ヴィクトリーギャロップ

和名:ヴィクトリーギャロップ

英名:Victory Gallop

1995年生

鹿毛

父:クリプトクリアランス

母:ヴィクトリアスリル

母父:ヴァイスリージェント

リアルクワイエットの米国三冠達成をゴール前の豪脚で阻止しただけでなく、古馬になっても活躍しエクリプス賞最優秀古馬に選ばれたベルモントS優勝馬

競走成績:2~4歳時に米首で走り通算成績17戦9勝2着5回3着1回

誕生からデビュー前まで

加国オンタリオ州トールオークスファームにおいて、同牧場の所有者イヴァン・ダロス氏により生産された。誕生日は5月30日で、この年に北半球で産まれたサラブレッドの中では最も遅生まれの部類だった。1歳時に米国で行われたセリに出品され、米国テキサス州の石油業者プレストン兄弟がケンタッキー州に所有するプレストンウッドファームにより2万5千ドルで購入され、W・エリオット・ウォルデン調教師に預けられた。

競走生活(3歳初期まで)

2歳7月にデラウェアパーク競馬場で行われたダート5ハロンの未勝利戦で、マイケル・マッカーシー騎手を鞍上にデビュー。単勝オッズ6.2倍の3番人気となった。スタート直後から最後方であり、直線で少し差を詰めるも、単勝オッズ3.3倍の1番人気に応えて勝ったカレーラスから9馬身3/4差の5着と、全く見せ場無く終わった。

ローレル競馬場に場所を移して出走したダート7ハロンの未勝利戦では、エッセンシャルという馬が単勝オッズ2倍の1番人気で、エドガー・プラード騎手騎乗の本馬は単勝オッズ2.9倍の2番人気となった。ここでは好スタートから終始先頭を走り続け、直線で後続馬を引き離して、2着エッセンシャルに8馬身3/4差をつけて勝ち上がった。

次にコロニアルダウンズ競馬場に移動してシェナリーS(D7F)に出走。前走圧勝と言っても弱敵相手であり、ここでは単勝オッズ9.9倍の4番人気とあまり評価されていなかった。しかしマーク・ジョンストン騎手を鞍上に道中は後方2番手を追走し、四角で位置取りを上げると直線で鮮やかに差し切り、2着アンリアルマッドネスに2馬身差で勝利した。

次走のニューケントS(D8F)では、前走の一般競走を6馬身1/4差で圧勝してきたファイトフォーエムレディとの対戦となった。ファイトフォーエムレディが単勝オッズ2.4倍の1番人気で、ジョンストン騎手騎乗の本馬が単勝オッズ2.8倍の2番人気となった。レースではファイトフォーエムレディが先行して、本馬は馬群の中団後方につけた。そして三角から四角にかけて位置取りを上げると、直線では先頭のファイトフォーエムレディに並びかけて、叩き合いを3/4馬身差で制した。

ローレル競馬場に戻って出走したローレルフューチュリティ(米GⅢ・D9F)では、ファイトフォーエムレディ、メリーランドミリオンナーサリーSを勝ってきたカーニバラスハビット、ストームキャットSを勝ってきたエッセンシャルなどを抑えて、単勝オッズ2.4倍の1番人気に支持された。スタートからファイトフォーエムレディが暴走気味に大逃げを打った。ジョンストン騎手騎乗の本馬は馬群の中団につけ、三角で追撃を開始した。しかしファイトフォーエムレディは四角でさらに後続を引き離し、そのまま逃げ切って勝利。本馬は差を詰めたものの、1馬身3/4差の2着に敗れ、2歳時を5戦3勝で終えた。

3歳時は3月のレベルS(米GⅢ・D8.5F)から始動した。セリマS・デモワゼルSの勝ち馬クラークストリート、サウスウエストSを勝ってきたホットウェルズ、サウスウエストS2着馬ワットアフラッシーアクターなどが対戦相手となり、エイバル・コア騎手騎乗の本馬は単勝オッズ5.1倍の3番人気だった。レースでは馬群の好位4番手を走り、直線入り口で単勝オッズ28.2倍の伏兵ロビンウッドをかわして先頭に立つと、コア騎手が鞭を落としてしまうアクシデントがありながらも、ロビンウッドとの叩き合いを頭差で制して勝利した。

