アレクサンダーゴールドラン

和名:アレクサンダーゴールドラン

英名:Alexander Goldrun

2001年生

鹿毛

父:ゴールドアウェイ

母:レナシャーン

母父:ダルシャーン

当初は下級ハンデ競走を走っていたが3歳時から表舞台に飛び出して21戦連続でGⅠ競走に出走、世界4か国でGⅠ競走勝ちを挙げた国際派牝馬

競走成績:2~5歳時に愛仏香首星英で走り通算成績31戦10勝2着7回3着6回

誕生からデビュー前まで

愛国の馬産家ダーモット・カンティヨン氏により生産され、ノエル・オキャラハン夫人の所有馬となり、愛国ジェイムズ・S・ボルジャー調教師に預けられた。主戦はケヴィン・マニング騎手で、本馬の全レースに騎乗した。地味な血統であり、デビューの前年に半兄のメデシスが仏国のGⅢ競走ジョンシエール賞を勝っていたとは言え、それほど注目された馬ではなかった。

競走生活(2歳時)

2歳3月にカラー競馬場で行われた芝5ハロンの未勝利戦でデビュー。ここでは単勝オッズ11倍の5番人気であり、レースでも終始馬群の中団のままで、デインヒルダンサーの全弟コロッサスの4馬身1/4差5着に敗れた。

2週間後に同コースで行われた未勝利戦では、単勝オッズ5倍の3番人気となった。今回は先行して残り1ハロン地点ですんなりと抜け出し、2着ラモンベイに3馬身差をつけて勝ち上がった。

その後は短期休養を経て、2歳にしてハンデ競走路線に進む。6月に出走したティペラリー競馬場芝5ハロンのハンデ競走では、133ポンドという2歳牝馬としては不穏当なトップハンデを課せられた(最軽量の馬は105ポンドであり、実に28ポンドもの差があった)。それでも単勝オッズ2.75倍の1番人気に支持されると、先行して残り1ハロン地点で先頭に立った。しかし最後に力尽き、12ポンドのハンデを与えたカーリキューの3/4馬身差3着に敗退した。

8月に出走したゴールウェイ競馬場芝7ハロンのハンデ競走では、斤量124ポンドでの出走となった。レイルウェイSやアングルシーSで一定の走りを見せていたスチールライトが133ポンドのトップハンデながら単勝オッズ3.75倍の1番人気となり、本馬は単勝オッズ4.5倍の2番人気だった。斤量的には前走より少し楽だったはずだが、スタートから行き脚がつかずに後方からの競馬となり、そのままスチールライトの7馬身3/4差9着に惨敗した。

しかしここまでの4戦は全て馬場状態が悪く、ボルジャー師は良馬場になれば本馬は走ると考えていたという。

9月に出走したレパーズタウン競馬場芝7ハロンのハンデ競走では、ボルジャー師が待ち望んでいた堅良馬場となった。124ポンドの本馬は単勝オッズ7倍の4番人気であったが、馬群の好位5番手追走から直線で早めに仕掛けると、後に米国に移籍してサンタアニタダービーなどを勝つキャッスルデールとの叩き合いを頭差制して勝利した。

続いてリストウェル競馬場芝8ハロンのハンデ競走に向かった。133ポンドのトップハンデだったスチールライトが単勝オッズ3倍の1番人気に支持されており、126ポンドの本馬は単勝オッズ4.5倍の3番人気だった。ここではスタートで出遅れてしまったが、ゴール前で猛然と追い上げて、勝ったファーセルから半馬身差の2着に入った(スチールライトは5着だった)。

10月に出走したゴウランパーク競馬場芝8ハロンのハンデ競走では、130ポンドのトップハンデながらも単勝オッズ6倍の2番人気となった。ここでは馬群の好位5番手を追走し、残り2ハロン地点で先頭に立ったものの、ゴース寸前で6ポンドのハンデを与えた単勝オッズ2.25倍の1番人気馬アンカーに差されて短頭差の2着に敗れた。

