ベストパル
和名:ベストパル |
英名:Best Pal |
1988年生 |
騙 |
鹿毛 |
父:ハビトニー |
母:ユーベットシーディド |
母父:キングペリノア |
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気まぐれな性格ながらもカリフォルニア州のアイドルホースとして長年に渡り活躍したが競走馬引退後3年足らずで早世した「最高の友人」 |
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競走成績:2~8歳時に米で走り通算成績47戦18勝2着10回3着4回 |
誕生からデビュー前まで
米国のスーパーマーケットチェーン店ビッグベアーの代表者にして、カリフォルニア州ゴールデンイーグルファームの所有者、米国ジョッキークラブの会員、ブリーダーズカップ委員会の初期メンバーの1人でもあったジョン・C・メイビー氏と妻のベティ夫人により生産された。幼少期から元気が良すぎるほど活発な馬であり、しかも頑固な性格だったため、早い段階に去勢されて騙馬となった。ゴールデンイーグルファーム名義で競走馬となり、カリフォルニア州を拠点としていたイアン・ジョリー調教師に預けられた。
競走生活(2歳時)
2歳5月にハリウッドパーク競馬場で行われたダート5ハロンの未勝利戦で、パット・ヴァレンズエラ騎手を鞍上にデビューして、2着バレッジに半馬身差で勝ち上がった。次走のラドブロークフューチュリティ(D5.5F)では、ブロードウェイズトップガンの2馬身半差2着だった。しかし次走の新設競走アイムスモーキンS(D6F)では、2着ジャストアズスウィフトに7馬身差をつけて圧勝。
続くバルボアS(GⅢ・D7F)では、2着エックスレイに2馬身差で勝利した。次走のデルマーフューチュリティ(GⅡ・D8F)では、サンフォードSの勝ち馬フォーマルディナーが米国東海岸から遠征してきて立ち向かってきたが、本馬が2着ピラーリングに3馬身半差をつけて快勝した。
次走のノーフォークS(GⅠ・D8.5F)では、前走4着のフォーマルディナーが再び立ち向かってきたが、本馬が再び2着となったピラーリングに4馬身半差で圧勝して、GⅠ競走勝ち馬となった。
すると今度は本馬が米国東海岸に向かい、ベルモントパーク競馬場で行われたBCジュヴェナイル(GⅠ・D8.5F)に参戦した。この年のBCジュヴェナイルは出走馬の層が薄く、主な対戦相手は、シャンペンSを圧勝してきたフライソーフリー、シャンペンS2着のハッピージャズバンド、アリシーバSの勝ち馬でブリーダーズフューチュリティ3着のファイアインアイス、グレイSなど3連勝中のワイルドリースペシャルあたりだった。フライソーフリーが単勝オッズ2.4倍の1番人気に支持され、本馬が単勝オッズ2.8倍の2番人気、ハッピージャズバンドが単勝オッズ9.5倍の3番人気という2強ムードだった。スタートが切られるとファイアインアイスやテイクミーアウトが先頭を引っ張り、フライソーフリーと本馬はいずれも馬群の中団につけた。四角でフライソーフリーが外側を通って上がっていったが、本馬は付いていけなかった。そして直線でも伸びを欠き、勝ったフライソーフリーから5馬身3/4差の6着に敗れた。
地元に戻ってきた本馬は、ハリウッドフューチュリティ(GⅠ・D8F)に出走した。ハリウッドプレビューBCSを勝ってきたオリンピオが出走してきたが、前走の敗戦にも関わらず本馬が単勝オッズ1.5倍の1番人気に支持された。そしてヴァレンズエラ騎手から乗り代わったホセ・サントス騎手を鞍上に、2着ジェネラルミーティングに1馬身差で勝利。
2歳時の成績は8戦6勝で、カリフォルニア州年度代表馬に選ばれた。2歳馬が同タイトルを受賞したのは、1988年のキンググローリアス以来2年ぶり史上5頭目だった。また、本馬はこの年だけで102万6195ドルを稼いでおり、2歳時点で100万ドルホースとなった初のカリフォルニア州産馬となった。
競走生活(3歳前半)
3歳時はゲイリー・スティーヴンス騎手を新たな主戦として迎えた。まずは3月のサンラファエルS(GⅡ・D8F)に出走。実績では文句なしに最上位だったが、休養明けと121ポンドのトップハンデが嫌われたのか、単勝オッズ3.3倍の3番人気止まりだった。そしてレースでもゴール前の大接戦で後れを取り、単勝オッズ2.7倍の1番人気に支持されていたディナールの半馬身差3着に敗れた。
次走のサンタアニタダービー(GⅠ・D9F)では、定量戦となった事に加えて、1戦叩いた効果も期待され、ディナール、エルカミノリアルダービー・サンフェリペSを連勝してきたシーカデット、カウディンS・レムセンSの勝ち馬スキャンなどを抑えて単勝オッズ2.6倍の1番人気に支持された。レースでは馬群の中団を進み、直線入り口ではいったん先頭に立ったのだが、ゴール前でディナールに差されて半馬身差の2着に敗れた。
