スラマニ

和名:スラマニ

英名:Sulamani

1999年生

鹿毛

父:エルナンド

母:ソウルドリーム

母父:アレッジド

ニアルコスファミリーからゴドルフィンに移籍して世界5か国で走り5か国全てでGⅠ競走を制した強烈な末脚を最大の武器とした国際派ホース

競走成績:3~5歳時に仏首英米加で走り通算成績17戦9勝2着3回3着1回

誕生からデビュー前まで

ニアルコスファミリーにより生産・所有された愛国産馬で、仏国パスカル・F・バリー調教師に預けられた。

競走生活(3歳時)

デビューはかなり遅く、3歳4月にロンシャン競馬場で行われたシャンペレ賞(T2000m)がデビュー戦となった。主戦となるティエリ・テュリエ騎手とコンビを組んだ本馬だったが、単勝オッズ14倍といった程度の評価だった。レースでは先行して直線で内側を突こうとして失敗し、失速する他馬に前を遮られてずるずると後退。残り200m地点でようやく進路を確保して追い上げてきたがこれでは勝ち負けに絡めるはずはなく、勝ったルフー(モンジューの半弟)から4馬身差の7着に敗れた。

それでもこんなちぐはぐな内容で勝ち馬まで4馬身差まで追い上げてきた走りが評価されたのか、同月にメゾンラフィット競馬場で出走したサンクタス賞(T2400m)では、単勝オッズ4.7倍と評価を上げた。今回は前走とは一転して7頭立ての6番手という後方からレースを進めた。そのままの態勢で直線に入ると、外側から追い上げて差し切り、2着ルルーブルーに3/4馬身差をつけて初勝利を挙げた。

5月には仏ダービーと同コースで行われるアヴル賞(T2400m)に出走した。ここでは単勝オッズ6.1倍の4番人気という評価だった。ここでも後方待機策を採ると、直線に入って残り300m地点から大外を通って追い上げた。そして残り100m地点で先頭に立つと後は流して、2着アゴーグに1馬身半差で勝利を収めた。

そしてデビューから2か月足らずで仏ダービー(仏GⅠ・T2400m)に挑んだ。対戦相手は、トーマブリョン賞・クリテリウム国際・グレフュール賞・リュパン賞など5戦無敗のアクトワン、サンダウンクラシックトライアルSなど5連勝中のラムタラ産駒シメオン、名馬ガリレオの全弟でオカール賞2着・クリテリウムドサンクルー3着のブラックサムベラミー、フォルス賞を勝ってきたディアギレフ(後に香港に移籍してリヴァーダンサーと改名)、ベレスフォードSの勝ち馬キャッスルガンドルフォ、オカール賞を勝ってきたカルケヴィ、オカール賞2位入線(5着に降着)のルーヴトオ、武豊騎手が騎乗するフォルス賞2着馬ルフーなどだった。アクトワンが単勝オッズ1.9倍の1番人気、シメオンが単勝オッズ6.3倍の2番人気、ブラックサムベラミー、ディアギレフ、キャッスルガンドルフォなど愛国のエイダン・オブライエン調教師が送り込んできた4頭のカップリングが単勝オッズ8.1倍の3番人気。カルケヴィが単勝オッズ9.3倍の4番人気、ルーヴトオが単勝オッズ10.7倍の5番人気、ルフーが単勝オッズ17倍の6番人気と続き、本馬は単勝オッズ20.9倍で7番人気という低評価だった。

レースはオブライエン師が用意したペースメーカー役のテンプルオブアルテミスが逃げを打ち、人気のアクトワンは好位を先行。一方の本馬は後方でじっと末脚を溜めた。そして直線を15頭立ての13番手で向くと外側から一気に追い込んできた。素晴らしい切れ味で前の馬を次々と抜き去っていき、残り100m地点で先頭に立つと、2着アクトワンに1馬身半差、3着シメオンにはさらに5馬身差をつけて優勝した。

夏場は休養に充て、秋は凱旋門賞を目指してニエル賞(仏GⅡ・T2400m)から始動した。対戦相手は、リス賞の勝ち馬モロゾフ、ガルフニュースの2頭のみだった。本馬が単勝オッズ1.3倍の1番人気、モロゾフが単勝オッズ3.6倍の2番人気、ガルフニュースが単勝オッズ6.8倍の3番人気だった。少頭数が影響して、このレースはスタートからとんでもないほどの超スローペースで進み、最後の瞬発力だけの勝負になった。結果は本馬が2着ガルフニュースに2馬身差で勝利したが、勝ち時計は3分12秒8という極端に遅いもの(同コースで行われるヴェルメイユ賞の同年の勝ち時計は2分26秒0。同じくフォワ賞の勝ち時計は2分29秒0)であり、観客席からはブーイングの声が響いた。