ハンデ競走への出走はこれで終了し、2歳最後の出走はリステッド競走グライダーS(T8F)となった。単勝オッズ5倍の2番人気だったが、厳しいハンデ競走で揉まれてきた本馬にとっては全馬同斤量のこのレースは甘かったようで、4番手追走から直線で追い上げると、2着ポエティカルとの叩き合いを半馬身差で制し、2歳時の成績を8戦3勝とした。

競走生活(3歳時)

3歳時は3月にカラー競馬場で行われたリステッド競走エクスプレスS(T8F)から始動。不良馬場だったためか、同コースのリステッド競走グライダーSを勝っていたにも関わらず単勝オッズ7倍で4番人気の評価だったが、先行策から残り2ハロン地点で先頭に立ち、2着ブルーリーマに1馬身差で勝利した。

ここで陣営は本馬を欧州牝馬クラシック路線に進める事に決めた。次走のデリンズタウンスタッド1000ギニートライアルS(愛GⅢ・T7F)では、アサシSを勝っていたラッキー(英2000ギニー馬キングオブキングスの全妹)が単勝オッズ3.25倍の1番人気で、本馬は単勝オッズ5倍の2番人気だった。ここでもスタートで後手を踏んだ本馬は後方からのレースとなった。しかしとても届きそうに無い位置から追い込み、2着ミスティハイツを短頭差でかわして勝利した。

その後は英オークスに向かうという噂もあったが、順当に2週間後の愛1000ギニー(愛GⅠ・T8F)に出走した。このレースでは6戦無敗の英1000ギニー馬アトラクションが単勝オッズ3倍の1番人気となっており、本馬は単勝オッズ9倍の4番人気だった。結果はやはりアトラクションが逃げ切って勝利したが、アトラクションを追うように先行した本馬も最後まで食い下がって1馬身差の2着と好走した。

次走の仏オークス(仏GⅠ・T2100m)は本馬にとって適距離であると考えられたため、コンデ賞・ヴァントー賞など3戦無敗の地元馬ラティス、仏1000ギニー馬トーレストレラに次ぐ3番人気(単勝オッズ7.5倍)に推された。ここでは馬群の中団を追走し、残り400m地点でスパートしたが、残り200mで脚色が衰えてしまい、後続馬に差されてラティスの2馬身差4着に敗れた。

続くプリティポリーS(愛GⅠ・T10F)では、出走馬中唯一の3歳馬ながらも、ブランドフォードS勝ち馬コーリストなどを抑えて単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持された。レースでは馬群の好位を追走して直線で抜け出そうとしたが、コーリストとの叩き合いに半馬身屈して2着に敗退した。

夏場は休養に充て、秋はオペラ賞(仏GⅠ・T2000m)に出走。ここにおける強敵は、前走ムーランドロンシャン賞を勝ち、仏オークスでも本馬に先着する3着だったグレイリラス、前年の愛1000ギニー馬で、英オークス・ヴェルメイユ賞・オペラ賞でも2着していたイエスタデイの2頭だった。グレイリラスが単勝オッズ1.91倍の1番人気で、本馬とイエスタデイが並んで単勝オッズ7倍の2番人気となった。芝がまるで新しく敷き詰められたかのような絶好の良馬場に恵まれたレースでは、本馬が馬群の中団後方追走から直線で見事な差し切りを決めて、2着グレイリラスに1馬身差をつけて勝利した。

その後、香港ジョッキークラブから招待を受け、地球の裏側に回って香港C(香GⅠ・T2000m)に参戦した。伊ダービー・伊共和国大統領賞・英チャンピオンS・プリンスオブウェールズS・クイーンエリザベスⅡ世SとGⅠ競走で5勝を挙げていた前年の2着馬ラクティ、日本から参戦した桜花賞馬ダンスインザムード、タタソールズ金杯勝ち馬でBCターフ3着のパワーズコート、仏オークスで本馬を破って勝利したラティス、ヴィットリオディカプア賞勝ち馬エインシャントワールドなどが対戦相手となった。ラクティが単勝オッズ5倍の1番人気で、ダンスインザムードとパワーズコートが単勝オッズ8倍の2番人気、本馬は単勝オッズ11倍で14頭中7番人気とあまり注目されていなかった。