それでも再度東上してケンタッキーダービー(GⅠ・D10F)に参戦。アーリントンワシントンフューチュリティ・ジムビームS・レキシントンSの勝ち馬ハンセル、3歳時にもハッチソンS・ファウンテンオブユースS・フロリダダービーを勝っていた前年のエクリプス賞最優秀2歳牡馬フライソーフリー、前走ブルーグラスSでフライソーフリーを2着に破ってきたフロリダダービー2着馬ストライクザゴールド、アーカンソーダービー2着馬コーポレートリポート、サンタアニタダービーで3着だったシーカデット、ダービートライアルSを勝ってきたアリダヴィド、レベルSの勝ち馬キンタナなどが対戦相手となった。ハンセルが単勝オッズ3.5倍の1番人気、フライソーフリーが単勝オッズ4.3倍の2番人気、ストライクザゴールドが単勝オッズ5.8倍の3番人気、本馬が単勝オッズ6.2倍の4番人気となった。スタートが切られるとシーカデットが先頭に立ち、本馬は馬群の中団につけた。そして四角で馬群の内側を突いて位置取りを上げると、直線入り口では3番手だった。ここから内埒沿いに末脚を伸ばしたが、外側から追い込んだストライクザゴールドに差されて、1馬身3/4差の2着に敗れた。
そのままさらに東上して、プリークネスS(GⅠ・D9.5F)に参戦。主な対戦相手は、ストライクザゴールド、ハリウッドフューチュリティで本馬の4着に敗れた後にアーカンソーダービーを勝ったがケンタッキーダービーには不参加だったオリンピオ、ケンタッキーダービーで10着に沈んでいたハンセル、同9着だったコーポレートリポートなどだった。ストライクザゴールドが単勝オッズ2.8倍の1番人気、オリンピオが単勝オッズ3.4倍の2番人気、本馬が単勝オッズ3.7倍の3番人気となった。スタートが切られるとコーポレートリポートが先頭に立ち、本馬はやはり馬群の中団につけた。そして四角では3番手まで押し上げてきたが、直線に入ると伸びを欠き、勝ったハンセルから11馬身差の5着に敗れた。
競走生活(3歳後半)
ベルモントSには出走せずに西海岸に戻ってきた本馬は、再びヴァレンズエラ騎手を主戦に迎えた。まずはシルヴァースクリーンH(GⅢ・D9F)に出走。他馬勢より5~8ポンド重い123ポンドのトップハンデながらも単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持された。ここでは2番手を進み、直線入り口で先頭に立って押し切ろうとしたが、後方から来た単勝オッズ2.8倍の2番人気だったウィルロジャーズH勝ち馬コンペリングサウンドにかわされて首差の2着に惜敗した。このレース後にジョリー厩舎からゲイリー・ジョーンズ厩舎に転厩している。
次走のスワップスS(GⅡ・D10F)では、コンペリングサウンド、プリークネスS2着後にベルモントSでハンセルの4着だったコーポレートリポートとの完全な3強対決となった。116ポンドの本馬が単勝オッズ2.4倍の1番人気、114ポンドのコーポレートリポートが単勝オッズ2.5倍の2番人気、123ポンドのコンペリングサウンドが単勝オッズ2.9倍の3番人気で、斤量面ではコンペリングサウンドが露骨に不利だった。レースはコーポレートリポート、本馬、コンペリングサウンドの順番で走り、そのままの態勢で直線を向いた。すると本馬が他2頭を置き去りにしてするすると抜け出し、2着コーポレートリポートに4馬身差をつけて快勝した。
次走はこの年に新設された高額賞金競走パシフィッククラシックS(D10F)となった。サンタアニタH・ピムリコスペシャルH・サンカルロスH・サンパスカルH・サンアントニオHを勝っていた西海岸最強古馬ファーマウェイ、前年のケンタッキーダービー・BCクラシック・フロリダダービーを勝っていたアンブライドルド、オークローンH・ナッソーカウンティHを勝っていたフェスティン、ベルエアH・サンディエゴHを勝ってきたトワイライトアジェンダ、前年のハリウッドダービー・ハリウッドターフCを勝ちBCマイルで2着してエクリプス賞最優秀芝牡馬に選ばれていたイッツオールグリークトゥミーといった強豪達が1着賞金55万ドルを目指して参戦。ファーマウェイが単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持され、フェスティンと、3歳馬である分だけ斤量が古馬より8ポンド恵まれていた本馬が並んで単勝オッズ5.9倍の2番人気となった。スタートが切られるとファーマウェイが果敢に先頭に立ち、本馬は馬群の中団につけた。そして徐々に位置取りを押し上げると、3番手で直線に入ってきた。すぐに前を行くファーマウェイに並びかけて競り落とすと、引き続き先頭に立っていたトワイライトアジェンダを追撃。残り30ヤード地点で並ぶ間もなく差し切ると、2着トワイライトアジェンダに1馬身差で勝利した。
その後は三度東上してスーパーダービー(GⅠ・D10F)に出走した。プリークネスS4着後にミネソタダービー・アメリカンダービーを勝ちセクレタリアトSで2着していたオリンピオ、ケンタッキーオークス・CCAオークス・ラスヴァージネスS・サンタアニタオークスなどを勝っていた現役最強3歳牝馬ライトライトの2頭が強敵だった。その中でも本馬は単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持されたのだが、道中3番手を追走するも直線で伸びず、単勝オッズ29.5倍の5番人気を覆して勝ったフリースピリッツジョイの6馬身半差4着に敗れた。
地元に戻った本馬は、カリフォルニアCクラシックH(D9F)に参戦。他馬勢より7~12ポンド重い124ポンドのトップハンデを課されたが、それでも単勝オッズ1.4倍の1番人気に支持された。しかし112ポンドの軽量を活かして逃げ切った単勝オッズ29.4倍の8番人気馬シャモニエを捕らえられずに頭差2着に敗れた。