本番の凱旋門賞(仏GⅠ・T2400m)では、英ダービー・愛ダービー・レーシングポストトロフィー・デリンズタウンスタッドダービートライアルSなど6連勝中のハイシャパラル、仏オークス・ヴェルメイユ賞・ガネー賞・フォワ賞の勝ち馬で前年の凱旋門賞2着のアクワレリスト、ナッソーS・ヨークシャーオークスを連勝してきたイズリントン、日本から参戦してきた蛯名正義騎手騎乗の菊花賞・有馬記念・天皇賞春の勝ち馬マンハッタンカフェ、伊共和国大統領賞・ミラノ大賞の勝ち馬でこの翌月にジャパンCを勝つファルブラヴ、ドイツ賞・バーデン大賞とGⅠ競走を2連勝してきたヨークシャーC・ジョッキークラブSの勝ち馬マリエンバード、前年の仏ダービーを筆頭にノアイユ賞・シャンティ大賞を勝ちリュパン賞・ニエル賞・フォワ賞で2着していたアナバーブルー、独ダービー・コロネーションCの勝ち馬ボリアル、セプテンバーSなど3連勝中のアジアンハイツ、ヴァントー賞の勝ち馬でヴェルメイユ賞2着・仏オークス3着のアナマリー、ラクープドメゾンラフィットを勝ってきたフェアミックス、仏ダービーで5着だったブラックサムベラミーなどが対戦相手となった。ハイシャパラルとブラックサムベラミーのカップリングが単勝オッズ3.2倍の1番人気、本馬と同厩馬センシブルのカップリングが単勝オッズ4.5倍の2番人気、アクワレリストが単勝オッズ5.2倍の3番人気、イズリントンが単勝オッズ8.2倍の4番人気、マンハッタンカフェが単勝オッズ9.3倍の5番人気と続いた。

スタートが切られると、ハイシャパラルのペースメーカー役だったブラックサムベラミーが先頭に立ち、ハイシャパラル、イズリントン、マンハッタンカフェなどが2番手集団を形成。本馬はやはり後方待機策を採った。そして直線に入ると外側に持ち出して一気に追い込んできたが、先に抜け出したマリエンバードに3/4馬身届かず2着に敗れた(ハイシャパラルは本馬から半馬身差の3着、マンハッタンカフェは8着だった)。3歳時の成績は6戦4勝だった。

競走生活(4歳時)

3歳シーズン終了後に本馬はニアルコスファミリーからゴドルフィンにトレードされ、ドバイのサイード・ビン・スルール厩舎に転厩した。新馬主のゴドルフィン陣営は、世界中の10~12ハロンの競走に本馬を出走させることを表明し、その方針通りに本馬は世界中の大競走を走りまわることになる。また、主戦はランフランコ・デットーリ騎手が務めることになった。

まずはドバイシーマクラシック(首GⅠ・T2400m)に出走。サンクルー大賞・コンセイユドパリ賞・香港ヴァーズと3連勝中のアンジュガブリエル、ドバイシティオブゴールドを勝ってきた前年の英セントレジャー2着馬ハイエスト、ジャンドショードネイ賞・エドヴィル賞の勝ち馬カリフェ、ヨークシャーC・ハードウィックS・ウインターヒルS・ジョンポーターSの勝ち馬で前年のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS3着のジンダバッド、伊ダービー・バーデン大賞の勝ち馬で愛ダービー2着のモルシュディ、前年の凱旋門賞で15着だったボリアル、1年4か月前の香港ヴァーズでステイゴールドの2着だったローズオブランカスターS・セレクトSの勝ち馬エクラール、ドーヴィル大賞の勝ち馬でサンクルー大賞2着のポリッシュサマー、トルコ最強馬グランドエキノクス、デンマーク最強馬ダノマストなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ2.5倍の1番人気、アンジュガブリエルが単勝オッズ5倍の2番人気、ハイエストとカリフェが並んで単勝オッズ9倍の3番人気、ジンダバッドが単勝オッズ10倍の5番人気となった。

