ムーンバラッド
和名:ムーンバラッド |
英名:Moon Ballad |
1999年生 |
牡 |
栗毛 |
父:シングスピール |
母:ベルベットムーン |
母父:シャーディー |
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父シングスピールとの親子2代ドバイワールドカップ制覇を達成するが父と異なり種牡馬としては振るわず |
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競走成績:2~4歳時に英首愛米で走り通算成績14戦5勝2着3回3着1回 |
誕生からデビュー前まで
名馬主として知られるサウジアラビアの王族アハメド・ビン・サルマン殿下の兄で、弟の勧めによって競馬に興味を持ったファハド・ビン・サルマン殿下(イブンベイやジェネラスの所有者としても知られる)が英国で設立したニューゲートスタッドにおいて生産された愛国産馬である。
1歳時のタタソールズ10月セールに出品され、ドバイのシェイク・モハメド殿下の代理人ジョン・ファーガソン氏により35万ギニーで落札され、英国デビッド・ローダー調教師に預けられた。
競走生活(2・3歳時)
2歳9月にニューマーケット競馬場で行われた芝7ハロンの未勝利ステークスで、F・デットーリ騎手を鞍上にデビューして、単勝オッズ2.25倍の1番人気に支持された。スタートで後手を踏んだものの、レース中盤頃から進出を開始。残り1ハロン地点で先頭に立つと、単勝オッズ21倍の8番人気馬ダスキーウォーブラーの追撃を短頭差で抑えてトップゴールした。しかしゴール前で左側によれてダスキーウォーブラーの進路を妨害したと判定されて2着に降着。2歳時はこの1戦のみに終わった。
3歳時はドバイのサイード・ビン・スルール厩舎に転厩し、名義もゴドルフィンに変わった。まず地元ドバイのナドアルシバ競馬場で行われたダート1800mの一般競走から始動した。ここではジョン・キャロル騎手とコンビを組むと、スタートから積極的に先頭争いに加わった。そして残り500m地点で完全に先頭に立つとあとは独走。2着オポチュニストに6馬身1/4差をつけて勝利した。
次走はUAEダービー(首GⅡ・D1800m)となった。亜国のGⅠ競走ダルドロチャ大賞・ブエノスアイレス州大賞・カルロスペレグリーニ大賞の勝ち馬セカンドリアリティ、南アフリカのGⅠ競走ミレミアズチャンピオンSやシンガポールのGⅢ競走シンガポールクラシックの勝ち馬パレスライン、ノーフォークS・UAE2000ギニーの勝ち馬エッセンスオブドバイ、ミルリーフS・カブール賞の勝ち馬でUAE2000ギニー2着のファイアブレイク(後に香港マイルなどを勝利)、チリのGⅠ競走タンテオデポトリリョス賞の勝ち馬トータルインパクト(後にハリウッド金杯などを勝利)など、本馬より国際的な実績が上位の馬が多数出走していた。英国ブックメーカーのオッズではパレスラインが単勝オッズ3.75倍の1番人気、セカンドリアリティが単勝オッズ4.5倍の2番人気、エッセンスオブドバイが単勝オッズ6倍の3番人気と続いており、本馬は単勝オッズ15倍の6番人気だった。今回もキャロル騎手とコンビを組んだ本馬は、スタートからトータルインパクトなどとの先行争いに加わった。そして3番手で直線に入ってきたが今ひとつ伸びを欠き、先頭のトータルインパクトは捕らえられず、後方から来たイブンアルハイサムやエッセンスオブドバイにも差された。レースは最後方から追い込んだエッセンスオブドバイが勝ち、本馬は2馬身3/4差の4着だった。
その後は英国に向かい、5月のリステッド競走ニューマーケットS(T10F)に出走した。このレースから本馬の主戦はジェイミー・スペンサー騎手が務める事になった。未勝利ステークスを勝ち上がってきたばかりのジャッジメントという馬が単勝オッズ2.375倍の1番人気に支持され、本馬は単勝オッズ3.75倍の2番人気だった。スタートからジャッジメントが逃げて、本馬がそれを追撃する2頭の争いになった。残り3ハロン地点でジャッジメントが後退し、本馬が単独で先頭に立った。しかしここで前2頭の争いを少し後方で虎視眈々と見ていた単勝オッズ6.5倍の3番人気馬ハイダウンが本馬に並びかけてきた。そして最後の一完歩で本馬は後れを取り、短頭差の2着に敗れた(ジャッジメントは8馬身後方の3着だった)。
