アイリッシュリヴァー

和名:アイリッシュリヴァー

英名:Irish River

1976年生

栗毛

父:リヴァーマン

母:アイリッシュスター

母父:クレイロン

父リヴァーマンから受け継いだスピードを如何なく発揮してマイル戦無敵の名マイラーとなり種牡馬としてもその快速を如何なく産駒に伝える

競走成績:2・3歳時に仏で走り通算成績12戦10勝3着1回

誕生からデビュー前まで

レイモンド・エード夫人により生産・所有された仏国産馬で、仏国ジョン・カニングトン・ジュニア調教師に預けられた。主戦はモーリス・フィリッペロン騎手が務めた。

競走生活

2歳6月にエヴリ競馬場で行われたセントクレスピン賞(T1100m)でデビューして勝利。同月のボア賞(T1000m)も勝利したが、3戦目のロベールパパン賞(GⅠ・T1100m)ではスタート直後に挟まれる不利を受けて、ピタシアの2馬身1/4差4着に敗れてしまった。しかし続くモルニ賞(GⅠ・T1200m)ではピタシアを1馬身差の2着に下して借りを返した(リッチモンドS勝ち馬で後にロッキンジSやジャンプラ賞を勝つヤングジェネレーションがピタシアから1馬身半差の3着だった)。さらにサラマンドル賞(GⅠ・T1400m)も、2着ボワトロンに1馬身差、3着ナジャール(後のイスパーン賞・ジャックルマロワ賞勝ち馬)にはさらに首差をつけて勝利。仏グランクリテリウム(GⅠ・T1600m)では2着インシャラーに2馬身半差をつける完勝を収めた。なお、本馬が勝利したモルニ賞・サラマンドル賞・仏グランクリテリウムの3競走を総称して仏2歳新三冠競走と呼称する日本の資料が存在するが、これは日本独自の表現であるようで、海外の資料においてはそのような表現は見当たらない。2歳時の成績は6戦5勝で、仏最優秀2歳馬に選出された。

3歳時は4月のフォンテーヌブロー賞(GⅢ・T1600m)から始動して、2着ナジャールに2馬身半差をつけて余裕勝ち。3週間後の仏2000ギニー(GⅠ・T1600m)では上がり600m推定33秒85という、芝が深い欧州では超絶とも言える末脚で怒涛の追い込みを決めて2着シャープマンに1馬身半差、3着ナジャールにもさらに1馬身半差をつけて優勝。

リュパン賞(GⅠ・T2100m)でも勝利確実と言われていたが、距離が長かったのか、勝ったトップヴィルから1馬身3/4差、2着シャープマンから3/4馬身差の3着に敗れた。そのため仏ダービーは断念し、以降はマイル路線に照準を絞って活躍を続けた。

古馬との対戦となったイスパーン賞(GⅠ・T1850m)では2着ストロングゲイルに5馬身差で大楽勝した。さらにジャックルマロワ賞(GⅠ・T1600m)では、2着となったトーマブリョン賞・ジョンシェール賞・ダフニ賞勝ち馬ベリファに首差で勝利。ムーランドロンシャン賞(GⅠ・T1600m)では、2着となったクレイヴンS・ダンテS勝ち馬リファーズウイッシュに半馬身差、モーリスドギース賞を勝ってきた3着ボワトロンにはさらに4馬身差をつけて勝利。この年6戦5勝の戦績で、仏最優秀3歳馬と最優秀マイラーに選ばれて引退した。

常時ブリンカーを装着し、ゴール前の一気の追い込み戦法を得意とした仏国の歴史的名マイラーだった。ちなみに本馬の同世代には英国の名マイラー・クリスがいたが、お互いに本国を離れることが無かったために、競走馬としての対戦は実現しなかった。

