ティッカネン

和名:ティッカネン

英名:Tikkanen

1991年生

芦毛

父:コジーン

母:レイコ

母父:ターゴワイス

欧州で走っていた頃は振るわなかったが遠征先の米国で突如開花して、豪快な追い込み戦法でハイレベルなBCターフを制覇する

競走成績:2~4歳時に仏愛独伊米英で走り通算成績17戦4勝2着2回3着3回

誕生からデビュー前まで

米国ペンシルヴァニア州オーガスティンステーブルにおいて、ジョージ・W・ストローブリッジ・ジュニア氏により生産された。ストローブリッジ・ジュニア氏は北米サッカーリーグに存在していたタンパベイ・ラウディズのオーナーや、北米のプロアイスホッケーリーグNHL(ナショナルホッケーリーグ)のバッファロー・セイバーズの取締役を務めていた人物で、オーガスティンステーブルの所有者として馬産も行っていた。そして米国競馬の殿堂入りも果たした名障害競走馬カフェプリンスや、1979年のエクリプス賞最優秀古馬牝馬ワヤを生産・所有するなど馬主としても活躍していた。

ストローブリッジ・ジュニア氏は、当時NHLで活躍していたフィンランド出身の名フォワードであるイーサ・ティッカネン選手にちなんで本馬を命名した。ティッカネン選手がバッファロー・セイバーズに所属した事は後にも先にもないのだが、素晴らしい名選手だったため、敵チームの関係者であるストローブリッジ・ジュニア氏は彼に敬意を表して本馬を命名したという。本馬はオーガスティンステーブル名義で競走馬となり、かつてゴールデンフェザントを一時的に手掛けていたこともある仏国ジョナサン・E・ピーズ調教師に預けられた。

競走生活(2・3歳時)

2歳10月にエヴリ競馬場で行われたサンピエールアジフ賞(T1600m)で、G・ギニャール騎手を鞍上にデビューして勝利。2戦目のクリテリウムドサンクルー(仏GⅠ・T2000m)では、ロシェット賞2着・コンデ賞3着のサンシャック、サンロマン賞の勝ち馬ジンダリ、サンロマン賞2着馬フェアファビュラスなどが対戦相手となった。サンシャックとジンダリが並んで単勝オッズ1.4倍の1番人気に支持される一方で、ギニャール騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ7.9倍で7頭立ての5番人気という評価だった。しかもレースは本馬にとって不得手な重馬場となった。レースはサンシャックが2着ジンダリを4馬身ちぎって勝ち、本馬はジンダリから1馬身半差の3着だった。2歳時の成績は2戦1勝だった。

3歳時は仏2000ギニーには目もくれずに仏ダービーを目標とした。父コジーンというマイル向きの父系ではあったが、どうもスタミナ豊富な母方の血が強く出ていたようで、陣営は早い段階から長い距離に適性があると見極めていたようである。

3歳初戦は4月にロンシャン競馬場で行われたリステッド競走クールセル賞(T2100m)となった、ここでは主戦となるキャッシュ・アスムッセン騎手と初コンビを組んだ。ここでも重馬場になってしまい、脚を取られた本馬は今ひとつのレース内容だったが、勝ったレインボーダンサーから2馬身3/4差、2着となった後の凱旋門賞馬カーネギーから3/4差の3着に入った。

その後は20日後のグレフュール賞(仏GⅡ・T2100m)に出走した。カーネギー、2年後のパシフィッククラシックSで米国の歴史的名馬シガーの連勝を16で止める事になるデアアンドゴー、クリテリウムドサンクルー2着後は振るわなかったジンダリ、コンデ賞の勝ち馬セルティックアームズなどが対戦相手となった。カーネギーがペースメーカー役のカイウスカリグラとのカップリングで単勝オッズ1.6倍の1番人気に支持され、デアアンドゴーが単勝オッズ4倍の2番人気、ジンダリが単勝オッズ6.3倍の3番人気、セルティックアームズが単勝オッズ8.6倍の4番人気で、本馬は単勝オッズ9.4倍で7頭立て5番人気という低評価だった。レースはカイウスカリグラが先頭を引っ張り、デアアンドゴーが2番手、本馬が3番手を追走した。そのままの態勢で直線に入ると、本馬が残り400m地点で仕掛けて残り200m地点で先頭に立った。そしてそのまま最後まで粘り切り、2着に追い込んできた単勝オッズ21倍の最低人気馬ソリッドイリュージョンに鼻差で勝利した。得意の堅良馬場となったことも好走の一因となったと思われる。