スタートが切られると、カリフェやダノマストが先頭を引っ張り、アンジュガブリエルがその直後で、本馬は例によって後方を進んだ。そして直線に入ると外側を通って得意の追い込みを披露。ゴール前で2着アンジュガブリエルを3/4馬身差し切り、2分27秒67のコースレコードで勝利した。

3か月後のサンクルー大賞(仏GⅠ・T2400m)では、ドバイシーマクラシック2着後にシャンティ大賞を勝ってきたアンジュガブリエル、ドバイシーマクラシック4着後のコロネーションCで6着だったポリッシュサマー、ジャンドショードネイ賞を勝ってきたロクシアス、フロール賞・コリーダ賞を連勝してきたトラムバカ、ロワイヤリュー賞・ロワイヨモン賞の勝ち馬で仏オークス2着のダンスルーチン、前年の凱旋門賞11着後にアルクール賞を勝っていたアナマリーなどが対戦相手となった。本馬と同厩馬ミルストリートのカップリングが単勝オッズ1.7倍の1番人気、アンジュガブリエルが単勝オッズ3倍の2番人気、ロクシアスが単勝オッズ10.9倍の3番人気という一騎打ちムードだった。スタートが切られるとペースメーカー役としての出走だったミルストリートがハイペースで先頭を引っ張り、本馬はやはり後方からレースを進めた。そして直線入り口7番手から追い込もうとしたが、ここでは得意の末脚が不発に終わり、ミルストリートも捕まえることが出来ず、勝ったアンジュガブリエルに4馬身差をつけられた5位入線(3位入線したミルストリートが6位入線馬アナマリーの進路を妨害した咎で降着になったため、4着に繰り上がり)に敗退した。

次走のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS(英GⅠ・T12F)では、英チャンピオンS・ドバイシーマクラシック・英国際S・プリンスオブウェールズSの勝ち馬で前年のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS・前走のエクリプスS2着のネイエフ、3連勝で英ダービーを制覇してきたクリスキン、愛ダービー・デリンズタウンスタッドダービートライアルS・ベレスフォードSの勝ち馬で英ダービー3着のアラムシャー、前年の凱旋門賞9着後にジャパンC・イスパーン賞・エクリプスSを勝ってきたファルブラヴ、UAE2000ギニー・UAEダービーの勝ち馬ヴィクトリームーン、コロネーションC・ジョッキークラブS・ジョンポーターSの勝ち馬ウォーサン、前年の英セントレジャー馬ボーリンエリック、3年前の英セントレジャーの勝ち馬でジョッキークラブS・プリンセスオブウェールズS2回も勝っていたミレナリー、シンガポール航空国際C・プリンスオブウェールズS・愛チャンピオンSを勝って前年のカルティエ賞最優秀古馬に選ばれたグランデラなどの豪華メンバーが揃った。ネイエフが単勝オッズ4倍の1番人気、クリスキンが単勝オッズ4.5倍の2番人気、本馬が単勝オッズ5.5倍の3番人気、アラムシャーが単勝オッズ7.5倍の4番人気、ファルブラヴとヴィクトリームーンが並んで単勝オッズ13倍の5番人気となった。

スタートが切られるとネイエフ陣営が用意したペースメーカー役のイズディハムが先頭に立ち、ネイエフは先行。本馬、クリスキン、アラムシャーなどは後方からレースを進めた。そして直線に入ってから仕掛けて、先に抜け出していったアラムシャーを追撃した。しかし残り1ハロン地点で右側によれるなどもたついてしまい、アラムシャーを捕まえることが出来ず、3馬身半差をつけられて2着に敗れた。

その後は米国に向かい、アーリントンミリオン(米GⅠ・T10F)に出走した。英チャンピオンS・チャールズウィッテンガムH・キングエドワードⅦ世Sの勝ち馬ストーミングホーム、スティーヴンフォスターH・レーンズエンドS・ワシントンパークHなどの勝ち馬パーフェクトドリフト、クレメントLハーシュ記念ターフCSS・アメリカンH・サンルイオビスポHの勝ち馬で前走ユナイテッドネーションズH2着のザティンマン、ターフクラシックS・アーリントンHの勝ち馬オナーインウォー、キングエドワードBCHの勝ち馬パーフェクトソウル、伊共和国大統領賞・ミラノ大賞を勝った後に世界中を転戦して加国際S・シンガポール航空国際C・香港C・ドバイデューティーフリーで2着していた独国調教馬パオリニ、ジャンプラ賞・アールオブセフトンSの勝ち馬でロッキンジS3着2回のオールデンタイムス、独国のGⅠ競走ダルマイヤー大賞の勝ち馬で前走エクリプスS3着のカイエトゥールなどが対戦相手となった。ストーミングホームが単勝オッズ3.4倍の1番人気、本馬が単勝オッズ3.8倍の2番人気、パーフェクトドリフトが単勝オッズ4.8倍の3番人気、ザティンマンが単勝オッズ6.9倍の4番人気となった。

