ワイルドアゲイン

和名:ワイルドアゲイン

英名:Wild Again

1980年生

黒鹿

父:アイスカペイド

母:ブッシェルンペック

母父:カーレッド

記念すべき第1回BCクラシックを人気薄ながら優勝し、種牡馬としても成功を収めてアイスカペイドの後継種牡馬筆頭となる

競走成績:2~5歳時に米で走り通算成績28戦8勝2着7回3着4回

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州においてW・ポール・リトル氏により生産され、1歳1月に行われたキーンランドセールにおいていったん5万ドルで売却された。しかしその半年後の1歳7月にファシグティプトン社が実施したキーンランドセールにおいて転売され、馬主団体ブラックチップステーブルの一員ウィリアム・アレン氏によって3万5千ドルという安値で購入され、ブラックチップステーブルの所有馬として米国トミー・アキン調教師に預けられた。

競走生活(2・3歳時)

2歳8月にルイジアナ州ルイジアナダウンズ競馬場で行われたダート6ハロンの未勝利戦でデビューして、パースエイシヴリーダーの1馬身差2着。それから2週間後に同コースで行われた未勝利戦では2着パパリンチに頭差で勝ち上がった。その翌週にはエヴァンジェリンダウンズ競馬場ダート6ハロンのハンデ競走に出走して、2着ジャッジリンジーに6馬身差で圧勝。続いてラファイエットフューチュリティ(D6F)に出走したが、ヘイルトゥローマの4馬身差4着に敗れた。次走のルイジアナダウンズ競馬場ダート6.5ハロンの一般競走でも、後にケンタッキーダービーや第1回BCスプリントまで駒を進めるエクスプローシヴワゴンの3馬身差2着に敗退。

ここで本馬は米国南部のルイジアナ州から西部のカリフォルニア州に向かい、前走から18日後にサンタアニタパーク競馬場で行われたエルリオレイS(D8.5F)に出走。後にカリフォルニアダービーを勝ってケンタッキーダービー・プリークネスSにも駒を進めるパリスプリンスの2馬身半差2着と好走した。そしてさらに10日後のノーフォークS(GⅡ・D8.5F)に出走したが、デルマーフューチュリティ・バルボアSなど3連勝中のローヴィングボーイ、ハリウッドジュヴェナイルCSS・サニースロープSの勝ち馬でデルマーフューチュリティ2着のデザートワイン、パリスプリンスといった面々に歯が立たず、勝ったローヴィングボーイから18馬身半差をつけられた9着最下位と惨敗した。

その後は一間隔を空けて、12月にハリウッドパーク競馬場で行われたダート7ハロンの一般競走に向かったが、生涯一度もステークス競走に出なかったパスカネルという馬が勝ち、本馬は7馬身半差をつけられて7着に大敗。2歳時は8戦2勝という平凡な成績に終わった。

翌3歳時は調教中の故障のため1戦も走る事が出来なかった。なお、この期間内にアキン厩舎からヴィンセント・ティンホニー厩舎に転厩している。

競走生活(4歳時)

復帰したのは、4歳1月にサンタアニタパーク競馬場で行われたダート8.5ハロンの一般競走だった。ここでは、カリフォルニアブリーダーズチャンピオンSの勝ち馬ノースレックスフォードドライヴの4馬身半差4着に終わった。それから2週間後のサンタアニタパーク競馬場ダート8ハロンの一般競走では、2着ステージハンドジョニーに鼻差で勝利して、1年5か月ぶりの勝ち星を挙げた。

さらに2週間後にはサンタアニタパーク競馬場ダート8.5ハロンの一般競走に出走したが、欧州でレイルウェイS・マックケアンズトライアルSとGⅢ競走を2勝した後に米国に移籍してきたアンセストラルの2馬身1/4差3着に敗退。その10日後に同コースで出走した一般競走では、2着パスカネルに2馬身差で勝利した。

その2週間後には再びルイジアナ州に姿を現し、フェアグラウンズ競馬場でニューオーリンズH(GⅡ・D10F)に出走。本馬に初騎乗となったパット・デイ騎手の手綱捌きと、112ポンドという軽量にも助けられて、2着となったペンシルヴァニアガヴァナーズCの勝ち馬イクスプロシヴビッドに鼻差で勝利した。この後はデイ騎手が本馬に騎乗する機会が多くなる。