次走のアーカンソーダービー(米GⅡ・D9F)では、前年にBCジュヴェナイル・ホープフルS・サラトガスペシャルS・ブリーダーズフューチュリティなど8戦全勝の成績で2歳にしてエクリプス賞年度代表馬に選ばれた9戦無敗のフェイヴァリットトリックとの対戦となった。フェイヴァリットトリックが単勝オッズ1.4倍という圧倒的な1番人気に支持され、前走の一般競走でインディアンチャーリーの2着してきた2番人気馬クエイクは単勝オッズ5.8倍、3番人気の本馬が単勝オッズ8.8倍、ファイトフォーエムレディ、ホットウェルズ、ロビンウッドなどはみな蚊帳の外だった。スタートからフェイヴァリットトリックが先行して、アレックス・ソリス騎手騎乗の本馬は馬群の中団後方を追走した。そして四角で位置取りを上げると直線で前を行くフェイヴァリットトリックを差し切り、最内から伸びてきた単勝オッズ28.1倍の6番人気馬ハヌマーンハイウェイを頭差2着に抑えて勝利。さらに頭差の3着に終わったフェイヴァリットトリックに初黒星をつけた。

競走生活(米国三冠競走)

そして迎えたケンタッキーダービー(米GⅠ・D10F)では、フェイヴァリットトリックに加えて、4戦無敗のサンタアニタダービー馬インディアンチャーリー、フロリダダービー勝ち馬ケープタウン、ブルーグラスS勝ち馬ハロリーハンター、ハリウッドフューチュリティ勝ち馬でサンタアニタダービー2着のリアルクワイエット、サンフェリペS勝ち馬でサンタアニタダービー3着のアータックス、タンパベイダービー勝ち馬パレードグラウンド、ハヌマーンハイウェイ、一般競走を10馬身差で圧勝してきたノーフォークS2着馬オールドトリエステ、フラミンゴS勝ち馬チリトなどが対戦相手となった。インディアンチャーリーが単勝オッズ3.7倍の1番人気、フェイヴァリットトリックが単勝オッズ5.4倍の2番人気、ケープタウンが単勝オッズ5.6倍の3番人気、ハロリーハンターが単勝オッズ7.6倍の4番人気、リアルクワイエットが単勝オッズ9.4倍の5番人気、アータックスが単勝オッズ12.5倍の6番人気と続き、ソリス騎手騎乗の本馬は単勝オッズ15.6倍の7番人気止まりだった。

レースでは、オールドトリエステが先頭を引っ張り、インディアンチャーリーやフェイヴァリットトリックは先行、本馬はスタート直後から最後方に陣取った。そして三角で外側から仕掛けて上がって行き、直線では猛然と追い込んでいったが、馬群の中団から早めに仕掛けて抜け出していたリアルクワイエットに半馬身届かず2着に敗れた。

次走のプリークネスS(米GⅠ・D9.5F)では、本馬、リアルクワイエット、前走5着のケープタウンを除くケンタッキーダービー上位人気馬が姿を消したため、前走の末脚が評価された本馬が単勝オッズ3倍の1番人気に支持され、リアルクワイエットが単勝オッズ3.5倍の2番人気、ケープタウンが単勝オッズ3.9倍の3番人気となった。他の主な出走馬は、レキシントンSを勝ってきたクラシックキャット、サウスウエストS勝ち馬ホットウェルズだった。

本馬の鞍上はケンタッキーダービーでインディアンチャーリーに騎乗していたゲイリー・スティーヴンス騎手に代わっていた。スタートから馬群の中団後方につけた本馬だったが、隣の枠から発走したリアルクワイエットも本馬の外側をマークするように追走。向こう正面で本馬が上がっていくとリアルクワイエットも一緒に上がっていった。そして2頭が先頭に並ぶ形で直線を向いたが、リアルクワイエットの脚色の方が良く、直線で突き放された本馬はリアルクワイエットに2馬身1/4差をつけられて2着に敗れた。

