パラダイスクリーク
和名:パラダイスクリーク |
英名:Paradise Creek |
1989年生 |
牡 |
黒鹿 |
父:アイリッシュリヴァー |
母:ノースオブエデン |
母父:ノースフィールズ |
||
好敵手ルアーとの死闘で揉まれて鍛えられアーリントンミリオンを勝つなど米国芝路線のトップに君臨し、日本でも種牡馬として活躍する |
||||
競走成績:2~5歳時に米日で走り通算成績25戦14勝2着7回3着1回 |
誕生からデビュー前まで
ケンタッキーダービー馬ジェニュインリスクの馬主として知られるバートラム・ファイアストーン夫妻によりケンタッキー州において生産・所有され、米国ウィリアム・I・モット調教師に預けられた。
競走生活(2歳時)
2歳6月にベルモントパーク競馬場で行われた芝7ハロンの未勝利戦で、マイク・スミス騎手を鞍上にデビュー。単勝オッズ4倍の2番人気となった。本馬はあまりスタートが良くなかったが、すぐに好位につけた。そして四角で先頭に立つと、直線では瞬く間に後続馬を突き放し、最後は2着となった単勝オッズ3.9倍の1番人気馬フォーエヴァーファイティングに11馬身差をつけるという鮮烈なデビューを飾った。
次走は8月のホープフルS(米GⅠ・D6.5F)となった。サラトガスペシャルSを勝ってきたコーラーアイディーが単勝オッズ2.2倍の1番人気、トレモントBCSの勝ち馬ソルトレイクが単勝オッズ2.5倍の2番人気、本馬が単勝オッズ4.4倍の3番人気となった。スミス騎手がソルトレイクに騎乗したため、本馬はアンヘル・コルデロ・ジュニア騎手とコンビを組んだ。レースではソルトレイクが快調に逃げ、本馬は馬群の中団後方を追走した。しかし直線ではソルトレイクに全く追いつけず、コーラーアイディーなどとの2着争いにも敗れて、勝ったソルトレイクから9馬身1/4差の4着に完敗。
2歳時は2戦のみで休養入りした。芝で圧勝してダートで大敗した2歳戦の結果を受けて、以降は芝レースに的を絞って出走していくことになる。
競走生活(3歳時)
3歳6月にベルモントパーク競馬場で行われた芝8.5ハロンの一般競走で復帰。クレイグ・ペレット騎手を鞍上に、単勝オッズ2倍の1番人気に支持された。レースでは逃げる単勝オッズ34.4倍の8番人気馬ファミリアフレアを見るように2番手を走った。そして四角で先頭に立つと、直線で抜け出して、2着となった単勝オッズ13.3倍の6番人気馬スカッフルバーグに4馬身差をつけて快勝した。
翌月に同コースで出走した一般競走から、改めてスミス騎手を主戦に迎えた。本馬が単勝オッズ1.5倍の1番人気に支持され、前走の一般競走を9馬身差で勝ってきたニューアイデンティティが単勝オッズ6.2倍の2番人気となった。レースでは単勝オッズ12.1倍の3番人気馬ヴィクトリークロスが逃げて、本馬はやはり2番手を追走した。そして直線に入ってから抜け出す得意戦法で、2着に粘ったヴィクトリークロスに2馬身1/4差をつけて勝利を収めた。
翌8月にはサラトガ競馬場で米国競馬名誉の殿堂博物館S(米GⅡ・T9F)に出走。アメリカンターフSの勝ち馬で後にスーパーダービーを勝つセニョールトーマス、レキシントンSの勝ち馬で後にソードダンサーHを勝つスペクタキュラータイド、パームビーチSの勝ち馬でレキシントンS2着のプリフェレンセス、サラナクSの勝ち馬カジノマジストレイト、ローレルフューチュリティの勝ち馬スマイリングアンドダンシンなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ2.3倍の1番人気、セニョールトーマスが単勝オッズ5.7倍の2番人気、スペクタキュラータイドが単勝オッズ6.5倍の3番人気となった。レースの格が上がっても本馬の走りは変わらず、逃げる単勝オッズ8.3倍の5番人気馬カジノマジストレイトを2番手で追走すると、直線に入ってから抜け出した。さすがに相手も強化されていたために圧勝とはいかなかったが、好位から2着に入った単勝オッズ10.6倍の6番人気馬スマイリングアンドダンシンに1馬身差で勝利した。
翌9月にはセクレタリアトS(米GⅠ・T10F)でGⅠ競走に初挑戦した。アメリカンダービーを勝ってきたザネームズジミー、英国から移籍してきて前走アメリカンダービーで4着していたフリーフライヤー、前走3着のスペクタキュラータイド、加国三冠競走最終戦ブリーダーズSを勝ってきたブリッツァーなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ3.4倍の1番人気、ザネームズジミーが単勝オッズ3.5倍の2番人気、フリーフライヤーが単勝オッズ6.8倍の3番人気となった。スタートが切られると単勝オッズ17.6倍の7番人気馬ガジが逃げを打ち、ザネームズジミーが2番手、本馬が3番手を追走。そして直線に入ると失速するザネームズジミーを尻目に、逃げるガジを追撃した。しかし本馬の斤量123ポンドに対してガジは114ポンドであり、その差が影響して最後まで追いつけず、半馬身差の2着に敗れた。10月にメドウランズ競馬場で出走したパリサデスBCH(T8.5F)でも1番人気に支持されたが、ビッディングプラウドの1馬身差2着に敗れた。