本馬の鞍上は過去3戦で騎乗したデットーリ騎手ではなく、デヴィッド・フローレス騎手だった。スタートが切られると単勝オッズ90倍の12番人気馬ボーチャンプパイロットが先頭に立ち、パーフェクトドリフトやザティンマンがそれを追って先行。本馬はストーミングホームと共に馬群の後方につけた。そして直線入り口10番手から大外を一気に追い込んできた。結果は早め先頭に立ったストーミングホームに半馬身届かず2位入線だったが、ストーミングホームがゴール直前に右側に大斜行して鞍上のゲイリー・スティーヴンス騎手を振り落とすという大事件が勃発していた。ゴールした瞬間にはスティーヴンス騎手はまだ完全に落馬していなかったが、ストーミングホームの斜行により、3位同位入線したパオリニとカイエトゥールの進路が妨害されたと判定され、ストーミングホームは降着。ストーミングホームの斜行による被害を直接受けていなかった本馬が繰り上がって勝利馬となった。

これはゴドルフィンにとっては記念すべきGⅠ競走100勝目となったのだが、ストーミングホーム降着の裁定に不満を抱く観衆からブーイングの声が巻き起こり、また、ストーミングホームもドバイのシェイク・モハメド殿下の持ち馬で事実上ゴドルフィンの所属馬であったことから、陣営のコメントは何とも歯切れの悪いものであり、あまり喜んでいるようには見受けられなかった。

次走のターフクラシック招待S(米GⅠ・T12F)では、米国の名手ジェリー・ベイリー騎手と1戦限りのコンビを組んだ。マンノウォーSを勝ってきたユナイテッドネーションズH3着馬ルナーソヴリン、サンクルー大賞で本馬に先着する2着した後にドーヴィル大賞でも2着してきたポリッシュサマー、ユナイテッドネーションズH・レーンズエンドスパイラルS・アーカンソーダービーなどの勝ち馬で前年のマンノウォーS2着のバルトスター、パンアメリカンHの勝ち馬ディーライトフルアーヴィングなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ1.75倍の1番人気、ルナーソヴリンが単勝オッズ4.6倍の2番人気、ポリッシュサマーが単勝オッズ7.1倍の3番人気、バルトスターとディーライトフルアーヴィングのカップリングが単勝オッズ7.5倍の4番人気となった。

スタートが切られるとバルトスターが先頭に立った。一方、ベイリー騎手は1番人気の本馬を大胆にも最後方からレースを進めさせた。そして四角で前に詰め寄ろうとしたが、ここで躓いて蹄を負傷するアクシデントがあった。鞍上のベイリー騎手が一瞬立ち上がるほどだったが、7頭立ての6番手で直線に入ると外側からいつもどおりの素晴らしい末脚を繰り出し、2着ディーライトフルアーヴィングに2馬身3/4差をつけて勝利した。

次走はサンタアニタパーク競馬場で行われたBCターフ(米GⅠ・T12F)となった。アーリントンミリオン降着後にクレメントLハーシュ記念ターフCSを勝って汚名を返上してきたストーミングホーム、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS5着後に英国際S・クイーンエリザベスⅡ世Sを勝ってきたファルブラヴ、前年の凱旋門賞3着後にBCターフ・ロイヤルホイップS・愛チャンピオンSを勝っていたハイシャパラル、ハリウッドダービー・オークツリーダービー・サンマルコスSの勝ち馬で前走クレメントLハーシュ記念ターフCS2着のジョハー、アーリントンミリオン6着から直行してきたザティンマン、仏オークス・オペラ賞・アスタルテ賞の勝ち馬でサンタラリ賞・イスパーン賞2着のブライトスカイ、ターフクラシック招待Sで3着だったバルトスター、シャンペンS・ハリウッドフューチュリティ・レムセンS・ローレルフューチュリティの勝ち馬トセットの8頭が対戦相手となった。ストーミングホームが単勝オッズ3倍の1番人気、デットーリ騎手が鞍上に戻ってきた本馬が単勝オッズ4.1倍の2番人気、ファルブラヴが単勝オッズ4.6倍の3番人気、前走の凱旋門賞で2年連続の3着に終わっていた前年の覇者ハイシャパラルが単勝オッズ5.9倍の4番人気、ジョハーが単勝オッズ15.2倍の5番人気だった。