血統

Halo Hail to Reason Turn-to Royal Charger Nearco
Sun Princess
Source Sucree Admiral Drake
Lavendula 
Nothirdchance Blue Swords Blue Larkspur
Flaming Swords 
Galla Colors Sir Gallahad
Rouge et Noir
Cosmah Cosmic Bomb Pharamond Phalaris
Selene
Banish Fear Blue Larkspur
Herodiade
Almahmoud Mahmoud Blenheim
Mah Mahal
Arbitrator Peace Chance
Mother Goose 
Ballade Herbager Vandale Plassy Bosworth
Pladda
Vanille La Farina
Vaya
Flagette Escamillo Firdaussi
Estoril
Fidgette Firdaussi
Boxeuse
Miss Swapsco Cohoes Mahmoud Blenheim
Mah Mahal
Belle of Troy Blue Larkspur
La Troienne
Soaring Swaps Khaled
Iron Reward
Skylarking Mirza
Jennie

リヴァーマンは当馬の項を参照。

母アイリッシュスターは現役成績10戦3勝、フロール賞(仏GⅢ)で2着がある。本馬の半姉アイリッシュソング(父ダッパーダン)の子にデュークオブシルヴァー【ロンポワン賞(仏GⅢ)】が、半姉リスカ(父リファール)の孫にカードマニア【BCスプリント(米GⅠ)・サンカルロスH(米GⅡ)】と日本で走ったケイワンバイキング【函館スプリントS(GⅢ)・ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)】が、全妹スターリヴァーの孫に2002年のジャパンCで惜しい2着だったサラファン【エディリードH(米GⅠ)・エクスプローシヴビッドH(米GⅡ)】がいる。アイリッシュスターの祖母ブラックブルックはターントゥの半姉で、マイバブーの従姉妹に当たる。→牝系:F1号族①

母父クレイロンは仏2000ギニーやジャックルマロワ賞などを勝って17戦6勝の成績を残した名マイラー。クレイロンの父クラリオンはジェベル直子で、仏グランクリテリウム・ロンポワン賞勝ちなど26戦10勝。

本馬は血統的にマイラーそのものであり、競走成績もマイラーそのものだった。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は、現役時代に米国ケンタッキー州のゲインズウェイファームの創設者ジョン・R・ゲイン氏に購入されていたため、ゲインズウェイファームで種牡馬入りした。同年には本馬の父リヴァーマンも種牡馬成績を見込まれて仏国ケスネー牧場からゲインズウェイファームに移動しており、父子でゲインズウェイファームの屋台骨を支える事となった。本馬は種牡馬としても一級品で、世界各国で一流馬を輩出した。産駒のステークスウイナーは87頭に上る。競走成績と同様に種牡馬成績もマイラー傾向が強い。息長く種牡馬生活を送った本馬は、2001年に種牡馬を引退した後も、ゲインズウェイファームで功労馬として余生を過ごし、2004年4月に重度の心臓発作のため28歳で他界した。繁殖牝馬の父としても優秀で、プリオロ、アルカングアルハースデビッドジュニアなど97頭のステークスウイナーを出している。後継種牡馬としてはパラダイスクリークが日本で活躍した他に、イグジットトゥノーウェアやブリーフトゥルースも一定の成功を収めている。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1981

Ballinderry

リブルスデールS(英GⅡ)

1982

Grand Pavois

アルクール賞(仏GⅡ)

1982

Kings River

グレンカーンS(愛GⅢ)

1982

Seven Springs

ロベールパパン賞(仏GⅠ)・モルニ賞(仏GⅠ)

1983

Mashkour

サンフアンカピストラーノ招待H(米GⅠ)・リングフィールドダービートライアルS(英GⅢ)

1983

Orban

ローマ賞(伊GⅠ)・ハードウィックS(英GⅡ)

1984

Grand Fleuve

アンドレバボワン賞(仏GⅢ)

1984

Lascaux

ジャンドショードネイ賞(仏GⅡ)

1985

Aim For The Top

キウスーラ賞(伊GⅢ)

1985

Bricassar

ダフニ賞(仏GⅢ)