次走の分割競走サイテーションH(GⅡ・T9F)は初の芝競走となり、単勝オッズ5.8倍の3番人気での出走となった。このレースから主戦を務めることになったケント・デザーモ騎手を鞍上に、3番手を先行して直線に入ると、逃げる単勝オッズ10.5倍の5番人気馬フライティルドーンを追撃したが、届かずに1馬身3/4差の2着に敗れた。
3歳時の成績は10戦2勝2着5回で、前年に続いてカリフォルニア州年度代表馬に選ばれた。2年連続で同タイトルを受賞したのは、1985年から87年にかけて3年連続で選ばれたスノーチーフ以来4頭目だった。
競走生活(4歳時)
4歳時は1月のサンフェルナンドS(GⅡ・D9F)から始動した。スーパーダービー2着後にハリウッドダービー・マリブSを連勝してきたオリンピオ、サンタアニタダービー勝利後に長期休養を強いられマリブSで復帰してきたディナールとの3強対決となった。オリンピオが単勝オッズ2.6倍の1番人気、ディナールが単勝オッズ3.3倍の2番人気、本馬が単勝オッズ3.8倍の3番人気となった。レースはオリンピオが逃げてディナールがそれを追いかけ、本馬は前方の様子を伺いながら中団を進んだ。そして四角で一気に強敵2頭との差を縮めると、直線に入ってから突き抜けて、2着オリンピオに3馬身半差で快勝した。
次走のチャールズHストラブS(GⅠ・D10F)でも、オリンピオ、前走3着のディナールとの3強対決となった。人気と斤量は前走の順位がそのまま反映され、124ポンドの本馬が単勝オッズ2.2倍の1番人気、122ポンドのオリンピオが単勝オッズ3倍の2番人気、120ポンドのディナールが単勝オッズ4.7倍の3番人気となった。レース展開は前走とやや異なり、オリンピオが逃げたところは同じだったが、本馬が3番手で、ディナールが本馬をマークするように4~5番手につけた。直線に入ると失速するオリンピオと入れ代わって本馬が先頭に立ち、それをディナールが後続馬を置き去りにして追いかけてきた。しかし2頭の差は縮まらず、本馬が2着ディナールに1馬身1/4差をつけて勝利した。
次走のサンタアニタH(GⅠ・D10F)では、前走で本馬にやられたオリンピオとディナールがいずれも回避し、その代わりに、パシフィッククラシックS2着後にメドウランズCH・デルマーBCH・ネイティヴダイヴァーH・サンパスカルHを勝ちBCクラシックで2着していたトワイライトアジェンダ、前年にメトロポリタンH・サバーバンH・ホイットニーH・ウッドワードSとGⅠ競走を4連勝したがBCマイルで惨敗したためエクリプス賞年度代表馬の座を逃したインエクセスの2頭が強敵として立ち塞がってきた。124ポンドの本馬が単勝オッズ2.7倍の1番人気、同じく124ポンドのトワイライトアジェンダが単勝オッズ3.2倍の2番人気、122ポンドのインエクセスが単勝オッズ3.5倍の3番人気となった。レースはインエクセスが逃げを打ち、トワイライトアジェンダが先行、本馬が中団につける展開となった。三角でインエクセスの脚色が衰え始めると本馬が入れ代わるように進出を開始。三角で先行馬群の外側を駆け上がると、四角半ばでは既にトワイライトアジェンダもかわして先頭に立っていた。そして直線ではさらに差を広げ、2着トワイライトアジェンダに5馬身半差をつけて圧勝した。このレースは、並みいる強豪達を一蹴した前年のパシフィッククラシックSと並ぶ、本馬のベストレースの1つである。
その後は米国南部のアーカンソー州オークローンパーク競馬場に遠征し、オークローンH(GⅠ・D9F)に出走した。主な対戦相手は、トワイライトアジェンダ、ケンタッキーダービー8着後にドンH・ガルフストリームパークHなどを勝ちペガサスHで2着していたシーカデット、ケンタッキーダービー5着後にリヴァリッジS・ジムダンディSを勝ちBCクラシックで4着していたフライソーフリーなどだった。125ポンドの本馬が単勝オッズ1.7倍の1番人気、123ポンドのトワイライトアジェンダが単勝オッズ4.8倍の2番人気、120ポンドのシーカデットが単勝オッズ5.3倍の3番人気、118ポンドのフライソーフリーが単勝オッズ7倍の4番人気となった。スタートが切られると、本馬は他の有力馬勢を眺めるように後方2番手につけた。そして三角入り口で仕掛けると、直線入り口では既に先頭。そして食い下がるシーカデットを1馬身半差の2着に抑えて勝利した。遠征競馬で勝ったのはこれが初めてだった。
その後はさらに東上してピムリコスペシャルH(GⅠ・D9.5F)に参戦。前走3着のトワイライトアジェンダ、同5着のフライソーフリー、プリークネスS6着後はベルモントS・ガルフストリームパークHでいずれも2着など好走するも勝ち星に恵まれていなかったストライクザゴールドなどが対戦相手となった。既に実績では本馬が最上位となっており、斤量2位のトワイライトアジェンダより4ポンド重い126ポンドのトップハンデでも単勝オッズ1.6倍の1番人気に支持された。しかし今回は3番手でレースを進めるも、三角以降に順位を上げる事が出来ず、114ポンドの軽量を活かして追い込み勝ちを決めたストライクザゴールドから4馬身1/4差の4着に敗退。前走で破ったフライソーフリー(2着)やトワイライトアジェンダ(3着)にも先着されてしまった。