次走はガルフストリームパーク競馬場で行われたBCマイル(米GⅠ・T8F)となった。対戦相手の格は一気に上がり、2歳時にBCジュヴェナイル・仏グランクリテリウム・サラマンドル賞・モルニ賞・ロベールパパン賞・ボワ賞を勝ってカルティエ賞年度代表馬及びエクリプス賞最優秀2歳牡馬に選ばれていたアラジ、クイーンエリザベスⅡ世S・ロッキンジS・セレブレーションマイル・チャレンジSの勝ち馬でサセックスS2着・クイーンエリザベスⅡ世S3着のセルカーク、前走ケルソHで2着してきたゴーサムSの勝ち馬ルアー、セントジェームズパレスS・ガリニュールSの勝ち馬でムーランドロンシャン賞・クイーンエリザベスⅡ世S2着・愛2000ギニー3着のブリーフトゥルース、キーンランドBCSを勝ってきたロータスプール、ジャックルマロワ賞・トーマブリョン賞・エドモンブラン賞・ミュゲ賞の勝ち馬でイスパーン賞3着のイグジットトゥノーウェア、ギシュ賞・フォルス賞・エドモンブラン賞・ミュゲ賞の勝ち馬で前年のBCマイルとイスパーン賞2着のヴァルデボワ、エディリードH2着のリュティエアンシャントゥール、ゴールデンゲートH・ベイメドウズH・サンフランシスコマイルH・オールアメリカンHの勝ち馬フォーティーナイナーデイズ、米国調教馬でありながら欧州に遠征して前年の愛2000ギニーを勝っていたエルクホーンS・バーナードバルークHの勝ち馬フォースターズオールスターなどが出走してきた。
ルアーの主戦もスミス騎手だったため、彼は本馬とルアーのいずれに乗るのか選択を迫られた。結果、スミス騎手はルアーに騎乗する方を選び、本馬にはパット・デイ騎手が騎乗することになった。3歳時は不調に陥っていたが前走ロンポワン賞を勝って復活の兆しを見せたアラジが単勝オッズ2.5倍の1番人気、セルカークが単勝オッズ4.8倍の2番人気、ルアーが単勝オッズ6.4倍の3番人気と続き、本馬は単勝オッズ31.3倍の9番人気という低評価だった。
スタートが切られるとルアーが先頭をひた走り、アラジが3番手でそれを追走、本馬は6番手の好位につけた。そのままの位置取りで直線に入ってきたが、ルアーの刻む快調なペースに無理矢理ついていったアラジを始めとする先行馬勢は直線に入ると次々に脱落。四角で後続を引き離して逃げ込みを図ったルアーに追いすがってきたのは、好位から差してきた本馬と、後方外側から追い込んできたブリーフトゥルースの2頭だった。結局最後まで先頭を譲らなかったルアーがコースレコードを樹立して3馬身差で完勝したが、2着争いは接戦となり、本馬がブリーフトゥルースを首差抑えて2着を確保した。この結果を受けて、本馬の主戦はデイ騎手に変更となった。
その後は米国西海岸に飛び、ハリウッドダービー(米GⅠ・T9F)に出走した。ジャンプラ賞の勝ち馬でパリ大賞2着のキットウッド、ラホヤH・ヴォランテHの勝ち馬ブラックスバーグ、シネマH・スワップスSの勝ち馬ビエンビエン、ヴォランテHで2着してきたシベリアンサマー、仏2000ギニー馬シャンハイなどが対戦相手となった。BCマイルの好走を評価された本馬が前走とは打って変わって単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持され、キットウッドが単勝オッズ6.9倍の2番人気、ブラックスバーグが単勝オッズ7.7倍の3番人気、ビエンビエンが単勝オッズ8.7倍の4番人気となった。スタートが切られるとブラックスバーグが逃げを打ち、本馬はそれを見るように2~3番手を先行した。そして直線で先頭に立ったところに、最後方からの追い込みに賭けたビエンビエンが並びかけてきた。そのまま2頭の叩き合いとなったが、最後は本馬が鼻差競り勝ってGⅠ競走初制覇を遂げた。3歳時は7戦4勝2着3回という安定した成績を残した。
競走生活(4歳時)
4歳時は3月にガルフストリームパーク競馬場で行われた芝8.5ハロンのハンデ競走から始動した。本馬には他馬勢より7~12ポンド重い122ポンドのトップハンデが課されたが、それでも単勝オッズ1.5倍という断然の1番人気に支持された。レースでは逃げる単勝オッズ14.9倍の5番人気馬シルヴァホンダを見るように2~3番手の好位を追走。そして直線に入ると難なく抜け出し、9ポンドのハンデを与えた2着シルヴァホンダに1馬身差で勝利した。
翌月のETターフクラシックH(米GⅢ・T9F)では、4歳初戦の一般競走を楽勝してきたルアー、欧州を主戦場とした前年は不振だったがこの年になってサンガブリエルH・サンマルコスHを勝つなど実力急上昇していた一昨年のBCマイル3着馬スターオブコジーンの2頭が強敵だった。123ポンドのトップハンデだったルアーが単勝オッズ2.1倍の1番人気、同じく123ポンドの本馬が単勝オッズ3.7倍の2番人気、118ポンドのスターオブコジーンが単勝オッズ3.8倍の3番人気という3強対決となった。スタートからやはりルアーが逃げを打ち、本馬が3番手、スターオブコジーンが5番手でそれを追いかけた。しかし直線では本馬が真っ先に遅れてしまい、2着スターオブコジーンを3/4馬身抑えて勝ったルアーから2馬身3/4差の4着に敗退。そして本馬はその後に負傷してしまい、半年近い休養を余儀なくされた。