続くリュパン賞(仏GⅠ・T2100m)では、シェーヌ賞・ノアイユ賞の勝ち馬ガンボートディプロマシー、クリテリウムドメゾンラフィットの勝ち馬で仏グランクリテリウム2着のシニュディヴァン、ソリッドイリュージョン、前走で4着だったセルティックアームズなどが対戦相手となった。ガンボートディプロマシーがペースメーカー役のマルティエンとのカップリングで単勝オッズ1.5倍の1番人気に支持され、シニュディヴァンが単勝オッズ5.3倍の2番人気、セルティックアームズが単勝オッズ6.9倍の3番人気で、前走がフロック視されたらしい本馬は単勝オッズ7倍の4番人気止まりだった。スタートが切られるとソリッドイリュージョンの同厩馬ボックスカードとマルティエンのペースメーカー役2頭が逃げを打ち、本馬は馬群の中団につけた。そして直線に入ってから追い上げて残り200m地点でいったんは先頭に立ったが、本馬より後方からレースを進めていたセルティックアームズとソリッドイリュージョンの2頭に差されて、勝ったセルティックアームズから1馬身3/4差の3着に敗れた。

本番の仏ダービー(仏GⅠ・T2400m)では、セルティックアームズ、ソリッドイリュージョン、サンタラリ賞を勝ってきたムーンライトダンス、ニューマーケットSを勝ってきたアルリファ、フェイルデンS・ディーSを連勝してきたシセラオ、ギシュ賞2着馬リヴァーワキ、リングフィールドダービートライアルSを勝ってきたホーカーズニューズ、後の愛セントレジャー・ミラノ大賞の勝ち馬ストラテジックチョイスなどが対戦相手となった。ムーンライトダンスが牝馬ながら単勝オッズ4.9倍の1番人気、セルティックアームズとアルリファが並んで単勝オッズ6.3倍の2番人気、シセラオが単勝オッズ6.5倍の4番人気と続く一方で、本馬は単勝オッズ14倍の9番人気まで評価を落としてしまった。しかもレースは本馬が不得手とする湿った馬場状態で行われた。今回もボックスカードが逃げを打ち、本馬はやはり馬群の中団でレースを進めた。そして直線に入ると残り400m地点で仕掛けて追い上げていった。しかし本馬より後方から追い込んできたセルティックアームズ、ソリッドイリュージョン、アルリファの3頭には及ばず、勝ったセルティックアームズから2馬身3/4差の4着に敗れた。

その後は海を渡って愛ダービー(愛GⅠ・T12F)に参戦した。対戦相手は、レーシングポストトロフィー・クレイヴンSの勝ち馬で英ダービー2着のキングズシアター、仏ダービー3着馬アルリファ、英オークス馬で英1000ギニー2着のバランシーン、英2000ギニー・英ダービーで連続3着だったコロネルコリンズなどだった。キングズシアターが単勝オッズ2倍の1番人気、アルリファが単勝オッズ4.5倍の2番人気、バランシーンが単勝オッズ6倍の3番人気、コロネルコリンズが単勝オッズ6.5倍の4番人気で、アスムッセン騎手に代わってウォルター・スウィンバーン騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ11倍で9頭立て5番人気の評価だった。しかもレースは不得手な湿った馬場状態となり、最初から最後まで中団のままで、勝ったバランシーンから4馬身1/4差の5着に敗れた。

秋シーズンは一線級の競走を離れて、8月に独国バーデンバーデン競馬場で行われたフュルシュテンベルクレネン(独GⅢ・T2200m)に、レイ・コクレーン騎手と共に出走した。ここでも後方待機策を採ったが、今回は残り600m地点で早めに仕掛けて追い上げていった。しかしウニオンレネンの勝ち馬トゥヴェンに鼻差届かず2着に敗れた。