次走のベルモントS(米GⅠ・D12F)では、1978年のアファームド以来20年ぶり史上12頭目の米国三冠馬に王手を掛けたリアルクワイエットが単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持され、同年のアリダー以来20年ぶり史上2頭目の米国三冠競走全戦2着にリーチが掛かってしまった本馬は単勝オッズ5.5倍の2番人気だった。他の主な出走馬は、前走ピーターパンSを勝ってきたベルモントフューチュリティS・シャンペンSの勝ち馬グランドスラム、プリークネスSで本馬から4馬身差の3着だったクラシックキャット、ケンタッキーダービー6着のパレードグラウンド、同11着のチリト、フェデリコテシオS・サーバートンSなど4連勝中のトーマスジョー、フラミンゴS2着馬ラフィーズマジェスティなどだった。

10日前のバスケットボールの試合中に右足を骨折していたウォルデン師は松葉杖姿で競馬場に姿を見せていたが、「(本馬は)距離が伸びた方が良い」としながらも、「仮に私の馬が勝たないのなら、リアルクワイエットの勝利を見たい」と語っていた。

スタートが切られると、単勝オッズ86.75倍の10番人気馬チリトが逃げを打ち、リアルクワイエットは馬群の中団好位につけ、スティーヴンス騎手騎乗の本馬は馬群の最後方辺りを追走した。三角から四角にかけてリアルクワイエットが先頭に並びかけていったが、本馬の姿はまだリアルクワイエットからかなり離れた場所にあった。直線入り口で先頭に立ったリアルクワイエットがそのまま後続を引き離し、史上12頭目の米国三冠馬誕生が目前に迫った次の瞬間、後方馬群の中から1頭だけ凄まじい勢いで突っ込んできた馬がいた。4番手で直線を向いた本馬だった。見る見るうちにリアルクワイエットとの差を縮めると、2頭が殆ど並んでゴールインした。どちらが勝ったのかは肉眼では判断できない僅差であり、写真判定の結果が出るまでの約2分30秒間は観衆にとっては非常に長く感じられた。しかしリアルクワイエットの鞍上ケント・デザーモ騎手の表情は暗く、逆に本馬鞍上のスティーヴンス騎手は既にウイニングランを始めていた。結果は2人の騎手の判断どおり、本馬が鼻差で勝利していた。

米国三冠馬誕生の瞬間が見られなかったベルモントパーク競馬場は何とも異様な雰囲気に包まれ、本馬陣営もどことなく遠慮がちに喜んでいたように見受けられた(少なくともスティーヴンス騎手の表情は勝利騎手とは思えないものだった)。ただし、最後の直線でリアルクワイエットが斜行して本馬に接触する場面があり、仮にリアルクワイエットが先着していたとしても降着にしていたと、レース後にニューヨーク競馬協会のデイブ・ヒックス事務長は語っている。

競走生活(3歳後半)

その後、リアルクワイエットが長期休養入りしたために本馬が同世代のエース格になるはずだった。次走のハスケル招待H(米GⅠ・D9F)では、米国三冠競走不出走ながらもウッドメモリアルS・リヴァリッジS・ドワイヤーSと3連勝中のコロナドズクエストが単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持され、スティーヴンス騎手騎乗の本馬は単勝オッズ2.2倍の2番人気、ベルモントS7着後にスワップスSで2着してきたグランドスラムが単勝オッズ6.8倍の3番人気だった。レースでは後方2番手につけて、四角で前を行くコロナドズクエストとグランドスラムの2頭に詰め寄っていった。そして直線ではこの3頭の勝負となったが、コロナドズクエストが押し切って勝利を収め、グランドスラムを半馬身かわすのがやっとだった本馬は1馬身1/4差の2着に敗れた。