その12日後には、ダンテS(英GⅡ・T10F85Y)に出走した。ディーS2着馬サージョージターナー、サンダウンクラシックトライアルS3着馬ライトアプローチ(後にドバイデューティーフリーを勝利)、次走のキングエドワードⅦ世Sを勝つバラケリ、タタソールSの勝ち馬ウェアオアウェン(後にクイーンエリザベスⅡ世Sを勝利)、後の英セントレジャー馬ボーエンエリックなどが出走しており、なかなかのメンバー構成となった。サージョージターナーが単勝オッズ2.875倍の1番人気、バラケリが単勝オッズ6.5倍の2番人気、本馬とライトアプローチが並んで単勝オッズ7.5倍の3番人気、ウェアオアウェンとボーエンエリックが並んで単勝オッズ8.5倍の5番人気となった。スタートが切られると単勝オッズ26倍の8番人気馬ジェラニが先頭を伺ったが、しばらくして本馬がそれをかわして先頭に立ち、そのまま馬群を牽引した。そして残り2ハロン地点から二の脚を使って粘り、追いかけてきた2着ボーエンエリックに1馬身1/4差をつけて勝利した。
前哨戦のダンテSを勝ったため、英ダービー(英GⅠ・T12F10Y)に駒を進めることになった。愛ナショナルS・愛フューチュリティSの勝ち馬で英2000ギニー2着のホークウイング、レーシングポストトロフィー・デリンズタウンスタッドダービートライアルSなど4連勝中のハイシャパラル、リングフィールドダービートライアルSなど3連勝中のバンダリ、ヴィンテージSの勝ち馬で愛ナショナルS2着のナヒーフ、チェスターヴァーズを勝ってきたファイトユアコーナーなどが対戦相手となった。ホークウイングが単勝オッズ3.25倍の1番人気、ハイシャパラルが単勝オッズ4.5倍の2番人気と、クールモアグループの馬が上位人気を占め、ゴドルフィンの馬は単勝オッズ6倍の4番人気がナヒーフ、そして距離不安が指摘されていた本馬は単勝オッズ21倍の7番人気に留まった。
距離不安が言われていようともスペンサー騎手は本馬の戦法を変えるつもりは無かったらしく、スタートが切られると、先に先頭に立った単勝オッズ29倍の9番人気馬コショクトンをかわして先頭を奪取。そのまま先頭を爆走し続けた。当日の馬場状態はスタミナを消耗しやすい湿った馬場だった上に、本馬のペースがあまりにも速かったために、実力不足の馬は次々に振るい落とされ、中にはコショクトンのように途中で故障して落命する馬も出るなど、文字どおりの生き残り合戦となった。このハイペースにも関わらず本馬は先頭で直線に入り、その後もよく粘ったが、後方から来て本馬をかわしていったホークウイングとハイシャパラルの背中はどんどん遠ざかっていった。最後はハイシャパラルが2着ホークウイングに2馬身差で勝利を収め、本馬はホークウイングからさらに12馬身差の3着だった。
夏場は休養に充て、秋はセレクトS(英GⅢ・T9F)から始動した。このレースには、本馬以外にそれほど有力な馬はいなかった。かつて本馬が勝利したダンテSで1番人気に支持されたサージョージターナーの姿もあったが、ダンテS7着後に独国で3戦して全敗していたサージョージターナーと、大差をつけられたとは言え英ダービー3着馬である本馬では既に格が逆転していたし、ディーSの勝ち馬でスコティッシュクラシック2着のソハイブや、ウインターヒルS2着馬キャンティではやや役不足だった。本馬が単勝オッズ1.67倍という断然の1番人気に支持され、サージョージターナーとソハイブが並んで単勝オッズ8倍の2番人気となった。レースで本馬は大本命に相応しい横綱相撲を見せた。先行して残り2ハロン地点で先頭に立つと、あとは馬なりのまま走り、2着サージョージターナーに2馬身半差をつけて勝利した。