そしてレース後に骨折が判明したため、おそらく競走馬としての全盛期だったこの4歳シーズンの後半は完全に棒に振ってしまった。4歳時の成績は5戦4勝で、3年連続となるカリフォルニア州年度代表馬に選ばれた。これはスノーチーフ以来2頭目の快挙で、本馬以降には1頭も登場していない。しかしエクリプス賞年度代表馬のタイトル争いではエーピーインディの次点に終わった。
競走生活(5歳前半)
8か月間の休養を経た本馬は、5歳1月のサンパスカルH(GⅡ・D8.5F)で復帰した。長期休養明けの上に他馬勢より6~10ポンド重い124ポンドが課せられたが、ハリウッド金杯・エディリードHの勝ち馬マーケトリーを抑えて単勝オッズ2倍の1番人気に支持された。ここでは先行して直線入り口で先頭に立ったが、すぐに115ポンドだった単勝オッズ3.5倍の2番人気馬ジョヴィアルにかわされ、2馬身3/4差をつけられて2位入線。しかも直線の進路妨害を咎められて5着に降着となってしまった。
それでも次走のサンタアニタH(GⅠ・D10F)では、ジョヴィアル、前走で2着に繰り上がったマーケトリー、ノーフォークS・デルマーフューチュリティ・サンフェリペS・サンフェルナンドSの勝ち馬でBCジュヴェナイル・サンタアニタダービー・チャールズHストラブS2着のバートランド、デルマーBCH・グッドウッドHの勝ち馬レインロード、ネイティヴダイヴァーH・サンカルロスHの勝ち馬サーボーフォートなどを抑えて、単勝オッズ2.4倍の1番人気に支持された。斤量は124ポンドのトップハンデで、斤量2位のバートランドより4ポンド重かった。ここでは慎重に馬群の中団後方からレースを進めたものの、終盤に入っても伸びず、サーボーフォートの5馬身差5着に敗れた。
その後は前年に引き続きオークローンH(GⅠ・D9F)に遠征した。ここでは、前走4着のジョヴィアル、前年のケンタッキーダービーやジムビームS・レイザーバックHを勝っていたリルイーティーとの3強対決となった。123ポンドのリルイーティーが単勝オッズ2.1倍の1番人気、同じ123ポンドの本馬が単勝オッズ3.8倍の2番人気、117ポンドのジョヴィアルが単勝オッズ4.9倍の3番人気だった。レースはリルイーティーが先行し、本馬とジョヴィアルはいずれも後方から競馬を進めた。しかし本馬より後方にいたジョヴィアルが先に仕掛けて上がっていき、直線でリルイーティーを鮮やかに差し切って1馬身1/4差で勝利。本馬は2着リルイーティーから1馬身1/4差の3着に敗れた。
地元に戻って出走したのは、一昨年のサイテーションH以来2度目の芝競走となるハリウッドターフH(GⅠ・T10F)だった。本馬はここでもトップハンデで斤量は122ポンドだった。鞍上は新たな主戦となったコーリー・ブラック騎手で、単勝オッズ8.4倍の4番人気だった。現役米国最強芝馬コタシャーンの姿は無かったが、ベルリン銀行大賞・バーデン大賞・オイロパ賞などの勝ち馬ロミタス、ハリウッドターフC・シネマH・スワップスSを勝っていたコタシャーンの好敵手ビエンビエン、エルリンコンH・ゴールデンゲートHなどの勝ち馬ヴァルデボワといった芝の実力馬が出走しており、人気も彼等が集めていた。本馬は3番手を先行して、直線入り口で先頭に並びかけた。ここで後方から来たビエンビエンには置き去りにされて3馬身半差をつけられたが2着を確保。これで本馬は芝も走れる事が改めて示されたわけだが、結局この後に本馬が芝競走に出ることはなかった。
競走生活(5歳後半)
次走のハリウッド金杯(GⅠ・D10F)では、サンタアニタHで9着に終わるも前走メトロポリタンHで2着して立て直してきたバートランド、サンタアニタHで6着に終わるも前走マーヴィンルロイHを勝ってきたマーケトリー、本馬が不在だった前年のパシフィッククラシックSを勝っていたガリニュールS・カールトンFバークHなどの勝ち馬ミッショナリーリッジ、4か月前のサンタアニタHで3着していたメジャーインパクト、前走カリフォルニアンSを勝ってきたラテンアメリカンなどが対戦相手となった。121ポンドの本馬が単勝オッズ2.1倍の1番人気、118ポンドのマーケトリーと115ポンドのミッショナリーリッジのカップリング、並びに118ポンドのバートランドが単勝オッズ4.5倍の2番人気となった。スタートが切られるとバートランドが先頭に立ち、ミッショナリーリッジやマーケトリーも先行。一方の本馬は馬群の中団後方からレースを進めた。しかし向こう正面で順位をどんどん上げると、バートランドを射程圏内に捉えた位置で三角と四角を回ってきた。そして直線に入るとバートランドをかわして抜け出し、2着バートランドに2馬身半差をつけて快勝した。
次走はこの年からGⅠ競走に格付けされたパシフィッククラシックS(GⅠ・D10F)となった。バートランド、前走4着のマーケトリー、同5着のミッショナリーリッジが主な対戦相手だった。ハンデ競走だった前走と異なり定量戦であり、本馬が単勝オッズ1.4倍という圧倒的な1番人気に支持された。レース展開は前走とほぼ同じで、バートランドが逃げて、当初は後方にいた本馬が向こう正面で仕掛けて四角でバートランドに詰め寄っていった。しかし直線に入ってからの伸びが前走より悪く、バートランドを捕らえることが出来なかった上に、後方から来たミッショナリーリッジにもゴール前で差されて、勝ったバートランドから3馬身3/4差の3着に敗れた。