ここでも後方2番手集団につけて末脚を溜めていたが、最初のコーナーを回るところで進路が狭くなって躓いたように外側に振られる場面があった。その後はどうもいつもの行き脚が見られなくなり、四角で外側を通って進出しようとするも前との差を縮められず、直線入り口7番手から追い込み不発に終わり、ハイシャパラルとジョハーの同着優勝から6馬身1/4差の5着に敗れた。4歳時の成績は6戦3勝だった。

競走生活(5歳時)

翌5歳時も現役を続行し、5月のタタソールズ金杯から始動する予定だったが、フレグモーネを発症したために回避。コロネーションCも回避し、6月のプリンスオブウェールズS(英GⅠ・T10F)がシーズン初戦となった。伊ダービー・伊共和国大統領賞・英チャンピオンSの勝ち馬で前年のプリンスオブウェールズS・香港C2着のラクティ、タタソールズ金杯・グレートヴォルティジュールSの勝ち馬でレーシングポストトロフィー2着のパワーズコート、ブリガディアジェラードSで2着してきたイクティアー、グレートヴォルティジュールS・リングフィールドダービートライアルS・ゴードンS・ブリガディアジェラードSの勝ち馬バンダリ、加国際S・ゴードンSの勝ち馬で前年の英セントレジャー3着のフェニックスリーチ、前年のアーリントンミリオンで繰り上がり2着だったカイエトゥール、前年のターフクラシック招待Sで本馬の7着に終わっていたルナーソヴリンなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ3.75倍の1番人気、ラクティが単勝オッズ4倍の2番人気、パワーズコートが単勝オッズ5.5倍の3番人気、イクティアーとバンダリが並んで単勝オッズ9倍の4番人気となった。スタートが切られると単勝オッズ67倍の最低人気に落ちていたゴドルフィンの所属馬ルナーソヴリンがペースメーカー役となって先頭を引っ張り、本馬は例によって後方からレースを進めた。そして残り2ハロン地点で仕掛けて追い込んできたが、途中で右側によれる悪癖が出たために伸びきれずに、勝ったラクティから4馬身差の4着に終わった。

次走のプリンセスオブウェールズS(英GⅡ)では、前年のダンテSの勝ち馬でパリ大賞・英国際S2着のマジストレッティ、キングエドワードⅦ世S・カンバーランドロッジSの勝ち馬で前年の英セントレジャー2着のハイアコレイド、前年の英ダービー2着馬ザグレートギャツビー、前走9着のバンダリなどが対戦相手となった。本馬には他の全出走馬より5ポンド重い133ポンドが課せられたが、単勝オッズ単勝オッズ2.375倍の1番人気に支持された。マジストレッティが単勝オッズ4.33倍の2番人気、ハイアコレイドが単勝オッズ7倍の3番人気と続いていた。本馬は例によって馬群の中団後方を進み、残り2ハロン地点で外側に持ち出して仕掛けた。しかしまたしても右側によれてしまい、中団から抜け出して勝った単勝オッズ13倍の6番人気馬バンダリを捕まえるのに失敗し、半馬身差の2着に敗れた。