翌9月のイタリア大賞(伊GⅠ・T2400m)では、ランフランコ・デットーリ騎手とコンビを組んだ。ここでも苦手な不良馬場となってしまった。それでも先行して4番手で直線に入り、その後も良く頑張ったが、勝ったクローズコンフリクトから僅か1馬身差の4着に敗退した。

このように勝ち運に見放されている状況を打破するためか、本馬はストローブリッジ・ジュニア氏の地元である米国に遠征することになった。

まずは10月のターフクラシック招待S(米GⅠ・T12F)に出走した。対戦相手は、2年前のBCターフを筆頭にソードダンサー招待H・ハリウッドターフC・パンアメリカン2回・ラウンドテーブルHを勝ちターフクラシック招待S・ハリウッドターフC2着・サンフアンカピストラーノ招待H・マンノウォーS3着の実績もあったフレイズ、ソードダンサー招待H・ゴールデンゲートHの勝ち馬でサンフアンカピストラーノ招待H3着のアレックスザグレート、アメリカンダービー・セクレタリアトSを連勝してきたヴォードヴィル、ヴェルメイユ賞で2着してきたイェンダ、ニューハンプシャースウィープSの勝ち馬でソードダンサー招待H2着のキリズクラウンの5頭だった。フレイズが単勝オッズ2.8倍の1番人気、アレックスザグレートが単勝オッズ4.5倍の2番人気、ヴォードヴィルが単勝オッズ4.8倍の3番人気、イェンダが単勝オッズ4.9倍の4番人気、キリズクラウンが単勝オッズ7.4倍の5番人気で、仏ダービー以来となるアスムッセン騎手とコンビを組んだ本馬は単勝オッズ10.5倍の最低人気だった。

スタートが切られるとキリズクラウンが逃げを打ち、ヴォードヴィル、イェンダ、本馬と続いた。本馬は三角に入ってから仕掛けて、2番手で直線に入ってきた。前方ではヴォードヴィルが抜け出して逃げ込みを図っていた。そこへ後方から本馬が猛追していった。そして最後はヴォードヴィルを際どく捕らえて首差で勝利した。3着イェンダは9馬身後方、4着フレイズはさらに7馬身後方であり、上位2頭の強さが目立つ結果となった。なお、本馬は道中で落鉄しており、その不利をはね返しての勝利だった。

BCターフ

続いてチャーチルダウンズ競馬場に向かい、BCターフ(米GⅠ・T12F)に参戦した。ヴォードヴィル、フレイズの前走対戦馬2頭に加えて、アーリントンミリオン・ETマンハッタンH・ワシントンDC国際S・ハリウッドダービー・米国競馬名誉の殿堂博物館S・カナディアンターフH・ETターフクラシックH・ETディキシーHなどの勝ち馬でこの年のエクリプス賞年度代表馬受賞も有力視されていたパラダイスクリーク、前年の仏ダービー・リュパン賞・ニエル賞などの勝ち馬で前走凱旋門賞ではカーネギーの短首差2着と好走していたエルナンド、愛オークス・リブルスデールSの勝ち馬ボラス、ロワイヤルオーク賞・加国際S・ケルゴルレイ賞などの勝ち馬レイントラップ、英1000ギニー・EPテイラーS・英チャンピオンS・ビヴァリーDS・オペラ賞・アスタルテ賞などの勝ち馬ハトゥーフ、名牝ダリアの娘であるフラワーボウル招待Hの勝ち馬ダリアズドリーマー、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDSや凱旋門賞で合計3度の2着があった伊ダービー・ドーヴィル大賞の勝ち馬ホワイトマズル、ヨークシャーオークス2連覇のオンリーロワイヤル、前走の加国際Sで3着してきたヴォロシン、サンタラリ賞・英オークス・ヴェルメイユ賞の勝ち馬でガネー賞2着の前年のカルティエ賞最優秀3歳牝馬イントレピディティ、半年前のリュパン賞や仏ダービーで本馬を打ち負かしたセルティックアームズの合計13頭が対戦相手となった。この年行われたブリーダーズカップの中では最高とも言われた豪華メンバーだった。