その後はサンタアニタパーク競馬場で行われるBCクラシックを目指し、本番3週間前のカリフォルニアCクラシックH(D9F)に出走した。特に目立つ対戦相手はおらず、他馬勢より10~19ポンドも重い126ポンドのトップハンデだけが問題だった。単勝オッズ1.3倍の1番人気に支持された本馬は馬群の中団やや後方からレースを進め、三角に入ってから仕掛けた。そして直線入り口で先頭に躍り出ると、2着ネイティヴバウンダリーに3馬身半差をつけて勝利した。
本番のBCクラシック(GⅠ・D10F)では、ウッドワードSを勝ってきたバートランド、パシフィッククラシックS4着後にメドウランズCHを勝ってきたマーケトリー、パシフィッククラシックS2着後にウッドワードSで4着していたミッショナリーリッジに加えて、ハスケル招待Hの勝ち馬でベルモントS・トラヴァーズS2着のキッシンクリス、ベルモントS勝ち馬でジョッキークラブ金杯2着のコロニアルアッフェアー、ジョッキークラブ金杯を勝ってきたマイナーズマーク、ウッドメモリアル招待S・ガルフストリームパークH・ピムリコスペシャルH・サバーバンH・エクセルシオールHなどの勝ち馬デヴィルヒズデュー、ペガサスHの勝ち馬ディアゾ、ペンシルヴァニアダービー・スーパーダービーを連勝してきたワレンダー、それに欧州から参戦してきた英国際Sの勝ち馬エズード、イスパーン賞の勝ち馬アルカングなどが対戦相手となった。バートランドとミッショナリーリッジのカップリング、並びにマーケトリーが単勝オッズ2.2倍の1番人気で、本馬は単勝オッズ2.8倍の3番人気だった。今回もバートランドが逃げを打ったが、本馬は控えずに4番手辺りでバートランドを追いかけた。しかし結果的にそれが裏目に出たのか、直線に入る前に失速。単勝オッズ134.6倍の最低人気を覆して勝ったアルカングから10馬身半差の10着と惨敗してしまった。
5歳時の成績は8戦2勝で、前年と同じくエクリプス賞には縁が無かったばかりか、カリフォルニア州年度代表馬の座もBCクラシック2着が評価されてエクリプス賞最優秀古馬牡馬に選ばれたバートランドに取られてしまった。
競走生活(6歳時)
6歳時は1月のサンパスカルH(GⅡ・D8.5F)から始動した。ここでは、サンティアゴルーロ大賞・ラウル&ラウルEチェバリエル大賞・モンテビデオ大賞と亜国のGⅠ競走を3勝した後に米国に移籍してNYRAマイルH・メトロポリタンH・カーネルFWケスターH・サンアントニオHを勝っていたイベロが単勝オッズ3.1倍の1番人気に支持され、イベロより3ポンド斤量が重かった本馬は単勝オッズ3.4倍の2番人気だった。レースはベイメドウズダービーなどを勝っていた単勝オッズ4.5倍の3番人気馬スターリクルートが逃げを打ち、イベロが好位、本馬が中団を進む展開となった。そして直線入り口6番手から追い込んできたが、先行して先に抜け出していた単勝オッズ16.4倍の伏兵ヒルパスに届かず、1馬身3/4差の2着に敗れた。
次走のサンアントニオH(GⅡ・D9F)では、ヒルパス、前走5着のイベロ、前走サンカルロスHで2着してきたビングクロスビーH・サンフランシスコHの勝ち馬ザウィキッドノースなどを抑えて、単勝オッズ2.8倍の1番人気に支持された。ところがスタートからゴールまで後方のままで、2番手から抜け出して勝ったザウィキッドノースから10馬身1/4差の7着と惨敗した。
状況を打破するために、ジョーンズ厩舎からリチャード・マンデラ厩舎に転厩した本馬は、7月にハリウッドパーク競馬場で行われたアンサードゥS(D7F)で仕切り直しのスタートを切った。ブラック騎手から乗り代わったデザーモ騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ1.4倍の1番人気に支持されると、直線で追い込みを決めて2着マーモエに2馬身3/4差で勝利した。
次走のパシフィッククラシックS(GⅠ・D10F)からは、クリス・マッキャロン騎手が新たな主戦となった。主な対戦相手は、宿敵バートランド、スワップスSを勝ってきたシルヴァーミュージック、スワップスSで2着してきたドラマティックゴールド、サンバーナーディノH・マーヴィンルロイHを勝ってきたデルマーデニス、ハリウッド金杯などを勝ってきたスルーオブダマスカスなどだった。バートランドが単勝オッズ3.4倍の1番人気に支持される一方で、本馬はドラマティックゴールドとのカップリングでようやく単勝オッズ4.9倍の3番人気だった。バートランドはここでもスタートから逃げたが、向こう正面では既に脚色が怪しくなっていた。一方の本馬は例によって後方からレースを進め、四角で順位を上げると、直線で先に抜け出した単勝オッズ8.1倍の6番人気馬ティナーズウェイを追撃。しかし1馬身届かずに2着に敗れた。
その後はこの年にチャーチルダウンズ競馬場で行われるBCクラシックを目指して東上し、本番6週間前のケンタッキーCクラシックS(D9F)に出走した。このレースには、この年のプリークネスS・ベルモントSを勝っていたタバスコキャットも出走しており、本馬とタバスコキャットの2頭が並んで単勝オッズ2.3倍の1番人気に支持された。レースはタバスコキャットが逃げて本馬が中団を進む展開となった。しかし直線に入っても快調に先頭を行くタバスコキャットとは対照的に、本馬はあまり伸びがなく、単勝オッズ30.1倍の5番人気馬マイティアヴァンティに直線で差されて、勝ったタバスコキャットから3馬身半差の3着に敗れた。