次走のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS(英GⅠ・T12F)では、コロネーションC2着後にハードウィックSを勝っていた前年の凱旋門賞4着馬ドワイエン、香港ヴァーズ・ポモーヌ賞・コンセイユドパリ賞の勝ち馬でコロネーションC3着のヴァレーアンシャンテ、コロネーションCを2連覇してエクリプスSで2着してきた前年の同競走6着馬ウォーサン、サンクルー大賞・ジョッキークラブSの勝ち馬で愛セントレジャー2着のガマット、バンダリ、前走で3着だったハイアコレイド、愛ダービーで3着してきたタイクーン、ブラジルのGⅠ競走リネアヂパウラマシャド大賞の勝ち馬で米国に移籍してガルフストリームパークBCHを勝ちドバイシーマクラシックで2着していたハードバック、プリンスオブウェールズS6着後に出走したサンクルー大賞でも6着だったフェニックスリーチ、ゴドルフィン陣営のペースメーカー役だったルナーソヴリンの計10頭との対戦となった。前年の同競走に比べると出走馬の層が薄かったが、3連敗中の本馬の評価も落ちており、単勝オッズ8倍の4番人気止まり。ハードウィックSで2着ハイアコレイドを6馬身ちぎった勝ち方が評価されたドワイエンが単勝オッズ2.1倍の1番人気、ヴァレーアンシャンテが単勝オッズ7倍の2番人気、ウォーサンが単勝オッズ7.5倍の3番人気だった。デットーリ騎手が同馬主同厩のドワイエンに騎乗したため、本馬にはケリン・マカヴォイ騎手が騎乗した。スタートが切られるとペースメーカー役のルナーソヴリンが先頭を引っ張り、本馬は例によって馬群の中団後方を追走した。そして直線に入ると内埒沿いに末脚を繰り出したが、先に抜け出したドワイエンにまったく届かなかった上に、2着に粘った単勝オッズ34倍の9番人気馬ハードバックにも頭差及ばず、勝ったドワイエンから3馬身差の3着に敗れた。

次走の英国際S(英GⅠ・T10F88Y)では、デットーリ騎手が鞍上に復帰した。対戦相手は、クリテリウム国際・ジャンプラ賞・パリ大賞・シェーヌ賞など6戦全勝の3歳馬バゴ、スコティッシュダービーを勝ってきたセントジェームズパレスS2着・エクリプスS3着のカラマン、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDSで6着だったタイクーン、ダフニ賞の勝ち馬でジャンプラ賞・パリ大賞2着のカシーク、5日前のソヴリンSを勝ってきた英2000ギニー・サセックスS・ロッキンジS3着のノーズダンサー、9日前のロイヤルホイップSを勝ってきたスールシャール、ローマ賞・スコティッシュクラシック・メルドS・セントサイモンSの勝ち馬インペリアルダンサー、本馬のペースメーカー役ミルストリートの計8頭だった。バゴが単勝オッズ2.625倍の1番人気、本馬が単勝オッズ4倍の2番人気、カラマンが単勝オッズ7倍の3番人気、タイクーンが単勝オッズ8倍の4番人気、カシークが単勝オッズ11倍の5番人気となった。

スタートが切られるとミルストリートが先頭に立ち、バゴが先行。本馬はやはり馬群の中団後方にいた。しかし残り4ハロン地点で早くもデットーリ騎手が仕掛けて、ロングスパートとなった。いつものような切れ味こそ無かったが、着実に順位を上げていき、残り50ヤード地点で先頭に立ち、2着に粘った単勝オッズ17倍の6番人気馬ノーズダンサーに3/4馬身差、3着バゴにもさらに3/4馬身差をつけて勝利した。

凱旋門賞は回避して北米に遠征し、加国際S(加GⅠ・T12F)に出走した。この6日後のBCターフには当初から出走予定が無く、この加国際Sが現役最後のレースとなる事が表明されていた。前年の英セントレジャーと一昨年のレーシングポストトロフィーの勝ち馬で前年の加国際S3着・前走の愛セントレジャー2着のブライアンボル、ジェフリーフリアS3回・セプテンバーSの勝ち馬で前年の凱旋門賞2着のムブタケル、ベルモントBCH・アメリカンターフS・ジェファーソンカップS・アーリントンHの勝ち馬セニョールスウィンガー、マンノウォーSで3着してきたジョンシェール賞の勝ち馬キングスドラマ、伊国のGⅡ競走カルロダレッシオ賞の勝ち馬シモナス、バイエルン大賞・ドイツ賞・ウニオンレネン・チャールズウィッティンガム記念H・ケンタッキーカップターフHの勝ち馬サビアンゴなどが対戦相手となった。デットーリ騎手騎乗の本馬が単勝オッズ1.85倍の1番人気、ブライアンボルが単勝オッズ5.9倍の2番人気、ムブタケルが単勝オッズ6.5倍の3番人気となった。ここでは馬群の内側をロス無く追走し、6番手で直線を向くと外側に持ち出して一気に追い込んできた。そして2着シモナスに1馬身半差で勝利を収め、有終の美を飾った。