次走はこの秋シーズンの目標だった英チャンピオンS(英GⅠ・T10F)となった。サセックスS・英シャンペンS・ジュライSの勝ち馬でデューハーストS・セントジェームズパレスS・クイーンエリザベスⅡ世S・ドバイデューティーフリー・ロッキンジS・サセックスSと6度のGⅠ競走2着があったノヴェール、シェーヌ賞・プランスドランジュ賞・ラクープの勝ち馬でエクリプスS3着のイクエリーの同厩馬2頭もこのレースを目標として参戦してきた。他にも、ユジェーヌアダム賞の勝ち馬バーニングサン、キングエドワードⅦ世Sの勝ち馬でコロネーションC2着のストーミングホーム、アールオブセフトンSの勝ち馬でプリンスオブウェールズS2着・前年の英チャンピオンS3着のインディアンクリーク、ダルマイヤー大賞の勝ち馬カイエチュール、愛ダービーでハイシャパラルの2着・エクリプスSでホークウイングの2着だった伊グランクリテリウムの勝ち馬ショロコフなどの姿もあった。本馬が単勝オッズ3.5倍の1番人気、ノヴェールが単勝オッズ5.5倍の2番人気、バーニングサンが単勝オッズ6倍の3番人気、ストーミングホームが単勝オッズ9倍の4番人気となった。スタートが切られると本馬は即座に先頭に立ち、少し進んだところで僚馬イクエリーを先に行かせて2番手を進んだ。そして残り2ハロン地点で再び先頭に立って押し切ろうとしたが、後方から来たストーミングホームに一気にかわされ、半馬身差の2着に惜敗した。
陣営は本馬を古馬になってからの馬だと判断し、この年は無理をさせずにこのまま休養入りさせた。3歳時の成績は7戦3勝だった。
競走生活(4歳時)
翌4歳時はデットーリ騎手を新たな主戦に迎え、ドバイワールドCを目指す事になった。まず2月に前哨戦のマクトゥームチャレンジR2(首GⅢ・D1800m)に出走。先行して残り300m地点で後続を突き放す強い内容で、2着ゴーアンダーグラウンドに6馬身差をつけて完勝した。
そして本番のドバイワールドC(首GⅠ・D2000m)に臨んだ。対戦相手は、英チャンピオンS・ドバイシーマクラシック・英国際S・ローズオブランカスターS・セレクトS・カンバーランドロッジSの勝ち馬でキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS2着の良血馬ネイエフ、シンガポール航空国際C・プリンスオブウェールズS・愛チャンピオンS・マクトゥームチャレンジR3の勝ち馬でエクリプスS・英国際S2着・コックスプレート3着の実績もあった同厩の前年のカルティエ賞最優秀古馬グランデラ、フロリダダービー・ブルーグラスS・ドンH・イロコイS・ペンシルヴァニアダービーの勝ち馬でファウンテンオブユースS2着・ジョッキークラブ金杯3着のハーランズホリデー、仏オークス・ヴェルメイユ賞・ガネー賞・フォワ賞・エクスビュリ賞の勝ち馬で凱旋門賞・香港ヴァーズ2着・サンクルー大賞3着のアクワレリスト、サウジアラビアのGⅠ競走二聖モスクの守護者Cの勝ち馬グランドルフット、亜国のGⅠ競走アルゼンチン共和国大賞・エストレージャス大賞クラシックの勝ち馬で前年のドバイワールドC2着のセイミ、ドラール賞・プランスドランジュ賞の勝ち馬ステートシントウ、コンセイユドパリ賞の勝ち馬で前年のドバイワールドC4着のクリムゾンクエスト、フロリダダービー2着馬ブルーバーナーなどだった。
英国ブックメーカーのオッズでは、ダート競走初出走のネイエフが単勝オッズ2.375倍の1番人気、本馬が単勝オッズ3.75倍の2番人気、グランデラが単勝オッズ6倍の3番人気、ハーランズホリデーが単勝オッズ6.5倍の4番人気、アクワレリストが単勝オッズ8.5倍の5番人気と続いていた。
スタートが切られると、11頭立ての大外枠発走から好スタートを切った本馬が先頭を伺ったが、内側から単勝オッズ67倍の8番人気馬ブルーバーナーが先頭を奪った。そして本馬、ハーランズホリデー、アクワレリストがそれに続き、グランデラやネイエフがその少し後方につけていた。レース中盤でブルーバーナーが後退し、本馬が馬なりのまま先頭に立った。そのままの態勢で直線に入ると、残り400m地点で本格的にスパートして後続馬を一気に突き放した。後方から追ってくる馬はおらず、そのまま2着ハーランズホリデーに5馬身差をつけて圧勝した。これで本馬は父シングスピールとの父子制覇を果たした。2015年現在、ドバイワールドCの親子制覇はこの1例のみである。