陣営は本馬の状態に自信を持っていたが、外枠の12番を引いたために自信が少しぐらついたという。レースはパワーズコートが先手を奪い、ダンスインザムードがそれに絡む展開となった。中団やや後方を追走した本馬は、直線を向くと外から直線一気の豪脚を繰り出した。残り100m地点で先頭に立つと、さらに外から追い込んできたブリッシュラックを短頭差抑えて優勝した(ダンスインザムードは13着だった)。香港Cが国際GⅠ競走に昇格した1999年以降では初の牝馬による勝利であり、また、同競走を3歳牝馬が勝ったのも初めてだった。3歳時の成績は7戦4勝だった。

競走生活(4歳時)

香港Cの勝利により、陣営は本馬を積極的に海外遠征させる方針に決めたようで、翌4歳時の初戦はドバイデューティーフリー(首GⅠ・T1777m)となった。前年の同競走勝ち馬ライトアプローチ、豪州でヴィクトリアダービー・アンダーウッドS・コーフィールドC・CFオーアSなどを勝った後に海外遠征に出発していたエルヴストローム、イスパーン賞勝ち馬プリンスカークなどが対戦相手となった。英国ブックメーカーのオッズでは、本馬とライトアプローチが並んで単勝5倍の1番人気に支持されていた。ここでも後方待機策を採り、直線に入ると追い込んできたが、末脚不発に終わり、エルヴストロームの4馬身1/4差6着に敗れた。

次走はシンガポール航空国際C(星GⅠ・T2000m)となった。加国際S・香港ヴァーズ・ドバイシーマクラシック勝ち馬フェニックスリーチ、前年の同競走勝ち馬である独国調教馬エパロ、クレメントLハーシュ記念CS・ターフサンセットH・デルマーHなどを勝っていた米国調教馬スターオーバーザベイ、ドバイデューティーフリーで3着だったライトアプローチ、サウスオーストラリアンダービー・アンダーウッドS・コーフィールドC・ヤルンバSとGⅠ競走4勝の豪州調教馬マミファイ、川崎記念・フェブラリーSで連続2着していた日本調教馬シーキングザダイヤといった国際色豊かな有力馬勢が対戦相手となった。フェニックスリーチと本馬が並んで単勝オッズ5倍の1番人気に支持された。本馬は馬群のちょうど中間を追走し、直線入り口6番手から末脚を伸ばした。しかしゴール前で失速し、一緒に追い上げたマミファイとフェニックスリーチの2頭に遅れを取り、マミファイの3馬身半差3着に敗れた(シーキングザダイヤは7着だった)。

その後は本国に戻り、前年は惜敗したプリティポリーS(愛GⅠ・T10F)に出走。モイグレアスタッドS勝ち馬チェルシーローズ、フィリーズマイル勝ち馬レッドブルーム、ブリガディアジェラードSを勝ってきたニューモーニング、アレフランス賞・コリーダ賞を勝ってきたエロパ、愛1000ギニー馬サオアールなどを抑えて、単勝オッズ3.25倍の1番人気に支持された。スタートで出遅れて最後方からの競馬となってしまったが、徐々に位置取りを上げていくと、残り2ハロン地点からスパート。最後は右側に切れ込みながらも2着レッドブルームに1馬身半差で勝利して、前年の雪辱を果たした。

次走は英国初見参のファルマスS(英GⅠ・T8F)となった。フィリーズマイル・ファルマスS・サセックスS・メイトロンSとGⅠ競走4勝を挙げていた前年のカルティエ賞最優秀古馬ソヴィエトソング、ウィンザーフォレストSを勝ってきたピアリス(後にサンチャリオットS・ロッキンジSを勝っている)、前年の英1000ギニーでアトラクションの2着した実績があったサンデーサイレンス産駒の日本産馬サンドロップなどが出走していた。2連覇を狙うソヴィエトソングが単勝オッズ2.75倍の1番人気で、本馬は単勝オッズ4.5倍の2番人気だった。ここでは普通にスタートを切ると、積極的に先行した。しかし残り1ハロン地点で後方から来たソヴィエトソングに差されて、2馬身半差の2着に敗れた。