やはりデイ騎手とコンビを組んで出走した次走のレイザーバックH(GⅢ・D8.5F)では、ローマーHの勝ち馬でアメリカンダービー・セクレタリアトS2着のデューライン、コーンハスカーHの勝ち馬ウインスタットなどを抑えて1番人気に支持されたが、勝ったデューラインから7馬身差の8着に大敗。しかしオークローンH(GⅡ・D9F)ではデイ騎手を鞍上に巻き返し、前走3着のウインスタットを1馬身差の2着に、デューラインを3着に破り、1分46秒8のコースレコードで勝利した。

その後は米国東海岸と米国中部を行き来しながらレースに出走した。まずは5月にニューヨーク州に向かい、ベルモントパーク競馬場芝8.5ハロンの一般競走で初めての芝競走に挑戦したが、インテンシファイの4馬身差4着に敗れた。6月にはニュージャージー州モンマスパーク競馬場に向かい、芝8.5ハロンの一般競走に出走。このレースには過去9戦全てダート競走を走っていた後のBCマイル勝ち馬コジーンが初芝に挑んできていた。結果はコジーンが勝ち、本馬は3/4馬身差の2着に敗れた。続いて7月のサバーバンH(GⅠ・D10F)に出たが、前走メトロポリタンHを勝ってきたジェロームH・スタイヴァサントHの勝ち馬でヴォスバーグS2着のフィットトゥファイト、エクセルシオールHの勝ち馬で前走ナッソーカウンティH2着のカナディアンファクターの2頭に屈して、勝ったフィットトゥファイトから3馬身3/4差の3着に敗れた。なお、フィットトゥファイトは次走のブルックリンHも勝ち、1961年のケルソ以来23年ぶり史上4頭目のニューヨークハンデキャップ三冠を達成する事になる。

一方の本馬は7月下旬にネブラスカ州アクサーベン競馬場で行われたコーンハスカーH(GⅡ・D9F)に出走した。1番人気に支持されたが、前走ワシントンパークHで2着してきたオマハ金杯の勝ち馬タイムレスネイティヴの3着に敗れた(実際には4位入線だったが3位入線のプロンリガードが6着に降着となったために繰り上がり)。すると今度はイリノイ州アーリントンパーク競馬場に向かい、芝のアーリントンH(GⅠ・T10F)に出走した。しかし、GⅠ競走ハイアリアターフカップH2連覇を筆頭にタイダルH・ブーゲンヴィリアH・WLマックナイトH・キングエドワード金杯を勝ち前年のアーリントンミリオンで3着していた目下5連勝中のニジンスキーズシークレット、前年のメトロポリタンHの勝ち馬で暮れの第1回BCマイルで2着と好走するスターチョイス、前走ユナイテッドネーションズHの3着馬で後にケルソHを勝って第1回BCターフに駒を進めるフーズフォーディナーといった芝巧者相手では勝ち負けに絡むことが出来ず、勝ったフーズフォーディナーから5馬身差の6着に敗退した。

その翌週にモンマスパーク競馬場で出たモンマスH(GⅠ・D9F)では、トゥルーノースH・トムフールSを連勝してきたビリーヴザクイーン、ペガサスH・セミノールH・ジャージーダービー・オーシャンポートSの勝ち馬でワイドナーH3着のワールドアピール、カーターHの勝ち馬でヤングアメリカS・アーリントンクラシックS・ハスケル招待HとGⅠ競走2着が3回あったベットビッグの3頭に屈して、勝ったビリーヴザクイーンから2馬身差の4着に敗退した。

それから16日後にはニュージャージー州メドウランズ競馬場で行われたメドウランズCH(GⅠ・D10F)に登場。サバーバンHで本馬に先着する2着だったカナディアンファクター、コーンハスカーHで本馬に先着する2着だったイネヴィタブルリーダー、前走モンマスHで2着だったワールドアピール、同3着だったベットビッグなどとの対決となったが、本馬が産まれた年に騎手デビューした当時20歳のリチャード・ミグリオーレ騎手が手綱を取る本馬が114ポンドの軽量にも助けられて、カナディアンファクターを6馬身差の2着に下して圧勝し、4度目の挑戦でGⅠ競走初勝利を挙げた。これはミグリオーレ騎手にとっても、嬉しいGⅠ競走初勝利だった。

