル・ハーツ氏により生産された(生産者名義は彼の妻ファニー・ハーツ夫人となっている)。ハーツ氏は米国におけるタクシーの代名詞とも言えるイエローキャブの創始者にして、本馬の母父でもある米国三冠馬カウントフリートの生産・所有者でもあった。1歳夏のキーンランドセールに出品され、当時米国ケンタッキー州の名門牧場エルメンドルフファームの所有者でもあったニューヨークの衣料品業者マクスウェル・ヘンリー・グルック氏により1万4300ドルで購入され、グルック氏の代理人として本馬をセリで購入したウォルター・A・ケリー調教師に預けられた。
競走生活
2歳時に競走馬デビューすると、10月下旬までに7戦して2勝を挙げた。しかしその2勝はいずれも一般競走であり、サンフォードS(D6F)ではヘッドマンの2着、ワシントンパークフューチュリティ(D6F)では後の米国顕彰馬スウォーンズサンの2着と、ステークス競走では惜しい競馬が続いていた。しかし賞金額15万7918ドルと米国競馬史上最高額となった8戦目のガーデンステートS(D8.5F)では、グランドユニオンホテルS・ユナイテッドステーツホテルSの勝ち馬キャリアボーイ(翌年にベルモントSで2着した後に芝路線に進み、ユナイテッドネーションズHを勝ち、リボーが2連覇を果たした凱旋門賞で4着に入って米最優秀芝馬に選出されている)を2着に、サプリングS・ホープフルSを勝っていた後の米国顕彰馬ニードルズを3着に破って勝利を収め、この段階で翌年のケンタッキーダービーの有力候補に躍り出た。次走のレムセンS(D8.5F)では不良馬場に泣いて、ベルモントフューチュリティS・ピムリコフューチュリティの勝ち馬ネイルの2着だった。
その後はフロリダ州ハイアリアパーク競馬場に向かい、翌年のケンタッキーダービーを目指した調整が開始された矢先に脚を骨折。ケリー師は3か月ほどの休養を経て復帰できるという見解を示したが、症状は彼が思っていたよりも重く、結局はケンタッキーダービーに出るどころかその後は1度も走ることなく競走馬を引退する事になった。
2歳時フリーハンデ(エクスペリメンタルフリーハンデ)の評価は124ポンドで、126ポンドのキャリアボーイ、125ポンドのネイルとニードルズに次ぐ同世代第4位だった。なお、米最優秀2歳牡馬の座はネイルとニードルズが分け合っている。本馬不在の米国三冠競走は、ケンタッキーダービーはニードルズが勝ってファビウスが2着、プリークネスSはファビウスが勝ってニードルズが2着、ベルモントSはニードルズが勝ってキャリアボーイが2着だったが、ここに本馬が加わっていたらどのような結果になっていただろうか。
血統
Princequillo | Prince Rose | Rose Prince | Prince Palatine | Persimmon |
Lady Lightfoot | ||||
Eglantine | Perth | |||
Rose de Mai | ||||
Indolence | Gay Crusader | Bayardo | ||
Gay Laura | ||||
Barrier | Grey Leg | |||
Bar the Way | ||||
Cosquilla | Papyrus | Tracery | Rock Sand | |
Topiary | ||||
Miss Matty | Marcovil | |||
Simonath | ||||
Quick Thought | White Eagle | Gallinule | ||
Merry Gal | ||||
Mindful | Minoru | |||
Noble Martha | ||||
Not Afraid | Count Fleet | Reigh Count | Sunreigh | Sundridge |
Sweet Briar | ||||
Contessina | Count Schomberg | |||
Pitti | ||||
Quickly | Haste | Maintenant | ||
Miss Malaprop | ||||
Stephanie | Stefan the Great | |||
Malachite | ||||
Banish Fear | Blue Larkspur | Black Servant | Black Toney | |
Padula | ||||
Blossom Time | North Star | |||
Vaila | ||||
Herodiade | Over There | Spearmint | ||
Summer Girl | ||||
Herodias | The Tetrarch | |||
Honora |
父プリンスキロは当馬の項を参照。
母ノットアフレイドも本馬と同じくハーツ氏の生産馬だが、競走馬としては不出走に終わった。本馬の全弟にはブレイヴラッド【ディスプレイH】が、本馬の半妹ミスナスルーラ(父ナスルーラ)の孫にジャーゼイロ【愛2000ギニー(愛GⅠ)・サセックスS(英GⅠ)・セントジェームズパレスS(英GⅡ)】とウッドストリーム【チェヴァリーパークS(英GⅠ)・モイグレアスタッドS(愛GⅡ)】が、本馬の半妹ジュリーズチョイス(父アドヴォケイター)の子にグレイトヴァーティクト【ミネルヴ賞(仏GⅢ)】、孫にダーチャ【シドニーC(豪GⅠ)】がいる。