続くナッソーS(英GⅠ・T9F192Y)では、英オークス2着馬サムシングエキサイティング、英1000ギニー馬ヴァージニアウォーターズなどを抑えて、単勝オッズ2.625倍の1番人気に支持された。今回は後方待機策を採った本馬は、道中で進路を塞がれる不利がありながらも末脚を伸ばし、残り1ハロン地点で先頭に立って2着キャシードラに1馬身1/4差で勝利した。

秋は愛チャンピオンS(愛GⅠ・T10F)に参戦。キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS勝ち馬アザムール、英ダービー馬モティヴェイター、愛ダービー馬グレイスワロー、エクリプスS勝ち馬オラトリオなど今までとは段違いの強敵が相手となり、上記4頭に次ぐ5番人気(単勝オッズ10倍)での出走となった。しかもスタートで大きく出遅れてしまったが、直線入り口で後方2番手の位置取りから猛然と追い上げ、最後は勝ったオラトリオに3/4馬身差、2着モティヴェイターまで頭差に迫る3着に入り、アザムール(5着)やグレイスワロー(6着)に先着した。

次走のオペラ賞(仏GⅠ・T2000m)では当然のように単勝オッズ1.73倍の1番人気に支持された。2番人気のレッドブルームが単勝オッズ6.5倍だったから、多くのファンはここで本馬が負ける事はないと思っていたようだが、後方2番手から直線で差しきれず、単勝オッズ34倍のキンナードと単勝オッズ26倍のモナリザの2頭に屈して、キンナードの1馬身1/4差3着に敗れた。

続く英チャンピオンS(英GⅠ・T10F)では、愛チャンピオンSから直行してきたオラトリオ、次走のジャパンCを勝つサンクルー大賞勝ち馬アルカセット、ギョームドルナノ賞勝ち馬ピンソン、ジャンロマネ賞・フォワ賞などの勝ち馬プライド、ロッキンジSでGⅠ競走6勝目を挙げていたラクティなどが対戦相手となった。本馬はオラトリオ、アルカセットに次ぐ3番人気(単勝オッズ9倍)に推されたが、オペラ賞から13日後という強行日程が影響したのか、直線で末脚不発に終わり、デビッドジュニアの5馬身3/4差8着に敗退した。

その後は2年連続で香港C(香GⅠ・T2000m)に参戦。香港ダービー・クイーンエリザベスⅡ世Cを勝っていた地元香港の名馬ヴェンジェンスオブレイン、英チャンピオンSで2着だったプライド、同3着だったマラーヘル、難聴の持病を克服してラホヤH・デルマーダービーを勝っていたウィローオーウィスプなどが対戦相手となった。ヴェンジェンスオブレインが単勝オッズ4倍の1番人気で、本馬は単勝オッズ4.5倍の2番人気となった。ここでは馬群の中団やや後方を追走したのだが、直線では前年のような素晴らしい脚は見られず、ヴェンジェンスオブレインの4馬身差8着に終わった。4歳時の成績は9戦2勝だった。

競走生活(5歳時)

5歳時は前年に続いてドバイミーティングから始動したが、今回はドバイデューティーフリーではなくドバイシーマクラシック(首GⅠ・T2400m)に出走した。世界的に見ればこのレースにおける目玉は英オークス・愛オークス・BCフィリー&メアターフ・香港ヴァーズなどを勝っていた2年前のカルティエ賞年度代表馬ウィジャボード(単勝オッズ3.25倍の1番人気)だっただろうが、我々日本人にとっての注目馬は前年の有馬記念を勝っていたハーツクライ(単勝オッズ3.75倍の2番人気)だった。スタートからハーツクライがレースを支配し、単勝オッズ11倍の5番人気だった本馬は馬群の後方を追走した。そして直線を向くと追い込んできたが、過去最長出走距離が仏オークスの2100mだった本馬にこの距離は厳しかったのか、それともスローペースで追い込み不発だったのか、勝ったハーツクライから15馬身差も離された5着に終わった(本馬とは同世代だったにも関わらずこれが初顔合わせだったウィジャボードは4着だった)。