それでもBCクラシック(GⅠ・D10F)には出走した。かつて同コースのケンタッキーダービーで2着しており、それほど不得手な競馬場というわけではなかった。また、出走していれば人気になっていたはずの現役米国最強3歳馬ホーリーブルや現役米国最強古馬コロニアルアッフェアーが回避して、出走馬が手薄となっていた。それでも、タバスコキャット、ケンタッキーダービー勝ち馬でプリークネスS・ベルモントS2着のゴーフォージン、前年のBCクラシックで8着に終わるもこの年のサバーバンH・ブルックリンHを勝っていたデヴィルヒズデュー、パシフィッククラシックS3着後にモルソンエクスポートミリオンを勝っていたドラマティックゴールド、アーカンソーダービー勝ち馬でトラヴァーズS・スーパーダービー2着のコンサーン、パシフィッククラシックSで8着に終わるも前走グッドウッドHを勝ってきたバートランド、スーパーダービーを勝ってきたソウルオブザマター、前年のBCクラシックでは7着だったがこの年の英国際S・エクリプスSを勝っていたエズード、デューハーストS・セントジェームズパレスSの勝ち馬グランドロッジ、愛チャンピオンSの勝ち馬セザンヌ、英チャンピオンSの勝ち馬デルニエアンプルール、パリ大賞の勝ち馬ミルコムといった国内外の実力馬達が多数参戦していた。タバスコキャットが単勝オッズ4.5倍の1番人気に支持され、本馬とドラマティックゴールドのカップリングが単勝オッズ6.8倍の2番人気となった。
レースはやはりバートランドが逃げを打ち、ドラマティックゴールド、ゴーフォージン、タバスコキャットなども先行。本馬は先行集団から少し離れた5~6番手の好位集団につけた。しかしあまり反応が良くなく、向こう正面で9番手辺りまで下がってしまった。それでも直線に入ると追い込んできたが、最後方からのまくりで勝った単勝オッズ8.5倍の5番人気馬コンサーンから3馬身1/4差の5着に敗れた。
地元に戻ってきた本馬は、前走から1か月後のネイティヴダイヴァーH(GⅢ・D9F)に出走。このレースには一昨年のオークローンHで本馬の2着した後にメドウランズCHを勝つも、その後に長期休養を強いられていたシーカデットと久々の対戦となった。121ポンドの本馬が単勝オッズ2.5倍の1番人気で、118ポンドのシーカデットが単勝オッズ3.6倍の2番人気となった。シーカデットは普通に先行したが、本馬は大胆にも最後方に陣取った。しかし四角で一気に位置取りを上げると、直線に入って間もなくしたところで先頭に立って後続を引き離し、2着トスオブザコインに4馬身差で圧勝。ここで4着に終わったシーカデットはこの年にもう1戦だけして引退していった。
競走生活(7歳時)
一方、6歳時を7戦2勝で終えた本馬は7歳時も現役を続行。まずは1月のサンパスカルH(GⅡ・D8.5F)に出走した。トスオブザコイン、前年のパシフィッククラシックSで4着だったスルーオブダマスカス、同6着だったデルマーデニスなどを抑えて、単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持された。ここでは無難に4番手の好位を進んだが、ゴールまで順位を上げることができず、逃げ切って勝った単勝オッズ6.6倍の3番人気馬デルマーデニスから3馬身1/4差の4着に敗れた。
次走のサンアントニオH(GⅡ・D9F)では、デルマーデニス、前走2着のスルーオブダマスカス、同3着のトスオブザコイン、それに一昨年のBCスプリントを勝ってエクリプス賞最優秀短距離馬に選ばれたカードマニアなどが対戦相手となった。121ポンドの本馬が単勝オッズ2.8倍の1番人気に支持され、119ポンドのデルマーデニスが単勝オッズ4倍の2番人気、同じく119ポンドのスルーオブダマスカスが単勝オッズ5.6倍の3番人気となった。スタートが切られると、スルーオブダマスカスが先頭に立ち、デルマーデニスがそれを追って先行。本馬はやはり馬群の中団後方につけた。そして三角で仕掛けて直線入り口で先頭を奪取。そのままゴールまで脚を維持し、2着に粘ったスルーオブダマスカスに3馬身差をつけて快勝した。
次走は前年に不参加だったサンタアニタH(GⅠ・D10F)となった。前年のBCクラシック3着後もサンフェルナンドS・ストラブSで2着と堅実に走っていたドラマティックゴールド、前走4着のデルマーデニス、ストラブSを勝ってきたセクレタリアトS・ハリウッドダービー・ハリウッドターフC2着馬デアアンドゴー、リュパン賞・カーネルFWケスターHの勝ち馬でBCマイル2着のヨハンクアッツなどが主な対戦相手となった。122ポンドの本馬と120ポンドのドラマティックゴールドのカップリングが単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持されたのは当然だったが、単勝オッズ4.2倍の2番人気に支持されたのはアージェントリクエストという馬だった。アージェントリクエストは元々欧州で走ってローズオブランカスターSを勝っていたが、米国のレースに出走するのはこれが初めてであり、斤量116ポンドと言っても実績的には人気になるような馬ではなく、どうやら調教の動きが評価されたようである。スタートが切られるとそのアージェントリクエストが逃げを打ち、本馬は10頭立ての9番手を追走した。向こう正面で徐々に順位を上げると、直線入り口4番手から、逃げるアージェントリクエストを猛追。しかし粘るアージェントリクエストに最後まで並ぶことは出来ず、頭差の2着に惜敗した。