パラダイスクリークが単勝オッズ1.8倍の1番人気、ヴォードヴィルが単勝オッズ8.2倍の2番人気、エルナンドが単勝オッズ8.3倍の3番人気、ボラスとレイントラップのカップリングが単勝オッズ10.5倍の4番人気、ハトゥーフが単勝オッズ13.7倍の5番人気、本馬が単勝オッズ17.6倍の6番人気で、近走不振のセルティックアームズは単勝オッズ48倍の最低人気だった。アスムッセン騎手がデビュー以来一貫して手綱を取ってきたエルナンドに騎乗したために、本馬の鞍上には初騎乗となるマイク・スミス騎手の姿があった。

スタートが切られるとダリアズドリーマーが先頭に立ち、ボラス、ヴォードヴィルなどがそれを追撃。パラダイスクリークは前3頭を見るように4番手につけた。他の人気馬勢のうち、エルナンドとハトゥーフは共に後方待機策を採った。そして本馬はエルナンドとハトゥーフの2頭からさらに離れた最後方を単独で走るという、大胆な作戦に打って出た。向こう正面でパラダイスクリークが仕掛けて早くも先頭に立つと、後方にいたエルナンド、ハトゥーフ、本馬も一斉に動き出した。その中で最も脚色が良かったのは本馬であり、三角から四角にかけて素晴らしい勢いで外側を駆け上がっていった。そしてパラダイスクリークをほぼ射程圏内に捉えた状態で直線を向いた。前を行くパラダイスクリークを直線半ばで一気にかわして先頭に立つと、ようやく追いすがってきた2着ハトゥーフに1馬身半差、3着パラダイスクリークにはさらに1馬身半差をつけて優勝。アスムッセン騎手が騎乗したエルナンドは6着、本馬の宿敵だったセルティックアームズは10着に沈んだ。3歳時の成績は9戦3勝だった。

競走生活(4歳時)

4歳時は5月に英国ニューマーケット競馬場で行われたジョッキークラブS(英GⅡ・T12F)から始動した。鞍上はアスムッセン騎手だった。主な対戦相手は、グレートヴォルティジュールSの勝ち馬サクラメント、前年のBCターフで5着だったオンリーロワイヤル、前年の愛ダービー4着後は勝ち星に恵まれていなかったアルリファ、前年の伊ダービー馬タイムスターなどだった。本馬が単勝オッズ3倍の1番人気に支持され、サクラメントが単勝オッズ4.5倍の2番人気、オンリーロワイヤルが単勝オッズ5倍の3番人気となった。スタートが切られるとサクラメントが先頭に立ち、本馬は珍しく2番手につける積極策を採った。そして残り1ハロン地点でサクラメントをかわして先頭に立ったが、最後にオンリーロワイヤルに差されて首差2着に敗れた。それでもシーズン初戦としてはまずまずのスタートを切った。

次走のコロネーションC(英GⅠ・T12F10Y)では、オンリーロワイヤル、前走で本馬から2馬身半差の3着だったタイムスター、前年のグレフュール賞で本馬の5着に敗れた後に凱旋門賞・ユジェーヌアダム賞・ニエル賞を勝っていたカーネギー、クリテリウムドサンクルーで本馬を破った後にコンセイユドパリ賞・ジャンドショードネイ賞を勝っていたサンシャック、コロネーションCで2年連続2着していた4年前のエクリプスSの勝ち馬エンヴァイロンメントフレンドなどが対戦相手となった。1戦叩いた効果が期待された本馬が単勝オッズ3.5倍の1番人気に支持され、オンリーロワイヤルとシーズン初戦だったカーネギーが並んで単勝オッズ3.75倍の2番人気、サンシャックが単勝オッズ11倍の4番人気となった。スタートが切られると単勝オッズ34倍の最低人気馬イオニオが逃げを打ち、本馬は前走とは異なり最後方を追走した。しかしゴール前の追い込みが不発に終わり、勝ったサンシャックから3馬身差の4着に敗れた。