本国に戻った本馬はタタソールズ金杯(愛GⅠ・T10F110Y)に出走。このレースには前年の愛ダービー・凱旋門賞を制してカルティエ賞年度代表馬に選ばれていたハリケーンランが出走しており、それを嫌った他馬陣営の回避が相次いで、結局は単勝オッズ1.25倍のハリケーンラン、単勝オッズ4.5倍の本馬、当時はグループ競走未勝利馬だった単勝オッズ26倍のロードアドミラルの3頭立てとなってしまった。少頭数だけに出走馬の実力差がそのまま現れる結果となり、ロードアドミラルには12馬身差をつけたが、ハリケーンランに7馬身差をつけられて2着に敗れた。

それでも連覇を狙って出走したプリティポリーS(愛GⅠ・T10F)では、前年のオペラ賞で6着に終わっていたレッドブルーム、前年のプリティポリーSで9着に終わっていたチェルシーローズ、愛1000ギニーと仏オークスで3着していたクイーンクレオパトラなどを抑えて、単勝オッズ2.375倍の1番人気に支持された。ここでは馬群の中団4番手につけ、残り2ハロン地点で仕掛けて残り1ハロン地点で先頭のチェルシーローズに並びかけた。そして叩き合いを首差で制して勝利を収めた。

続いてやはり連覇を狙ってナッソーS(英GⅠ・T9F192Y)に出走。他の出走馬は、プリンスオブウェールズSでGⅠ競走5勝目を挙げていたウィジャボード、フィリーズマイル・コロネーションSの勝ち馬ナンニナ、チェルシーローズなどだった。ウィジャボードが単勝オッズ2倍の1番人気で、ナンニナが単勝オッズ5倍の2番人気、本馬が単勝オッズ5.5倍の3番人気となった。本馬は最後方につけると、直線では豪快な末脚を伸ばしてきた。そして残り1ハロン地点で先を行くウィジャボードを捕らえたときには勝ったかと思われたが、しかしゴール前でウィジャボードに差し返されて短頭差の2着に惜敗した。

次走の愛チャンピオンS(愛GⅠ・T10F)では、3度目の対戦となるウィジャボードに加えて、愛ダービー馬ディラントーマスが対戦相手となった。この2頭に次ぐ3番人気(単勝オッズ4倍)だった本馬は、後方2番手追走から直線で追い上げるも、ディラントーマスの2馬身3/4差3着に敗れた。ウィジャボードが2着となり、結局本馬はウィジャボードには一度も先着できなかった。

その後はオペラ賞を回避し、愛1000ギニーからのGⅠ競走連続出走20戦目となるサンチャリオットS(英GⅠ・T8F)に出走。この年も現役を続けてウィンザーフォレストSを勝っていたソヴィエトソング、7連勝でメイトロンSを制したレッドエヴィなどを抑えて、単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持された。スタートが切られると単勝オッズ13倍の最低人気馬スピニングクイーンが逃げを打ち、本馬は2番手を追走した。しかし直線に入ると、どんどん後続を引き離していくスピニングクイーンについていけず、ゴール前でソヴィエトソングに首差かわされてしまい、大激走で勝利したスピニングクイーンから9馬身1/4差をつけられた3着に敗れた。