その後は再度欧州に向かい、6月のプリンスオブウェールズS(英GⅠ・T10F)に出走した。前走3着のネイエフ、同4着のグランデラ、前年のジャパンC・伊共和国大統領賞・ミラノ大賞と前走のイスパーン賞を勝っていたファルブラヴ、ナッソーS・ヨークシャーオークス・ムシドラSの勝ち馬でBCフィリー&メアターフ3着のイズリントン、伊共和国大統領賞・ミラノ大賞の勝ち馬でバイエルン大賞・加国際S・シンガポール航空国際C・香港C・ドバイデューティーフリー2着のパオリニ、ジャンプラ賞・アールオブセフトンSの勝ち馬でセントジェームズパレスS・ロッキンジS2回3着のオールデンタイムス、伊ダービー・伊共和国大統領賞の勝ち馬ラクティ、一昨年の香港ヴァーズでステイゴールドにGⅠ競走初勝利を阻止されたために現役を続けていたヴィンテージS・ローズオブランカスターS・セレクトSの勝ち馬エクラール、前年の英チャンピオンSで7着だったカイエチュールと、他の出走馬9頭はどれもGⅠ競走級の実力馬だった。ドバイワールドCの勝ち方が評価された本馬が単勝オッズ3倍の1番人気に支持され、前年の覇者であるグランデラが単勝オッズ5倍の2番人気、ファルブラヴが単勝オッズ5.5倍の3番人気、ネイエフが単勝オッズ6倍の4番人気と続いた。スタートが切られると本馬は即座に先頭に立ち、そのまま馬群を牽引した。ところが残り2ハロン地点から大失速。次々に後続馬に抜かれていき、最後は勝ったネイエフから13馬身半差をつけられた9着まで落ちてしまった。本馬が先着できたのはスタートで出遅れたエクラールのみだった。
次走はマイル戦のサセックスS(英GⅠ・T8F)となった。前走クリテリオンSを4馬身差で圧勝してきたデューハーストS3着馬トレードフェア、セントジェームズパレスS・ミルリーフSの勝ち馬で英2000ギニー・モルニ賞2着のザフィーン、コヴェントリーSの勝ち馬スタチューオブリバティ、英2000ギニー3着・英ダービー4着のノーズダンサー、ハンガーフォードSの勝ち馬で前年のサセックスS3着のリールバディなどが相手となったが、過去2戦と比べると対戦相手のレベルはかなり落ちていた。トレードフェアが単勝オッズ3.25倍の1番人気、本馬が単勝オッズ3.75倍の2番人気、ザフィーンが単勝オッズ6.5倍の3番人気となった。
スタートが切られると人気薄のスパルタカスやブラタントが先頭に立ち、本馬やザフィーンが好位、トレードフェアが中団につけた。トレードフェアには伸びが無く、残り2ハロン地点から本馬とザフィーンの争いになった。そのまま2頭が並んでゴールしようとしたが、そこへ最後方待機馬トリオのリールバディ、スタチューオブリバティ、ノーズダンサーが突っ込んできて、ゴール前ではこの5頭が横一線となる大接戦となった。最後は単勝オッズ21倍の7番人気だったリールバディが勝ち、スタチューオブリバティが頭差2着、ノーズダンサーがさらに短頭差3着と追い込み勢が上位を占め、ザフィーンがさらに首差の4着、本馬がさらに首差の5着(リールバディからは1馬身差)という結果になった。
次走は愛チャンピオンS(愛GⅠ・T10F)となった。愛ダービー・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS・デリンズタウンスタッドダービートライアルS・ベレスフォードSの勝ち馬で英ダービー3着のアラムシャー、プリンスオブウェールズS5着後にエクリプスS・英国際Sを勝っていたファルブラヴ、前年の英ダービー勝利後に愛ダービー・BCターフ・ロイヤルホイップSを勝ち凱旋門賞で3着していたハイシャパラル、愛オークスを勝ってきたヴィンテージティプル、プリンスオブウェールズS3着後にヨークシャーオークスを勝っていたイズリントンなどが出走してきた。アラムシャーが単勝オッズ2.25倍の1番人気、ファルブラヴが単勝オッズ3.75倍の2番人気、ハイシャパラルが単勝オッズ5倍の3番人気と続く一方で、本馬は単勝オッズ13倍の6番人気での出走となった。上記5頭と本馬以外の出走馬はハイシャパラルのペースメーカー役だった単勝オッズ101倍のフランスのみであり、事実上本馬が最低人気だった。