次走は翌7月のサンクルー大賞(仏GⅠ・T2400m)となった。これは前年の仏ダービー以来13か月ぶりの地元仏国におけるレースとなった。対戦相手は、サンシャック、前走2着のオンリーロワイヤル、同5着のカーネギー、伊ダービー・チェスターヴァーズを連勝してきたルソー、本馬が敗れた仏ダービーで2着した後にパリ大賞でも2着したが勝ち星からは遠ざかっていたソリッドイリュージョン、エヴリ大賞・エドヴィル賞など3連勝してきたトウタールなどだった。カーネギーが単勝オッズ2.9倍の1番人気、サンシャックが単勝オッズ4.3倍の2番人気、本馬が単勝オッズ4.9倍の3番人気となった。しかしレースは本馬の不得手な重馬場で行われた。スタートが切られると本馬陣営が用意したペースメーカー役のシチズンダルネが逃げを打ち、本馬は8頭立ての7番手を追走した。そして直線に入って残り400mで仕掛けて追い込んできたがやはり伸びが無く、勝ったカーネギーから4馬身3/4差の4着に敗れた。

欧州では勝ち星に恵まれない状況を打開するため、本馬は米国クリストフ・クレメント厩舎に転厩して、本格的に米国を主戦場とすることになった。

転厩初戦は9月のマンノウォーS(米GⅠ・T11F)となった。ここでは前年のBCターフで本馬を勝利に導いたスミス騎手とコンビを組んだ。本馬と戦った前年の愛ダービー2着後にキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDSを勝利してカルティエ賞最優秀3歳牡馬に選ばれたキングズシアター、ジャンプラ賞・パリ大賞・プランスドランジュ賞の勝ち馬ミルコム、エドモンブラン賞・シュマンドフェルデュノール賞の勝ち馬でダルマイヤー大賞2着・アーリントンミリオン4着のカルドゥンエヴィース、エドモンブラン賞・ラクープの勝ち馬で前年のマンノウォーS2着のフラッグダウンなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ3.35倍の1番人気、カルドゥンエヴィースが単勝オッズ3.8倍の2番人気、キングズシアターが単勝オッズ6.8倍の3番人気となった。スタートが切られるとウォーニンググランスが逃げを打ち、ミルコムなどがそれを追って先行。本馬はいつものような極端な最後方追走ではなく、馬群の中団やや後方につけた。しかし勝負どころで全く動くことが出来ず、勝ったミルコムから7馬身3/4差の8着に大敗してしまった。

次走のターフクラシック招待S(米GⅠ・T12F)では、アーリントンミリオン・セクレタリアトS・ETマンハッタンS・パンアメリカンHなどの勝ち馬アワッド、前年のBCターフで6着だったエルナンド、ボーリンググリーンH・ハイアリアターフカップHの勝ち馬タークパサー、やはり米国に転厩してシーザーズ国際Hで2着していたかつての好敵手セルティックアームズなどとの対戦となった。アワッドが単勝オッズ2.3倍の1番人気、相棒だったアスムッセン騎手が手綱を取るエルナンドが単勝オッズ4.75倍の2番人気、本馬が単勝オッズ5倍の3番人気となった。スタートが切られるとタークパサーが先頭に立ったが、本馬鞍上のスミス騎手は重馬場を意識したのか、それを追うように少し離れた2番手を追走するという戦法を試みた。しかし結局タークパサーを捕まえるどころか、後続馬勢に次々と追い抜かれてしまい、勝ったタークパサーから9馬身3/4差の6着に敗れた。