復帰戦となった10月のケルソH(米GⅢ・T8F)では、ダリルズジョイSを勝ってきたルアーと3度目の対戦となった。しかし本馬の休養中にルアーはスターオブコジーンとETディキシーH・ETマンハッタンH・シーザーズ国際Hの3度戦って(対戦成績はルアーの1勝2敗だったが、3戦ともルアーのほうが斤量は重かった)、その実力に磨きをかけていた。そんなルアーが125ポンドのトップハンデながらも単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持され、120ポンドの本馬と115ポンドのレキシントンSの勝ち馬レッヒが並んで単勝オッズ4倍の2番人気、119ポンドのセントポールダービー・ポーカーS2回・ダリルズジョイH2回などの勝ち馬フォースターデイヴが単勝オッズ10倍の4番人気となった。レースでは本馬はいつもどおり2番手を先行したが、一方のルアーは馬群の中団からの競馬となった。本馬は四角で仕掛けてそのまま押し切ろうとしたが、そこへ後方から来たルアーが並ぶ間もなく本馬を抜き去っていった。結局本馬は3馬身1/4差の2着と完敗してしまった。
その後は西海岸に移動して、サンタアニタパーク競馬場で行われたBCマイル(米GⅠ・T8F)に出走した。対戦相手は、ルアー、メイトリアークS・ビヴァリーヒルズH・ラモナHを全て2連覇して前走ビヴァリーDSも勝ってきたGⅠ競走7勝の名牝フローレスリー、愛2000ギニーの勝ち馬で英2000ギニー・クイーンエリザベスⅡ世S2着のバラシア、フォレ賞・スプリントC・ダイアデムSの勝ち馬ウルフハウンド、ウィルシャーH・ゲイムリーH・アメリカンH・クリテリオンSの勝ち馬トゥソード、サセックスS・クイーンエリザベスⅡ世Sの勝ち馬でジャンプラ賞・パリ大賞2着のビッグストーン、仏1000ギニー・ジャックルマロワ賞・ムーランドロンシャン賞・フォレ賞と4度のGⅠ競走2着があったアスタルテ賞・サンドリンガム賞の勝ち馬スキーパラダイス、リュパン賞・カーネルFWケスターHの勝ち馬でアーリントンミリオン3着のヨハンクアッツ、チャレンジS・ダイアデムSの勝ち馬でスプリントC2着のキャットレイル、前年のBCマイル9着後にニューハンプシャースウィープステークスS・サラトガバドワイザーBCHの勝利を上乗せしていたフォースターズオールスター、前走5着のレッヒなどだった。
2連覇を目指すルアーが単勝オッズ2.3倍の1番人気、フローレスリーが単勝オッズ4.1倍の2番人気で、前年の2着という実績が評価された本馬は単勝オッズ9.2倍で、欧州GⅠ競走の勝ち馬達より上位の3番人気となった。スタートから先頭に立ったルアーにスキーパラダイスやフォースターズオールスターなどが絡んで先頭争いを展開。本馬はフローレスリーと共に4~5番手の好位を追走した。しかし直線に入ると前3頭の背中は遠ざかるばかりで、後方から来た馬達に次々とかわされた。結局は2連覇を果たしたルアーから8馬身差をつけられた8着と大敗してしまった。
そのまま西海岸に留まり、サイテーションH(米GⅡ・T9F)に出走した。BCマイルで7着だったヨハンクアッツ、亜国のGⅠ競走グランクリテリウム大賞を勝った後に米国に移籍して前年のサイテーションHとこの年のジョンヘンリーH・アーケイディアHを勝ちエディリードHで2着・エディリードH・ハリウッドターフHで3着していたレジャーキャット、前走カールトンFバークHで2着してきたメシドール賞の勝ち馬ファンモア、ハリウッドダービーで2着してきたジューンオムなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ3.1倍の1番人気、ヨハンクアッツが単勝オッズ3.7倍の2番人気、レジャーキャットが単勝オッズ5.2倍の3番人気となった。今回の本馬はデビューから初めてスタートからの逃げを打った。そしてそのまま先頭で直線に入ってきたのだが、6ポンドのハンデを与えた単勝オッズ8.9倍の5番人気馬ジューンオムに直線半ばで差されて、2馬身1/4差の2着に敗れた。これが4歳時最後のレースで、この年の成績は4戦1勝に終わった。
競走生活(5歳前半)
5歳時は1月のガルフストリームパーク競馬場から始動。このガルフストリームパーク開催にはルアーが不参加だったため、この開催中だけ本馬の鞍上にはスミス騎手が戻ることになった。
まずはアップルトンH(米GⅢ・T8.5F)に出走。前年のハスケル招待H・パームビーチHの勝ち馬でベルモントS・トラヴァーズS2着・BCクラシック3着のキッシンクリス、前年のBCマイルで3着だったフォースターズオールスター、クリスマスデイH・ブーゲンヴィリアH・マイアミBCC・トロピカルターフHの勝ち馬カルテリスタ、ピーターパンSの勝ち馬ヴァージニアラピッズ、ルイジアナチャンピオンズデイターフSで2着してきたニジンスキーズゴールドなどが主な対戦相手となった。121ポンドの本馬が単勝オッズ2.2倍の1番人気、117ポンドのキッシンクリスが単勝オッズ4.4倍の2番人気、117ポンドのフォースターズオールスターが単勝オッズ4.7倍の3番人気、121ポンドのカルテリスタが単勝オッズ5.8倍の4番人気となった。今回は逃げるカルテリスタを3番手で追いかけるという先行策に戻した。そして直線に入るとあっさりと抜け出して、2着フォースターズオールスターに3馬身差をつけて完勝した。