その後はオークローンH(GⅠ・D9F)に向かった。アージェントリクエスト、コンサーンといった既対戦馬の姿もあったが、このレースにはもう1頭かつてない強敵が出走してきた。その馬の名前はシガー。NYRAマイルH・ドンH・ガルフストリームパークHなど5連勝中のシガーが120ポンドで単勝オッズ2.7倍の1番人気、122ポンドのコンサーンが単勝オッズ4倍の2番人気、121ポンドの本馬が単勝オッズ5倍の3番人気となった。レースはシガーが4番手の好位につけ、本馬はその背中を見るように5番手を追走した。そしてシガーが上がっていくと本馬も進出を開始しようとしたが、シガーの背中はだんだん遠くなっていった。結局シガーが完勝し、本馬は7馬身半差をつけられた4着と完敗した。
地元に戻った本馬はカリフォルニアンS(GⅠ・D9F)に出走した。主な対戦相手は、前走3着のコンサーン、サンアントニオHで3着した後にマーヴィンルロイHを勝ってきたトスオブザコイン、長期休養明けだった前年のパシフィッククラシックS勝ち馬ティナーズウェイなどだった。120ポンドの本馬が単勝オッズ2.5倍の1番人気、122ポンドのコンサーンが単勝オッズ3.5倍の2番人気、118ポンドのトスオブザコインが単勝オッズ5倍の3番人気となった。ここでは珍しくコンサーンが馬群の中団好位につけ、本馬はコンサーンの直後6番手につけた。しかし向こう正面でコンサーンが上がっていくと付いていく事が出来ず、勝ったコンサーンから4馬身1/4差の4着に敗れた。
次走のハリウッド金杯(GⅠ・D10F)では、コンサーン、前走2着のトスオブザコイン、同3着のティナーズウェイに加えて、オークローンHで6着だったアージェントリクエスト、サンタアニタH4着後にサンバーナーディノHを勝っていたデルマーデニス、そしてピムリコスペシャルH・マサチューセッツHを勝って連勝を8に伸ばしていたシガーも参戦してきた。126ポンドのシガーが単勝オッズ1.9倍の1番人気、123ポンドのコンサーンが単勝オッズ4.1倍の2番人気、118ポンドのティナーズウェイが単勝オッズ7.7倍の3番人気で、120ポンドの本馬が単勝オッズ9.3倍の4番人気となった。本馬が地元カリフォルニア州のダート競走で3番人気以下になったのは、4歳1月のサンフェルナンドS以来だった。そしてその評価は正しかった。レースは好位を追走したシガーが四角先頭から押し切って完勝し、本馬はシガーから7馬身差の5着に敗れてしまったのだった。
その後は10月のスカイウォーカーS(D8F)に向かった。この10日後にはベルモントパーク競馬場でBCクラシックが行われることになっていたのだが、もはや遠征するだけ無駄と判断されたようである。強敵はサンアントニオH2着後にサンフランシスコHを勝っていたスルーオブダマスカスくらいであり、本馬が単勝オッズ2.1倍の1番人気、同斤量のスルーオブダマスカスが単勝オッズ3.3倍の2番人気となった。レースはスルーオブダマスカスが先行して、本馬が馬群の中団を進む展開。本馬は直線入り口でも4番手だったが、ここからスルーオブダマスカス以下を一気に抜き去り、6ポンドのハンデを与えた2着ジーンジャーマンに1馬身差で勝利した。
次走のカリフォルニアCクラシックH(D9F)では、デルマーBCH3着馬リュティエフィーヴァーくらいしか目立つ対戦相手がおらず、124ポンドの本馬が単勝オッズ1.8倍の1番人気、118ポンドのリュティエフィーヴァーが単勝オッズ4.9倍の2番人気となった。本馬は中団追走から四角で仕掛けて、逃げるリュティエフィーヴァーを直線で追撃。しかし届かずに1馬身1/4差の2着に敗れた。7歳時の成績は8戦2勝だった。
競走生活(8歳時)
カリフォルニア州調教馬として史上最高獲得賞金馬になる事を目標として8歳時も現役を続け、1月のサンパスカルH(GⅡ・D8.5F)に出走した。このレースで唯一の強敵と言えたのは、前年のデルマーBCH・ネイティヴダイヴァーHを勝っていたアルファベットスープだった。118ポンドのアルファベットスープが単勝オッズ2.6倍の1番人気で、120ポンドの本馬は単勝オッズ3.2倍の2番人気だった。結果は2番手から抜け出したアルファベットスープが勝ち、本馬は最後まで馬群の後方のまま、アルファベットスープから13馬身半差の8着と惨敗。これが現役最後のレースとなった。
競走馬としての人気と特徴
獲得賞金総額566万8245ドルは、カリフォルニア州産馬としては当時史上最高額だった(現在でもティズナウに次ぐ2位)。また、カリフォルニア州における調教馬としても、アリシーバ、ジョンヘンリーに次ぐ当時第3位の獲得賞金だった。
馬名は英語で「最高の友人」という意味で、その名の通り地元の競馬ファンからの人気は絶大だった。あまりにも多くのファンレターが届くため、本馬専用の郵便受けが用意された。本馬を題材にした児童本も製作されており、これまたヒット商品となった。デルマー競馬場にある人気のパブには本馬の名前がそのまま付けられ、現在でも本馬に関するグッズが満ち溢れている。