その後は再びカリフォルニア州に向かい、10月末にベイメドウズ競馬場で行われた芝8ハロンの一般競走に出走したが頭差3着に敗れた。

第1回BCクラシック

その12日後にはハリウッドパーク競馬場で行われた第1回BCクラシック(GⅠ・D10F)に、デイ騎手とコンビを組んで参戦した。本馬はブリーダーズカップ登録が無かったため36万ドルの追加登録料を支払っての出走となった。対戦相手のレベルの高さは今まで本馬が出てきたレースを大きく上回るものであり、ウッドメモリアルS・ウッドワードS2回・ジョッキークラブ金杯2回・ホイットニーH・マールボロCH・ピーターパンSの勝ち馬でベルモントS・トラヴァーズS・マールボロCH2着・ケンタッキーダービー3着の実績もあった現役米国最強馬スルーオゴールド、プリークネスS・スーパーダービー・オマハ金杯の勝ち馬でサンフェリペH2着・アーカンソーダービー3着のゲートダンサー、かつて本馬が9着最下位に惨敗したノーフォークSで2着した後にチャールズHストラブS・カリフォルニアンS・ハリウッド金杯・サンフェリペH・サンラファエルSを勝ちケンタッキーダービー・プリークネスS・ブルーグラスS・サンフェルナンドSでも2着して西海岸屈指の実力馬となっていたデザートワイン、スワップスS・サンラファエルS・デルマーHを勝ちサンタアニタダービー・スーパーダービーで2着していた後の米国顕彰馬プレシジョニスト、ドワイヤーS・ヴォスバーグS・トレモントSの勝ち馬でホイットニーH・ジェロームH2着のトラックバロン、フォアゴーHの勝ち馬マガティー、メドウランズCHで本馬の2着に敗れた後にマールボロCHで3着していたカナディアンファクターの計7頭が本馬の前に立ち塞がった。

GⅠ競走4連勝中のスルーオゴールドが同厩馬マガティーとのカップリングで単勝オッズ1.6倍の1番人気に支持され、ゲートダンサーが単勝オッズ4.5倍の2番人気、デザートワインが単勝オッズ6.6倍の3番人気、プレシジョニストが単勝オッズ8.7倍の4番人気と続き、単勝オッズ26.1倍のトラックバロンが離された5番人気。そして過去のレースで最高123ポンドまでしか背負った事が無い本馬(このレースでは125ポンド)は単勝オッズ32.3倍の6番人気で、本馬より人気薄はGⅠ競走未勝利馬のカナディアンファクター(単勝オッズ74.8倍)のみという低評価だった。

スタートが切られるとマガティーがまずは先頭に立ち、本馬とプレシジョニストの2頭が加速してマガティーに並びかけ、この3頭が先頭を引っ張る形となった。6~7馬身ほど離された4番手にデザートワインがつけ、スルーオゴールドがさらに3~4馬身後方の5番手、ゲートダンサーなど他3頭はさらに離された後方につけた。前3頭が激しく争ったために、最初の2ハロン通過が22秒3、半マイル通過は45秒3というかなりのハイペースとなった。向こう正面途中で本馬が他2頭の前に出て単独先頭に立ち、それから間もなくしてマガティーはスタミナが切れて失速。代わりにスルーオゴールドが一気に前との差を縮めてきて、三角途中では先頭の本馬に外側から並びかけてきた。そして2頭が並んで四角を回って直線を向いた。直線で内側の本馬と外側のスルーオゴールドが叩き合っているところに、4番手で直線に入ってきたゲートダンサーが大外から追い上げてきて、三つ巴の勝負となった。本馬とスルーオゴールドの叩き合いに限っては本馬のほうが常に優勢であり決して抜かさせなかったが、大外のゲートダンサーの脚色が良く、残り1ハロン地点ではかわされそうになった。しかしここから本馬が驚異的な粘りを見せてゲートダンサーにも抜かさせなかった。そしてゲートダンサーに半馬身差、スルーオゴールドにはさらに頭差をつけて先頭でゴールインした。この直線における攻防で3頭の馬体がぶつかり合うシーンが見られたため9分間に及ぶ審議が行われた。そして大外のゲートダンサーが内側のスルーオゴールドに馬体をぶつけたとして3着に降着となったが、最内を走っていた本馬の着順には変更が無く、記念すべき第1回BCクラシックの覇者となり、優勝賞金180万ドルを手にした。4歳時の成績は16戦6勝だった。