次走のカナディアンターフH(米GⅡ・T9F)では、一昨年のセクレタリアトSで本馬を破った後に加国際Sで2着していたガジ、前年のセクレタリアトSと一昨年のピリグリムSの勝ち馬アワッド、オハイオダービー・フラミンゴSの勝ち馬フォーエヴァーワール、前走4着のニジンスキーズゴールドなどが対戦相手となった。他馬勢よりも7~16ポンドも重い123ポンドを課せられた本馬が単勝オッズ1.4倍という断然の1番人気に支持され、116ポンドのガジが単勝オッズ4.1倍の2番人気、116ポンドのアワッドが単勝オッズ11.6倍の3番人気となった。レースでは、フォーエヴァーワールとガジを先に行かせて、ここでも本馬は3番手を追走した。そしてやはり直線に入ると悠々と抜け出して、好位から2着に入った単勝オッズ31.8倍の7番人気馬グレンフィディックラッドに3馬身1/4差をつけて勝利した。
このレース後に日本の西山牧場の牧場主である西山正行氏が、本馬の所有権の全てをファイアストーン夫妻から購入し、以降の本馬は西山正行氏の名義で走ることになった。
3月のフォートローダーデールH(T8.5F)では、ギャラントマンSの勝ち馬でガルフストリームパークBCH2着のソシアルレトリー、亜国のGⅠ競走カルロスペレグリーニ大賞とペルーのGⅠ競走ナシオナル大賞アウグストBレギーアを勝っていたペルー出身馬ラレド、アップルトンHで6着に終わっていたカルテリスタ、一昨年のパリサデスBCHで本馬を破った後にクリスマスデイHを勝っていたビッディングプラウド、グレンフィディックラッドなどが対戦相手となった。他馬勢よりも8~13ポンド重い125ポンドを課せられた本馬が単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持され、114ポンドのソシアルレトリーが単勝オッズ4.9倍の2番人気、117ポンドのラレドが単勝オッズ7.4倍の3番人気となった。スタートが切られると単勝オッズ15.4倍の5番人気馬ビッディングプラウドが逃げを打ち、ここでも本馬は逃げ馬を見るように4番手を先行。そして直線でビッディングプラウドに並びかけると、10ポンドのハンデを与えた相手を競り落として3/4馬身差で勝利。勝ちタイム1分39秒3はコースレコードだった。
次走は5月のETターフクラシックH(米GⅡ・T9F)となった。ここには戦線に復帰したルアーも出走していたため、スミス騎手はルアーの鞍上に戻っていき、本馬には再度デイ騎手が騎乗した。本馬の実力もこの年になって急上昇していたが、それでもまだルアーのほうが実力上位と判断されており、ルアーが123ポンドのトップハンデながらも単勝オッズ1.3倍という圧倒的な1番人気に支持され、118ポンドの本馬は単勝オッズ4.3倍の2番人気だった。レースでは単勝オッズ10倍の4番人気だった一昨年のセクレタリアトS7着馬ザネームズジミーがスタートから猛然と先頭を走ったため、ルアーは2~3番手に控えて、本馬はそれを見るように4番手を追走した。そして四角でルアーに並びかけると、直線に入ってから突き放した。最後は2着ルアーに4馬身差をつけて完勝を収め、5度目の対戦で初めてルアーに勝った。
2週間後のETディキシーH(米GⅡ・T9F)でも、本馬とルアーは激突。今回は2頭とも124ポンドのトップハンデであり、斤量差無しのガチンコ勝負となった。ルアーが単勝オッズ1.5倍の1番人気、本馬が単勝オッズ2.3倍の2番人気で、3番人気のグレーヴセンドHの勝ち馬アストゥディージョは単勝オッズ16倍という、完全な2強対決となった。レースではアストゥディージョがルアーに競り掛けて先頭に立ち、本馬は少し離れた3番手を追走。直線入り口でルアーが先頭に立ったところに本馬が並びかけて、予想どおりこの2頭の一騎打ちとなった。そして最後は本馬が3/4馬身差で勝利を収め、これで本馬の実力はルアーと肩を並べるところまで来ている事を証明した。
次走のETマンハッタンH(米GⅠ・T10F)には、ルアーは不出走であり、マンノウォーS2回・ターフクラシック招待S・ヒルプリンスS・レキシントンS・サラトガバドワイザーBCHとGⅠ競走3勝を含むグレード競走6勝を挙げターフクラシック招待S2着もあったソーラースプレンダー、ニッカボッカーHの勝ち馬バイナリーライト、同じくニッカボッカーHの勝ち馬で一昨年のハリウッドダービーでは本馬の7着に敗れ去っていたリヴァーマジェスティー、アストゥディージョなどが主な対戦相手となった。他馬勢より実に11~12ポンドも重い124ポンドのトップハンデを課された本馬が単勝オッズ1.3倍の1番人気に支持され、いずれも112ポンドのソーラースプレンダーとバイナリーライトのカップリングが単勝オッズ5.9倍の2番人気、113ポンドのリヴァーマジェスティーが単勝オッズ7.7倍の3番人気となった。今回もアストゥディージョがスタートから先頭に立ち、本馬は2番手を追走。しかしアストゥディージョがかなり早い段階で失速したために、向こう正面で本馬が先頭に押し出された。しかしそんな事はお構いなしに先頭を走り続けた本馬が、2着ソーラースプレンダーに6馬身3/4差をつけて圧勝を収め、ハリウッドダービー以来のGⅠ競走2勝目を挙げた。