ソリス騎手と再びコンビを組んで出走したトラヴァーズS(米GⅠ・D10F)でも、コロナドズクエスト、グランドスラムとの対戦となった。今回は本馬が単勝オッズ2.2倍の1番人気に支持され、コロナドズクエストが単勝オッズ2.45倍の2番人気、グランドスラムは単勝オッズ12.6倍の5番人気まで評価を落としていた。馬群の中団後方につけた本馬は、前走でコロナドズクエストを捕らえ切れなかった事を意識したのか、向こう正面で早くも進出を開始。しかしスローペースだった事もあり、今ひとつ位置取りを上げきれずに、前走と同じくコロナドズクエストとグランドスラムの2頭に次ぐ3番手で直線を向くことになった。そして失速するグランドスラムを尻目に、コロナドズクエストを追い詰めにかかったが、結局は鼻差届かず2着に敗れた。

その後はケンタッキーダービーと同じチャーチルダウンズ競馬場で行われたBCクラシック(米GⅠ・D10F)に向かった。この年のBCクラシックは同競走史上最高と言われたほど有力馬が綺羅星の如く顔を連ねていた。前年のBCクラシックを筆頭にハスケル招待H・ウッドバインミリオンS・ジョッキークラブ金杯2回・ドンH・ガルフストリームパークH・ピムリコスペシャルH・ハリウッド金杯・ウッドワードSとGⅠ競走を10勝していた現役米国最強馬スキップアウェイ、前年のケンタッキーダービー・プリークネスSの勝ち馬でこの年もドバイワールドC・サンフェルナンドBCS・ストラブS・グッドウッドBCHなどを勝っていたシルバーチャーム、ホイットニーH・スティーヴンフォスターH・サラトガBCHなど5連勝中のオーサムアゲイン、前走ウッドワードSでは5着に終わっていたコロナドズクエスト、1歳年上のベルモントS・ハスケル招待H勝ち馬タッチゴールド、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS2回・コロネーションC・愛チャンピオンSを勝ちドバイワールドCでシルバーチャームの短頭差2着していたこの年のカルティエ賞最優秀古馬スウェイン、ピムリコスペシャルH・ハリウッド金杯・パシフィッククラシックS・サイテーションH・サンアントニオH2回などの勝ち馬で一時期はスキップアウェイを上回る評価を得ていた亜国出身の名馬ジェントルメン、スーパーダービーなど3連勝中のアーチなどが参戦。本馬は単勝オッズ8.5倍の5番人気(オーサムアゲイン、コロナドズクエスト、タッチゴールドの3頭がカップリングだったため、上から7番目の人気)止まりだった。

スティーヴンス騎手がシルバーチャームを選択したために本馬には再度ソリス騎手が騎乗した。最内1番枠発走の本馬は、スタートからまるで行き脚が付かず、1頭だけぽつんと離れた最後方を追走した。四角に入ってからようやく前との差を縮めにかかり、直線ではオーサムアゲインと共に一気に伸びてきたが、ゴール前で内側によれて失速し、オーサムアゲインの1馬身差4着に敗れた。

3歳時の成績は8戦3勝、GⅠ競走勝ちはベルモントSのみとなり、エクリプス賞最優秀3歳牡馬のタイトルはこの年ベルモントS以降出走の無かったリアルクワイエットのものとなった。

競走生活(4歳時)

4歳時は3月にガルフストリームパーク競馬場で行われたダート8.5ハロンの一般競走から始動。この年の主戦を務めるジェリー・ベイリー騎手と初コンビを組み、単勝オッズ1.3倍の1番人気に支持された。やはりスタート直後は最後方に陣取っていたが、四角で瞬く間に位置取りを上げて直線入り口では既に先頭。そのまま2着ダーレーオブゲームに2馬身3/4差をつけて勝利を収めた。