競走生活(5歳時)

5歳時は前年に全米中を走りまくった反動が来たのか復帰が遅れ、7月にベルモントパーク競馬場で行われたダート8ハロンの一般競走でようやく姿を現した。しかし結果はレイトトゥライズの1馬身1/4差2着に敗退。翌月にはサラトガ競馬場芝8ハロンの一般競走に出たが、勝ったチャージングスルーから7馬身1/4差の8着最下位に終わった。

次走は10月にベルモントパーク競馬場で行われたダート7ハロンの一般競走だった。ここでは、フロリダダービー・ピーターパンS・ファウンテンオブユースSを勝ちフラミンゴS・ウッドメモリアル招待Sで2着していた3歳馬プラウドトゥルースと顔を合わせた。プラウドトゥルースは2走後のBCクラシックで2着ゲートダンサーを頭差抑えて勝つ事になる馬であり、この一般競走は結果的には新旧BCクラシック馬同士の対決となった。しかし勢いに勝るプラウドトゥルースが完勝し、本馬は3馬身1/4差の2着に敗れた。

それから12日後にはメドウランズCH(GⅠ・D10F)で2連覇を目指した。イングルウッドHを勝ちサンアントニオH・アメリカンH・エディリードHで2着していたアルマムーンなどの姿もあったが、最大の強敵は、ウッドメモリアルS・ブルックリンH・マサチューセッツH・ジャマイカHの勝ち馬でジョッキークラブ金杯2年連続3着のバウンディングバスクだった。バウンディングバスクと本馬は同世代だが、一方が活躍中はもう一方が休養中だったりしたため、これが最初で最後の対戦となった。結果はバウンディングバスクが勝ち、本馬は4馬身半差の2着に敗退。前年と異なり追加登録料を支払ってまでBCクラシックに出る自信は陣営には無かったらしく、本馬はこのメドウランズCHを最後に5歳時4戦未勝利の成績で現役を退いた。

血統

Icecapade Nearctic Nearco Pharos Phalaris
Scapa Flow
Nogara Havresac
Catnip
Lady Angela Hyperion Gainsborough
Selene
Sister Sarah Abbots Trace
Sarita
Shenanigans Native Dancer Polynesian Unbreakable
Black Polly
Geisha Discovery
Miyako
Bold Irish Fighting Fox Sir Gallahad
Marguerite
Erin Transmute
Rosie Ogrady
Bushel-n-Peck Khaled Hyperion Gainsborough Bayardo
Rosedrop
Selene Chaucer
Serenissima
Eclair Ethnarch The Tetrarch
Karenza
Black Ray Black Jester
Lady Brilliant
Dama Dante Nearco Pharos
Nogara
Rosy Legend Dark Legend
Rosy Cheeks
Clovelly Mahmoud Blenheim
Mah Mahal
Udaipur Blandford
Uganda