競走生活(5歳後半)
8月のバーナードバルークH(米GⅡ・T9F)では、再度ルアーと対戦。今回は本馬が126ポンドの単独トップハンデで、ルアーは125ポンドであり、ハンデキャッパーはルアーより本馬を上位と見た。この1ポンドの斤量差が影響したのか、ルアーが単勝オッズ2倍の1番人気で、本馬が単勝オッズ2.1倍の2番人気となり、単勝オッズ5.7倍の3番人気に昨年のケルソHで9着だった114ポンドのフォースターデイヴが続いた。スタートが切られるとフォースターデイヴが先頭に立ち、アストゥディージョが2番手、ルアーが3番手、本馬が4番手となった。そして四角で先頭に立ったルアーに外側から本馬が並びかけて、ここでも2頭の一騎打ちとなった。しかし今回はルアーが意地を見せて勝利を収め、本馬は1馬身差の2着に敗れた。
これが本馬とルアーの最後の対戦となり、対戦成績は本馬の2勝5敗と完敗だったが、強豪ルアーとの対戦で揉まれた本馬が実力を伸ばしていったのは確かだろう。
次走のアーリントンミリオン(米GⅠ・T10F)では、前年にルアーを破ってマンハッタンH・シーザーズ国際Hを勝った後にアーリントンミリオン・マンノウォーSを勝っていたスターオブコジーン、愛チャンピオンS・伊共和国大統領賞・プリンスオブウェールズSの勝ち馬でイスパーン賞・サンクルー大賞・英国際S2着のムータラム、ゴールデンゲートH・ソードダンサー招待Hを連勝してきたアレックスザグレート、前年のサイテーションH4着後にサンルイオビスポH・アーリントンHを勝ちハリウッド金杯で2着していたファンモア、ミラノ大賞・ジャンドショードネイ賞・エドヴィル賞の勝ち馬でミラノ大賞・伊ジョッキークラブ大賞2着のプティループ、エクワポイズマイル・スウォーンズサンSの勝ち馬スプリットラン、前年のサイテーションHと前走のエディリードHで3着していたヨハンクアッツなどが対戦相手となった。この年になって不調のスターオブコジーンは評価をすっかり落としており、単勝オッズ15.1倍の7番人気だった。本馬が単勝オッズ2.8倍の1番人気、ムータラムが単勝オッズ4.8倍の2番人気、アレックスザグレートが単勝オッズ7.4倍の3番人気、ファンモアが単勝オッズ8倍の4番人気だった。
スタートが切られると、ファンモアが単騎逃げに持ち込み、ムータラムが2番手、スタートが今ひとつだった本馬は6番手、アレックスザグレートと武豊騎手騎乗のスターオブコジーンは最後方につけた。ほぼそのままの位置取りで直線に入ると、本馬がファンモアに並びかけて叩き合いに持ち込んだ。そしてルアーとの激戦で鍛えられた闘争心を如何なく発揮した本馬が3/4馬身差で勝利を収めた。
その後は10月のワシントンDC国際S(米GⅠ・T10F)に向かった。ガネー賞・アルクール賞・ヴィシー大賞・アンドレバボワン賞などの勝ち馬でイスパーン賞3着のマリルド、キングエドワードⅦ世S・スコティッシュクラシックの勝ち馬ベネフィシャル、一昨年の同競走に加えてイスパーン賞・愛国際S・ロジャーズ金杯・ロンポワン賞・スコティッシュクラシックを勝ち仏2000ギニー2着・ヴィットリオディカプア賞・イスパーン賞・ローマ賞3着のゾーマン、ダマスカスHを勝ってきたレッドコール、前年の同競走2着馬メリーランドムーン、ボーリンググリーンHの勝ち馬タークパサーなどが対戦相手となったが、もはや本馬を脅かせそうな馬はおらず、本馬が単勝オッズ1.2倍という圧倒的な1番人気に支持され、単勝オッズ10.2倍の2番人気がマリルドだった。そしてレースでも人気と同様に他馬との圧倒的な実力差を見せつけ、馬群の中団後方追走から三角で一気に先頭に立ち、そのまま直線独走で、2着となった単勝オッズ19.2倍の5番人気馬レッドコールに5馬身半差をつけて圧勝。
なお、この年を最後にワシントンDC国際Sは廃止されたため、本馬がこのレースの最後の勝ち馬になり、アーリントンミリオンとワシントンDC国際Sを両方勝った馬も本馬唯1頭となった。