続いてドバイに遠征してドバイワールドC(首GⅠ・D2000m)に出走した。このレースの注目はシルバーチャームと前年の英ダービー馬ハイライズの顔合わせで、これは1923年にベルモントパーク競馬場において行われたゼヴとパパイラスのマッチレース以来、実に76年ぶりとなるケンタッキーダービー馬と英ダービー馬の直接対決だった。他にも、仏2000ギニー・エクリプスS・マンノウォーSなどの勝ち馬でこの年のカルティエ賞年度代表馬に選ばれるデイラミ、伊ダービー馬セントラルパーク、サンタアニタH勝ち馬マレク、ジャンプラ賞勝ち馬アルムタワケルなどが出走していた。例によって馬群の後方を追走した本馬は、直線一気に追い込んできた。直線半ばでは先頭争いを演じるアルムタワケル、マレク、セントラルパークの3頭をすぐにも差し切るほどの勢いだったが、ここから脚色が同じになってしまい、失速したセントラルパークをかわしただけで、アルムタワケルの1馬身半差3着に敗れた。スティーヴンス騎手騎乗のシルバーチャーム(6着)には先着している。

米国に戻った本馬は6月のスティーヴンフォスターH(米GⅡ・D9F)に出走。ここでもシルバーチャームとの顔合わせとなったが、120ポンドの本馬がペースメーカー役のコネクティングタームズとのカップリングながら単勝オッズ2.3倍の1番人気に支持され、123ポンドのシルバーチャームは単勝オッズ2.4倍の2番人気となった。スタートでコネクティングタームズが出遅れてしまい、代わりに単勝オッズ4.3倍の3番人気だったテキサスマイルS勝ち馬リトルビットライヴリーが先頭に立った。シルバーチャームは好位につけ、本馬はやはり最後方につけた。三角手前まで最後方のままだったが、ここから素晴らしい勢いで他馬をかわしにかかり、直線入り口では既に先頭。その後も末脚を伸ばし続け、2着ナイトドリーマーに5馬身差をつけて、1分47秒28というコースレコードを樹立して圧勝した(4着に敗れたシルバーチャームはそのまま引退となった)。

次走のホイットニーH(米GⅠ・D9F)では、ガルフストリームパークH・オークローンH・マサチューセッツH・サバーバンHと4連勝中の5歳馬ベーレンズとの対決となった。単勝オッズ1.9倍の1番人気は本馬とコネクティングタームズのカップリングで、単勝オッズ2.35倍の2番人気にベーレンズが支持された。3番人気のシガーマイルH・メトロポリタンH勝ち馬サーベアは単勝オッズ10.3倍、4番人気のナイトドリーマーは単勝オッズ12.4倍だったから、完全に2頭の一騎打ちムードだった。

スタートが切られると単勝オッズ68倍の最低人気馬ソシアルチャーターがナイトドリーマーやコネクティングタームズを引き連れて逃げを打ち、ベーレンズは馬群の中団後方、本馬はさらに大きく離れた後方を追走した。三角に入ってからベーレンズが一気に仕掛けて先頭に並びかけていったが、まだ本馬の姿は見えなかった。しかし三角から四角に入る頃に本馬の姿が後方に突然出現したかと思うと、直線入り口では先頭のベーレンズの直後にいた。そして直線では内側のベーレンズと外側の本馬の2頭の一騎打ちとなった。最初は離れていた2頭だが、ゴール前では外側の本馬がベーレンズに並びかけて叩き合いとなり、鼻差で本馬が勝利を収めた。

この後に左前脚繋靭帯炎を発症したために現役を引退。4歳時は4戦3勝の成績だったが、レース内容が評価されてこの年のエクリプス賞最優秀古馬牡馬を受賞した。また、“Most Impressive Performance of the Year”には本馬が圧勝したスティーヴンフォスターHが、“Best or Most Exciting Race of the Year”には本馬がベーレンズを破ったホイットニーHがそれぞれ選ばれた。

血統

Cryptoclearance Fappiano Mr. Prospector Raise a Native Native Dancer
Raise You
Gold Digger Nashua
Sequence
Killaloe Dr. Fager Rough'n Tumble
Aspidistra
Grand Splendor Correlation
Cequillo
Naval Orange Hoist the Flag Tom Rolfe Ribot
Pocahontas
Wavy Navy War Admiral
Triomphe
Mock Orange Dedicate Princequillo
Dini
Alablue Blue Larkspur
Double Time
Victorious Lil Vice Regent Northern Dancer Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Victoria Regina Menetrier Fair Copy
La Melodie
Victoriana Windfields
Iribelle
Glass House Halo Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Cosmah Cosmic Bomb
Almahmoud
Glass Collector First Landing Turn-to
Hildene
Masked Kiss Damascus
Log House