現役最後のレースは3度目の出走となった香港C(香GⅠ・T2000m)となった。香港ダービートライアル・香港国際カップトライアルを勝っていた地元香港期待のハロープリティー、サンクルー大賞・英チャンピオンSを勝ち凱旋門賞で2着するなどこの年に大きく開花していたプライド、連覇を狙うヴェンジェンスオブレイン、香港ダービー馬ヴィヴァパタカ、弥生賞・札幌記念などを勝っていた日本馬アドマイヤムーンなどが対戦相手となった。本馬は単勝オッズ10倍の5番人気だった。ここでは後方待機策から早めに押し上げて4番手で直線に入ってきた。しかしここから伸びずに、勝ったプライドとアドマイヤムーンの接戦から7馬身半差をつけられ、当時重賞1勝の日本馬ディアデラノビア(7着)にも遅れて9着に終わった。5歳時の成績は7戦1勝だった。

本馬の飛躍のきっかけとなったのは3歳時の香港Cにおける勝利だったが、その後の香港やドバイ遠征であまり結果が出せなかったのは少し皮肉だったかもしれない。

血統

Gold Away Goldneyev Nureyev Northern Dancer Nearctic
Natalma
Special Forli
Thong
Gold River Riverman Never Bend
River Lady
Glaneuse スノッブ
Glamour
Blushing Away Blushing Groom Red God Nasrullah
Spring Run
Runaway Bride Wild Risk
Aimee
スイートリベンジ Raja Baba Bold Ruler
Missy Baba
Away Believe It
Golly
Renashaan Darshaan Shirley Heights Mill Reef Never Bend
Milan Mill
Hardiemma ハーディカヌート
Grand Cross
Delsy Abdos Arbar
Pretty Lady
Kelty ヴェンチア
マリラ
Gerbera Lyphard Northern Dancer Nearctic
Natalma
Goofed Court Martial
Barra
Greenway ターゴワイス Round Table
Matriarch
Gracious Habitat
Glaneuse

父ゴールドアウェイは現役成績16戦5勝。ミュゲ賞(仏GⅡ)・トーマブリョン賞(仏GⅢ)・ギシュ賞(仏GⅢ)・エドモンブラン賞(仏GⅢ)に勝ち、生涯着外無しという安定した成績を残したが、ムーランドロンシャン賞(仏GⅠ)で2着2回、ジャンプラ賞(仏GⅠ)とモーリスドギース賞(仏GⅠ)でも2着、イスパーン賞(仏GⅠ)でクロコルージュ、エルコンドルパサーに次ぐ3着と、遂にGⅠ競走タイトルには手が届かなかった。

ゴールドアウェイの父ゴールドネイエフは大種牡馬ヌレイエフと凱旋門賞馬ゴールドリヴァーの間に産まれた良血馬。現役成績は6戦1勝だが、仏1000ギニー(仏GⅠ)で2着、他にもGⅢ競走3着が3回あり、ゴールドアウェイと同様に勝ち切れない印象が強い馬だった。

母レナシャーンは現役成績8戦2勝。本馬の半兄メデシス(父マキャヴェリアン)【ジョンシエール賞(仏GⅢ)】も産んでいる。レナシャーンの従兄弟にはロイヤルレベル【アスコット金杯(英GⅠ)2回・グッドウッドC(英GⅡ)・ロンズデールS(英GⅢ)】、ロイヤルレベルの姪にはグアダルーペ【伊オークス(伊GⅠ)】、甥にはゲッタウェイ【ドイツ賞(独GⅠ)・バーデン大賞(独GⅠ)】がいる。レナシャーンの祖母グリーンウェイはアランベール賞(仏GⅢ)・プティクヴェール賞(仏GⅢ)の勝ち馬で、血統的には前述の凱旋門賞馬ゴールドリヴァーの姪に当たる。したがって本馬の父方の祖父ゴールドネイエフも本馬の近親という事になるし、ゴールドリヴァーの曾孫であるマイル女王ゴルディコヴァは本馬の遠縁となる。→牝系:F22号族①

母父ダルシャーンは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は、愛国ギルタウンスタッドで繁殖入りした。ガリレオシーザスターズなどの有力種牡馬と交配されているようであるが、今のところ繁殖牝馬として結果は出ていない。

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