続いて本馬はチャーチルダウンズ競馬場に向かい、3年連続でブリーダーズカップに参戦。ただし今回はBCマイルではなくBCターフ(米GⅠ・T12F)に出走した。対戦相手は、アメリカンダービー・セクレタリアトSを勝ちターフクラシック招待で2着してきたヴォードヴィル、仏ダービー・リュパン賞・ニエル賞・ゴントービロン賞の勝ち馬で前年の愛ダービーと前走の凱旋門賞で2着していたエルナンド、愛オークス・リブルスデールSの勝ち馬ボラス、ロワイヤルオーク賞・加国際S・ケルゴルレイ賞・ベルトゥー賞の勝ち馬レイントラップ、英1000ギニー・EPテイラーS・英チャンピオンS・ビヴァリーDS・オペラ賞・アスタルテ賞・ミュゲ賞・ラクープドメゾンラフィットの勝ち馬でマルセルブサック賞2着・ムーランドロンシャン賞3着のハトゥーフ、欧州でグレフュール賞を勝ちクリテリウムドサンクルー3着の実績を上げた後に渡米して前走ターフクラシック招待Sを勝ってきたティッカネン、一昨年のBCターフを筆頭にソードダンサー招待H・ハリウッドターフC・パンアメリカンH2回・ラウンドテーブルHを勝ちターフクラシック招待S・ハリウッドターフC2着・サンフアンカピストラーノH・マンノウォーS3着のフレイズ、女傑ダリアの娘であるフラワーボウル招待Hの勝ち馬ダリアズドリーマー、伊ダービー・ドーヴィル大賞の勝ち馬でキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS2回・凱旋門賞2着のホワイトマズル、ヨークシャーオークス2回・フォワ賞の勝ち馬オンリーロワイヤル、加国際Sで3着してきたヴォロシン、前年の英オークス・サンタラリ賞・ヴェルメイユ賞を勝ちガネー賞で2着していたイントレピディティ、この年の仏ダービー・リュパン賞の勝ち馬でパリ大賞3着のセルティックアームズの計13頭であり、この年行われたブリーダーズカップの中では最高とも言われた豪華メンバーだった。
本馬にとっては初の12ハロンという距離だったが、この年の米国芝路線では本馬とルアー以外にこれといった有力馬がいなかった。ルアーは3連覇を目指してBCマイルに出走したため不在。唯一本馬に対抗できそうだったサンドピット(リネアヂパウラマシャド大賞・クルゼイロドスル大賞・フランシスコエドゥアルドデパウロマチャド大賞・ANPC杯クラシカとブラジルのGⅠ競走を4勝した後に米国に移籍して、BCターフと同距離のオークツリー招待Sを完勝していた)も追加登録料を嫌って回避。欧州からの遠征馬も既にピークを過ぎた馬が多かった。そんなわけで、この年にここまで9戦8勝2着1回の成績を残して既にエクリプス賞年度代表馬も有力視されていた本馬が単勝オッズ1.8倍という断然の1番人気に支持され、ヴォードヴィルが単勝オッズ8.2倍の2番人気、エルナンドが単勝オッズ8.3倍の3番人気、ボラスとレイントラップのカップリングが単勝オッズ10.5倍の4番人気、ハトゥーフが単勝オッズ13.7倍の5番人気、ティッカネンが単勝オッズ17.6倍の6番人気と続いた。
スタートが切られると、単勝オッズ24.2倍の7番人気馬ダリアズドリーマーが先頭に立ち、ボラスやヴォードヴィルが2番手を追走。本馬は4番手の好位につけた。ところが本馬は12ハロンのペースに我慢が出来なかったのか、向こう正面に入る手前で掛かり気味に進出して先頭に立ってしまった。その後はヴォードヴィルと共に後続を引き離し、そのまま先頭で直線に入ってきた。しかしここから伸びを欠いて、後方から来たティッカネンに並ぶ間もなくかわされ、さらにハトゥーフにも差されて、勝ったティッカネンから3馬身差の3着に敗れてしまった。皮肉なことにティッカネンの鞍上は、本馬のかつての相棒スミス騎手だった。なお、同日に行われたBCマイルでも単勝オッズ1.9倍という断然の1番人気に支持されていたスミス騎手騎乗のルアーがまさかの9着に終わっており、残念ながら2頭ともに結果を残せなかった。
前述のとおり西山正行氏に購買されていた本馬は、翌年から日本で種牡馬入りする事が決定しており、来日してジャパンC(日GⅠ・T2400m)を引退レースに選んだ。海外からの参戦馬は本馬の他に、オークツリー招待Sから直行してきたサンドピット、オイロパ賞・ターフクラシック招待S・コロネーションC・サンクルー大賞・グレフュール賞・プランスドランジュ賞の勝ち馬でサンクルー大賞2着・リュパン賞・コロネーションC・凱旋門賞3着のアップルツリー、英国でハードウィックS・セプテンバーSを勝った後に豪州に移籍してアンダーウッドS・メルボルンCを勝ってきたジューン、ハリウッドターフH・サンセットHの勝ち馬でサンフアンカピストラーノH・オークツリー招待S2着のグランドフロティラ、クイーンズランドダービー・ストラドブロークH2回・フォーレックスC・キャプテンクックS・クイーンエリザベスS・オールエイジドS2回・ドゥーンベンC2回・コーフィールドSと豪州と新国でGⅠ競走11勝のラフハビット、アーリントンミリオンでは6着に終わるも前走BCマイルで2着と健闘していたヨハンクアッツ、BCターフで6着だったエルナンド、同11着だったフレイズ、同13着だったレイントラップの合計10頭。日本からの参戦馬は、金鯱賞・京都大賞典の勝ち馬マーベラスクラウン、前走の天皇賞秋で3着してきたロイスアンドロイス、小倉記念・京都新聞杯・鳴尾記念・高松宮杯の勝ち馬で有馬記念3年連続3着のナイスネイチャ、中日新聞杯の勝ち馬で重賞2着4回のフジヤマケンザン、ダイヤモンドS・目黒記念・アメリカジョッキークラブCの勝ち馬マチカネタンホイザの5頭(ただしマチカネタンホイザは鼻出血で除外となった)だった。