スタートが切られるとフランスが先頭に立ち、本馬は2番手につけた。そして残り3ハロン半地点で先頭に立ち、そのまま押し切ろうとしたが、そこへ後続馬勢が一斉に押し寄せてきた。本馬も現在持っている力を振り絞って粘ったが、今の本馬ではこのメンバー構成で先頭を守る事は出来ず、勝ったハイシャパラルから2馬身1/4差の5着に終わった。
その後はBCクラシックを目指す事になり、まずは前哨戦のジョッキークラブ金杯を目指してその3週間前に渡米する事になった。ところが渡米に使用する予定だった飛行機がハリケーンで運休となり、米国到着が2週間近くも遅れる事態となった。
それでも米国到着の翌週にジョッキークラブ金杯(米GⅠ・D10F)に出走した。本馬の鞍上はデットーリ騎手ではなく、父シングスピールがドバイワールドCを勝利したときに乗っていた米国の名手ジェリー・ベイリー騎手だった。対戦相手は、前年暮れに欧州から米国に移籍した途端に頭角を現してピムリコスペシャルH・サバーバンH・ウッドワードS・ニューオーリンズH・ベンアリSを勝ちスティーヴンフォスターHで2着していたマインシャフト、前年のジョッキークラブ金杯を筆頭にサラトガBCH・ディスカヴァリーH・クイーンズカウンティH・アケダクトH・レッドスミスHを勝っていたイヴニングアタイア、前走の一般競走を快勝していたがステークス競走入着経験は無かったクエスト、ドバイワールドCで本馬の5着だったステートシントウの4頭だった。マインシャフトが単勝オッズ1.4倍の1番人気、本馬が単勝オッズ3.7倍の2番人気、イヴニングアタイアが単勝オッズ8.3倍の3番人気となった。
スタートが切られると単勝オッズ23.1倍の4番人気馬クエストが先頭に立ち、それに競りかけるように本馬が2番手につけた。向こう正面でマインシャフトが上がってきて前2頭の争いに加わると、ここで後退し始めたのはクエストではなく本馬だった。レースは三角で先頭に立ったマインシャフトが2着クエストに4馬身1/4差をつけて圧勝。一方の本馬は四角で最下位に落ちると後は何の見せ場もなく、マインシャフトから22馬身3/4差、4着ステートシントウからも9馬身1/4差の5着最下位に沈んだ。
この内容ではBCクラシックどころではなく、そのまま4歳時6戦2勝の成績で競走馬を引退。本馬にとって最高の瞬間だったドバイワールドCが本馬にとって最後の勝利となった。
血統
Singspiel | In the Wings | Sadler's Wells | Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | ||||
Fairy Bridge | Bold Reason | |||
Special | ||||
High Hawk | Shirley Heights | Mill Reef | ||
Hardiemma | ||||
Sunbittern | シーホーク | |||
Pantoufle | ||||
Glorious Song | Halo | Hail to Reason | Turn-to | |
Nothirdchance | ||||
Cosmah | Cosmic Bomb | |||
Almahmoud | ||||
Ballade | Herbager | Vandale | ||
Flagette | ||||
Miss Swapsco | Cohoes | |||
Soaring | ||||
Velvet Moon | シャーディー | Danzig | Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | ||||