アイスカペイドは当馬の項を参照。

母ブッシェルンペックは現役成績23戦8勝、シネマH・ハネムーンHを勝ち、ハリウッドオークスで2着、ハリウッドダービーで3着している。本馬の半姉カイトランド(父キートゥザキングダム)の子にランス【オマハ金杯(米GⅢ)・ボードオブガヴァナーズH(米GⅢ)】が、ブッシェルンペックの全姉プレンティベイビーの子にプレンティオールド【サンハシントS・アップルブロッサムH】がいる。ブッシェルンペックの母ダマの半兄にはクラロ【愛2000ギニー】がいる他、ダマの半姉パンガニの孫にはミオソチス【オールカマー・東京盃】、アローエクスプレス【朝日杯三歳S・京成杯三歳S・京成杯・NHK杯】、ファストバンブー【スワンS・阪急杯】、曾孫にはプロスパラス【北海道三歳S】、ランスロット【札幌記念・ステイヤーズS】、ファンタスト【皐月賞・弥生賞】、バンブーアトラス【東京優駿】、玄孫世代以降にはプリモディーネ【桜花賞(GⅠ)】など日本における活躍馬達が、ダマの半姉キサキの曾孫には日本で走ったハッピシルバー【道営記念2回】、玄孫世代以降にはミズエロイーズ【トップフライトH(米GⅠ)・シュヴィーH(米GⅠ)】、オクターヴ【マザーグースS(米GⅠ)・CCAオークス(米GⅠ)】などがいる。ダマの母クローヴリーは1932年の英オークス馬ウダイパーの娘で、クローヴリーの半妹ソニバイの子には日本の大種牡馬ヒンドスタン【愛ダービー】がいる。ウダイパーの母ウガンダは仏オークス・ロワイヤルオーク賞を勝った名牝で、ウガンダの4代母メモワールは英オークス・英セントレジャーの勝ち馬。メモワールの全妹は19世紀英国最強牝馬の誉れ高きラフレッチェで、ラフレッチェの子孫であるサンデーサイレンスは一応本馬と同じ牝系ということになる。→牝系:F3号族③

母父カーレッドは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は、米国ケンタッキー州の名門牧場カルメットファームで種牡馬入りした。1991年7月にカルメットファームが破産するとセリにかけられ、同年12月にケンタッキー州スリーチムニーズファームに移動して種牡馬生活を続けた。当初は人気種牡馬では無かったが、この1991年に初年度産駒のアワイルドライドがシュヴィーHとヘンプステッドHを、2年目産駒のウィルダネスソングもスピンスターSを勝って共にGⅠ競走勝ち馬となったため、以降は人気が上昇。全盛期には種付け料7万5千ドルまで達し、父アイスカペイド最良の後継種牡馬として多くの活躍馬を送り出した。北米種牡馬ランキングは1997年の2位が最高で、2002年には3位に入っている。産駒のステークスウイナーは84頭(別の資料では88頭)で、ステークスウイナー率は9%となっている。繁殖牝馬の父としても80頭を優に超えるステークスウイナーを出している。

自身は明らかに晩成馬だったが、産駒は2歳戦で勝ち上がる事が多く、仕上がりは早かった。しかし早熟ではなく古馬になっても能力が衰えにくいタイプの種牡馬だった。芝で走る産駒もいたが、やはりダートの活躍馬のほうが目立っていた。

2004年10月に受精率低下のため種牡馬を引退した後もスリーチムニーズファームにおいて健康体のまま余生を送り、2008年12月に老衰のため28歳で安楽死の措置が執られた。初年度のブリーダーズカップ勝ち馬7頭のうち、BCスプリントを勝ったエイロはそのBCスプリント勝利の4週間後に疝痛のため4歳で早世しており、BCターフを勝ったラシュカリは1996年12月に15歳で、BCジュヴェナイルを勝ったチーフズクラウンは1997年4月に15歳で、BCマイルを勝ったロイヤルヒロインは2002年に22歳で、BCジュヴェナイルフィリーズを勝ったアウトスタンディングリーは2003年10月に21歳で、BCディスタフを勝ったプリンセスルーニーは本馬より2か月前の2008年10月に28歳でそれぞれ他界しており、本馬の死によって初年度のブリーダーズカップ勝ち馬は全てこの世を去ったことになった。本馬の遺体はスリーチムニーズファーム内にあったカポウティ(本馬がBCクラシックを勝った年に誕生し、2年後のBCジュヴェナイルを制覇。種牡馬としては本馬と同じくカルメットファームからスリーチムニーズファームに移り住んで活躍し、2007年8月に他界していた)の墓地の隣に埋葬された。

本馬は後継種牡馬にもなかなか恵まれており、南米で猛威を振るいながらも北米でも活躍馬を出しているワイルドイヴェント、2014年のBCクラシックを制したバイエルンを送り出したオフリーワイルド、2009年の加首位種牡馬ミルウォーキーブルー、多くのダート巧者を出した本邦輸入種牡馬ワイルドラッシュなどが活躍している。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1987

A Wild Ride

シュヴィーH(米GⅠ)・ヘンプステッドH(米GⅠ)・プリンセスS(米GⅡ)・エルエンシノS(米GⅡ)・リンダヴィスタBCH(米GⅢ)・オークローンBCH(米GⅢ)