3週間後に同じベルモントパーク競馬場で行われたBCターフは回避し、米国西海岸に移動して12月のハリウッドターフC(米GⅠ・T12F)に出走した。対戦相手は、ターフクラシック招待Sで3着だったセルティックアームズ、アンドレバボワン賞を勝ってきたパルメ、ハリウッドパークターフH・シネマH・サンガブリエルH・ホイストザフラッグSの勝ち馬アールオブバーキング、ロワイヤルオーク賞でサンシャックの2着してきたシュルードアイデア、イタリア大賞・伊ジョッキークラブ大賞2着のスワーヴターン、デルマー招待Hの勝ち馬でオークツリー招待S3着のロイヤルチャリオット、イタリア大賞3着馬タロワールなどだった。アスムッセン騎手と再コンビを結成した本馬が単勝オッズ5.3倍の1番人気、パルメが単勝オッズ6.3倍の2番人気、アールオブバーキングが単勝オッズ6.9倍の3番人気となった。今回は先行策でも後方待機策でもなく、中団好位につけた。そして本馬の少し前を走っていたセルティックアームズを追いかけようとしたのだが、結局は伸びを欠いてしまい、先行して勝ったロイヤルチャリオットから3馬身3/4差の7着に敗退(セルティックアームズは6着)。4歳時は6戦未勝利の成績で競走馬引退となった。

血統

Cozzene Caro フォルティノ Grey Sovereign Nasrullah
Kong
Ranavalo Relic
Navarra
Chambord Chamossaire Precipitation
Snowberry
Life Hill Solario
Lady of the Snows
Ride the Trails Prince John Princequillo Prince Rose
Cosquilla
Not Afraid Count Fleet
Banish Fear
Wildwook Sir Gaylord Turn-to
Somethingroyal
Blue Canoe Jet Pilot
Portage
Reiko ターゴワイス Round Table Princequillo Prince Rose
Cosquilla
Knight's Daughter Sir Cosmo
Feola
Matriarch Bold Ruler Nasrullah
Miss Disco
Lyceum Bull Lea
Colosseum
Beronaire リベロ Ribot Tenerani
Romanella
Libra Hyperion
Weighbridge
ノーラック Lucky Debonair Vertex
Fresh as Fresh
No Teasing Palestinian
No Fiddling

コジーンは当馬の項を参照。

母レイコはシンボリ牧場の総裁和田共弘氏が生産した仏国産馬で、現役時代は仏国で走り15戦4勝だった。母としては本馬の半兄トゥルジェオン(父カロ)【愛セントレジャー(愛GⅠ)・ロワイヤルオーク賞(仏GⅠ)・エスペランス賞(仏GⅡ)・ヴィコンテスヴィジェ賞(仏GⅡ)2回・ケルゴルレイ賞(仏GⅡ)】も産んでいる。本馬の半姉スバ(父ノースジェット)の子にはサージャン【モーリスドニュイユ賞(仏GⅡ)】がいる。レイコの半妹スウィートアニー(父ファルリ)の孫にはテュルゴー【フェルディナンデュフォーレ賞(仏GⅠ)・ラエジュスラン賞(仏GⅠ)】がいる。レイコの祖母ノーラックは名種牡馬モガミの母で、宝塚記念・有馬記念を勝ったメジロパーマーの曾祖母でもある。ノーラックの曾祖母ビッグハリーは米国有数の名牝系の祖であるラトロワンヌの5番子であり、近親には数々の活躍馬がいるが、その詳細はラトロワンヌの項を参照してほしい。→牝系:F1号族②

母父ターゴワイスはオールアロングの項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬はすぐに日本に輸入され、アロースタッドで種牡馬入りした。なかなかの人気種牡馬であり、初年度の1996年は53頭、2年目は67頭、3年目は79頭、4年目は106頭、5年目は53頭、2年目産駒のサクセスストレインがクイーンCを勝った6年目の2001年は62頭の繁殖牝馬を集めた。しかしその後の交配数は伸びず、7年目は39頭、8年目の2003年は16頭まで減少し、この2003年に愛国グレーブハウススタッドに輸出された。全日本種牡馬ランキングでは2001年の72位が最高であり、種牡馬としては失敗に終わった。現在は英国ウッドファームスタッドで種牡馬生活を続けているが、欧州でもこれといった活躍馬は出していないようである。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1998

サクセスストレイン

クイーンC(GⅢ)

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