Pas de Nom | Admiral's Voyage | |||
Petitioner | ||||
Unfurled | Hoist the Flag | Tom Rolfe | ||
Wavy Navy | ||||
Lemon Souffle | Johns Joy | |||
Miel | ||||
Park Special | Relkino | Relko | Tanerko | |
Relance | ||||
Pugnacity | Pampered King | |||
Ballynulta | ||||
Balilla | Balidar | Will Somers | ||
Violet Bank | ||||
Fighting | Aggressor | |||
Pelting |
父シングスピールは当馬の項を参照。
母ベルベットムーンは現役成績12戦4勝、ロウザーS(英GⅡ)・ジェームズセイモアSの勝ち馬。本馬の半妹ヴェルエット(父ダルシャーン)の子にはテレスコープ【グレートヴォルティジュールS(英GⅡ)・ハードウィックS(英GⅡ)】がいる。ベルベットムーンの半弟にはセントラルパーク(父インザウイングス)【伊ダービー(伊GⅠ)・伊共和国大統領賞(伊GⅠ)・オイロパ選手権(独GⅡ)・ヴィンテージS(英GⅢ)】、半妹にはメロウパーク(父インザウイングス)【ランカシャーオークス(英GⅢ)】がいる。ベルベットムーンの祖母バリッラの半妹クラクフの子にブラーシー【ロワイヤルオーク賞(仏GⅠ)】が、バリッラの半妹タプロウの孫にリベライン【タタソールズ金杯(愛GⅠ)】が、バリッラの母ファイティングの半妹スプラッシングの子にバッセンスウェイト【ミドルパークS(英GⅠ)】、孫にキーンハンター【アベイドロンシャン賞(仏GⅠ)】、曾孫にマジカルファンタジー【デルマーオークス(米GⅠ)・ゲイムリーS(米GⅠ)・ジョンCメイビーH(米GⅠ)・イエローリボンS(米GⅠ)】、玄孫世代以降にアウザーン【ミドルパークS(英GⅠ)】が、ファイティングの半妹グライディングの玄孫にアルシェマーリ【ドバイデューティーフリー(首GⅠ)】がいる。→牝系:F4号族③
母父シャーディーはダンチヒ産駒で、現役成績8戦5勝。2歳時は2戦2勝で、3歳初戦のクレイヴンS(英GⅢ)を勝ち、英2000ギニー(英GⅠ)に出走したがナシュワンの11着と惨敗。しかし次走の愛2000ギニー(愛GⅠ)を2馬身半差で勝利した。さらにセントジェームズパレスS(英GⅠ)も2馬身差で逃げ切った。その後はサセックスS(英GⅠ)で果敢に逃げるも失速してジルザルの7着。続くフォレ賞(仏GⅠ)ではガビーナの5着に敗退して引退した。現役引退後はしばらく愛国で種牡馬供用された後に日本に輸入され、日本軽種馬協会において北海道、鹿児島や青森で供用され、2008年に22歳で他界。日本では、チェックメイト【東京新聞杯(GⅢ)・ダービー卿CT(GⅢ)】、タカラシャーディー【毎日杯(GⅢ)】、ゴールドヘッド【羽田盃・マイルグランプリ・グランドチャンピオン2000】などが代表産駒。
競走馬引退後
競走馬を引退した本馬は、ダーレージャパンの所有種牡馬として日本に輸入され、優駿スタリオンステーションで種牡馬供用された。初年度の2004年は69頭、2年目は76頭、3年目は65頭、4年目の2007年は70頭の繁殖牝馬を集めた。この2007年にデビューした産駒達は、勝ち上がり率こそ70%を超えており優秀だったが、出世する馬が殆ど出なかった。そのために5年目は28頭、6年目の2009年は10頭まで交配数が減少。この2009年に愛国ウッドランズスタッドに輸出されていった。欧州では殆ど種牡馬活動を行っておらず、事実上種牡馬引退状態にある。全日本種牡馬ランキングでは2010年の63位が最高だった。
主な産駒一覧
生年 |
産駒名 |
勝ち鞍 |
2009 |
アウヤンテプイ |
駿蹄賞(SPⅠ)・道営スプリント(H2)3回・兼六園ジュニアC(金沢)・ゴールドジュニア(SPⅢ)・旭岳賞(H3) |