1987

Bright Again

エクワポイズマイル(米GⅢ)

1987

Heaven Again

ルイジアナダービー(米GⅢ)

1987

Power Lunch

ギャラントフォックスH(米GⅢ)

1988

Middlefork Rapids

モンロヴィアH(米GⅢ)

1988

Wilderness Song

スピンスターS(米GⅠ)・チャーチルダウンズバドワイザーBCH(米GⅡ)・モリーピッチャーH(米GⅡ)・モンマスパークBCH(米GⅢ)

1988

Wildly Special

グレイS(加GⅢ)

1989

Free at Last

サマーS(加GⅢ)・フォアランナーS(米GⅢ)・ヒルプリンスS(米GⅢ)

1990

Elmhurst

BCスプリント(米GⅠ)・エインシェントタイトルBCH(米GⅢ)

1990

Wild Gale

ケンタッキージョッキークラブS(米GⅢ)

1991

Cinnamon Sugar

ロングルックH(米GⅡ)

1991

Wildly Joyous

ベンアリS(米GⅢ)

1991

エーブアゲイン

青藍賞(水沢)

1992

Call Now

デルマーデビュータントS(米GⅡ)

1992

Wild Escapade

ホープフルS(米GⅠ)

1992

Wild Syn

ブルーグラスS(米GⅡ)

1992

ナリタキングオー

スプリングS(GⅡ)・京都新聞杯(GⅡ)・共同通信杯四歳S(GⅢ)

1992

ワイルドブラスター

マーチS(GⅢ)2回・アンタレスS(GⅢ)

1993

El Amante

フラミンゴS(米GⅢ)・サルヴェイターマイルH(米GⅢ)

1993

La Rosa

デモワゼルS(米GⅡ)

1993

Madame Pandit

モンロヴィアH(米GⅢ)

1993

Omi

アーリントンメイトロンH(米GⅢ)

1993

Whiskey Wisdom

フェイエットS(米GⅢ)

1993

Wild Event

ETターフクラシックS(米GⅠ)・アーリントンH(米GⅡ)・WLマックナイトH(米GⅡ)・キーンランドBCマイルS(米GⅢ)・フォースターデイヴH(米GⅢ)・リバーシティH(米GⅢ)

1993

Winfama

スワニーリヴァーH(米GⅢ)・ギャロレットH(米GⅢ)

1994

Anklet

フロリダオークス(米GⅢ)

1994

Wild Rush

カーターH(米GⅠ)・メトロポリタンH(米GⅠ)・イリノイダービー(米GⅡ)・ケンタッキーCクラシックH(米GⅢ)

1994

Wild Wonder

マーヴィンルロイH(米GⅡ)・オールアメリカンH(米GⅢ)・ロングエイカーズマイルH(米GⅢ)

1995

Chicago Six

ナショナルジョッキークラブH(米GⅢ)

1995

Smile Again

ベルエアH(米GⅡ)

1996

Bright Valour

阪神CH(米GⅢ)2回

1996

Vicar

ファウンテンオブユースS(米GⅠ)・フロリダダービー(米GⅠ)

1997

Milwaukee Brew

サンタアニタH(米GⅠ)2回・オハイオダービー(米GⅡ)・カリフォルニアンS(米GⅡ)

1997

Shine Again

バレリーナH(米GⅠ)2回・ファーストフライトH(米GⅡ)2回・ジェニュインリスクH(米GⅡ)

1999

Keys to the Heart

ホーソーンH(米GⅢ)

1999

Sarava

ベルモントS(米GⅠ)

1999

タイキリオン

ニュージーランドトロフィー(GⅡ)

2000

Aud

パッカーアップS(米GⅢ)・カーディナルH(米GⅢ)

2000

Christine's Outlaw

ポーカーH(米GⅢ)

2000

Gigawatt

マイアミマイルBCH(米GⅢ)

2000

Offlee Wild

サバーバンH(米GⅠ)・マサチューセッツH(米GⅡ)・ホーリーブルS(米GⅢ)・エクセルシオールBCH(米GⅢ)

2000

Wild and Wicked

オハイオダービー(米GⅡ)

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