距離適性に差があると思われたのか、単勝オッズ4.5倍の1番人気はサンドピットに譲り、本馬は単勝オッズ5倍の2番人気となった。日本馬勢にはGⅠ勝ち馬が1頭もおらず、単勝オッズ5.3倍のアップルツリー、単勝オッズ8.5倍のエルナンド、単勝オッズ9.6倍のジューンと上位人気5頭までを海外馬勢が占め、日本馬最上位人気は単勝オッズ10.6倍の6番人気馬マーベラスクラウンだった。
スタートが切られるとまずはフジヤマケンザンが先頭に立ち、サンドピット、マーベラスクラウン、ロイスアンドロイスなどがそれを追走。一方の本馬はエルナンドと共に馬群の中団につけた。向こう正面でサンドピットがフジヤマケンザンをかわして先頭に立ち、そのまま後続を大きく引き離した。しかし暴走気味に飛ばしたサンドピットは直線に入ると伸びを欠いた。そこに内側から本馬とマーベラスクラウン、外側からロイスアンドロイスが襲い掛かり、直線ではこの3頭による勝負となった。しかし腰が悪いロイスアンドロイスは残り100m地点で失速し、最内のマーベラスクラウンと本馬が2頭並んでゴールインした。勝負は写真判定にもつれ込んだが、マーベラスクラウンが鼻差先着しており、本馬は惜しくも2着に敗れた。
ところでこのレースに関して、本馬の所有者西山正行氏の息子西山茂行氏は「競馬裏事件史」の中で「筆者(茂行氏)は田原成貴に頼むつもりでいた。父は岡部がいいんじゃないかと言っていた。ところが海外参戦馬は、騎手の旅費もJAR持ち。となれば、主戦のパット・デイで・・・となった。ずっと乗ってきている人なので断る理由も希薄だった。しかし結果、パット・デイはきれいに乗りすぎて、内から差したマーベラスクラウン・南井にハナだけ敗れた。内を突く南井の競馬を知っている田原だったら、と今でも悔やまれてならない。」と書いている(そのまま引用したので敬称略)。しかし本馬の事を一番よく知っているデイ騎手以外の騎手が騎乗しても、あれより良い結果になった可能性はほとんど無いだろう。正行氏は色々悪名も高かったけれども長年に渡り日本競馬界を支えた功労者でもあったが、茂行氏は父から受け継いだ西山牧場の経営立て直しに失敗するなど競馬界には目立つ功績を残せなかった人物である。そんな人間の言う事をいちいち真に受ける必要も無いし、匿名の筆者がネット上で他人の批判をするのも妥当ではない事は理解しているのだが、さすがに腹に据えかねたので、これは批判させてもらう。騎手が云々ではなく、勝ったマーベラスクラウンと南井克巳騎手、それに遠征競馬・不適な距離など不利な条件が揃いながら好走した本馬とその能力を最大限に引き出したデイ騎手を素直に褒めるべきではないだろうか。筆者は、結果論だけ見て騎手を非難したり、やたらと騎手を変更したりする馬主や調教師は嫌いである。それは危険な仕事に従事している騎手を擁護したいからだけでなく、頻繁な騎手変更は馬のためにもならないからである。
なお、本馬は5歳時に11戦8勝の好成績を残し、この年のエクリプス賞最優秀芝牡馬のタイトルを獲得したが、エクリプス賞年度代表馬は逃した(ホーリーブルが受賞)。本馬は4着以下に敗れたのが僅か3回のみと非常に安定して力を発揮する名馬であった。
血統
Irish River | Riverman | Never Bend | Nasrullah | Nearco |
Mumtaz Begum | ||||
Lalun | Djeddah | |||
Be Faithful | ||||
River Lady | Prince John | Princequillo | ||
Not Afraid | ||||
Nile Lily | Roman | |||
Azalea | ||||
Irish Star | Klairon | Clarion | Djebel | |
Columba | ||||
Kalmia | Kantar | |||
Sweet Lavender | ||||
Botany Bay | East Side | Orwell | ||
Vlasta | ||||
Black Brook | Black Devil | |||
Source Sucree | ||||
North of Eden | Northfields | Northern Dancer | Nearctic | Nearco |
Lady Angela | ||||
Natalma | Native Dancer | |||
Almahmoud | ||||
Little Hut | Occupy | Bull Dog | ||
Miss Bunting | ||||
Savage Beauty | Challenger | |||
Khara | ||||
ツリーオブノレッジ | Sassafras | Sheshoon | Precipitation | |
Noorani | ||||
Ruta | ラティフィケイション | |||
Dame d'Atour | ||||
Sensibility | Hail to Reason | Turn-to | ||
Nothirdchance | ||||
Pange | キングスベンチ | |||
York Gala |