1985

Drapeau Tricolore

フェイエットS(米GⅡ)・ノリスタウンH(米GⅢ)

1986

Madjaristan

アーケイディアH(米GⅢ)

1986

Seven Rivers

ヴォランテH(米GⅢ)

1987

Leariva

バドワイザー国際S(米GⅠ)・アスタルテ賞(仏GⅡ)・エクスビュリ賞(仏GⅢ)

1987

Rouse the Louse

サラナクS(米GⅢ)

1988

Bog Trotter

英シャンペンS(英GⅡ)・グリーナムS(英GⅢ)・キヴトンパークS(英GⅢ)

1988

Exit to Nowhere

ジャックルマロワ賞(仏GⅠ)・トーマブリョン賞(仏GⅢ)・エドモンブラン賞(仏GⅢ)・ミュゲ賞(仏GⅢ)

1988

Navarone

オークツリー招待H(米GⅠ)・デルマー招待H(米GⅡ)2回

1988

River Traffic

ローレルフューチュリティ(米GⅢ)

1989

Brief Truce

セントジェームズパレスS(英GⅠ)・ガリニュールS(愛GⅡ)

1989

Hatoof

英1000ギニー(英GⅠ)・英チャンピオンS(英GⅠ)・ビヴァリーDS(米GⅠ)・オペラ賞(仏GⅡ)・EPテイラーS(加GⅡ)・アスタルテ賞(仏GⅡ)・ミュゲ賞(仏GⅢ)・ラクープドメゾンラフィット(仏GⅢ)

1989

Paradise Creek

アーリントンミリオンS(米GⅠ)・ハリウッドダービー(米GⅠ)・マンハッタンH(米GⅠ)・ワシントンDC国際S(米GⅠ)・米国競馬名誉の殿堂博物館S(米GⅡ)・カナディアンターフH(米GⅡ)・ETターフクラシックS(米GⅡ)・ディキシーH(米GⅡ)・アップルトンH(米GⅢ)

1990

Tuesday's Special

エクスビュリ賞(仏GⅢ)

1991

Irish Forever

セリマS(米GⅢ)

1992

Fairy Path

カルヴァドス賞(仏GⅢ)

1993

River Bay

ハリウッドターフCS(米GⅠ)・チャールズウィッティンガムH(米GⅠ)・アルクール賞(仏GⅡ)・サンセットH(米GⅡ)・パース賞(仏GⅢ)

1993

Sandtrap

ボールドウィンS(米GⅢ)・ハリウッドターフエクスプレスH(米GⅢ)・サンシメオンH(米GⅢ)

1993

Yokama

ロングアイランドH(米GⅡ)

1994

Hula Queen

セネターケンマディH(米GⅢ)

1994

Moonlight Paradise

ロックフェルS(英GⅡ)

1994

Natalie Too

マッチメイカーS(米GⅢ)

1995

Galic Boy

ロバートFケアリー記念H(米GⅢ)

1995

With the Flow

ベルモントBCH(米GⅡ)・フォンテーヌブロー賞(仏GⅢ)

1996

Irish Prize

シューメーカーマイルS(米GⅠ)・サンガブリエルH(米GⅡ)・ファイアクラッカーBCH(米GⅡ)・サンガブリエルH(米GⅡ)・サンマルコスS(米GⅡ)

1996

Louve

フロール賞(仏GⅢ)

1996

Slip Stream

ベルリンブランデンブルクトロフィー(独GⅡ)

1996

Terek

ドイツ統一賞(独GⅢ)

1997

Berine's Son

フォンテーヌブロー賞(仏GⅢ)

1998

Divine Task

ジェベルハッタ(首GⅢ)

1998

Irish Warrior

デルマーH(米GⅡ)

1998

Navesink

ジャマイカH(米GⅡ)・ケントBCS(米GⅢ)

1999

Bowman

フォンテーヌブロー賞(仏GⅢ)

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