父クリプトクリアランスはファピアノ産駒で、現役成績は44戦12勝。アリシーバガルチカポウティアフリートゴーンウエストなどと同世代に当たり、フロリダダービー(米GⅠ)・エヴァーグレーズS(米GⅡ)を勝ちフラミンゴS(米GⅠ)で2着して米国三冠競走に参戦するも、ケンタッキーダービー(米GⅠ)は4着、プリークネスS(米GⅠ)は3着、ベルモントS(米GⅠ)は2着と、勝ち切るまでに至らなかった。その後はペガサスH(米GⅠ)を勝ち、トラヴァーズS(米GⅠ)で2着、メドウランズCH(米GⅠ)で3着して3歳時を終えた。4歳時はホーソーン金杯(米GⅡ)・パターソンH(米GⅡ)を勝ったが、ドンH(米GⅠ)・ガルフストリームパークH(米GⅠ)・オークローンH(米GⅠ)で2着とGⅠ競走では勝ち切れず。5歳時はドンH(米GⅠ)・ワイドナーH(米GⅠ)・ホーソーン金杯(米GⅡ)を勝つも、ホイットニーH(米GⅠ)でイージーゴアの3着、ジョッキークラブ金杯(米GⅠ)でイージーゴアの2着、BCクラシック(米GⅠ)でサンデーサイレンスの5着に終わり、これを最後に競走馬を引退した。種牡馬としてはなかなかの好成績を挙げている。

母ヴィクトリアスリルは加国で走り、ラプレヴォヤンテS勝ちなど27戦3勝。ヴィクトリアスリルの従兄弟には日本でカーネットS(GⅢ)を制したスーパーナカヤマがいる。→牝系:F12号族①

母父ヴァイスリージェントは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬はプレストンウッドファームの所有のもと、ケンタッキー州ウインスターファームで種牡馬入りした。しかしあまり活躍馬を出す事が出来なかったため、2008年にトルコのジョッキークラブに売却され、現在はトルコで種牡馬生活を送っている。輸出後に米国に残した産駒2頭がGⅠ競走勝ちを成し遂げている事もあってか、トルコでは人気種牡馬であり、多い年には120頭の繁殖牝馬を集めており、種付け料1万リラ(約5500ドル)共々、トルコ繋養種牡馬では最高の数字である。産駒のステークスウイナーは43頭となっている。2010年に加国競馬の殿堂入りを果たした。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

2001

Victory U. S. A.

ボーモントS(米GⅡ)

2002

エイシンドーバー

京王杯スプリングC(GⅡ)・阪急杯(GⅢ)

2002

エイシンロンバード

武蔵野S(GⅢ)

2003

Kettleoneup

フォールズシティH(米GⅡ)・シックスティセイルズH(米GⅢ)

2004

Sir Gallovic

プレミアズH(加GⅢ)

2005

Anak Nakal

ケンタッキージョッキークラブS(米GⅡ)・ペンシルヴァニアダービー(米GⅡ)

2005

Blue Sky Holiday

ブリティッシュコロンビアオークス(加GⅢ)

2005

Texas Fever

ケンタッキーCジュヴェナイルS(米GⅢ)

2006

Rendezvous

デルマーダービー(米GⅡ)

2007

Hyper

ボーリンググリーンH(米GⅡ)

2007

Prince will I am

ジャマイカH(米GⅠ)・WLマックナイトH(米GⅡ)・マックディアーミダS(米GⅡ)

2008

Briosso

ベルナルドオイギンスリケルメ賞(智GⅡ)

2008

Jaycito

ノーフォークS(米GⅠ)

2008

Victory Roar

ムニシパルデヴィーニャデルマール賞(智GⅡ)

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