本馬の18勝中17勝がカリフォルニア州におけるものであり、遠征競馬にはあまり強くなかった。一時期主戦を務めていたデザーモ騎手は本馬を「とても正直かつ気まぐれな馬で、いったん全力で走り始めると風に穴をあけるほどの速度で走り出しましたが、その気がない時は全然駄目でした。しかしギアチェンジする時の加速力は抜群で、私が過去に乗った馬の中では、最も乗っていて爽快な馬の1頭でした」と評している。
血統
ハビトニー | Habitat | Sir Gaylord | Turn-to | Royal Charger |
Source Sucree | ||||
Somethingroyal | Princequillo | |||
Imperatrice | ||||
Little Hut | Occupy | Bull Dog | ||
Miss Bunting | ||||
Savage Beauty | Challenger | |||
Khara | ||||
Courteous Lady | Gallant Man | Migoli | Bois Roussel | |
Mah Iran | ||||
Majideh | Mahmoud | |||
Qurrat-Al-Ain | ||||
Fleurlea | Bull Lea | Bull Dog | ||
Rose Leaves | ||||
Blue Lily | Blue Larkspur | |||
Ship Ablaze | ||||
Ubetshedid | King Pellinore | Round Table | Princequillo | Prince Rose |
Cosquilla | ||||
Knight's Daughter | Sir Cosmo | |||
Feola | ||||
Thong | Nantallah | Nasrullah | ||
Shimmer | ||||
Rough Shod | Gold Bridge | |||
Dalmary | ||||
Ubetido | Sir Wiggle | Sadair | Petare | |
Blue Missy | ||||
Wiggle | Rego | |||
Sweet Nymph | ||||
Udontmeanit | Gray Phantom | Ambiorix | ||
Grey Flight | ||||
Lady Bourbon | Bolingbroke | |||
Bourbon Girl |
父ハビトニーはハビタット産駒で、現役成績は12戦5勝。サンタアニタダービー(米GⅠ)・ノーフォークS(米GⅡ)・サニースロープS(米GⅢ)を勝ったが、ケンタッキーダービーを目前にして故障引退した。競走馬を引退した後は日本に輸入されたが、重賞勝ち馬を何頭か出した程度に留まり、1985年に米国に再輸出され、カリフォルニア州で供用されていた。本馬は父が日本から戻ってきた後の産駒である。ハビトニーはカリフォルニア州繋養時代に27頭のステークスウイナーを出し、カリフォルニア州繋養種牡馬としてはかなりの成功を収めた。
母ユーベットシーディドは膝に故障を抱えていたため、現役成績は1戦未勝利に終わった。母系からは当時特筆できる活躍馬が殆ど出ておらず、かなり貧弱な牝系だった。それでもユーベットシーディドは本馬を含む6頭の勝ち上がり馬を出した。本馬の半妹スタイリッシュアクセント(父ボーズイーグル)の子にはシックダンサー【モデスティH(米GⅢ)】、孫にはハーエミネンシー【クイーンエリザベスⅡ世CCS(米GⅠ)】がいる。また、ユーベットシーディドの半妹ディヴァインペット(父ベルボライド)の子には本馬の6歳年下の従兄弟に当たるリヒタースケール【フランクJドフランシス記念ダッシュS(米GⅠ)・ジェロームH(米GⅡ)・トゥルーノースH(米GⅡ)・フォールハイウェイトH(米GⅡ)・ガルフストリームパークBCスプリントCSS(米GⅡ)・コモンウェルスBCS(米GⅡ)・ダービートライアルS(米GⅢ)・メリーランドBCH(米GⅢ)】がいる。→牝系:F2号族③
母父キングペリノアはラウンドテーブル産駒で現役成績20戦11勝。最初は欧州で走ってガリニュールS(愛GⅡ)・ブランドフォード(愛GⅡ)を勝ち、後に米国に渡ってオークツリー招待H(米GⅠ)・アメリカンH(米GⅡ)・カールトンFバークH(米GⅡ)を制した。キングペリノアの半姉にはヌレイエフの母であるスペシャルがいる良血馬。
競走馬引退後
競走馬を引退した本馬は生まれ故郷のゴールデンイーグルファームで第二の生活を開始した。また、パシフィッククラシックSの施行時には本馬が誘導馬として招かれ、パレードを先導するのが通例となっていた。しかし1998年11月24日、本馬は牧場内を走っている時に急にフェンスに突進するようにして倒れ、そのまま二度と動くことはなかった。死因は心臓発作で、まだ10歳の若さだった。遺体はゴールデンイーグルファームにある樹齢600年の樫の巨木の下に埋葬され、大きな墓石が置かれた。翌年3月にはファンの要望で追悼式が行われ、本馬のグレード競走初勝利だったバルボアSはベストパルSに改称された。後の2001年に老衰のため他界した父ハビトニーと、2003年に他界した母ユーベットシーディドも本馬の傍に埋葬された。2010年にはカリフォルニア州産馬としては史上最高の得票数を獲得して米国競馬の殿堂入りを果たした。