ノットアフレイドの半兄にはヘイローの母父として知られるコズミックボム(父ブレニム)【カウディンS・ローレンスリアライゼーションS・トレントンH・ディスカヴァリーH・ローマーH】、全姉にはフリートリングス【ハリウッドラッシーS】がいる。また、ノットアフレイドの半姉バニッシュ(父カウントギャラハッド)の孫には1963年の米最優秀3歳牝馬ラムチョップ【CCAオークス・モンマスオークス・ガゼルH・スピンスターS・フィレンツェH】、曾孫にはダブルデルタ【アッシュランドS・モリーピッチャーH・マスケットH・ベルデイムS】、牝系子孫には日本で活躍したメイショウモトナリ【スーパーダートダービー(GⅡ)・北海道スプリントC(GⅢ)・名古屋大賞典(GⅢ)・かきつばた記念(GⅢ)】やムガムチュウ【ダービーグランプリ(GⅠ)】などがいる。また、フリートリングスの牝系子孫にはクリスタルウォーター【ハリウッドダービー(米GⅠ)・サンタアニタH(米GⅠ)・カリフォルニアンS(米GⅠ)・ハリウッド金杯(米GⅠ)・オークツリー招待H(米GⅠ)】などがいる。また、ノットアフレイドの全妹パーセプションの牝系子孫には、コディアックカウボーイ【カーターH(米GⅠ)・ヴォスバーグS(米GⅠ)・シガーマイルH(米GⅠ)】などがいる。→牝系:F14号族①
母父カウントフリートは当馬の項を参照。
競走馬引退後
競走馬を引退した本馬はエルメンドルフファームで種牡馬入りした。後にスペンドスリフトファームの所有者レスリー・コムズⅡ世氏に見初められて購入され、スペンドスリフトファームに移動している。種牡馬としても多くの活躍馬を出して成功したが、それ以上に顕著なのが繁殖牝馬の父としての活躍。リヴァーマン、アレッジド、コジーン、ベルモントS勝ち馬サミング、ノーザントリック、パレスミュージック、ブラッシングジョン、それに天皇賞秋を勝ったプリテイキャストや宝塚記念勝ち馬ダンツシアトルなどを送り出し、1979・80・82・86年と4度の北米母父首位種牡馬に輝いた(他にも2位が2回ある)。1979年に26歳で他界し、遺体はスペンドスリフトファームに埋葬された。
本馬の直系子孫は今世紀に入ってから殆ど見かけなくなったが、それでも本馬の血の影響力は未だに大きく、シガー、マカイビーディーヴァ、ロックオブジブラルタル、セクレト、イスタブラク、ドリームウェル、シックスパーフェクションズなどこの名馬列伝集で紹介した多くの馬の血統表にその名をみる事が出来る。そのために米ブラッドホース誌は本馬を「全時代を通じて最も偉大な繁殖牝馬の父の1頭」と賞賛している。
主な産駒一覧
生年 |
産駒名 |
勝ち鞍 |
1958 |
Arbitrage |
サンセットH |
1958 |
Mandate |
ゴールデンゲートH |
1958 |
Speak John |
デルマーダービー |
1960 |
Intervene |
シープスヘッドベイH |
1960 |
Rash Prince |
サンフォードS |
1961 |
Windsor Lady |
デモワゼルS |
1962 |
Fairway Fun |
アルキビアデスS |
1962 |
Selari |
グレイラグH |
1964 |
High Tribute |
ジェロームH |
1964 |
Jean-Pierre |
ロングフェローH |
1965 |
Stage Door Johnny |
ベルモントS・サラナクH・ドワイヤーH |
1966 |
Princess Pout |
シープスヘッドベイH2回・ニューヨークH |
1966 |
ハリウッドパーク招待ターフH・サンセットH・マンノウォーS・ラスパルマスH・サンタモニカH・ロングビーチH・ミレイディH |
|
1967 |
Silent Screen |
アーリントンワシントンフューチュリティ・カウディンS・シャンペンS・サラナクH |
1968 |
Deceit |
エイコーンS・マザーグースS・マッチメイカーS・アスタリタS |
1968 |
Specious |
ローレンスリアライゼーションS |
1970 |
Lilac Hill |
コティリオンH(米GⅠ)・パジャントH(米GⅢ) |
1970 |
Magazine |
CCAオークス(米GⅠ) |
1971 |
Glossary |
セクレタリアトS |
1971 |
Jack Sprat |
ベルモントレキシントンH(米GⅡ) |
1971 |
Protagonist |
シャンペンS(米GⅠ)・ローレルフューチュリティ(米GⅠ)・カウディンS(米GⅡ) |
1972 |
Lefty |
ベイショアS(米GⅢ) |
1973 |
Theologist |
ロングエイカーズマイルH(米GⅢ) |
1974 |
Transworld |
愛セントレジャー(愛GⅠ) |
1977 |
John Casey |
ウエストチェスターH(米GⅢ) |