父アイリッシュリヴァーは当馬の項を参照。
母ノースオブエデンは7戦未勝利だが、繁殖牝馬としては大変優秀で、本馬の半弟ワイルドイベント(父ワイルドアゲイン)【ターフクラシックS(米GⅠ)・アーリントンH(米GⅡ)・WLマックナイトH(米GⅡ)・キーンランドBCマイルS(米GⅢ)・フォースターデイヴH(米GⅢ)・リバーシティH(米GⅢ)】、半弟フォビドゥンアップル(父プレザントコロニー)【マンハッタンH(米GⅠ)・ベルモントBCH(米GⅡ)・ケルソH(米GⅡ)2回】も産んでいる。本馬の半妹セレスティアルブリス(父リローンチ)の孫にボビーズキトゥン【BCターフスプリント(米GⅠ)】が、全妹パラダイスリヴァーの子にデビッドジュニア【英チャンピオンS(英GⅠ)・ドバイデューティーフリー(首GⅠ)・エクリプスS(英GⅠ)・セレクトS(英GⅢ)】が、半妹エデンズコーズウェイ(父ジャイアンツコーズウェイ)の子にエデンズムーン【ラスヴァージネスS(米GⅠ)・サンクレメンテH(米GⅡ)】がいる。ノースオブエデンの半兄にはシアトリカル(父ヌレイエフ)【BCターフ(米GⅠ)・ハイアリアターフカップH(米GⅠ)・ボーリンググリーンH(米GⅠ)・ソードダンサーH(米GⅠ)・ターフクラシックS(米GⅠ)・マンノウォーS(米GⅠ)・デリンズタウンスタッドダービートライアルS(愛GⅡ)・レッドスミスH(米GⅡ)】、半弟には日本で走ったタイキブリザード(父シアトルスルー)【安田記念(GⅠ)・大阪杯(GⅡ)・京王杯スプリングC(GⅡ)】がおり、かなり優秀な牝系である。→牝系:F3号族③
母父ノースフィールズはノーザンダンサーの直子で、ハビタットの半弟という良血馬。現役成績は30戦7勝で、ルイジアナダービー・ホーソーンダービーなどを勝った中堅競走馬。種牡馬としては愛国と南亜で供用され、GⅠ競走の勝ち馬を複数出して活躍した。
競走馬引退後
競走馬を引退した本馬は、6億1600万円(1120万円×55株)の種牡馬シンジケートが組まれて日本で種牡馬入りした(ただし、西山牧場ではなくアロースタッドで供用された)。初年度は63頭の繁殖牝馬を集め、2年目は81頭、3年目は69頭、4年目の1998年は66頭と安定した交配数が確保された。
この1998年にデビューした初年度産駒の成績が今ひとつだったため、5年目は58頭に交配数が下がったが、6年目の2000年辺りから産駒の成績が伸び始め、交配数も上昇傾向に転じた。6年目は85頭、7年目は90頭、8年目は109頭(この年にカネツフルーヴが帝王賞を勝っている)の交配数となった。
9年目は78頭、10年目は73頭、11年目は49頭と再び減少したが、2005年の阪神ジュベナイルフィリーズをテイエムプリキュアが勝った翌年の12年目は66頭に増加。13年目は67頭、14年目は52頭の交配数だった。
しかし翌2009年に高齢のため種牡馬シンジケートが解散すると交配数は激減。この15年目の交配数は15頭、16年目は8頭だった。この2010年から北海道日高町の前川義則牧場に移動して種牡馬生活を継続したが、翌2011年4月に種付け中の事故により腰骨を強打して予後不良となり、22歳で安楽死の措置が執られた(この年の交配数は結局0頭)。なお、翌2012年に後継種牡馬カネツフルーヴも活躍できないまま病死している。
全日本種牡馬ランキングでは2002年の31位が最高だった。産駒の傾向としては、自身と同様にマイル~中距離を得意としたが、2400mを克服する子もいた。また、自身と異なり芝だけでなくダートでも活躍できた。同様に、やや晩成気味だった自身と異なり仕上がりが早い子も多かった。
主な産駒一覧
生年 |
産駒名 |
勝ち鞍 |
1997 |
カネツフルーヴ |
帝王賞(GⅠ)・川崎記念(GⅠ)・ダイオライト記念(GⅡ)・オグリキャップ記念(GⅡ) |
1997 |
ニホンピロスワン |
ローズS(GⅡ) |
1998 |
アサカディフィート |
中山金杯(GⅢ)・小倉大賞典(GⅢ)2回 |
1998 |
コスモリアライズ |
兵庫ジュニアグランプリ(GⅢ) |
1999 |
ニシノハナグルマ |
フローラS(GⅡ) |
1999 |
ローレルアンジュ |
エンプレス杯(GⅡ) |
2000 |
ジューンパラダイス |
のじぎく賞(園田) |
2001 |
ロイヤルセランガー |
東海金杯(SPⅠ)・読売レディス杯(金沢) |
2002 |
スプリットメイド |
リリーC(H3)・イノセントC(H3) |
2003 |
アンバージャック |
京阪杯(GⅢ) |
2003 |
テイエムプリキュア |
阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)・日経新春杯(GⅡ) |
2004 |
アポロティアラ |
フェアリーS(GⅢ) |
2004 |
ホクザンパラダイス |
姫路プリンセスC(姫路) |
2005 |
キングサラディン |
高知県知事賞(高知) |
2007 |
パラダイスラビーダ |
ゴールドウィング賞(SPⅠ)・新春ペガサスC(SPⅠ) |