5歳時の成績は5戦2勝だった。この年のワールドシリーズレーシングチャンピオンシップの競走馬部門では、シンガポール航空国際Cを勝ち、アーリントンミリオンで3着に入ったエパロと並んでトップになった。

血統

Hernando Niniski Nijinsky Northern Dancer Nearctic
Natalma
Flaming Page Bull Page
Flaring Top
Virginia Hills Tom Rolfe Ribot
Pocahontas
Ridin' Easy Ridan
Easy Eight
Whakilyric Miswaki Mr. Prospector Raise a Native
Gold Digger
Hopespringseternal Buckpasser
Rose Bower
リリズム Lyphard Northern Dancer
Goofed
Pass a Glance Buckpasser
Come Hither Look
Soul Dream Alleged Hoist the Flag Tom Rolfe Ribot
Pocahontas
Wavy Navy War Admiral
Triomphe
Princess Pout Prince John Princequillo
Not Afraid
Determined Lady Determine
Tumbling
Normia Northfields Northern Dancer Nearctic
Natalma
Little Hut Occupy
Savage Beauty
Mia Pola Relko Tanerko
Relance
Polamia Mahmoud
Ampola

エルナンドは当馬の項を参照。

母ソウルドリームは現役成績6戦1勝だが、1998年のカルティエ賞年度代表馬に選ばれた本馬の半兄ドリームウェル(父サドラーズウェルズ)【仏ダービー(仏GⅠ)・愛ダービー(愛GⅠ)・フォルス賞(仏GⅢ)・ゴントービロン賞(仏GⅢ)】も産んでいる。ソウルドリームの半姉にはメタモルフォース(父ロードエイヴィー)【ゲイムリーS(米GⅠ)】がいる他、ソウルドリームの従姉妹トゥルケイナの子にはテュズラ【ラモナH(米GⅠ)】が、同じくソウルドリームの従姉妹パーティドールの曾孫には2012年のエクリプス賞最優秀芝牝馬ザゴラ【BCフィリー&メアターフ(米GⅠ)・ダイアナS(米GⅠ)】がいる。→牝系:F16号族①

母父アレッジドは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は、英国ダルハムホールスタッドで3年間種牡馬供用された後、仏国ロジ牧場に移動した。2007年には伯国でもシャトル供用されている。初年度産駒から英セントレジャー馬マスタリーを出したが、その後が続かず、2011年からは英国ヨートンファームで繋養されている。2015年時点における種付け料は2500ポンドという安価である。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

2006

Mastery

英セントレジャー(英GⅠ)・香港ヴァーズ(香GⅠ)・伊ダービー(伊GⅡ)

2008

Choreograph

ルイズフェルナンドシルネリマ大賞(伯GⅢ)・ジョゼパウリーニョノゲイラ大賞(伯GⅢ)

2008

Energia Destaque

7月16日大賞(伯GⅡ)・ノヴァモンテイロ教授大賞(伯GⅢ)・リオデジャネイロ市庁舎大賞(伯GⅢ)

2008

Ferragamo

アントニオジョアキムペイショデカストロジュニオール大賞(伯GⅡ)

2008

Guaranta

アントニオジョアキムペイショデカストロジュニオール大賞(伯GⅡ)

2008

Invictus

サンパウロ大賞(伯GⅠ)・ジョアンボルヘスフィルホ大賞(伯GⅡ)

2008

Mitologico

農業大臣大賞(伯GⅡ)・オズヴァルドアラニャ大賞(伯GⅡ)・アディル賞(伯GⅢ)

2008

Sul Blue

ホベウトアウベスデアルメイダ会長大賞(伯GⅢ)

2009

Concilium

サンパウロジョッケクルブ大賞(伯GⅠ)・コパドスカンピオンイス(伯GⅡ)・コンサグラサン大賞(伯GⅡ)

2009

Ganesh

サンマルティン将軍大賞(亜GⅠ)・チャカブコ賞(亜GⅡ)・コンパラシオン賞(亜GⅡ)・アディル大賞(伯GⅢ)

2009

Going Somewhere

カルロスペレグリーニ大賞(亜GⅠ)

2009

Nice Queen

ジョゼボニファシオコウチーニョノゲイラ大賞(伯GⅡ)

2009

Senatus

コウトデマガリャーエス将軍大賞(伯GⅡ)

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